JP2514899C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は塗装用マスキングフィルムロール体およびその製造方法に関する。詳
しくは本発明の塗装用マスキングフィルムロール体は、チューブラーフィルム内
面をコロナ放電処理したフィルムを使用したものであり、建築物、道路、飛行場
、運動場、床、壁、自動車、船舶、飛行機、車両、機械、事務用品、スポーツ用
品、アミューズメント用品、レジャー用品、各種ディスプレイ、玩具、木工品、
家庭用品等の塗装の際に幅広く利用される。 【0002】 【従来の技術】 各種建築物、道路、運動場、駐車場、自動車、車両、各種物品等には美観を与
えるためや、マーク、規則、説明を表示するために種々の塗装が施される。この
場合、塗装部分と非塗装部分を容易に分割するため、非塗装部分に紙、合成紙、
不織布、プラスチックフィルム等を被覆し、その表面に塗料が直接付着したり、
塗装部分より塗料が移動して付着しても非塗装部分には直接接触せず、紙、合成
紙、不織布、プラスチックフィルム等の表面で受け取り、非塗装部分を塗料から
遮蔽・保護する。この機能を果たす上記紙等のフィルムを塗装用マスキングフィ
ルムと呼称している。 塗装用マスキングフィルムは被塗装物の形状、塗装面積、使用する塗料の性能
、塗料の焼付温度、乾燥温度等によって、各種タイプがある。本発明において提
供しようとする塗装用マスキングフィルムは塗装面積や非塗装面積(即ちマスキ
ング面積)が比較的大きな塗装用を意図しており、非塗装部(マスキング部)は
フィルムが非塗装部に接着また仮着する機能を有する必要はなく、フィルム表面
に塗料が付着した場合、塗料が密着しやすく、流れにくく、また付着した塗料が 乾燥した場合もフィルム表面から剥離しない性質を有することが必要である。 このようなタイプのマスキング材としては従来、紙やポリオレフィン等が価格
、性能の面から最も多量に使用されているが、紙は柔軟性、耐水性、耐溶剤性、
取扱い性、透明性、機械的強度等に欠けるので、紙のような欠点のないポリオレ
フィンフィルムの使用比率が上昇している。 ポリオレフィンフィルムを素材とする従来の塗装用マスキングフィルムの代表
的な製法は、例えば、密度0.94〜0.97g/ml、メルトインデックス0
.05〜0.8g/10分、溶融張力5g以上の高密度ポリエチレンを押出温度
170〜210℃、フロストライン200〜800mm、ブロー比1:2〜5で
インフレーション法により製膜し、引取速度10〜200m/分で引取り、5〜
20μmの厚さのチューブラーフィルムとし、長手方向に順次搬送中、該フィル
ムの1ヶ所に薄刃金属カッターをあてて該フィルムの長手方向に切れ目を入れ、
その後フィルムをロールで扁平化し、フィルムの切れ目の入った部分を、フィル
ムの右端または左端の長手方向を回転軸として180度回転させ、フィルム内面
を表側にし、そのフィルム端部の長手方向に粘着性テープを一部がオーバーラッ
プするように貼り、これを紙管にロール巻することからなる。 しかしながら、このようにして製造した塗装用マスキングフィルムは表面が不
活性であるので、塗料成分が表面に付着しにくく、特に垂直面に貼って使用する
とき、フィルム表面を塗料成分が流動し、落下し、床面を汚し、作業環境を悪化
させ、また、フィルム表面に付着した塗料成分は乾燥後フィルム面から剥離しや
すく、フィルムから離脱し、周辺の床面に乾燥塗料が散乱し、作業環境を悪化さ
せ望ましくない。 一方、塗装用マスキングフィルムの従来技術として、平坦なポリオレフィンフ
ィルムにコロナ放電処理を行えば、その処理面の塗料との親和性が高まり、フィ
ルム表面に塗料成分が付着しやすくなり、脱落しにくくなることが特開平3−4
2066号公報に開示されている。これは先に述べたポリオレフィンチューブラ
ーフィルムのみの塗装用マスキングフィルムにコロナ放電処理が施してあるので
、それなりの上記効果を奏し、製品化されている。しかし、上記公報の実施例1
に記載されているように「筒状フィルムをピンチロールで扁平にし、巻取りロー ルで巻取る直前に両面から空気中でコロナ放電処理を行い、ロールに巻取った。
コロナ放電処理条件は次のとおりである。コロナ放電装置:春日電機社製HFS
S−101,電極−フィルム間隙:2〜3mm」の条件で行われるが、これは従
来からポリオレフィンチューブラーフィルムにコロナ放電処理する一般的な方法
であって、チューブラーフィルムの外面のみコロナ放電処理され、内面には全く
処理がなされていないことを示している。 そこで本発明者は上記特開平3−42066号公報に開示の方法で塗装用マス
キングフィルムを製造し、その製造上の問題点および製品についての問題点につ
いて以下の知見を得た。まず、上記発明の方法では、チューブラーフィルムを扁
平にし、その外表面にコロナ放電処理を行い、チューブラーフィルムを切り開き
、平坦なフィルムとしコロナ放電処理面に幅15mmの粘着テープの粘着剤層の
一部(幅約4mm)がコロナ放電処理面と重なるように、ロール間を通して粘着
テープを積層しており、商品形態としてはフィルムは幅方向には折りたたまれて
はおらず、幅の狭い塗装用マスキングフィルムの場合は、このままロール巻にし
てもかさばる欠点はないが、このような幅の狭いものは需要が少なく、需要の多
いものは大面積をマスキングできる幅が20〜250cmの塗装用マスキングフ
ィルムである。 また、特開平3−42066号の方法で広幅の製品を製造する場合は、広幅の
ままロール巻するので、製品の幅が広くなり、製品の保管スペースが大きくなり
、また塗装面にマスキングフィルムの粘着剤層部分を貼りつける作業も困難であ
り、貼りつけた後、マスキングフィルムを必要面積以外を手で引き裂き分離する
作業も困難となる。この問題点を解決するためには、広幅のままではなく、フィ
ルムを長手方向に平行に折りたたみ、フィルムを幾重にも重ねればよいので、そ
のようにしたところ、広幅の欠点は解消されたが、粘着テープの粘着面側と、該
粘着テープの貼着部分からみて幅方向の端末部に位置するマスキングフィルムの
コロナ放電処理面側が、数センチの位置はずれているものの、同一平面に位置し
ているので、塗装対象物に塗装用マスキングフィルムをロールから引出し、貼り
つけるとき、コロナ放電処理された上記フィルム端部が粘着テープの粘着面に巻
き込まれ、上記作業が非常に困難となる。 これを回避するためには、チューブラーフィルムの外表面をコロナ放電処理し
た後、チューブラーフィルムを切り開き、フィルムの内側と外側を逆転させ、内
側をコロナ放電処理面とし、外側を非コロナ放電処理面として、上記方法と同様
な方法でフィルムを長手方向に平行に折りたたみ、コロナ放電面のフィルムの端
部に粘着テープを貼りつければ、粘着テープの粘着剤層面とマスキングフィルム
の反対側の端部のフィルムの非コロナ放電面が同一平面側に近接して位置するこ
となく、粘着テープの粘着剤層面と反対側に非コロナ放電処理面を外側にして位
置することができるので、マスキングフィルムを塗装面に貼るとき、フィルムの
端部が巻きこまれることは全く起こらない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 上述したように、ポリオレフィンを素材とするコンパクトな形態の塗装用マス
キングフィルムロール体は、チューブラーフィルムを作り、その表面にコロナ放
電し、そのチューブラーフィルムを切り開き、内側と外側を逆転させ、チューブ
ラーフィルムの長手方向に平行にフィルムを幾重にも折り重ね、フィルムの一端
に長手方向に平行に、かつコロナ放電処理面に粘着剤層が対向するように、粘着
テープを貼りつけることにより製造されるところまで発展してきたが、上記方法
により得られた製品の性能は十分であるものの、製造が非常に困難であり、この
ような方法で製造される塗装用マスキングフィルムロール体は商品化されていな
い。 本発明は以上のような状況を考慮して、スペースをとらず、かつ塗装面への貼
着が容易である塗装用マスキングフィルムロール体を合理的に、低いコストで製
造できる方法およびその方法により製造される塗装用マスキングフィルムロール
体の提供を課題とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂からインフレーション法によりチ
ューブラーフィルムを製造する工程1、 気体が封入された走行状態の該チューブラーフィルムの内面を密着させずに1 〜7mmの間隙を設けて、フィルム間に気体が存在する状態で、フィルム外表面
に高電圧電流を印加した少なくとも一対の電極を接触させ、フィルム内面間にコ
ロナ放電処理を施し、フィルム内面の濡れ張力を向上させる工程2、 コロナ放電処理後のチューブラーフィルムを長手方向に順次搬送中、該フィル
ムの1ヶ所に該フィルムの長手方向に切れ目を入れる工程3、 工程3において切れ目を入れたフィルムの長手方向に向かって左または右の部
分をフィルムの端部にて長手方向を回転軸として180度回転させフィルム内面
を露出する工程4、 工程4で露出させたフィルム部分の端縁部に粘着テープを貼合し得る幅を少な
くとも残して、前記フィルムを長手方向に平行に、前記粘着テープの粘着剤層面
と反対側に折りたたむ工程5、 コロナ放電処理面の左端または右端に、粘着テープを該粘着テープの粘着剤層
とコロナ放電処理面とを対向させ、該粘着テープの左側または右側に未貼合部分
を残して貼合する工程6、 工程6で得られた粘着テープ貼合フィルムを管状体に巻きつける工程7、 からなるチューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフィルムを使用するこ
とを特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体の製造方法に関する。 本発明の上記製造方法の好ましい態様において、工程6は、フィルムの長手方
向の左端または右端から1〜10mmの幅の表面に輻3〜20mmの粘着テープ
の右側または左側の幅2〜15mmの粘着剤層部分を貼合し、左端または右端に
は幅2〜19mmの粘着テープの未貼合部分を残して行われる。 また、本発明は上記の方法で製造された、広輻フィルムの長手方向の一端がコ
ロナ放電処理面を表側にして位置しており、該一端には粘着テープがその粘着剤
層面の一部をコロナ放電処理面に対向して貼合されており、上記フィルムの一端
に連続して存在するコロナ放電処理されたフィルムが幅方向の中央付近で長手方
向を回転軸として前記粘着剤層面と反対側に折り返され、この折り返されたフィ
ルム部分は少なくとも1回ガゼット折りまたは長手方向を回転軸とする回転折り
がなされているフィルムをフィルム長手方向に直角をなす方向に管状体にロール
巻きされている、チューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフィルムを使 用することを特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体に関する。 本発明の上記塗装用マスキングフィルムロール体の好ましい態様は、広幅フィ
ルムの一部である左側の幅2〜20mmのフィルム部分がコロナ放電処理面を表
側にして位置しており、その左側には粘着テープがその粘着剤層面の右側の一部
をコロナ放電処理面に対向して貼合されており、上記幅2〜20mmのフィルム
部分に連続してその右側に広幅フィルムの一部として存在するコロナ放電処理さ
れた幅10〜100cmのフィルムが幅方向の中央付近で長手方向を回転軸とし
て折り返され、折り返された幅5〜70cmのフィルム部分はコロナ放電処理面
が裏側となって、上記幅2〜20mmのフィルム部分の一部およびそれに連続し
てその右側に広幅フィルムの一部として存在するフィルム部分と、相互にコロナ
放電処理面を対向して重ね合わされており、かつ重ね合わせたフィルム部分は少
なくとも1回ガゼット折りまたは長手方向を回転軸とする回転折りがなされてお
り、かつ粘着テープの粘着剤層面と上記折り返された輻5〜70cmのフィルム
の非コロナ放電処理面とは互いに背を向けて配置されている厚単を、フィルム長
手方向に直角方向に管状体にロール巻きされている。なお、上記好ましい態様に
おいて、チューブラーフィルムを開裂し、左側にフィルムを回転させた場合につ
いてのみ記載したが、これは技術内容を誤解することがないように、説明したま
でであり、当然ながら、フィルムを右側に回転させた場合も左側への回転の場合
と同様の効果を奏する製品が得られることはいうまでもない。 【0005】 本発明においてポリオレフィン系樹脂とは、高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体等が挙げられるが、特に強度、横切れ性、取扱い性、加工性、耐熱性等の理
由から高密度ポリエチレンが望ましい。 【0006】 本発明においてインフレーション法によりチューブラーフィルムを製造する工
程1は、サーキュラーダイからポリオレフィン系樹脂をその溶融温度以上で押出
し、チューブラーフィルム内部に空気を入れ、空冷または水冷する通常の方法に より行われる。上記操作の条件は適宜選択されるが、得られるチューブラーフィ
ルムは厚さが5〜20μmであることが好ましい。 【0007】 本発明における工程2は、気体が封入された走行状態のチューブラーフィルム
の内面を密着させずに1〜7mmの間隙を設けて、フィルム間に気体が存在する
状態で、フィルム外表面に高電圧電流を印加した少なくとも一対の電極を接触さ
せ、フィルム内面間にコロナ放電処理を施し、フィルム内面の濡れ張力を向上さ
せることにより行われるが、詳しくは、例えば特公昭61−24412号公報に
開示の方法により行われる。該公報に開示の技術は、内面がコロナ放電されたチ
ューブラー状フィルムに関するものの、その用途は食肉類を充填する場合、フィ
ルム内面に肉類が密着する肉付効果について言及しているのみで、本発明のよう
な塗装用マスキングフィルムの用途に利用できることを全く示唆していない。 【0008】 工程2におけるコロナ放電後のチューブラーフィルムを長手方向に順次搬送中
、該フィルムの1ヶ所に、例えば薄刃金属カッター、レーザー光線、ヒートスポ
ット等を当て該フィルムの長手方向に切れ目を入れる工程3により、チューブラ
ーフィルムを帯状フィルムにすることができる。 【0009】 本発明において、工程3で切れ目を入れたフィルム(帯状フィルム)を長手方
向に平行に折りたたむ工程5は、チューブラーフィルムをそのまま押しつぶし、
その一部を切開して製品とする場合は広輻な製品となり、保管スペースが大きく
なったり、塗装用マスキング作業が困難となり、望ましくないので、製品をコン
パクトにするために必要である。折りたたむ方法はガゼット折り、多重折り等い
ずれでもよいが、粘着テープの粘着面と、粘着テープの反対側のマスキングフィ
ルムの部分が同一平面とならないことが必要である。同一平面になると、粘着テ
ープ部分を塗装面に貼りつけるとき、マスキングフィルムの一部が粘着テープと
塗装面に巻きこまれ、作業をやりなおさざるを得なくなるからである。 なお、この折りたたみ工程5は工程4または6の後に行われてもよい。 【0010】 工程3において切れ目を入れたフィルムの長手方向に向かって左または右の部
分をフィルムの端部にて長手方向を回転軸として180度回転させフィルム内面
を露出する工程4により、コロナ放電処理されたフィルム内面が表側に出、その
フィルムの端部に粘着テープを貼ることが可能となる。 【0011】 本発明において、コロナ放電処理面の左端または右端に、粘着テープを該粘着
テープの粘着剤層とコロナ放電処理面とを対向させ、該粘着テープの左側または
右側に未貼合部分を残して貼合する工程は、フィルムのコロナ放電処理面を表に
してフィルムの非コーティング処理面を裏にして塗装対象物にマスキングフィル
ムの一部を貼りつけるための粘着テープをフィルムに固定するために必要であり
、好ましくはフィルムの左端または右端から1〜10mmの幅の表面に幅3〜2
0mmの粘着テープの右側または左側の幅2〜15mmの粘着剤層部分を貼合し
、左端または右端には幅2〜19mmの粘着テープの未貼合部分を残す。 【0012】 工程6で得られた粘着テープ貼合フィルムを管状体に巻きつける本発明におけ
る工程7により、製品をロール巻きし、製品形態をコンパクトにすることができ
る。管状体は紙管、プラスチック管、金属管、木管等が使用できるが、コスト、
性能面から紙管が望ましい。 【0013】 【実施例】 次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。 塗装用マスキングフィルムの製造例 密度0.948g/ml、メルトインデックス0.06g/10分の高密度ポ
リエチレンを190℃でダイより押出し、ブロー比4.5、巻取速度50m/分
の条件で空冷インフレーション法により、厚さ10μm、折り径25cmのチュ
ーブラーフィルムを得た。 フィルムの内面間隙2mm、フィルム内部封入ガスを空気とし、フィルム内面
コロナ放電処理機(春日電機製)を用いてフィルム内面の濡れ張力が45dyn e/cmとなるようにコロナ放電処理した。 チューブラーフィルムのほぼ中央部(扁平フィルムとしては折り径25cmで
あるから、フィルムの左端から10cmの箇所)に、薄いカミソリ刃で長手方向
に平行に切れ目を入れ、次いで扁平フィルムの左端を回転軸として前記切れ目か
ら左方に存在する扁平フィルムの上側のフィルム片を180度回転させ該フィル
ム片のコロナ放電処理面を露出させた。 そのフィルム片のコロナ放電処理面の左端の幅5mm上にフィルムの長手方向
に沿って幅15mmの粘着テープの粘着剤層の一部(幅5mm)がコロナ放電処
理面と対向するように貼りつけた。 一方、扁平フィルムの上記フィルム片以外の部分はガゼット折りと二重折りを
繰り返し6重のフィルムとし、一番下のフィルム層は粘着フィルムの粘着剤層面
とは反対側に位置するように折りたたんだ。 上記のように準備された厚単を直径2cm、長さ12cmの紙管に直径7cm
にロール巻きし、塗装用マスキングフィルムロール体とした。 得られたロール体の端部を引き出した状態を図1に示す。図中、1が紙管、2
がフィルム、そして3が粘着テープであり、a、bおよびcはそれぞれコロナ放
電処理面、非コロナ放電処理面および粘着剤層である。 評価結果 a.取扱い性:ロール体よりフィルムをほどいて木製板を垂直に立て、粘着テー
プ部分を水平に30cmの長さに貼り、フィルムを手で切った。ロール体は幅1
2cmと短く、直径7cmで手のひらに入り、折りたたまれたフィルムは重力で
一枚の平坦なフィルムに垂れ下がり、取扱い性は非常に良好であった。 b.塗料の付着性:フィルム表面に赤色アクリル系塗料を20μm(乾燥時の厚
さ)塗布したが、表面に均一に塗布され、垂れ落ちることはなかった。また、塗
布面が乾燥後、マスキングフィルムをひき剥がしたが、乾燥した塗料がフィルム
からはげ落ちることはなかった。さらに、乾燥後の塗料が付着したフィルムを手
でもんだが塗料がはげ落ちることはなかった。 【0014】 【発明の効果】 以上詳細に記載したように、本発明は塗装用マスキングフィルムロール体の製
造において、ポリオレフィン系樹脂チューブラーフィルムの内面に初めて連続的
にコロナ放電処理を行い、チューブラーフィルムを切り開き、長手方向に特定様
式におりたたみ、フィルム一端に粘着テープをコロナ放電処理面と対向して貼り
つけ、管状体の上にロール巻きし、しかもこれらを連続的ライン工程で行ってい
るので、従来の方法による場合に比べ、製造がより容易であり、製造コストが低
くできる。 また、得られた塗装用マスキングフィルムロール体は、従来のものとは異なる
構造で、塗料が密着しやすく、流動せず、乾燥後の塗料が剥離しない等、マスキ
ングフィルムとしての品質が良好であり、しかも取扱い性、作業性の面で非常に
優れており、保管スペースも小さくすることが可能である。
しくは本発明の塗装用マスキングフィルムロール体は、チューブラーフィルム内
面をコロナ放電処理したフィルムを使用したものであり、建築物、道路、飛行場
、運動場、床、壁、自動車、船舶、飛行機、車両、機械、事務用品、スポーツ用
品、アミューズメント用品、レジャー用品、各種ディスプレイ、玩具、木工品、
家庭用品等の塗装の際に幅広く利用される。 【0002】 【従来の技術】 各種建築物、道路、運動場、駐車場、自動車、車両、各種物品等には美観を与
えるためや、マーク、規則、説明を表示するために種々の塗装が施される。この
場合、塗装部分と非塗装部分を容易に分割するため、非塗装部分に紙、合成紙、
不織布、プラスチックフィルム等を被覆し、その表面に塗料が直接付着したり、
塗装部分より塗料が移動して付着しても非塗装部分には直接接触せず、紙、合成
紙、不織布、プラスチックフィルム等の表面で受け取り、非塗装部分を塗料から
遮蔽・保護する。この機能を果たす上記紙等のフィルムを塗装用マスキングフィ
ルムと呼称している。 塗装用マスキングフィルムは被塗装物の形状、塗装面積、使用する塗料の性能
、塗料の焼付温度、乾燥温度等によって、各種タイプがある。本発明において提
供しようとする塗装用マスキングフィルムは塗装面積や非塗装面積(即ちマスキ
ング面積)が比較的大きな塗装用を意図しており、非塗装部(マスキング部)は
フィルムが非塗装部に接着また仮着する機能を有する必要はなく、フィルム表面
に塗料が付着した場合、塗料が密着しやすく、流れにくく、また付着した塗料が 乾燥した場合もフィルム表面から剥離しない性質を有することが必要である。 このようなタイプのマスキング材としては従来、紙やポリオレフィン等が価格
、性能の面から最も多量に使用されているが、紙は柔軟性、耐水性、耐溶剤性、
取扱い性、透明性、機械的強度等に欠けるので、紙のような欠点のないポリオレ
フィンフィルムの使用比率が上昇している。 ポリオレフィンフィルムを素材とする従来の塗装用マスキングフィルムの代表
的な製法は、例えば、密度0.94〜0.97g/ml、メルトインデックス0
.05〜0.8g/10分、溶融張力5g以上の高密度ポリエチレンを押出温度
170〜210℃、フロストライン200〜800mm、ブロー比1:2〜5で
インフレーション法により製膜し、引取速度10〜200m/分で引取り、5〜
20μmの厚さのチューブラーフィルムとし、長手方向に順次搬送中、該フィル
ムの1ヶ所に薄刃金属カッターをあてて該フィルムの長手方向に切れ目を入れ、
その後フィルムをロールで扁平化し、フィルムの切れ目の入った部分を、フィル
ムの右端または左端の長手方向を回転軸として180度回転させ、フィルム内面
を表側にし、そのフィルム端部の長手方向に粘着性テープを一部がオーバーラッ
プするように貼り、これを紙管にロール巻することからなる。 しかしながら、このようにして製造した塗装用マスキングフィルムは表面が不
活性であるので、塗料成分が表面に付着しにくく、特に垂直面に貼って使用する
とき、フィルム表面を塗料成分が流動し、落下し、床面を汚し、作業環境を悪化
させ、また、フィルム表面に付着した塗料成分は乾燥後フィルム面から剥離しや
すく、フィルムから離脱し、周辺の床面に乾燥塗料が散乱し、作業環境を悪化さ
せ望ましくない。 一方、塗装用マスキングフィルムの従来技術として、平坦なポリオレフィンフ
ィルムにコロナ放電処理を行えば、その処理面の塗料との親和性が高まり、フィ
ルム表面に塗料成分が付着しやすくなり、脱落しにくくなることが特開平3−4
2066号公報に開示されている。これは先に述べたポリオレフィンチューブラ
ーフィルムのみの塗装用マスキングフィルムにコロナ放電処理が施してあるので
、それなりの上記効果を奏し、製品化されている。しかし、上記公報の実施例1
に記載されているように「筒状フィルムをピンチロールで扁平にし、巻取りロー ルで巻取る直前に両面から空気中でコロナ放電処理を行い、ロールに巻取った。
コロナ放電処理条件は次のとおりである。コロナ放電装置:春日電機社製HFS
S−101,電極−フィルム間隙:2〜3mm」の条件で行われるが、これは従
来からポリオレフィンチューブラーフィルムにコロナ放電処理する一般的な方法
であって、チューブラーフィルムの外面のみコロナ放電処理され、内面には全く
処理がなされていないことを示している。 そこで本発明者は上記特開平3−42066号公報に開示の方法で塗装用マス
キングフィルムを製造し、その製造上の問題点および製品についての問題点につ
いて以下の知見を得た。まず、上記発明の方法では、チューブラーフィルムを扁
平にし、その外表面にコロナ放電処理を行い、チューブラーフィルムを切り開き
、平坦なフィルムとしコロナ放電処理面に幅15mmの粘着テープの粘着剤層の
一部(幅約4mm)がコロナ放電処理面と重なるように、ロール間を通して粘着
テープを積層しており、商品形態としてはフィルムは幅方向には折りたたまれて
はおらず、幅の狭い塗装用マスキングフィルムの場合は、このままロール巻にし
てもかさばる欠点はないが、このような幅の狭いものは需要が少なく、需要の多
いものは大面積をマスキングできる幅が20〜250cmの塗装用マスキングフ
ィルムである。 また、特開平3−42066号の方法で広幅の製品を製造する場合は、広幅の
ままロール巻するので、製品の幅が広くなり、製品の保管スペースが大きくなり
、また塗装面にマスキングフィルムの粘着剤層部分を貼りつける作業も困難であ
り、貼りつけた後、マスキングフィルムを必要面積以外を手で引き裂き分離する
作業も困難となる。この問題点を解決するためには、広幅のままではなく、フィ
ルムを長手方向に平行に折りたたみ、フィルムを幾重にも重ねればよいので、そ
のようにしたところ、広幅の欠点は解消されたが、粘着テープの粘着面側と、該
粘着テープの貼着部分からみて幅方向の端末部に位置するマスキングフィルムの
コロナ放電処理面側が、数センチの位置はずれているものの、同一平面に位置し
ているので、塗装対象物に塗装用マスキングフィルムをロールから引出し、貼り
つけるとき、コロナ放電処理された上記フィルム端部が粘着テープの粘着面に巻
き込まれ、上記作業が非常に困難となる。 これを回避するためには、チューブラーフィルムの外表面をコロナ放電処理し
た後、チューブラーフィルムを切り開き、フィルムの内側と外側を逆転させ、内
側をコロナ放電処理面とし、外側を非コロナ放電処理面として、上記方法と同様
な方法でフィルムを長手方向に平行に折りたたみ、コロナ放電面のフィルムの端
部に粘着テープを貼りつければ、粘着テープの粘着剤層面とマスキングフィルム
の反対側の端部のフィルムの非コロナ放電面が同一平面側に近接して位置するこ
となく、粘着テープの粘着剤層面と反対側に非コロナ放電処理面を外側にして位
置することができるので、マスキングフィルムを塗装面に貼るとき、フィルムの
端部が巻きこまれることは全く起こらない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 上述したように、ポリオレフィンを素材とするコンパクトな形態の塗装用マス
キングフィルムロール体は、チューブラーフィルムを作り、その表面にコロナ放
電し、そのチューブラーフィルムを切り開き、内側と外側を逆転させ、チューブ
ラーフィルムの長手方向に平行にフィルムを幾重にも折り重ね、フィルムの一端
に長手方向に平行に、かつコロナ放電処理面に粘着剤層が対向するように、粘着
テープを貼りつけることにより製造されるところまで発展してきたが、上記方法
により得られた製品の性能は十分であるものの、製造が非常に困難であり、この
ような方法で製造される塗装用マスキングフィルムロール体は商品化されていな
い。 本発明は以上のような状況を考慮して、スペースをとらず、かつ塗装面への貼
着が容易である塗装用マスキングフィルムロール体を合理的に、低いコストで製
造できる方法およびその方法により製造される塗装用マスキングフィルムロール
体の提供を課題とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂からインフレーション法によりチ
ューブラーフィルムを製造する工程1、 気体が封入された走行状態の該チューブラーフィルムの内面を密着させずに1 〜7mmの間隙を設けて、フィルム間に気体が存在する状態で、フィルム外表面
に高電圧電流を印加した少なくとも一対の電極を接触させ、フィルム内面間にコ
ロナ放電処理を施し、フィルム内面の濡れ張力を向上させる工程2、 コロナ放電処理後のチューブラーフィルムを長手方向に順次搬送中、該フィル
ムの1ヶ所に該フィルムの長手方向に切れ目を入れる工程3、 工程3において切れ目を入れたフィルムの長手方向に向かって左または右の部
分をフィルムの端部にて長手方向を回転軸として180度回転させフィルム内面
を露出する工程4、 工程4で露出させたフィルム部分の端縁部に粘着テープを貼合し得る幅を少な
くとも残して、前記フィルムを長手方向に平行に、前記粘着テープの粘着剤層面
と反対側に折りたたむ工程5、 コロナ放電処理面の左端または右端に、粘着テープを該粘着テープの粘着剤層
とコロナ放電処理面とを対向させ、該粘着テープの左側または右側に未貼合部分
を残して貼合する工程6、 工程6で得られた粘着テープ貼合フィルムを管状体に巻きつける工程7、 からなるチューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフィルムを使用するこ
とを特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体の製造方法に関する。 本発明の上記製造方法の好ましい態様において、工程6は、フィルムの長手方
向の左端または右端から1〜10mmの幅の表面に輻3〜20mmの粘着テープ
の右側または左側の幅2〜15mmの粘着剤層部分を貼合し、左端または右端に
は幅2〜19mmの粘着テープの未貼合部分を残して行われる。 また、本発明は上記の方法で製造された、広輻フィルムの長手方向の一端がコ
ロナ放電処理面を表側にして位置しており、該一端には粘着テープがその粘着剤
層面の一部をコロナ放電処理面に対向して貼合されており、上記フィルムの一端
に連続して存在するコロナ放電処理されたフィルムが幅方向の中央付近で長手方
向を回転軸として前記粘着剤層面と反対側に折り返され、この折り返されたフィ
ルム部分は少なくとも1回ガゼット折りまたは長手方向を回転軸とする回転折り
がなされているフィルムをフィルム長手方向に直角をなす方向に管状体にロール
巻きされている、チューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフィルムを使 用することを特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体に関する。 本発明の上記塗装用マスキングフィルムロール体の好ましい態様は、広幅フィ
ルムの一部である左側の幅2〜20mmのフィルム部分がコロナ放電処理面を表
側にして位置しており、その左側には粘着テープがその粘着剤層面の右側の一部
をコロナ放電処理面に対向して貼合されており、上記幅2〜20mmのフィルム
部分に連続してその右側に広幅フィルムの一部として存在するコロナ放電処理さ
れた幅10〜100cmのフィルムが幅方向の中央付近で長手方向を回転軸とし
て折り返され、折り返された幅5〜70cmのフィルム部分はコロナ放電処理面
が裏側となって、上記幅2〜20mmのフィルム部分の一部およびそれに連続し
てその右側に広幅フィルムの一部として存在するフィルム部分と、相互にコロナ
放電処理面を対向して重ね合わされており、かつ重ね合わせたフィルム部分は少
なくとも1回ガゼット折りまたは長手方向を回転軸とする回転折りがなされてお
り、かつ粘着テープの粘着剤層面と上記折り返された輻5〜70cmのフィルム
の非コロナ放電処理面とは互いに背を向けて配置されている厚単を、フィルム長
手方向に直角方向に管状体にロール巻きされている。なお、上記好ましい態様に
おいて、チューブラーフィルムを開裂し、左側にフィルムを回転させた場合につ
いてのみ記載したが、これは技術内容を誤解することがないように、説明したま
でであり、当然ながら、フィルムを右側に回転させた場合も左側への回転の場合
と同様の効果を奏する製品が得られることはいうまでもない。 【0005】 本発明においてポリオレフィン系樹脂とは、高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体等が挙げられるが、特に強度、横切れ性、取扱い性、加工性、耐熱性等の理
由から高密度ポリエチレンが望ましい。 【0006】 本発明においてインフレーション法によりチューブラーフィルムを製造する工
程1は、サーキュラーダイからポリオレフィン系樹脂をその溶融温度以上で押出
し、チューブラーフィルム内部に空気を入れ、空冷または水冷する通常の方法に より行われる。上記操作の条件は適宜選択されるが、得られるチューブラーフィ
ルムは厚さが5〜20μmであることが好ましい。 【0007】 本発明における工程2は、気体が封入された走行状態のチューブラーフィルム
の内面を密着させずに1〜7mmの間隙を設けて、フィルム間に気体が存在する
状態で、フィルム外表面に高電圧電流を印加した少なくとも一対の電極を接触さ
せ、フィルム内面間にコロナ放電処理を施し、フィルム内面の濡れ張力を向上さ
せることにより行われるが、詳しくは、例えば特公昭61−24412号公報に
開示の方法により行われる。該公報に開示の技術は、内面がコロナ放電されたチ
ューブラー状フィルムに関するものの、その用途は食肉類を充填する場合、フィ
ルム内面に肉類が密着する肉付効果について言及しているのみで、本発明のよう
な塗装用マスキングフィルムの用途に利用できることを全く示唆していない。 【0008】 工程2におけるコロナ放電後のチューブラーフィルムを長手方向に順次搬送中
、該フィルムの1ヶ所に、例えば薄刃金属カッター、レーザー光線、ヒートスポ
ット等を当て該フィルムの長手方向に切れ目を入れる工程3により、チューブラ
ーフィルムを帯状フィルムにすることができる。 【0009】 本発明において、工程3で切れ目を入れたフィルム(帯状フィルム)を長手方
向に平行に折りたたむ工程5は、チューブラーフィルムをそのまま押しつぶし、
その一部を切開して製品とする場合は広輻な製品となり、保管スペースが大きく
なったり、塗装用マスキング作業が困難となり、望ましくないので、製品をコン
パクトにするために必要である。折りたたむ方法はガゼット折り、多重折り等い
ずれでもよいが、粘着テープの粘着面と、粘着テープの反対側のマスキングフィ
ルムの部分が同一平面とならないことが必要である。同一平面になると、粘着テ
ープ部分を塗装面に貼りつけるとき、マスキングフィルムの一部が粘着テープと
塗装面に巻きこまれ、作業をやりなおさざるを得なくなるからである。 なお、この折りたたみ工程5は工程4または6の後に行われてもよい。 【0010】 工程3において切れ目を入れたフィルムの長手方向に向かって左または右の部
分をフィルムの端部にて長手方向を回転軸として180度回転させフィルム内面
を露出する工程4により、コロナ放電処理されたフィルム内面が表側に出、その
フィルムの端部に粘着テープを貼ることが可能となる。 【0011】 本発明において、コロナ放電処理面の左端または右端に、粘着テープを該粘着
テープの粘着剤層とコロナ放電処理面とを対向させ、該粘着テープの左側または
右側に未貼合部分を残して貼合する工程は、フィルムのコロナ放電処理面を表に
してフィルムの非コーティング処理面を裏にして塗装対象物にマスキングフィル
ムの一部を貼りつけるための粘着テープをフィルムに固定するために必要であり
、好ましくはフィルムの左端または右端から1〜10mmの幅の表面に幅3〜2
0mmの粘着テープの右側または左側の幅2〜15mmの粘着剤層部分を貼合し
、左端または右端には幅2〜19mmの粘着テープの未貼合部分を残す。 【0012】 工程6で得られた粘着テープ貼合フィルムを管状体に巻きつける本発明におけ
る工程7により、製品をロール巻きし、製品形態をコンパクトにすることができ
る。管状体は紙管、プラスチック管、金属管、木管等が使用できるが、コスト、
性能面から紙管が望ましい。 【0013】 【実施例】 次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。 塗装用マスキングフィルムの製造例 密度0.948g/ml、メルトインデックス0.06g/10分の高密度ポ
リエチレンを190℃でダイより押出し、ブロー比4.5、巻取速度50m/分
の条件で空冷インフレーション法により、厚さ10μm、折り径25cmのチュ
ーブラーフィルムを得た。 フィルムの内面間隙2mm、フィルム内部封入ガスを空気とし、フィルム内面
コロナ放電処理機(春日電機製)を用いてフィルム内面の濡れ張力が45dyn e/cmとなるようにコロナ放電処理した。 チューブラーフィルムのほぼ中央部(扁平フィルムとしては折り径25cmで
あるから、フィルムの左端から10cmの箇所)に、薄いカミソリ刃で長手方向
に平行に切れ目を入れ、次いで扁平フィルムの左端を回転軸として前記切れ目か
ら左方に存在する扁平フィルムの上側のフィルム片を180度回転させ該フィル
ム片のコロナ放電処理面を露出させた。 そのフィルム片のコロナ放電処理面の左端の幅5mm上にフィルムの長手方向
に沿って幅15mmの粘着テープの粘着剤層の一部(幅5mm)がコロナ放電処
理面と対向するように貼りつけた。 一方、扁平フィルムの上記フィルム片以外の部分はガゼット折りと二重折りを
繰り返し6重のフィルムとし、一番下のフィルム層は粘着フィルムの粘着剤層面
とは反対側に位置するように折りたたんだ。 上記のように準備された厚単を直径2cm、長さ12cmの紙管に直径7cm
にロール巻きし、塗装用マスキングフィルムロール体とした。 得られたロール体の端部を引き出した状態を図1に示す。図中、1が紙管、2
がフィルム、そして3が粘着テープであり、a、bおよびcはそれぞれコロナ放
電処理面、非コロナ放電処理面および粘着剤層である。 評価結果 a.取扱い性:ロール体よりフィルムをほどいて木製板を垂直に立て、粘着テー
プ部分を水平に30cmの長さに貼り、フィルムを手で切った。ロール体は幅1
2cmと短く、直径7cmで手のひらに入り、折りたたまれたフィルムは重力で
一枚の平坦なフィルムに垂れ下がり、取扱い性は非常に良好であった。 b.塗料の付着性:フィルム表面に赤色アクリル系塗料を20μm(乾燥時の厚
さ)塗布したが、表面に均一に塗布され、垂れ落ちることはなかった。また、塗
布面が乾燥後、マスキングフィルムをひき剥がしたが、乾燥した塗料がフィルム
からはげ落ちることはなかった。さらに、乾燥後の塗料が付着したフィルムを手
でもんだが塗料がはげ落ちることはなかった。 【0014】 【発明の効果】 以上詳細に記載したように、本発明は塗装用マスキングフィルムロール体の製
造において、ポリオレフィン系樹脂チューブラーフィルムの内面に初めて連続的
にコロナ放電処理を行い、チューブラーフィルムを切り開き、長手方向に特定様
式におりたたみ、フィルム一端に粘着テープをコロナ放電処理面と対向して貼り
つけ、管状体の上にロール巻きし、しかもこれらを連続的ライン工程で行ってい
るので、従来の方法による場合に比べ、製造がより容易であり、製造コストが低
くできる。 また、得られた塗装用マスキングフィルムロール体は、従来のものとは異なる
構造で、塗料が密着しやすく、流動せず、乾燥後の塗料が剥離しない等、マスキ
ングフィルムとしての品質が良好であり、しかも取扱い性、作業性の面で非常に
優れており、保管スペースも小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例で得られた塗装用マスキングフィルムロール体の斜視図である。
【符号の説明】
1 紙管
2 フィルム
3 粘着テープ
a コロナ放電処理面
b 非コロナ放電処理面
c 粘着剤層
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂からインフレーション法によりチューブ
ラーフィルムを製造する工程1、 気体が封入された走行状態の該チューブラーフィルムの内面を密着させずに1
〜7mmの間隙を設けて、フィルム間に気体が存在する状態で、フィルム外表面
に高電圧電流を印加した少なくとも一対の電極を接触させ、フィルム内面間にコ
ロナ放電処理を施し、フィルム内面の濡れ張力を向上させる工程2、 コロナ放電処理後のチューブラーフィルムを長手方向に順次搬送中、該フィル
ムの1ヶ所に該フィルムの長手方向に切れ目を入れる工程3、 工程3において切れ目を入れたフィルムの長手方向に向かって左または右の部
分をフィルムの端部にて長手方向を回転軸として180度回転させフィルム内面
を露出する工程4、 工程4で露出させたフィルム部分の端縁部に粘着テープを貼合し得る幅を少な
くとも残して、前記フィルムを長手方向に平行に、前記粘着テープの粘着剤層面
と反対側に折りたたむ工程5、 コロナ放電処理面の左端または右端に、粘着テープを該粘着テープの粘着剤層
とコロナ放電処理面とを対向させ、該粘着テープの左側または右側に未貼合部分
を残して貼合する工程6、 工程6で得られた粘着テープ貼合フィルムを管状体に巻きつける工程7、から
なるチューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフィルムを使用することを
特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体の製造方法。 【請求項2】 請求項1記載の方法で製造された、広幅フィルムの長手方向の
一端がコロナ放電処理面を表側にして位置しており、該一端には粘着テープがそ
の粘着剤層面の一部をコロナ放電処理面に対向して貼合されており、上記フィル
ムの一端に連続して存在するコロナ放電処理されたフィルムが幅方向の中央付近
で長手方向を回転軸として前記粘着剤層面と反対側に折り返され、この折り返 されたフィルム部分は少なくとも1回ガゼット折りまたは長手方向を回転軸とす
る回転折りがなされているフィルムをフィルム長手方向に直角をなす方向に管状
体にロール巻きされている、チューブラーフィルム内面をコロナ放電処理したフ
ィルムを使用することを特徴とする塗装用マスキングフィルムロール体。
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