JP2510898B2 - 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物 - Google Patents

高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物

Info

Publication number
JP2510898B2
JP2510898B2 JP3096184A JP9618491A JP2510898B2 JP 2510898 B2 JP2510898 B2 JP 2510898B2 JP 3096184 A JP3096184 A JP 3096184A JP 9618491 A JP9618491 A JP 9618491A JP 2510898 B2 JP2510898 B2 JP 2510898B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractory
weight
ladle
lining
molten steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3096184A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04308022A (ja
Inventor
紘一 山口
勇気男 中村
宏美 高橋
一彦 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KUROSAKI YOGYO KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
KUROSAKI YOGYO KK
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KUROSAKI YOGYO KK, Nippon Steel Corp filed Critical KUROSAKI YOGYO KK
Priority to JP3096184A priority Critical patent/JP2510898B2/ja
Publication of JPH04308022A publication Critical patent/JPH04308022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2510898B2 publication Critical patent/JP2510898B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高清浄度鋼溶製用の耐
火物に関するものであって、特にsol.Al.0.0
02%以下の伸線加工性、疲労強度、あるいは被削性を
要求されるSi脱酸鋼溶製用の取鍋内張り用耐火物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】今日の二次精練および連続鋳造を行なう
状況の下での取鍋は、出鋼温度の上昇、滞湯時間の延長
等を強いられるため耐火物にかかる負担が過酷なものに
なっている。そのために現在の取鍋内張り用耐火物は高
耐食性を指向したものが主流をしめている。例えば取鍋
の中で最も溶損の大きいスラグライン用の耐火物として
は、高アルミナ質またはAl23−MgO系及びジルコ
ン質耐火物が使用される場合が多く、最近ではカーボン
添加により耐スポーリング性を向上させた材質も使用さ
れている。また、溶鋼やスラグによる磨耗が大きい取鍋
一般壁用の耐火物としては、高アルミナ質、中アルミナ
質あるいはジルコン質のれんがが使用される場合が多
い。なお、一部では耐火物のコスト低減を目的に一般壁
の不定形化を進めるメーカーも増えている。主に流し込
み材が使用されるが、これについても高耐食性、高耐磨
耗性を目的に高アルミナ質、あるいはスピネル質が使用
されている。 敷耐火物については直接スラグに接する
機会が少ないので、高耐スポーリング性指向によるジル
コン質、シャモット質、蝋石質耐火物が使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来から高清浄度Si
キルド鋼を製造するに当たっては耐火物の非アルミナ化
(純Al23を用いない)が望ましいと言われてきた。
その理由は介在物組成制御用の溶鋼酸素活量およびs
ol.Al.の微量コントロール(小山等:学振19委
員会第3分科会・神戸製鋼所資料;S62.9.3
0)、耐火物を構成する純Al23粒子の脱落防止
(市橋等;鉄と鋼Vol.71 No.2・85−A2
5)であった。従って、従来技術で可能な取鍋内張り耐
火物の非アルミナ化、例えばジルコン系耐火物の使用、
タンディッシュ内張り耐火物の非アルミナ化、例えばM
gO系耐火物の使用等、部分的には非アルミナ化が行な
われ、それなりの改善効果も認められていた(斉藤等;
神戸製鋼技報Vol.34 No.2 p96)が、実
害介在物を皆無にし、実用上のトラブルを防止できるレ
ベルには至っていない(斉藤等;神戸製鋼技報Vol.
34 No.2 p96)。その理由は、溶鋼注入系の
耐火物を非アルミナ化することが技術的に困難であった
ことと、部分的な非アルミナ化(純Al23粒子を用い
ない)では、本発明者等が明らかにしたように溶鋼中お
よび耐火物中カーボンとの反応で耐火物中のSiO2
分が還元されてAl23成分が濃化する結果、後述する
実害となるAl23粒子相及びスピネル(MgO・Al
23)相が生成することを防止できないからである。し
たがって溶鋼と接触する耐火物は、実害を及ぼさないレ
ベルにアルミナレス化する必要がある。Siキルド鋼を
溶製・鋳造した後のAl23成分を含有した蝋石質等の
取鍋耐火物稼働面は、反応付着生成物が少ないため、従
来無害であると考えられていたが、本発明者らの最近の
調査結果では、耐火物稼働面にAl23が濃化して生成
したアルミナ相、スピネル相が鋳造中に脱落し、鋳片に
トラップされて実害を生じる介在物になっていると推定
される。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は従来技術の課題
を有利に解決するものであってsol.Al.0.00
2%以下のSi脱酸鋼を溶製する取鍋の内張り用耐火物
において、(1)溶鋼と接触する部分のAl含有
量を8重量%以下とし、ZrO:35重量%以上、S
iO10〜55重量%、およびその他の耐火成分:
0〜5重量%からなることを特徴とする高清浄度鋼溶製
用取鍋の内張り用耐火物。(2):(1)の取鍋内張り
用耐火物で、取鍋敷き部以外の溶鋼と接触する耐火物中
のAl含有量を4重量%以下とし、ZrO とし
て45重量%以上を含有し、さらにSiO:10〜2
5重量%含有することを特徴とするセミジルコン質の高
清浄度鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物。(3):(1)
又は(2)の取鍋内張り耐火物で、スラグライン部の溶
鋼と接触する耐火物のAl含有量を2重量%以下
とし、ZrOとして60〜80重量%を含有し、さら
にSiOを20〜40重量%含有し、さらにその他の
耐火成分を0〜5重量%含有することを特徴とする高清
浄度鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物である。
【0005】以下本発明を図表を用いて説明する。表1
は本発明に適用する鋼種であって、特に低Alに特徴が
ある。Alは強脱酸元素で脱酸・酸素コントロール用に
有用であるが、sol.Al.が0.002%以上にな
ると非延性硬質のAl23系介在物を生じて、疲労特
性、伸線加工特性および被削性等を害するので、低Al
とする必要がある。Cは材質強度コントロ−ルに必要で
あり、用途によって必然的にその成分範囲が決定される
が、0.05%未満では後述する本発明で問題にしてい
る耐火物稼働面のAl23成分濃化も問題とならない。
SiはCと共に脱酸・酸素コントロール上必要であり、
また靱性をあまり低下せずに強度を増加させる効果が有
り、 0.03〜2.50%が実用化されている。Mn
は強度を増加させる効果が有り、また介在物の軟質化に
も効果が有り0.15〜2.00%程度が実用化されて
いる。P,Sは偏析を悪化させ、材料特性を悪化させる
ので0.03%以下が望ましい。Oは介在物組成コント
ロール上重要な成分でありC,Si含有量に対して適当
な範囲が有るが安定して鋳造できるのは80ppm以下
である。これ以上では鋳片にブローホールが発生したり
して鋳造が不安定になる。その他Cr,Nb,V等材質
特性上有効で脱酸および介在物組成にあまり影響を及ぼ
さない元素は含有してもかまわない。
【0006】
【表1】
【0007】〈耐火物をアルミナレス化する必要性〉伸
線加工中の破断面、および疲労破面に認められる実害と
なる介在物は、殆どが純アルミナ、およびスピネル(A
23・MgO)である。Siキルド鋼を溶製、鋳造し
た後の中アルミナ質および蝋石質の取鍋内張り耐火物稼
働面には耐火物基材の粒子とは形態が異なる数十μm〜
150μmサイズのアルミナ相、およびスピネル相が析
出していることが検鏡調査、EPMA調査で確認され
た。その稼働面断面の模式図を図1に示す。図で1は溶
鋼と反応生成したアルミナ相であり、2は(Al,S
i,Mn)O系主体のマトリックスである。3は耐火物
基材である。これらAl23成分含有耐火物の稼働面に
アルミナ、スピネル相が生成する機構をAl23−Si
2系耐火物の場合を例にして述べる。この例は連鋳タ
ンディッシュ堰(52%Al23,48%SiO2)の
場合であるが、取鍋内張り耐火物の場合も同じ反応であ
る。
【0008】カーボンを含まないAl23−SiO2
耐火物にアルミナ相が生成する機構について、 溶鋼と
耐火物との反応を熱力学的に検討した。その結果を表2
に示す(熱力学データは学振・製鋼第19委員会「製鋼
反応の推奨平衡値」を使用した)。1500℃の溶鋼5
0Tと耐火物1kgが平衡に達するまで反応した結果を
反応後の欄に示してある。溶鋼50Tはタンディッシュ
内の溶鋼、耐火物1kgは堰表面の反応層の量を想定し
ている。表で水準は高炭素鋼との反応の例である。耐
火物中のSiO2が還元されて消失し、アルミナが10
0%つまり純アルミナ相が生成することを示している。
さらにアルミナの一部も還元されてsol.Al.とし
て溶鋼に入っていることが分かる。水準は溶鋼中カー
ボンが0.2%の場合であるが、この場合でも純アルミ
ナ相が生成する。水準およびは溶鋼中Mn含有量を
変更した場合であるが、あまり変化は認められない。こ
の結果から、耐火物中のSiO2成分は溶鋼中のカーボ
ンで還元されて、Al23成分が濃化し純アルミナ相が
生成することがわかる。従来溶鋼中のMnでSiO2
還元されると言う文献が多く見られる(成田:耐火物,
30〔14〕,p14(1978)等)が、本発明の場
合にはカーボンの方が還元力が大きいことが分かる。こ
の全体の反応をムライト組成の例で示すと(3)式で表
わされる。 〈3Al2O3・2SiO2〉 + 4〔C〕 = 3Al2O3 + 2〔Si〕 + 4{CO} (3) この場合、耐火物中のAl23成分が濃化してアルミナ
相が生成するので、実害となるアルミナ相の生成を防止
するためには、Al23成分を極力含有しない耐火物を
使用する必要がある。取鍋内張り耐火物がジルコン系の
場合も、ジルコン(SiO2・ZrO2)が高温の稼働面
でSiO2とZrO2に解離したSiO2が溶鋼カーボン
で還元され、耐火物に含まれるAl23成分が濃化する
ため、Al23含有量を少なくする必要がある。
【0009】
【表2】
【0010】一方、耐火物中にカーボンを含有した耐火
物の場合も、例えばSiキルド鋼を鋳造したアルミナ−
黒鉛質の浸漬ノズル稼働面には、ノズル基材に用いられ
ているアルミナ粒子とは形態が異なる数十〜数百μmサ
イズのアルミナ相、およびスピネル相が生成しているこ
とが検鏡調査・EPMA分析で確認された。耐火物を構
成する純アルミナ粒子が脱落して硬質の実害介在物にな
るのは当然として、アルミナ相およびAl23成分を含
有し、かつカーボンを含有する浸漬ノズル等の耐火物稼
働面にAl23相及びスピネル(MgO・Al23)相
が生成するのは次の機構によると考えられる。アルミナ
−黒鉛質の浸漬ノズルの様に耐火物中にカーボンを含有
する場合は、浸漬ノズル内のAl23およびSiO2
分がCおよびCOガスで還元されてAl2Oガス、Si
Oガスとして稼働面に移動してAl2Oガスは溶鋼側か
ら酸素を得てAl23として析出し、SiOはさらにカ
ーボン,およびCOガスで還元されてSiとしてメタル
中へ移行する(福田等:鉄と鋼′86−S280等)。
全体の反応式は次の様に表わされる。 〈Al2O3〉 + 4〈C〉 + 2〈SiO2〉 → (Al2O3) + 2〔Si〕 + 4{CO} (1) SiO2を含まないカーボン含有耐火物の反応式も同様
に(2)式(Hauckら:Eisenhuttenw
es.53(1982)Nr.4April,P12
7)で表わされる。 3〈Al2O3〉 + 6〈C〉 → 4〔Al〕 + (Al2O3) + 6{CO} (2) 従ってSiO2を含まない場合でもカーボンを含有して
いれば稼働面にAl23が生成することになる。稼働面
にアルミナ相の生成を防止するには、Al23成分を極
力含有しない耐火物、すなわちアルミナレス耐火物とす
る必要がある。また、耐火物稼働面にスピネル(MgO
・Al23)相の生成がしばしば認められるのは、転炉
スラグ、およびMgO系耐火物成分や脱酸生成物中のM
gO成分と耐火物稼働面に生成したAl23が反応して
スピネルが生成するためであると推定される。
【0011】本発明による取鍋内張り耐火物は(1)溶
鋼と接触する部分のAl含有量を8重量%以下と
し、ZrO:35重量%以上、SiO10〜55
重量%、およびその他の耐火成分:0〜5重量%からな
り、また(2)取鍋敷き部以外の溶鋼と接触する耐火物
中のAl含有量を4重量%以下とし、ZrO
して45重量%以上を含有し、さらにSiO:10〜
25重量%含有するセミジルコン質用の耐火物、さらに
(3)スラグライン部の溶鋼と接触する耐火物のAl
含有量を2重量%以下とし、ZrOとして60〜
80重量%を含有し、さらにSiOを20〜40重量
%含有し、さらにその他の耐火成分を0〜5重量%含有
する耐火物であるために、溶鋼との反応で耐火物稼働面
に実害となるアルミナ相やスピネル相が生成することが
ない。アルミナを含有しない耐火性原料としてはジルコ
ン、ジルコニア、溶融シリカ、珪石等がある。本発明の
耐火物はこれらの耐火原料を主に使用してなる。耐火物
が上記耐火原料で構成される場合、SiO含有量が6
5%を超えると耐食性の低下が著しくなるので55%以
下が望ましい。また10%未満では耐スポーリング性が
低下する。残部は主としてZrO成分で、35〜90
%となる。上記耐火性原料のみで耐火物を製造すること
も可能であるが、定形耐火物はその製造時に作業性が安
定せず、混練、成形に熟練を要する。また、不定形耐火
物の場合には、主として炉前で混練、養成されて使用さ
れるため、特にその作業性の不安定さが問題となる。こ
の難点を解決するために、耐火粘土を使用することが出
来る。しかしこの場合耐火物中のAl含有量が1
0%を超えるほどに多くなると、(Al,Si,Zr)
O系の低融点生成物が多くなり耐食性の低下をもたらす
もので少ない方が望ましい。以上述べたように、本発明
成分系による取鍋内張り用耐火物は、耐食性や、耐スポ
ーリング性の点で従来の耐火物と同等以上の耐用性があ
り、しかもSiキルド鋼の鋳造に於いてアルミナ相やス
ピネル相等の実害となる高融点・硬質介在物を生成しな
いため、鋼材品質向上の上で大きな利点がある。
【0012】
【実施例】以下、本発明例を実施例に基ずいて説明す
る。表3に定形耐火物の例を示す。実施例Aは、ジルコ
ニア原料17重量%、溶融シリカ8重量%、ジルコン原
料75重量%からなる配合を、バインダーとしてフェノ
ール樹脂を添加して混練・成形・焼成して得られるもの
である。化学成分はZrO2が67%、SiO2が32%
であり、不可避的なAl23含有量は0.3%である。
実施例Bはジルコン原料60重量%、珪石25重量%、
可塑材としての粘土15%からなるものである。化学成
分はZrO2が40%、SiO2が53%であり、粘土に
よるAl23含有量は6%である。実施例A,Bは耐食
性、耐スポーリング性も良好であり、鋼材品質への影響
も問題がなかった。比較例Cは化学成分としてSiO2
が過剰な材質であり、ジルコン原料45%、溶融シリカ
50重量%、珪石5重量%からなる配合をバインダーと
してフェノール樹脂を添加して混練・成形・焼成して得
られるものである。 化学成分はZrO2が30%、Si
2が70%であり、不可避的Al23含有量は0.4
%である。この比較例Cは、本発明を適用した実施例と
比較して耐食性に劣り、溶鋼を汚染し鋼材の品質を低下
せしめる。比較例Dは化学成分としてSiO2が不足し
ている材質であり、ジルコニア原料77重量%、珪石3
重量%、ジルコン原料20重量%からなるものである。
化学成分はZrO2が90%、SiO2が9%であり、不
可避的成分としてのAl23含有量が0.3%である。
この比較例Dは、本発明を適用した実施例と比較して、
耐スポーリング性に劣り寿命が短い。比較例Eは化学成
分としてのAl23含有量が過剰な材質であり、粘土を
35重量%使用している。この比較例Eは本発明を適用
した実施例と比較して、耐スポーリング性に劣り、また
稼働面に品質上有害なアルミナ相、スピネル相の生成が
認められた。比較例Fは高アルミナ質煉瓦であり、バン
ケツ80重量%、アルミナ原料10重量%、粘土10重
量%からなる。本発明を適用した実施例と比較して、耐
スポーリング性が劣り、 有害なアルミナ、スピネル相
の生成も多数認められた。
【0013】
【表3】
【0014】表4.には不定形耐火物の例を示す。実施
例Gはジルコニア原料17重量%、溶融シリカ8重量
%、ジルコン原料75%からなる配合を、水を添加して
混練・施工・養生して使用されるものである。化学成分
はZrO2が67%、SiO2が32%であり、不可避的
なAl23含有量は0.3%である。実施例Hはジルコ
ン原料63重量%、珪石27重量%、可塑材としての粘
土10重量%からなるものである。化学成分はZrO2
が42%、SiO2が54%であり、粘土によるAl2
3含有量は4%である。実施例G、Hは耐食性が良好で
あり、特にHは作業性も良好である。比較例Iは化学成
分としてのSiO2が過剰な材質であり、ジルコン原料
45重量%、珪石55重量%、から成るものである。化
学成分はZrO2が30%、SiO2が69%であり、不
可避的なAl23含有量は0.6%である。この比較例
Iは、本発明を適用した実施例と比較して耐食性に劣
り、 溶鋼を汚染して品質を低下させた。 比較例Jは化
学成分としてSiO2が不足している材質であり、ジル
コニア原料77重量%、珪石3重量%、ジルコン原料2
0重量%からなるものである。化学成分はZrO2が9
0%、SiO2が9%であり、不可避成分としてのAl2
3含有量が0.3%である。この比較例Jは、本発明
を適用した実施例と比較して耐スポーリング性に劣り、
寿命が著しく短くなる。比較例Kは化学成分としてAl
23が過剰な材質であり、粘土を35重量%使用してい
る。この比較例Kは本発明を適用した実施例と比較し
て、耐スポーリング性に劣り、また稼働面に有害なアル
ミナ相、スピネル相の生成も認められた。比較例Lは従
来の蝋石タイプの流し込み材であり、 蝋石80重量
%、アルミナ原料10重量%、粘土10重量%からな
る。化学成分はSiO2が62重量%、Al23が31
重量%であり、稼働面に有害なアルミナ相、スピネル相
が多数生成した。
【0015】
【表4】
【0016】図2は、本発明対象成分の鋼材を、約20
0ミクロンまで伸線加工をしたときの介在物性断線指数
と耐火物改善経過との関連を調査した結果を示す。従来
品は鍋から、タンディッシュ、および注入系耐火物とし
て、Al23含有耐火物を使用したものである。比較例
1は鍋注入系ノズル、ロングノズル、タンディッシュ内
壁、タンディッシュ上ノズル、ストッパー、浸漬ノズ
ル、タンディッシュカバー等の耐火物をAl23含有量
10%以下に少なくし、取鍋内張り耐火物のみを従来の
蝋石質主体の物を用いた場合である。鍋耐火物の稼働面
に生成したアルミナ、スピネル相が溶損脱落して断線を
生じた実害介在物になったことを示している。 本発明
1は、本発明の取鍋内張り耐火物を従来品に替えて使用
した例である。その他は従来耐火物であるが若干の改善
効果が認められる。本発明2は本発明の考えを発展さ
せ、取鍋から浸漬ノズルまでの溶鋼と接触する全ての耐
火物のAl23含有量を10%以下にした例で大幅に改
善されている。これは溶鋼と耐火物の反応で生じるアル
ミナ、スピネルの実害介在物を無くすることが出来たか
らである。本発明2でも極僅かに介在物性の断線が認め
られるが、これは脱酸生成物系、及びスラグ系の大型介
在物起因によるものである。このレベルになると表面欠
陥起因、 及び中心偏析起因の断線の方が圧倒的に多
く、従来問題となっていた介在物性起因の断線トラブル
は殆ど生じなくなった。同様に、硬質介在物が大幅に減
少した結果疲労限が向上し、また硬質介在物に起因する
伸線時のダイスの寿命が延長し、切削時の工具刃先の傷
みが減少した結果、被削性も向上した。なお、図3に取
鍋およびタンディッシュ耐火物の構造例を示す。
【0017】
【発明の効果】本発明によって、耐火物稼働面に実害を
及ぼす硬質のアルミナ相やスピネル相が生成しなくな
り、鋳片内の硬質介在物が減少した結果、伸線加工中の
断線トラブルが減少し、また疲労限が向上し、さらに被
削性も向上させることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】高アルミナ質稼働面における断面模式図、
【図2】本発明と比較例との介在物性の断線指数を示す
図、
【図3】取鍋およびタンデッシュ耐火物の構造例を示
す。
【符号の説明】
1 溶鋼と反応生成したアルミナ相、 2 (Al,Si,Mn)O系主体のマトリックス、 3 耐火物基材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 宏美 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式会社 君津製鐵所内 (72)発明者 藤井 一彦 千葉県木更津市築地7番地1 黒崎窯業 株式会社 木更津工場内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 sol.Al.0.002%以下のSi
    脱酸鋼を溶製する取鍋の内張り用耐火物において、溶鋼
    と接触する部分のAl含有量を8重量%以下と
    し、ZrO:35重量%以上、SiO10〜55
    重量%、およびその他の耐火成分:0〜5重量%からな
    ることを特徴とする高清浄度鋼溶製用取鍋の内張り用耐
    火物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の取鍋内張り用耐火物で、
    取鍋敷き部以外の溶鋼と接触する耐火物中のAl
    含有量を4重量%以下とし、ZrO として45重量%
    以上を含有し、さらにSiO:10〜25重量%含有
    することを特徴とするセミジルコン質の高清浄度鋼溶製
    用取鍋の内張り用耐火物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の取鍋内張り耐火物
    で、スラグライン部の溶鋼と接触する耐火物のAl
    含有量を2重量%以下とし、ZrOとして60〜8
    0重量%を含有し、さらにSiOを20〜40重量%
    含有し、さらにその他の耐火成分を0〜5重量%含有す
    ることを特徴とする高清浄度鋼溶製用取鍋の内張り用耐
    火物。
JP3096184A 1991-04-03 1991-04-03 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物 Expired - Lifetime JP2510898B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3096184A JP2510898B2 (ja) 1991-04-03 1991-04-03 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3096184A JP2510898B2 (ja) 1991-04-03 1991-04-03 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04308022A JPH04308022A (ja) 1992-10-30
JP2510898B2 true JP2510898B2 (ja) 1996-06-26

Family

ID=14158232

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3096184A Expired - Lifetime JP2510898B2 (ja) 1991-04-03 1991-04-03 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2510898B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1087355C (zh) * 1998-06-23 2002-07-10 住友金属工业株式会社 钢丝材

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04308022A (ja) 1992-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101241586B1 (ko) 내화성 노즐 및 밀봉 부재로 이루어진 조립체
US4870037A (en) Prevention of Al2 O3 formation in pouring nozzles and the like
US4210264A (en) Immersion nozzle for continuous casting of molten steel
JP2001353561A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2510898B2 (ja) 高清浄度溶鋼溶製用取鍋の内張り用耐火物
CN113458377A (zh) 防结瘤中间包透气上水口
JP2018075601A (ja) セミイマージョンノズル
GB2081702A (en) Immersion Nozzle for Continuous Casting of Molten Steel
Biswas et al. Modern refractory practice for clean steel
JP7380900B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JPH05138338A (ja) 高清浄度溶鋼鋳造用の取鍋下部ノズル
JP6856878B2 (ja) 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル
JP2002029858A (ja) タンディッシュの内張り用キャスタブル
JP6734539B2 (ja) 超高マンガン鋼の連続鋳造方法
Biswas et al. Refractory for Secondary Refining of Steel
JP4629461B2 (ja) 連続鋳造用ノズル
JPH06102249B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JPH08132200A (ja) 溶融金属の鋳造方法
JPH04274852A (ja) 高清浄度溶鋼鋳造用の連鋳タンディッシュ堰
JP2001113345A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4312628B2 (ja) 鋼の連続鋳造用ストッパー
JP2795805B2 (ja) 取鍋れんが
JP3354213B2 (ja) 高耐用性非鉄金属用耐火物
JPH0952759A (ja) 溶融金属に対する耐侵食性に優れた耐火材
JPH05131267A (ja) スライデイングノズル用プレ−トれんが

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960206

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110416

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term