JP2521078B2 - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

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JP2521078B2
JP2521078B2 JP62037582A JP3758287A JP2521078B2 JP 2521078 B2 JP2521078 B2 JP 2521078B2 JP 62037582 A JP62037582 A JP 62037582A JP 3758287 A JP3758287 A JP 3758287A JP 2521078 B2 JP2521078 B2 JP 2521078B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車の塗装に関し、特に下地塗膜となる着
色塗料とマイカベース塗料の組合せからなる高級な意匠
感のある複合色を効率的に仕上げる方法に関する。
従来技術 公表特許公報59−501954,特開昭60−76571には酸化鉄
コーテングマイカとその塗装方法について記載され、酸
化鉄を含むコーテングマイカはその発色するパール感
が、他の顔料との組合せにおいて酸化鉄を含まない他の
コーテングマイカ、あるいはメタリック顔料では得がた
い色相の塗膜が得られる。しかし、酸化鉄コーテングマ
イカは一般に耐水性が悪く、これらの塗料を2コート 1
ベークの塗装系で用いるとブリスターの発生原因になり
やすい。又酸化鉄コーテングマイカの含有量が多い程そ
の影響が大きい。酸化鉄コーテングマイカが耐水性の悪
い理由は、マイカの表面で露出している部分にOH基を持
っており水が吸着されやすく、その上にクリヤー層等を
塗装すると浸透した水にフタをした状態となりブリスタ
ー等が発生しやすくなると考えられる。
そこで種々の処理が行われ効果を上げているが前述の
公表特許公報59−501954では水酸化クロムによる耐水性
の向上策が開示されている。
しかるにクロムは公害の面から排除することが好まし
い。
発明の目的 本発明は着色塗料とマイカベース塗料の組合せによっ
て、高級な意匠感があり、耐水性に優れた色々な塗色を
得ることを目的としている。
発明の構成 本発明は着色塗膜の上に、酸化チタン、酸化鉄、二酸
化硅素の金属酸化物及びアルミニウム化合物の一種以上
で被覆され、更に炭素数(以下Cという)5〜24のアル
キル基を有する疎水性カルボン酸で処理した粒子径が約
4〜40μのコーテングマイカが顔料分中5〜95%、及び
塗料中の顔料分が10〜25%であるマイカベース塗料と、
クリヤー塗料をウエット オン ウエットで塗装した後
焼付けることを特徴とする塗装方法に関する。
本発明に用いる自動車等の代表的な塗装系であるプラ
イマー、中塗、上塗りを形成する塗料は従来公知のもの
で良く、概要は次ぎのとうりである。
本発明の塗装に適用される金属基体は鉄が一般的であ
る。この金属基体は下塗りされていなくても、また例え
ば耐食性の電着塗膜が形成されていてもよい。プライマ
ーとなる電着塗料はアニオン型樹脂系、カチオン型樹脂
系あるいは水溶性型、分散型等の従来のものがいずれも
使用できる。
電着塗料の塗装は、アニオン樹脂系塗料の場合には被
塗物を陽極として別に陰極を設けた通常の電着塗装によ
って行われ、またカチオン樹脂系塗料の場合には、アニ
オン樹脂系塗料を用いる場合と電極を反対にすることに
よって行われる。電着塗膜は、通常焼付後の膜厚が10〜
40μになるように形成される。なお被塗物は脱脂だけの
状態、または化成処理されていてもよい。中塗又は本発
明で着色下地の塗料に用いられるポリエステル樹脂は多
価アルコール及び必要に応じて油脂または脂肪酸を30%
程度まで加えて樹脂に柔軟性を付与することができる。
一方、多価アルコールと反応させる多塩基酸の例として
は、フタル酸、無水フタル酸等の1種以上を組合せて用
いることもできる。
またポリエステル樹脂の架橋剤であるアミノ樹脂は、
例えばn−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミ
ン樹脂等のメラミン樹脂や、ベンゾグアナミン樹脂など
が挙げられる。これらの架橋剤は通常メラミン、ベンゾ
グアナミン等のアミノ化合物に、ホルムアルデヒド、ポ
ラホルムアルデヒド等のアルデヒドを付加反応または付
加縮合反応させて得られたものに、C1〜4の1価アル
コールでエーテル化して得られる。
ポリエステル樹脂とアミノ樹脂との配合割合は、ポリ
エステル樹脂60〜80%、アミノ樹脂40〜20%が好適であ
る。中塗の場合は二酸化チタン及びカーボンブラック、
あるいは必要に応じてタルク、硫酸バリウム等の体質顔
料が通常の範囲において用いられる。本発明のマイカベ
ース塗料に配合する熱硬化性樹脂としては前記のポリエ
ステル樹脂及びアルキド樹脂、以下に述べるアクリル樹
脂を挙げることができる。熱硬化性樹脂がアクリル樹脂
の場合は、重量平均分子量が30000〜95000のものの使用
が好ましい。重量平均分子量が30000未満であると耐久
性等の塗膜性能が低下し、95000を超えるとフィルムの
平滑性が低下する傾向にあるので好ましくない。
本発明において使用するアクリル樹脂は例えば以下の
ようなモノマーから通常の方法により重合することがで
きる。
(1)C1〜4のヒドロキシ(メタ)アクリレート、
N−メチロールアクリルアミン等のヒドロキシル基を有
するエチレン性モノマー、(2)(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の
カルボキシル基を有するエチレン性モノマー、(3)C
1〜4の(メタ)アクリレート、アクリル酸n−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチ
ル、アクリル酸n−ドデシル等の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル等の前記モノマー、(1)及び(2)と
共重合可能なエチレン性モノマー、並びに(メタ)アク
リロニトリル、スチレン等が用いられる。
本発明で用いるアクリル樹脂の架橋剤成分としては、
アミノ樹脂、特にメラミン樹脂やブロックイソシアネー
ト等を使用することができる。熱硬化性樹脂であるアク
リル樹脂またはポリエステル樹脂/メラミン樹脂の比率
は9/1〜6/4(重量比)であり、好ましくは8/2〜7/3であ
る。
メラミン樹脂の具体例としては、アルコキシ基がメト
キシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基
などであるアルコキシメチルメラミン樹脂を挙げること
ができる。
メラミン樹脂の前記配合比が9/1未満の場合には塗膜
の架橋密度が低いため、塗膜強度が弱く、逆に6/4を超
えると内部応力が高くなりクラック等の原因になるので
好ましくない。マイカベース塗料の着色顔料は、ペリレ
ン、アンスラキノン、透明酸化鉄、カーボンブラック、
アルミニウム箔の一種以上が好ましく使用されるが、こ
のほかクロム、ニッケル、銅、鉛およびこれらの合金、
あるいは硫化コバルト、硫化マンガン、硫化チタニウ
ム、更にこれらの粉末にメラミン樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂等の樹脂類をコーテングしたもの等の
各種着色顔料を適宜に配合することができる。
ここに、本発明で用いるコーテングマイカは、酸化チ
タン、酸化鉄、酸化チタン/酸化鉄、あるいは更にアル
ミニウム化合物や二酸化硅素等でマイカの表面をコーテ
ングしたものであり、酸化チタンコーテングの場合はマ
イカ/酸化チタンの比率が7/3〜8/2、酸化鉄コーテング
の場合マイカ/酸化鉄=7/3〜4/6、チタン/透明酸化鉄
コーテングの場合はマイカ/TiO2/Fe2O3=45〜60/2〜50/
35〜55であり、さらにアルミニウム化合物及び二酸化硅
素によると処理と0.02〜0.01μの有機処理を行ったコー
テングマイカで、その長径が4〜40μ、厚さ0.25〜1μ
のものである。コーテングマイカの粒径が4μより小さ
いと塗膜の光揮感が乏しく、40μより大きいと塗料の貯
蔵中、パイプラインの中等、保存と使用に際して沈澱、
詰まり等を起こし易い。
本発明が用いるコーテングマイカの有機処理は炭素数
が5〜24の脂肪酸で行うことが有効であり、特に炭素数
16〜18の脂肪酸が最適である。
これらの脂肪酸は不飽和結合を1〜3個有していても
良い。
炭素数の小さな脂肪酸は顔料に吸収された脂肪酸鎖の
立体障害効果が不足となり、塗料中での安定性が悪くな
る。また炭素数が24を越えても技術的な不都合はない
が、立体障害効果も増大せずに、経済性が低下する点で
好ましくない。
かかる疎水性脂肪酸の例としてはアゼライン酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、
アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸とその塩類
等及びこれら塩類並びにこれら疎水性脂肪酸とAl2O3・S
iO2混合物による処理である。
マイカ顔料を脂肪酸でコーテイングする方法はマイカ
顔料100部、溶剤100部、脂肪酸0.1〜5部を容器に入れ
ペイントシェーカーで20〜30分振る程度の撹拌によって
可能である。
この際に用いる溶剤はトルエン、キシレン、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、n−ブタノール等通常の塗料
用溶剤から1種以上を選択出来る。
上記のように疎水性脂肪酸で処理されたコーテングマ
イカは、約4〜40μの粒子径を有するものである。該コ
ーテングマイカは顔料分中5〜95%含有させる必要があ
り、塗料中の顔料分が0.1〜25%の範囲になる配合比率
でマイカベース塗料を調製する。本発明は、電着、中塗
塗膜を形成した被塗物に対し、上塗りブース内の第一段
塗装工程において着色下地塗膜として、例えばポリエス
テル系熱硬化性中塗塗料を塗装しフラッシュ オフ タ
イムを0.5〜5分(理想的には1.5〜3分間)とりウエッ
ト オン ウエットで(以下W/W)、続いて第二段塗装
工程において顔料分が0.1〜25重量%のマイカベース塗
料を塗装する。このとき顔料分が0.1%未満になるとマ
イカ感に乏しく色相としては興味を引かない。また15%
を超えると、次ぎのトップクリヤーがベースに吸込み艶
が低下しやすい欠陥が生ずる。顔料分の好ましい配合量
は0.1〜8%である。第二段のマイカベース塗料を塗装
した後、フラッシュ オフ タイムを0.5〜10分(理想
的には1〜3分間)おき、焼付を行うか、更に必要に応
じて第三段塗装工程おいてトップクリヤーを塗装し、5
分〜10分セッティング後、第一、第二、第三層を一挙に
焼付けて塗膜を得ることも出来る。
このときの塗膜は次ぎのように構成される。
以下本発明の実施例について詳細に説明する。
実施例 1 着色下地塗料(第一段)の作成 日本ペイント社製ポリエステル系中塗塗料「オルガP
−2」の着色顔料として、二酸化チタン、Ciba Geigy社
製有機赤顔料「シンカシャレッドYRT−759D」、大日精
化社製シャニン青顔料「シャニンブルー5240KB」、東洋
インキ社製シヤニングリーン顔料「リオノールグリーン
6YKP−N」、Cabot社製黒顔料「ブラックパール130
0」、BASF社製アンスラピリミジン顔料「パリオゲンイ
エローL−1560」、Hoechst社製ベンズイミダゾロン顔
料「ノボパームオレンジHL−70」の各顔料を用いそれぞ
れの調色用原色を作成し、任意の調色品に作成したもの
を第一段塗料として調整する。
2 マイカベース塗料(第二段)の作成 日本ペイント社製アクリル/メラミン塗料 スパーラックM−12の配合で表1および表2に示すコ
ーテングマイカと着色顔料を各表の配合割合によりマイ
カベース塗料を調製した。
評価方法 光沢 JIS K−5400 6.7 硬度 JIS K−5400 6.17 ゴバン目 JIS K−5400 6.15残存個数 耐衝撃性 JIS K−5400 6.13荷重500g 促進耐候性 JIS K−5400 6.17 400時間後の光沢保持
率 耐水性 JIS K−5400 7.2 耐公害性 ○;水酸化クロム処理なしのコーテングマイカ使用 ×;水酸化クロム処理したコーテングマイカ使用 パール感(光揮) 目視評価 ○;パール感あり △;パール感多少あり ×;パール感乏しい フルイ濾過性 150メッシュの篩を用いたサーキュレーションによる目
詰まり性を評価 ○;実用上の目詰まりなし ×;目詰まりが認められ実用上問題あり 外 観 目視評価 ○;問題なし ×;実用上問題あり 発明の効果 本発明は、従来の塗装工程においては困難と考えられ
ていたウエット オン ウエット方式により任意の複合
色が連続的に得られ、また汎用中塗上の塗装が可能なこ
と、マイカ塗膜のスケ性(トマリ性)等が改良され、従
来のカラーベースに相当する着色下地の顔料濃度を下げ
ることができる。
また、マイカ仕上げに特有の色の不均一性が改良され
ると共に、見る角度によって色が変化するフリップフロ
ップ性が発現するため意匠上の利点も発揮された。
この結果、仕上り外観の向上と性能面では耐水性を含
む耐久性が向上した。
【図面の簡単な説明】
第一図は実施例2の疎水性脂肪酸としてオレイン酸を用
いて処理したマイカを含む塗膜の顕微鏡による断面写真
であり、被塗物とマイカリーフの配列が平行になってい
る。 また、第二図は比較例1の疎水性脂肪酸による処理をし
ていない塗膜の断面写真であり、被塗物とマイカリーフ
の配列が平行性に欠けている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 孝彦 愛知県高浜市吉浜町中吉新田2番の3 日本ペイント株式会社愛知事業所内 (56)参考文献 特開 昭61−129071(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】着色下地塗膜の上に、酸化チタン、酸化
    鉄、二酸化硅素の金属酸化物及びアルミニウム化合物の
    一種以上で被覆され、更に炭素数5〜24のアルキル基を
    有する疎水性脂肪酸で処理した粒子径が約4〜40μのコ
    ーテングマイカが顔料分中5〜95%、及び塗料中の顔料
    分が0.1〜25%であるマイカベース塗料と、必要に応じ
    てクリヤー塗料をウエット オン ウエットで塗装した
    後焼付けることを特徴とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】コーテングマイカの他に配合される顔料
    が、ペリレン、アンスラキノン、透明酸化鉄、カーボン
    ブラック、アルミニウム箔の一種以上である特許請求の
    範囲第1項記載の塗膜形成方法。
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