JP2522681Y2 - 燃料インレツトパイプのリキツドシール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、給油時に燃料を燃料タンクへと案内する燃
料インレツトパイプのリキツドシール構造に関する。

〔従来技術〕

第６図に示される如く、一般に、燃料タンク40の内方
と連通するインレツトパイプ42は、例えば車両リヤフエ
ンダ部に設けられた給油部44まで延設され、その先端開
口が燃料の供給口46となっている。この供給口46から燃
料を供給することにより、燃料はインレツトパイプ42に
案内され、燃料タンク40へと至る。ここで、インレツト
パイプ42の燃料タンク40との連結部近傍には絞り部48が
設けられ、開口面積が小さくなっている。これにより、
燃料の供給時に前記絞り部で開口が燃料によって閉止さ
れ（リキツドシール）燃料タンク40内のベーパがインレ
ツトパイプ42を伝って外部へ排出されるのを防止してい
る（一例として実開昭62−194936号公報参照）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、燃料の供給速度が遅い場合、すなわ
ち、燃料の単位時間当たりの流量が少ない場合は、この
燃料により前記絞り部48の開口を完全に閉止することが
できず、リキツドシール効果が低減することがある。ま
た、燃料の供給速度が速い場合、すなわち、単位時間当
たりの流量が多い場合は、絞り部48によって燃料タンク
40へ流れ込み燃料量が制限されるため、供給性が悪くな
る。このため、給油ノズルにオートストップ機構が設け
られていると、早期にこのオートストップ機構が作動さ
れることもある。

本考案は上記事実を考慮し、燃料の単位時間当たりの
流量に拘らず、燃料の供給性を維持しつつ、かつリキツ
ドシール効果を維持することができる燃料インレツトパ
イプのリキツドシール構造を得ることが目的である。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る燃料インレツトパイプのリキツドシール
構造は、燃料を供給する供給口が設けられこの供給口と
燃料タンクとを連通する燃料インレットパイプに用いら
れ、供給される燃料によって燃料タンク内と外部とを閉
止する燃料インレットパイプのリキツドシール構造であ
って、前記インレットパイプに取付けられ前記供給され
る燃料が少量であったときにこの燃料がつたって流れる
インレットパイプの下側内面から離間する方向に沿って
複数の孔が形成された弁シートと、前記弁シートの各孔
に設けられ供給される燃料に応じて各孔を開放可能とす
る弁体と、を有している。

〔作用〕

本考案によれば、燃料の単位時間の流量が少ない（少
量）場合、燃料は、インレツトパイプの内面の一部であ
る下側内面のみを通って燃料タンク方向へ案内される。
このとき弁シートの一部が燃料の当たり面となる。この
燃料の当たり面にある孔を閉止している弁体は、燃料に
押圧されて開放されるので、燃料は弁体を押圧すること
によって開放した孔から燃料タンクへ流動する。このと
き開放された孔は、燃料によってリキツドシールされる
ので、弁体が開放した弁シートの孔から燃料タンク内の
ベーパは外部に漏れない。また、燃料の当たり面以外の
弁シートの孔は、弁体によって閉止状態が維持されるの
で、この孔からも燃料タンク内のベーパが外部へ漏れる
ことはない。

一方、燃料の単位時間当たりの流量が多い場合は、燃
料は、インレツトパイプの内方の全域を通って燃料タン
ク方向へ流れる。このときには、弁シートの全域が燃料
の当たり面となるので全ての弁体が孔を開放し、燃料
は、弁シートの全ての孔を通過して燃料タンク内へと流
動する。このときも、弁シートの開放された孔は、燃料
によってリキツドシールされるので、燃料タンク内のベ
ーパが外部へ漏れることがない。

燃料が少量であったときには、この燃料はインレツト
パイプの内面の一部である下側内面をつたって流れる。
このため、燃料の弁シートへの当たり面は、このインレ
ツトパイプの下側内面側となる。また、燃料の単位時間
当たりの流量が多くなるにつれて燃料の弁シートへの当
たり面は、このインレツトパイプの下側内面から離間す
る方向に広がる。弁シートには、このインレツトパイプ
の下側内面の離間する方向に沿って複数の孔が形成され
ている。

したがって、燃料の単位時間当たりの流量が少ないと
きには、この燃料の当たり面となるインレツトパイプの
下側内面の孔のみが開放される。また、燃料の単位時間
当たりの流量が多くなりにつれて、燃料の弁シートへの
当たり面がインレツトパイプの下側内面から離間する方
向に広がり、これに応じて燃料の当たり面となる孔が増
える。

このように、本考案では、燃料の単位時間当たりの流
量によってインレツトパイプ内の開口面積を変化させる
ことができるので、単位時間当たりの流量が少ない場合
でもリキツドシール効果を維持することができ、単位時
間当たりの流量が多い場合でも、燃料を滞留させること
なく速やかに燃料タンクへと案内することができる。

〔実施例〕

第１図には、本実施例に係る燃料タンク10が示されて
いる。燃料タンク10には、フユーエルインレツトパイプ
（以下単にインレツトパイプという）12が結合され、そ
の内方開口端が燃料タンク10内と連通されている。イン
レツトパイプは、図示しない車両のリヤフエンダ部まで
延設されており、その先端開口端が燃料の供給口14とさ
れている。燃料はこの供給口14から供給され、インレツ
トパイプ12に案内され、燃料タンク10へと至るようにな
っている。

第２図に示される如く、インレツトパイプ12の燃料タ
ンク10側開口端には、合成樹脂製で円筒状のキヤツプ16
が挿入されている。第２図に示される如く、キヤツプ16
の開口近傍の内周面には周溝18が形成され、これに対応
してインレツトパイプ12の外周は凸部20が形成されてい
る。これにより、キヤツプ16が挿入されると、キヤツプ
16の弾性変形により周溝18と凸部20とが嵌合され、キヤ
ツプ16はインレツトパイプ12の開口端に固定される。

キヤツプ16の底面は、けさがけ状にカツトされてお
り、水平面に対して斜方向に配設されたインレツトパイ
プ12に挿嵌されることにより、底面が略垂直状態となっ
ている。キヤツプ16は、その底面に複数の矩形孔22が設
けられている。また、第３図に示される如く、この底面
に対応して前記キヤツプ16と共に弁シート24が配置され
ている。弁シート24はゴムで形成され、前記矩形孔22に
対応して、車両上方側を残して略Ｃ字状の切込部26が設
けられている。この切込部26の内側部分が弁体28として
の作用をする構成である。すなわち、弁体28は前記車両
上方側辺を中心に回動可能とされている。なお、弁体28
の外形寸法は矩形孔22の内径寸法よりも若干大きく形成
されている。

ここで、弁体28が前記キヤツプ16の矩形孔22の周縁と
当接している状態では、インレツトパイプ12の開口が閉
止され、矩形孔22の周縁から離間されている状態では、
インレツトパイプ12の開口が開放されることになる。ま
た、インレツトパイプ12の開口の開放は、弁体28が燃料
タンク10方向の回動時のみによってなされ、逆止弁とし
ての役目を有する。

第４図に示される如く、弁シート24の燃料タンク10側
端面には、受け板30が配置されている。受け板30にも前
記矩形孔22に対応して矩形孔32が形成されている。な
お、この矩形孔32は、その内径寸法が弁体28の外形寸法
よりも若干大きく、弁体28の回動を妨げない。

キヤツプ16の底面からは４本のピン34が立設され、弁
シート24及び受け板30には、これと同軸線となる位置に
円孔36、38が設けられている。ここで、このピン34が円
孔36、38に挿入されることにより、キヤツプ16、弁シー
ト24及び受け板30の位置が決められて固定されている。

ここで、燃料が供給口14から供給されると、燃料と弁
シート24との当たり面の大きさが燃料の単位時間当たり
の流量によって異なるが、本実施例ではこの当たり面内
にある弁体28のみが燃料によって押圧されて矩形孔22を
開放し、他の弁体28は矩形孔22の閉止状態を維持するよ
うになっている（第４図及び第５図参照）。

以下に本実施例の作用を説明する。

燃料が供給口14から供給される場合、単位時間当たり
の流量が少ない場合、第４図に示される如く、燃料はイ
ンレツトパイプ12の一部のみを通過して弁シート24まで
至る。従って、燃料と弁シート24との当たり面は、弁シ
ート24の一部とされる。この当たり面内にある。弁体28
は燃料の流動力により押圧され、矩形孔22が開放され
る。このため、燃料は、この開放された矩形孔22を通過
して燃料タンク10へと流動する。このとき、開放された
矩形孔22は燃料によってリキツドシールされ、前記当た
り面以外の弁体28は、キヤツプ16の底面が略垂直とされ
ているので、自重により矩形孔22の閉止状態を維持し、
この結果燃料タンク10内のバーパが外部へ漏れることを
防止することができる。

次に、燃料の単位時間当たりの流量が多い場合、第５
図に示される如く、燃料はインレツトパイプ12の内方空
間全域を通って弁シート24へと至る。このため、弁シー
ト24の全面に燃料が当接され、この燃料の流動力によ
り、全ての弁体28が押圧され、全ての矩形孔22が開口す
る。従って、開口面積が大きくなり、燃料は弁シート24
の手前で滞留されることなく、円滑に燃料タンク10へと
流動される。

このように、本実施例のインレツトパイプ12は、その
燃料タンク10側開口部に弁シート24を配設することによ
り、燃料の単位時間当たりの流量に応じてインレツトパ
イプ12の実質の開口面積を変更することができ、予めイ
ンレツトパイプ12の開口面積を絞る必要がなく、燃料の
供給性を維持しつつ、リキツドシール効果を向上させる
ことができる。

なお、本実施例では、弁体としてゴム製の弁シート24
を用い、弁体28を一体形成したが、キヤツプ16の底面に
形成された矩形孔22の上方辺に回転軸を設け、この回転
軸に弁体を回動可能に取付け、ねじりコイルばね等の付
勢手段で弁体を矩形孔22の閉止方向に付勢させるように
して弁体を構成してもよい。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案に係る燃料インレツトパイプ
のリキツドシール構造は、燃料の単位時間当たりの流量
に拘らず、燃料の供給性を維持しつつ、かつリキツドシ
ール効果を維持することができるという優れた効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例に係る燃料タンクの側面断面図、第２
図は本実施例に係るインレツトパイプの軸方向断面図、
第３図は弁体を構成する部材の分解視図、第４図は及び
第５図は弁体の給油時の作動状態を説明す斜視図、第６
図は従来のインレツトパイプの軸方向断面図である。 10……燃料タンク、12……インレツトパイプ、14……供
給口、16……キヤツプ、22……矩形孔、24……弁シー
ト、28……弁体、30……受け板、32……矩形孔。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料を供給する供給口が設けられこの供給
   口と燃料タンクとを連通する燃料インレットパイプに用
   いられ、供給される燃料によって燃料タンク内と外部と
   を閉止する燃料インレットパイプのリキツドシール構造
   であって、 前記インレットパイプに取付けられ前記供給される燃料
   が少量であったときにこの燃料がつたって流れるインレ
   ットパイプの下側内面から離間する方向に沿って複数の
   孔が形成された弁シートと、 前記弁シートの各孔に設けられ供給される燃料に応じて
   各孔を開放可能とする弁体と、 を有する燃料インレットパイプのリキツドシール構造。