JP2514372B2 - 化粧料 - Google Patents

化粧料

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JP2514372B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は球状の有機複合粘土鉱物粉末を配合した化粧
料に関する。更に詳しくは水膨潤性粘土鉱物と有機溶剤
に溶解する有機物質とを含有してなる球状の有機複合粘
土鉱物を配合し、優れた使用感触、安定性を示す化粧料
に関する。
[従来の技術] 水膨潤性粘土鉱物はその膨潤性、ゲル化特性を利用し
て塗料や医薬品、化粧料の分散安定剤として用いられて
おり、とくに高い安全性と良好なゲル化能を有するた
め、化粧料とりわけ粉末分散系の製品や乳化系の製品等
(アイライナー、マスカラ、乳液、クリーム、ネールエ
ナメル)に好んで使われている。一般的には水性溶媒中
に分散したゲルの形で用いられる。
また水膨潤性粘土鉱物は各種アルコール、アミンや水
溶性高分子等の有機極性分子かカチオン性分子と層間反
応などを起こし、包接化合物を形成する。しかし、この
ような包接化合物も、これまでは水性溶媒中に分散した
ゲルの形でしかも用いられたことはない。また、たとえ
粉末状態でそのまま化粧料中に配合するといっても、粉
末化の際には濾過や遠心分離の工程を経る為に粒形が不
定形になり凝集気味であることが多く、それ故ざらつき
感が強くて、とくに使用感触を重視する化粧料には配合
し難いといった欠点があった。
また、化粧料には上皮細胞からの大気中への過度の水
分蒸発を抑制し、角質層への水和作用を強化するために
エモリエント剤が配合される場合が多いが、これらは多
量に配合すると使用感触がべたついたものになってしま
う欠点を有している。
天然色素を始めとする油溶性色素は耐光性などに問題
があると同時に、粉末製品に配合して顔料として用いよ
うとした場合、油に溶け出したり、着色力が弱いために
多量に配合しなければならないことから高価になり、使
用性も悪くなるという欠点を有している。
香料のなかには、揮散が早く経時とともに匂い立ちが
悪くなるという欠点を有している。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明者等はこうした先行技術の欠点を改良すべく鋭
意研究を重ねた結果、水膨潤性粘土鉱物と、有機溶剤に
溶解する有機物質とを含有してなり、さらに球状の形態
を有した球状有機複合粘土鉱物を配合することにより、
優れた使用感触(なめらかさ、しっとりさ)に加え、優
れた安定性を示すことを見出し、この知見に基づき本発
明を完成するに至った。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、水膨潤性粘土鉱物と有機溶剤に溶
解する有機物質とを含有してなる球状の有機複合粘土鉱
物粉末が粉末状態で配合されてなることを特徴とする化
粧料である。
以下、本発明の構成について述べる。
本発明に用いる水膨潤性粘土鉱物は、スメクタイト属
に属する層状ケイ酸塩鉱物であり、一般にはモンモリロ
ナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト及
びヘクトライト等があり、これらは天然又は合成品のい
ずれであってもよい。市販品では、クニピア、スメクト
ン(いずれもクニミネ工業)、ビーガム(バンダービル
ト社)、ラポナイト(ラポルテ社)、フッ素四ケイ素雲
母(トピー工業)等が利用できる。本発明の実施にあた
っては、これらの水膨潤性粘土鉱物のうちから、一種ま
たは二種以上が任意に選択される。
本発明に用いる有機溶剤に溶解する有機物質は水に不
溶性の物質であり、具体的にはエモリエント効果のある
油分、油溶性色素、香料、紫外線吸収剤などがある。
エモリエント効果のある油分としては、ミリスチン酸
イソプロピル、乳酸ミリスチル、ジペンタエリスリトー
ル脂肪酸エステル、トリミリスチン酸グリセリン、アル
キレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
油溶性色素としては、赤色215号、赤色218号、赤色22
3号、赤色225号、だいだい201号、黄色204号、緑色202
号、紫色201号などのタール色素やβ−カロチン、アロ
ナー、サフラワーイエロー、カルミン酸などの天然色素
が挙げられる。
香料としては、リナロール、リナリルアセテート、シ
ンナミックアルデヒド、ベンジルアセテート、シトラー
ル、シメン、リモネンなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、ホモメ
ンチル−N−アセチルアントラニレート、アニルサリシ
レート、オクチルシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノンなどが挙げられる。
本発明の実施にあたっては、これらの水不溶性物質の
うちから一種または二種以上が任意に選択される。
本発明に係る球状有機複合粘土鉱物は上記の水膨潤性
粘土鉱物と、有機溶剤に溶解する有機物質とを含有して
なる球状の粉末であり、粒径は2〜20μmである。
球状有機複合粘土鉱物全量中の水膨潤性粘土鉱物の配
合量は25〜99.95重量%、好ましくは50〜99.9重量%で
あり、球状有機複合粘土鉱物全量中の有機溶剤に溶解す
る有機物質の配合量は0.05〜70重量%、好ましくは0.1
〜50重量%である。
本発明の有機複合粘土鉱物の製造法は任意であるが、
以下のような噴霧乾燥により得た球状の水膨潤性粘土鉱
物を用いるのが、最も簡便で、かつ球状形状の整った有
機複合粘土鉱物が得られるので好ましい。
すなわち、水膨潤性粘土鉱物を水性溶媒に分散させて
ゲルとなし、しかる後にこれを噴霧乾燥することによっ
て得られる球状の水膨潤性粘土鉱物を利用する方法であ
る。
上記ゲルを調製するにあたっては水膨潤性粘土鉱物の
濃度が20重量%以下になるようにすることが望ましく、
とくに望ましくは1〜10重量%である。20重量%を越え
る濃度ではゲル濃度が高く、噴霧乾燥時の噴霧ノズルの
液の送りが難しく、またノズルの目づまり等が生じてし
まう。
また上記の調製に際しては、水膨潤生粘土鉱物が十分
に分散、膨潤していることが好ましい。分散、膨潤が不
十分な場合は噴霧乾燥時にノズルの目づまりや、得られ
た球状粘土鉱物が不ぞろいとなる場合があり好ましくな
い。
噴霧乾燥に際しては、ディスクタイプや加圧ノズル
式、2流体ノズル式などの一般的噴霧乾燥法が適用でき
る。
いずれの場合も噴霧時の入口空気温度は、水膨潤性粘
土鉱物が300℃位までは熱的に十分安定であることか
ら、150〜300℃程度の広い温度範囲が設定できる。また
排気温度はノズルからの噴霧流量などによって規定され
るが、大旨100℃前後で良い。こうして得られる球状粘
土鉱物の粒子径は2〜20μmである。またこうして得ら
れる粒子表面の形態は、上記ゲルの外観が透明であり、
粘度が高い程、均一でなめらかとなる。
次に、このようにして得られた球状の水膨潤性粘土鉱
物を、あらかじめ上述の有機物質を溶解した有機溶剤に
分散させ、しかる後に有機溶剤を揮散させる。用いる有
機溶剤は一般的な低沸点溶媒であればどれでもよく、例
えばメタノール、エタノール、クロロホルム、エーテ
ル、ヘキサンなどが挙げられる。
このような操作により有機溶剤中に溶解していた有機
物質は、球状の水膨潤性粘土鉱物の層間に浸透して包含
され、球状の有機複合粘土鉱物が得られる。
球状の水膨潤性粘土鉱物は有機溶剤中では膨潤しない
ので、その形状は変わらない。このようにして得られた
有機複合粘土鉱物の形状はもとの球状を保っている。
本発明に用いる球状有機複合粘土鉱物の化粧料中への
配合量は、化粧料の形態に応じて任意であり、一般的に
は0.1〜80重量%である。粉末状あるいは粉末プレスド
系の製品の場合には0.1〜70重量%が一般的である。
本発明の化粧料には上記の球状有機複合粘土鉱物に加
え、化粧料で一般的に配合されるその他の成分を、本発
明の効果を損なわない質的、量的範囲で配合することが
できる。そのような成分としては、保湿剤、ワックス、
顔料、粉末、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、キレー
ト剤、アルカリ、水溶性高分子、油溶性高分子、粘土鉱
物などを挙げることができる。
[発明の効果] 本発明の球状有機複合粘土鉱物を配合した化粧料はざ
らつきがなく、極めてすべりが良く、かつ安定性に富ん
だ化粧料である。
表−1に種々の条件で調製した球状有機複合粘土鉱物
の一覧を記載する。
さらに表−1のNo.1の粉末を用いてパウダリーファン
デーション(A)を調製して、その品質特性を測定し
た。また、比較のため、複合粉末化せず、直接シトラー
ルを配合したパウダリーファンデーション(B)の物性
も併せて示す。
結果を表−3に示す。(表−2は処方) (製法)No.1(No.2〜No.9はNo.1に準じる。) 水1にラポナイトXLG30gを攪拌しながら分散させ
る。得られたゲルをディスク式噴霧乾燥器により、ディ
スク回転数20,000rpm、入口温度10℃、排気温度110℃で
噴霧乾燥したところ2〜20μmの球状粉末が28g得られ
た。エーテル100mlに香料成分であるシトラール5gをあ
らかじめ溶解した溶液に、この球状粉末20gを分散さ
せ、室温で攪拌するとエーテルが揮散し最後に粉末のみ
が残る。この粉末の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す
が、球状であることがわかる。またX線回折により層間
距離を求めると、有機物質を包含していない時に比べ、
約4Å拡がっており、シトラールが層間に入っているこ
とが確かめられた。この粉末は大気中に放置した時、シ
トラールそのものに比べ長期に渡って香りを保ってい
た。
表−2 パウダリーファンデーション処方 (A) (B) 表−1の複合粉末1 1.0 − タルク 29.0 29.0 マイカ 52.7 53.5 酸化鉄赤 1.0 1.0 酸化鉄黄 0.5 0.5 酸化鉄黒 0.5 0.5 酸化チタン 5.0 5.0 流動パラフィン 5.0 5.0 ラノリン 5.0 5.0 エチルパラベン 0.3 0.3 シトラール − 0.2 (製法) 粉末をそれぞれヘンシェルミキサーに仕込み、均一攪
拌した後に残りの成分を添加し均一に混合した。混合物
をアトマイザーで粉砕し、中皿に成型しパウダリーファ
ンデーションを得た。
(においだち) 30℃にて1カ月放置後、実使用し、に
おいだちを以下の3段階により評価した。
1 ほとんどにおわない 2 ややにおう 3 良好なにおいだち (なめらかさ) 以下の5段階により評価した。
1 ざらざらしている 2 ややざらざらする 3 普通 4 ややすべりが良い 5 すべりが良くなめらかである 表−3中の数字は、パネル20名の平均値である。
表−3の結果より、本発明に係るパウダリーファンデ
ーションは香料の安定性に優れすべりの良いものがある
ことがわかる。
[実施例] 次に本発明の一層の理解のために、実施例を挙げて更
に詳細に説明する。本発明はこれらによって限定される
ものではない。
なお、数値は重量%である。
(製法) 油分及びワックスを85〜95℃にて加熱溶解し、このも
のに顔料を加えて分散する。直ちに減圧脱気し、所定の
容器に移し、冷却固化して口紅を得た。
実施例−1は、非常にのびの軽いスティック状口紅で
あり、表−3の使用テストによるスコアは42であり、耐
光性にも優れる口紅であった。
比較例−1は、やや重い使用性で、スコアは2.0であ
り、光やショーケースにあたり、退色がはげしかった。
(製法) チタンコーティドマイカを除く粉末をヘンシェルミキ
サーで混合した後、油分、界面活性剤を加えパルベライ
ザーにて粉砕した。更にチタンコーティドマイカを加
え、ヘンシェルミキサーにて均一に混合した。このもの
を所定の中皿に圧縮成型してアイシャドーを得た。
実施例2はすべりが良く、べたつきの少ないアイシャ
ドーであり、比較例2はざらざらとした使用性であり、
のびの重く、保湿剤のべたつきを感じるアイシャドーで
あった。
(製法) クエン酸を99%アルコールに溶解し、タルクに添加
し、ヘンシェルミキサーで混合後、80℃にてアルコール
を除去する。更に残部を加え、アトマイザーにて粉砕す
る。所定の容器にそのまま移しベビーパウダーを得る。
実施例3は、感触がソフトで、のびの良いものであ
り、粉っぽさが少なくいつまでもにおいだちに優れるも
のである。
実施例4 頬紅 タルク 30 マイカ 25 酸化チタン 3 チタンコーティドマイカ 5.5 赤色202号 0.5 球状有機複合粘土鉱物 *−1 20 ソルビタンジイソステアレート 1 スクワラン 7 メチルフェニルポリシロキサン 8 *−1 表−1のNo.10の球状有機複合粘土鉱物 (製法) 顔料部を混合し、これに他の成分を加熱溶解して加
え、混合、粉砕する。これを中皿に成型し、プレス状の
頬紅を得た。
実施例4は、きわめてのびが良く、仕上りも粉っぽく
なく、頬へのしっとりさを感じるものであった。また、
耐光性に優れるものであった。
実施例5 液状アイライナー アイソパー−H *−1 58.97 炭化水素系樹脂 5 カルナバロウ 1 キャンデリラロウ 5 コレステロール 2 エチルアルコール 3 精製水 1 ベントン38 *−2 3 酸化鉄黒 10 球状有機複合粘土鉱物 *−3 10 ソルビタンモノステアレート 1 香料 0.03 *−1 エッソ化学製のイソパラフィン *−2 NLケミカルズ社製の有機変性モンモリロナイト
クレー *−3 表−1のNo.2の球状有機粘土鉱物 (製法) アイソパーHの一部に活性剤、ベントン及び顔料を加
え、均一に分散混合し、85℃にしておく。釜にアイソパ
ーHの残部、樹脂、ワックスを加え、90℃にて均一に溶
解させる。ここにあらかじめ、調製しておいて分散液を
添加し、85℃〜90℃にて分散混合し、香料を加え、徐冷
し30℃まで冷却する。所定の容器に充填し、耐水性のア
イライナーを得る。
実施例5はのびがよく、筆さばき性に優れたアイライ
ナーであった。又除去後のしっとりさを感じるものであ
った。
実施例6 両用ファンデーション 酸化チタン 15 マイカ 22 酸化鉄 3 環状有機複合粘土鉱物 *−1 25 流動パラフィン 4.5 メチルポリシロキサン 100CS(信越化学工業製のシリ
コンKF96) 20 メチルハイドロジェンポリシロキサン 20CS(信越化学
工業製のシリコンKF99) 10 ソルビタンセスキオレート 0.5 *−1 表−1のNo.5の球状有機複合粘土鉱物 (製法) 顔料部を均一に混合後、油分、活性剤を加え、混合す
る。アトマイザーで粉砕後、所定の中皿にプレス成型す
る。
実施例6は、使用時にスポンジに水を含ませても、含
ませなくても軽いのびで、つややかな仕上りを、提供で
きる水乾両用のファンデーションであった。βカロチン
は安定に包接されており、水の使用によっても変臭や、
色変化を生じなかった。
【図面の簡単な説明】
図1は製法No.1で得られたシトラール含有球状粉体の粉
子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉置 修哉 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社資生堂研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−81124(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水膨潤性粘土鉱物と、有機溶剤に溶解する
    有機物質とを含有してなる球状の有機複合粘土鉱物粉末
    が粉末状態で配合されてなることを特徴とする化粧料。
  2. 【請求項2】球状の有機複合粘土鉱物粉末が、水膨潤性
    粘土鉱物を分散させた水性溶媒を噴霧乾燥して得られる
    球状の水膨潤性粘土鉱物を、有機物質を溶解した有機溶
    媒中に分散し、しかる後に該溶剤を揮散させることによ
    り得られるものである特許請求の範囲第1項記載の化粧
    料。
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