JP2511890B2 - マスク半導体レ−ザ−の製作方法 - Google Patents

マスク半導体レ−ザ−の製作方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明はマスク半導体レーザーの製作方法に関し、よ
り詳細には、光メモリーや光磁気メモリー等の光源とし
ての半導体レーザーに適用しうる半導体レーザーの製作
方法に関するものである。
(従来技術) 近年、光メモリー及び光磁気メモリーにより、情報の
高密度記録化が達成されつつあるが、技術の趨勢として
より一層の高密度記録再生が志向されている。例えば、
光ディスクにおいて、高密度記録たる0.4〜0.5μmのピ
ットの情報を読み取るためにはビーム系もその程度に絞
り込む必要がある。しかし、現状における半導体レーザ
ー及び結像光学手段では、回折限界による制約等によ
り、半導体レーザーの波長、例えば約0.8μm以下のビ
ーム系に絞り込むことは極めて困難である。ちなみに、
第3図に示す半導体レーザー2では発光点2Aの大きさが
長径=3〜6μm、短径=0.1〜0.3μmとなっていて、
ビーム径を絞る際にもこの発光点の大きさに制約され簡
単に微少ビーム径に絞り込むことは困難である。
(目的) 従って、本発明の目的は、高密度記録再生用の光源た
る半導体レーザーについて、その半導体レーザーと一体
的にマスク手段を形成してこのマスク手段に微細孔を形
成することにより微少な発光点を得ることを可能にした
マスク半導体レーザーの製作方法を提供することにあ
る。
(構成) 本発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ
ーの放射光を遮光するマスク層を半導体レーザーの出射
面に形成した後、その半導体レーザー自身の放射光によ
り上記マスク層の一部に放射光の出射孔を形成するマス
ク半導体レーザーの製作方法において、前記マスク層用
材料が電気絶縁性でない場合には半導体レーザーの出射
面と前記マスク層との間に電気絶縁層を設け、前記マス
ク層用材料が電気絶縁性の場合には半導体レーザーの出
射面に直接、前記マスク層を設けることを特徴としてい
る。
以下、本発明の一実施例に基づいて具体的に説明す
る。
本発明の実施対象たる素材としての半導体レーザーと
しては、現在、市販されている、波長780nmおよび830nm
の半導体レーザーに代表されるAlGaAsの三元系半導体レ
ーザー、GAInAsPの四元系半導体レーザー、およびその
他一般の半導体レーザーをあげることができる。
次に、半導体レーザーの放射光を遮光するマスク層用
の材料に必要な特性としてはマスク材の機能上、放射光
の殆どを透過させない性質すなわち、放射光の殆どを反
射若しくは吸収する特性が要求される。
第2に、出射孔を形成させるべく、半導体レーザーの
放射光によって、熱的物理的に、あるいは化学的に反
応、溶融、蒸発、あるいは拡散により、除去、若しくは
光学的に透明化する性質が要求される。
これらの特性を満足する材料としては、具体的には
(1)Au,Cr,Ni,In,Zn,Alなどの金属、およびそれらの
化合物類、(2)As2Se3,Se,Te,Snなどの両性金属、お
よびその化合物類、(3)カーボン、S,などを例示でき
る。
なお、これらマスク層用材料が電気絶縁性でない場
合、半導体レーザーの出射鏡面とマスク材料との間にSi
O,SiO2,As2S3,PbF2,Al2O3,Si3N4,MgF2,CeO2,TiO
2,CeS3などの電気絶縁層を設ける。本発明に係るマス
ク半導体レーザーを例示した第1図において、符号4を
マスク層とすれば、上記電気絶縁性層は符号6で示され
る。さらに、この電気絶縁性層6は屈折率が低いことが
要求される。それは、結晶へきかい面である半導体レー
ザーの出射鏡面がレーザー発振のための反射鏡面でもあ
ることから、その反射特性を維持するためである。また
さらに、光吸収によって、この鏡面が破壊されることの
ないように、光学的に透明であることも必要である。こ
れらの材料は、真空蒸着、スパッタリング、塗布などの
一般に知られた方法によって、半導体レーザーの出射鏡
面に設けられる。
前記特性を満足するマスク層用材料が電気絶縁性の場
合には、第2図に示すように、半導体レーザー2の出射
鏡面に直接マスク層4が形成される。
これらの層が形成されたならば、次に、マスク層4に
微少面積の出射孔を形成する。その形成手段は半導体レ
ーザーの放射光そのものを用いる。
その場合、半導体レーザーの放射光光強度はガウス分
布をしているため、マスク層が除去、若しくは光学的に
透明化される「層のしきい値」付近で放射光の出力を変
えることにより、任意の大きさの微少面積の出射孔を形
成することができる。第4図はその例示であり、放射光
出力レベルI,II,IIIに対応して出射孔の径がDI,DII,DII
Iと変化することがわかる。
こうして形成された出射孔に関し、耐久性、特に出射
孔の大きさを維持するためには、一般に、こうして作製
された半導体レーザーを光メモリー等のシステムに実施
した場合に、該システムの光源として、すくなくとも、
出射孔を作製するときに用いられた出力をより小さな出
力で用いることが好ましい方法である。
すなわち、第5図において、放射光の出力レベルIIで
径DIIの出射孔を形成した場合には、「層のしきい値」
よりも低い放射光の出力レベルI(定格出力)で使用す
れば劣化により径DIIが大きくなる事態は生じない。
次に実験例を説明する。
実験例1 第1図に示す如き構成のマスク半導体レーザー10を以
下の手順で作製した。
先ず、半導体レーザー2の種類として、GaAs及びAlGa
Asの三元系半導体レーザー(許容光出力5mW、定格光出
力3mW、発振ピーク波長780nm)を選定した。そして、そ
の出射へきかい面に、真空蒸着で約1500Åの厚さにSiO
による電気絶縁性層6を形成した。この蒸着条件は以下
のとおりである。
蒸着条件 蒸着源材料:SiO、純度99.99% (フルウチ化学KK製) 蒸着温源度:1200℃ 真空度:2×10-5Torr. 半導体レーザー(基板)温度:20〜42℃ 次に、上記電気絶縁性層6の上に、スパッタリング
で、約800Åの厚さにカーボンによるマスク層4を形成
した。このスパッタリング条件は以下のとおりである。
スパッタリング条件 ターゲット材料:カーボン、純度99.99% (フルウチ化学KK製) 真空度:0.05Torr. スパッタ電流:5mA/cm2 次に、出射孔Kを、この半導体レーザー2自身による
放射光で形成する訳であるが、これが形成されて外部へ
の光出力となってあらわれるのを確認するため、マスク
層4の表面、つまり、この半導体レーザーの出射面に向
い合わせて、光パワーメーター(Tektronix社製、モデ
ルJ6052+j16)を該出射面から2mmの距離に置き、光出
力5mWで発振させた。発振直後には、外部への光出力は
認められなかったが、1〜2秒後に外部への光出力が確
認され始め、数秒後に安定した出力となった。このとき
の外部への光出力は1.7mWであった。
このようにして形成された出射孔Kの大きさを確認す
るため、計測の便に供するべく、出射面に、約200Åの
厚さにAuを蒸着し、走査型電子顕微鏡を用い、2万倍で
開口の寸法を確認した。確認の寸法は0.2μm×0.6μm
であった。
実験例2 第1図に示す如き構成のマスク半導体レーザー20を以
下の手順で作製した。
先ず、半導体レーザー2の種類として、InP及びAlGaA
sPの四元系半導体レーザー(許容光出力5mW、定格光出
力3mW、発振ピーク波長1300nm)を選定した。そして、
その出射へきかい面に、真空蒸着で約1600Åの厚さにSi
O2による電気絶縁性層6を形成した。この蒸着条件は以
下のとおりである。
蒸着条件 蒸着源材料:SiO2、純度99.99% (フルウチ化学KK製) 蒸着源温度:1680℃ 真空度:1×10-5−2×10-5Torr. 半導体レーザー(基板)温度:40−56℃ 次に、上記電気絶縁性層6の上に、スパッタリング
で、約800Åの厚さにAlによるマスク層4を形成した。
このスパッタリング条件は以下のとおりである。
スパッタリング条件 ターゲット材料:Al、純度99.99% (フルウチ化学KK製) 真空度:0.05Torr. 希ガス:Ar. スパッタ電流:7mA/cm2 次に、出射孔Kを、この半導体レーザー2自身による
放射光で形成する訳であるが、これが形成されて外部へ
の光出力となってあらわれるのを確認するため、マスク
層4の表面、つまり、この半導体レーザーの出射面に向
い合わせて、ゲルマニウムフォトダイオード(浜松ホト
ニクス製、モデルB2542−01))を該出射面から2mmの距
離に置き、光出力5mWで発振させた。発振直後には、外
部への光出力は認められなかったが、2秒後に光出力が
確認され始め、数秒後に安定した出力となった。このと
きの外部への光出力は1.2mWであった。
このようにして形成された出射孔Kの大きさを確認す
るため、計測の便に供するべく、出射面に、約200Åの
厚さにAuを蒸着し、走査型電子顕微鏡を用い、2万倍で
開口の寸法を確認した。確認の寸法は0.2μm×0.9μm
であった。
上記各実験例は第1図に示す型のマスク半導体レーザ
ー10を製作する方法であったが、第2図に示す型のマス
ク半導体レーザー20についても、電気絶縁性のマスク材
料を用いて上記実験例に準じた方法で作製すことができ
る。
本例によれば、蒸着工程で行なった後、半導体レーザ
ーを適宜の光出力で発振させるだけで簡単にマスク半導
体を製作でき、しかも自身の放射光で出射孔Kを形成す
るのであるから外的手段によりマスク材を組合せる場合
に比べて半導体レーザーの放射光の最も光強度の高い部
分に光軸合わせする必要もなく光軸と出射孔とが合致す
る関係で確実にサブミクロンの開口を形成できる。
本例により製作されたマスク半導体レーザーを光源に
適用することにより、光メモリー及び光磁気メモリーに
おいて、記録媒体と半導体レーザーの出射面との距離
を、半導体レーザーの波長λの2倍以下に保ちながら、
高密度の記録再生を行なう記録再生方式が可能となる。
又、点状光源からの発散性光束の発散部分を被測定物体
に対して照射し、その透過光もしくは反射光によって拡
大された被測定物体の実像、もしくは影絵的回折パター
ンを観察することにより、被測定物体を観察、あるいは
被測定物体の移動量を測定する観察測定方法の点状光点
として用いる半導体レーザーの製造法を提供することが
可能となる。
(効果) 本発明によれば、マスク半導体レーザーを、マスク層
用材料の電気的特性に応じて簡単に製作することがで
き、好都合である。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図はそれぞれ本発明に係るマスク半導体レ
ーザーを例示した斜視図、第3図は一般的な半導体レー
ザーの斜視図、第4図は光出力レベルに応じてガウス分
布特性により層に形成される出射孔の径が変ることを説
明した図、第5図は出射孔形成時の光出力レベルよりも
低い光出力で使用すれば劣化が生じないことを説明した
図である。 2……半導体レーザー、4……マスク層、10,20……マ
スク半導体レーザー、K……出射孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江間 英昭 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 明渡 純 東京都新宿区早稲田3丁目18番1号 丸 茂ハイツ203号 (56)参考文献 特開 昭60−16489(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザーの放射光を遮光するマスク
    層を半導体レーザーの出射面に形成した後、その半導体
    レーザー自身の放射光により上記マスク層の一部に放射
    光の出射孔を形成するマスク半導体レーザーの製作方法
    において、 前記マスク層用材料が電気絶縁性でない場合には半導体
    レーザーの出射面と前記マスク層との間に電気絶縁層を
    設け、 前記マスク層用材料が電気絶縁性の場合には半導体レー
    ザーの出射面に直接、前記マスク層を設けることを特徴
    とするマスク半導体レーザーの製作方法。
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