JP2519919B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2519919B2 JP62085384A JP8538487A JP2519919B2 JP 2519919 B2 JP2519919 B2 JP 2519919B2 JP 62085384 A JP62085384 A JP 62085384A JP 8538487 A JP8538487 A JP 8538487A JP 2519919 B2 JP2519919 B2 JP 2519919B2
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Description

【発明の詳細な説明】 I 発明の背景 技術分野 本発明は、磁気記録媒体、特に連続薄膜型の磁性層を
有する磁気記録媒体のトップコート膜の改良に関する。
先行技術とその問題点 ビデオ用、オーディオ用等の磁気記録媒体として、テ
ープ化して巻回したときのコンパクト性から、連続薄膜
型の磁性層を有するものの開発が活発に行われている。
このような連続薄膜型の媒体の磁性層としては、特性
上、基体法線に対し所定の傾斜角にて蒸着を行う、いわ
ゆる斜め蒸着法によって形成したCo、Co−Ni、Co−O、
Co−Ni−O系等の蒸着膜が最も好適である。
しかし、このような磁性層は、走行摩擦が大きく、膜
強度が低く、ヘッドタッチも悪く、特に、走行耐久性が
低く、くりかえし走行によって出力が低下してしまう。
また、ビデオ用の媒体では、スチルと称される静止画
像モードでの耐久時間が小さい。
さらに、いわゆるドロップアウトも多い。
このような実状から、従来、斜め蒸着膜磁性層のトッ
プコート膜が種々提案されている。
そして、トップコート膜の1例として、炭化水素系の
プラズマ重合膜が知られている(特開昭59−72653号、
同59−154641号、同59−160828号等)。
しかし、通常の方法で得られた炭化水素系のプラズマ
重合膜トップコートでは、耐食性の点で不十分であり、
さらには走行耐久性に劣り再生出力が低下したり、ある
いは強度の点で不十分である等の不都合がある。
このような不都合を解消するために、本発明者らは、
C、Hを含みC/Hの原子比が1〜6で水との接触角が60
〜120°で膜厚10〜40Åのプラズマ重合膜トップコート
膜を提案している(特開昭61−160824号)。
この提案によれば耐食性、耐久性、強度の高い媒体が実
現する。
しかし、耐久走行後にジッター、エンベロープ特性が
悪化し、ドロップアウトや走行摩擦が増大するなどの不
都合がある。
II 発明の目的 本発明の目的は、このような不都合を解消し、耐食
性、耐久性が格段と良好で、強度の高い磁気記録媒体を
提供することにある。
III 発明の開示 このような目的は下記の本発明によって達成される。
すなわち本発明は、支持体上に強磁性金属薄膜を有
し、この強磁性金属薄膜上にトップコート膜を有し、ト
ップコート膜がプラズマ重合膜と、このプラズマ重合膜
上に形成された有機物塗膜とを有する磁気記録媒体にお
いて、プラズマ重合膜が炭素および水素を含む膜厚3〜
8Åのプラズマ重合膜であり、かつこのプラズマ重合膜
の炭素/水素の原子比が1〜6であり、プラズマ重合膜
の形成が、W/F・M〔ここに、Wはプラズマ投入電力(J
oule/sec)、Fはモノマーガス流量(kg/sec)、Mはモ
ノマーガスの分子量〕が1×108〜1×1010Joule/kgの
条件で実質的に炭化水素モノマーガスのみをプラズマ励
起して行われることを特徴とする磁気記録媒体である。
IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明のプラズマ重合膜は、炭素および水素を含む薄
膜である。
原料モノマーガスとしては、通常操作性の良いことか
ら、常温で気体のメタン、エタン、プロパン、ブタン、
ペンタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエ
ン、アセチレン、メチルアセチレン、その他の飽和ない
し不飽和の炭化水素の1種以上を用いるが、必要に応じ
て常温で液体の炭化水素を原料としてプラズマ重合によ
って形成されてもよい。
また、必要に応じて、原料に窒素、酸素、ホウ素、リ
ン等の微量成分を添加することもできる。
そして、プラズマ重合膜の膜厚は3〜8Åである。
連続薄膜型の磁気記録媒体では、プラズマ重合膜が厚
くなり、特に40Åをこえるとスペーシングロス(トップ
コートの厚み分による磁気の損失)が大きくなりすぎて
磁束密度が低下する。そして、目づまりが増加し、耐久
走行後の出力低下が大きくなる等の問題点が多発する。
しかし、膜厚が40Å以下であっても、8Åを超えると
走行摩擦が大きくなり、しかも耐久走行後のジッターや
エンベロープ特性が悪化し、走行摩擦も増大し、ドロッ
プアウトも多発する。
これは後述のプラズマ重合条件下(W/F・M、モノマ
ー・キャリヤー比等)では、膜厚を厚くしたとき膜の安
定性が悪くなるからであると考えられる。
これに対し、膜厚が8Å以下になると、走行摩擦が低
下し、耐久走行後のジッター特性、エンベロープ特性、
出力、走行摩擦、ドロップアウト等の悪化は減少する。
このような点からプラズマ重合膜の膜厚の上限値は、
8Åである。
なお、特開昭61−151837号では、比較例として5Å厚
のプラズマ重合膜を有し、この上に有機物蒸着膜を有す
るトップコートが開示されているが、このものは本発明
のW/F・Mにては成膜しておらず、また蒸着膜を最上層
に有するので、耐久走行後のエンベロープ特性、ジッタ
ー特性、ドロップアウト特性、走行摩擦等の点で不十分
である。
一方、3Åより薄いと、本発明の耐食性や耐久性がえ
られない。また、フィルムの破断強度が低下する。
このような膜厚の制御は、プラズマ重合膜形成の場合
以下で述べるように反応時間、媒体移行速度、原料ガス
流量を制御することによって行われ、スペーシングロス
が少なく、耐食性、耐久性が良好で、フィルム破断強度
の高い媒体が実現する。
プラズマ重合膜は、原料モノマーガスとして、前述の
炭化水素等を用い、このモノマーガスの放電プラズマを
磁性層に接触させることにより重合膜を形成するもので
ある。
このようにモノマーガスをプラズマ励起することによ
り、モノマーガスの活性種が重合堆積するので、緻密
で、機械的かつ化学的に安定な膜が形成される。このた
め、耐久性、耐食性が高く、3〜8Åと薄い膜厚でも十
分高い機能を発揮する。
これに対し米国特許4,418,126には、やはり炭化水素
のプラズマ重合膜トップコートを有する磁気記録媒体が
開示されているが、このものは原料モノマーガスのすべ
てをプラズマ励起するものでなく、プラズマ励起された
キャリヤーガスの活性種によりモノマーを重合堆積する
プラズマ誘起重合(plasma induced polymerization)
であるので、膜の緻密さに劣り、化学的、機械的強度に
劣り、このため十分な耐食性、耐久性がえられない。
プラズマ重合の原理について概説すると、気体を低圧
に保ち電場を作用させると、気体中に少量存在する自由
電子は、常圧に比べ分子距離が非常に大きいため、電界
加速を受け5〜10eVの運動エネルギー(電子温度)を獲
得する。
この加速電子が原子や分子に衝突すると、原子軌道や
分子軌道を分断し、これらを電子、イオン、中性ラジカ
ルなど、通常の状態では不安定の化学種に解離させる。
解離した電子は再び電界加速を受けて、別の原子や分
子を解離させるが、この連鎖作用で気体はたちまち高度
の電離状態となる。そしてこれはプラズマガスと呼ばれ
ている。
気体分子は電子との衝突の機会が少ないのでエネルギ
ーをあまり吸収せず、常温に使い温度に保たれている。
このように、電子の運動エネルギー(電子温度)と、
分子の熱運動(ガス温度)が分離した系は低温プラズマ
と呼ばれ、ここでは化学種が比較的原型を保ったまま重
合等の加成的化学反応を進めうる状況を創出しており、
本発明はこの状況を利用してベースフィルム上にプラズ
マ重合膜を形成しようとするものである。なお低温プラ
ズマを利用するため、ベースフィルムや磁性層の熱影響
は全くない。
ベースフィルム表面にプラズマ重合膜を形成する装置
例が第1図に示してある。第1図は、周波数可変型の電
源を用いたプラズマ重合装置である。
第1図において、反応容器Rには、原料ガス源511ま
たは512から原料ガスがそれぞれマスフローコントロー
ラ521および522を経て供給される。ガス源511または512
から別々のガスを供給する場合は、混合器53において混
合して供給する。
原料ガスは、各々1〜250ml/分の流量範囲をとりう
る。
反応容器R内には、被処理ベースフィルム支持装置が
設置され、ここでは磁気テープ用のフィルムの処理を目
的として、繰出しロール561と巻取りロール562が示して
ある。
被着磁気記録媒体の形態に応じて様々の支持装置が使
用でき、例えば載置式の回転支持体装置が使用されう
る。
被処理ベースフィルムを間に挟んで対向する電極55
1、552が設けられており、一方の電極551は周波数可変
型の電源54に接続され、他方の電極552は接地されてい
る。
さらに、反応容器R内には、容器内を排気するための
真空系統が配備され、そしてこれは液体窒素トラップ5
7、油回転ポンプ58および真空コントローラ59を含む。
これら真空系統は反応容器内を0.01〜10Torrの真空度の
範囲に維持する。
操作においては、反応容器R内がまず10-3Torr以下に
なるまで油回転ポンプにより容器内を排気し、その後原
料ガスが所定の流量において容器内に混合状態で供給さ
れる。
このとき、反応容器内の真空は0.01〜10Torrの範囲に
管理される。
フィルムの移行速度ならびに原料ガスの流量が安定す
ると、周波数可変型電源がオンにされる。こうして、移
行中のベースフィルムにプラズマ重合膜が形成される。
本発明では、モノマーガスを直接プラズマ雰囲気下に
さらしモノマーガスをプラズマ励起するものである。
一般にプラズマ重合に際しては、モノマーガスととも
にキヤリヤーガスを用いることが知られている。
しかし本発明ではキヤリヤーガスを使用せず、実質的
にモノマーガスのみをプラズマ励起するものである。
この場合、実質的にモノマーガスのみとは、容量比で
キャリヤーガスを0.005以下にすることである。
このように実質的にモノマーガスのみをプラズマ励起
することにより、耐久走行後のジッター、エンベロープ
特性が格段と良化する。
なお、特開昭60−263311号には、炭化水素ガスのみを
プラズマ励起するトップコート膜が記載されているが、
このものには3〜8Åの膜厚および後述のW/F・M条件
で成膜したものは開示されていない。
なお、用いてもよいキャリアーガスとしてはAr,N2,H
e,H2などがある。
さらに、プラズマ処理の条件はW/F・Mで1×108〜1
×1010(Joule/kg)の条件が好適である。ただし、W:プ
ラズマ電力(Joule/sec)、F:原料ガス流量(kg/se
c)、M:原料モノマーガス分子量である。
W/F・Mが1012をこえると、下地に対するダメージが
大となり、W/F・Mが107より小さいとプラズマ重合膜の
緻密さが不十分となる。
ただし、W/F・Mが107〜1012でも安定走行性の点では
必ずしも十分でなく、耐久走行後のジッターやエンベロ
ープ特性が悪化し、走行摩擦やドロップアウトが増加す
ることがある。これらの特性を良化するためには1×10
8〜1×1010であることが必要である。
なお、キャリヤーガスを用いる場合、FおよびMには
キャリヤーガスのそれは算入しない。
なお、印加電流、処理時間等は通常の条件とすればよ
い。
プラズマ発生源としては、上述した高周波数放電の他
に、マイクロ波放電、直流放電、交流放電等いずれでも
利用できる。
このように形成されるプラズマ重合膜は、炭素と水素
の原子比(C/H比)が1〜6のものである。
このようなC/H比をもつプラズマ重合膜は耐食性、耐
久性の向上効果が顕著である。
これに対し、C/H比1未満では、耐食性、耐久性、強
度の点で実用に耐えず、また6をこえると、耐久走行後
の出力低下がきわめて大きくなり実用に耐えない。
なお、C/H比は、SIMS(2次イオン質量分析)等に従
えばよい。SIMSを用いる場合、本発明のトップコート膜
は3〜8Åであるので、トップコート膜表面にて、Cお
よびHをカウントして算出すればよい。
あるいは、Ar等でイオンエッチングを行いながら、C
およびHのプロファイルを測定して算出することもでき
る。
SIMSの測定については、第3巻 表面科学基礎講座
(1984)表面分析の基礎と応用(P70)“SIMSおよびLAM
MA"の記載に従えばよい。
また、成膜直後のプラズマ重合膜と水との接触角は60
°〜120°であることが好ましい。
60°未満では耐久性、耐食性の点で実用に耐えない。
また、120°をこえるプラズマ重合膜を炭化水素膜でつ
くるのは困難であり、また実用上その必要性がないから
である。
このようなプラズマ重合膜と水との接触角は、プラズ
マ重合の際の原料ガスの種類と流量プラズマ重合条件に
よって実験的に求めることができる。
本発明のプラズマ重合膜上には、さらに有機物塗膜を
形成してトップコート膜とする。このとき、走行性、耐
久性はより一層すぐれたものとなり耐久走行後にジッタ
ー特性、エンベロープ特性の劣化がなく、ドロップアウ
トや走行摩擦の増大も少なくなる。また、プラズマ重合
膜は有機物塗膜のアンカー層としてもきわめて有効であ
り、機械的強度も高く、この点からもすぐれた耐久性、
耐食性、安定性を示す。
このような場合、有機物塗膜の膜厚は10〜50Å、より
好ましくは20〜40Åであることが好ましい。
10Å未満では走行性等の改良に十分ではなく、50Åを
こえるとスペーシングロスが増大し、耐久性に劣り、耐
久走行後にドロップアウトや素行摩擦が増大し、エンベ
ロープ特性やジッター特性が悪化する。
なお、塗膜ではなく蒸着膜等の有機物気相成長膜を用
いるときには、耐久走行後に走行摩擦やドロップアウト
が増大する。
このような有機物塗膜は、有機フッ素化合物を含有す
るものが好適である。
有機フッ素化合物としては、好ましくは炭素原子数2
〜20のパーフルオロアルキル基を有する各種化合物が好
適である。
パーフルオロアルキル化合物としては、特開昭61−10
4318号、同60−93637号、同61−104328号、同60−61918
号、同61−113126号、同60−140534号、同57−191831
号、同60−93634号、同59−146442号、同59−9177号、
同58−77032号、同58−73018号、同57−200940号、同57
−200939号、同57−152543号、同61−107529号、同61−
107528号、同60−127519号、同60−107732号、同60−22
9221号、同61−105723号、同61−202330号、同56−8723
6号、同61−120340号、同61−120339号、同61−120331
号、同60−109028号、同58−29147号、同57−44226号、
同61−57038号、同61−165821号等に記載のパーフルオ
ロアルキル基を有するエーテル、ポリエーテル、チオエ
ーテル、ポリチオエーテル、カルボン酸、スルホン酸あ
るいはこれらの誘導体や塩体さらにはパーフルオロアル
キル基を有するケイ素化合物、ポリマー等がある。
また、これらのパーフルオロアルキル化合物は、放射
線硬化型の不飽和結合とパーフルオロアルキル基を有す
る化合物であってもよい。
これら不飽和結合を有するパーフルオロアルキル化合
物としては、特開昭61−240430号、同61−122923号、同
61−211827号、同60−229221号等に記載のパーフルオロ
アルキル基とアクリル基あるいはメタクリル基等の不飽
和結合を有する化合物が好適である。
これら各種パーフルオロアルキル化合物はそれ自体で
有機物塗膜を形成してもよく、あるいは他の成分を併用
して有機物塗膜とすることができる。また、パーフルオ
ロアルキル化合物は併用してもよい。
ただし、パーフルオロアルキル化合物は、有機物塗膜
の10wt%以上、好ましくは25wt%以上含有されることが
好ましい。
さらに、本発明における有機物塗膜は、必要に応じ、
有機フッ素化合物以外の化合物であって、放射線により
硬化可能な化合物を含有し、これを放射線硬化したもの
であってもよい。このような化合物としては、放射線硬
化型のモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられ、特
開昭60−261020号、同61−912号、同61−8722号、同60
−254418号、同61−11930号、同61−11929号、同61−91
1号、同60−254417号、同60−231909号、同60−226016
号、同60−253019号、同60−258724号、同61−9820号、
同61−13432号、同61−8729号、同61−8730号、同61−1
3438号等に記載のものが挙げられる。そして、これらに
記載されたもののうら、パーフルオロアルキル基を有す
るものは、前述のようにすぐれた効果を発揮する。
このような組成成分を含有する有機物塗膜は、通常グ
ラビアコート、リバースロールコート、エアーナイフコ
ート、エアードクターコート等を用いて設層される。ま
た、不飽和結合を有する化合物を用いるときには、放射
線加速器を線源とした電子線、Co60を線源したγ−線、
Sr90を線源したβ−線、X線発生器を線源としたX線あ
るいは紫外線等の放射線を照射して効果させられる。照
射量は、0.1〜20Mradの範囲が好ましい。
本発明の有機物塗膜には、必要に応じてさらに公知の
種々の潤滑剤、酸化防止剤、硬化剤等を含有してもよ
い。
塗布溶剤としては、MEK、シクロヘキサノン、MIBK等
のケトン系、IPA等のアルコール系、トルエン等の芳香
族系、ジクロロエタン等のハロゲン系などの1種以上が
用いられる。
潤滑剤としては従来この種の磁気記録媒体に用いられ
ている潤滑剤、例えばシリコーンオイル、フッ素オイ
ル、アルコール、脂肪族、エステル、パラフィン、流動
パラフィン、界面活性剤等を用いることができる。
さらに、潤滑剤として上記諸公報に記載の放射線硬化
型のものも好適に用いることができる。
酸化防止剤、硬化剤等としては上記諸公報のもの等公
知のものはいずれも使用可能である。
このように、表面にプラズマ重合膜を形成する磁性層
としては、強磁性金属薄膜層からなり、Coを主成分と
し、これにOを含み、さらに必要に応じNiおよび/また
はCrが含有される組成を有する。
すなわち、好ましい態様においては、Co単独からなっ
てもよく、CoとNiからなってもよい。Niが含まれる場
合、Co/Niの重量比は、1.5以上であることが好ましい。
さらに、強磁性金属薄膜層中には、Crが含有されてい
てもよい。
Crが含有されると、電磁変換特性が向上し、出力およ
びS/N比が向上し、さらに膜強度も向上する。
このような場合、Cr/CoあるいはCr/(Co+Ni)の重量
比は0.1以下、特に0.001〜0.1より好ましくは0.005〜0.
05であることが好ましい。
さらに、強磁性金属薄膜中にはOが含有されるもので
ある。
強磁性金属薄膜中の平均酸素量は、原子比、特にO/
(CoまたはCo+Ni)の原子比で、0.5以下、より好まし
くは0.05〜0.5であることが好ましい。
この場合、強磁性金属薄膜層の表面では、酸素が強磁
性金属(Co,Ni)と酸化物を形成している。
すなわち、表面部、特に表面から50Å〜500Å、より
好ましくは50〜200Åの厚さの範囲には、オージェ分光
分析により、酸化物を示すピークが認められるものであ
る。そして、この酸化物層の酸素含有量は、原子比で0.
5〜1.0程度である。
なお、このような強磁性金属薄膜中には、さらに他の
微量成分、特に遷移元素、例えばFe,Mn,V,Zr,Nb,Ta,Ti,
Zn,Mo,W,Cu等あるいはC等が含まれていてもよい。
このような強磁性金属薄膜層は、好ましい態様におい
て、上記したCoを主成分とする柱状結晶粒の集合体から
なる。
この場合、強磁性金属薄膜層の厚さは、0.05〜0.5μ
m、好ましくは、0.07〜0.3μmとされる。
そして、柱状の結晶粒は、薄膜の厚さ方向のほぼ全域
に亘る長さをもち、その長手方向は、支持体の主面の法
線に対して、10〜70°の範囲にて傾斜していることが好
ましい。
なお、酸素は、表面部の柱状の結晶粒の表面に前記の
とおり化合物の形で存在するものである。
また、強磁性金属薄膜層の酸素の濃度勾配の何如には
特に制限はない。
また、結晶粒の短径は、50〜500Å程度の長さをもつ
ことが好ましい。
このような強磁性金属薄膜層を形成する支持体は、非
磁性のものでありさえすれば特に制限はないが、特に可
とう性の支持体、特にポリエステル、ポリイミド等の樹
脂製のものであることが好ましい。
また、その厚さは、種々のものであってよいが、特に
5〜20μmであることが好ましい。
この場合、支持体の強磁性金属薄膜層形成面の裏面に
は、公知の種々のバックコート層、例えば特願昭61−22
1330号に記載のものが形成されていてもよい。
なお、支持体と強磁性金属薄膜層との間には、必要に
応じ、公知の各種下地層を介在させることもできる。
また、もし必要であるならば、強磁性金属薄膜層を複
数に分割したり、必要に応じその間に非強磁性金属薄膜
層を介在させてもよい。
媒体表面には、特願昭61−221330号記載の微細な突起
を形成することが好ましい。
この突起は通常、微粒子を支持体上に配設するか、あ
るいは微粒子を支持体表面にねりこむかして形成すれば
よい。
磁性層の形成は電着、蒸着、イオンプレーティング等
を用いることもできるが、いわゆる斜め蒸着法によって
形成されることが好ましい。
この場合、支持体法線に対する、蒸着物質の入射角の
最小値は、20°以上とすることが好ましい。
入射角が20°未満となると、電磁変換特性が低下す
る。
なお、蒸着雰囲気は、通常、アルゴン、ヘリウム、真
空等の不活性雰囲気に、酸素ガスを含む雰囲気とし、10
-5〜100pa程度の圧力とし、また、蒸着距離、支持体搬
送方向、キャンやマスクの構造、配置等は公知の条件と
同様にすればよい。
そして、酸素雰囲気での蒸着により、表面に金属酸化
物の被膜が形成される。なお、金属酸化物が形成される
酸素ガス分圧は、実験から容易に求めることができる。
なお、表面に金属酸化物の被膜を形成するには、各種
酸化処理が可能である。
適用できる酸化処理としては下記のようなものがあ
る。
1)乾式処理 a.エネルギー粒子処理 特願昭58−76640号に記載したように、蒸着の後期
に、イオンガンや中性ガンにより酸素をエネルギー粒子
として磁性層にさしむけるもの。
b.グロー処理 O2,H2O,O2+H2O等とAr,N2等の不活性ガスとを用
い、これをグロー放電してプラズマを生じさせ、このプ
ラズマ中に磁性膜表面をさらすもの。
c.酸化性ガス オゾン、加熱水蒸気等の酸化性ガスを吹きつけるも
の。
d.加熱処理 加熱によって酸化を行うもの。加熱温度は60〜150℃
程度。
2)湿式処理 a.陽極酸化 b.アルカリ処理 c.酸処理 クロム酸塩処理、過マンガン酸塩処理、リン酸塩処理
等を用いる。
d.酸化剤処理 H2O2等を用いる。
V 発明の具体的効果 本発明によれば、高密度磁気記録媒体においてスペー
シングロスを生じることなく耐食性のきわめてよい磁気
記録媒体をうることができる。
また、破断強度の非常に強い磁気記録媒体をうること
ができる。
さらに、プラズマ重合は気相系反応であって、高密度
架橋薄膜がえられ、防錆効果の向上に重要な役割を果し
ているものと思われる。加えて、プラズマ重合法は高速
での連続生成が可能であるため、磁気記録媒体製造工程
に容易に組み込むことができ、その生産性を阻害しな
い。また、プラズマ重合法により生成された薄膜は、磁
気記録媒体の磁気特性、電気特性、記録密度特性を何ら
損うことなく、上述した表面特性が大幅に改善される。
そして、走行摩擦も小さく走行安定性にすぐれ、しか
も耐久性が高く、耐久走行後のジッター特性、エンベロ
ープ特性の劣化が少なく、ドロップアウトや走行摩擦の
増大や出力の減少も少ない。
さらに、本発明では、このプラズマ重合膜上に有機物
塗膜を形成するため、上記の効果はきわめて高いもので
ある。
VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。
実施例1 厚さ10μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製
の支持体を、真空槽中に設けた冷却用ロールに沿わせて
走行させながら、Co−Ni合金をEBガンで加熱しO2を導入
しつつ蒸着した。
この場合バックグラウンドの圧力は、5×10-5Torr、
O2導入後の圧力は2×10-4Torrとした。
また、蒸着の入射角は、90°から30°まで連続的に減
少させた。
組成は、Co80−Ni20(重量比)であり、膜厚は薬1500
Åとした。
次に、これを真空チャンバ中に入れ、一旦10-3Torrの
真空に引いた後、モノマーガスとして、下記表1に示す
ガス状炭化水素を用い、キャリアガスとしてArを表1に
示す割合で導入し、ガス圧0.1Torrに保ちながら500Wの1
3.56MHzの高周波電圧をかけてプラズマを発生させ、プ
ラズマ重合膜を磁性層上に形成した。
表1には膜厚、W/F・M、C/H比を併記する。なお、膜
厚はエリプソメーターにて測定し、5Å以下の膜厚につ
いては重合時間から求めた。
このようにして、磁性層上に、表1に示されるプラズ
マ重合膜を形成した。
なお、これらプラズマ重合膜の元素分析は、SIMSで測
定した。
さらに、下記有機物塗膜A〜Gをプラズマ重合膜上に
設層し、表1に示されるサンプルを作製した。
有機物塗膜A 以下の組成物 重量部 C8F17−C2H4 −OCO−CH=CH2 0.3 ステアリン酸ブチル 0.3 シクロヘキサノン 100 を混合し、これを塗布、乾燥したのち、N2ガス中で150K
eV、6mA、3Mradの条件で電子線照射し30Å厚さの塗膜を
形成した。
有機物塗膜B 有機物塗膜Aにおいて膜厚を5Åとした。
有機物塗膜C 有機物塗膜Aにおいて膜厚を80Åとした。
有機物塗膜D 有機物塗膜Aにおいて、組成物を以下の組成物にかえ
た(膜厚30Å) 重量部 C8F17−C2H4−OPOOC2H4OCOCH=CH2)2 0.3 ミリスチン酸ブチル 0.3 シクロヘキサノン 100 有機物塗膜E 以下の組成物を膜厚30Åに塗布乾燥した 重量部 パーフルオロオクチルカルボン酸 0.5 ステアリン酸ブチル 0.5 シクロヘキサノン 100 有機物塗膜F 以下の組成物を膜厚30Åに塗布、乾燥した。
重量部 カルボキシ含有パーフルオロアルキルポリエーテル (デユポン社製KRYTOX 157FS) 0.5 ステアリン酸ブチル 0.5 シクロヘキサノン 100 有機物蒸着膜G パーフルオロオクチルカルボン酸を1×10-2Paにて真
空蒸着した(膜厚30Å)。
有機物蒸着膜H KRYTOX 157FSの固形分を1×10-2Paにて真空蒸着した
(膜厚30Å)。
これら各サンプルについて特性を測定した。
なお、特性の測定は以下のとおりである。
(1)耐食性 初期および60℃、相対湿度80%にて3日間保存後のΔ
φm/φm(%)を測定した。
(2)破断強度 引張力により破断する強度を測定した。
(3)出力低下 100パス走行後、4MHzの信号の減少量(dB)を測定し
た。
(4)エンベロープ変動(%) 各サンプルにおける60℃、90%RH、200パス耐久走行
後のエンベロープ幅の最大値を100%としたときの最小
値を%で表示した。
(5)ドロップアウト(個/分) (4)の耐久走行後のドロップアウトを測定した。
(6)ジッター(μsec) 前記(4)の耐久走行後にジッターメータを接続して
測定した。
(7)走行摩擦(μ) 初期および0℃での200パス後のμを測定した。
これらの結果を表1に示す。
これらの結果から、本発明の効果があきらかである。
【図面の簡単な説明】 第1図は直流、交流および周波数可変型電源を使用した
プラズマ処理装置の概略図である。 符号の説明 53……混合器、54……直流、交流および周波数可変型電
源、57……液体窒素トラップ、58……油回転ポンプ、51
1,512……処理ガス源、521,522……マスフローコントロ
ーラ、561,562……繰出しおよび巻取りロール

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に強磁性金属薄膜を有し、この強
    磁性金属薄膜上にトップコート膜を有し、トップコート
    膜がプラズマ重合膜と、このプラズマ重合膜上に形成さ
    れた有機物塗膜とを有する磁気記録媒体において、プラ
    ズマ重合膜が炭素および水素を含む膜厚3〜8Åのプラ
    ズマ重合膜であり、かつこのプラズマ重合膜の炭素/水
    素の原子比が1〜6であり、プラズマ重合膜の形成が、
    W/F・M〔ここに、Wはプラズマ投入電力(Joule/se
    c)、Fはモノマーガス流量(kg/sec)、Mはモノマー
    ガスの分子量〕が1×108〜1×1010Joule/kgの条件で
    実質的に炭化水素モノマーガスのみをプラズマ励起して
    行われることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】有機物塗膜が有機フッ素化合物を含有する
    特許請求の範囲第1項に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】有機フッ素化合物がパーフルオロアルキル
    基を含有する特許請求の範囲2項に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】有機物塗膜が不飽和結合を有する化合物の
    塗膜を放射線硬化したものである特許請求の範囲第1項
    に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】不飽和結合を有する化合物がパーフルオロ
    アルキル基を有する特許請求の範囲第4項に記載の磁気
    記録媒体。
  6. 【請求項6】有機物塗膜の厚さが10〜50Åである特許請
    求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の磁気記
    録媒体。
  7. 【請求項7】強磁性金属薄膜がCoを主体とする蒸着膜で
    ある特許請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記
    載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】強磁性金属薄膜がOを含む特許請求の範囲
    第7項に記載の磁気記録媒体。
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