JP6734539B2 - 超高マンガン鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マンガン濃度が10質量%以上である超高マンガン鋼の連続鋳造方法に関するものである。
鋼には通常、一定量のマンガンが含まれている。マンガン濃度は、一般鋼で1質量%以下であり、高マンガン鋼とされている鋼種のマンガン濃度では数質量%である。高マンガン鋼の製造方法に関して、例えば、特許文献1には、真空脱ガス槽内の溶鋼に上吹ランスから酸素を吹き付けて真空脱炭を行う高マンガン鋼の溶製方法において、前記真空脱ガス槽内の真空度を2500〜14000Paに調整しつつ、前記上吹ランスから吹き付ける酸素が溶鋼に当たる火点近傍にCaO、CaCO3あるいはCa(OH)2のいずれか1種以上を吹き付けまたは添加することを特徴とする真空脱ガス槽内での高マンガン鋼の溶製方法が開示されている。また、特許文献1の実施例によれば、処理前の溶鋼中のMn含有量が1.2〜1.4質量%であり、処理後のMn含有量が1.03〜1.26質量%であることも記載されている。
また、特許文献2には、転炉から取鍋に出鋼中又は出鋼した溶鋼に高炭素フェロマンガンを投入し、その後RH真空脱ガス槽内で溶鋼を取鍋と該槽間を還流させつつ脱炭、脱ガスを施して脱酸を行った後、引き続き、該脱ガス槽内にフラックスを投入して、脱ガス槽を介して取鍋側にフラックスを供給することにより、溶鋼とスラグとのスラグ・メタル界面に前記フラックスによるスラグ・メタル反応の遮断層を形成させることを特徴とする低炭素、高マンガン鋼の溶製方法が開示されている。また、特許文献2の実施例では、溶製する溶鋼として、Mn含有量が1.55質量%または3.00質量%のものが例示されており、処理後のMn含有量が1.30〜3.05質量%であることも例示されている。
更に、特許文献3には、真空脱ガス設備の真空槽内の溶鋼に酸素源を供給して溶鋼に真空脱炭処理を施し、炭素濃度が0.05質量%以下、マンガン濃度が0.5質量%以上である低炭素高マンガン鋼を溶製する方法であって、炭素を含有するマンガン系合金鉄を前記溶製中に吹き込みながら溶鋼に真空脱炭処理を施すことを特徴とする低炭素高マンガン鋼の溶製方法が開示されている。また、特許文献3の実施例では、処理前の溶鋼中のMn含有量が0.7〜1.0質量%で、処理後のMn含有量が1.01〜1.24質量%であることが例示されている。
一方、Mn含有量が10〜40質量%と、特許文献1〜3に例示されている高マンガン鋼より著しく高いマンガン濃度を有する超高マンガン鋼が近年、開発・実生産され始めている。マンガンは、鋼の強度、伸び性や非磁性などの特性を大幅に改善することが明らかにされているが、一般鋼や高マンガン鋼などの鋼種に比べて、超高マンガン鋼の連続鋳造がとても困難なことも判明している。これは、超高マンガン鋼の鋳片には、割れの欠陥が非常に発生しやすいという技術の難点があるためである。溶鋼のマンガン濃度が数質量%から10質量%以上まで増えると、不均一の凝固組織が顕著に形成され易くなり、換言すれば、マンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼は、凝固割れの感受性が高くなる。従って、超高マンガン鋼を鋳造する際には、鋳造条件を安定化させることが特に必要となる。
この問題を克服するため、例えば、特許文献4には、質量%で、C:0.45〜1.3%、Si:0.05〜0.5%、Mn:10〜19%、P:0.10%以下、S:0.02%以下、Al:0.003〜0.1%、N:0.005〜0.30%を含有する化学組成を有し、透磁率が1.1以下である高マンガン系非磁性鋼の連続鋳造法により製造する方法であって、鋳造温度Tが式(1)を満たすよう制御するとともに、鋳造温度Vc(m/min)を下記式(2)の範囲に選定することを特徴とする非磁性鋼の製造方法:
a≦T≦a+50 (1)
Vc≧0.02×(T−a) (2)
ここで、aは、鋼の組成から、下記式(3)により決定される値であり、下記式(3)中の(%C)、(%Mn)及び(%P)は、それぞれ、鋼の化学組成におけるC、MnおよびPの含有量(単位:質量%)である。
a=1557−{53×(%C)+4.5×(%Mn)+45×(%P)}(請求項1);
MnO、CaO、SiOを主要な酸化物として含有するモールドフラックスを用いて連続鋳造を行う前記非磁性鋼の連続鋳造方法であって、該モールドフラクスに含有されるMnOの含有量(単位:質量%)は連続鋳造される溶鋼のMn濃度(単位:質量%)と下記式(4)を満し、該モールドフラックスに含有されるCaOのSiOに対する質量比CaO/SiOが0.9以上2.0以下である製造方法。
0.40×(鋼中Mn濃度)<(モールドフラックス中MnO含有量)<(鋼中Mn濃度) (4)(請求項2);
連続鋳造される溶鋼の化学組成が下記式(5)を満たす前記非磁性鋼の製造方法。
(%Mn)−19.6×(%C)+22.7×(%C)+72.7×(%P)<22.4 (5)
ここで、上記式(5)中の(%C)、(%Mn)および(%P)はそれぞれ鋼の化学組成におけるC、MnおよびPの含有量(単位:質量%)である、
が開示されている。
また、特許文献5には、質量%で、Mn含有量が10〜30%である高Mn鋼の連続鋳造用モールドフラックスであって、前記高Mn鋼のMn含有量(Mn)に対するMnO含有量(MnO)の比{(MnO)/(Mn)}が0.25〜1.2であるとともに、塩基度(T.CaO/SiO)が0.80〜1.6であることを特徴とする高Mn鋼の連続鋳造用モールドフラックス(請求項1);前記MnO含有量が質量%で2.5〜36%である前記高Mn鋼の連続鋳造用モールドフラックス(請求項2)が開示されている。
また、特許文献6には、鋼の連続鋳造用ノズルにおいて、ノズルの内孔部及び/または溶鋼と接する部分が、鉱物相としてスピネルまたはスピネル及びペリクレースからなる耐火材料から構成されていることを特徴とする鋼の連続鋳造用ノズルが開示されている。
特開2002−256328号公報 特開2003−155517号公報 特開2011−153328号公報 特開2012−161820号公報 特開2013−6188号公報 特開平10−305355号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている溶製方法おいては、処理前の溶鋼のMn含有量は、0.7〜3.00質量%であり、処理後のMn含有量は、1.01〜3.05質量%の範囲内にあり、Mn含有量が10〜40質量%である超高マンガン鋼を製造する際の諸問題は何ら検討されていない。また、特許文献4及び5は、超高Mn鋼の連続鋳造に諸問題を使用するモールドフラックスにより解決しようとするものである。しかしながら、モールドフラックスの改良のみでは、鋳片割れを十分に抑制することはできないのが実情である。
一方、特許文献6のノズルでは、マンガン濃度が数質量%の鋼種に対して、高耐食性を有することが示されている。ここで、マンガン濃度が数質量%の鋼種では、溶鋼の酸素濃度も高く、溶鋼中のマンガン、鉄と酸素の三元素は互いに結合し、耐火物のノズルと反応して低融点酸化物が生成され、それによって、ノズルが溶損して、使用寿命が低下する。このため、ノズルの材質を低融点酸化物を形成しにくいスピネル−マグネシア質とすることで、高耐食性を示したのである。すなわち、特許文献6は、マンガン濃度が0.3〜1.5質量%程度のマンガン含有鋼における浸漬ノズルの溶損について開示するものであり、すなわち、低融点酸化物の生成を抑制することに主眼をとするものであって、本発明のように、マンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼の溶鋼の成分変化とそれに伴う鋳片の偏析に起因する鋳片割れについて開示するものではない。つまり、特許文献6に開示された鋼種とノズルの反応メカニズムやその技術課題は、超高マンガン鋼の場合とまったく異なるものである。
従って、本発明の目的は、マンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼の鋳片割れを抑制する連続鋳造方法を提供することにある。
鋼の連続鋳造において、溶鋼を取鍋からモールドへ導入するため、浸漬ノズルが使用される。浸漬ノズルの吐出孔から出た溶鋼はモールド内に入り、水冷却されているモールドの内壁付近で凝固して、鋳片に変わる。連続鋳造用浸漬ノズルは通常アルミナ45〜55質量%、シリカ15〜25質量%、カーボン20〜35質量%のアルミナ−シリカ−カーボン材質のものである。しかし、アルミナ−シリカ−カーボン材質の浸漬ノズルをマンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼の鋳造に用いると、溶鋼とノズル間の化学反応に起因して、他の鋼種に比べて著しく鋳片割れが発生し易くなることが、本発明者らの検討によって判明した。
詳細には、溶鋼とノズルの界面において溶鋼中の超高濃度のマンガンが優先にノズル中のシリカを大量に還元する。すなわち、
SiO(固)+2Mn=Si+2MnO(液) (1)
ここで、Mn、Siは、溶鋼に溶解しているマンガンとシリコンを表す。
反応(1)の発生によって、ノズルと溶鋼の界面付近の溶鋼はバルク溶鋼よりシリコン濃度が著しく高く、マンガン濃度が著しく低くなる。一方、ノズルの中心部分を流れる溶鋼流の組成は変化しない。そのため、吐出孔から吐出される溶鋼流においては、吐出中の周辺は成分変化の起こった溶鋼が流れ、中心部では成分変化が起こっていない溶鋼が流れる。ノズルの吐出孔から出る溶鋼はモールド内で滞留する時間が短く、早く凝固するので、成分濃度の差異は解消できず、水冷モールドによって凝固シェルが形成される際、濃度変化がそのまま鋳片に残存して成分偏析が発生する。この成分偏析によって、マンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼は不均一の凝固組織がさらに形成されやすく、鋳片割れが生じやすくなる。
本発明者らは、さらに検討を行い、シリカ不含のアルミナ−カーボン質の浸漬ノズルを超高マンガン鋼の鋳造に用いた結果、次のことが判明した。
溶鋼中のマンガンは超高濃度であるため、浸漬ノズル中のアルミナを還元する。すなわち、
Al(固)+3Mn=2Al+3MnO(固) (2)
ここで、Alは、溶鋼に溶解しているアルミニウムを表す。
反応(2)の発生によって、溶鋼とノズルの界面付近における溶鋼はバルク溶鋼よりアルミニウム濃度が顕著に高く、マンガン濃度が顕著に低い成分偏析が生じる。その結果,アルミナ−シリカ−カーボン質ノズルを用いた場合と同様に、鋳片割れが多発する。
さらに、本発明者らは、超高マンガン鋼の鋳造にスピネル−マグネシア−カーボン質のノズルを用いた結果、溶鋼中のマンガンが浸漬ノズル中のスピネルおよびマグネシアを還元し難く、すなわち、反応(3)〜(5)は起こりにくく、鋳片割れは大幅に抑制されることが判明した。
(Al)+3Mn=2Al+3MnO(固) (3)
(MgO)+Mn=Mg+MnO(固) (4)
MgO(固)+Mn=Mg+MnO(固) (5)
ここで、反応(3)および(4)中の(Al)、(MgO)は、それぞれスピネル中の化合物状態を呈するアルミナとマグネシアを表す。(2)の反応に比べて(3)の反応が起こりにくいのは、スピネルとなることでより、アルミナ成分が安定化するためである。
上述したように、本発明者らは種々の検討を行った結果、マンガン濃度が10質量%以上の超高マンガン鋼の鋳片割れにモールド内の溶鋼の成分偏析が大きな影響を与えること、および溶鋼の成分偏析に対して、連続鋳造に用いられた浸漬ノズルの材質が顕著な影響を及ぼすことが判明した。また、浸漬ノズルの溶鋼と接する帯域にスピネル−マグネシア−カーボン材質を用いると、成分偏析、さらに鋳片割れは有効に抑制されることが判明した。
本発明者らは、以上得られた知見を基に本発明を完成した。
すなわち、本発明は、マンガン濃度が10質量%以上である超高マンガン鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部がマグネシアを25質量%以下(ゼロを含む)、カーボンを35質量%以下(ゼロを含む)含有し、スピネルが40質量%以上であるスピネル質材質から構成される浸漬ノズルを用いることを特徴とする超高マンガン鋼の連続鋳造方法である。
本発明により、超高マンガン鋼の連続鋳造において、溶鋼と浸漬ノズルとの反応を抑えることができる。溶鋼と浸漬ノズルとの反応が起これば、溶鋼成分が部分的に変化し、その変化が解消されないまま凝固シェルが形成されるため、成分変化による偏析が生じ、鋳片割れが生じるが、反応を抑制することで鋳片割れを抑制できる。浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部がマグネシアを25質量%以下(ゼロを含む)、カーボンを35質量%以下(ゼロを含む)含有し、スピネルが40質量%以上であるスピネル質材質から構成される浸漬ノズルを用いる本発明の連続鋳造方法の適用によって、超高マンガン鋼の鋳片割れを大幅に抑制することができる。
本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造に用いる浸漬ノズルの配材パターンの1実施態様を示す図である。 本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造に用いる浸漬ノズルの配材パターンの他の実施態様を示す図である。 本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造に用いる浸漬ノズルの配材パターンの更に他の実施態様を示す図である。 本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造に用いる浸漬ノズルの配材パターンの他の実施態様を示す図である。
本明細書において、述語「超高マンガン鋼」は、マンガン濃度が10質量%以上であるものを示し、更に詳細には、マンガン濃度10〜40質量%の範囲内のものを示す。
本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法は、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部がマグネシアを25質量%以下(ゼロを含む)、カーボンを35質量%以下(ゼロを含む)、スピネルが40質量%以上のスピネル質材質で構成される浸漬ノズルを用いるところに特徴がある。浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部をマグネシアおよび/またはカーボンを含有するスピネル質材質、または主としてスピネルのみからなるスピネル質材質で構成することにより、溶鋼中のマンガンと浸漬ノズル中のスピネル、マグネシアとの反応性が非常に小さいので、鋳片割れを大幅に抑制することができる。
スピネル質材質は、マグネシア25質量%以下(ゼロを含む)、好ましくは5〜20質量%、カーボン35質量%以下(ゼロを含む)、好ましくは2〜30質量%、スピネル40質量%以上、好ましくは50〜93質量%の範囲内である。ここで、マグネシアは大気に放置されると、水和する傾向があり、マグネシアの含有量が25質量%を超えると、水和しているマグネシア量が多くなりすぎ、浸漬ノズルと溶鋼が接触すると、溶鋼の水素ピックアップが生じ、溶鋼に水素が存在すると、その凝固シェル内の結晶粒界の強度が低下して鋳片割れが発生し易くなるため好ましくない。また、カーボンの含有量が35質量%を超えると、溶鋼へのカーボンの溶解量が多くなり過ぎ、溶鋼に顕著なカーボンの成分偏析が生じて鋳片割れが発生し易くなるため好ましくない。さらに、スピネルの含有量が40質量%未満であると、溶鋼中に生じるマンガンや他の成分の偏析が大き過ぎて鋳片割れが起こり易くなるため好ましくない。なお、スピネル質材質は、全量がスピネルより構成されていても良い。
ここで、スピネルは、MgAlまたはMgO・Alの化学式で示される化合物である。理論組成はマグネシアが28.3質量%、アルミナが71.7質量%であるが、固溶範囲を持ち、マグネシア成分の多いものをマグネシアリッチスピネル、アルミナ成分の多いものをアルミナリッチスピネルと称する。本発明では、理論組成のスピネルのみならず、マグネシアリッチスピネル、アルミナリッチスピネルのいずれも含有することができる。これらのスピネルは、超高マンガン鋼との反応性が小さく、このましい。さらには、大気に放置されても水和しない特徴があり、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部を構成する主骨材として適したものである。
マグネシアとしては、電融マグネシア、合成マグネシアおよび天然マグネシアなどを含有することができる。マグネシアは、溶鋼との反応性が低く、また、反応が起こっても、溶鋼のマグネシウム溶解度が極めて低いので、溶鋼中でのマグネシウムの成分偏析はほとんど生じない。そのため、スピネル質材質にマグネシアを含有させることによって、鋳片の割れが発生し難くなる。その効果は、超高マンガン鋼のマンガン濃度が25質量%以上の場合により顕著となる。なお、超高マンガン鋼のマンガン濃度が25質量%以下の場合は、マグネシアを含有しないスピネル質材質を使用することもできる。
カーボンとしては、鱗状黒鉛、膨張黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、コークス、無煙炭、キッシュ黒鉛、ピッチ炭、タール炭、処理黒鉛、電極屑、木炭熱分解黒鉛、再結晶黒鉛、カーボンブラック、非晶質カーボンや樹脂炭などを含有することができる。カーボンは、浸漬ノズルの耐スポーリング性を確保する役割を果たす。したがって、熱膨張で割れの生じ易い浸漬ノズルの浸漬部には、カーボン含有のスピネル質材質を適用することが好ましい。
また、本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法に用いられる浸漬ノズルのスピネル質材質には、浸漬ノズルの強度向上や耐酸化性などを図るため、スピネル、マグネシアおよびカーボン以外の成分、例えば、アルミナやマグネシアを除くその他の酸化物、炭化物、ほう化物、窒化物や金属(合金)などのその他の成分を添加することができる。ただし、その総量は外掛けで8質量%以下、好ましくは5質量%以下である。その他の成分の総量が外掛けで8質量%を超えると、スピネルおよびマグネシアの効果を悪化させ、鋳片割れが生じ易くなるために好ましくない。
これらの材料は、工業的に不可避的不純物を含んでも良いが、不可避的不純物の総量は5質量%以下、好ましくは3質量%以下である。不可避的不純物の総量が5質量%を超えると,スピネル、マグネシアの効果を悪化させ、鋳片割れが生じ易くなるために好ましくない。
本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法に用いられる浸漬ノズルの配材パターンの数例を図1ないし4に示す。図1に示すように、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の全て(本体部、内孔体、浸漬部)を上述のスピネル質材質で構成し、スラグライン部をジルコニア−カーボン材質としても良いし、図2に示すように、浸漬ノズルの内孔体をスピネル質材質で構成し、本体部及び浸漬部をアルミナ−シリカ−カーボン質材質またはアルミナ−カーボン質材質、スラグライン部をジルコニア−カーボン材質としても良いし、図3に示すように、浸漬ノズルの浸漬部をスピネル質材質で構成し、本体部をアルミナ−シリカ−カーボン質材質またはアルミナ−カーボン質材質、スラグライン部をジルコニア−カーボン材質としても良いし、図4に示すように、浸漬ノズルの内孔体及び浸漬部をスピネル質材質で構成し、本体部をアルミナ−シリカ−カーボン質材質またはアルミナ−カーボン質材質、スラグライン部をジルコニア−カーボン材質とする構成とすることもできる。なお、配材パターンはこれらに限定されるものではなく、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部をスピネル質材質とすれば本発明の効果が得られることは勿論である。
なお、連続鋳造条件に応じて、浸漬ノズルの内孔部のみに、スピネル質材質を配置した浸漬ノズルを用いても良い。さらに、より好ましい形態は、内孔体としてカーボン不含または低カーボンのスピネル質材質を用い、浸漬部がカーボン含有のスピネル質材質、本体部がアルミナ−カーボン質材質、スラグライン部がジルコニア−カーボン材質の浸漬ノズルである。
本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法に用いられる浸漬ノズルは、原料秤量、混練、成形、乾燥、焼成および加工などという通常のノズル製造プロセスにて製造することができる。なお、バインダーとしては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチやタールなどの有機質バインダーを使用することが可能である。成形には冷間静水等方圧プレス(CIP成形)の成形方法を利用しても良い。さらに、焼成において、雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性雰囲気などから材質に合わせて適宜選択することができる。焼成の温度は700〜1200℃の範囲内とすることができ、好ましくは800〜1100℃の範囲内とすることができる。
超高マンガン鋼の連続鋳造方法では、浸漬ノズルを鋳造に用いる前に予熱することが好ましい。予熱温度は500〜1400℃、好ましくは800〜1100℃の範囲内であり、予熱時間は1〜5時間、好ましくは1.5〜2時間の範囲内である。予熱温度が500℃未満または予熱時間が1時間未満であると、鋳造中に浸漬ノズルが割れることがあるために好ましくない。また、予熱温度が1400℃を超えたり、予熱時間が5時間を超えると、浸漬ノズル中のカーボンが多量に酸化されるために好ましくない。
以下、本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法にて、超高マンガン鋼の鋳造を行った例を説明する。
超高マンガン鋼は、マンガン濃度が20質量%のものであった。溶鋼温度は1450℃、鋳造速度は0.7m/分、モールドサイズは厚み100mm×幅650mmであった。
それぞれ100トンの溶鋼を鋳造、得られた鋳片の表面を観察し、発生したキレツの本数を調べた。なお、浸漬ノズルは、いずれも鋳造に用いる直前に予熱を行った。予熱は温度が800〜1000℃、1.5時間であった。
本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法に用いた浸漬ノズルの材質を表1〜2に、比較例に用いた浸漬ノズルの材質を表3にそれぞれ示す。なお、いずれの浸漬ノズルにおいても、本体部には、アルミナ50質量%、シリカ25質量%、カーボン25質量%のアルミナ−シリカ−カーボン質材質を、スラグライン部には、ジルコニア87質量%、カーボン13質量%のジルコニア−カーボン質材質をそれぞれ使用した。
なお、実施例及び比較例に使用した浸漬ノズルは、原料秤量、混練、成形、乾燥、焼成及び加工のプロセスを経て製造された。バインダーにはフェノール樹脂を用いた。また、成形はCIPにより行い、還元雰囲気下、1050℃で焼成した。
また、鋳片表面の単位面積当たりの亀裂の本数を指数化した鋳片割れ指数を表1ないし3に併記する (比較浸漬ノズル1の鋳片割れ指数を100とした)。
Figure 0006734539
Figure 0006734539
Figure 0006734539
表1〜3の結果から、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部に、マグネシア30質量%以下(ゼロを含む)、カーボン30質量%以下(ゼロを含む)、スピネル40質量%以上のスピネル質材質を配材した浸漬ノズルを用いた本発明の超高マンガン鋼の連続鋳造方法は、比較ノズルを用いた場合に比べて、超高マンガン鋼の鋳片割れが大幅に抑制されたことがわかる。
本発明は、マンガン濃度が10質量%以上である超高マンガン鋼の鋳片品質を向上させる連続鋳造方法を提供したものであり、鋼業界における利用可能性は極めて高い。

Claims (2)

  1. マンガン濃度が10質量%以上である超高マンガン鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルの溶鋼と接触する帯域の一部または全部がマグネシアを25質量%以下(ゼロを含む)、カーボンを35質量%以下(ゼロを含む)含有し、スピネルが40質量%以上であるスピネル質材質から構成される浸漬ノズルを用いることを特徴とする超高マンガン鋼の連続鋳造方法。
  2. 超高マンガン鋼のマンガン濃度が10〜40質量%である、請求項1記載の超高マンガン鋼の連続鋳造方法。
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