JP2514995B2 - 経皮、経粘膜による物質の吸収を促進する組成物 - Google Patents

経皮、経粘膜による物質の吸収を促進する組成物

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JP2514995B2
JP2514995B2 JP62334999A JP33499987A JP2514995B2 JP 2514995 B2 JP2514995 B2 JP 2514995B2 JP 62334999 A JP62334999 A JP 62334999A JP 33499987 A JP33499987 A JP 33499987A JP 2514995 B2 JP2514995 B2 JP 2514995B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、経皮、経粘膜による体内への吸収が必ずし
も十分でない薬物や化粧品等に使用される医薬部外品等
の生理的に活性な物質等の経皮、経粘膜による物質の吸
収を促進する組成物に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
医薬品については全身や局部での薬効を得るために薬
物の経皮、経粘膜による投与が行われている。又、化粧
品については各種の生理活性物質の局部的な改善効果を
得るために経皮吸収が行われている。
これらの経皮的投与方法は経口、経管投与に比較して
被投与物質が肝臓を経由しないので分解代謝を受け難
く、胃腸障害が避けられる等の利点を有している。
しかしながら、経皮、経粘膜投与では、被投与物質が
皮膚や粘膜を透過し難く、特に経皮投与の場合、皮膚の
角質層の存在がバリヤーとなり、分子量の大きい生理活
性物質の体内への透過が困難で、被投与物質の利用率を
高める事が望まれている。
この点を改善するため、非イオン系界面活性剤、アル
コール類、アルコールのエステル類の使用で透過性を高
めるとか、サリチル酸、尿素、ジメチルスルフォキシ
ド、ジメチルアセトアミド等の角質を溶解する作用のあ
る物質を作用させるなどの方法が取られている。
しかしながら、これらの方法によっても、その効果は
必ずしも十分でない上、吸収促進物質自体が皮膚刺激作
用を持つなどの欠点を有する場合が有り、安全で効果的
な吸収促進剤は知られていない。
従って、本発明の目的は、安全で、被投与物質の経
皮、経粘吸収促進効果の大きい組成物を提供する事にあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、必須の構成成分として、モノアシルグリ
セロフォスフォリピドを10重量%以上含有し、実質的に
モノ及びジアシルグリセロフォスフォリピドからなる混
合物であるアシルグリセロフォスフォリピド、及び、
−(1)炭素原子数14〜22の不飽和脂肪酸のモノグリセ
リド又は上記不飽和脂肪酸と炭素原子数14〜22の飽和脂
肪酸との混合脂肪酸のモノグリセリドであって、沃素価
30以上及びモノエステル含量40重量%以上の不飽和脂肪
酸モノグリセリド及び/又は−(2)炭素原子数8〜
12の脂肪酸のモノエステル含量40重量%以上の中鎖脂肪
酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の脂肪酸モノ
グリセリドを含有し、前記アシルグリセロフォスフォ
リピドに対する前記脂肪酸モノグリセリドの重量比が
/=10/90〜90/10であることを特徴とする経皮、経
粘膜による物質の吸収を促進する組成物を提供すること
により、前記目的を達成したものである。
以下、本発明の経皮、経粘膜による物質の吸収を促進
する組成物について詳述する。
本発明の組成物の必須の構成成分であるアシルグリ
セロフォスフォリピドは、モノアシルグリセロフォスフ
ォリピドを10重量%以上含有し、実質的にモノ及びアシ
ルグリセロフォスフォリピドからなる混合物であれば特
に制限はないが、実用的には、油糧種子から油脂を搾油
する場合に副生する、例えば大豆燐脂質やナタネ燐脂質
のごときもの、或いは卵黄レシチンや動物の組織から得
られるジアシルグリセロフォスフォリピドを、これに水
を加えて微生物由来のフォスフォリパーゼA−1若しく
はパンクレアチン由来やヘビ毒由来のフォスフォリパー
ゼA−2によって加水分解し、共存する脂肪酸及びトリ
グリセリド等の不純物をアセトン等で処理して除去する
ことによって得られる、部分分解されたアシルグリセロ
フォスフォリピド等が用いられる。
また、前記アシルグリセロフォスフォリピドは、モ
ノ又はジアシル基を持つ各種のフォスファチドの混合物
である事が好ましい。即ち、フォスファチジルコリン、
フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジル
イノシトール、フォスファチジン酸及びフォスファチジ
ルセリン等のモノアシル体及びそれらのジアシル体の混
合物である事が好ましい。又、前記アシルグリセロフ
ォスフォリピド中のモノアシル体の比率は、モノアシル
体とジアシル体との合計量に対して10重量%以上、好ま
しくは25重量%以上であるのが良い。モノアシル体含量
の上限は特にないが、80重量%以上としても効果の向上
は見られず、しかもモノアシル体含量が多いものは高価
であるから、80重量%以上のものは不経済である。
更に、前記アシルグリセロフォスフォリピドは、燐
酸基に結合する基(コリン、エタノールアミン等)が同
一であるものの割合が75重量%以下であるのが好まし
い。含水アルコール等の溶媒を用いたり、また他の常用
される手法によってこれらの脂質を分別し、燐酸基に結
合する基が同一なものの割合を75重量%以上としたも
の、例えば、主としてジアシルフォスファチジルコリン
とモノアシルフォスファチジルコリンとの混合物からな
るもの等では十分な効果が得られない場合がある。
本発明の前記アシルグリセロフォスフォリピドの原
料として有用な燐脂質としては、例えば、大豆燐脂質、
ナタネ燐脂質、卵黄燐脂質が挙げられるが、他の燐脂質
等も使用でき、又、フォスファチジルコリン以外の成分
の一部を欠くものであっても良い。
大豆燐脂質、ナタネ燐脂質及び卵黄燐脂質に含有され
る燐脂質は以下の通りである。
(a)大豆燐脂質 フォスファチジルコリン 15〜30重量% リゾフォスファチジルコリン 1〜 4重量% フォスファチジルエタノールアミン 12〜27重量% リゾフォスファチジルエタノールアミン 0〜 2重量% フォスファチジルイノシトール 10〜20重量% リゾフォスファチジルイノシトール 0〜 1重量% フォスファチジルセリン 3〜 4重量% フィトグリコリピド 5〜14重量% フォスファチジン酸 1〜 4重量% (b)ナタネ燐脂質 フォスファチジルコリン 12〜32重量% リゾフォスファチジルコリン 1〜 6重量% フォスファチジルエタノールアミン 14〜32重量% リゾフォスファチジルエタノールアミン 1〜 2重量% フォスファチジルイノシトール 11〜20重量% リゾフォスファチジルイノシトール 0〜 2重量% フィトグリコリピド 5〜10重量% フォスファチジン酸 1〜 2重量% (c)卵黄燐脂質 フォスファチジルコリン 70〜74重量% リゾフォスファチジルコリン 4〜 6重量% フォスファチジルエタノールアミン 15重量% リゾフォスフォチジルエタノールアミン 2〜 3重量% フォスファチジルイノシトール 1重量% 前記アシルグリセロフォスフォリピドの分析法とし
ては多くの方法がある。即ち、シンレーヤークロマトグ
ラフによって展開し各々のスポットに基づいて分析する
方法、TLC−FID分析機(イヤトロスキャン法)による方
法、高速液体クロマトグラフを利用する方法、及びこれ
らの方法の組合せがある。
本発明の組成物の必須の構成成分の一つである−
(1)不飽和脂肪酸モノグリセリド及び−(2)中鎖
脂肪酸モノグリセリドとしては、天然のものでも、また
油脂をリパーゼによって分解又はグリセロリシスしたも
のでも、また化学的に合成したものでも良く、通常は、
天然の油脂由来の脂肪酸、脂肪酸の部分的水素添加物、
蒸留又は溶剤によって分別された脂肪酸等とグリセリン
とから化学的に合成されたものが用いられる。
前記−(1)不飽和脂肪酸モノグリセリドは、炭素
原子数14〜22の不飽和脂肪酸のモノグリセリド又は上記
不飽和脂肪酸と炭素原子数14〜22の飽和脂肪酸との混合
脂肪酸のモノグリセリドであって、沃素価30以上及びモ
ノエステル含量40重量%以上の不飽和脂肪酸モノグリセ
リドである。この範囲を外れると本発明の効果が得られ
難く、特に沃素価が30未満では浸透力が不足し、経皮,
経粘膜による物質の吸収促進効果が不十分である。
前記−(2)中鎖脂肪酸モノグリセリドは、炭素原
子数8〜12の脂肪酸のモノエステル含量40重量%以上の
中鎖脂肪酸モノグリセリドで、脂肪酸として飽和脂肪酸
のみ又は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物が含まれ
ているものが良い。
本発明の組成物に用いられる脂肪酸モノグリセリド
は、前記−(1)不飽和脂肪酸モノグリセリド及び/
又前記−(2)中鎖脂肪酸モノグリセリドから選ばれ
る1種以上の脂肪酸モノグリセリドで、モノエステル含
量が40重量%以上であることが必要であり、このモノエ
ステル含有が40重量%未満では効果が不充分である。前
記脂肪酸モノグリセリドとしては、モノエステル含量
が70重量%以上のものが、安定した効果が得られるので
好ましく、特に蒸留モノグリセリドが適している。
前記アシルグリセロフォスフォリピドと前記脂肪
酸モノグリセリドとの割合は、前記アシルグリセロフ
ォスフォリピドに対する前記脂肪酸モノグリセリドの
重量比が/=10/90〜90/10、好ましくは30/70〜70/
30であるのが良い。上記重量比が90/10より大きいと、
組成物が水に溶解せず又、10/90未満であると、本発明
の効果が得られない。
本発明の組成物には、胆汁酸類を、前記アシルグ
リセロフォスフォリピドと前記脂肪酸モノグリセリド
との合計重量以下の量含有させる事ができる。
この胆汁酸類としては、哺乳類の胆汁酸類であれば
良く、好ましいものとしては、コール酸、デオキシコー
ル酸、ケノデオキシコール酸及びリトコール酸等の胆汁
酸から選ばれた1種又は2種以上の混合物、特に好まし
くは、これらの胆汁酸にタウリン及び/又はグリシンを
反応させた抱合胆汁酸、或いはこれらの胆汁酸類のアル
カリ金属塩が挙げられる。
前記胆汁酸類を添加すると、前記アシルグリセロ
フォスフォリピド中のモノアシルグリセロフォスフォリ
ピドが相対的に少ない場合でも前記脂肪酸モノグリセ
リドを安定的に可溶化できる。
特に、前記アシルグリセロフォスフォリピド中のモ
ノアシルグリセロフォスフォリピド含量が少ない場合、
前記脂肪酸モノグリセリド中のモノグリセリド含量が
少ない場合、及び前記アシルグリセロフォスフォリピ
ドが前記脂肪酸モノグリセリドに比較して相対的に少
ない場合は、前記胆汁酸類を本発明の組成物に添加す
るとかなりの添加効果が見られる。
前記胆汁酸類を添加する場合、上限は特にないが、
前記アシルグリセロフォスフォリピドと前記脂肪酸
モノグリセリドとの合計重量以上添加しても効果が向上
しないので、この程度が経済的に見て上限である。一
方、下限も特になく、前記アシルグリセロフォスフォ
リピドと前記脂肪酸モノグリセリドとの合計重量の10
重量%程度でも充分効果が見られる場合がある。
本発明の組成物を使用した経皮、経粘膜による薬物、
生理活性物質等の投与形態としては、クリーム剤、軟膏
剤等の単なる塗布による方法、ゲル、ゾル、エアロゾル
剤による方法、座薬等の固形物による方法、点眼剤、点
鼻剤等による方法、テープ製剤、パッチ剤、ハップ剤、
口腔剤、ローション、液体スプレー剤等による方法等、
種々の方法が可能である。
被投与物質が水性基剤に含有される場合或いは被投与
物質が水溶性の場合は、本発明の組成物を水、水に可溶
のアルコール類、アセトン等の極性有機溶媒等にミセル
状に溶解させて使用する。
一方、被投与物質が油性基剤に含有される場合或いは
被投与物質が油溶性の場合は、本発明の組成物としてモ
ノアシル体の比較的少ないアシルグリセロフォスフォリ
ピドを含むもの、不飽和脂肪酸のモノグリセリドを多く
含むもの(不飽和脂肪酸のモノグリセリド/アシル
グリセロフォスフォリピド比が30/70以上、特に好まし
くは50/50以上)及び/又は胆汁酸のアルカリ金属塩を
含むものをトリグリセリド、脂肪酸、ワックス、パラフ
ィン、水に難溶性又は不溶性の脂肪族アルコール等に溶
解、分散させて使用するのが良い。
更に、被投与物質がエマルジョンの形である場合は、
水相、油相の何れにでも本発明の組成物を溶解して使用
できるが、水相に添加する方が本発明の組成物の濃度を
高くして使用できる。
本発明の組成物は、構成成分が生体構成成分からなっ
ており安全性の高いものである。
更に、本発明の組成物のアシルグリセロフォスフォリ
ピドや脂肪酸のモノグリセリドを構成する脂肪酸として
γ−リノレン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸、
ドコサヘキサエン酸、ペンタデカン酸等の脂肪酸系の生
理活性物質を使用すれば、本発明の組成物そのものも被
投与物質とする事ができる。
本発明の組成物は、一般に製剤、基剤、貼付剤の被投
与物質含有相の0.01〜40重量%の比率で使用できるが、
本発明の組成物自体を基剤として用いることもできる。
本発明の組成物により吸収を促進される被投与物質と
しては、特に制限は無く、例えばアセトアミノフェノ
ン、アスピリン、インドメタシン、フェニルブタゾン等
の非ステロイド系抗炎症剤、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒ
ドロコルチゾン、プレドニゾロン等のステロイド系抗炎
症剤、ジルチアゼム、ジヒドリダモール等の血管拡張
剤、ブロバノール、キニジン、アジマリン等の抗不整脈
剤、クロニジン等の抗高血圧剤、5−フルオロウラシ
ル、マイトマイシンC等の高腫瘍剤、トリペレナミン、
クロルフェラミン、プロメタジン等の抗ヒスタミン剤、
ヘパリン等の抗凝血剤、エストロゲン、テストステロ
ン、インスリン、プロスタグランジン等のホルモン剤、
フェノバルビタール等の睡眠剤、クロルプロマジン、ス
コポラミン等の向精神剤、ベンゾカイン、ブロカイン等
の局所麻酔剤、ジゴキシン等の強心剤、テトラサイクリ
ン、クロラムフェニコール等の抗生物質等の医薬品、ペ
ンタデカン酸、ペンタデカン酸のモノ、ジグリセライド
等の養毛剤、脱毛防止剤等の医薬部外品、脂溶性ビタミ
ン類、脂肪酸、中鎖乃至長鎖アルコール等が挙げられ、
その他医薬品を含む薬用化粧品、ローション、化粧水、
クリーム、軟膏、シャンプー、リンス等の香粧品中の生
理活性物質等の吸収促進作用がある。
本発明の組成物の経皮、経粘膜吸収促進効果は人を含
む動物体だけではなく、植物、昆虫にも現れる。
本発明の組成物は、目的を損なわない範囲で他の界面
活性物質を含有することができるが、他の界面活性剤を
多用すると、却って本発明の組成物による効果が損なわ
れる場合があるので注意が必要である。
又、トコフェロール、その他の抗酸化剤を添加するこ
とは、本発明の組成物の保存性を向上させる上で有効で
ある。
本発明の組成物は、例えば以下の方法で製造すること
ができる。
(1)全成分の水溶性が大きい場合は、粉末等の固形分
同志の場合でも製造できる。
(2)水溶性の成分が比較的多い場合は、アシルグリセ
ロフォスフォリピド、及び胆汁酸類を使用する場合は更
に胆汁酸類を水中に加熱溶解し、次いで脂肪酸モノグリ
セリドを加熱溶解して製造できる。製造した組成物を保
存する場合は、必要なら適当な濃度に濃縮し、水性ペー
ストとするのが良い。
(3)脂肪酸モノグリセリドの量が比較的多い場合は、
脂肪酸モノグリセリドとアシルグリセロフォスフォリピ
ドとをヘキサン、エーテル、エタノール等の溶媒に加熱
溶解した後、溶媒を除去し、水を加えて加熱溶解し、胆
汁酸類を使用する場合はそれをいずれかの時点で加えて
製造できる。製造した組成物を保存する場合は、必要な
ら適当な濃度に濃縮し、水性ペーストとするのが良い。
(4)全成分の油溶性が大きい場合、或いは油溶性は大
きくなくても、本発明の組成物の溶解量が少なくて良い
場合は脂肪酸モノグリセリド、アシルグリセロフォスフ
ォリピド、及び胆汁酸類を使用する場合は更に胆汁酸類
とを、ヘキサン、エーテル、エタノール等の溶媒に加熱
溶解した後、油性基剤として脂肪酸トリグリセリド、流
動パラフィン、脂肪族アルコール、脂肪酸のアルコール
エステル、脂肪酸等を加えて相溶させた後、溶媒を除く
か、或いは溶媒を除いてから油性基剤を添加して溶解し
製造でき、場合によっては脂肪酸モノグリセリド、アシ
ルグリセロフォスフォリピド、及び胆汁酸類を使用する
場合は更に胆汁酸類とを直接上記油性基剤に溶解させる
こともできる。
尚、本発明の組成物が水性の場合は、微生物による汚
染を受けやすいので、適当な殺菌処置を行うのが好まし
い。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を、本発明で用いられるアシル
グリセロフォスフォリピドの製造を示す参考例及び比較
例とともに示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発
明は下記の実施例に制限されるものではない。
尚、実施例、参考例及び比較例中「部」は特に断らな
い限り「重量部」を意味するものである。
参考例1 市販大豆燐脂質(味の素製大豆レシチン)100部に水1
4部を加え、ノボ社製フォスフォリパーゼA−2(レシ
ターゼ10−L)0.25部を加えて撹拌した後50℃〜55℃に
0.5、1、2、8、24時間静置し、モノアシル化反応を
行わせた。反応物は減圧下に脱水し、一旦遠心分離して
トリグリセリドと脂肪酸の大部分を除いた後、アセトン
処理を行って残存する不純物を除き不溶物を減圧下に乾
燥してアシルグリセロフォスフォリピド〜を得た。
各々のアシルグリセロフォスフォリピドのモノアシル体
のモノ及びジアシル体合計量に対する含量(重量%)を
示す。
参考例2 市販卵黄燐脂質(旭化成製卵黄レシチン、純度96%)
を超音波を利用して水に分散し、参考例1と同様にフォ
スフォリパーゼA−2を作用させた後、アセトン処理を
行って残存する不純物を除き精製した。これをアシルグ
リセロフォスフォリピドとする。
このアシルグリセロフォスフォリピドのモノアシル
体のモノ及びジアシル体合計量に対する含量は35重量%
であった。
また、下記実施例で脂肪酸モノグリセリドとして使用
したものは以下の市販品である(何れも理研ビタミン
(株)製である)。
エマルジーMU(不飽和脂肪酸モノグリセリド) リノール酸モノグリセリド(C16〜C20含有) モノエステル95重量%、ジエステル1重量%、トリエス
テル無 沃素価116 エマルジーOL(不飽和脂肪酸モノグリセリド) オレイン酸モノグリセリド(C14〜C20含有) モノエステル93重量%、ジエステル1重量%、トリエス
テル無 沃素価67 エマルジーMTT(不飽和脂肪酸モノグリセリド) 牛脂脂肪酸モノグリセリド(C14〜C20含有) モノエステル90重量%、ジエステル7重量%、トリエス
テル無 沃素価36 ポエムCS−200(不飽和脂肪酸モノグリセリド) 綿実油モノ、ジグリセリド(C14〜C20含有) モノエステル45重量%、ジエステル43重量%、トリエス
テル12重量% 沃素価100 ポエムC−100(中鎖脂肪酸モノグリセリド) 硬化ヤシ油モノグリセリド(C6〜C18含有) モノエステル86重量%、ジエステル10重量%、トリエス
テル0.4重量% 沃素価2.2 構成脂肪酸:炭素原子数6:0.3重量%、炭素原子数8:7重
量%、炭素原子数10:6重量%、炭素原子数12:51重量
%、炭素原子数16:8重量%、炭素原子数18:8重量%、炭
素原子数18の1不飽和:2重量%、炭素原子数18の2不飽
和:0.4重量% ポエムM−300(中鎖脂肪酸モノグリセリド) ラウリン酸モノグリセリド モノエステル84重量%、ジエステル10重量%、トリエス
テル0.6重量% 沃素価1.7 構成脂肪酸:炭素原子数12:98重量% ポエムM−200(中鎖脂肪酸モノグリセリド) カプリン酸モノグリセリド モノエステル92重量%、ジエステル4重量% トリエステル無 沃素価1.8 構成脂肪酸:炭素原子数10:98重量% ポエムM−100(中鎖脂肪酸モノグリセリド) カプリル酸モノグリセリド モノエステル86重量%、ジエステル9重量%、トリエス
テル無 沃素価1.7 構成脂肪酸:炭素原子数8:97重量% また、下記実施例で使用した胆汁酸類は以下の通りで
ある。
タウロコール酸ナトリウム ディフィコ・ラボラトリー製、純度70% グリココール酸ナトリウム シグマ社製、純度99% 試験方法 インドメタシンを使用した外用薬の試験とジクロフェ
ナクナトリウムを使用した坐剤の試験を行った。
外用薬の試験方法 雄の正常家兎の除毛した腹部皮膚10×15cmにインドメ
タシンが20mg含まれるように外用薬を塗布し、1、3、
6、10、24時間経過時点で耳介静脈から採血して血清中
のインドメタシン濃度を高速液体クロマトグラフィーで
測定して最高の血中濃度で表示した。
坐剤の試験方法 雄の正常家兎の肛門にジクロフェナクナトリウム15mg
を含む坐剤を投与し、10、30、60分経過時点で耳介静脈
から採血して血漿を分離し、ベンゼンで抽出し、抽出物
中のジクロフェナクナトリウムをエレクトロン・キャプ
チャー・ディテクター付きガスクロマトグラフィーで測
定した。
実施例1 アシルグリセロフォスフォリピド 3部、コール酸
ナトリウム 3部を水 100部に溶解分散させた後、エ
マルジーMU 7部を加えて加温撹拌し混合ミセル溶液と
し、減圧下で濃縮して全体を40部の水性ペーストとし
た。
このもの20部、インドメタシン 3部、エタノール
27部及び水 50部を混合し外用薬を製造した。
インドメタシンの最高血中濃度は1680ng/mlであっ
た。
実施例2 アシルグリセロフォスフォリピド 4部、エマルジ
ーMU 6部及び水 90部を50℃に加温し、(株)トミー
精工製のUD−200型超音波発振機により溶解分散させ
た。
このもの30部、インドメタシン 3部、エタノール
27部及び水 40部を混合し外用薬を製造した。
インドメタシンの最高血中濃度は1260ng/mlであっ
た。
実施例3 アシルグリセロフォスフォリピド 2部、ポエムM
−100 8部、タウロコール酸ナトリウム 3部及び水8
7部を50℃に加温し、(株)トミー精工製のUD−200型超
音波発振機により溶解分散させた。
このもの30部、インドメタシン 3部、エタノール
27部及び水 40部を混合し外用薬を製造した。
インドメタシンの最高血中濃度は2120ng/mlであっ
た。
実施例4 アシルグリセロフォスフォリピド 5部、ポエムC
−100 5部及び水90部を50℃に加温し、(株)トミー
精工製のUD−200型超音波発振機により溶解分散させ、
減圧下に濃縮して全体を50部とした組成物を得た。
このもの10部、インドメタシン10mg/gを含む住友製薬
(株)製インテバン軟膏90部を混合して外用薬を製造し
た。
インドメタシンの最高血中濃度は1710ng/mlであっ
た。
実施例5 アシルグリセロフォスフォリピド 5部、グリココ
ール酸ナトリウム 3部、エマルジーOL5部及び水 150
部を50℃に加温し、(株)トミー精工製のUD−200型超
音波発振機により溶解分散させ、減圧下に濃縮して全体
を50部とした組成物を得た。
このもの10部、インドメタシン10mg/gを含むインテバ
ン軟膏90部を混合して外用薬を製造した。
インドメタシンの最高血中濃度は930ng/mlであった。
実施例6 アシルグリセロフォスフォリピド 3部、ポエムM
−300 7部、タウロコール酸ナトリウム 2部に水 1
00部を50℃に加温し、(株)トミー精工製のUD−200型
超音波発振機により溶解分散させ、減圧下に濃縮して全
体を50部とした組成物を得た。
このもの10部、インドメタシン10mg/gを含むインテバ
ン軟膏90部を混合して外用薬を製造した。
インドメタシンの最高血中濃度は1790ng/mlであっ
た。
比較例1 インドメタシン 2部、ジメチルスルホキシド30部、
エタノール98部及び水70部を混合して外用薬を製造し
た。
インドメタシンの最高血中濃度は170ng/mlであった。
比較例2 インテバン軟膏をそのまま使用した。
インドメタシンの最高血中濃度は120ng/mlであった。
実施例7 アシルグリセロフォスフォリピド 3部、コール酸
ナトリウム 1部、エマルジーMU 7部をエタノール/
ヘキサン(1:2)混液 30部に溶解した。
このものを固形物として5.5部、ジクロフェナクナト
リウム 5部及びカカオ脂89.5部を加熱下に混合し、減
圧下に溶媒を除去し、1個当り0.3gの円筒形の坐剤に成
形した。
ジクロフェナクナトリウムの血中濃度は10分後で19.2
ng/ml、30分後で12.3ng/ml、60分後で4.4ng/mlであっ
た。
実施例8 アシルグリセロフォスフォリピド 5部、エマルジ
ーOL 5部をヘキサン 30部に溶解した。このものを固
形物として5部、ジクロフェナクナトリウム 5部及び
カカオ脂90部を加熱下に混合し、減圧下に溶媒を除去
し、1個当り0.3gの円筒形の坐剤に成形した。
ジクロフェナクナトリウムの血中濃度は10分後で15.3
ng/ml、30分後で10.1ng/ml、60分後で3.6ng/mlであっ
た。
実施例9 アシルグリセロフォスフォリピド 5部、コール酸
ナトリウム 2部、ポエムCS−200 5部をエタノール
/ヘキサン(1:2)混液 30部に溶解した。
このものを固形物として6部、ジクロフェナクナトリ
ウム 5部及びカカオ脂89部を加熱下に混合し、減圧下
に溶媒を除去し、1個当り0.3gの円筒形の坐剤に成形し
た。
ジクロフェナクナトリウムの血中濃度は10分後で14.6
ng/ml、30分後で9.7ng/ml、60分後で3.2ng/mlであっ
た。
実施例10 アシルグリセロフォスフォリピド 4部、コール酸
ナトリウム 2部、エマルジーMTT 6部をエタノール
/ヘキサン(1:2)混液 30部に溶解した。
このものを固形物として6部、ジクロフェナクナトリ
ウム 5部及びカカオ脂89部を加熱下に混合し、減圧下
に溶媒を除去し、1個当り0.3gの円筒形の坐剤に成形し
た。
ジクロフェナクナトリウムの血中濃度は10分後で13.3
ng/ml、30分後で8.4ng/ml、60分後で3.0ng/mlであっ
た。
比較例3 ジクロフェナクナトリウム 5部及びカカオ脂95部を
加熱下に混合し1個当り0.3gの円筒形の坐剤に成形し
た。
ジクロフェナクナトリウムの血中濃度は10分後で8.7n
g/ml、30分後で4.4ng/ml、60分後で1.7ng/mlであった。
以上の実施例から明らかなように本発明の組成物には
経皮、経粘膜による物質の吸収促進効果が認められた。
〔発明の効果〕
本発明の組成物は、安全で、被投与物質の経皮、経粘
膜吸収促進効果の大きいものである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必須の構成成分として、モノアシルグリ
    セロフォスフォリピドを10重量%以上含有し、実質的に
    モノ及びジアシルグリセロフォスフォリピドからなる混
    合物であるアシルグリセロフォスフォリピド、及び、
    −(1)炭素原子数14〜22の不飽和脂肪酸のモノグリセ
    リド又は上記不飽和脂肪酸と炭素原子数14〜22の飽和脂
    肪酸との混合脂肪酸のモノグリセリドであって、沃素価
    30以上及びモノエステル含量40重量%以上の不飽和脂肪
    酸モノグリセリド及び/又は−(2)炭素原子数8〜
    12の脂肪酸のモノエステル含量40重量%以上の中鎖脂肪
    酸モノグリセリドから選ばれる1種以上の脂肪酸モノ
    グリセリドを含有し、前記アシルグリセロフォスフォ
    リピドに対する前記脂肪酸モノグリセリドの重量比が
    /=10/90〜90/10であることを特徴とする経皮、経
    粘膜による物質の吸収を促進する組成物。
  2. 【請求項2】胆汁酸類を、アシルグリセロフォスフ
    ォリピドと脂肪酸モノグリセリドとの合計重量以下の
    量含有する特許請求の範囲第(1)項記載の経皮、経粘
    膜による物質の吸収を促進する組成物。
  3. 【請求項3】アシルグリセロフォスフォリピドが、天
    然物由来のものであり、モノ又はジアシル基を持つ、フ
    ォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールア
    ミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジ
    ン酸及びフォスファチジルセリン等の混合物である特許
    請求の範囲第(1)項記載の経皮、経粘膜による物質の
    吸収を促進する組成物。
  4. 【請求項4】脂肪酸モノグリセリドのモノエステル含
    量が70重量%以上である特許請求の範囲第(1)項記載
    の経皮、経粘膜による物質の吸収を促進する組成物。
  5. 【請求項5】胆汁酸類が、哺乳類の胆汁由来のもので
    あり、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコー
    ル酸及びリトコール酸等の胆汁酸から選ばれた1種以上
    の胆汁酸、好ましくは、これらの胆汁酸にタウリン及び
    /又はグリシンを反応させた抱合胆汁酸、或いはこれら
    の胆汁酸類のアルカリ金属塩である特許請求の範囲第
    (2)項記載の経皮、経粘膜による物質の吸収を促進す
    る組成物。
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