JP2522295B2 - 電縫管の製造装置 - Google Patents

電縫管の製造装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、長手方向に移送されて管状に成形される金
属帯の、両端部を加熱する際にこの加熱部分をガスシー
ルするようにした電縫管の製造装置に関する。
〔従来技術〕
従来この種電縫管の製造装置として、例えば、特開昭
53−119264号に開示されたもの及び、特公昭56−151号
公報に開示されたものがある。
特開昭53−119264号に開示された装置は、鋼帯の加熱
溶着部全体を含むと共に該加熱溶着部を加熱する溶接電
極部と鋼帯の移送方向前側に配設されるスクイズロール
の全体をシールボックスで包んで、該シールボックス内
に不活性ガスを供給して前記鋼帯の加熱溶着部分をガス
シールしながら溶着するようにして、ペネトレータの発
生を防止するようにしたものである。
また、特公昭56−151公報に開示された装置は、鋼帯
の加熱溶着部分を含み、鋼帯のエッジを管状の鋼帯の管
外と管内から包囲するように一種のシールボックスで包
み、このシールボックス内に不活性ガスを供給して前記
鋼帯の加熱溶着部分をガスシールしながら溶着するよう
にして、ペネトレータの発生を防止するようにしたもの
である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが、上記二例の従来の電縫管の製造装置におい
ては、いずれのものもシールボックスを用いて該シール
ボックス内に包まれた鋼帯の加熱溶着部分に不活性ガス
を供給してガスシールして、ペネトレータの発生を防止
するようにしたものであるために、鋼帯を管状に形成す
るときの製管寸法が替わる都度にシールボックスを取付
け取外すことが必要であって、この作業に多大の工数を
要するといった問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、
構造が極めて簡単であって、金属帯の製管寸法が変って
も同じ装置でガスシール溶接を容易に実施でき、しかも
従来の装置と同等以上のシール性能を有し、特に、合金
鋼及びステンレス鋼のような高級電縫管の製造に有効で
ある電縫管の製造装置を提供することを主な目的として
いる。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に係る電縫管の製造装置は、長手方向に移送し
つつ管状に成形された金属帯の両端部を突合せ状態で溶
接電極部で加熱し、スクイズロールに通して側圧をかけ
て溶着すると共に、前記金属帯の加熱部分をガスシール
するようにした電縫管の製造装置において、一端部が金
属帯の移送方向に対し少なくとも前記溶接電極部よりも
上流側に位置し、他端部が少なくとも前記スクイズロー
ルの中心部位より下流側に位置する出口を有し、高さ方
向の長さが少なくとも前記出口における前記管状の金属
帯に対する周方向の幅より5倍以上長く成形したガスシ
ール用のノズルを、該ノズルの内部に前記溶接電極部を
含まないように、前記管状の鋼帯の加熱部の上側に位置
せしめると共に、ノズル出口と金属帯との距離Hの0.49
倍に相当する長さと、前記ノズル出口が対向する箇所に
おける金属帯の対向する端面間のギャップGの和が前記
ノズルの出口の幅Wより小さい値となる条件を満たすよ
うに前記ノズルを配置したことを特徴とする。
なおここに上流側、下流側とは金属帯の移送方向に対
応するものである。
〔作用〕
しかして、上記構成により、前記ノズルの出口より、
前記金属帯の加熱部分にシールガスを吹付けて、該加熱
部分をガスシールしながら、前記溶接電極部にて加熱し
て、前記金属帯の管状に成形された加熱部分の突合わせ
両端部を加熱溶着する。
そして、上記したような条件を満たすようにノズルを
管状の鋼帯の加熱部分を覆うように配置したから、ノズ
ル出口のシールガスの流れに安定したポテンシャルコア
域が形成され、このコア域中に金属帯の加熱部分のエッ
ジ部が置かれることとなるので、大気が遮断された状態
で前記加熱部分のガスシール溶接を行うことができる。
〔実施例〕
以下、本発明にかかる電縫管の製造装置を図面の実施
例について説明する。
第1図は本考案にかかる電縫管の製造装置の高周波誘
導法の場合における第1の実施例の要部を示す一部断面
した側面図、第2図はノズルと管状の鋼帯の正面図であ
る。
鋼帯は図示しない上流側の成形ロール群を通って管状
Aに成形され、図示の溶接電極部1に移送されて該溶接
電極部1でその端面a、aが加熱され、更に該溶接電極
部1の下流側に配置されたスクイズロール2に通して側
圧をかけて溶着される。
また、鋼帯の端面a.aはあらかじめ前記溶接電極部1
及びスクイズロール2による加熱・溶着前に該端面a.a
の酸化物が切削、研削ないし酸洗等によって除去された
状態とされる。
そして、上記構成において、一端部が金属帯の移送方
向に対し少なくとも前記溶接電極部の上流側(図にて右
側)に位置し他端部が少なくとも前記スクイズロール2
の中心部位より下流側(図にて左側)に位置する管長主
方向1を有し、高さ方向の長さが少なくとも前記出口31
における前記管状の鋼帯Aに対する周方向の幅すなわち
左右方向幅より5倍以上長く(第7図参照。L>5×
W)成形したガスシール用のノズル3が、その一端部が
前記誘導コイルよりなる溶接電極部1のコイル内に位置
し、該ノズル3の内部に前記溶接電極部1を含まないよ
うに、前記管状の鋼帯Aの加熱部分を覆うように配置さ
れる。
このノズル3の配置位置は後述の実験結果をもとに決
定され、第7図に示すように、該ノズル3の出口31の下
端縁と前記鋼帯との距離Hが前記ノズル3の出口31の所
定位置に対応する箇所における鋼帯Aの対向する端面
a、a間のギャップGと該距離Hの0.49倍の寸法を合わ
せた値が前記ノズル3の出口31の幅Wより小さい値とな
るように配置される。これを数式で表すとW>G+0.49
Hの関係となる。
また、ノズル3内には、N、Ar等の不活性ガスあるい
はH等の還元性ガス又は両者の混合ガスが供給され、そ
のノズル出口31でのガス流速が2〜10m/sとなるように
設定されている。
このようにすると、前記ノズル3の出口31におけるガ
ス流れには、安定した後述するポテンシャルコア域が形
成され、このポテンシャルコア域中に前記鋼帯Aの加熱
部分を配置する。
ポテコンシャルコア域とは、第6図に示すようにノズ
ル3のすぐ下に形成される先細りの領域であり、その流
体の速度および濃度がノズル中の流体の速度および濃度
と同じである領域をいう。そして、前記ポテンシャルコ
ア域の長さはノズル直径の約4〜5倍である。
ポテンシャルコア域を形成するには、第5図、第6図
に示すように、シールガスをノズル3の側面上部から供
給する場合には、ノズル3の高さ方向の長さLをノズル
幅Wに対して十分大きくとる。これによって、ノズル出
口31に安定したガス流れが得られてポテンシャルコア域
を形成することができる。実験の結果によるとL/Wがほ
ぼ5以上で安定したポテンシャルコア域を形成出来るこ
とが判明した。尚ノズル出口31に安定したガス流れを形
成させるためには、ノズル3内に誘導コイルのようなガ
ス流れの障害となるような物を入れてはいけないので、
上述のように、誘導コイルよりなる溶接電極部1のコイ
ル内にノズル3の一端部を位置するようにしてコイルが
ノズル3の外側に配設されるようにするのである。ま
た、第6図にてポテンシャルコア域を破線で示したが、
この図における破線で示すガス流れは管状鋼帯Aが出口
31下方にない場合であって、管状鋼帯Aが出口31下方に
ある場合のガス流れは異なったものとなり、第2図に示
すように、s、tの流れ即ち、管状鋼帯Aの両端面a、
a間の間隔に流れ込む流れtと管状鋼帯Aの外周面に沿
った流れsとになるのである。そしてこのシールガスの
流れで周囲の大気を遮断して管状鋼帯Aの両端面a、a
を無酸化零囲気に保つことができて、前記溶接電極部1
及びスクイズロール2による管状鋼帯Aの加熱溶着部分
の加熱溶着が良好に行ない得るのである。
また、加熱部分をシールガスで覆うためのノズル3の
形状を詳述すると、ノズル横断面におけるノズル幅W
は、鋼帯Aの端面a、a間のギャップGより当然大きく
なければいけない。そこで、適正なノズル幅Wの寸法を
決定するために、第7図に示すような配置で、ガスシー
ルの安定性を調査した。ガスシール性の評価は鋼帯Aの
端面a、aの下端部でのO2濃度を測定し、このO2濃度が
供給シールガス(市販のN2ガス,O2濃度10〜15PPmのも
の)の濃度と同一であれば、ガスシールは完全であると
判定した。尚、第7図中、Hはノズル3の出口31端面と
管状鋼帯Aの両端面a、aの上端縁間の距離、つまりノ
ズル高さを示している。この実験結果を示すのが第8
図、第9図であって、この第8図、第9図より、完全な
ガスシールを実現するための条件は、実験から求めた条
件式、W>G+0.49Hを満たすことである。
この式は次の如くにして求めた。即ち第6図に示す如
きポテンシャルコアが第7図に示す如きギャップG間に
形成され、ポテンシャルコアの両端面(境界)が端面a,
aに接する状態、換言すればギャップを完全なガスシー
ル状態としたとき、前記W,G,Hとポテンシャルコアの先
端の開き角θとの間には下式が成立する。
W=G+Htanθ コスト面,シール機能面からW,G,H夫々に適値を与え
ることで開き角θとして26゜(tanθ=0.49)が求ま
り、ガスシールの安定性を維持する観点から前記条件式
が導かれる。尚、第8図、第9図において、tは管状鋼
帯Aの肉厚を示し、第8図はこの肉厚tが5mmである場
合の実験結果を示し、第9図はこの肉厚tが15mmの場合
の実験結果を示している。また、測定箇所の酸素量が15
PPm以下の場合は白丸、15PPmから30PPm内である場合は
半白半黒丸、30PPm以上の場合は黒丸で示している。横
軸に示すオープンギャップG/Wとは管状鋼帯Aの端面
a、a間のギャップをノズル幅Wで割った値である。
尚、鋼帯Aの両端面a、aのギャップGは溶接電極部1
からスクイズロール2へ向かうに従いしだいに小さくな
るように変化するので、ノズル幅WはギャップGに応じ
て同様に変化させてもよい。また、ノズル幅Wは大きい
程、ノズル設置時の位置のずれ等の不安定要因に対して
当然有利である。
また、ガスシールに必要なシールガス流速は管状鋼帯
Aの管寸法、ノズル寸法、溶接速度等に依存するもので
あってその理由を下記する。
例えば、シールガス流速が遅すぎると、管状鋼帯Aの
移送走行に伴って発生する風もしくは、管状鋼帯Aが前
記溶接電極部1によって加熱されることによって管状鋼
帯A内外の空気及び水蒸気が加熱されて上昇してノズル
3の出口31のシールガスの流れを乱すので、良好なシー
ル状態が保証されない。
一方、シールガス流速が速過ぎると、前記溶接電極部
1による加熱にて生じる管状鋼帯Aの加熱部分の溶鋼を
シールガスで吹き飛ばし、その飛散した溶鋼をスクイズ
ロール2で押え込んで管状鋼帯Aの表面に疵を発生させ
ることとなる。
そこで、実験の結果、シールガス流速はノズル3の出
口31での流速に換算し、上記のように2〜10m/sであれ
ば良好なガスシール状態を保持し、かつ、溶鋼の飛散も
ないことが確認できたのである。
また、如何にガスシールが完全であっても、溶接前の
鋼帯Aの端面a、aに酸化物が生成していると、この酸
化物が溶接後も残留して溶接欠陥となる場合が多い。そ
こで、その対策として上記のように、鋼帯Aの端面a、
aを切削ないし研削によって酸化物を除去するか、酸洗
によって酸化物を除去する必要がある。第10図、第11図
は酸化物の影響の実験結果を示すものであって第10図は
酸化物を除去していない場合第11図は酸化物を除去した
場合であり、この実験は素材STBA23、管径34mm、肉厚3.
5mmの管で実施したものである。その評価法は、管の密
着偏平試験を行い管長1m当りのペネトレータ個数で評価
したものである。第10図第11図は縦軸に溶接電圧Vをと
り、横軸にシールガス流量Qsをとったものであって、ペ
ネトレータがOの場合は白丸、3個以内の場合は半白半
黒丸、4個以上の場合は黒丸で示している。尚、偏平試
験は溶接部を圧縮方向に直角に配置して実施したもので
ある。その結果、管状鋼帯Aの端面a、aを研削した効
果は顕著であり、ガスシール溶接の実施に当り、前記端
面a、aの酸化物除去は不可欠なものであるということ
が判明したのである。
次に、本発明にかかる装置により、ガスシール溶接を
実際に実施した例について説明する。
まず、供試材と溶接条件は第1表に示したようにな
し、シールガスは市販のN2ガス(N2:99.99%)を用い、
ノズル3の出口31のガス流速は5m/sとした。また、ペネ
トレータの評価法は上記した密着偏平試験によった。
そして、上記条件のもとでガスシール溶接を実施した
結果は、次に示す表のようになった。
尚、同表には、従来法のボックスシールタイプの装置
によるガスシール溶接についても比較として例示してあ
る。第2表に示すように、本発明の装置によるガスシー
ル溶接は、従来のシールボックスタイプのものと同等以
上のシール性能を有することが、実際の製造結果で証明
されたのである。
また、第3図、第4図に示すものは、高周波抵抗の場
合における本発明の他の実施例であって、この実施例に
あっては、ノズル3の出口31の一端部がコンタクトチッ
プ5とスクイズロール6の間に挿入され、該スクイズト
ップロール6の下側にスクイズサイドロール7が配設さ
れている。尚、他の条件と作用は前記第1の実施例の場
合と同様なので省略する。
〔発明の効果〕
本発明は、以上のような構成を有し、作用をなすもの
であるから、極めて簡単な構造で、金属帯の製管寸法が
変わっても同じ装置でガスシール溶接を容易に実施で
き、しかも、従来の電縫管の製造装置におけるガスシー
ル溶接と同等以上のシール性能が発揮されるのである。
また、本発明は、特に、合金鋼及びステンレス鋼のよ
うな高級電縫管の製造に有効なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる電縫管の製造装置の第1の実施
例の要部の一部断面した側面図、第2図はそのガスシー
ル状態を示す鋼帯の上流側から見た説明図、第3図は第
2の実施例の要部の一部断面した側面図、第4図はその
鋼帯の上流側から見た説明図、第5図はノズルの側面
図、第6図はその正面図、第7図は要部の説明図、第8
図、第9図はガスシール溶接におけるノズル高さと管状
鋼帯の端面間のギャップとの関係を示す実験結果のグラ
フ、第10図、第11図はペネトレータ発生に及ぼす鋼帯端
面の研削の影響を示すグラフである。 A……(管状)鋼帯、a……端面、1……溶接電極部 2……スクイズロール、3……ノズル、31……出口

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向に移送しつつ管状に成形された金
    属帯の両端部を突合せ状態で溶接電極部で加熱し、スク
    イズロールに通して側圧をかけて溶着すると共に、前記
    金属帯の加熱部分をガスシールするようにした電縫管の
    製造装置において、 一端部が金属帯の移送方向に対し少なくとも前記溶接電
    極部よりも上流側に位置し、他端部が少なくとも前記ス
    クイズロールの中心部位より下流側に位置する出口を有
    し、高さ方向の長さが少なくとも前記出口における前記
    管状の金属帯に対する周方向の幅より5倍以上長く成形
    したガスシール用のノズルを、該ノズルの内部に前記溶
    接電極部を含まないように、前記管状の鋼帯の加熱部の
    上側に位置せしめると共に、ノズル出口と金属帯との距
    離Hの0.49倍に相当する長さと、前記ノズル出口が対向
    する箇所における金属帯の対向する端面間のギャップG
    の和が前記ノズルの出口の幅Wより小さい値となる条件
    を満たすように前記ノズルを配置したことを特徴とする
    電縫管の製造装置。
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