JP2520835B2 - 歯付きベルトおよびその製造法 - Google Patents

歯付きベルトおよびその製造法

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JP2520835B2 JP5006619A JP661993A JP2520835B2 JP 2520835 B2 JP2520835 B2 JP 2520835B2 JP 5006619 A JP5006619 A JP 5006619A JP 661993 A JP661993 A JP 661993A JP 2520835 B2 JP2520835 B2 JP 2520835B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業の利用分野】本発明は、高温環境下および低温環
境下で使用したり、高負荷伝動に使用するのに適した歯
付きベルト、およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリウレタン等の液状注型エラス
トマー材料を使用し、ベルト本体および歯部を一体形成
した歯付きベルトにおいて、その歯部を覆うように補強
布を装着したものが、特公昭49−5912号公報、特
公昭60−42022号公報、特開昭63−21453
7号公報等に提案されている。このように歯部表面に補
強布を一体成形したウレタンベルトは、ベルト使用時に
補強布が歯部を保護し、剪断および摩耗等に対する抵抗
性が増し、補強布を装着していないウレタンベルトに比
べて耐久性が向上する利点がある。
【0003】また、歯付きベルトは多くの場合、クロロ
プレンゴムから製造されているが、例えば、自動車分野
においては、自動車を使用する地域により気温差が激し
く耐熱性と耐寒性の両方に優れたベルト材料が求められ
ており、クロロプレンゴムからなるベルトよりもさらに
耐熱性・耐寒性に優れたベルトが求められている。そこ
で、耐熱性が優れた歯付きベルトとして、例えば、特開
昭51−36247号公報や特開昭60−121341
号公報等に記載されているように近年、背ゴムや歯ゴム
にクロロスルフォン化ポリエチレンゴムを用いる歯付き
ベルトや、特開昭60−172749号公報に記載され
ているように水素化ニトリルゴムの含イオウ架橋系組成
物を用いる歯付きベルトや、特開昭64−87937号
公報に記載されているように水素化ニトリルゴムのパー
オキサイド架橋系組成物を用いる歯付きベルト等が提案
されている。なお、これらの歯付きベルトは、耐寒性に
ついてはクロロプレンゴムから製造されたものと比較し
ても大差はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ポ
リウレタン等の液状注型エラストマー材料を使用した歯
付きベルトは、補強布に液状ウレタンエラストマーを含
浸または塗布した後、あらかじめ所定の歯形型で加熱加
圧して硬化または半硬化させ、円筒状内金型に装着した
後、注型法により液状ウレタンエラストマーを注型加熱
して、歯付きベルトを製造している。そのため、補強布
表面にウレタンエラストマーの被覆層が存在することに
なり、補強布表面の摩擦抵抗が高くなり、ベルト使用時
にベルト歯とプーリ歯の接触界面で著しい熱を発生し、
作動温度が高い場合や高負荷伝動に使用する場合、ベル
ト歯底部の補強布の摩耗が著しいという課題を有してい
た。
【0005】しかも、補強布に液状ウレタンエラストマ
ーを含浸または塗布し、半硬化または硬化された状態で
抗張体が巻着されるため、ベルト歯底部においては、抗
張体と補強布の接触界面に半硬化または硬化したウレタ
ン層が介在した状態でウレタンエラストマーが注型し加
熱硬化されるので、抗張体と歯底部補強布の接着力が充
分ではなく、従来のクロロプレンゴム等を用いた歯付き
ベルトに比べて、短時間で歯底部補強布の剥離が発生
し、歯剪断が発生することがあるという課題を有してい
た。
【0006】また、各種改良された前記歯付きベルトに
おいても、その耐熱性および耐寒性は、なお、充分であ
るとはいい難く、耐熱性および耐寒性により優れた歯付
きベルトの出現が望まれていた。さらに、前記ウレタン
歯付きベルトでは、ベルトの製造工程において、補強布
を歯付きベルトの歯形表面部に正確に付着させるため
に、補強布を一対の型付盤により挟持し、これを加熱加
圧加工して歯形付き補強布を形成後、型付盤の両端部を
端板などで閉鎖すると共に補強布の各歯形溝の中央部に
歯形棒状体を嵌め込んで、端板と歯形棒状体の端面間に
空隙部を形成し、この空隙部に液状ウレタンエラストマ
ーを注入し、加圧加熱処理してエラストマーを硬化させ
ることにより、補強布の両端部を一体的に保形強化して
いるので、加圧加熱の処理回数が増加する等、製造工程
が複雑化するという課題を有していた。
【0007】本発明者等は、上記のような状況に鑑みて
鋭意研究を重ねた結果、以下の技術的手段を採用するこ
とにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するため手段】すなわち、本発明の歯付き
ベルトは、注型エラストマーよりなるベルト本体と、該
ベルト本体内に長さ方向に配置された抗張体と、歯面に
貼着される補強布よりなり、前記補強布が、たて糸をよ
こ糸を織成した帆布と、基材層の片面に前記たて糸の単
繊維直径dに対し1/2d〜1dの厚みを有する接着剤
層を形成した不浸透性樹脂層とを、その基材層が外側に
位置するように重ね合わせ、これを加熱押圧して接着剤
層を溶融させて帆布に食い込ませたものとしている。そ
して、前記注型エラストマーは、パラフェニレンジイソ
シアネートと、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテ
ル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールの1種
または2種以上からなるプレポリマーに硬化剤を配合し
てなるポリウレタンエラストマーとすることができ、ま
た前記たて糸の単繊維直径は、20μm以下であること
が好ましい。
【0009】また、本発明の歯付きベルトの製造法は、
エラストマー不浸透性樹脂層をもつ補強布を一対の型付
盤にて挟持し、これを加熱加圧加工して歯形付き補強布
を形成後、可撓性があり且つ硬化時間の短い接着剤を前
記補強布の両端部に固化介在させて補強布の両端部を一
体的に保形強化し、周面軸方向に歯形溝群を設けた円筒
状内金型の回りに前記補強布を巻装し、その表面に抗張
体をスパイラルに巻着後、同心状に外金型を組み合わ
せ、両金型間に注型エラストマーを注入し硬化させたベ
ルト成形体を輪切りにしてなるものである。
【0010】
【作用】本発明の歯付きベルトは、帆布をなすたて糸の
単繊維直径dに対し、不浸透性樹脂層の接着剤層の厚み
が1/2〜1dであるため、溶融した接着剤層は帆布表
面のたて糸の単繊維間より少なくとも0.5〜1本分の
直径に相当する深さまで食い込み、また部分的にはそれ
以上の深さまで食い込むことになる。そのため、本発明
の歯付きベルトでは、補強布と不浸透性樹脂層とが食い
込んだ接着剤層の楔効果により強固に接着する。
【0011】また、たて糸の単繊維直径20μm以下
と細くすると、接着剤層の食い込み深さを極めて小さく
することができる。そのため、エラストマーが接着剤層
の食い込んだ部分を除き補強布に隈なく充填されること
により、帆布表面までウレタンエラストマーが充填され
こととなる。しかも、帆布と不浸透性樹脂層との充分
な接着力が確保されるため、エラストマーが帆布と不浸
透性樹脂層の間に入り込むことがなくなる
【0012】さらに、本発明の歯付きベルトは、注型エ
ラストマーとして、パラフェニレンジイソシアネート
と、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオ
ール、ポリカーボネート系ポリオールの1種または2種
以上からなるプレポリマーに硬化剤を配合してなるポリ
ウレタンエラストマーを選択することにより、耐熱性お
よび耐寒性により優れたものとなる。
【0013】本発明の歯付きベルトの製造法は、可撓性
があり且つ硬化時間の短い接着剤を前記補強布の両端部
に固化介在せしめて補強布の両端部を一体的に保形強化
するため、歯形付き補強布の内金型への装着が簡易なも
のとなる
【0014】
【実施例】以下、本発明の歯付きベルトの構成を実施例
に基づいて詳細に説明する。図1において、1は歯付き
ウレタンベルトで、該ベルト1は一定間隔毎に噛合歯2
を有するウレタンエラストマーよりなるベルト本体3
と、該ベルト本体3内に長さ方向に配置された抗張体4
と、歯面に貼着される補強布5よりなっている。そし
て、前記補強布5は、帆布6と不浸透性樹脂層7よりな
っている。
【0015】前記ウレタンエラストマーとしては、パラ
フェニレンジイソシアネートと、ポリエステル系ポリオ
ール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系
ポリオールの1種または2種以上からなるプレポリマー
に硬化剤を配合してなるポリウレタンエラストマーを用
いた。ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、ポ
リカルボン酸と低分子ポリオールとの縮合物で、分子量
500〜10000のものが挙げられる。具体的には、
ポリ(エチレンアジペート)(以下「PEA」と記
す)、ポリ(ジエチレンアジペート)(以下「PDA」
と記す)、ポリ(プロピレンアジペート)(以下「PP
A」と記す)、ポリ(テトラメチレンアジペート)(以
下「PBA」と記す)、ポリ(ヘキサメチレンアジペー
ト)(以下「PHA」と記す)、ポリ(ネオペンチレン
アジペート)(以下「PNA」と記す)、ポリ(ノナン
ジオールアジペート)、ポリ(ノナンジオール/メチル
オクタンジオールアジペート)、3−メチル−1,5−
ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリオール、P
EAとPDAのランダム共重合体、PEAとPPAのラ
ンダム共重合体、PEAとPBAのランダム共重合体、
PHAとPNAのランダム共重合体、または、ε−カプ
ロラクトンを開環重合して得たカプロラクトンポリオー
ル、β−メチル−δ−バレロラクトンをエチレングリコ
ールで開環することにより得られたポリオールなど(こ
れらは、いずれも分子量500〜10000であること
が好ましい)が挙げられ、それぞれ、単独で使用された
り、または、複数併用されたりする。さらに、ポリエス
テル系ポリオールとしては、例えば、下記の酸の少なく
とも1つとグリコールの少なくとも1つとの共重合体が
挙げられる。
【0016】(酸) テレフタル酸、イソフタル酸、無
水フタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸(混合物)、パラ
オキシ安息香酸、無水トリメリット酸、ε−カプロラク
トン、β−メチル−δ−バレロラクトン (グリコール) エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペ
ンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、アルキレ
ンオキシド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレン
オキサイド)を活性水素化合物である多価アルコール
(例えば、ジエチレングリコール)を開始剤として開環
付加重合により与えられるもの、具体的にはポリプロピ
レングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール
(PEG)、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイ
ドとの共重合体などが挙げられる。また、テトラヒドロ
フランのカチオン重合により与えられ、分子量500〜
5000のものが挙げられる。具体的には、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール(PTMG)であり、ま
た、テトラヒドロフランは他のアルキレンオキシドとの
共重合体があり、具体的には、テトラヒドロフランとプ
ロピレンオキサイドとの共重合体、テトラヒドロフラン
とエチレンオキサイドとの共重合体など(これらはいず
れも分子量500〜10000であることが好ましい)
が挙げられ、それぞれ単独で使用されたり、または、複
数併用されたりする。
【0017】ポリカーボネート系ポリオールとしては、
従来公知のポリオール(多価アルコール)とホスゲン、
クロル蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジ
アリルカーボネートとの縮合によって得られ、種々の分
子量のものが知られている。このようなポリカーボネー
ト系ポリオールとして特に好ましいものは、ポリオール
として、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、または、1,5−ペンタンジオールを使用したも
のであり、その分子量が約500〜10000の範囲の
ものである。例えば、下記一般式化1で表されるポリカ
ーボネートジオール
【0018】
【化1】
【0019】が挙げられる。本発明で用いられるポリカ
ーボネート系ウレタンプレポリマーのポリオール部分の
構造は、上記のようなポリカーボネート系ポリオールを
はじめ、ポリカーボネート系ポリオールとポリカプロラ
クトン系ポリオールのランダム共重合体、ポリカーボネ
ート系ポリオールとポリエステル系ポリオールのランダ
ム共重合体、あるいは、ポリカーボネート系ポリオール
とポリカプロラクトン系ポリオールとポリエステル系ポ
リオールの混合物などが挙げられ、それぞれ、単独で使
用されたり、または、複数併用されたりする。
【0020】前記ポリオールの1種または2種以上をパ
ラフェニレンジイソシアネートと反応させて、ウレタン
プレポリマーを製造するための方法としては、特に限定
されず、例えば、反応温度、反応時間、溶媒の有無等を
含めて公知の方法で行うことができる。本発明に用いる
ウレタンエラストマーを得るためには、上述のようにし
て得られたウレタンプレポリマーと、硬化剤とを混合し
て、ウレタンプレポリマーを硬化させればよい。
【0021】使用できる硬化剤としては、特に限定され
ず、従来、ウレタンプレポリマーを硬化してウレタンエ
ラストマーを生成させる際に一般的に用いられているも
ので構わない。例えば、ポリオール化合物、ポリアミン
化合物等が挙げられる。ポリオール化合物としては、特
に限定されず、1級ポリオール、2級ポリオール、3級
ポリオールのいずれを用いてもよい。具体的には、エチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタ
ンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキ
サンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2−エチル
−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオー
ル、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−
プロパンジオール等が挙げられる。ポリアミン化合物と
しては、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等、特に
限定されず、1級アミン、2級アミン、3級アミンのい
ずれも用いることができる。具体的には、ヘキサメチレ
ンジアミン等の脂肪族アミン、3,3’−ジメチル−
4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族
アミン、4,4’−メチレンビス−2−クロロアニリ
ン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジ
アミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニル
等の芳香族アミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミ
ノメチル)フェノール等が挙げられる。これらの硬化剤
は、1種のみを用いてもよいし、あるいは、複数種を併
用してもよい。
【0022】上記の硬化剤と、前述のようにして得られ
たウレタンプレポリマーとを混合して、同ウレタンプレ
ポリマーを硬化させるための方法としては、特に限定さ
れず、例えば、ウレタンプレポリマーに対する硬化剤の
混合割合、硬化温度、硬化時間等を含めて、通常の方法
で行うことができる。本発明に用いるポリウレタンエラ
ストマーは、添加剤等を含有するものとしてもよい。本
発明に用いうる添加剤は、可塑剤、難燃剤、充填剤、安
定剤、着色剤等である。
【0023】可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオク
チル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピ
ン酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TC
P)、塩素系パラフィンなどが利用できる。難燃剤とし
ては、トリス−(β−クロロプロピルホスフェート、ト
リス−ジクロロプロピルホスフェート、トリスクロロエ
チルホスフェート等の燐酸エステル類、ジブロムネオペ
ンチルグリコール、トリブロムネオペンチルアルコール
等のブロム化合物等が利用できる。
【0024】充填剤は、例えば、ガラス繊維、カーボン
ブラック、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ゼオラ
イト、硅そう土、パーライト、パーミキュライト、二酸
化チタン、シリコンパウダーおよびシリコンオイル、グ
ラファイト、二硫化モリブデン等が使用できる。安定剤
としては、従来より使用されている酸化防止剤、紫外線
吸収剤、光安定剤、加水分解防止剤等が利用できる。
【0025】酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤・過酸
化物分解剤などとして作用し、前者には立体障害を持っ
たフェノール類や芳香族アミン類がある。ラジカル連鎖
禁止剤として、ブチル化ヒドロキシトルエン、テトラキ
ス〔メチレン・3・(3’・5’−ジ・tブチル−4ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、n・オク
タデシル−βー(4’・ヒドロキシ−3’−5’・ジ・
tブチルフェニル)プロピオネート、1,3,5トリス
(4・tブチル・3ヒドロキシ・2,6ジメチルベンジ
ル)イソシアヌル酸、トリエチレングリコールビス3
(2−tブチル・4ヒドロキシ5・メチルフェニル)プ
ロピオネート等が使用可能である。
【0026】過酸化物分解剤として、4,4’チオビス
(6−t−ブチル・m・クレゾール、ジラウリル・チオ
ジプロピオネート、ジステアリルチオ・ジプロピオネー
ト、チオフェニルホスファイト等が使用可能である。紫
外線吸収剤として、サリチル酸系のフェニルサリシレー
ト、P−t−ブチルフェニルサリシレート、ベンゾフェ
ノン系の2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、ベンゾトリ
アゾール系の2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−
3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−t−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、
シアレアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,5−
ジフェニルアクリレート、2(2’−ヒドロキシ−5’
−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が使用
可能である。
【0027】UVスクリーンとして、カーボンブラック
・亜鉛華などの顔料等が使用可能である。光安定剤とし
て、ヒンダードアミンがある。ヒンダードアミンとして
は、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、コハク酸ジメ
チル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)
イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕
〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ〕ヘキサメチレン〔〔2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、2−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)などが使用可能である。
【0028】加水分解防止剤として、カルボジイミド系
のスタバクゾール・1,PCD(バイエル社)、ヘキサ
メチレンテトラアミン、アゾジカーボンアミド、4−t
−ブチルカテコール等が使用可能である。前記ヒドロキ
シル基末端ポリオールとパラフェニレンジイソシアネー
トとを反応させてウレタンプレポリマーを製造するため
の方法としては、特に限定されず、例えば、反応温度、
反応時間、溶媒の有無等を含めて公知の方法で行うこと
もできる。
【0029】このようにして得られるプレポリマーのイ
ソシアネート基含有量は1重量%〜20重量%になるよ
うに有機ポリイソシアネートと活性水素含有化合物と反
応せしめる必要がある。得られるプレポリマーのイソシ
アネート基含有量が20重量%を越えて大になると遊離
のパラフェニレンジイソシアネートが多くなり、ウレタ
ンプレポリマーの貯蔵安定性が劣るようになる。また、
1重量%よりも小さくなると、ウレタンプレポリマーと
してはイソシアネート基含有量が低くポットライフが長
くなりすぎるため生産性が悪くなる。
【0030】本発明の歯付きベルトは、抗張体4として
は、例えばガラス繊維、スチール繊維、アラミド繊維よ
りなるコードが用いられるが、これら例示したものに限
定されるものではない。本実施例では、「ケブラー」
(デュポン社製アラミド繊維)を用いた。帆布6は、ナ
イロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維のウーリー
加工糸よりなるたて糸8と、通常の合成繊維よりなるよ
こ糸9を織成したものである。なお、たて糸8として
は、その単繊維直径dが30μm(ナイロン繊維の場合
で単繊維繊度約6デニール)以下、特に20μm(ナイ
ロン繊維の場合で単繊維繊度約2.5デニール)以下が
望ましい。
【0031】不浸透性樹脂層7は、基材層10の片面に
前記たて糸8の単繊維直径dに対し、1/2d〜1dの
厚みを有する接着剤層11を形成したものである。すな
わち、たて糸8として単繊維直径dが例えば20μmの
繊維を使用する場合は、接着剤層11の厚みは10〜2
0μmのものを使用する。また、基材層10は、プーリ
ーとの係合ですぐに摩耗してしまうものであり、できる
だけ薄いものを使用することが好ましく、その厚さとし
ては10〜30μmが適当である。
【0032】また、基材層10および接着剤層11の素
材としては、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンメチルメタア
クリレート共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エ
チレンメタクリル酸共重合体、ポリエステル樹脂、ナイ
ロン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂等の
ベルト本体3を構成するウレタンエラストマーより摩擦
係数の低いものが使用される。そして、基材層10に高
融点の樹脂が使用され、接着剤層11に低融点の樹脂が
使用される。具体的な不浸透性樹脂層7としては、基材
層10に高密度ポリエチレン樹脂(融点約130°C)
を、接着剤層11にエチレンメチルメタアクリレート共
重合体(融点約110°C)を使用し、これらを共押出
しした二層フィルム等がある。しかし、前記二層フィル
ムに限ることなく高融点樹脂フィルムに低融点の接着剤
を塗布したものであってもよい。
【0033】そして、前記帆布6と不浸透性樹脂層7
を、その基材層10が外側に位置するように重ね合わ
せ、これを接着剤層11の融点より高く且つ基材層10
の融点より低い温度で加熱押圧して、前記接着剤層11
を溶融させている。たて糸8の単繊維直径dに対し、接
着剤層11の厚みが1/2d〜1dであるため、溶融し
た樹脂は図3に示したように帆布6表面のたて糸8の単
繊維間より少なくとも単繊維の0.5〜1本分の直径に
相当する深さまで食い込み、また部分的にはそれ以上の
深さまで食い込むことになる。そのため、溶融した樹脂
は帆布6のたて糸8へ必要以上に食い込むことなく、帆
布6と基材層10はたて糸8に食い込んだ樹脂を介して
強固に接着した状態となっている。
【0034】次に、本発明の歯付きベルトの製造法につ
いて詳細に説明する。第1工程として、図4に示すよう
に、内側当接面にそれぞれ入れ子状の複数の歯形14を
設けた上下一対の型付盤12、13の間に、たて糸8方
向を下側型付盤13の歯形14と直交状態に配し、且つ
不浸透性樹脂層7を下側型付盤13に接するようにし
て、補強布5を配置する。この補強布5を接着剤層11
の樹脂の融点より10〜50°C低い温度で所定時間加
圧加熱後、直ちに冷却すると、不浸透性樹脂層7および
接着剤層11が軟化した後、硬化して、図5に示すよう
な歯形付き補強布5が得られる。
【0035】第2工程は、前記歯形付き補強布5の両端
部に、可撓性があり且つ硬化時間の短いホットメルト接
着剤を固化介在させて、この歯形付き補強布5の両端部
を一体的に強化固定させ、歯形付き補強布5の保形性を
強化する。すなわち、上側型付盤12を外し、歯形付き
補強布5を付着させたまま下側型付盤13の両端部を一
対の端板15、15で閉鎖し、図6に示すように、可撓
性があり且つ硬化時間の短いホットメルト接着剤16を
アプリケータ17により注入して、歯形付き補強布5の
両端部に固化介在させ、この両端部を保形強化する。そ
して、この歯形付き補強布5は、下側型付盤13より取
り外され、図7に示した状態となる。
【0036】第3工程として、前記歯形付き補強布5を
所定の歯数に裁断し、熱プレスによる接着または融着な
どにより筒状にエンドレス加工し、図8に示すように、
外周面軸方向に歯形溝18…を設けた円筒状の内金型1
9に歯形付き補強布5を嵌め込んで装着する。本発明で
は、前記第2、3工程で述べたように、ホットメルト接
着剤を固化介在させて両端部を保形強化した歯形付き補
強布5aを筒状にエンドレス加工し、円筒状の内金型1
9に嵌め込むようにしたため、歯形付き補強布5の内金
型19への装着は簡易なものとなった。
【0037】第4工程として、円筒状の内金型19に装
着された歯形付き補強布5の表面に、抗張体4をスパイ
ラルに巻き付ける。前記内金型19に歯形付き補強布5
および抗張体4の装着が完了すれば、図9に示すよう
に、内金型19を円筒状の外金型20に挿入して、所定
の空間21ができるように組み合わせ、内金型19の両
端部は上下蓋22、23で封鎖し固定する。そして、内
外金型19、20を100°Cに加熱した後、注型用容
器24内の液状ウレタンエラストマー25を2Kgf/
cm2 以下の圧力でピストン26により加圧し、注型用
管27を経て前記空間21内に液状ウレタンエラストマ
ー25を充填する。空間21内に液状ウレタンエラスト
マー25が充満すると、上蓋22の脱気孔28から液状
ウレタンエラストマー25が流出するので、流出した時
点で脱気孔28に開閉ネジ29を螺着し、脱気孔28を
密閉して、110°C、120分、10〜30Kgf/
cm2 で加圧成形する。そして成形後、上下蓋22、2
3を取り外し、内外金型19、20を分離した後、成形
品を脱型し、所定幅のベルトに輪切りすることにより、
本発明の歯付きウレタンベルトを作成した。
【0038】次に、本発明の歯付きベルトの具体例につ
いて、本発明品および比較品の耐熱性を調べるため、以
下に示す条件下で走行試験を行った。本発明品1〜4 本発明の歯付きベルトを、以下に示すようにして作製し
た。ポリウレタンエラストマーは、次のような手順によ
り得た。
【0039】先ず、ポリオール成分(以下、(1) に示
す)にポリイソシアネート成分(以下、(2) に示す)を
加え、窒素気流下において85℃で1時間反応させて末
端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得
る。得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基
(NCO)含有量(以下、に示す)、および、80℃
における粘度(以下、に示す)を測定した。プレポリ
マーの粘度は、ハーケ回転粘度計・ロトビスコRV−1
2を用いて求めた。
【0040】上記のようにして得たウレタンプレポリマ
ー100重量部を80℃に保温し、硬化剤(以下、(3)
に示す)を加え、110℃で120分間、加熱して硬化
反応を完結させた。 (本発明品1) (1) ポリオール成分 平均分子量(数平均分子量を指す。以下同様)が2,0
44のポリカーボネートとカプロラクトンとの共重合体
ポリオール(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名
ニッポラン982R)を100重量部用いた。 (2) ポリイソシアネート成分 パラフェニレンジイソシアネート(=PPDI、デュポ
ン社製)を15.6重量部用いた。 (3) 硬化剤 2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン(=TCDAM、イハラケミカル工
業株式会社製)を12.9重量部用いた。
【0041】各測定結果 イソシアネート基(NCO)含有量…3.59%(理
論値3.60%) 80℃における粘度…14,680cps 上記組成についてシート状成形物を同様の方法で得たと
きの硬さ(JIS A)は、89であった。 (本発明品2) (1) ポリオール成分 平均分子量が1,908のポリカーボネートポリオール
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名ニッポラン
980R)80重量部と、平均分子量が2,087のポ
リエステル系ポリオール(クラレ株式会社製、商品名ク
ラポールL2010)20重量部とをブレンドして用い
た。 (2) ポリイソシアネート成分 PPDIを16.5重量部用いた。 (3) 硬化剤 TCDAMを12.7重量部用いた。
【0042】各測定結果 イソシアネート基(NCO)含有量…3.53%(理
論値3.71%) 80℃における粘度…22,930cps 上記組成についてシート状成形物を同様の方法で得たと
きの硬さ(JIS A)は、90であった。 (本発明品3) (1) ポリオール成分 平均分子量が1,908のポリカーボネートポリオール
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名ニッポラン
980R)80重量部と、平均分子量が1,950のポ
リエステル系ポリオール(クラレ株式会社製、商品名ク
ラポールP2010)20重量部とをブレンドして用い
た。 (2) ポリイソシアネート成分 PPDIを16.7重量部用いた。 (3) 硬化剤 TCDAMを13.3重量部用いた。
【0043】各測定結果 イソシアネート基(NCO)含有量…3.68%(理
論値3.75%) 80℃における粘度…15,080cps 上記組成についてシート状成形物を同様の方法で得たと
きの硬さ(JIS A)は、88であった。 (本発明品4) (1) ポリオール成分 平均分子量が1,996のポリカーボネートポリオール
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名ニッポラン
980R)80重量部と、平均分子量が1,986のポ
リテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学工
業株式会社製、商品名PTG2000)20重量部とを
ブレンドして用いた。 (2) ポリイソシアネート成分 PPDIを16.1重量部用いた。 (3) 硬化剤 TCDAMを13.0重量部用いた。
【0044】各測定結果 イソシアネート基(NCO)含有量…3.60%(理
論値3.63%) 80℃における粘度…23,190cps 上記組成についてシート状成形物を同様の方法で得たと
きの硬さ(JIS A)は、82であった。
【0045】前記各ポリウレタンエラストマーを背部お
よび歯形部に用いて、図1に示すような構成の歯付きベ
ルトを作製した。なお、この歯付きベルトは、RU型
で、歯のピッチ9.525mm、歯数92、長さ34.5
インチ、幅0.75インチとした。比較品1 水素化ニトリルゴムの含イオウ架橋系組成物を用いた歯
付きベルトを、以下に示すようにして作製した。
【0046】水素化ニトリルゴム組成物は、水素化ニト
リルゴム(ゼットポール:日本ゼオン製)100重量
部、カーボンブラック40重量部、可塑剤10重量部、
亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤2
重量部、加硫促進剤2.5重量部、イオウ0.5重量
部、を配合し、バンバリーミキサー、ロール等を用い適
宜、公知の手段、方法により混練しゴムシートとした。
【0047】補強布は、上記ゴム組成物を、その2〜
3.5倍の溶剤に溶解し、次いでフェノールレジンをゴ
ム組成物の20〜30%添加溶解し、ゴム糊を作製し、
ナイロン布を浸漬後乾燥させた、接着処理ナイロン布を
用いた。なお、抗張体には、前記と同様にケブラーを用
いた。前記水素化ニトリルゴム組成物を背部および歯形
部に用いて、従来より知られている通常の方法により、
歯付きベルトを作製した。即ち、前記補強布を歯付円筒
モールドに巻き付けた後、前記抗張体を螺旋状に巻き、
さらに前記ゴムシートを巻き付け、圧力容器内にて加圧
成形加硫を行う。その後、脱型し所定幅に切断し歯付き
ベルトを作製した。
【0048】そこで、前記本発明品および比較品を、図
10に示したような装置を用いて、高温環境(150
℃)下で走行試験を行った。図10中、31はRU型
(歯数=20)の駆動プーリ、32はRU型(歯数=4
0)の非駆動プーリである。そして、これら駆動プーリ
31と非駆動プーリ32の間に掛け渡した歯付きベルト
1の初張力をφ52mmのテンショナープーリ33により
15Kgf に調整し、駆動プーリ31を回転数6000rp
m で回転させ、歯付きベルト1を走行させた。走行開始
後、歯付きベルト1の背部にクラックが生ずるまでの走
行時間を測定した。結果を表1に示す。
【0049】表1から明らかなように、比較品1に示し
た水素化ニトリルゴム組成物を用いた歯付きベルトは、
短時間で背部にクラックが生じ、耐熱性に劣るものとな
っているが、本発明品1〜4に示した前記ポリウレタン
エラストマーを用いた歯付きベルトは、短時間で背部に
クラックが生じることなく、耐熱性に優れたものとな
る。
【0050】
【表1】
【0051】次に、前記本発明品および比較品を、図1
0に示したような装置を用いて、新品、熱老化品(14
0°Cで3日間、7日間、14日間、28日間それぞれ
熱老化させたもの)について耐寒走行試験を行った。図
10中、駆動プーリ31と非駆動プーリ32の間に掛け
渡した歯付きベルト1の初張力をφ52mmのテンショナ
ープーリ33により15Kgf に調整し、設定温度に3時
間放置後駆動プーリ31を回転数300rpm で回転さ
せ、歯付きベルト1を1分間走行させた後10分間停止
させる。これを50サイクル繰り返した後背部のクラッ
ク発生の有無を調べ、ベルトの使用限界温度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0052】表2から明らかなように、比較品1に示し
た水素化ニトリルゴム組成物を用いた歯付きベルトは、
140°Cで14日間熱老化させたものから低温特性が
急に落ち、耐寒性に劣るものとなっているが、本発明品
1〜4に示した前記ポリウレタンエラストマーを用いた
歯付きベルトは、140°Cで28日間熱老化させたも
のも低温特性が落ちず、耐寒保持特性に優れたものとな
る。
【0053】
【表2】
【0054】次に、本発明品および比較品の高負荷伝動
性を調べるため、以下に示す条件下で走行試験を行っ
た。本発明品5 補強布は、次のような手順により得た。先ず、たて糸と
して単繊維繊度が2.06デニール(直径16μm)の
280デニール−ナイロン糸のウーリ加工糸を78本/
inch使用し、よこ糸として210デニール−ナイロン糸
を85本/inch使用して、2/2綾織組繊で帆布を織成
した。次に、基材層として高密度ポリエチレン樹脂(融
点130°C)を使用し、接着剤層としてエチレンメチ
ルメタアクリレート共重合体(融点110°C)を使用
し、両者の厚みが各々15μmとなるように二層押し出
し成形することにより、二層の不浸透性樹脂フィルムを
得た。そして、この不浸透性樹脂フィルムを前記帆布に
接着剤層が接するように重ね合わせ、120°Cに加熱
して20Kg/cm2 の力で押圧し、補強布を得た。
【0055】ウレタンエラストマーは、本発明品2と同
様のものを使用した。比較品2 水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム
(H−NBR)を用いた歯付きベルトを作製した。な
お、帆布は前記本発明品5と同様のものを使用し、ゴム
糊は比較品1のものを使用した。比較品3 市販のウレタン(アジプレンL−100:ユニロイヤル
社製)を用いた歯付きベルトを作製した。 アジプレン
L−100は、80°Cで真空脱泡後、あらかじめ溶融
した硬化剤4,4′−メチレンビス−2−クロロアニリ
ンを11phr加えて攪拌後、注型した。なお、補強布
は前記本発明品5と同様のものを使用した。比較品4 前記本発明品5と同様の帆布を用い、厚さ30μmの高
密度ポリエチレン樹脂製フィルムを加熱押圧してえられ
た補強布を使用した。なお、ウレタンエラストマーは、
本発明品2と同様のものを使用した。
【0056】前記本発明品5、比較品2〜4の歯付きベ
ルトを、図10に示したような装置を用いて、高温環境
(120°C)下で走行試験を行った。図10中、駆動
プーリ31と非駆動プーリ32の間に掛け渡した歯付き
ベルト1の初張力をφ52mmのテンショナープーリ33
により15Kgf に調整し、駆動プーリ31を回転数60
00rpm で回転させ、歯付きベルト1を走行させた。走
行開始後、500時間、1000時間、2000時間経
過時の歯底部の補強布の厚さを測定し、新品ベルトと比
較して摩耗量を算出した。結果を表3に示す。
【0057】表3から明らかなように、本発明品5は、
高温環境下においてのベルト歯底部の補強布の摩耗量が
比較品2〜4の半分以下になる。
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明は、前述のような技術的手段を講
じたものであり、上記各構成要件を採用したことによ
り、次のような効果を有する。すなわち、本発明の歯付
きベルトは、帆布をなすたて糸の単繊維直径dに対し、
不浸透性樹脂層の接着剤層の厚みが1/2〜1dである
ため、補強布と不浸透性樹脂層とが食い込んだ接着剤層
の楔効果により強固に接着するので、帆布と不浸透性樹
脂層との充分な接着力が確保され、エラストマーが帆布
と不浸透性樹脂層との間に入り込み難い。 また、帆布を
なすたて糸の単繊維直径dに対し、不浸透性樹脂層の接
着剤層の厚みは1/2d以上ではあるものの1d以下で
あるため、作動温度が高い場合や高深伝動に使用する場
合にもベルト歯底部の補強布の摩耗が少ないものであ
り、しかも長時間使用しても歯底部補強布の剥離が発生
し難く、歯剪断も発生し難くなり、耐久性に優れたもの
となる。
【0060】また、本発明の歯付きベルトの製造法は、
歯形付き補強布の内金型への装着が簡易なものとなるの
、製造工程が簡略化でき、ベルトの製造コストを低減
することができる。さらに、パラフェニレンジイソシア
ネートを用いて得られるプレポリマーからなるウレタン
エラストマーを用いると、耐熱性および耐寒性により優
れたものとなり、例えば自動車分野におけるタイミング
ベルトとしての使用により適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯付きベルトの部分破断斜視図であ
る。
【図2】本発明の歯付きベルトの不浸透性樹脂層の部分
斜視図である。。
【図3】本発明の歯付きベルトの部分拡大断面図であ
る。
【図4】本発明の歯付きベルト製造工程において、補強
布を上下一対の型付盤の間に配置した状態を示す斜視図
である。
【図5】本発明の歯付きベルトの製造工程で得られる歯
形付き補強布の斜視図である。
【図6】本発明の歯付きベルトの製造工程において、歯
形付き補強布の両端部に固化介在させるホットメルト接
着剤をアプリケータにより注入している状態を示す説明
図である。
【図7】本発明の歯付きベルトの製造工程で得られる両
端部を保形強化した歯付き補強布の斜視図である。
【図8】本発明の歯付きベルトの製造工程において、円
筒状の内金型に歯形付き補強布を嵌め込んで装着した状
態を示す斜視図である。
【図9】本発明の歯付きベルトの製造工程において、内
外金型間にできる空間内に液状ウレタンエラストマーを
充填している状態を示す断面図である。
【図10】本発明の歯付きベルトの走行試験を行う装置
の説明図である。
【符号の説明】
3 ベルト本体 4 抗張体 5 補強布 6 帆布 7 不浸透性樹脂層 8 たて糸 9 よこ糸 10 基材層 11 接着剤層 12 上側型付盤 13 下側型付盤 16 ホットメルト接着剤 19 内金型 20 外金型 25 液状ウレタンエラストマー
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B32B 7/12 B32B 7/12 B29K 21:00 B29K 21:00 105:06 105:06 B29L 9:00 B29L 9:00 29:00 29:00 (72)発明者 河原 伸一郎 奈良県大和郡山市池沢町172 ニッタ株 式会社奈良工場内 (72)発明者 横山 伸幸 奈良県大和郡山市池沢町172 ユニッタ 株式会社奈良工場内 (72)発明者 中根 聡司 奈良県大和郡山市池沢町172 ユニッタ 株式会社奈良工場内 (56)参考文献 特開 昭58−33442(JP,A) 特開 昭63−214538(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注型エラストマーよりなるベルト本体
    と、該ベルト本体内に長さ方向に配置された抗張体と、
    歯面に貼着される補強布よりなり、前記補強布が、たて
    糸とよこ糸を織成した帆布と、基材層の片面に前記たて
    糸の単繊維直径dに対し1/2d〜1dの厚みを有する
    接着剤層を形成した不浸透性樹脂層とを、その基材層が
    外側に位置するように重ね合わせ、これを加熱押圧して
    接着剤層を溶融させて帆布に食い込ませたものであるこ
    とを特徴とする歯付きベルト。
  2. 【請求項2】 前記注型エラストマーが、パラフェニレ
    ンジイソシアネートと、ポリエステル系ポリオール、ポ
    リエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオー
    ルの1種または2種以上からなるプレポリマーに硬化剤
    を配合してなるポリウレタンエラストマーであることを
    特徴とする請求項1記載の歯付きベルト。
  3. 【請求項3】 前記たて糸の単繊維直径が、20μm以
    下であることを特徴とする請求項1記載の歯付きベル
    ト。
  4. 【請求項4】 エラストマー不浸透性樹脂層をもつ補強
    布を一対の型付盤にて挟持し、これを加熱加圧加工して
    歯形付き補強布を形成後、可撓性があり且つ硬化時間の
    短い接着剤を前記補強布の両端部に固化介在させて補強
    布の両端部を一体的に保形強化し、周面軸方向に歯形溝
    群を設けた円筒状内金型の回りに前記補強布を巻装し、
    その表面に抗張体をスパイラルに巻着後、同心状に外金
    型を組み合わせ、両金型間に注型エラストマーを注入し
    硬化させたベルト成形体を輪切りにしてなることを特徴
    とする歯付きベルトの製造法。
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