JP2515137B2 - 紫外線吸収方法 - Google Patents

紫外線吸収方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は粒子径300Å以下の結晶質酸化第二セリウム
ゾルを使用することを特徴とする紫外線吸収方法に関
し、このゾルを用いてガラス、高分子フィルム等へのコ
ーティング、高分子材料、塗料等への内添等を行うこと
による紫外線の吸収方法に関する。
(従来の技術) 従来、太陽光等からの光線から紫外線のみを吸収する
方法として、ガラスにおいては紫外線吸収能を有する無
機化合物を加えて紫外線吸収ガラスが製造されている。
しかし、この紫外線吸収ガラスは、前記無機化合物とし
て一般に酸化チタン、クロム酸、酸化鉄、酸化セリウ
ム、酸化バナジウム等が使用され、内添して製造される
が、所望する紫外線吸収能を得るためには多量の化合物
の添加が必要となり、その結果、原料コストが高くなる
ばかりでなく、ガラスが着色し、用途に制約がある。
この問題を解決する方法として、PVD法(物理的蒸着方
法)、CVD法(科学的蒸着方法)を利用し、紫外線吸収
能を有する化合物をガラス面に蒸着させる方法が近年考
え出されている。
しかし、PVD法では原料としてチタン、アルミニウム等
の金属が使用される結果、これを蒸着させると、ガラス
やフィルムの透明感が著しく損なわれることから問題と
なる。
またCVD法によると、原料に無水塩化物や昇華性物質を
使用するため、蒸着時に腐蝕性ガスが発生したり、ある
いは密閉炉内で高温下に蒸着を行うために、その際の蒸
着ガスのコントロールが難しく、均一な薄膜を得ること
が困難である。また、その際に使用する装置は大型化
し、製造コストが高くなるなどの欠点があった。
一方、最近では自動車ガラス等に紫外線吸収能をもた
せる要求が強く、従来以上に大型ガラスの表面加工技術
が必要となってきており、蒸着法では益々困難且つコス
ト高となる傾向にある。
従って、現在CVD法に代わる安価で大型品に対しても均
一な薄膜の得られる方法の開発が要求されている。
一方、プラスチック、繊維、塗料等の材料の紫外線吸
収方法として、従来より有機系の各種紫外線吸収剤を用
いる方法が知られており、コーティング、内添等の方法
により紫外線吸収能の付与が行われている。
従来より知られる有機系の紫外線吸収剤として、サリシ
レート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、
置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダ
ードアミン系等がある。
しかし、これらの紫外線吸収剤は、プラスチックやフィ
ルムの加工時の様に、処理温度が高くなると熱により変
質、揮発あるいは昇華することから、その用途には自ず
と制限がある。
また、処理を行った材料表面の紫外線吸収剤は、水によ
り溶出したり、あるいは容易に接触物へ移行したり、酸
化に対する安定性が充分でなかったりと、まだ改良しな
ければならない多くの問題を残している。
更に、食品包装用材料等に用いる場合には、無害な吸収
剤を用いる必要があり、無害で加工性の良い紫外線吸収
剤が要求されている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らはこれらの実情に鑑み、透光性、紫外線吸
収性に優れ、また高分子材料等への内添時には、吸収剤
の分散性に優れ、更には材料表面へのコーティング時に
は、コーティング性、密着性に優れ、且つ容易に使用で
きる安価な紫外線吸収材料を得るべく、各種の材料につ
いて鋭意検討を重ねた。
(課題を解決するための手段) その結果、本発明者らが先に開発した結晶質酸化第二
セリウムゾルが、前記問題点を回避しうることを見出
し、係る知見に基づき本発明を完成したものである。
即ち、本発明は結晶質酸化第二セリウムゾルを使用す
ることを特徴とする紫外線吸収方法に関する。
而して、本発明はガラス、高分子材料表面にコーティ
ングする方法、あるいは塗料、高分子材料へ内添する方
法等、紫外線の吸収を行う各種目的用途に利用できる。
(作用) 以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用する粒子径300Å以下の結晶質酸化第二セ
リウムゾルは、本発明者らが先に発明した特許(特願昭
62−306575号)に記載する方法により得ることができる
ものである。
先ず、その製造方法について改めて詳記する。
本発明で使用するゾルの製法は、セリウム塩化合物と
アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアとを反応させ
ゲルを生成させた後、これを水熱処理することを基本と
する。
反応に使用するセリウム塩化合物としては、硫酸第二
セリウム、硝酸第二セリウムアンモニウム、硫酸第二セ
リウムアンモニウム、酢酸第一セリウム、塩化第一セリ
ウム、硝酸第一セリウムアンモニウム、硝酸第一セリウ
ム、硫酸第一セリウム等を例示できる。
また、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を例示する
ことができる。
製造法として、先ず前記のセリウム塩化合物とアルカ
リ金属の水酸化物たはアンモニアとを反応させゲルを生
成させる。
このゲルの製造条件に関して云えば、両者の反応時の
温度は大略10〜90℃で行う。また、これらの使用割合に
関しては、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニア
(A)とセリウム塩化合物に由来する酸根(B)との当
量比がA/Bとして大略0.9〜1.3の範囲となるように各々
を使用する。
尚、セリウム・アンモニウム複塩使用の場合には、エン
モニウム塩に由来する酸根は、上記(B)から除いた量
で算出する。
添加順序に関して特段限定はなく、セリウム塩化合物
とアルカリ金属の水酸化物またはアンモニアのいずれか
一方を先に、あるいは両者を同時に添加反応させてもよ
い。尚、第一セリウム塩を用いる場合には、ゲル生成
後、第一セリウムは第二セリウムに徐々に酸化される
が、酸化時間が長くまた酸化率が低いことより、工業的
には適当な酸化剤を併用することが好ましい。
このようにして得られたゲルは、次いでろ過、洗浄を
行い、ゲル中の不純物を除去する。
この残存不純物は、酸化第二セリウムゾルの製造上、
また用途上、少なくする必要があり、例えば上述のろ過
洗浄作業を全く行わない場合には、得られるゾルは不安
定なものとなり、本発明で使用するゾルを得ることがで
きない。
ろ過、洗浄手段に関しては特に限定されず、通常用い
られているフィルタープレスや遠心ろ過のような注水ろ
過、リパルプー遠心分離法等の任意の手段を用いること
ができる。
ろ過、洗浄後のゲルに次いで酸を添加し、水熱処理に
供する。添加する酸の種類としては、塩酸、硝酸、酢
酸、蟻酸、乳酸、グリコール酸等を例示できる。また酸
の添加量はゲル中のCeO21モルに対して0.01〜1.00モル
の範囲とする。この場合に、酸の添加量がこの範囲を逸
脱すると、分散性に優れたゾルを得ることができない。
尚、酸の添加は水熱処理後でもよく、酸の添加と水熱処
理の順序は特段限定されるものではない。
水熱処理条件に関しては、温度は100℃以上で行う
が、一般に処理温度が高く、また処理時間が長くなる
程、結晶形の発達が良好となり、粒径の大きなコロイド
粒子が得られる。
また、100℃を下回る温度での処理は、長時間行っても
コロイド粒子が結晶化せず、たとえ一部が結晶化しても
その結晶化度は著しく低く、非晶質の性質が残るものし
か得ることができず、本発明の目的を達成することがで
きない。
尚、本発明ゾルの製法によると、ゾルの各用途に応じ
て水熱処理条件を選択し、所望する粒子径のゾルを得る
ことができ、その制御が水熱処理条件の選択によって可
能である点が大きな特徴である。
次いで、水熱処理して得られたゾルを乾燥工程に供す
る。
乾燥方法は、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の任意の
手段を用いることができる。乾燥条件は、加熱乾燥によ
る場合には、添加した酸が蒸発または変質しない温度で
行う。
乾燥によってゾル溶液中の水分のみを除去し、粉末化す
ることで、これを再溶解した時のゾル液は、極めて安定
なものとなる。
尚、前工程に於いて、酸の添加を水熱処理前に行い、
且つ酸の添加量をゲル中のCeO21モルに対して0.2モル
以上で行う場合には、この乾燥操作を行わなくとも本発
明で使用するゾルを得ることができる。
即ち、この乾燥工程は、ゾルの製造条件の選択によって
は特段必要なものではない。この様にして、本発明で使
用する粒子径300Å以下の結晶質酸化第二セリウムゾル
を得ることができる。
尚、このようにして得ることができるゾルは、通常水に
分散した水系ゾルとして用いるが、ゾルの使用目的、用
途によっては、分散媒を有機溶媒とした有機溶媒系ゾル
として用いることもできる。
この有機溶媒系ゾルの得るためには、例えばアニオン
系界面活性剤を前記水系ゾルの表面に吸着させ、これを
有機溶媒に分散させればよい。
尚、アニオン系界面活性剤の種類としては、ジスルホン
酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム等を例示できる。
また、有機溶媒の種類としては、界面活性剤の種類、ゾ
ルの使用用途により異なり、特段限定できないが、トル
エン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、石油エー
テル、クロロホルム、ブタノール、オクタノール、メチ
ルエチルケトン、四塩化炭素等が例示できる。
次に、このゾルを使用する本発明の紫外線吸収方法に
ついて以下詳記する。
先ず、ガラス材料への紫外線吸収能の付与方法について
云えば、前記本発明のゾルを各種のコーティング方法に
より、ガラス面にコーィング処理を行う。
本発明で使用するゾルは、ゾルを水系で使用する場合に
は、ガラスとの濡れ性が殊に優れていることから、平板
ガラスのみならず、ガラス瓶のような異形のものにもデ
ィップ法、スプレー法等により容易に表面コーティング
を行うことができる。
この様にしてコーティングしたガラスは、好ましくは
4000〜500℃で焼成処理を行う。即ち、焼成を行うこと
により、堅牢なコーティング被膜を得ることができる。
その適用例を列挙すると、自動車ガラス、蛍光灯、白熱
電球、ショーウィンドウ用窓ガラス、照明灯カバー等の
紫外線吸収、酒、ビール等の着色瓶の代替え、化粧品用
瓶の紫外線吸収等があるが、これらの例に限定されるも
のではない。
また、電球や蛍光灯の内面に紫外線吸収処理を行う場
合には、コーティング後に乾燥処理のみを行えばよく、
特段焼成処理は必要でない。
更に、水系ゾルの場合には、例えばポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイド等の水溶性高分子とは任意
の割合で相溶することから、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹
脂のフィルム、繊維、プラスチック等の表面に容易にコ
ーティング処理を行うことができる。
また、濡れの悪い場合には、それらの表面のプラズマ放
電加工を行っても良いし、あるいは界面活性剤での処理
を行っても良い。また、有機溶媒系ゾルを使用してもよ
い。
コーティングの方法としては、スプレー法、ロールコ
ーティング法、カーテンコーティング法、ディップコー
ティング法、スピンコーティング法、ラミネーションコ
ーティング法等が例示できる。
また、前述の熱可塑性樹脂の種類としては、塩化ビニ
ル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリス
チレン樹脂、アクリルニトリル−スチレン系樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ブタジエン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化
ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アイオ
ノマー樹脂、エチレン−塩ビ共重合樹脂、エチレン−酢
ビコポリマー樹脂、エチレン酢ビ−塩ビグラフト重合樹
脂、ポリフェニレン樹脂、ポリサルホン樹脂、メタクリ
ル樹脂、ポリプロピレン樹脂等を例示できる。
更に、熱硬化性樹脂の種類としては、ビニルエステル樹
脂、フラン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グア
ナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族ポ
リエステル樹脂、ジアクリルフタレート樹脂等を例示で
きる。
また別に、塗料用樹脂として、ケトン樹脂、エポキシ
樹脂、キシレン樹脂、マレイン樹脂、フェノキシ樹脂、
クマロン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂等が例示でき、これらの樹脂にゾルを内
添してもよい。
尚、ゾルを内添する場合に於いては、プラスチック添
加剤としての可塑剤、塩ビ安定剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、難燃剤、着色剤、滑剤等を用途により併用しても
よい。
また、結晶質酸化第二セリウムゾルの使用量について
は、紫外線吸収方法により広範囲に変わるため特段限定
できないが、例えばガラス表面にこの水系ゾルをコーテ
ィングする場合では、通常、薄膜は0.1〜2μmの範囲
となる量が好適である。
また、高分子フィルム面に、例えばトルエンに分散させ
た有機溶媒系ゾルを塗布し、乾燥させて紫外線吸収層を
形成させるような場合では、塗布層の可撓性が悪く、数
十回の折曲げによりクラックが発生するという問題を生
じる。従って、これを防止するためには、ゾル液中に予
め塗料用の樹脂等を添加しておくとよい。
またこの場合に、ゾルの添加量は概ね50重量%以下が好
ましく、これ以上ではフィルム基材と同様の可撓性が得
られない。
またその際の膜厚は、概ね0.5〜30μmの範囲とするが
好適であり、吸収しようとする紫外部波長範囲にもよる
が、190〜350nmまでの範囲を吸収しようとするならば、
その添加量は少量で良く、また190〜420nmまでの広範囲
を吸収しようとするならば、添加量は多量となり、膜厚
も1μm以上は必要となる。
更に、膜厚を数十μmと厚くする塗料のような用途に用
いる場合には、ゾルの含量量は少量であっても差し支え
ない。
(発明の効果) 以上の様に、本発明は紫外線吸収方法として、粒子径
300Å以下の結晶質酸化第二セリウムゾルを使用するこ
とに特徴を有するが、本発明はこのゾルの使用により、
紫外線吸収に於いて、以下の様な従来にない効果を有す
る。先ず、紫外線吸収方法として、従来硝酸セリウム、
塩化セリウム、硝酸セリウムアンモニウム等の水溶液を
用いてガラス面にコーティングすると、乾燥後、セリウ
ム塩の結晶がガラス面に晶析し、均一透明な薄膜が得ら
れなかった、また、これを焼成して酸化第二セリウム組
成とした場合でも、ガラスへの密着性がなく、ガラスか
ら剥離するという問題があった。更に、前述の塩をイオ
ン交換樹脂を用いて脱塩し、Ce(OH)mCl4-mで示されるよ
うな塩基性塩水溶液または無定形のゾル状物とした用い
た場合には、コーティング後は不均一となり、所望の薄
膜とするために多層コーティングを行うと、透光性が低
下し、透明な薄膜が得られないという問題がある。
これに対して、本発明で使用する粒子径300Å以下の
結晶質酸化第二セリウムゾルは、前述のような塩と異な
り、酸化セリウム組成のゾルであるため、硝酸、塩酸、
アンモニアなどの不要成分が非常に少なく、また既に結
晶形をしていることより、成膜後の乾燥並びに焼成時の
収縮が少なく、緻密な膜を得ことができ、紫外線吸収性
能に於いても非常に優れている。
また、本発明の紫外線吸収方法は、ゾルを水系で用い
る場合には、ゾルとガラスとの漏れ特性が特に優れてい
るので、平板への適用のみならず、ガラス瓶のような異
形のものにもディップ法、スプレー法等のコーティング
方法により、簡単にガラス表面へのコーティングが行え
ることも本発明の大きな特徴である。
酸化第二セリウムの塩は、本来黄色の化合物であり、
これをガラスに内添して使用した場合には、ガラスは黄
味を帯び、また使用量がかなり多くなることより、高価
なものとなる。
しかし、本発明の方法を採用すれば、コーティング法に
よりガラス表面に1μ以下の厚みの膜を形成すると、殆
ど視覚的には無色透明に見えることによって、着色の問
題は解決される。
本発明の方法は、紫外線を遮蔽したいあらゆる用途に
適用できる方法であり、塗料への適用時の様に、内添す
る方法により行っても良いが、結晶質酸化第二セリウム
ゾルの特徴が最もよく発揮されるのは、殊に透明性、光
透過性が要求されるような用途に適用する場合である。
即ち、本発明で使用する結晶質酸化第二セリウムゾル
は、結晶質であり、粒子径が300Å以下であるから、光
を散乱させないため、透明性が非常に良い。
また、このゾルは熱や紫外線により変質劣化することが
なく、紫外線吸収能は長期にわたり非常に安定であり、
また毒性もないことから、従来の有機系紫外線吸収剤の
使用時の問題をほぼ解決するものである。
尚、例えば塗料等のように被適用物に予め有機溶媒が入
っている場合は、ゾル粉末を添加混合することにより容
易に塗料内でゾル化することができる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を揚げ更に説明を行うが、本発
明はこれらに限定されるものではない。また、%は特に
断わらない限り全て重量%を示す。
実施例1 硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液(CeO22.0%)5
000gと水酸化ナトリウム水溶液(Na1.5%)3380gを予め
水1000gを加えておいた反応槽中に攪拌下、別々の定量
ポンプで約1時間を要して同時に添加した。この時の反
応液温度は21℃であった。
反応後、ゲルをろ別水洗し、CeO217.33%、NO30.3
%、Na及びNH3は20ppm以下のウエットケーキを得た。
このウエットケーキ200gに水145gを加えて均一なスラ
リーとし、これをオートクレーブに入れ、120℃で6時
間の水熱処理を行った。
水熱処理後、塩酸(HCl35%)4.2gを添加し、均一に
混合した。
このスラリーを100℃で恒量になるまで乾燥させ、本
発明で使用する粒子径50Åの結晶質酸化第二セリウムゾ
ル粉末を得た。
このゾル粉末を水に分散させ、CeO220%の水溶液を調
製し、これを石英ガラスにコーティング処理した。
次いでこれを乾燥し、500℃で1時間の焼成処理を行っ
た。
尚、コーティング処理は500rpmの条件で行い、装置はミ
カサ(株)製スピンナー1H−02型を使用した。
焼成処理後、コーティングガラスの紫外から可視領域
の吸収をみるため、分光光度計((株)島津製作所製UV
−260型)を使用し、波長190〜900nmの範囲の光透過率
を測定した。測定結果を第1図に示した。
また、コーティング面の厚さを繰り返し反射干渉計
((株)溝尻光学工業所製)を使用して測定した結果、
0.38μmであった。
実施例2 実施例1で得たゾル粉末10gを、ポリビニルアルコー
ル水溶液(固形分5%)300gに溶解させ、紫外線吸収供
試液を得た。
この供試液をガラス板上にロールコーティングし、10
0℃で1時間の乾燥焼付けを行い、紫外線吸収膜を形成
させたガラス板を得た。
このガラス板は、実施例1の水系ゾルのコーティング
膜に比べ、ガラス板への密着製、耐磨耗性が優れてい
た。尚、耐傷性(鋭い金属による傷)は、実施例1の焼
成処理品に比べて劣っていた。
実施例3 実施例2で調製した紫外線吸収供試液を、食品包装用
ポリビニルアルコールフイルムにロールコーティング
し、徐々に乾燥を行って紫外線吸収膜を形成させたフィ
ルムを得た。
このフィルムは、基板フィルムとの密着性が良く、50
0回のおりまげテスト結果でも処理を行わないフィルム
と変わらず、可撓性は優れていた。
紫外線による退色性がある緑色染色カーテン布を、本
発明の処理を施したポリビニルアルコール袋に入れ、こ
れをウェザーメーター(スガ試験機(株)製)に入れて
紫外線による退色テストを行った。
その結果、処理を行わなかったフィルムに入れた布
は、700時間で退色が著しかったが、本発明の処理を行
った布は、2000時間でも僅かに退色した程度であった。
実施例4 ポリアクリレートシートに実施例2で得た紫外線吸収
供試液をロールコーティングし、これをゆっくり温風乾
燥させて積層シートを得た。
また比較のために、ポリビニルアルコールのみを使用
して同様にコーティングを行い、積層シートを得た。
これらのシートをウェザーメーターに入れ、紫外線劣
化の促進テストを行った。
その結果、ゾルを使用せずに処理したシートは、表面に
無数のクラックが入ったが、本発明の方法によるゾルを
使用したシートは、クラックが全く入らなかった。
実施例5 硫酸酸性とした硫酸第二セリウム水溶液(CeO28.0
%、SO425.0%)2000gに、水酸化ナトリウム水溶液(Na
OH10%)5410gを撹拌下で添加し、ゲルを生成させた。
このゲルをろ過洗浄し、洗浄液中にSO4 2-イオンが認め
られなくなるまで充分にこれを繰り返し、CeO218.3%の
ゲルを得た。
このゲル200gに、HCl/CeO2モル比0.3となるように塩
酸(HCl35%)6.6gと水159.4gを加え、これを耐酸型オ
ートクレーブに入れ、140℃で24時間の水熱処理を行っ
た。
水熱処理後に得られたゾル(CeO210%)200gに、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム(日本油脂(株)
製、商品名ニューレックス)5%水溶液の138gを加えて
均一に混合した後、これにトルエン200gを加えて撹拌
し、2時間静置した。
静置後水相からトルエン相へ移行した結晶質酸化第二セ
リウムゾルのトルエン相を分取し、本発明で使用する有
機溶媒系のゾル(CeO210%)を得た。尚、このゾルの粒
子径は120Åであった。
この有機溶媒系ゾル(CeO210%)の100部をアルキド
樹脂80部、アクリル樹脂20部、メラミン樹脂20部、酸化
チタン54部と混合し、自動車用厚膜塗料を調製した。
脱脂処理した鉄板上に塗料を厚膜コーティングし、紫
外線劣化の促進テスト用供試体を得た。また比較のため
に、上記ゾルを使用せずに同様に処理を行い、テスト用
供試体を得た。ウェザーメーターで劣化促進テストを行
い、黄変、白化、光沢劣化等の塗膜の外観を観察した結
果、本発明ゾルを使用した塗膜は、ゾルを使用しないも
のに比べて約3倍の期間、膜の劣化が遅れた。
実施例6 重合度1300のポリ塩化ビニル100部、ジ−2−エチル
ヘキシルフタレート50部、トリクレジルホスフェート4
部に、実施例5で調製した有機溶媒系結晶質酸化第二セ
リウムゾルの100部を加熱混練し、ロール厚延加工法に
より0.1mm厚のフィルムを製造した。
また比較のために、ゾルを使用せず同様にフィルムを
製造した。
このフィルムを施設園芸用のトンネルに展張し、耐候
性の試験を行った結果、ゾルを使用して製造したフィル
ムは、未使用のフィルムに比べて強度の低下が少なく、
大幅に耐候性を改善させることができた。
また、ゾルを使用することによってフィルムの硬度が
大幅に向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得た結晶質酸化第二セリウムゾル
をガラスにコーティング処理したものの紫外から可視領
域の光透過率を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子径300Å以下の結晶質酸化第二セリウ
    ムゾルを使用することを特徴とする紫外線吸収方法。
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