JP2522861B2 - 電場発光素子用バインダ―とその製法 - Google Patents

電場発光素子用バインダ―とその製法

Info

Publication number
JP2522861B2
JP2522861B2 JP3025502A JP2550291A JP2522861B2 JP 2522861 B2 JP2522861 B2 JP 2522861B2 JP 3025502 A JP3025502 A JP 3025502A JP 2550291 A JP2550291 A JP 2550291A JP 2522861 B2 JP2522861 B2 JP 2522861B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
cyanoethyl
hydroxyalkyl cellulose
electroluminescent device
viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3025502A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04357695A (ja
Inventor
育生 福井
達志 金子
和政 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP3025502A priority Critical patent/JP2522861B2/ja
Publication of JPH04357695A publication Critical patent/JPH04357695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2522861B2 publication Critical patent/JP2522861B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散型電場発光素子の
製造に有用なバインダーと、その製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】通常、分散型電場発光素子は、電場発光
性蛍光体からなる発光層と無機高誘電物質からなる絶縁
反射層とを、1対の相対する電極で挟んだ構成となって
いる。この発光層および絶縁反射層の形成に用いられる
バインダーには、誘電率が高い、造膜性に優れている、
適度の熱可塑性があり接着性が良好であるなどの性質が
要求される。誘電率の高いものを用いて電場発光素子を
製造すると高輝度のものが得られるが、造膜性が劣ると
均一な発光面のものが得られず、また熱可塑性や接着性
が劣ると発光体層と電極を熱圧着する際に剥離し易くな
る。
【0003】現在電場発光素子用の高誘電率のバインダ
ーとしては、シアノエチルセルロース,シアノエチルス
ターチ、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエ
チルプルラン等、シアノエチル化された高分子物質が知
られている。これらの内で熱可塑性については、シアノ
エチルポリビニルアルコール>シアノエチルヒドロキシ
エチルセルロース>シアノエチルプルラン>シアノエチ
ルスターチ>シアノエチルセルロースの順であり、シア
ノエチルセルロースに至っては殆ど熱可塑性を持たな
い。
【0004】これらの点から熱可塑性を改良するための
可塑剤が種々検討されているが、満足すべきものは未だ
知られていない。例えば、一般の熱可塑性樹脂に用いら
れるフタル酸エステル類は、上記高誘電高分子物質との
相溶性に劣り、かつ誘電率が低いため、これを使用する
と電場発光素子の性能、すなわち発光時の輝度を低下さ
せてしまう。また誘電率の高い低分子のシアノエチル化
物も可塑剤としての使用が試みられているが、これらは
誘電正接が大きく電場発光素子の寿命を短くしてしま
う。
【0005】通常の重合度のシアノエチルプルランやシ
アノエチルヒドロキシエチルセルロースでは熱可塑性を
有するが、その程度は小さく、可塑剤を使わずに電場発
光素子を製造しようとすると、積層部の熱圧着などで高
温が必要となり、これによって高誘電高分子物質を着色
劣化させ、その商品価値を低下させることがあった。
【0006】シアノエチルポリビニルアルコールは熱可
塑性を有し積層部の熱圧着が比較的容易にできるが、そ
の反面、上記高誘電高分子物質中、最も誘電正接が劣
り、かつ誘電率の温度依存性が大きい。このため、これ
を用いて製造した電場発光素子は、環境温度の影響を受
けて輝度が変化し、他の高誘電高分子物質を用いた電場
発光素子に比べて寿命の短い傾向がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、分散型電場発光素子の製造に際し通常の積層条件
での熱圧着が可能であり、剥離を生ぜず、誘電正接が小
さく、かつ高誘電率で、その温度依存性の小さい電場発
光素子用バインダ−と、その製造方法を提供しようとす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決のため鋭意検討の結果、電場発光素子用バインダー
として、20重量%のN,N'−ジメチルホルムアミド溶液の
20℃における粘度が50〜2,300cpsであるシアノエチルヒ
ドロキシアルキルセルロースからなるものが極めて有効
であること、また、このシアノエチルヒドロキシアルキ
ルセルロースは、解重合反応により15重量%水溶液の20
℃における粘度を2,000cps以下としたヒドロキシアルキ
ルセルロースとアクリロニトリルとをアルカリ触媒の存
在下に反応させると、容易に得られることを見出し本発
明を完成した。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電場発光素子用バインダーの製造に際し、出発原料とし
て使用されるヒドロキシアルキルセルロースは、セルロ
ースを骨格とした側鎖にヒドロキシアルキル基を有する
高分子であり、好ましくはヒドロキシエチルセルロース
またはヒドロキシプロピルセルロースが採用される。
【0010】このヒドロキシアルキルセルロースはパル
プを原料としてアルカリ触媒下アルキレンオキサイド、
例えばエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを反
応させて得られるものであるが、この内でも本発明に
は、そのヒドロキシアルキル基置換度がグルコース単位
当り 1.0〜 3.0のものが好ましい。
【0011】従来市販されているヒドロキシアルキルセ
ルロースの粘度は、製造工程中のアルカリ処理時の老成
により任意に調整されているが、最も低重合度のグレー
ドでも15重量%水溶液の20℃における粘度で2,000cpsを
超えるものである。本発明ではヒドロキシアルキルセル
ロースを解重合し、その15重量%水溶液の20℃における
粘度を50〜2,000cps以下としたものが使用される。この
解重合反応にはセルロース、セルロース誘導体、デンプ
ン、デンプン誘導体等を解重合し粘度低下させるため
の、従来からよく知られている次の方法が適用できる。
【0012】1)粉末状のヒドロキシアルキルセルロー
スにハロゲン化水素ガスを接触させて加水分解し、低重
合度ヒドロキシアルキルセルロースとする方法:ここで
用いられるハロゲン化水素には塩化水素、臭化水素等が
挙げられるが、反応性、反応器の材質上の問題、揮発
性、ハロゲン化水素自身の分解に対する安定性、価格等
の点から、これらの内では塩化水素が最も好ましい。こ
の方法をより具体的に説明すると、まずヒドロキシアル
キルセルロースの粉末を所定量反応器に仕込み、これに
ハロゲン化水素をガス状で作用させ、解重合終了後に、
これを常圧あるいは減圧乾燥等の手段により揮散除去さ
せることにより行なわれる。
【0013】この際のハロゲン化水素の量は、所望する
ヒドロキシアルキルセルロースの重合度によって異なる
が、通常は原料ヒドロキシアルキルセルロースの 0.1〜
10重量%である。これより多すぎるとヒドロキシアルキ
ルセルロースの着色が激しく褐色のゴム状物あるいはあ
め状物が副生する。また少なすぎると反応速度が著しく
遅くなり不利となる。なお、ハロゲン化水素を使用する
ときは、ガス状として直接原料ヒドロキシアルキルセル
ロースと接触させてもよいし、予めメタノール、エタノ
ール等の低級脂肪族アルコールおよび水に吸収させてか
ら供給するようにしてもよい。解重合時の温度は、高過
ぎると着色しあめ状物になるため80℃以下が好ましく、
逆に低過ぎると反応速度が低下するので一般に30℃以上
が好ましい。
【0014】2)ヒドロキシアルキルセルロースを水に
溶解し、これを分解する酵素によって低重合度のヒドロ
キシアルキルセルロースとする方法:ヒドロキシアルキ
ルセルロースを分解する酵素としてはセルラーゼ等が挙
げられる。この場合にはヒドロキシアルキルセルロース
を所望の濃度で水に溶解し、求める最終ヒドロキシアル
キルセルロースの重合度に合せて酵素をヒドロキシアル
キルセルロースに対して50〜5,000ppm加え、pH4〜10
の間で解重合させればよい。このときのpHは酵素が作
用する中性付近が最もよく、好ましくはpH5〜8の範
囲である。
【0015】このときの反応温度は20〜60℃が最も適し
ており、20℃未満では反応速度が遅くなり長時間を要
し、逆に60℃を超えると酵素が失活して重合度を低下で
きなくなる。解重合終了後は温度を70℃以上に保つか、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質
を加え、pHを12以上にして酵素を失活させると、所望
の粘度を有するヒドロキシアルキルセルロースが得られ
る。
【0016】このようにして解重合したヒドロキシアル
キルセルロースを原料として、これに水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
のアルカリ触媒の存在下に、アクリロニトリルを反応さ
せると、本発明で目的とする極低重合度のヒドロキシア
ルキルセルロースが得られる。このときのアクリロニト
リルの使用量は、得ようとするシアノエチルヒドロキシ
アルキルセルロースのシアノエチル基置換度によっても
異なるし、またアクリロニトリルを溶媒を兼ねて使用す
る場合もあるので一概にはいえないが、ヒドロキシアル
キルセルロースの無水グルコース単位当り3モル以上、
とくには5モル以上が好ましい。
【0017】シアノエチル化反応の具体例としては、
1)上記の解重合した原料ヒドロキシアルキルセルロー
スに水酸化ナトリウム水溶液を、水酸化ナトリウム量が
ヒドロキシアルキルセルロースに対し 1.0倍量以下にな
るように加えて溶解し、これにアクリロニトリル、次に
水とアクリロニトリルとの両方に可溶の、例えばアセト
ン、ジオキサン等の溶媒をアクリロニトリル量の 0.5〜
1.0倍量加えて室温付近で反応させる方法、あるいは
2)解重合した原料ヒドロキシアルキルセルロースをヘ
キサン、ベンゼン等の溶媒とアクリロニトリルとの混合
物中に分散させ、ついでこれに水酸化ナトリウム水溶液
を反応系中の水量がヒドロキシアルキルセルロースに対
し 0.5倍量以下、水酸化ナトリウム量がヒドロキシアル
キルセルロースに対し 0.1倍量以下となるように加え
て、温度20〜60℃で反応させる方法がある。
【0018】反応終了後はアルカリ触媒を酢酸等の適当
な酸で中和し、反応液を大量の水に注ぐと、極低重合度
のシアノエチルヒドロキシアルキルセルロースが析出補
集される。これを水で繰返し洗浄する方法、またはアセ
トン等の水溶性有機溶剤に溶解した後、水で析出するこ
とを数回繰り返し洗浄する方法にて精製し、脱水乾燥し
て製品とする。上記のようにして得られた、20重量%の
N,N'−ジメチルホルムアミド溶液の20℃における粘度が
50〜2,300cpsであるシアノエチルヒドロキシアルキルセ
ルロースを発光層または絶縁反射層のバインダーとして
用いると、適度な可塑性と接着性を有するため、その積
層面と透明導電膜との熱圧着が比較的低温で可能であ
り、かつ接着不良が従来より改善される。また比誘電率
が温度変化に対して比較的安定していることから、環境
温度による輝度の変動が小さい。このシアノエチルヒド
ロキシアルキルセルロースにおいて、上記の粘度が2,30
0cpsを超えると軟化温度が十分低下できないため積層面
と透明導電膜との熱圧着の際に高温を必要とし剥離を生
ずる場合がある。また50cps 未満では比誘電率の温度依
存性が大きくなり、環境温度による輝度の変動が大きく
なってしまう。
【0019】電場発光素子は通常エレクトロルミネッセ
ンス用蛍光体を含む発光層とチタン酸バリウム等の強誘
電体を含む絶縁層の積層体を、蛍光層側が透明な電極と
背面電極の間にはさみ込むことにより得られる。この場
合まず一方の電極板、すなわちアルミニウム板等へ、高
分子誘電体を溶解した有機溶媒中に蛍光体粉末と強誘電
体粉末とを分散した塗布液を数回薄膜状に順次積層し、
さらにポリエステルフィルム上に透明導電膜として酸化
インジウムを被覆した導電膜を加熱圧着等により接着さ
せることにより製造される。
【0020】
【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例および比
較例により、さらに詳細に説明する。 実施例1 15%水溶液の20℃における粘度が 70,000cpsで、ヒドロ
キシエチル基置換度が1.5である粉末状のヒドロキシエ
チルセルロース 150gを自己回転式のガラス製反応器に
仕込み、塩化水素を12重量%含む無水メタノール17gを
撹拌しながら注入し、70℃で3時間解重合させた後、減
圧(50mmHg)下に塩化水素とメタノールを揮散させたと
ころ、15%水溶液の20℃における粘度が1,850cpsのヒド
ロキシエチルセルロースが得られた。
【0021】撹拌機付反応器に、上記解重合処理を行な
ったヒドロキシアルキルセルロース100gと7%水酸化
ナトリウム水溶液 860gとを加えて溶解した後、アクリ
ロニトリル 1,500g、アセトン 200gを加え、30℃で6
時間反応を行った。次いで反応液に20%酢酸水溶液 540
gを加えて中和した。反応液を大量の水に撹拌下投入し
てシアノエチルヒドロキシエチルセルロースを析出さ
せ、純水で繰返し洗浄後、脱水、減圧乾燥して淡黄色の
シアノエチルヒドロキシエチルセルロース 140gを得
た。これについて下記の方法により窒素含量、粘度、軟
化温度、比誘電率、誘電正接を測定し、その結果を表1
に示した。これより軟化温度が低く比誘電率の向上して
いることが認められた。
【0022】・窒素含量:ケルダール法 ・粘 度:ジメチルホルムアミドを溶媒とした20重量
%溶液を調製し、20℃において、B型粘度計により測
定。 ・軟化温度:膜厚 100μmのフィルムを調製して試験片
とし、下記の測定条件で測定し、線膨張係数の転移点を
軟化温度とした。 TMA-10型(セイコー電子社製)、プローブ:引張り、 荷 重:5g、昇温速度:10℃/分。 ・比誘電率:膜厚 100μmのフィルムの両面に30mmφの
大きさの円形にアルミニウムを蒸着し、LCR メーター42
62A型(横河ヒューレットパッカード社製)を用い、1
V、1 kHz、20℃交流の条件で静電容量を測定する方法
により求めた。 ・誘電正接:比誘電率の測定方法と同一条件で測定し
た。
【0023】実施例2 15%水溶液の20℃における粘度が 70,000cpsで、ヒドロ
キシエチル基置換度が1.5である粉末状のヒドロキシエ
チルセルロース 100gを、水 559.5gに溶解した後、セ
ルラーゼ(アマノ製薬社製、アマノA3)0.10gを含む水
溶液10gを加えて20℃で2時間撹拌し解重合させたとこ
ろ、セルラーゼ水溶液添加時 70,000cpsであった粘度が
1,500cpsまで低下した。
【0024】上記解重合処理を行ったヒドロキシエチル
セルロース水溶液に、20.7%水酸化ナトリウム水溶液 2
90.5gを加えて酵素を失活させ、解重合反応を停止させ
た。次に、アクリロニトリル 1,500gとアセトン 200g
とを加え、30℃で6時間反応させた後、反応液に20%酢
酸水溶液 540gを加えて中和した。ついで実施例1と同
様に析出、精製を行ない、脱水、減圧乾燥したところ、
145gの淡黄色のシアノエチルヒドロキシエチルセルロ
ースを得た。これについて実施例1と同様の測定を行
い、その結果を表1に併記した。これより軟化温度が低
く比誘電率の向上しているのが認められた。
【0025】実施例3 15%水溶液の20℃における粘度が5,000cpsで、ヒドロキ
シプロピル基置換度が1.2である粉末状のヒドロキシプ
ロピルセルロース 100gを、水 559.5gに溶解した後、
セルラーゼ(前出)0.05gを含む水溶液10gを加え、20
℃で2時間撹拌して解重合させたところ、セルラーゼ水
溶液添加時5,000cpsであった粘度が1,700cpsまで低下し
た。ついで、実施例2と同様に20.7%水酸化ナトリウム
水溶液 290.5gを加えて解重合反応を停止させ、アクリ
ロニトリル 1,500gとアセトン 200gとを加えて反応さ
せ、中和、精製、乾燥したところ、 145gの淡黄色のシ
アノエチルヒドロキシプロピルセルロースを得た。これ
について実施例1と同様の測定を行い、その結果を表1
に併記した。これより軟化温度が低く比誘電率が向上し
ているのが認められた。
【0026】比較例1 実施例1および2で使用した15%水溶液の20℃における
粘度が 70,000cpsでヒドロキシエチル基置換度が 1.5で
ある粉末状のヒドロキシエチルセルロース 100gに、7
%水酸化ナトリウム水溶液 860gを加えて溶解した後、
アクリロニトリル 1,500gとアセトン 200gとを加えて
30℃で6時間反応させた。次いで反応液に20%酢酸水溶
液 540gを加えて中和し、実施例1と同様に析出、精
製、減圧乾燥したところ、淡黄色のシアノエチルヒドロ
キシエチルセルロース 141gを得た。これについて実施
例1と同様の測定を行い、その結果を表1に示した。こ
れより解重合処理の場合より軟化温度が高く比誘電率の
低いことが認められた。
【0027】比較例2 実施例3で使用した15%水溶液の20℃における粘度が5,
000cpsで、ヒドロキシプロピル基置換度が 1.2である粉
末状のヒドロキシプロピルセルロース 100gを、7%水
酸化ナトリウム水溶液 860gを加えて溶解した後、アク
リロニトリル1,500 gとアセトン 200gとを加えて30℃
で6時間反応した。次いで、反応液に20%酢酸水溶液 5
40gを加えて中和した後、実施例1同様に析出、精製、
減圧乾燥したところ、淡黄色のシアノエチルヒドロキシ
プロピルセルロース 142gを得た。これについて実施例
1と同様の測定を行い、その結果を表1に示した。これ
より本例では解重合処理をした場合より軟化温度が高く
誘電率の低いことがわかった。
【0028】
【表1】
【0029】実施例4 実施例2で得たシアノエチルヒドロキシエチルセルロー
ス1重量部に対し、N,N'−ジメチルホルムアミド2重量
部を加えて室温下、撹拌、溶解した。この誘電体溶液に
電場発光性の平均粒径28μmのEL用硫化亜鉛蛍光体
(タイプ723L、米国シルバニア社製、ZnS:Cu)3.2 重量
部を配合してよく混練し、発光層用の蛍光体ペーストを
調製した。また、同じ組成の誘電体溶液3重量部に、平
均粒径 1.5μmのチタン酸バリウム( BT-100P、富士チ
タン社製) 4.6重量部を配合してよく混練し、絶縁反射
層用のペーストを調製した。
【0030】まず、80μm厚のアルミシート基板上にス
クリーン印刷法によって上記絶縁反射層用ペーストを印
刷し、その乾燥後、その層上に、同じくスクリーン印刷
法によって蛍光体ペーストを塗布し、乾燥することで発
光層を形成した。乾燥後における層の厚さは、絶縁反射
層が約24μm、発光層が約65μmであった。ついで透明
導電性フィルム(エレクリスタ300C、日東電工社製)の
導電面側に給電線として銀ペーストを印刷乾燥し、りん
青銅よりなるリード電極を取り付けた後、透明導電性フ
ィルムの給電線印刷面と発光層を重ね合わせて加熱圧着
( 140℃・5kg/cm2)した。背面電極となるアルミシー
トにリード電極を取り付けた後、一体化した積層素子全
体にポリクロロトリフルオロエチレンよりなる防湿シー
ト(ELシーラーNo.4810N、同前)を、熱圧着( 120℃・
5kg/cm2)により封止し、分散型電場発光素子を得た。
この素子は表2に示すように、透明導電性フィルムの圧
着性が良好で、環境温度変化に対し輝度変化が小さく、
均一な高輝度発光を与えるものであった。
【0031】比較例3 比較例1で得たシアノエチルヒドロキシエチルセルロー
ス1重量部について、実施例4と同様の方法で蛍光体お
よび絶縁反射層用ペーストを調製しようとしたが、高粘
性のためそれぞれの無機粉体を均一に分散させることが
できなかった。そこで、N,N'−ジメチルホルムアミド3
重量部を各々のペーストに追加して、さらに混練し、ペ
ーストを調製した。それ以後、実施例4と同様にして分
散型電場発光素子を得た。本バインダーを使用した場
合、ペースト中のバインダーおよび無機粉体の含量が低
下したため、所望の膜厚に調製するまで実施例4での印
刷回数の約2倍を要した。また、透明導電膜の圧着の際
に一部が剥離した。
【0032】比較例4〜5 実施例4におけるバインダーを、それぞれシアノエチル
プルラン(CR-S:信越化学工業社製)およびシアノエチ
ルポリビニルアルコール(CR-V:同前)としたほかは、
同様にして分散型電場発光素子を得た。以上の各試料に
ついて、 100V・1kHz で点灯時の発光輝度および下記
の方法による透明電極膜への接着性を測定し、その結果
を表2に示した。
【0033】・透明電極膜への接着性:実施例4および
比較例3〜5において、アルミシート基板上に形成され
た積層面と透明導電性フィルム(前出)の導電面側と
を、 140℃、5kg/cm2で1分間熱圧着した後の接着状態
を目視観察した。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の電場発光素子用バインダ−は、 1)有機溶剤へ溶解した際の粘度発現が小さいため、蛍
光体粉末を分散した塗布液が均一であり、また蛍光体お
よびバインダ−濃度を高くできるため積層回数が減少で
き作業性が向上する。 2)軟化温度が低いため比較的低温で加熱圧着ができ、
着色、接着不良等が従来より改善され、均一な発光が得
られる。 3)得られる製品の発光輝度が高く温度による変動が小
さい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 和政 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地 の1 信越化学工業株式会社 合成技術 研究所内 (56)参考文献 実開 平4−66797(JP,U) 特公 昭59−31521(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】20重量%のN,N'−ジメチルホルムアミド溶
    液の20℃における粘度が50〜2,000cpsである、シアノエ
    チルヒドロキシアルキルセルロースからなる電場発光素
    子用バインダー。
  2. 【請求項2】解重合反応により15重量%水溶液の20℃に
    おける粘度を50〜2,000cpsとしたヒドロキシアルキルセ
    ルロースとアクリロニトリルとをアルカリ触媒の存在下
    に反応させて請求項1記載のシアノエチルヒドロキシア
    ルキルセルロースとすることを特徴とする電場発光素子
    用バインダーの製造方法。
  3. 【請求項3】ヒドロキシアルキルセルロースが、ヒドロ
    キシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロ
    ースである請求項2記載の電場発光素子用バインダー
    製造方法。
JP3025502A 1991-01-25 1991-01-25 電場発光素子用バインダ―とその製法 Expired - Lifetime JP2522861B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3025502A JP2522861B2 (ja) 1991-01-25 1991-01-25 電場発光素子用バインダ―とその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3025502A JP2522861B2 (ja) 1991-01-25 1991-01-25 電場発光素子用バインダ―とその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04357695A JPH04357695A (ja) 1992-12-10
JP2522861B2 true JP2522861B2 (ja) 1996-08-07

Family

ID=12167845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3025502A Expired - Lifetime JP2522861B2 (ja) 1991-01-25 1991-01-25 電場発光素子用バインダ―とその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2522861B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE519785T1 (de) * 2006-06-14 2011-08-15 Dow Global Technologies Llc Verfahren zur verringerung des mittleren molekulargewichts von celluloseethern
US8916283B2 (en) 2011-04-05 2014-12-23 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Binder for separator of non-aqueous electrolyte battery comprising 2-cyanoethyl group-containing polymer and separator and battery using the same
US8771880B2 (en) 2011-04-05 2014-07-08 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Binder for separator of non-aqueous electrolyte battery comprising 2-cyanoethyl group-containing polymer and separator and battery using the same
US8729185B2 (en) 2011-04-05 2014-05-20 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Method for producing 2-cyanoethyl group-containing organic compound

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04357695A (ja) 1992-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1316686C (en) Electroluminescent composition and electroluminescent device therewith
JP2522861B2 (ja) 電場発光素子用バインダ―とその製法
JP2512352B2 (ja) 高シアノエチル化プルランの製造方法
JP3016939B2 (ja) 低粘度シアノエチルプルラン及びその製造方法
JPH06145656A (ja) 改良されたエレクトロルミネッセンスデバイス
JP2656177B2 (ja) 分散型elランプ
JPS6323903A (ja) 有機バインダ−
JP3300742B2 (ja) シアノエチル化物を主成分とする有機分散型発光素子の高誘電バインダー用組成物
JPH0810631B2 (ja) 誘電体組成物および分散型電界発光素子
EP0076698A2 (en) Highly dielectric polysaccharides
JPH086088B2 (ja) 分散型電界発光素子
JPS62259389A (ja) シアノエチル化物及びそれを用いた素子
JP2512334B2 (ja) 分散型elランプ
JPS5996104A (ja) 極低重合度シアノエチルプルランの製造方法
US3306770A (en) Electroluminescent panel
JPH05283167A (ja) 高輝度分散型elランプ
JPH0464323B2 (ja)
JPH04335088A (ja) 分散型電場発光素子
JPS62264593A (ja) 電場発光素子
JPH05326152A (ja) 分散型el素子
JPH07103084B2 (ja) 結晶シアノエチルイノシトール、その製造法及び用途
JPS6141115B2 (ja)
JPH0776685A (ja) 分散型エレクトロルミネッセンス素子用バインダー組成物
JPH03215465A (ja) シアノエチル化ポリオールの精製方法
JPH0384024A (ja) 誘電体組成物と、これから得られる分散型el発光素子

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080531

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110531

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110531

Year of fee payment: 15