JP2518740Y2 - 水中吸音くさび - Google Patents

水中吸音くさび

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JP2518740Y2
JP2518740Y2 JP1991086475U JP8647591U JP2518740Y2 JP 2518740 Y2 JP2518740 Y2 JP 2518740Y2 JP 1991086475 U JP1991086475 U JP 1991086475U JP 8647591 U JP8647591 U JP 8647591U JP 2518740 Y2 JP2518740 Y2 JP 2518740Y2
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嘉継 大道
澄夫 原田
浩 内田
達夫 菊池
浩 堀井
薫 中村
良三 高橋
周一 大西
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Yokohama Rubber Co Ltd
Kawasaki Motors Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、水中における音波を
吸収する水中吸音くさびに係わり、更に詳しくは吸音性
能全体の周波数帯域を広げることが出来る水中吸音くさ
びに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、水中における音波を吸収する水
中吸音くさびは、通常、音響水槽(水中において、音波
による物体からの反射,透過等を測定するための水槽)
等の内壁面に取付けられ、壁面からの反射波を抑制する
場合に用いられたり、また、海水中を伝搬した微弱な音
波を受波する受波器に対して、直接入射する音波のみを
受波し、受波器背面の隔壁等からの不必要な反射波が受
波器に再入射することを防ぐために用いられている。
【0003】ところで、従来の粘弾性体を用いた水中吸
音くさびは、例えば、図6〜図8に示すように、気孔1
を内在させた長さLの異なる複数のくさび状平板吸音板
2a,2b,2cを所定の間隔を隔てて取付け鉄板3上
に、平行或いは斜めに組合せて垂直に立設させ、更に、
低周波数の音波を吸収させる場合には、十分な長さをも
つくさび状平板吸音板4を配設していた。
【0004】上記のように、くさび状平板吸音板2a,
2b,2cの表面を、くさび型に形成するのは、音響イ
ンピーダンスを徐々に変化させて水または海水との整合
性を図り、表面からの反射を防ぐためである。上記のよ
うなくさび状平板吸音板2a,2b,2cで吸音性能を
向上させるには、次のような方法がある。即ち、低周波
数領域を向上させるには、図7及び図8に示すように、
くさび状平板吸音板2a,2b,2cの長さLを長くす
れば良く、また高周波数領域については、背の低いくさ
びを間隔を狭くして取付ければ良い。
【0005】
【考案が解決しようとする問題点】然しながら、くさび
状平板吸音板2a,2b,2cの長さLは、周波数に反
比例して長くなるため、長いくさび状平板吸音板2a,
2b,2cを直立させるための固定方法に工夫が必要と
なったり、装備場所によっては、寸法的に取付けられな
い場合があると言う問題があった。
【0006】一方、間隔を狭くして多くの平板吸音板を
取付ける場合も、固定方法が複雑になり、更に、平板吸
音板の寸法や数を増やすことは、質量の急激な増大を招
くと言う問題があった。この考案は、かかる従来の課題
に着目して案出されたもので、くさび状平板吸音板に対
して、大きさ,質量等の装備性を満足する条件で、適用
可能周波数範囲の拡大を図ることが出来る水中吸音くさ
びを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するため、取付け鉄板と、複数のくさび状平板吸音板
の下部との間に、前記くさび状平板吸音板が吸音する周
波数帯域とは異なる低周波数領域または高周波数領域に
共振点を持つ粘弾性体から成る平面状吸音板を、前記
さび状平板吸音板と直交する向きで、かつ前記取付け鉄
板に直接接するように配設したことを要旨とするもので
ある。
【0008】
【考案の作用】この考案は上記のように構成され、細長
いくさび状平板吸音板を取付ける代わりに、くさび状平
板吸音板の底部(背面部)に、低周波数領域に共振点を
持つ整合型になるように設計した平面状吸音板を直交す
る向きに配設することで、くさび状平板吸音板の高さを
大幅に増加させないで、周波数範囲を低周波数領域側に
広げることが可能となるまた長さの短いくさび状平板
吸音板を多く取付ける代わりに、必要とする高周波数領
に共振点を持つ整合型になるように設計した平面状吸
音板を直交する向きに配設することで、複雑な固定金具
等を使用することなく、高周波数領域の吸音性能を確保
することが出来るものである。
【0009】
【考案の実施例】以下、添付図面に基づき、この考案の
実施例を説明する。図1は、この考案を実施した水中吸
音くさびの断面図を示し、この水中吸音くさびは、ゴム
等の粘弾性体から構成され、内部に複数の気孔が形成さ
れたくさび状平板吸音板本体10は、この実施例では、
比較的、低周波数領域の吸収性能を確保するために長さ
Laが長いくさび状平板吸音板10aと、高周波数領域
の吸収性能を確保するために長さLbが多少短いくさび
状平板吸音板10bとにより構成され、くさび状平板吸
音板本体10の底部(背面部)と、取付け鉄板11との
間には、くさび状平板吸音板本体10が吸音する周波数
帯域とは異なる低周波数領域または高周波数領域に、
求される周波数帯域に整合するように設計された整合型
の平面状吸音板12がくさび状平板吸音板本体10と直
交する向きに配設されている。
【00010】上記の整合型の平面状吸音板12は、主
として、低周波数領域側の吸音性能を向上させるもの
と、主として高周波数領域側の吸音性能を向上するもの
のいずれかに重点指向し、必要とする周波数に共振点を
もつような構造及び厚さに設計するものである。実際に
は、整合型の平面状吸音板12と、くさび状平板吸音板
本体10との周波数領域をそれぞれの吸収材に分担さ
せ、総合的な吸音性能を確保できるようにするため、ゴ
ム材料を用いた整合型の平面状吸音板12の設計は勿
論、くさび状平板吸音板本体10についても、その長
さ、ゴム材料内部で気孔等で内在させる空気量や、くさ
び状平板吸音板本体10の取付け間隔等、細部にわたっ
て設計する必要がある。
【00011】次に、低周波数領域の吸収性能を向上さ
せる場合と、高周波数領域側の吸音性能を向上させる場
合について具体的に説明する。[a].低周波数領域の
吸収性能を改善する場合図2に示すように、細長いくさ
び状平板吸音板を取付ける代わりに、長さLの異なる3
種類のくさび状平板吸音板13a,13b,13cを所
定の間隔で配設し、このくさび状平板吸音板13a,1
3b,13cの底部と、取付け鉄板11との間に、低周
波数領域の吸収性能を改善するために設計された平面状
吸音板12を直交する向きに貼付けて配設する。これ
は、平面状吸音板12に低周波数領域に共振点を持つ整
合型になるように設計することで実現させようとするも
ので、吸音性能としては、図3に示すようになる。個々
のくさび状平板吸音板13a,13b,13cと、平面
状吸音板12との周波数に対する吸音性能は、図3の破
線に示すようになるが、総合的な吸収性能は、実線に示
すようになり、吸音材全体の高さを大幅に増加させない
で、周波数範囲を低周波数領域側に広げることが可能と
なる。また、平面状吸音材薄いため、質量の急激な増
加はないと考えられる。
【00012】[b].高周波数領域の吸収性能を改善
する場合高周波数領域の吸収性能を改善させる目的で、
図4に示すように長さLの短いくさび状平板吸音板13
d,13e,13fを多く取付ける代わりに、平面状吸
音板12をくさび状平板吸音板13d,13e,13f
の低部と取付け鉄板11との間に直交する向きに配設す
ることで、複雑な固定金具を使用することなく、高周波
数領域の吸収性能を確保することが出来るものである。
【00013】この場合、平面状吸音板12は、必要と
する高周波数領域の吸収性能を確保出来るように構造及
び厚み等を設計すれば良い。以上のように構成すること
により、装備可能な大きさの範囲内で、低周波数領域及
び高周波数領域の周波数を広げることが可能となり、特
に、くさび状平板吸音板本体10の長さに直接影響する
低周波数領域の吸収性能を向上させる効果は大きいもの
がある。
【00014】次に、低周波数領域の吸収性能を改善し
た実施例を説明すると、まず、図9に示すような長さの
異なる複数のくさび状平板吸音板のみを使用した場合の
吸音性能と、図10に示すこの考案にかかる低周波数領
域の性能向上を図った平面状吸音板のみを使用した吸音
性能及び上記の二つの吸音板を併用した場合の吸音性能
を計測した。図11は、上記の計測結果であり、周波数
と反射低減量との関係を示すグラフであって、測定はい
ずれも水圧3kg/cmのもとで実施した。
【00015】図11から明らかなように、平面状吸音
板が低周波数領域の吸収性能を改善していることが判
る。なお、ここで反射低減量とは、完全反射体の反射量
と、被測定吸音板との反射量の比である。
【0016】
【考案の効果】この考案は、上記のように取付け鉄板
と、複数のくさび状平板吸音板の下部との間に、前記く
さび状平板吸音板が吸音する周波数帯域とは異なる低周
波数領域または高周波数領域に共振点を持つ粘弾性体か
ら成る平面状吸音板を、前記くさび状平板吸音板と直交
する向きで、かつ前記取付け鉄板に直接接するように
設したので、くさび状平板吸音板に対して、大きさ,質
量等の装備性を満足する条件で、適用可能周波数範囲の
拡大を図ることが出来、特に、くさび状平板吸音板本体
の長さに直接影響する低周波数領域の吸収性能を著しく
向上させることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案を実施した水中吸音くさびの断面図で
ある。
【図2】低周波数領域の吸収性能を改善する場合の水中
吸音くさびの断面図である。
【図3】低周波数領域の吸収性能を示すグラフ説明図で
ある。
【図4】高周波数領域の吸収性能を改善する場合の水中
吸音くさびの断面図である。
【図5】高周波数領域の吸収性能を示すグラフ説明図で
ある。
【図6】従来の水中吸音くさびの断面図である。
【図7】従来の水中吸音くさびの内面図である。
【図8】従来の水中吸音くさびの断面図である。
【図9】長さの異なる複数のくさび状平板吸音板の斜視
図である。
【図10】低周波数領域の性能向上を図った平面状吸音
板の斜視図である。
【図11】計測結果を示す周波数と反射低減量との関係
を示すグラフ説明図である。
【符号の説明】
10 くさび状平板吸音板本体 11 取付け鉄板 12 整合型の平面状吸音板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 内田 浩 神奈川県川崎市宮前区菅生ケ丘9−1− 101 (72)考案者 菊池 達夫 神奈川県横浜市金沢区並木2−6−4− 202 (72)考案者 堀井 浩 千葉県柏市松葉町5丁目1−7−404 (72)考案者 中村 薫 神奈川県横浜市戸塚区俣野町1403 ドリ ームハイツ14−701 (72)考案者 高橋 良三 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)考案者 大西 周一 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 平3−125740(JP,A) 特開 平1−209498(JP,A) 実開 平2−139212(JP,U)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取付け鉄板上に、長さの異なる粘弾性体
    から成る複数のくさび状平板吸音板を所定の間隔を隔て
    て垂直に立設させた水中吸音くさびにおいて、前記取付
    け鉄板と、複数のくさび状平板吸音板の下部との間に、
    前記くさび状平板吸音板が吸音する周波数帯域とは異な
    る低周波数領域または高周波数領域に共振点を持つ粘弾
    性体から成る平面状吸音板を、前記くさび状平板吸音板
    と直交する向きで、かつ前記取付け鉄板に直接接するよ
    うに配設したことを特徴とする水中吸音くさび。
JP1991086475U 1991-10-23 1991-10-23 水中吸音くさび Expired - Lifetime JP2518740Y2 (ja)

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JPH0538698U JPH0538698U (ja) 1993-05-25
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01209498A (ja) * 1988-02-17 1989-08-23 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 水中吸音楔
JPH02139212U (ja) * 1989-04-25 1990-11-21
JP2703811B2 (ja) * 1989-10-06 1998-01-26 株式会社神戸製鋼所 吸音構造

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