JP2511327B2 - 有機性汚水の処理方法 - Google Patents

有機性汚水の処理方法

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  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機性汚水の処理方法
に係り、特にし尿、下水汚泥及び/又は濃厚有機性廃水
等の有機性汚水を、メタン発酵と光合成細菌培養との組
合せにより処理する方法に関する。本発明は、従来技術
とは技術思想が本質的に異なる新規の処理技術に関する
ものであり、メタン発酵菌と光合成細菌の機能を合理的
に組合わせることにより、メタン発酵槽からの発生ガス
をCH4 とH2 の混合ガスに変換することによって、発
生熱エネルギーを増大せしめ、さらに発生熱量当りのC
2 の比率を低下させることを目的とした革新的な処理
技術を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、し尿、下水汚泥、家畜汚水及び/
又は濃厚有機性廃水はまずメタン発酵法を適用すること
によって、廃水中の有機物を分解してエネルギー物質で
あるメタンに変換し、発酵処理液(脱離液)は活性汚泥
法、その他の好気性処理によって、化学的に安定化して
から放流するプロセスが広く採用されている。メタン発
酵は、溶存酸素が存在しない所謂嫌気的条件下で 高
分子加水分解工程(固形物の液化段階) 酸生成工程
(高級脂肪酸、アルコール、糖類などの低級脂肪酸化)
メタン発酵工程(低級脂肪酸のメタン化)を経てメ
タンを生産する。メタン発酵工程では、酢酸資化性メタ
ン菌、水素資化性メタン菌およびホモ酢酸菌が、低級脂
肪酸、水素、CO2 を基質として最終的にメタンを産生
するが、通常、複合反応系において水素の絶対量が不足
し、その結果としてメタン発酵の発生ガス中にはほぼ4
0%のCO2 が不活性物質として存在する。
【0003】酢酸(低級脂肪酸)、その他脱離液中に含
まれている基質を純粋物質として、発生ガスの組成を理
論的に求めると次の通りである。酢酸 CH3 COOH → CO2 + CH4 1g 347ml + 347ml = 748ml (50%) (50%)酪酸 CH3 ・CH2 ・CH2 COOH+(1.5)H2 O 1g → (1.5) CO2 + (2.5) CH4 382ml + 636ml = 1018ml (37.5%) (62.5%)トリグリセライド12205 + (4.5)H2 O 1g → (4.75)CO2 + (7.25)CH4 435ml + 665ml = 1100ml (39%) (61%) 以上のように純粋基質を想定して計算してみると、メタ
ン発酵におけるCH4 とCO2 の発生比は概略60:4
0と見做して大過ないが、ここで問題となるのは水素資
化性メタン菌がCO2 を基質として、これを還元するに
必要な水素の絶対量が、複合生物反応系において著しく
不足している事実である。次の反応式からも理解できる
ように1Mol のCO2 を水素還元するには4Mol のの水
素が必要である。 CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2 O 以上から、従来のメタン発酵は発生ガス量に対して熱エ
ネルギー量が低いことが致命的な欠陥となっている。
【0004】もう一つの宿命的な欠陥は、処理対象とす
る有機性汚水に栄養塩類としてのN,Pが含まれる場
合、既存の生物学的脱窒法、生物学的脱窒・脱りん法を
2次処理として適用すると脱離液中に電子供与体となる
有機物の絶対量が通常、著しく不足し、これを処理系外
から窒素、りん対応量添加しなければならないことであ
る。このことは、従来技術が資源多消費型であり、処理
経費も著しく高くなるために、長年の間、創エネルギー
型で、しかも運転経費が安い新規の処理技術(メタン発
酵技術)の出現が切望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記で詳細に述べたよ
うに、従来技術としてのメタン発酵法は、発生ガスに不
活性のCO2 を約40%も含み、発生ガスの熱エネルギ
ー量はその分だけ低減する。メタンの発熱量は9,52
0kcal/m3 、水の気化熱を考慮すると8,550kcal
/m3 であるが、メタン発酵から発生するガスの熱量は
8,550kcal/m3 ×0.6=5,130kcal/m3
であり、総発生ガス量に対する熱エネルギー(熱量)の
比率は可成り低い値となる。
【0006】メタン発酵後の脱離液に窒素及び/又はリ
ンなどの栄養塩が含まれる場合には、これらに対する電
子供与体(有機物)が往々にして不足するために、外部
から有機物、例えばメタノールなどを添加する必要があ
り、資源多消費型の生物処理プロセスである。本発明
は、前記のような従来技術の問題点を解決したものであ
り、メタン発酵菌と光合成細菌の機能を合理的に組合せ
た発生熱エネルギーを増大させた省資源的で多機能な有
機性汚水の処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、有機性汚水をメタン発酵工程で処理
し、次いで紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌の単一系及び
/又は混合系による光合成細菌培養工程で処理する方法
において、光合成細菌培養工程から発生する水素含有ガ
スを、メタン発酵工程で発生するガスと合流して、メタ
ン発酵工程の液中に導入することを特徴とする有機性汚
水の処理方法としたものであり、また、本発明では、有
機性汚水をメタン発酵工程で処理し、次いで紅色非硫黄
細菌、紅色硫黄細菌の単一系及び/又は混合系による光
合成細菌培養工程で処理する方法において、メタン発酵
工程で発生するガス混合体を光合成細菌培養工程に供給
し、ついで、該光合成細菌培養工程から発生するガスを
メタン発酵工程の液中に導入することを特徴とする有機
性汚水の処理方法としたものである。
【0008】また、前記の処理方法において、光合成細
菌培養工程からの流出水は、さらに、好気性微生物によ
り酸化処理するのがよい。上記のように、本発明は、し
尿、下水汚泥及び/又は濃厚有機性廃水等の有機性汚水
をメタン発酵法で処理し、脱離液中に含まれる糖類、蛋
白質類、アミノ酸を含めたカルボン酸類、硫化物及び/
又は窒素、リンを光合成細菌培養工程に導入し、ロドバ
クター(Rhodobacter)、クロマチウム(
hromatium)などに代表される水素生産性の紅
色非硫黄、紅色硫黄細菌の単一系及び/又は混合系によ
って各種の電子供与体の余剰電子を水素に変換する有機
性廃水の処理方法において、光合成細菌培養工程から発
生する水素を、メタン発酵工程からの発生ガスに合流せ
しめ、メタン発酵工程の液をガス攪拌することとしたも
のである。
【0009】それによって、本発明では、光合成細菌培
養工程から発生する水素をメタン発酵工程に導入するこ
とにより、メタン発酵からの発生ガス中に含まれるCO
2 、及び光合成細菌培養工程から発生する余剰のCO2
を、ともに水素資化性メタン発酵菌によってメタンに変
換し、メタン発酵工程から最終的に系外に取り出される
発生ガスをメタンと水素との混合ガスに転換したもので
ある。上記において、光合成細菌培養工程(光バイオリ
アクター)に供給する太陽光、人工光による光エネルギ
ーは、光ファイバーなどの線発光体、平面・曲面発光体
及び/又はゲル発光体などによって伝送発光される。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は
し尿、下水汚泥、家畜汚水及び/又は濃厚有機性廃水等
の有機性汚水をメタン発酵法で分解し、汚泥性有機物を
低分子化したのちに光合成細菌培養槽に導入し、消化脱
離液に含まれる有機物及び/又は硫化物を電子供与体と
して水素を発生せしめ、この水素をメタン発酵から発生
するガスに合流せしめてガス攪拌の目的に使用すると同
時に発生ガス中のCO2 をCH4 に転換せしめることを
主たる目的とした革新的な有機性汚水の処理方法であ
る。現在わが国にはし尿のメタン発酵施設が約800ケ
所、下水汚泥のメタン発酵施設が約250ケ所稼動して
おり、本発明を適用することにより、これらの施設は、
測り知れない利益を受けることは必然である。
【0011】次に本発明の優れた機能および作用効果を
図1および図2によって説明する。まず、図1におい
て、処理の対象となる各種の濃厚有機性汚水は投入管1
によってメタン発酵槽2に投入される。この槽2で発生
するガス循環管3から移送される発生ガスと、光合成細
菌培養槽から移送された水素と炭酸ガスとが、輸送管8
を経由して混合されたのち、発酵槽2内液のガス攪拌に
用いられ、一定の発酵日数を経過したのちに脱離液引抜
き管4によって、次の工程である光合成細菌培養槽5に
導入される。
【0012】メタン発酵槽2からの発生ガス中に含まれ
ている不活性なCO2 は、光合成細菌槽5で発生する水
素によって、即ちメタン発酵槽内液に野性的に生息して
いる水素資化性メタン菌によって水素還元され、CH4
に転換される。最終的なメタン発酵槽からの発生ガスは
ガス引抜き管9によって系外に取り出されるが、発生ガ
スの組成はCH4 +CO2 からCH4 +H2 に変換し、
熱エネルギー18として多目的に利用される。光合成細
菌培養槽5に導入された消化脱離液は、この槽5で濃厚
に培養されているロドバクター(Rhodobacte
)などの紅色非硫黄細菌及び/又はクロマチウム(
hromatium)に代表される紅色硫黄細菌によっ
て有機物、硫化物は電子供与体として利用され、その結
果として消化脱離液は消化され、同時に水素を発生す
る。
【0013】この槽5は通常等容積に分割され、消化脱
離液はそれぞれの槽に交互に流入され、菌体の充分な成
熟と、その後の水素発生が行われる。また、この槽5に
は当然ながら、太陽光集光装置によって集光された太陽
光エネルギーあるいは人工光エネルギー6が光ファイバ
ー、平面・曲面発光体あるいはゲル発光体などの光伝送
発生装置によって槽内5に伝送され、光合成細菌の増殖
エネルギーとして利用される。一方、光合成細菌によっ
て固定されるCO2 7は、通常大気を導入することによ
って、また次の好気性処理槽11からの排気ガス17に
よって供給される。
【0014】CO2 供給を目的としたガス体は、必要に
応じてガス分離装置によってO2 を可及的に分離する
か、あるいは発生ガスを適当に循環することによって、
酸素分圧を低くしたガス体が用いられる。光合成細菌培
養槽5における紅色非硫黄細菌及び紅色硫黄細菌の光合
成による有機物の合成と水素生産の生物反応式は次の通
りである。紅色非硫黄細菌(例えばロドバクター・Rhodoba
cter ) 電子供与体 → 有機物 光合成 6CO2 +12H2 O→C6 126 +6O2 +6H2 O 水素生産 C6 126 +6H2 O→6CO2 +12H2 +680kcal紅色硫黄細菌(例えばクロマチウム・Chromati
um ) 電子供与体 → 硫化物 光合成 6CO2 +12H2 S→C6 126 +12S+6H2 O 水素生産 C6 126 +6H2 O→6CO2 +12H2 +68kcal
【0015】光合成細菌培養槽で処理された流出水は、
移送管10を経由して最終的に好気性処理槽11に導入
され、ブロワー12による酸素の供給下で、極く一般的
に採用されている不特定の好気性処理法によって処理さ
れ、放流管13によって系外に放流される。メタン発酵
槽2、光合成細菌培養槽5及び好気性処理槽11の余剰
汚泥はそれぞれ排出管14、15、16によって処理系
外にとりだされ、処理、処分されるが、光合成細菌培養
槽5からの余剰菌体は菌体内にポリ−β−酪酸(PH
B)などのポリマーおよび各種の貴重な生理活性物質を
生産するので、これらを抽出、精製してそれぞれの目的
に使用することができる。また光合成細菌は、通常菌体
内物質の必須アミノ酸組成が極めて良好であるので、余
剰菌体を乾燥して家畜、魚類の飼料(添加物)として有
効に利用することができる。
【0016】図2は本発明の変法であるが、図2により
この方法の中枢部分の機能と作用効果を説明する。ま
ず、メタン発酵槽2の発生ガス移送管3を経由して光合
成細菌槽5に供給される。メタン発酵の発生ガス中には
CH4 ,CO2 以外にも悪臭成分であるH2 Sが約0.
5〜1.0%程含有されている。従って、このガスをク
ロマチウム(Chromatium)が濃厚に培養され
ている光合成細菌培養槽5に供給することによりCO2
は光合成の目的に、H2 Sはクロマチウム(Chrom
atium)の電子供与体として効率的に利用され、水
素に変換される。メタン発酵槽2の排出ガス3は5を経
由することによってCH4 、余剰のCO2 およびH2
組成に変わり、この混合ガスはガス移送管7によってメ
タン発酵槽のガス攪拌に使用され、CO2 は水素資化性
メタン菌によってメタンに変換される。
【0017】このようなガス循環操作によって、メタン
発酵槽2からの最終的なガス中9にはH2 Sが全く含ま
れず、通常、メタン発酵法で最も厄介な問題である脱硫
操作および脱硫装置を省略することができる。光合成細
菌培養槽5に供給されるべき光エネルギーは菌体濃度、
菌体量によって決定されるが、実験結果から判断して、
概略8〜10kW/m3 ・hrで設定すれば大過ない。
また、発光体の表面に伝送されるべき光エネルギーの供
給速度は25〜40W/m2 ・hrもあれば充分であ
る。さらに、光合成細菌の菌体濃度は3,000〜5,
000mg/リットルの範囲に設定するのが望ましい。
【0018】
【作用】本発明では、し尿、下水汚泥及び/又は濃厚有
機性廃水をメタン発酵法で処理するに際して、発生ガス
中に含まれるCO2 を光合成細菌が生産する水素によっ
て生物学的に還元し、メタン発酵工程から最終的に系外
に取りだす発生ガスをメタンと水素の混合ガスとするこ
とができる。この新規の処理技術、即ち新しいメタン発
酵法はメタン発酵槽内の混合培養系に極く一般的に生息
している水素資化性メタン菌の機能に着目し、メタン発
酵消化液(脱リ液)で水素生産性光合成細菌を培養する
ことによって水素を生産し、これをメタン発酵槽に供給
することにより、水素資化性メタン菌の機能を活用し、
CO2 を水素還元してメタンに変換する斬新な処理技術
である。
【0019】さらに、メタン発酵槽と光合成細菌槽の発
生ガス系を連結することにより、光合成反応の結果とし
て生成する余剰のCO2 をもCH4 に変換することがで
き、メタン発酵の発生熱エネルギー量を増大させること
ができる。また、メタン発酵槽に水素を供給する水素生
産性の光合成細菌は、地球温暖化の元凶である大気中の
CO2 を大量に固定するだけでなく、太陽光エネルギ
ー、CO2 の供給によって増殖した所謂余剰菌体は、通
常各種の有益な生理活性物質を生産し、さらに菌体の必
須アミノ酸組成は極めて良好でる。またこの新規の生物
処理プロセスは、光合成細菌による過剰の窒素、リンの
摂取により、極めて省資源的に栄養塩類を除去すること
が可能であり、本発明はトータルプロセスとしてこれま
でに類をみない多機能な優れた有機性廃水の処理技術で
ある。
【0020】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれに限定されない。 実施例1 メタン発酵の処理対象として、汲取し尿を選択した。ま
ず汲取し尿から大型の夾雑物を除去したのち、100メ
ッシュスクリーンで濾過したものを供試汚水とした。メ
タン発酵槽は、実際の水張り容積が5リットルの円筒型
発酵槽であり、これを35℃の恒温水槽にセットし、3
5℃の中温メタン発酵を行った。メタン発酵槽に投入す
るし尿量は250ml/日であり、従って消化日数は2
0日間である。
【0021】光合成細菌培養槽は、実容積1リットルの
ものを2基もちい、1日置きに交互に使用した。また菌
体の分離は0.5μm のセラミックフィルターで行い、
槽内の菌体濃度は4,500mg/リットルとなるよう
に調整した。光エネルギーの供給は、定量的データを採
るためにキセノンランプ(可視光のみ)によって行い、
光の供給速度は、槽容積に対して5kW/m3 ・hr、
光ファイバーの発酵面積に対しては25W/m2 ・hr
となるように調整した。最終段階の好気性処理槽はごく
単純な装置であり、実容積1リットルの円筒形のもの
で、充填材として市販の粒状活性炭を充填し、充填材当
りのBOD負荷は0.1kgBOD/m3 ・日以下とな
るように流量調整を行った。
【0022】メタン発酵槽の攪拌ガスは、メタン発酵発
生ガス(5.25リットル/日)に光合成細菌培養槽か
らの発生ガス(6.8リットル/日)を混合したものを
使用し、通気速度は0.2リットル/リットル容積・m
inに調整したが、内部攪拌の状態は比較的良好で発生
ガス5.25リットル/日を得ることが観察された。以
上の実験装置による検証実験は、プロセスが定常状態に
なってから4ケ月間運転し、中間過程での1ケ月間の処
理成績を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】本発明を上記実施例をベースにして、し尿
100kl/日を想定して、メタン発酵槽からの発生ガ
スを計算すると2,100m3 /日となり、発生ガスの
組成は概略CH4 900m3 /日+H2 1,200m3
/日となる。今、CH4 とH2 の実際の発熱量をそれぞ
れ8,550kcal/m3 、2,570kcal/m3 とし
て、本発明によるメタン発酵槽からの発熱量をし尿処理
規模100kl/日のプラントについて計算すると次の
通りになる。 本発明の発熱量 =8,550kcal/m3 ×900m3 /日(CH4 ) +2,570kcal/m3 ×1,200m3 /日(H2 ) =7,695,000kcal/日+3,084,000kcal/日 =10,779,000kcal/日(10.8mega kcal /日) これに対して、従来技術でのメタン発酵における 発熱量=540m3 CH4 /日×8,550kcal/m3 4,617,000kcal/日(4.62mega kcal /日)
【0025】即ち、この計算結果が示すとおり、本発明
方法によると従来技術の約2.3倍の発熱量を確得する
ことが可能である(実際には、トータルプロセスでの全
エネルギー消費量を両方法の熱量から差引いて比較する
必要がある)。また、本発明と従来法とでは、この発生
ガスを完全に燃焼した場合のCO2 量は理論的には全く
同じ360m3 /日(概略)であるから、本発明による
総熱量当りのCO2 発生比率は従来のメタン発酵法の約
50%になり、熱量源としては極めてクリーンであるこ
とが理解できる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができる。 (1)水素資化性メタン菌と水素生産性光合成細菌の機
能を合理的に組合せることによって、メタン発酵槽から
の発生ガスを全てCH4 とすることが可能であるだけで
なく、光合成細菌が生産したH2 も発生ガス成分とな
り、総発生熱量を従来法の約2倍に高めることができ
る。 (2)メタン発酵槽の発生ガスを光合成細菌槽に導入す
ることにより、水側、ガス側から完全にH2 Sを除去す
ることができる。従って、メタン発酵施設から脱硫装置
を省略することができる。 (3)光合成細菌は菌体内に多量のN,Pを蓄積するの
で、栄養塩類である窒素、リンも比較的よく除去でき
る。 (4)光合成細菌の余剰菌体は、それ自身で飼料として
優れているだけでなく、菌体から有益な生理活性物質を
抽出、生産することができる。 将来は、メタン発酵菌と水素生産性光合成細菌の機能を
合理的に組み合わせた、本発明の新しい思想に基づいた
各種の生物処理プロセスが、次世代の処理技術として脚
光をあびることは間違いないものと考える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の処理方法の他の例を示す部分工程図で
ある。
【符号の説明】
1:有機性汚水、2:メタン発酵槽、3:メタン発酵ガ
ス循環管、4:脱離液移送管、5:光合成細菌培養槽、
6:光エネルギー、7:CO2 供給循環管、8:培養槽
生成ガス循環管、9:発生ガス引抜き管、10:移送
管、11:好気性処理槽、12:ブロワー、13:放流
管、14、15、16:汚泥菌体排出管

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚水をメタン発酵工程で処理し、
    次いで紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌の単一系及び/又
    は混合系による光合成細菌培養工程で処理する方法にお
    いて、光合成細菌培養工程から発生する水素含有ガス
    を、メタン発酵工程で発生するガスと合流して、メタン
    発酵工程の液中に導入することを特徴とする有機性汚水
    の処理方法。
  2. 【請求項2】 有機性汚水をメタン発酵工程で処理し、
    次いで紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌の単一系及び/又
    は混合系による光合成細菌培養工程で処理する方法にお
    いて、メタン発酵工程で発生するガス混合体を光合成細
    菌培養工程に供給し、ついで、該光合成細菌培養工程か
    ら発生するガスをメタン発酵工程の液中に導入すること
    を特徴とする有機性汚水の処理方法。
  3. 【請求項3】 光合成細菌培養工程からの流出水は、さ
    らに、好気性微生物により酸化処理することを特徴とす
    る請求項1又は2記載の有機性汚水の処理方法。
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