JP2515085Y2 - 農用管理機における無段変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本考案は、農用管理機の動力伝動部に装備する無段変
速装置に関するものである。

（ロ） 従来の技術 従来、回転軸上にプーリ片の円錐面を対向させて一方
のプーリ片に凹凸状のカム体を連結して前記カム体にカ
ム受け体を嵌合状態に位置させ、カム体を操作してプー
リ片の間隔を任意に変更してＶベルトの巻掛位置を無段
階に変更可能にしたベルト式無段変速装置が存在する。

（ハ） 考案が解決しようとする課題 ところが、プーリ片を作動させるカム体及びカム受け
体の支持が不安定であるからプーリの軸方向の移動が円
滑にできず、また、カム体を操作するワイヤーの取付構
造が複雑で、その操作が確実にできないものであった。
しかも、無段変速装置全体が大型となっていた。

（ニ） 課題を解決するための手段 本考案では、エンジンの出力軸に固定側プーリ片を固
定して取付けると共に、同出力軸に移動側プーリ片をボ
ス部を介して回転自在かつ軸線方向に摺動自在に取付け
て、両プーリ片にそれぞれ形成した円錐面を対向させて
配置し、移動側プーリ片のボス部の外周面に凹凸状カム
を有するカム体を回転自在かつ軸線方向に一体摺動可能
に取付ける一方、同カム体に対向させて配置したカム受
け体にカム受けローラを設け、同カム受けローラをカム
体の凹凸状カムに当接させ、同凹凸状カムにより回転と
共に軸線方向に摺動するカム体の回転・摺動動作に移動
側プーリ片の摺動動作を連動させて、同移動側プーリ片
と固定側プーリ片の間隔を変更自在とし、両プーリ間に
巻掛けたＶベルトの巻掛け位置を無段階に変更自在とし
たベルト式無段変速装置において、テンションアームを
装着するテンション支点軸にアイドラプーリを位置さ
せ、かつ、テンション支点軸とカム受け体に固定された
カム受けステーとを連結板にて連結し、さらに、同連結
板に、ワイヤー先端をカム体に連結した変速操作用ワイ
ヤーのアウターワイヤーを取付けたことを特徴とする農
用管理機における無段変速装置を提供せんとするもので
ある。

（ホ） 作用 エンジンの出力軸に固定側プーリ片と移動側プーリ片
とを対向させて設けて変速用Ｖプーリを構成し、これに
Ｖベルトを巻掛けてテンションローラとアイドラプーリ
との働きにより後方の主軸プーリを駆動するように構成
しており、したがって、機体の走行速度を高速にする場
合は、手元側の変速レバーを高速側へ操作すると、変速
操作用ワイヤーの先端がカム体を時計方向に回動させ
る。そして、カム体の回動によりカム受け体のカム受け
ローラがカム体を押圧するために、カム体は移動側プー
リ片を内側方向に移動させる。そして、同移動側プーリ
片を固定側プーリ片に接近させてその間隔を狭くしてＶ
ベルトの接触位置を大径とする。これと同時にテンショ
ンローラが自動的に作動してＶベルトの張力を調整し、
主軸プーリを高速で回転させることができるものであ
る。また、速度を低速とする場合は、変速レバーを上記
とは逆に操作すると、カム体は反時計方向に回動し、同
時に移動側プーリ片は固定側プーリ片に対して離れた状
態になる。したがって、Ｖベルトの接触位置が小径とな
り主軸プーリは低速で回転するものである。

（ヘ） 効果 以上の如く、本考案においては、Ｖベルトの巻掛位置
を無段階に変更自在としたベルト式無段変速装置におい
て、カム受け体にカム受けローラを設けてカム体に当接
させると共に、テンションアームを装着するテンション
支点軸にアイドラプーリを位置させ、かつ、テンション
支点軸とカム受け体に固定されたカム受けステーとを連
結板にて連結したものであるから、カム受け体の固定が
確実で、その連結構造がコンパクトに構成され、しかも
確実に固定できるものである。

そして、上記連結板に、ワイヤー先端をカム体に連結
した変速操作用ワイヤーのアウターワイヤーを取付けた
ものであるから、ワイヤ取付位置と、カム体の距離が最
適となり、移動側プーリ片が軸方向に移動しても、ワイ
ヤーの引張操作は常に円滑にできるものである。そし
て、全体として構造が簡単でありながら、農用管理機に
よる各種作業を能率的に行うことができるものである。

（ト） 実施例 本考案の実施例を図面にもとづき詳説すれば、第１図
において、（１）は農用管理機のミッションケースで、
前部にエンジンフレーム（２）を設けてエンジン（３）
を搭載している。（４）はミッションケース（１）の上
部に、後方に延設するハンドル台で、後方に手元ハンド
ル（５）を連結している。（６）はミッションケース
（１）の後方に連設する耕耘部で、耕耘フレーム（７）
を介して耕耘ケース（８）を縦方向に位置させており、
同耕耘ケース（８）の下部両側には耕耘爪軸（９）を装
着している。（10）は耕耘爪、（11）は耕耘フレーム
（７）に装着する耕耘カバー、（12）は尾輪である。ま
た、ミッションケース（１）の下部両側には車軸（13）
を設けて走行車輪（14）（14）を装着している。

また、第２図及び第３図において、（15）はエンジン
（３）の出力軸で、軸上に無段変速機構（16）を装着し
ている。

（17）はミッションケース（１）の上部側方に突設す
る主軸で、主軸プーリ（18）を固着している。

次に、第２図〜第４図において、無段変速機構（16）
を詳説すると、（19）はエンジン側出力軸（15）に固着
された固定側プーリ片で、同固定側プーリ片（19）と、
外側に円錐面（20）を有すると共に内側に円錐面（21）
を対向状に設ける移動側プーリ片（22）とによって変速
用Ｖプーリ（23）を構成している。（24）は出力軸（1
5）上に止めネジ（25）により固定する固定カラーで、
内側面にて前記固定側プーリ片（19）の移動を規制して
いると共に、外周部には移動側プーリ片（22）及び、同
移動側プーリ片（22）の内側凹部（22−１）に嵌るボー
ルベアリング（26）を軸支している。

（27）は移動側プーリ片（22）のボス部（28）の内径
部に前後２ケ所に設ける摺動部材、（29）は前後の摺動
部材（27）の間で固定カラー（24）上に突設する規制ピ
ン、（30）は移動側プーリ片（22）のボス部（28）外周
に嵌装するボールベアリングで、同ボールベアリング
（30）の外周には、円周面に凹凸状カム（31）を有する
カム体（32）を支持している。（33）はカム体（32）の
外側に一体的に突設するカムステーで連結ピン（34）を
設けている。（35）は前記固定カラー（24）の先端に連
結する支持カラーで、外周にボールベアリング（36）を
介してカム受け体（37）を嵌合している。（38）は前記
カム受け体（37）の外周に複数個設けたカム受けローラ
で、支軸（39）を介して回転自在に装着されていると共
に、同カム受けローラ（38）は前記凹凸状カム（31）に
当接している。（40）はカム受けローラ（38）の内径部
に設けるブシュ、（41）はカム受け体（37）の外周に突
設するカム受けステー、（42）は移動側プーリ片（22）
のボス部（28）に設けるボールベアリング（30）を固定
する止め輪、（43）は前記支持カラー（35）を出力軸
（15）に固定する固定ボルトである。

また、（44）はテンションローラで、テンションアー
ム（45）を介して基部をミッションケース（１）に取付
けたテンション支点軸（46）に装着されている。（47）
はテンションアーム（45）のボス部、（48）はテンショ
ン支点軸（46）の先端側（49）にボールベアリング（5
0）を介して回転自在に設けるアイドラプーリ、（51）
は基部（51−１）をテンション支点軸（46）の先端面
（52）に固着しながら、先端部（51−２）を前記カム受
けステー（41）と連結した連結板である。

（53）は連結板（51）の先端側の固定ボルト、（54）
はエンジン出力軸側の変速用Ｖプーリ（23）と、主軸プ
ーリ（18）との間に巻掛けたＶベルトで、第３図に示す
如くテンションローラ（44）及びアイドラプーリ（48）
にも接触している。

（55）はテンションローラ軸（56）上にテンションロ
ーラ（44）を回転自在に支持するボールベアリング、
（57）はテンションアーム（45）の内側に突設するバネ
掛けピン、（58）はミッションケース（１）の上部前側
に設けるバネ掛け座で、前記テンションアーム（45）の
バネ掛けピン（57）との間に引張バネ（59）を張設し
て、テンションアーム（45）を常時上方に引張るように
している。（60）は主軸プーリ（18）を主軸（17）に固
定する固定ボルト、（61）は座金である。

そして、前記連結板（51）の中央部側面には、変速操
作用ワイヤー（62）のアウターワイヤー（63）の先端
（64）を装着するアウターワイヤー受け（65）を固着し
ている。そして、前記変速操作用ワイヤー（62）の先端
部（66）はカムステー（33）の連結ピン（34）と連結し
ている。

（67）はアウターワイヤー受け（65）と変速操作用ワ
イヤー（62）の先端部（66）との間に介装する戻しバネ
で、前記変速操作用ワイヤー（62）の外周に嵌装してい
る。（68）はエンジンに装着する無段変速機構（16）と
主軸プーリ（18）の外側全体をカバーするベルトカバ
ー、（69）は内側に設ける取付カバーである。また、
（70）はベルトカバー（68）を締付ける締付ボルト、
（71）は手元側ハンドル（５）の右側に装備する変速レ
バーで、前記変速操作用ワイヤー（62）の基部を連結し
ている。（72）は手元ハンドル（５）の左側に装備する
主クラッチレバーである。

本考案の実施例の態様は上記のように構成されてお
り、したがって、エンジン（３）を始動させてエンジン
（３）の出力軸（15）を回動させると、同出力軸（15）
上に固着された固定側プーリ片（19）が一体となって回
転し、移動側プーリ片（22）との間に挾持するＶベルト
（54）を回動させる。そして、テンションローラ（44）
とアイドラプーリ（48）との働きにより後方の主軸プー
リ（18）を駆動するものである。

そして、機体の走行速度を高速にする場合は、手元ハ
ンドル（５）の変速レバー（71）を高速（ａ）側に操作
すると、変速操作用ワイヤー（62）の先端部（66）が戻
しバネ（67）に抗して引張られて、これに連結するカム
ステー（33）を時計方向に回動させる。そして、カムス
テー（33）の回動によりカム受け体（37）のカム受けロ
ーラ（38）がカム体（32）の凹凸状カム（31）を押圧す
るために、同カム体（32）は内側方向に移動する。そし
て、ボールベアリング（30）を介して移動側プーリ片
（22）が軸方向に移動して固定側プーリ片（19）に接近
する。また、両プーリ片（19）（22）の間隔（ｌ）が狭
くなることによりＶベルト（54）の接触位置が大径とな
り、したがって、テンションローラ（44）が自動的に下
方に作動してＶベルトの張力を調整し、主軸プーリ（1
8）を高速で回転させることになり、同時に機体の走行
速度が速くなるものである。

また、機体の走行速度を低速とする場合は、変速レバ
ー（71）を、上記とは逆に低速側（ｂ）に操作すると、
変速操作用ワイヤー（62）の先端部（66）が戻しバネ
（67）により上方に引張られて移動して、これに連結す
るカムステー（33）を反時計方向に回動させる。したが
って、移動側プーリ片（22）が外側方に移動して固定側
プーリ片（19）との間隔が広くなって、Ｖベルト（54）
の接触位置が小径となり、同時にテンションローラ（4
4）が引張りバネ（59）の働きにより上方に移動してＶ
ベルト（54）の張力を自動的に調整する。そして、主軸
プーリ（18）を低速で回転させ、同時に機体の走行速度
が遅くなる。

以上の如く本考案においては、Ｖベルトの巻掛位置を
無段階に変更自在としたベルト式無段変速装置におい
て、カム受け体（37）にカム受けローラ（38）を設けて
カム体（32）に当接させると共に、テンションアーム
（45）を装着するテンション支点軸（46）にアイドラプ
ーリ（48）を位置させ、かつ、テンション支点軸（46）
とカム受け体（37）に固定されたカム受けステー（41）
とを連結板（51）にて連結したものであるから、カム受
け体（37）の固定が確実で、その連結構造がコンパクト
に構成され、しかも確実に固定できるものである。

そして、上記連結板（51）に、ワイヤー先端（66）を
カム体（32）に連結した変速操作用ワイヤー（62）のア
ウターワイヤー（63）を取付けたものであるから、ワイ
ヤ取付位置と、カム体（32）の距離が最適となり、移動
側プーリ片（22）が軸方向に移動してもワイヤーの引張
操作は常に円滑にできるものである。そして、全体とし
て構造が簡単でありながら、農用管理機による各種作業
を能率的に行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図は
本考案装置を装備する農用管理機の全体斜視図、第２図
は本考案要部の平断面図、第３図は同要部の側面図、第
４図は同要部の拡大断面図、第５図はテンションアーム
部の側面図である。 （３）：エンジン （15）：出力軸 （19）：固定側プーリ片 （20）：円錐面 （21）：円錐面 （22）：移動軸プーリ片 （31）：凹凸状カム （32）：カム体 （33）：カムステー （37）：カム受け体 （38）：カム受けローラ （41）：カム受けステー （51）：連結板 （54）:Vベルト （62）：変速操作用ワイヤー （63）：アウターワイヤー （66）：ワイヤー先端 （ｌ）：間隔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン（３）の出力軸（15）に固定側プ
   ーリ片（19）を固定して取付けると共に、同出力軸（1
   5）に移動側プーリ片（22）をボス部（28）を介して回
   転自在かつ軸線方向に摺動自在に取付けて、両プーリ片
   （19）（22）にそれぞれ形成した円錐面（20）（21）を
   対向させて配置し、 移動側プーリ片（22）のボス部（28）の外周面に凹凸状
   カム（31）を有するカム体（32）を回転自在かつ軸線方
   向に一体摺動可能に取付ける一方、同カム体（32）に対
   向させて配置したカム受け体（37）にカム受けローラ
   （38）を設け、同カム受けローラ（38）をカム体（32）
   の凹凸状カム（31）に当接させ、 同凹凸状カム（31）により回転と共に軸線方向に摺動す
   るカム体（32）の回転・摺動動作に移動側プーリ片（2
   2）の摺動動作を連動させて、同移動側プーリ片（22）
   と固定側プーリ片（19）の間隔（ｌ）を変更自在とし、
   両プーリ（19）（22）間に巻掛けたＶベルト（54）の巻
   掛け位置を無段階に変更自在としたベルト式無段変速装
   置において、 テンションアーム（45）を装着するテンション支点軸
   （46）にアイドラプーリ（48）を位置させ、かつ、テン
   ション支点軸（46）とカム受け体（37）に固定されたカ
   ム受けステー（41）とを連結板（51）にて連結し、さら
   に、同連結板（51）に、ワイヤー先端（６）（６）をカ
   ム体（32）に連結した変速操作用ワイヤー（62）のアウ
   ターワイヤー（63）を取付けたことを特徴とする農用管
   理機における無段変速装置。