JP2511326B2 - 光合成微生物による有機性汚水の処理方法 - Google Patents

光合成微生物による有機性汚水の処理方法

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JP2511326B2 JP3063774A JP6377491A JP2511326B2 JP 2511326 B2 JP2511326 B2 JP 2511326B2 JP 3063774 A JP3063774 A JP 3063774A JP 6377491 A JP6377491 A JP 6377491A JP 2511326 B2 JP2511326 B2 JP 2511326B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光合成微生物による有
機性汚水の処理方法に係り、特に各種の汚濁性有機物、
硫化物及び/又は窒素、リンなどを濃厚に含むし尿、家
畜汚水、及び各種の有機性廃水を、主として光合成細菌
と微細藻類のそれぞれの機能を合理的に組み合せた生物
処理プロセスを構成することによって、汚水中に含まれ
る有機物、硫化物及び/又は水をクリーンエネルギーで
ある水素に変換すると同時に、窒素とリンをも除去し、
さらに残渣としての繊維分及び増殖菌体から家畜の飼料
等の有価な物質を生産、抽出する処理技術に関するもの
である。また、本発明において、主として関与している
のは光合成微生物であり、これらは大気中のCO2 を大
量に固定化できるので、当然ながら地球環境汚染の解消
にも著しく貢献する優れた処理技術である。
【0002】
【従来の技術】従来、汚濁負荷の高いし尿、下水汚泥、
濃厚有機性廃水は、通常、嫌気性細菌の機能を有効に利
用したメタン発酵法で処理するか、あるいは濃厚なまま
好気性菌の機能を利用して生物学的に酸化処理する方法
が採用されてきた。また廃水中に窒素、リンなどの富栄
養化原因物質を含有する場合には、生物学的脱窒法、生
物学的脱リン法又は生物学的脱窒素脱リン法などの処理
技術が適用されてきた。これらの処理技術には、宿命的
に多量の有機性汚泥の処理が伴ない、さらに放流先の環
境によって高度処理を付加する必要がある場合には、極
めて処理しにくい凝集汚泥がこれに追加されることにな
る。
【0003】前記した各種の処理技術は、ほとんど例外
なくエネルギー多消費型、資源多消費型の処理技術であ
った。これらの欠陥を解消するために、長期間に渡り各
機関での各種の研究が行なわれているが、これらの技術
上の問題点は現時点においても、ほとんど未解決のまま
残されている。さらに、ここ数年来、地球の温暖化問題
が顕在化してきており、地球的視野にたっての解決およ
び改善が強く要望されている。このような観点から、従
来の生物処理技術を評価してみると、嫌気性処理、好気
性処理とも多量のCO2 ガスを発生し、特に全プロセス
の中でも汚泥の乾燥、焼却工程からは集中的に濃厚なC
2 ガスが多量に発生する。そのために、水処理分野に
おいても地球環境の改善に寄与できる新しい有機性廃水
の処理技術の研究開発が急務となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上詳述したように、
従来の廃水処理技術、方法はエネルギー、資源ともに多
消費型であるうえに地球の温暖化を助長する炭酸ガスを
多量に発生する。本発明は、この従来技術の宿命的な欠
陥を改善したものであり、全く新規な発想による革新的
な有機性汚水の処理方法を提供し、多機能な新しい生物
処理プロセスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明では、酸発酵菌及び光合成微生物のそれぞ
れの機能を合理的に組み合わせ、機能を複合化、多機能
化した新規な発想による革新的な有機性廃水の処理方法
としたものである。すなわち、本発明は有機性汚水を生
物学的手段によって処理する方法において、有機性汚水
を、まず該汚水中に含まれる高分子化合物を酸発酵させ
る酸発酵工程で処理後、紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌
の単一系及び/又は混合系による光合成細菌培養工程で
処理し、次いで、らん藻類を培養するらん藻培養工程で
処理することにより、水素生産と同時に菌体内に汚水中
の窒素・リンを同化せしめることを特徴とする有機性汚
水の処理方法である。
【0006】また、本発明は前記の処理方法において、
らん藻培養工程での処理の後に、さらに、緑藻培養工程
又は光合成細菌培養工程を設けて処理し、水素を生産す
る有機性汚水の処理方法である。上記の緑藻培養工程で
処理後の流出水を、さらに生物酸化工程で処理して、残
留する汚濁成分を分解除去することができる。また、前
記の各培養工程で培養した微生物は、各工程から系外に
取り出し、脱水乾燥して家畜の飼料等の有価物として回
収することができる。
【0007】上記のように、本発明は濃厚に汚濁性高分
子有機物、その他の有機物、硫化物及び/又は窒素、リ
ンなどを含む有機性汚水を、まず酸発酵菌の作用によっ
て低級カルボン酸にまで低分子化したのち、有機物、硫
化物を電子供与体として水素を生産する紅色非硫黄細菌
及び/又は紅色硫黄細菌と、水を電子供与体として水素
を生産することができる微細藻類を生物処理プロセス内
で合理的に組み合わせることによって、有機性廃水を処
理すると同時にクリーンエネルギーである水素を生産
し、かつ増殖菌体から有価な物質を生産することを可能
にした斬新な有機性廃水の処理方法である。
【0008】次に本発明を図1及び図2を用いて詳細に
説明する。先ず、し尿、下水汚泥、工場廃水に代表され
る濃厚有機性汚水1を必要により繊維分除去装置2を経
由せしめて繊維分(セルロースおよびヘミセルロース)
を除去したのち酸発酵槽3に導入せしめ、糖類、その他
の高分子有機物を低級カルボン酸(酢酸、酪酸、プロピ
オン酸など)にまで低分子化する。次に、この廃水はロ
ドバクター ( Rhodobacter )などの紅色非硫黄細菌及び
/又はクロマチウム ( Chromatium ) などの紅色硫黄細
菌が培養されている光合成細菌培養槽5に導入される。
光合成細菌培養槽5には、大量光集光装置によって集光
された太陽光エネルギーあるいは人工光エネルギーが光
ファイバー、平面や曲面の発光体、ゲル発光体などの所
謂光伝送発光装置によって、槽内5に伝送され、光合成
細菌の増殖エネルギーとして利用される。
【0009】一方、光合成細菌によって固定されるCO
2 7は、通常大気を導入することによって槽内5に供給
される。この大気は、必要に応じてPSA、ガス分離膜
などの分離、濃縮手段であるガス分離装置によってO2
を可及的に分離するか、あるいは発生ガスを適当に循環
することによって、酸素分圧を低くしたガス体が光合成
細菌の増殖と水素生産のために供給される。光合成細菌
培養槽5の内部は、基本的には等容積に2分割され、廃
水はそれぞれ交互に導入される。一方の槽で培養されて
いる光合成細菌類は、廃水(主として低級カルボン酸、
硫化物)の供給と光エネルギー6、CO2 7の供給をう
け、菌体内に充分にポリ−β−ハイドロキシ酪酸を蓄積
した成熟菌体となる。この状態になった時点で、光エネ
ルギーの供給下、かつ窒素ガス分圧の低い条件下で水素
を生産させる。さらに、もう一方の槽も同様の操作条件
で運転し、光合成細菌培養槽5の両槽を交互に使用して
2 を連続的に発生させる。
【0010】光合成細菌培養槽5で増殖した余剰菌体
は、増殖菌体引抜き管20によって系外に取り出され、
有価物の抽出及び/又は飼料などに加工される。増殖菌
体には通常ポリ−β−ハイドロキシ酪酸が多量に蓄積さ
れるので、生分解性ポリマーの生産又はポリリン酸など
付加価値の高い物質を生産することが可能である。光合
成細菌培養槽5における紅色非硫黄細菌及び紅色硫黄細
菌の光合成による有機物生産と水素生産の生物反応式は
次の通りである。
【0011】紅色非硫黄細菌(例えばロドバクター( Rhodobacter
)) 電子供与体 → 主として低級カルボン酸 光合成 6CO2 +12H2 O → C6 126 +6O2 +6H2 O 水素生産 C6 126 +6H2 O → 6CO2 +12H2 +680kcal紅色硫黄細菌(例えばクロマチウム( Chromatium ) ) 電子供与体 → 硫化物 光合成 6CO2 +12H2 S → C6 126 +12S+6H2 O 水素生産 C6 126 +6H2 O → 6CO2 +12H2 +680kcal
【0012】光合成細菌培養槽5から発生したH2 は、
ガス輸送管8によって輸送され、輸送管8の途中で水素
吸蔵合金9によって純粋なH2 に分離され、さらに空気
10を混合したのちに燃料電池などの電気エネルギー変
換装置11によって、あるいはガスタービンによって電
気エネルギーに変換される。またガス輸送管8をそのま
ま経由して熱エネルギーとして使用することも可能であ
る。次に光合成細菌培養槽5の流出水は処理水移送管に
よってらん藻培養槽13に導入される。この槽13で
は、オッシラトリア ( Oscillatoria ) 、アナベナ( An
abaena )などによって代表されるらん藻類が光エネルギ
ー14、大気から供給されるCO2 15及び/又は緑藻
暗培養槽17の排気から供給されるCO2 18によっ
て、さらに槽13への流入水から供給される窒素、リン
によって光合成が行われ、菌体の増殖と有機物が生産さ
れる。
【0013】この槽13も光合成細菌培養槽5と同様に
槽内は2分割され、槽5の操作条件と全く同様に菌体の
充分な成熟と、その後の窒素欠乏条件下における水素生
産が行なわれ、2分割した槽13は同様の目的、操作で
それぞれ交互に使用される。らん藻類による水素生産は
水の分解によって行なわれるが、その生物反応式は次の
通りであり、同時に多目的に利用できる酸素が発生す
る。 2H2 O → 2H2 +O2 水素を充分に発生せしめたのち、余剰菌体は菌体引抜き
管20によって系外に排出され、有価物の抽出及び/又
は生産の目的に供せられる。
【0014】またらん藻培養槽13から発生する水素ガ
スは、ガス輸送管8によって電気エネルギー変換装置1
1及び/又は分配管を経由して、それぞれ電気エネルギ
ー、及び熱エネルギー12として有効に利用される。電
気エネルギー変換装置11として燃料電池を使用する場
合には、ガス輸送管8によって移送される過程におい
て、水素含有発生ガスは水素吸蔵合金によって濃縮、分
離され、さらに空気を随伴して燃焼電池11に供給され
る。次に、らん藻培養槽13からの流出水は緑藻暗培養
槽17に導入され、クラミドモナス( Chlamydomonas )
、クロレラ( Chlorella ) などの所謂緑藻類の暗培養
によって有機物分解によるH2 の生産が行なわれる。
【0015】らん藻培養槽13で水素生産を目的として
培養されるらん藻類は、種類によっては光合成で生産し
た有機物を可成りの量菌体外に溶出するものがある。通
常、前記したオッシラトリア ( Oscillatoria ) 、アナ
ベナ( Anabaena )は光エネルギーの存在下で固定したC
2 の約30%程度を、多糖類、酢酸(CH3 COO
H)、グリコール酸〔CH2 (OH)COOH〕などの
低級カルボン酸として菌体外に放出する。処理水量が比
較的多い場合には、緑藻類の明培養と暗培養によって水
と有機物からH2 を取り出すほうが有利であるが、処理
水量が少ない場合には暗培養によって有機物だけから水
素を取り出すほうが、緑藻の増殖速度が速く、また光エ
ネルギーの供給も必要としないので有利である。
【0016】緑藻暗培養槽17では通常クラミドモナス
( Chlamydomonas ) 、クロレラ( Chlorella ) などの緑
藻類が、酢酸( CH3 COOH)、グリコール酸〔CH
2 (OH)COOH〕などの低級カルボン酸、その他を
エネルギー源として、前工程のらん藻培養槽13で生産
された酸素、およびブロワー19から供給される空気中
の酸素によって、好気的条件下で有機物を分解し、ヘテ
ロトロフィック増殖により多量の水素を生産する。その
生物反応式は次の通りである。 CH3 COOH+2H2 O → 2CO2 +4H2 CH2 OHCOOH+H2 O → 2CO2 +2H2
【0017】緑藻暗培養槽17から発生した水素ガス
は、ガス輸送管8を経由して、その前の工程から発生し
た水素と合流され、電気エネルギー11あるいは熱エネ
ルギー12として有利に利用される。また、この槽17
からの増殖菌体は菌体引抜き管20によって系外に取り
出し、その前の工程からの増殖菌体と合流され、濃縮槽
21によって適度に濃縮されてから、飼料、土壌改良剤
として加工されるか、あるいは付加価値の高い物質を抽
出する目的に使用される。ここで、緑藻暗培養槽で他栄
養的に培養された緑藻類はクロロフィルが欠損するの
で、余剰菌体は濃縮槽21に移送される過程で、太陽光
を受光できる開放系の曝気槽31により1日間程度曝気
され、クロロフィルを形成させる。水処理の最終段階と
して、緑藻暗培養槽17からの流出水は、型式を特定し
ない生物酸化槽22に導入され、微量ながら残存する有
機物を、ブロワー23から供給されるO2 の存在下で好
気性微生物によって分解され、処理水排出管24によっ
て外部に放流される。
【0018】次に、図1によって、詳細に説明した生物
学的プロセスの変法として、図2を説明する。前述した
通り、らん藻培養槽13の流出水に含まれている有機物
は、そのほとんどが酢酸(CH3 COOH)、グリコー
ル酸〔CH2 (OH)COOH〕によって代表される低
級カルボン酸である。光合成細菌は本来栄養源、エネル
ギー源として低級カルボン酸を極めてよく消化するの
で、図2に示したように、緑藻暗培養槽の代りに光合成
細菌培養槽30を設け、ロドバクター( Rhodobacter )
などによって代表される紅色非硫黄細菌を、光エホルギ
ー25、CO2 26の供給下で低級カルボン酸を電子供
与体として、有機物からH2 を生産せしめてもよい。こ
の場合には、流入水中に硫化物は実質的に存在しないの
で、クロマチウム( Chromatium )などの紅色硫黄細菌を
介在させる必要はなく、培養も簡単である。
【0019】この変法プロセスでは、流出水中にはほと
んど有機物が残留しないので、通常図2に示した生物酸
化槽22、空気供給23は省略することができるので、
プロセスは単純化され、かつ経済的であることは論を俟
たない。最後に、繊維分除去装置2及び/又は酸発酵槽
3から排出される繊維分を主成分とする未消化物は飼料
製造装置4に送られる。未消化物は前記のとおり繊維分
がほとんどであるが、処理対象となるし尿、家畜汚水あ
るいは有機性廃水の各種成分が同伴することは避けられ
ず、通常悪臭をともなう。
【0020】従って、未消化物は水溶液のまま4に送ら
れ、ここで繊維素分解菌であるトリコデルマ リーセイ
変種( Trichoderma reesei var. )及び納豆菌であるバ
チルス ズブチリス変種( Bacillus subtilis var. )
の2種類の微生物が接種され、好気的条件下でセルラー
ゼ、ヘミセルラーゼ、蛋白質分解酵素、ペプチド分解酵
素、および臭気成分分解酵素(未同定)などの有用酵素
によって充分に栄養価が高く、かつエネルギー源として
も利用できる物質に転換される。この発酵生産物は乾燥
してから飼料(添加剤)として提供される。
【0021】光合成細菌培養槽5、30、らん藻培養槽
13に供給されるべき光エネルギーは当然菌体濃度によ
って決定されるが、実験の結果から判断して概略8〜1
0kw/m3 ・hrの範囲(太陽エネルギーから95%以
上を確保する)で設定すれば大過ない。また本発明を実
施する場所が、太陽エネルギーが強大で、かつ日照時間
が長い地域では、太陽光エネルギーに100%依存して
も、さほどの有意差は生じない。また発光体の表面に伝
送されるべき光エネルギーの供給速度は25〜45W/
2 ・hrもあれば充分である。なお、光合成細菌及び
/又は各種の微細藻類を培養するにあたって、適宜明暗
の間歇培養を行うことが好ましいが、明培養又は暗培養
でもかまわない。
【0022】
【作用】本発明の処理方法は、酸発酵菌、光合成細菌及
び微細藻類のそれぞれの機能の相互作用及び相乗作用に
よって、省エネルギー的に有機性廃水中の汚濁性有機
物、硫化物を分解し、これら及び系内の水を電子供与体
とすることによって、水素を生産するとともに、未消化
物及び/又は増殖菌体から有機物、特に飼料等を生産す
ることを可能とした新規の生物処理技術である。従来技
術では多量の汚泥が発生し、その処理は非常に厄介であ
るだけでなく、多額の建設費および経常費を必要として
いる。
【0023】これに対して、本発明の処理技術では未消
化物及び余剰(増殖)菌体を再資源化して利用するため
に、所謂、従来の厄介な汚泥処理から解放されるだけで
なく、各種の目的に有効に利用された有価物(飼料、そ
の他)は、自然の生態系に調和して取り込まれ、自然界
の物質循環サイクルに抵抗なく受け入れられるものであ
る。また、この新規プロセスから発生するCO2 ガスの
量は極めて僅かであり、逆に地球温暖化の原因物質であ
るCO2 ガスを大量に固定して有価物に転換する。光合
成微生物による光反応によって生産される水素は極めて
クリーンなエネルギー物質であり、燃焼しても全く無害
なH2 Oとなる。従って、本発明はトータルプロセスと
して、地球環境の改善に著しく寄与する画期的な有機性
廃水の処理方法である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 濃厚有機性汚水として成豚の豚舎汚水を選定した。この
成豚は配合飼料で飼育されており、廃水から固形物(主
として繊維分)を約60%除去した廃水の水質は表1
(A)のとおりである。またこの廃水を3日間滞留(廃
水量0.5リットル/日)の容積をもつ酸発酵槽で有機
酸発酵を行なった廃水の水質を表1(B)に示す。
【0025】
【表1】
【0026】光合成細菌培養槽5、らん藻培養槽13お
よび緑藻暗培養槽17として使用した光バイオリアクタ
ーおよび暗培養リアクターの容積は全て4リットルであ
るが、5と13の槽はそれぞれ2リットルの等容積に内
部を分割し、それぞれ交互に使用した。また廃水処理プ
ロセスの最終段階の生物酸化槽の容積は1リットルの角
型槽であり、充填材は通常の粒状活性炭を採用し、廃水
は下向流で通水し、空気は酸化槽の下部から供給した。
この条件での廃水は、各工程で浄化され、最終的な放流
水の水質は表2の通りであるが、これをみても判るとお
り極めて良好な処理水が得られた。
【0027】
【表2】
【0028】光合成細菌槽における廃水当りの滞留時間
は4日(2日+2日)、使用した菌株は本発明者らが自
然水系からスクリーニングしたロドバクタ菌(Rhodobact
ersp. )、クロマチウム菌( Chromatium sp.)を用い
た。またらん藻培養で使用した菌株は、同様にオッシラ
トリア菌 (Oscillatoriasp. )、緑藻はクラミドモナス
菌( Chlamydominas sp. )である。光合成細菌培養槽、
らん藻培養槽および緑藻暗培養槽での菌体分離には孔径
5μのセラミックフィルターを用いた。菌体濃度は、光
合成細菌に関しては3,500〜4,500mg/l、微
細藻類は7,000〜8,000mg/lの範囲となるよ
うに調整した。
【0029】光エネルギーの供給は、定量的データをと
るためにキセノンランプ(可視光のみ)によって行な
い、光エネルギーの供給速度は、槽容積に対して5kw/
3 ・hr、光ファイバーの発光面積当りでは25w/
2 ・hrに固定した。以上の条件において約5ケ月間
連続運転を行ない、全体の系が定常状態になったことを
確認してから、各槽からの水素生産量の測定を行なっ
た。表3に2ケ月間の水素発生についての平均データを
示す。
【0030】
【表3】
【0031】本発明の生物学的水素生産プロセスによ
り、表1(B)に記載した成豚飼育廃水の可溶化液を2
5m3 /日(成豚約6,000頭当量)処理することを
想定し、連続実験から得られた水素生産量をベースにし
て、創出される熱エネルギーを計算すると約600〜6
50kw/hrとなり、この熱エネルギーを燃料電池で電
気エネルギーに変換するものとすれば概略300〜32
5kw/hrとなる(燃料電池の効率は50%と仮定す
る)。
【0032】実施例2 繊維分除去装置から排出される固形物(A)および酸発
酵槽の未消化物(B)の排出比は概略10:1である。
3リットルの回分式小型曝気槽に(A),(B)を1
0:1になるように調整した試料を2リットル注入し、
これに対してバチルス ズブチリス変種( Bacillus sub
tilis var.)を菌体重量として0.5g、同様にトリコ
デルマ リーセイ変種( Trichoderma reesei var.)1
gを加え、小型ブロワーで液の溶存酸素を1〜2mg/l
となるように送気し、3日間培養した。その結果を表4
に示すが、これをみても判るように、液状製品は家畜の
飼料(添加物)として充分に価値があることが証明され
た。
【0033】
【表4】表 4
【0034】実施例3 光合成細菌培養槽、らん藻培養槽および緑藻暗培養槽か
らのそれぞれの余剰菌体を乾燥し、乾燥物を等重量混合
してから微粉砕してアミノ酸組成を測定したところ、必
須アミノ酸の含有量は全般的に高く、家畜及び/又は魚
類の飼料として利用価値の高いことが証明された。分析
結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果を奏す
ることができる。 (1)極めて省エネルギー、省資源的に濃厚有機性廃水
中の有機物、硫化物及び窒素、リンを効率的に除去する
ことができる。 (2)地球温暖化の主たる誘因物質であるCO2 を大量
に固定することができ、まさに地球環境と人に優しい処
理技術である。 (3)本発明は、大気中のCO2 固定と同様に有機物、
硫化物、水を水素供与体(電子供与体)として大量の水
素を生産することが可能であり、新しい技術思想に基づ
く創エネルギー的な処理技術である。
【0037】(4)従来技術のように処理しにくい有機
性汚泥の発生がなく、増殖余剰菌体はそのままか、ある
いは加工することによって有価物への質的転換が可能で
ある。 (5)廃水中に含まれる繊維分からも、特定の微生物の
機能を利用することによって家畜、魚類の飼料を生産す
ることができる。 今後は、光合成細菌と微細藻類の機能を合理的に組み合
わせた本発明の思想に基づく生物処理プロセスが、次世
代の処理技術の主流になるであろうことは疑がう余地が
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の処理方法の他の例を示す部分工程図で
ある。
【符号の説明】
1:濃厚汚水、2:繊維除去装置、3:酸発酵槽、4:
飼料製造装置、5:光合成細菌培養槽、6、14、2
5:光エネルギー、7、15、18、26:CO2
給、8:水素ガス移送管、9:水素吸蔵合金、11:電
気エネルギー変換装置、12:熱エネルギー、13:ら
ん藻培養槽、17:緑藻暗培養槽、20:増殖菌体移送
管、21:濃縮槽、22:生物酸化槽、23:空気、2
4:排出水、25:光合成細菌培養槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C05F 11/08 9356−4H C05F 11/08 (72)発明者 立沢 秀高 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 滝沢 悦子 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株式会社 荏原総合研究所内

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚水を生物学的手段によって処理
    する方法において、有機性汚水を、まず該汚水中に含ま
    れる高分子化合物を酸発酵させる酸発酵工程で処理後、
    紅色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌の単一系及び/又は混合
    系による光合成細菌培養工程で処理し、次いで、らん藻
    類を培養するらん藻培養工程で処理することにより、水
    素生産と同時に菌体内に汚水中の窒素・りんを同化せし
    めることを特徴とする有機性汚水の処理方法。
  2. 【請求項2】 らん藻培養工程での処理の後に、さらに
    緑藻培養工程で処理して水素を生産することを特徴とす
    る請求項1記載の有機性汚水の処理方法。
  3. 【請求項3】 らん藻培養工程での処理の後に、さらに
    光合成細菌培養工程で処理して水素を生産することを特
    徴とする請求項1記載の有機性汚水の処理方法。
  4. 【請求項4】 緑藻培養工程で処理後の流出水を、生物
    酸化工程で処理して、残留する汚濁成分を分解除去する
    ことを特徴とする請求項2記載の有機性汚水の処理方
    法。
  5. 【請求項5】 酸発酵工程の前に、繊維分除去工程を設
    けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載
    の有機性汚水の処理方法。
  6. 【請求項6】 繊維分除去工程及び/又は酸発酵工程か
    ら排出される未消化・未分解の繊維分に、繊維素分解菌
    及び納豆菌を接種して好気的条件下に分解し、家畜の飼
    料を生産することを特徴とする請求項5記載の有機性汚
    水の処理方法。
  7. 【請求項7】 各培養工程で培養した微生物は、各工程
    から系外に取り出し、脱水乾燥して有価物として回収す
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の有機性汚
    水の処理方法。
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