JP2514070B2 - 新規なグルコピラノ―ス誘導体 - Google Patents

新規なグルコピラノ―ス誘導体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、リピットA様活性(後述する。)を有する
新規なグルコピラノース誘導体に関する。
〔技術的背景〕
コレラ菌、サルモネラ菌、大腸菌等のグラム陰性(gr
am−negative)菌はその細胞壁の最外層にリポポリサッ
カライド(lipopolysuccharide,LPSと略記する。)と呼
ばれる物質を有しており、これがエンドトキシンショッ
ク(endotoxin shock)を惹起するとされている。
LPSは、いわゆるエンドトキシンの名の所似である致
死毒性を有する他、多様な生物活性を示すことが知られ
ている。例えば、発熱作用、出血作用、脳脊髄炎発症、
関節炎発症といった作用の他に、その宿主防禦機構であ
る免疫を賦活する作用(マクロファージ活性化作用、B
細胞幼若化作用、非特異的な抗体産生作用、細胞性免疫
賦活作用等)や抗腫瘍作用(INF(インターフェロン)
誘導作用、TNF(Tumor necrosis factor)誘導作用等)
を有している。特に免疫賦活については、抗原に限定さ
れない非特異的免疫剤として有効であり、また抗腫瘍作
用についても、TNF誘導活性により特異的にガン細胞の
み出血壊死させる特性を有しており、有効な抗ガン剤と
して有望な物質である。
またIL−1(インターロイキン−1)産生活性または
インターフェロン産生活性は、単に免疫賦活剤となるだ
けでなく、NK(ナチュラルキラー)活性を亢進させるこ
とによって抗腫瘍剤としても有用である。
一方、LPSは、下記に示すように酸性タンパク質、高
分子多糖およびリン脂質の3つの物質より成り立ってい
るが、Westphal、Ldertzらによって、その活性発現
中心が、リン脂質にあることが明らかとなった。
このリン脂質がリピッドAと呼ばれる物質であり、こ
の物質単独でも前述したようなLPS様の多彩な生物活性
を示すことが知られている。
リピッドAは、その菌種による多様性と脂肪酸の数、
種類や結合位置の組合わせの多さのために、長い間その
絶体構造が不明であったが、最近の研究の中で、二糖ア
ミンに脂肪酸残基とリン酸が結合した下記の様な構造を
持つことが判明した〔日本細菌学雑誌40(1),57(1985)
およびProc.Natl.Acad.Sci.USA80,4624(1983)参
照〕。
さらにもっとも最近の研究の成果によると、上式に示
された各サブユニット単独でもリピットA様作用を有す
ることが判かっている。特に還元末端サブユニットは菌
体内生合成前駆体として単離されており、リピッドXと
名付けられている〔J.Biol.Chem.256,10690(1981)お
よびProc.Natl.Acad.Sci.80,4624(1983)参照〕。また
リピッドXの2位のβ−ヒドロキシテトラデカノイル基
の水酸基にさらにヘキサデカノイル基がエステル結合し
ている化合物がリピッドYと呼ばれるものである。
〔従来の技術〕
これらリピッドA、リピッドX、リピッドYおよびこ
れらの誘導体に関しては、Wisconsin Alumni Research
Foundationより特許出願がなされている〔特表昭60−50
1259号明細書参照〕。
一方、非還元末端サブユニットの方は天然界では見出
されていないが、一部のものについて、化学合成がされ
ている。すなわち、一般式 化合物2:RA=−CO−C13H27 RB=−PO(OH)2 で示される化合物である〔Agric.Biol.Chem.,48(1),251
(1984)およびFEBS LETT.,167,226(1984)参照〕。
最近、上記の化合物1、2および3を含む特許出願が
公開されている〔特開昭61−126093号および同61−1260
94号参照〕。
またさらに、1位の水酸基が水素原子に置き換わった
化合物、すなわち、一般式 〔式中、AはOまたはNHを表わし、R2′はC14またはC14
−O−C14で表わされ、R3′およびR4′は水素原子また
はPを表わし、そしてC14はテトラデカノイル基、C14
O−C14は(3−テトラデカノイル)−テトラデカノイ
ル基でPはホスホリル基をそれぞれ表わすものとする。
更にC−3位に置換するAR2′基はαまたはβの立体配
位をとり得るものとする。〕 で示される化合物が出願公開された〔特開昭61−172867
号参照〕。
〔発明の開示〕
今回、本発明者らはリピッドAの非還元サブユニット
の、 (1)4位のリン酸残基を硫酸残基に変換し、 (2)5位のヒドロキシメチル基のかわりに水素原子ま
たはスルホキシメチル基(−CH2OSO3H)で置き換え、お
よび/または (3)2位または3位のアシル基の鎖中または末端にア
リール基を導入する化学的修飾をほどこした新規な化合
物の化学合成に成功し,それらの化合物が前述したよう
なリピッドA様活性を有することを確認し、本発明を完
成した。
すなわち、本発明は一般式 〔式中、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜〜4の
アルコキシ基を表わし、 R2はA、B、DまたはE (各式中、 lおよびびqは11〜15, mおよびm′は6〜12, nは6〜10, l′およびn′は9〜13の整数を表わし、 Gは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基を表わ
し、 R2aは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基またはア
ルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。) を表わす。〕で示される基を表わし、 R3はL,MまたはQ (各式中、 Zは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基, pおよびp′は6〜12, q′は11〜15, rは6〜10の整数を表わし、 R3aは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基またはア
ルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。) を表わす。〕で示される基を表わし、 R4は水素原子、ヒドロキシメチル基またはスルホキシ
メチル基を表わす。
ただし、下記の化合物を除く: (1)R4がヒドロキシメチル基を表わす場合、 (i)(R2,R3)が、(A,M)、(A,Q)、(D,M)、
(D,Q)、(E,M)および(E,Q)の組合せの化合物、 (ii)mおよびm′が6または7の化合物、 (iii)pおよびp′が6または7の化合物、並びに (2)R4がスルホキシメチル基を表わす場合、(R2
R3)が(A,M)および(E,M)の組合わせの化合物。〕 で示されるグルコピラノース誘導体またはその非毒性塩
に関する。
一般式(I)中、R1が表わす炭素数1〜4のアルコキ
シ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよび
ブトキシ基およびこれらの異性体基が挙げられる。R1
して好ましいものは水素原子、水酸基およびメトキシ基
である。
一般式(I)中、R2およびR3で表わされる基中、 (i)−ClH2l+1,−CqH2q+1および−OCq′2q′+1
で示されるアルキル基としては、炭素数11〜15のウンデ
シル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルおよびペン
タデシル基およびこれらの異性体基が挙げられ、これら
のうち特に好ましいものはトリデシル基であり、 (ii)−CmH2m+1,−Cm′2m′+1,−CpH2p+1およ
び−Cp′2p′+1で示されるアルキル基としては、
炭素数6〜12のヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシルおよびドデシル基およびこれら
の異性体基が挙げられ、これらのうち特に好ましいもの
はデシル基であり、 (iii)−CnH2nおよび−CrH2rで示されるアルキレン基
としては、炭素数6〜10のヘキサメチレン、ヘプタメチ
レン、オクタメチレン、ノナメチレンおよびデカメチレ
ン基およびこれらの異性体基が挙げられ、これらのうち
特に好ましいものはオクタメチレン基であり、 (iv)GおよびZの表わす炭素数1〜4のアルキレン基
としてはメチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレ
ン基およびこれらの異性体基が挙げられる。GおよびZ
として好ましいものは単結合およびエチレン基である。
(v)R2aおよびR3aの表わす炭素数1〜7のアルキル基
としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシルおよびヘプチル基およびこれらの異性体が
挙げられ、炭素数1〜7のアルコキシ基としてはメトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキ
シ、ヘキシルオキシおよびヘプチルオキシ基およびこれ
らの異性体が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ
る。好ましいR2aおよびR3aは水素原子である。
一般式(I)中、R2で表わされる基中、−Cl′
2l′+1および−Cn′2n′+1で示されるアルキル
基としては、炭素数9〜13のノニル、デシル、ウンデシ
ル、ドデシルおよびトリデシル基およびこれらの異性体
基が挙げられ、このうち特に好ましい基はウンデシル基
である。
R2およびR3として特に好ましい基は、それぞれBおよ
びLで表わされる基である。
一般式(I)中、R4はいずれの基も好ましい。
なお、前述したアルキル、アルキレン、アルコキシ基
は直鎖および分枝鎖のものを指すが、特に好ましくは直
鎖のものである。
本発明化合物は、前述したようなリピッドA様活性を
有するため、免疫賦活および抗腫瘍剤として有用であ
る。具体的に述べると、免疫賦活作用としては、マクロ
ファージ活性化作用、B細胞幼若化作用、非特異的抗体
産生作用、細胞性免疫賦活作用等を有し、抗腫瘍作用と
しては、インターフェロン誘導活性、インターロイキン
産生活性、TNF誘導作用等を有する。また、NK活性亢進
作用をも有することが期待される。
本発明は、一般式(I)の全ての化合物、すなわち
「天然」型またはその鏡像体またはそれらの混合物、特
に「天然」型とその鏡像体の等量混合物から成るラセミ
体に関するものである。
当業者にとって明らかな様に、一般式(I)の化合物
は、少なくとも5個の不斉中心を有している。すなわち
糖の骨格の1位、2位、3位、4位および5位の炭素原
子と、さらにR1,R2またはR3があらわすアルキルまたは
アルキレン基が分枝鎖である場合にも不斉中心を生じる
可能性がある。よく知られているように不斉中心の存在
により、異性体が生じる。
しかしながら本発明には、糖の2位および4位につい
ている側鎖は互いにシスの配置であり、同じく糖の3位
および5位についている側鎖も互いにシスの配置をと
り、この2位および4位についている側鎖と、3位およ
び5位についている側鎖は互いにトランスの配置をと
り、糖の1位にR1を有するすべての異性体およびそれら
の混合物のすべてが含まれる。
〔本発明化合物の製造方法〕
一般式(I)で示される本発明化合物のうち、R4が水
素原子である化合物、すなわち一般式 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示される化合物は、一般式 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示される化合物の4位の水酸基にスルホ基(−SO3H)を
導入することによって製造することができる。
この反応は公知であり、例えば三級アミン(ピリジ
ン、トリエチルアミン等)の存在下、不活性有機溶媒
(THF、塩化メチレン、酢酸エチル等)中、または溶媒
を用いないで三酸化イオウ−ピリジン錯体を用いて、−
10℃〜60℃の温度で行なわれる。
ただし、R1が水酸基の化合物(II)については、かか
る反応により1位の水酸基もスルホ化されたものも微量
生成するが、これは後記の精製により除去される。
一方、一般式(I)で示される本発明化合物のうちR4
がスルホキシメチル基(−CH2OSO3H)である化合物、す
なわち一般式 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示される化合物は、一般式 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示される化合物の4位と6位の水酸基にスルホ基を導入
することによって製造することができる。
この反応は前述と同様にして行なうことができるが4
位のみにスルホ基を導入する場合に必要とされる量の2
倍量の三酸化イオウ−ピリジン錯体を用いる。さらに一
般式(I)で示される本発明化合物のうちR4がヒドロキ
シメチル基(−CH2OH)である化合物、すなわち一般式 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示される化合物は、一般式 〔式中、R41はトリアルキルシリル基を表わし、その他
のすべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で示され
る化合物を、酸性条件下加水分解することにより製造す
ることができる。
加水分解反応は公知であり、例えば酸(酢酸、シュウ
酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等)を用いて、水と混和し
うる不活性有機溶媒(THF、メタノール、エタノール、
ジオキサン等)中、水を用いるかまたは用いないで、0
℃から70℃の温度で行われる。
一般式(II)で示される化合物は以下に示される一連
の反応工程式〔A〕により、また一般式(III)および
一般式(IV)で示される化合物のうち一般式(IVa)お
よび(IVb)で示される化合物は、以下に示される一連
の反応工程式〔B〕により製造することができる。
前ページの反応工程式〔A〕および〔B〕中の各記号
は以下の通りの意味を表わし、その他の記号は前記と同
じ意味を表わす。
R11−水素原子、ベンジルオキシ基または炭素数1〜4
のアルコキシ基、 R21−一般式 R22,R32−同じかまたは異なっていて、一般式 で示される基か、 で示される基を表わす。ただし、一方の基が を表わす場合、もう一方の基は を表わす。
G′−炭素数2〜4のアルケニレン基、 R41−トリアルキルシリル基、 R12−水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基。
反応工程式〔B〕中、反応(j)および(l)につい
て一般式(XI)で示される化合物のうちR11がベンジル
オキシ基の場合は反応(j)に進み、R11が水素原子ま
たは炭素数1〜4のアルコキシ基を表わす場合は反応
(l)に進む。
反応工程式〔A〕および〔B〕中の各反応は、すべて
公知の反応であるが以下に簡単に説明する。工程(a)
は、アミノ基へアシル基を導入する反応(N−アシル化
反応)であり、例えば相当する一般式 または HOOC−CqH2q+1 (XVIII) 〔式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。〕で
示されるカルボン酸と一般式(V)で示される化合物と
の共存下、適当な塩基(トリエチルアミン、ピリジン、
4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等)の存在下、
不活性有機溶媒(塩化メチレン、アセトニトリル等)
中、2−クロロ−N−メチルピリジニウム イオダイド
を用いて、−30℃から30℃の温度で行なわれる。
また、上記のN−アシル化反応は、下記の方法、すな
わち一般式(XIII)から(XVIII)で示されるカルボン
酸を適当な塩基(トリエチルアミン、ピリジン等)の存
在下、不活性有機溶媒(塩化メチレン、トルエン、ベン
ゼン、ヘキサン、THF等)中、ピバロイルクロライドと
反応させることによって得られる混合酸無水物を用いて
−30℃から30℃の温度で反応させる方法により行なうこ
ともできる。
また下記の方法、すなわち一般式(V)で示される化
合物と、一般式(XIII)から(XVIII)で示されるカル
ボン酸とトリフェニルホスフィンの共存下、不活性有機
溶媒(塩化メチレン、THF、酢酸エチル等)中、2,2′−
ピリジルジスルフィドを用いて、−10℃から50℃の温度
で反応させる方法によっても行なうことができる。
また、さらにN−アシル化反応は、他のカルボン酸の
活性化方法、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等
の活性化剤を用いても行なうことができる。
この場合、一般式(XIII)または(XVI)で示される
化合物を用いると、この化合物の3位についている水酸
基と糖の3位の水酸基に同じ置換基の導入されたものが
得られる。
この2つの置換基が異なった化合物は一般式(XIV)
または(XVII)で示される化合物を用いることにより得
ることができる。
工程(b)は、水酸基にアシル基を導入する反応(O
−アシル化反応)であり、例えば塩基(トリエチルアミ
ン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン
等)の存在下、不活性有機溶媒(塩化メチレン、トルエ
ン、ベンゼン、酢酸エチル、ヘキサン、THF等)中また
は溶媒を用いないで、相当するアシルハライドを用い
て、−10℃から60℃の温度で行なわれる。
また、工程(b)は、下記の方法、すなわち塩基(ト
リエチルアミン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジ
ン、ピリジン等)の存在下、不活性有機溶媒(塩化メチ
レン、アセトニトリル等)中、相当するカルボン酸を用
いて縮合剤として2−クロロ−N−メチルピリジニウム
イオダイドを用いて、−30℃から30℃の温度で反応さ
せる方法によっても行なうことができる。
また、さらにO−アシル化反応は、他のカルボン酸の
活性化方法、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等
の活性化剤を用いても行なうことができる。
工程(c)は、糖の2位のアミノ基と3位の水酸基を
同時にアシル化する反応であり、前述の工程(a)と同
様に行なわれるが、かかる反応では工程(a)で用いた
(XIII)から(XVIII)で示されるカルボン酸の必要量
の2倍量以上のカルボン酸を用いて行なわれる。
工程(d)は、脱ベンジル反応であり、例えば水素雰
囲気下、触媒(パラジウム−炭素、白金黒、ニッケル
等)を用いて、有機溶媒(メタノール、エタノール、TH
F等)中、−10℃から80℃の温度で行なわれる。
この場合一般式(VII)におけるR11がベンジルオキシ
基を表わすものについては糖の1位と4位は同時に脱ベ
ンジル化される。
工程(e)は、アミノ基へアシル基を導入する反応
(N−アシル化反応)であり、一般式(VIII)で示され
る化合物を用いて工程(a)と同様に行なわれる。
工程(f)は、水酸基にアシル基を導入する反応(O
−アシル化反応)であり、工程(b)と同様に行なわれ
る。
工程(g)は、糖の2位のアミノ基と3位の水酸基を
同時にアシル化する反応であり、前述の工程(a)と同
様に行なわれるが、かかる反応では、工程(a)で用い
た(XIII)から(XVIII)で示されるカルボン酸の必要
量の2倍量以上のカルボン酸を用いて行なわれる。
工程(h)は、糖の4位と6位についている水酸基を
保護しているイソプロピリデン基を除去する反応であ
り、例えば、水もしくは水と混和しうる有機溶媒(TH
F、メタノール、エタノール等)と水の混合液中、酸
(酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン
酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸等)を用いて、0℃から
80℃の温度で行なわれる。
工程(i)は、糖の6位の水酸基に選択的に保護基を
導入する反応であり、例えば塩基(4−(N,N−ジメチ
ルアミノ)ピリジン、ピリジン、トリエチルアミン等)
の存在下、不活性有機溶媒(塩化メチレン、トルエン、
ベンゼン、酢酸エチル、ヘキサン、THF等)中または溶
媒を用いないで、相当するトリアルキルシリルハライド
(t−ブチルジメチルシリルクロライド、トリメチルシ
リルクロライド等)を用いて、−10℃から60℃の温度で
行なわれる。
工程(j)は、脱ベンジル反応であり、工程(d)と
同様に行なわれる。
工程(k)は、等の4位の水酸基にスルホ基を導入す
る反応であり、例えば三級アミン(ピリジン、トリエチ
ルアミン等)の存在下、不活性有機溶媒(THF、塩化メ
チレン、酢酸エチル等)中または有機溶媒を用いない
で、三酸化イオウ−ピリジン錯体を用いて、−10℃から
60℃の温度で行なわれる。
工程(l)は、糖の4位の水酸基にスルホ基を導入す
る反応であり、前述の工程(k)と同様にして行なわれ
る。
工程(m)は、一般式(IIIa)で示される化合物のう
ちR11がベンジルオキシ基を表わすものの脱ベンジル反
応であり、前述の工程(d)と同様にして行なわれる。
工程(n)は接触還元反応であり、工程(d)と同様
にして行なわれる。
本明細書中の各反応において反応生成物は通常の精製
手段、例えば常圧下または減圧下における蒸留、シリカ
ゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマ
トグラフィ、薄層クロマトグラフィ、あるいはカラムク
ロマトグラフィまたは洗浄、再結晶等の方法により精製
することができる。精製は各反応ごとに行なってもよい
し、いくつかの反応終了後行なってもよい。
〔出発物質〕
本発明において用いられる出発物質および各試薬は、
すべてそれ自身公知であるかまたは公知の方法により容
易に合成することができる。
例えば、一般式(VIII)で示される化合物のうちR11
がベンジルオキシ基である化合物は、Agric.Biol.Che
m.,48(1),251(1984)に記載されている。
また一般式(V)で示される化合物のうちR11が水素
原子である化合物は、J.Org.Chem.,30(4),1282(196
5)に記載の化合物から公知の方法により容易に合成す
ることができる。
〔本発明化合物における塩〕
一般式(I)で示される本発明化合物は、スルホン酸
部分において塩を形成することができる。
塩に変換することにより本発明化合物の水に対する溶
解性が上がるため、医薬品として投与する際に有用であ
る。
本発明化合物は後述する公知の方法等により容易に塩
に変換することができる。
本発明における塩は非毒性であることが好ましい。こ
こでいう非毒性の塩とは、動物の組織に対して比較的無
害であり、しかも治療に必要な量を用いたとき、一般式
(I)で示される化合物の有効な薬理的性質がそのカチ
オンにより生じた副作用によって損なわれないようなカ
チオンからなる塩を意味する。また、塩は水溶性である
ことが好ましい。
適当な塩としては、例えばナトリウム又はカリウムの
ようなアルカリ金属の塩、カルシウム又はマグネシウム
のようなアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩および
薬学的に許容される(非毒性の)アミン塩が含まれる。
酸とそのような塩を形成する適当なアミンはよく知られ
ており、例えば理論上アンモニアの1個あるいはそれ以
上の水素原子を他の基に置き換えて得られるアミンが含
まれる。その基は1個以上の水素原子が置換されている
ときは同じでも異なってもよいが、例えば炭素数1〜6
のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基か
ら選ばれる。適当な非毒性アミン塩としては、テトラメ
チルアンモニウムのようなテトラアルキルアンモニウム
の塩、およびメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリ
エチルアミン、シクロペンチルアミン塩、ベンジルアミ
ン塩、フェネチルアミン塩、ピリジン塩、ピペリジン
塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、
リジン塩、アルギニン塩のような有機アミン塩が挙げら
れる。
本発明化合物の塩は、一般式(I)で示される本発明
化合物を公知の方法、例えば適当な溶媒中で適当な塩
基、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸
化物あるいは炭酸塩または有機アミンと反応させること
により得られる。
塩は溶液を凍結乾燥するか、減圧濃縮するかあるいは
反応溶液に充分不溶ならばろ過するか、あるいは必要な
らば溶媒を一部除去したのちろ過することにより単離さ
れる。
〔本発明化合物の薬理活性〕
一般式(I)で示される本発明化合物は、前述したよ
うにリピッドA様活性を示し、例えば実験室の実験で
は、次に示されるような結果を得た。
(1)in vitroの系におけるマイトゲン活性(Mitogeni
c activity) 本発明化合物は後述する実験系において、次表Iに示
されるような活性を示した。
マイトゲン活性(Mitogenic Activity)は、リンパ細
胞の有糸分裂生殖の程度をその系におけるチミジンの取
り込み量を測定することにより、Blastogenic Indexと
して表わすことができる。
例えば表Iの上段の13.7という値は、実施例I(b)
の化合物をテスト系に加えた場合は、加えない場合の1
3.7倍のチミジンの細胞内への取り込みがあるという意
味である。
in vitroの系におけるマイトゲン活性は、以下の実験
系を求めた〔免疫実験操作法pp315(日本免疫学会出版
参照)〕。
C3H/He雌性マウス(6週令)を放血致死させ、摘出し
た脾臓をガーゼでろ過し、PBS液で浮遊細胞を調製し
た。洗浄後リンホライトMを用いてリンパ球画分を採取
し、RPMI1640培養液(10%FBS)に浮遊させ、5×105
/180μlに分注した。これに終濃度(1μg/ml)の10倍
に調製した本発明化合物を20μl/wellずつ添加し、5%
CO2-95%O2雰囲気下、37℃で24時間培養した。培養後、
3H−チミジン0.5μCi/20μlを加え、5%CO2-95%O
2下、37℃でさらに24時間培養したのち、3H−チミジン
の細胞取込み量を測定した。マイトゲン活性は、下式の
Blastogenic Indexで表わした。
(2)in vitroの系におけるTNF産生活性 本発明化合物は後述する実験系において、次表IIに示
されるような活性を示した。
in vitroの系におけるTNF産生活性は、以下の実験系
を用いて求めた。
ICR雄性マウス(6週令)にpriming agentとしてCory
ne parvum(RIBI IMMUNO CHEM.RESEARCH INC.製)を尾
静脈より500μlずつ投与し、10日後eliciting agentと
して本発明化合物(10μg)を尾静脈より投与し、90分
後に心臓採血し、血清を分取した。
血清の希釈液100μl/wellとRPMI1640培養液(10%FBS
+0.2%グルコース;日水製薬剤)に浮遊させたマウス
L−M細胞104/100μl/wellに3H−チミジン、0.5μCi/2
0μl/wellを加えて、5%CO2−95%O2雰囲気下、37℃で
48時間培養した。この培養中に細胞中に取り込まれた3H
−チミジン量を測定した。
TNF産生活性は下式のCytotoxicityで表わした。
〔毒性〕 一方、本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、
医薬として使用するために十分に安全であると判断でき
る。
〔医薬品への適用〕
人間を含めた動物、特に人間において、免疫能が低下
した状態(老令、疾病等による体力の低下および免疫不
全等)は、身体における防禦機構(特に細菌、ウイルス
等に対する)の働きの低下であり、日和見感染等の致命
的病状を引き起こすこととなる。
一般式(I)で示される本発明化合物は、先の実験例
でも示した通り、生体組織に対して免疫賦活作用(例え
ばマイトゲン活性)を有するため、免疫能賦活剤として
有用である。
また一般式(I)で示される本発明化合物は、TNF誘
導活性、IL−1産生能およびIFN産生能を有するため、
抗腫瘍剤として有用である。
一般式(I)で示される本発明化合物、またはその非
毒性塩を上記の目的で用いるには、おのおのにつき、通
常全身的あるいは局所的に、経口または非経口で投与さ
れる。投与量は年令、体重、症状、治療効果、投与方
法、処理時間等により異なるが、通常成人ひとり当り、
各々につき1回に0.1mg〜100mgの範囲で、1日1回から
数回経口投与されるか、または成人ひとり当り、各々に
つき1回に10μg〜10mgの範囲で、1日1回から数回非
経口投与される。もちろん前記したように投与量は種々
の条件で変動するので、上記投与範囲より少ない量で十
分な場合もあるし、また範囲を越えて投与する必要のあ
る場合もある。
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、
顆粒剤等が含まれる。このような固体組成物において
は、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、少なくともひ
とつの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブ
ドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロ
ース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸ア
ルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に
従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリ
ン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グルコン酸カ
ルシウムのような崩壊剤を含有していてもよい。錠剤ま
たは丸剤は必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルム
で被膜してもよいし、また2以上の層で被膜してもよ
い。さらにゼラチンのように吸収されうる物質のカプセ
ルも包含される。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される
乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等
を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤は、例えば
精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈
剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味
剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつま
たはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法に
より処方されるスプレー剤が含まれる。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性また
は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の
溶液剤、懸濁剤としては例えば注射用蒸留水および生理
食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤として
は、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、オリーブ油のような植物油、エタノールのような
アルコール類、ポリソルベート80(登録商標)等があ
る。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化
剤、分散剤のような補助剤を含んでもよい。これらは、
例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の
配合または照射によって無菌化される。これらはまた無
菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の
注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
非経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつ
またはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法
により処方される外用液剤、軟コウのような塗布剤、坐
剤およびペッサリー等が含まれる。
〔命名法〕
特許請求の範囲を含む本明細書において、本発明化合
物は下記のようなグルコピラノースの誘導体として命名
されている。
また、特許請求の範囲を含む本明細書中の構造式にお
いて、一般的に認められている命名法の規則に従い、破
はそれについている基が紙面のうしろ側(すなわち、α
−配置)、先細太線 はそれについている基が紙面の手前側(すなわち、β−
配置)、波線 はそれについている基がα−,β−またはそれらの混合
物であることを表わす。
〔参考例および実施例〕
本発明化合物の製造の一例を次に参考例および実施例
により詳述するが、もちろんこれにより本発明が限定さ
れるものではない。
なお、参考例および実施例中の「TLC」および「IR」
は、おのおの「薄層クロマトグラフィ」および「赤外吸
収スペクトル」を表わす。
クロマトグラフィによる分離の箇所に記載されている
溶媒の割合は体積比を表わし、カッコ内の溶媒は使用さ
れた展開溶媒または溶出溶媒を示している。
また、特別の記載がない場合には、赤外吸収スペクト
ルはKBr錠剤法で測定している。
参考例1 2−デオキシ−2−(3−ヒドロキシテトラデカノイ
ル)アミノ−4−O−ベンジル−1,5−アンヒドロ−D
−キシリトールの合成 2−デオキシ−2−アミノ−4−O−ベンジル−1,5
−アンヒドロ−D−キシリトール(1.07g)、トリフェ
ニルホスフィン(3.02g)および3−ヒドロキシミリス
チン酸(1.23g)の酢酸エチル懸濁液(50ml)に2,2′−
ジピリジルジスルフィド(2.54g)の酢酸エチル溶液を
0℃でゆっくり加えた。
反応混合物を室温で5時間かくはんした後、反応溶液
を水、1N−水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次
洗浄し、乾燥後減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィ(CH2Cl2:AcOEt=1:1)を用いて精
製し、下記の物性値を有する標題化合物(1.74g)を得
た。
TLC:Rf 0.33(CH2Cl2:MeOH=1:20); IR :ν 3400,3280,2900,2840,1730,1650,1460cm-1
参考例1(a)〜1(b) 参考例1と同様の操作を行ない、各出発物質を用いて
次表IIIに示す物性値を有する各化合物を得た。
参考例2 2−デオキシ−2−〔3−(9−フェニルノナノイ
ル)オキシテトラデカノイル〕アミノ−3−O−(9−
フェニルノナノイル)−4−O−ベンジル−1,5−アン
ヒドロ−D−キシリトールの合成 参考例1で合成した化合物(500mg)、フェニルノナ
ン酸(635mg)および2−クロロ−1−メチル−ピリジ
ニウムイオダイド(710mg)の塩化メチレン(15ml)懸
濁液に、室温においてトリエチルアミン(0.47ml)を加
え、次いで、4−(N,N′−ジメチルアミノ)ピリジン
(135mg)を加え室温で終夜反応させた。
反応液を酢酸エチルで希釈し、水、1N−水酸化ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後減圧濃縮
した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(n
−ヘキサン:AcOEt=1:1)を用いて精製し、さらに同条
件のシリカゲルカラムクロマトグラフィを2回行ない標
題化合物(more polar:261mg)を得た。
TLC:Rf 0.26(AcOEt:n−ヘキサン=1:2)。
参考例2(a)〜2(f) 参考例2と同様の操作を行ない各出発物質を用いて次
表IVaおよびIVbに示す物性値を有する各化合物を得た。
参考例3 ベンジル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)アミノ−4,6−O−イソプロピリデン−β
−D−グルコピラノシドの合成 ベンジル2−デオキシ−2−アミノ−4,6−O−イソ
プロピリデン−β−D−グルコピラノシド(Agric.Bio
l.Chem.,48(1),251(1984)記載の化合物;309mg)、
(3,4−ジデシルオキシ)安息香酸(521mg)およびトリ
フェニルホスフィン(393mg)の酢酸エチル(10ml)溶
液に、α,α′−ジピリジルジスルフィド(330mg)を
加え室温で2時間、さらに50℃で2時間かくはんした。
反応液を室温で終夜かくはんした後、4−(N,N−ジメ
チルアミノ)ピリジン(244mg)を加え、室温で5時間
かくはんした。
反応混合物をヘキサン−酢酸エチル(n−ヘキサン:E
tOAc=1:1;50ml)の混合液で希釈し、1N水酸化ナトリウ
ム水溶液、水、1N塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、
乾燥後減圧濃縮した。
残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH2C
l2:EtOAc=7:3)を用いて精製し、下記の物性値を有す
る標題化合物(612mg)を得た。
TLC:Rf 0.63(EtOAc); IR :ν 3520,3350,2940,2860,1640,1600,1592,1530,151
0,1475,1263,1220,1113,1090,1036,1010,853,804,758,7
28,690,cm-1 参考例3(a) ベンジル2−デオキシ−2−テトラデカノイルアミノ
−4,6−O−イソプロピリデン−β−D−グルコピラノ
シドの合成 参考例3と同様の出発物質を用いて参考例3と同様の
操作を行ない、下記の物性値を有する標題化合物(510m
g)を得た。
TLC:Rf 0.45(AcOEt:n−ヘキサン=3:1); IR :ν 3500,3275,2400,2340,1635,1540,1460,1370,126
5,1195,1080 cm-1
参考例3(b) ベンジル2−デオキシ−2−〔3−(3,4−ジオクチ
ルオキシ)フェニルプロピオニル〕アミノ−4,6−O−
イソプロピリデン−β−D−グルコピラノシドの合成 参考例3と同様の出発物質を用いて参考例3と同様の
操作を行ない、下記の物性値を有する標題化合物(1.21
g)を得た。
TLC:Rf 0.67(AcOEt:n−ヘキサン=3:1); IR :ν 3950,2910,2895,1665,1585,1530,1510,1260,109
0 cm-1
参考例4 メチル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベ
ンゾイル)アミノ−4,6−O−イソプロピリデン−α−
D−グルコピラノシドの合成 メチル2−デオキシ−2−アミノ−4,6−O−イソプ
ロピリデン−β−D−グルコピラノシド(0.5g)、3,4
−ジ(デシルオキシ)安息香酸(1.21g)および1−メ
チル−2−クロロピリジニウムイオダイド(0.93g)を
塩化メチレンに懸濁させ、室温でトリエチルアミン(0.
68ml)を加え、終夜反応させた。
反応液を塩化メチレンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリ
ウム、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥した後、減圧濃縮
した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl2:n−ヘキサン:AcOEt=1:1:4)で精製し、標題化合
物(1.0g)を得た。
TLC:Rf 0.18(AcOEt:n−ヘキサン=1:2)。
参考例4(a) メチル2−デオキシ−2−〔3−(3,4−ジオクチル
オキシフェニル)プロペノイル〕アミノ−4,6−O−イ
ソプロピリデン−α−D−グルコピラノシドの合成 参考例4の出発物質を用いて、参考例4と同様の操作
によって下記の物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.75(CH2Cl2:MeOH=9:1); IR :ν 3350,3280,2920,2850,1650,1610,1600,1510 cm
-1
参考例5 ベンジル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)アミノ−3−O−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)−4,6−O−イソプロピリデン−β−D−
グルコピラノシドの合成 ベンジル2−デオキシ−2−アミノ−4,6−O−イソ
プロピリデン−β−D−グルコピラノシドを出発物質と
して、参考例2と同様の操作を行ない、下記の物性値を
有する標題化合物(290mg)を得た。
TLC:Rf 0.8(AcOEt:n−ヘキサン=3:5); IR :ν 3270,2930,2850,1720,1640,1600,1540,1510,146
0 cm-1
参考例5(a)〜5(c) 参考例2と同様の操作を行ない、次表Vに示す物性値
を有する各化合物を得た。
参考例6 ベンジル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4,6
−O−イソプロピリデン−β−D−グルコピラノシドの
合成 参考例3で合成した化合物(600mg)およびピリジン
(0.16ml)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、これに室
温でテトラデカノイルクロライド(0.27ml)を加え、2
時間かくはんした後、塩化メチレン(40ml)を加えた。
反応溶液を1N塩酸、水で順次洗浄し、乾燥した後、減
圧濃縮し、下記の物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.64(CH2Cl2:EtOAc=10:1)。
参考例6(a)〜6(d) 参考例6と同様の操作を行ない各出発物質を用いて次
表VIに示す物性値を有する各化合物を得た。
参考例6−1 メチル2−デオキシ−2−〔3−(3,4−ジオクチル
オキシフェニル)プロパノイル〕アミノ−3−O−テト
ラデカノイル−4,6−O−イソプロピリデン−α−D−
グルコピラノシドの合成 参考例5(b)で合成した化合物(1g)のTHF溶液(2
0ml)に、10%Pd−C(0.2g)を加え、水素雰囲気下、
室温にて一晩攪拌した。
反応終了後触媒を濾取し、濾液を減圧濃縮し、以下の
物性値を有する標題化合物(0.98g)を得た。
TLC:Rf 0.61(AcOEt:n−ヘキサン:CH2Cl2=1:3:1); IR :ν 3270,2910,2850,1730,1650,1510,1460 cm-1
参考例6−1(a)〜6−1(b) 参考例6−1と同様の操作を行ない、各出発物質を用
いて、次表VIIに示す物性値を有する各化合物を得た。
参考例7 ベンジル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−β−
D−グルコピラノシドの合成 参考例6で合成した粗生成物をTHF(16ml)に溶解し
たのち、水(4ml)および酢酸(8ml)を加えて、加熱還
流下6時間かくはんした。反応液を減圧濃縮し、得られ
た残留物を酢酸エチル−塩化メチレン(4:1;50ml)混液
に溶解し、1N水酸化ナトリウム、水で順次洗浄後、有機
層にTHF(20ml)および塩化メチレン(20ml)を加え
た。この溶液を乾燥した後、減圧濃縮し、粗製の標題化
合物を得た。
TLC:Rf 0(CH2Cl2:EtOAc=1:10)。
参考例7(a)〜7(h) 参考例7と同様の操作を行ない、各出発物質を用い
て、次表VIIIに示す物性値を有する各化合物を得た。
参考例8 ベンジル2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシ
ベンゾイル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−6−
O−t−ブチルジメチルシリル−β−D−グルコピラノ
シドの合成 参考例7で合成した化合物を乾燥ピリジン(10ml)に
溶かし、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(122m
g)を加え、さらにt−ブチルジメチルシリルクロライ
ド(300mg)を加えた後、室温で5時間かくはんした。
反応液を減圧濃縮し、得られた残留物を塩化メチレン
(60ml)に溶解し、1N塩酸、水、飽和重曹水で順次洗浄
した後、減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィ(CH2Cl2:EtOAc=20:1)を用いて精製し、下
記の物性値を有する標題化合物(856mg)を得た。
TLC:Rf 0.66(CH2Cl2:EtOAc=10:1); IR(CHCl3):ν 3476,2940,2860,1726,1660,1600,149
7,1462,1264,1075,836 cm-1
参考例8(a)〜8(e) 参考例8と同様の操作によって、各出発物質を用い
て、次表IXに示される物性値を有する各化合物を得た。
参考例9 2−デオキシ−2−〔3−(9−フェニルノナノイ
ル)オキシ−テトラデカノイル〕アミノ−3−O−(9
−フェニルノナノイル)−1,5−アンヒドロ−D−キシ
リトールの合成 参考例2で合成した化合物(more polar;260mg)をTH
F(15ml)に溶解し、かくはんしながらPd−C(含量10
%;80mg)をゆっくり加えたのち、水素雰囲気下、60−7
0℃で終夜かくはんした。
反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、粗
製の標題化合物を得た。
参考例9(a)〜9(j) 参考例9と同様の操作により、各出発物質を用いて次
表Xに示される物性値を有する各化合物を得た。
実施例1 2−デオキシ−2−〔3−(9−フェニルノナノイ
ル)オキシテトラデカノイル〕アミノ−3−O−(9−
フェニルノナノイル)−4−O−スルホ−1,5−アンヒ
ドロ−D−キシリトールの合成 参考例9で得られた粗生成物(200mg)、三酸化イオ
ウ・ピリジン錯体(144mg)およびピリジン(8ml)の混
合物を室温で3時間かくはんした。反応後、反応混合物
にトルエンを加えて共沸させた。残留物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィ(CH2Cl2:CH3OH=10:1)を用い
て精製し、下記物性値を有する標題化合物(more pola
r;180mg)を得た。
ただし、生成物はピリジン塩として得られ、そのピリ
ジン塩の一部は、シリカゲルカラムクロマトグラフィに
よる精製中、シリカゲル中に不純物として混入していた
Caイオン、NaイオンおよびMgイオンと塩交換をおこした
ため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合物として得られた。
TLC:Rf 0.44(CH2Cl2:CH3OH=5:1); IR :ν 3450,3280,2910,2850,1720,1640,1520,1450,137
0,1250,1160,1090,1060,990,810,740,690 cm-1
実施例1(a)〜1(e) 実施例1と同様の操作により、各出発物質を用いて次
表XIに示される物性値を有する各化合物を得た。
ただし、生成物はピリジン塩として得られ、そのピリ
ジン塩の一部は、シリカゲルカラムクロマトグラフィに
よる精製中、シリカゲル中に不純物として混入していた
Caイオン、NaイオンおよびMgイオンと塩交換をおこした
ため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合物として得られた。
参考例10(a)〜10(f) 実施例1と同様の操作により、各出発物質を用いて次
表XIIに示される物性値を有する各化合物を得た。ただ
しシリカゲルカラムクロマトグラフィを用いた精製は行
なわずに次の反応に使用した。
実施例2 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
ル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4−O−スル
ホ−D−グルコピラノースの合成 参考例10(a)で得られた粗生成物を酢酸(10ml)、
THF(10ml)および水(5ml)の混合液に溶かし、50℃で
30分間かくはんした。反応後、反応液を減圧濃縮し、こ
れにトルエンを加えて共沸した後、さらに減圧濃縮し
た。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH2C
l2:CH3OH=20:3)を用いて精製し、得られた化合物に
乾燥ジオキサンを加えて凍結乾燥して、下記の物性値を
有する標題化合物(261mg)を得た。
ただし、生成物はピリジン塩として得られ、そのピリ
ジン塩の一部は、シリカゲルカラムクロマトグラフィに
よる精製中、シリカゲル中に不純物として混入していた
Caイオン、NaイオンおよびMgイオンと塩交換をおこした
ため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合物として得られた。
TLC:Rf 0.15(CH2Cl2:CH3OH=20:3); IR :ν 3450,2940,2860,1730,1632,1601,1580,1522,150
7,1460,1272,1227,1130,1043,996,816,765,720,600 cm
-1
実施例2(a)〜2(e) 実施例2と同様の操作により、各出発物質を用いて、
次表XIIIに示される物性値を有する各化合物を得た。
ただし、生成物はピリジン塩として得られ、そのピリ
ジン塩の一部は、シリカゲルカラムクロマトグラフィに
よる精製中、シリカゲル中に不純物として混入していた
Caイオン、NaイオンおよびMgイオンと塩交換をおこした
ため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合物として得られた。
実施例3 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
ル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4,6−O−ジ
スルホ−D−グルコピラノースの合成 参考例9(f)で合成した化合物(0.57g)を用い
て、実施例1と同様にして次の物性値を有する標題化合
物(343mg)を得た。ただし、生成物はピリジン塩とし
て得られ、そのピリジン塩の一部は、シリカゲルカラム
クロマトグラフィによる精製中、シリカゲル中に不純物
として混入していたCaイオン、NaイオンおよびMgイオン
と塩交換をおこしたため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合
物として得られた。この場合、反応で用いる三酸化イオ
ウ−ピリジン錯体は、実施例1で用いた量の2倍量を用
いた。
TLC:Rf 0.16(CH2Cl2:MeOH=4:1); IR :ν 3400,2920,2850,1730,1630,1600,1570,1540,151
0,1460,1380,1340,1260,1210,1000 cm-1
実施例3(a)〜3(d) 実施例3と同様の操作を行ない各出発物質を用いて次
表XIVに示す物性値を有する各化合物を得た。
ただし、生成物はピリジン塩として得られ、そのピリ
ジン塩の一部は、シリカゲルカラムクロマトグラフィに
よる精製中、シリカゲル中に不純物として混入していた
Caイオン、NaイオンおよびMgイオンと塩交換をおこした
ため、Ca塩、Na塩およびMg塩の混合物として得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/70 ADU A61K 31/70 ADU

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜4のア
    ルコキシ基を表わし、 R2はA、B、DまたはE (各式中、lおよびqは11〜15, mおよびm′は6〜12, nは6〜10, l′およびn′は9〜13の整数を表わし、 Gは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基を表わ
    し、 R2aは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基またはアル
    コキシ基またはハロゲン原子を表わす。) を表わす。〕で示される基を表わし、 R3はL,MまたはQ (各式中、Zは単結合または炭素数1〜4のアルキレン
    基、 pおよびp′は6〜12、 q′は11〜15、 rは6〜10の整数を表わし、 R3aは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基またはアル
    コキシ基またはハロゲン原子を表わす。) を表わす。〕で示される基を表わし、 R4は水素原子、ヒドロキシメチル基またはスルホキシメ
    チル基を表わす。 ただし、下記の化合物を除く: (1)R4がヒドロキシメチル基を表わす場合、 (i)R2,R3)が、(A,M)、(A,Q)、(D,M)、(D,
    Q)、(E,M)および(E,Q)の組合せの化合物、 (ii)mおよびm′が6または7の化合物、 (iii)pおよびp′が6または7の化合物、並びに (2)R4がスルホキシメチル基を表わす場合、(R2
    R3)が(A,M)および(E,M)の組合わせの化合物。〕 で示されるグルコピラノース誘導体またはその非毒性
    塩。
  2. 【請求項2】R4が水素原子である特許請求の範囲第1項
    記載の化合物。
  3. 【請求項3】R2がBである特許請求の範囲第1項または
    第2項記載の化合物。
  4. 【請求項4】R3がLである特許請求の範囲第1項または
    第3項記載の化合物。
  5. 【請求項5】2−デオキシ−2−(3−テトラデカノイ
    ルオキシテトラデカノイル)アミノ−3−O−テトラデ
    カノイル−4−O−スルホ−1,5−アンヒドロ−D−キ
    シリトール、 2−デオキシ−2−〔3−(9−フェニルノナノイル)
    オキシテトラデカノイル〕アミノ−3−O−(9−フェ
    ニルノナノイル)−4−O−スルホ−1,5−アンヒドロ
    −D−キシリトール、 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
    ル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4−O−スル
    ホ−1,5−アンヒドロ−D−キシリトール、 メチル 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4−O−
    スルホ−5−アンヒドロ−D−グルコピラノシド、 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
    ル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4−O−スル
    ホ−D−グルコピラノース、 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
    ル)アミノ−3−O−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
    ル)−4−O−スルホ−D−グルコピラノース、 メチル 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)アミノ−3−O−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)−4,6−ジスルホ−α−D−グルコピラノシ
    ド、 メチル 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)アミノ−3−O−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)−4−O−スルホ−α−D−グルコピラノシ
    ド、 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベンゾイ
    ル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4,6−O−ジ
    スルホ−D−グルコピラノース、 メチル 2−デオキシ−2−(3,4−ジデシルオキシベン
    ゾイル)アミノ−3−O−テトラデカノイル−4−O−
    スルホ−D−グルコピラノシド、 2−デオキシ−2−テトラデカノイルアミノ−3−O−
    (3,4−ジデシルオキシベンゾイル)−4−O−スルホ
    −D−グルコピラノース、または 2−デオキシ−2−〔3−(3,4−ジオクチルオキシ)
    フェニルプロピオニル〕アミノ−3−O−テトラデカノ
    イル−4−O−スルホ−D−グルコピラノース である特許請求の範囲第1項から第4項までのいずれか
    の項に記載の化合物。
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