JP2510498B2 - 変圧器故障検出方法及び装置 - Google Patents
変圧器故障検出方法及び装置Info
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Description
〔発明の利用分野〕 本発明は変圧器故障検出方法およびその装置にかか
り、特に対象の変圧器の既知値を用いることで高精度に
変圧器の内部故障を検出できる変圧器故障検出方法およ
びその装置に関する。 〔発明の背景〕 従来、変圧器の巻線短絡故障等の異常時における変圧
器保護は、変圧器各端子電流の差動電流を検出して行な
われている。差動電流は巻線故障の他、変圧器の励磁突
入電流によつても生ずるため、励磁突入電流中の第2高
調波成分含有率が多い性質を利用し、従来はいわゆる第
2高調波抑制方式として励磁突入電流による変圧器保護
リレーの誤動作を防止している。 ところが、送電系統の対地静電容量、リアクタンス及
び変圧器インピーダンス等によつては、故障電流中に第
2高調波付近の低次高調波分を含むことがあり、従来の
第2高調波抑制法では変圧器保護リレーの動作遅延、ひ
いては誤不動作により重大災害を招く恐れがある。 そこで、最近下記する特開昭59-25527号のようなデイ
ジタル方式が提案されている。 (a)変圧器各巻線の端子電流より得られる差動電流が
所定の検出レベルを越えたとき、次の関係が成立するか
どうかの判定を行う。 〔V〕−〔l〕〔di/dt〕=
り、特に対象の変圧器の既知値を用いることで高精度に
変圧器の内部故障を検出できる変圧器故障検出方法およ
びその装置に関する。 〔発明の背景〕 従来、変圧器の巻線短絡故障等の異常時における変圧
器保護は、変圧器各端子電流の差動電流を検出して行な
われている。差動電流は巻線故障の他、変圧器の励磁突
入電流によつても生ずるため、励磁突入電流中の第2高
調波成分含有率が多い性質を利用し、従来はいわゆる第
2高調波抑制方式として励磁突入電流による変圧器保護
リレーの誤動作を防止している。 ところが、送電系統の対地静電容量、リアクタンス及
び変圧器インピーダンス等によつては、故障電流中に第
2高調波付近の低次高調波分を含むことがあり、従来の
第2高調波抑制法では変圧器保護リレーの動作遅延、ひ
いては誤不動作により重大災害を招く恐れがある。 そこで、最近下記する特開昭59-25527号のようなデイ
ジタル方式が提案されている。 (a)変圧器各巻線の端子電流より得られる差動電流が
所定の検出レベルを越えたとき、次の関係が成立するか
どうかの判定を行う。 〔V〕−〔l〕〔di/dt〕=
〔0〕 …(1) 又は 〔y〕〔∫Vdt〕−〔∫di〕=
〔0〕 …(2) ただし、〔V〕は各巻線端子電圧の列ベクトル 〔i〕は各巻線端子電流の列ベクトル 〔l〕は変圧器鉄心が磁気飽和しているときの各巻線
の自己及び相互インダクタンスから成るインダクタンス
行列、 〔y〕は〔l〕の逆行列で得られるアドミツタンス行
列 である。 (b)励磁突入電流は変圧器鉄心が磁気飽和して生ずる
ものであるから、判定式の性質より励磁突入の場合
(1)式又は(2)式がほぼ成立する。内部故障の場合
巻線が健全でなく、且つ一般に変圧器鉄心は磁気飽和し
ないので(1)式又は(2)式は成立しない。 (c)そこで、(1)式又は(2)式の左辺の演算を行
い、演算値が非常となつたときのみ内部故障と判定す
る。 以上のデイジタル方式によると、波形にかかわらず内
部故障電流と励磁突入電流を判別でき、信頼性の高い変
圧器保護方式とすることができる。 しかし、演算式の係数であるインダクタンス行列
〔l〕又はアドミツタンス行列〔y〕は変圧器巻線寸法
から予め計算によつて求めておかねばならないが、これ
には次のような問題点がある。 (a)実際の値に対して計算値に若干の誤差が生ずるの
は避けられないので、励磁突入の場合でも(1)式又は
(2)式の左辺は完全に零とはならず、高感度故障検出
を阻害する要因となる。 (b)種々の巻線構造の変圧器に対して精度良く係数を
求めるだけの計算式は繁雑で、係数設定誤まりの要因と
なる。 (c)変圧器の巻線寸法等が不明の場合、予め係数を設
定しておくことができない。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、
演算式の係数として用いる保護対象変圧器固有の物理定
数として既知値を用いることで高精度に内部故障を検出
できる変圧器故障検出方法およびその装置を提供するこ
とにある。 〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、本発明では複数の巻線を
備えた変圧器の内部故障の検出を行う変圧器故障検出方
法において、変圧器の複数巻線の各端子電流および各端
子電圧を検出すること、変圧器の複数巻線の各端子電流
と各端子電圧を関連づける変圧器の伝達アドミッタンス
と、変圧器の複数巻線の各端子電流と、各端子電圧とか
ら変圧器の駆動点アドミッタンスを導出すること、検出
された各端子電流の差電流の絶対値が所定レベルよりも
大きいときに、駆動点アドミッタンスの大きさから変圧
器の内部故障を検出するようにしたものである。 また、本発明は複数の巻線を備えた変圧器の内部故障
の検出を行う変圧器故障検出装置において、変圧器の複
数巻線の各端子電流を検出する電流検出手段と、変圧器
の複数巻線の各端子電圧を検出する電圧検出手段と、変
圧器の複数巻線の各端子電流と各端子電圧を関連づける
変圧器の伝達アドミッタンスを記憶する伝達アドミッタ
ンス記憶手段と、この伝達アドミッタンス記憶手段に記
憶された伝達アドミッタンスと、電流検出手段による複
数巻線の各端子電流と、電圧検出手段による複数巻線の
各端子電圧とから、変圧器の駆動点アドミッタンスを算
出する駆動点アドミッタンス算出手段と、電流検出手段
による各端子電流の差電流の絶対値が所定値レベルを超
え、かつ駆動点アドミッタンス算出手段による駆動点ア
ドミッタンスが判定値レベルを超えた場合に変圧器の内
部故障と判別する変圧器内部故障判別手段とを備えるよ
うにしたものである。 〔作用〕 本発明においては変圧器を多端子回路網と考えてアド
ミッタンス方程式で表現したとき、励磁突入時の伝達ア
ドミッタンスが健全時とほとんど変わらないこと、駆動
点アドミッタンス又はこれらより導出される並列アドミ
ッタンスが励磁突入時と内部故障時で異なることに着目
して故障検出を行わせるようにしているものであり、こ
れにより変圧器の内部故障を励磁突入時と区別して高精
度に検出するようにしている。 また、本発明で用いる伝達アドミッタンスは、変圧器
の漏れインダクタンスより求めることが可能であり、そ
してこの漏れインダクタンスは変圧器設計段階で巻線構
造より精度良く計算できると共に、製作後の試験結果の
測定値から容易に求めることができる。 尚、本発明の説明においては、インダクタンスの逆数
を表現する適当な言葉がないので、ここではこれをアド
ミッタンスと称している。 〔実施例〕 本発明による変圧器保護方式に用いる計算機の基本構
成を保護対象変圧器主回路も含めて第1図に、演算フロ
ー例を第2図に示し、以下説明を加える。 第1図において、11,12は保護対象変圧器の1次及び
2次巻線、21,22は1次側及び2次側電流変成器、31,32
は1次側及び2次側電圧変成器、41,42は1次側及び2
次側しや断器、5乃至9より構成されるのは計算機で、
5は入力部、6は演算処理部、7は記憶部、8は出力
部、9は係数設定器である。入力部5は主回路の電圧,
電流をレベル変換する補助電圧,電流変成器Aux.PCT、
保護には必要でない高調波分を除去するフイルタFIL、
入力の瞬時値をサンプリングし、ホールドするサンプル
ホールダSH、SHの出力を順次切り換えてA/Dに入力する
マルチプレクサMPX、アナログ/デイジタル変換器A/Dで
構成される。演算処理部6は、制御及び演算を実行する
主処理ユニツトCPU,データバス及びアドレスバスで構成
される。記憶部7は、プログラムを記憶するROM(Read
Only Memory)、データを記憶するRAM(Random Access
Memory)で構成される。又、係数の記憶,変更などのた
めに書き換え可能な不揮発性の、例えば半導体不揮発性
メモリEAROMがあつても良い。出力部8は演算及び判定
結果のデイジタル出力部で、しや断器トリツプ許容信号
はこの部分より出力される。係数設定器9は演算式の係
数,リレー整定値等を設定,表示するためのものであ
が、演算,判定結果を表示,出力するようにしても良
い。 次に第2図の演算フロー例を説明する前に、第3図及
び第4図により変圧器のアドミツタンス方程式及びアド
ミツタンス演算法の概略を説明する。 第3図は2巻線変圧器の略線図で、1は保護対象2巻
線変圧器、10は鉄心、11,12は1次及び2次巻線を示
す。図中i1,i2は1次及び2次電流、v1,v2は1次及び2
次電圧である。 第3図の2巻線変圧器を4端子回路網と考えると、定
常運転時,励磁突入時,内部故障時などの状態にかかわ
らず、電圧,電流は一般に(3)式のアドミツタンス方
程式で関係づけられる。 (3)式のアドミツタンス行列は、対称行列で、独立
なアドミツタンス要素はy12(=y21),y11′,y22′の
3個である。アドミツタンス行列の非対角要素y12,y21
は伝達アドミツタンス、対角要素y11′,y22′は駆動点
アドミツタンスと呼ばれている。 なお本発明では伝達アドミツタンスを既知値、駆動点
アドミツタンスを未知値として取り扱うので、両者を区
別し易いよう、駆動点アドミツタンスのみダツシユ記号
を付すことにした。以下未知値として取り扱うアドミツ
タンスのみ同様にダツシユ記号を付すことにする。 (3)式より駆動点アドミツタンスは(4)式で得ら
れる。 又、第4図は(3)式を満足する等価回路である。第
4図におけるy10′,y20′は1次,2次各端子と並列アド
ミツタンスで、一般に(5)式によつて伝達アドミツタ
ンス及び駆動点アドミツタンスと関係づけられる。 第4図の等価回路が(3)式のアドミツタンス方程式
を満足するのは、電気回路理論の基本事項に属するので
証明は省略する。 第4図の電圧,電流は任意の基準巻数に換算されてい
るものとして、各アドミツタンスの性質について次に説
明する。 健全状態においては、第4図の回路は一般に用いられ
ている2巻線変圧器のπ形等価回路であり、衆知のよう
に、−y12は漏れインダクタンスに、y10′,y20′は励
磁インダクタンスに対応している。即ち、第3図の2巻
線変圧器の基準巻数に換算した1次−2次間漏れインダ
クタンスをL12とすると、 y12=−1/L12 ……(6) である。漏れインダクタンスL12は、空心として1次及
び2次巻線寸法から計算で求めた値と、鉄心がある状態
での測定値とが良く一致することが経験的に知られてい
る。即ち、L12は鉄心の励磁状態にかかわらずほぼ一定
値であるから、伝達アドミツタンスy12も又、鉄心の励
磁状態、即ち定常運転時か励磁突入時かにかかわらずほ
ぼ一定値である。 並列アドミツタンスy10′,y20′は鉄心の励磁状態に
よつて変化する。定常運転時の励磁電流は一般に負荷電
流に比べて無視できるため、 y10′≒y20′≒0 (7) である。励磁突入時は空心状態と等価であるから、並列
アドミツタンスy10′,y20′は空心の自己,相互インダ
クタンスで定まる一定値となる。 一方、巻線短絡などの内部故障時のアドミツタンス
は、一般に健全時(定常運転時,励磁突入時)とは異な
る状況となる。例えば、通常の等価回路の考え方による
と、第3図の1次巻線11の全短絡故障の場合は、 となり、2次巻線12の全短絡故障の場合は、 となる。両方の場合において伝達アドミツタンスy12は
健全時と変らない。 以上を整理すると、 (a)伝達アドミツタンスy12は、定常運転時,励磁突
入時,内部故障時でほとんど変らないので、既知の漏れ
インダクタンスL12より正確な値を求め、予めメモリに
記憶しておくことができる。 (b)並列アドミツタンスy10′,y20′は励磁突入時と
内部故障時で異なるので、これを両者の判別に利用でき
る。 これらの各アドミツタンス値については、3巻線変圧
器を対象にして後で更に詳しく説明する。 次にアドミツタンス演算式の離散化の方法について説
明する。電圧,電流は時間tの関数であることを表わす
ために、以下添字(t)を付すことにする。(4)式は
時間積分の項を含むので、積分開始時間をt=t0として
変形すると(10)式が得られる。 i1(t0),i2(t0)は積分定数に相当する。積分の方
法としては、サンプリングの時間間隔をΔtとして、例
えば台形則を適用すると、 となる。ただし、積分の初期値は φ1(t0)=φ2(t0)=0 (12) である。 又、電流増分として とおくと、駆動点アドミツタンスは(14)式で得られ
る。 これを(5)式に代入することによつて並列アドミツタ
ンスy10′,y20′が得られる。 以上でアドミツタンス方程式、及びアドミツタンス演
算法の概略の説明を終り、次に第2図の演算フロー例
を、図中に示したステツプ毎に詳細に説明する。 まずステツプS1で時刻tにおける電圧v1(t),v
2(t),電流i1(t),i2(t)をサンプリングす
る。電圧,電流は任意の基準巻数に換算されているもの
とする。 ステツプS2で差電流Σi(t)を(15)式より求め
る。 Σi(t)=i1(t)+i2(t) …(15) ステツプS3でΣi(t)の絶対値が所定の検出レベル
εより大かどうかを判定する。εより小であればステツ
プS12へ進む。εより大であれば励磁突入又は内部故障
であり、ステツプS4へ進む。 ステツプS4で差電流Σi(t)の絶対値が検出レベル
εより大となつた1回目のステツプであるかどうかを判
定する。前回のステツプでもεより大であつたら、ステ
ツプS6へと進む。1回目であればステツプS5へ進む。な
お内部故障の場合、Σi(t)の極性が反転する付近
で、例えば前回のステツプにおいてΣi(t)が負極性
でεより大となり、現在のステツプにおいて正極性でε
より大となる場合がある。この場合、Σi(t)の極性
反転を検出して1回目と判定するようにしても良い。 ステツプS5では次のように初期設定を行う。まず、t0
=tとし、i1(t0),i2(t0)を記憶する。次に電圧v1
(t),v2(t)の積分エリアとして、φ1(t0),φ
2(t0)をクリアする。初期設定後、ステツプS12へと
進む。 ステツプS6で(13)式により電流増分A1(t)及びA2
(t)を、ステツプS7で(11)式より電圧積分φ
1(t)及びφ2(t)を求める。 ステツプS8で(14)式より駆動点アドミツタンス
y11′及びy22′を、ステツプS9で(5)式より並列アド
ミツタンスy10′,y20′を求める。 次に、ステツプS10乃至S13における、並列アドミツタ
ンスの判定法について説明する。前記のように、励磁突
入時のy10′,y20′の値はほぼ一定値であるから、予め
その概略値を予測しておき、これより大きい判定値と小
さい判定値を記憶しておく。例えばy10′に関して励磁
突入時の値より大きい判定値としてα1、小さい判定値
としてβ1を記憶しておく。y20′に関して同様に
α2,β2を記憶しておく。判定式を(16)乃至(19)
式に示す。 y10′≦β1 …(16) y10′≧α1 …(17) y20′≦β2 …(18) y20′≧α2 …(19) (16)乃至(19)式の判定式の実行によりステツプS
10にてy10′,y20′を判定し、このうち少くとも1個の
判定式を満足したとき、ステツプS11において健全範囲
外と判定し、ステツプS13において判定フラグをセツト
する。(16)乃至(19)式のいずれの判定式も満足しな
いとき、ステツプS11において健全範囲内と判定し、ス
テツプS12において判定フラグをリセツトする。なお、
健全範囲外を判定するに、(16)乃至(19)式の判定式
が必ずしも全て必要という訳ではない。一部の判定式の
みでも、全ての内部故障を健全範囲外と判定することが
できる。具体的な方法については、3巻線変圧器を対象
にして、後で更に詳しく説明する。 内部故障を誤まりなく判別し、連続したトリツプ許容
信号を出力するため、ステツプS14及びS15において上記
判定フラグの継続性を調べる。これには次に示すような
幾つかの方法がある。 (a)複数回、例えば2回又は3回以上継続して判定フ
ラグがセツトされたら継続性ありと判定する。 (b)一定時間の間、例えば主回路周波数の1サイクル
の間において、判定フラグが複数回セツトされたら、そ
れが断続的であつても継続性ありと判定する。 (c)一たん継続性ありと判定したら、少くとも一定時
間の間、例えば1サイクル間は継続性ありと判定し続け
る。 継続性ありと判定したとき、ステツプS17で故障判定
し、しや断器トリツプ許容信号を出力する。そうでない
とき、ステツプS16で健全判定する。 トリツプ許容信号は単独で、又は他の故障検出要素と
の条件によつてしや断器をトリツプする信号となる。 なお、第2図の演算フローでは並列アドミツタンスy
10′及びy20′の値で判定するようにしたが、駆動点ア
ドミツタンスy11′及びy22′で判定するようにしても同
等の効果が得られる。この場合、y10′,y20′は求める
必要がない。 以上で第2図の演算フロー例の説明を終る。アドミツ
タンスを演算するには、(14)式で示したように除算を
必要とするが、このような除算を行なわなくても同様の
演算,判定を行えることを次に示す。簡単のため、以下
電圧,電流の添字(t)を省略する。 (4)式を(5)式に代入,整理すると、(20)及び
(21)式が得られる。 y10′=〔i1−{−y12∫v1dt+y12∫v2dt}〕/∫v1d
t …(20) y20′=〔i2−{−y21∫v1dt+y21∫v2dt}〕/∫v2d
t …(21) ここで、第4図の等価回路から並列アドミツタンスy
10′の電流を求めると、(22)式となる。 i10=i1−i12 =i1−{−y12∫(v1−v2)dt} =i1−{−y12∫v1dt+y12∫v2dt} …(22) 同様にして並列アドミツタンス電流i20を求めると、 i20=i2−{y12∫v1dt−y12∫v2dt} …(23) 即ち、(20)式右辺の分子は(22)式と等しい。(2
1)式右辺の分子は(23)式と等しい。従つて、 y10′=i10/∫v1dt (24) y20′=i20/∫v2dt (25) である。次にアドミツタンス判定式の例として、(16)
式の判定式をとり上げることにし、(24)式を(16)式
に代入,変形すると(26)式が得られる。 C1/∫v1dt≦0 …(26) ただし、 C1=i10−β1∫v1dt =i1−{(β1−y12)∫v1dt+y12∫v2dt} …(27) である。従つて(16)式と全く同じ判定を(28)式によ
つて行うことができる。 他の判定式についても全く同様である。以上の演算,
判定法は変数同志の乗除算を含まないため、演算式の簡
単化,演算時間の短縮化に大きな効果をもたらす。 次に、アドミツタンス方程式として、微分形式の方程
式を用いる場合を示す。(3)式は積分形式であるが、
これを微分形式に書き直すと(29)式が得られる。 (3)式のアドミツタンス行列と(29)式のアドミツ
タンス行列は全く同一であり、前記した2巻線変圧器の
アドミツタンス値の性質、及び後述する3巻線変圧器に
おけるアドミツタンス値の性質は両者に等しく適用され
得る。従つて微分形式のアドミツタンス方程式を用いて
も、基本的には積分形式のアドミツタンス方程式を用い
たのと同様の効果を得ることができる。その演算判定法
は、前記した積分形式の場合から容易に推察できるので
説明を省略する。 なお、一般の電力用変圧器では巻線抵抗は小さいので
これを無視したが、比較的小容量の変圧器で、巻線抵抗
が無視できない場合は、例えば1次電圧v1の代りにv1−
r1i1を用いれば良い。r1は1次巻線抵抗である。 以上2巻線変圧器を対象として本発明の実施例を説明
したが、本発明が任意構造の変圧器に適用でき、極めて
高い故障判別性能を有することを、以下3巻線変圧器を
例にとつて詳細に説明する。 第5図は3巻線変圧器の略線図で、1は保護対象3巻
線変圧器、10は鉄心、11,12,13は1次,2次及び3次巻線
を示す。図中i1,i2,i3は1次,2次及び3次電流、v1,v2,
v3は1次,2次及び3次電圧を示す。2巻線変圧器の場合
と同様に、アドミツタンス方程式は(30)式で表わせ
る。 (30)式のアドミツタンス行列は対称行列で、非対角
要素y12(=y21),y13(=y31),y23(=y32)は伝達
アドミツタンス、対角要素y11′,y22′,y33′は駆動
点アドミツタンスである。 (30)式から駆動点アドミツタンスを求めると、 y11′={i1-(y12∫v2dt+y13∫v3dt)}/∫v1dt y22′={i2-(y21∫v1dt+y23∫v3dt)}/∫v2dt y33′={i3-(y31∫v1dt+y32∫v2dt)}/∫v3dt …(31) となる。 又、(30)式の等価回路は第6図で表わせ、その並列
アドミツタンスは である。電圧,電流は全て任意の基準巻数に換算されて
いるものとし、まず定常時の伝達アドミツタンスを漏れ
インダクタンスから求める方法を示す。 基準巻数に換算された1次−2次,1次−3次,2次−3
次間の漏れインダクタンスをL12,L13,L23とする。定常
時の3巻線変圧器は一般に第7図のスター形、又は第8
図のデルタ形の等価回路で表わせる。衆知のようにスタ
ー形等価回路の各要素値は、 であり、これをスター/デルタ変換すると、デルタ形等
価回路の各要素値は ただしLSS=LS1LS2+LS1LS3+LS2LS3である。第6図
と第8図を比較すると、定常時はy10′=y20′=y30′
=0であるから、伝達アドミツタンスは、 y12=−1/LD12 y13=−1/LD13 …(35) y23=−1/LD23 によつて得られる。従つて2巻線変圧器の場合と同様
に、漏れインダクタンスより予め伝達アドミツタンスを
求め、記憶しておくことができる。 一般のN巻線変圧器の場合、アドミツタンス行列はN
×Nの対称行列となり、独立な伝達アドミツタンスは各
巻線の組合せの数と等しいN(N−1)/2個あるが、こ
れと同数の独立な漏れインダクタンスより予め求めるこ
とができる。伝達アドミツタンスの一般的な求め方には
幾つかの方法があるが、本発明では特にその方法を限定
しないので、説明を省略する。 なお、予め漏れインダクタンスより伝達アドミツタン
スを求めることの繁雑さを避けるため、前処理として、
第1図における係数設定器9で設定された漏れインダク
タンスより、伝達アドミツタンスを求めるプログラムを
内蔵しておくことは効果がある。このようにすること
で、係数設定誤まりを防ぐ効果も得られる。 次に第9図に示す構造の3巻線変圧器について、各ア
ドミツタンス値の計算例を示す。第9図において、10は
鉄心、11,12,13は1次,2次及び3次巻線である。まず計
算方法について説明すると、励磁突入時に空心状態と等
価であり、第6図の等価回路における各アドミツタンス
要素値は、空心状態での各巻線の自己,相互インダクタ
ンス行列の逆行列より求めることができる。内部故障時
の計算方法としては、第10図に示す3次巻線の部分短絡
故障の場合を例として説明する。第10図において第9図
と同一部分は同一符号を付している。このような部分短
絡故障の場合、4巻線変圧器となるので、その等価回路
は一般的には第6図と異なり、第11図のようになる。第
11図における6個の要素値は、4巻線変圧器としての6
個の漏れインダクタンスから求めることができる。一方
第10図における短絡部分の巻線は端子に対応する。第
11図における端子の電位は零であるので、トポロジー
的に第11図と第6図は同一であることが分かる。即ち内
部故障時における第6図の等価回路の各アドミツタンス
要素値は、4巻線変圧器としての漏れインダクタンス値
から求めることができる。 以上の計算方法により求めた各種状態での伝達アドミ
ツタンス値を第12図に示す。第12図において(a),
(b),(c),(d)はそれぞれ励磁突入,1次巻線短
絡故障,2次巻線短絡故障,3次巻線短絡故障の場合を示
す。第12図(a)の横軸θは電源電圧投入位相,BRは投
入時の残留磁束密度である。第12図(b)乃至(d)の
横軸fは各巻線の全ターン数に対する短絡ターン数の割
合である。励磁突入の場合、θ,BRの値にかかわらず各
アドミツタンスは一定値である。内部故障の場合も、故
障巻線,短絡ターン数にかかわりなく、ほぼ一定値であ
る。即ち伝達アドミツタンスy12,y13,y23は定常運転
時,励磁突入時,内部故障時などの状態変化にかかわら
ずほぼ一定値であり、予め漏れインダクタンスよりその
値を求め、既知係数として記憶しておくことが妥当であ
ることが、これにより明らかである。 次に上記計算方法により求めた各種状態での並列アド
ミツタンス値を第13図に示す。第13図において(a),
(b),(c),(d)は第12図と同様にそれぞれ、励
磁突入、1次巻線短絡故障,2次巻線短絡故障,3次巻線短
絡故障の場合を示し横軸は第12図と同じである。励磁突
入の場合は、電源電圧投入位相θ、残留磁束密度BRの値
にかかわらず、各アドミツタンス値はほぼ一定値であ
る。内部故障の場合は、これとは全く異なる様相となる
ので、2巻線変圧器を対象として説明したのと同様の判
定法により、励磁突入の場合と極めて明確に判別できる
ことが明らかである。 第9図及び第10図で示した変圧器構造と、第13図の並
列アドミツタンス特性の関係について若干の考察を加え
る。 まず励磁突入の場合、y30′の値が最も大きい。これ
は変圧器の励磁に関して、鉄心脚に近い最内層の3次巻
線電圧が最も大きい影響を与えるためである。次に影響
を与えるのは鉄心継鉄に近い最外層の1次巻線電圧で、
y10′がこれに対応する。y20′がほぼ零となつているの
は、3次巻線と1次巻線にはさまれた中間層の2次巻線
電圧が、変圧器の励磁に与える影響が少ないことを示し
ている。 次に内部故障の場合をみると、故障巻線に関する並列
アドミツタンスのみ、例えば1次巻線故障の場合y10′
のみが、短絡ターン数の増加に従つて大となるが、他の
並列アドミツタンスy20′,y30′はほぼ零、もしくは負
の値となつている。このことは、並列アドミツタンスに
よる故障判別法が、励磁突入と内部故障を明確に判別で
きるのみではなく、故障部位の推定も可能であるという
極めて優れた特徴を有していることを示唆している。 この方法について、次に示す。まず2巻線変圧器の場
合の判定式(16)乃至(19)式に対応する、3巻線変圧
器の場合の判定式を(36)乃至(41)式に示す。 y10′≦β1 …(36) y10′≧α1 …(37) y20′≦β2 …(38) y20′≧α2 …(39) y30′≦β3 …(40) y30′≧α3 …(41) (36)乃至(41)式のうち少くとも1個の判定式を満
足したとき、健全範囲外と判定する。ただし、これらの
判定式の全ては必ずしも必要ではない。例えば、第13図
に示した並列アドミツタンス特性の場合、(36)式と
(40)式の2個の判定式により、次のように全ての故障
を健全範囲外と判定することができる。 y10′≦β1(例えば0 p.u) …(42) y30′≦β3(例えば2 p.u) …(43) 即ち、第13図において、(43)式によつて、3次巻線
の比較的短絡ターン数の多い故障を除いて、他の全ての
故障を判定できる。又、(42)式によつて、2次巻線及
び3次巻線故障の全てを判定できる。 次に故障部位の推定法の例を示す。まず、y10′,
y20′,y30′に関して零より大きい判定値γ1,γ2,
γ3を予め記憶しておく、これらの判定値は同じ値でも
良い。次に、上記方法で健全範囲外と判定されたとき、
更に(44)乃至(46)式が成立するかどうかの判定を行
う。 y10′≧γ1 …(44) y20′≧γ2 …(45) y30′≧γ3 …(46) 第13図から明らかに、(44)式を満足したとき1次巻
線故障,(45)式を満足したとき2次巻線故障,(46)
式を満足したとき3次巻線故障と推定できる。又、
y10′,y20′,y30′の値によつて短絡ターン数をも推
定できる。 以上の種々の判定結果及びy10′,y20′,y30′の値
等を第1図で示した係数設定器9、又は他の出力装置へ
出力表示すること、又は記憶部7の所定の記憶エリアに
記憶しておき、外部へ出力できるようにしておくこと
は、万一の内部故障発生後の迅速且つ適切な後処理のた
めに極めて大きな効果をもたらすものである。 演算,判定法の例として、電源投入時励磁突入電流が
発生し、定常状態に達した後、1次巻線の短絡故障が発
生した場合のタイムチヤートを第14図に示す。第14図に
おいて、(a)は差電流Σi、(b)はΣiの絶対値が
所定の検出レベルを越えたかどうかの判定出力、(c)
及び(d)は(32)式から求めた並列アドミツタンスy
10′とy30′、(e)はy10′とy30′が(42)式又は(4
3)式を満足するかどうかの判定出力、(f)は(e)
の出力に継続性があるかどうかを判定する故障判定出力
である。 励磁突入時のy10′とy30′の値は(42)式及び(43)
式の両方を満足しないので、(e)及び(f)の出力は
されない。 内部故障時のy10′は(42)式を満足しないが、y30′
が(43)式を満足するので、(e)が出力され、(f)
で継続した故障判定出力が得られる。又、y10′の値は
(44)式を満足しているので、1次巻線故障であると推
定される。又、第14図のタイムチヤートで明らかなよう
に、極めて高速度で故障判別できることが、本発明の効
果の一つである。 以上のアドミツタンス演算においては(31)式に示し
たように、変数同志の除算が必要であるが、2巻線変圧
器の場合と同様に、このような除算をしなくても同じ判
定ができる。例えば(42)式に相当する判定式は(47)
式となる。 ただし、 C1=i10−β1∫v1dt =i1−〔{β1−(y12+y13)}∫v1dt +y12∫v2dt+y13∫v3dt …(48) である。他の判定式についても同様に、変数同志の乗除
算を行うことなく、同一の判定を行うことができる。 以上3巻線変圧器について演算,判定法を詳述した
が、4巻線以上の変圧器についても全く同様のため、説
明を省略する。 なお、変圧器の構造によつては内部故障時の伝達アド
ミツタンス値が定常時と異なる場合がある。このような
場合でも、前記したように、空心として巻線寸法から計
算した漏れインダクタンスが、実際の漏れインダクタン
ス測定値と良く一致することが経験的に知られており、
励磁突入時の伝達アドミツタンスは定常時とほとんど変
らない。従つて、変圧器の構造にかかわらず、本発明の
方法によつて、励磁突入時の駆動点アドミツタンス、及
び並列アドミツタンスをほぼ正しく求めることができ
る。 内部故障時は伝達アドミツタンスが定常時と異なるこ
とによつて、駆動点アドミツタンス及び並列アドミツタ
ンスの演算値に誤差を生ずるが、第13図で示したように
励磁突入時と内部故障時の並列アドミツタンスには極め
て大きな相違があり、少々の演算誤差を生じても、両者
を十分に判別可能である。 本発明が分離巻線形変圧器のみでなく、単巻変圧器に
も適用できることを第15図で説明する。第15図はその略
線図で、1は保護対象の単巻変圧器、10は鉄心、11,12,
13は直列巻線、分路巻線、3次巻線である。第15図の単
巻変圧器は3個の巻線11,12,13を有する3巻線変圧器で
あり、各巻線電圧としてv1′,v2,v3、及び各巻線電流
としてi,i4,i3を用いれば良い。又、1次巻線(11+1
2),2次巻線12,3次巻線13で構成される3巻線変圧器と
考えれば、電圧としてv1,v2,v3、及び電流としてi1,i2,
i3を用いれば良い。 次に本発明が3相結線された変圧器にも適用できるこ
とを示す。第16図は 結線された変圧器を示す略線図で、11a,11b,11cは各々
a,b,c相の1次巻線,12a,12b,12cは各々a,b,c相の2次巻
線である。電圧,電流を図中のように定め、3相各相の
2巻線変圧器としてアドミツタンス方程式を(49)乃至
(51)式を示す。 Δ巻線内の相電流i2a,i2b,i2cを検出できない場合、
(49)乃至(51)式ではアドミツタンスを演算すること
ができない。そこで、(49)式と(51)式の差をとる
と、(52)式が得られる。 (52)式はa−c相に関するアドミツタンス方程式
で、この式を用いることで本発明を適用できる。b−a
相及びc−b相についても同様である。 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば変圧器の内部故
障を励磁突入時と区別して高精度に検出することが可能
になるという効果がある。 また、本発明によれば色々な種類の変圧器に対して
も、内部故障が発生した巻線を特定することが可能にな
るという効果がある。
の自己及び相互インダクタンスから成るインダクタンス
行列、 〔y〕は〔l〕の逆行列で得られるアドミツタンス行
列 である。 (b)励磁突入電流は変圧器鉄心が磁気飽和して生ずる
ものであるから、判定式の性質より励磁突入の場合
(1)式又は(2)式がほぼ成立する。内部故障の場合
巻線が健全でなく、且つ一般に変圧器鉄心は磁気飽和し
ないので(1)式又は(2)式は成立しない。 (c)そこで、(1)式又は(2)式の左辺の演算を行
い、演算値が非常となつたときのみ内部故障と判定す
る。 以上のデイジタル方式によると、波形にかかわらず内
部故障電流と励磁突入電流を判別でき、信頼性の高い変
圧器保護方式とすることができる。 しかし、演算式の係数であるインダクタンス行列
〔l〕又はアドミツタンス行列〔y〕は変圧器巻線寸法
から予め計算によつて求めておかねばならないが、これ
には次のような問題点がある。 (a)実際の値に対して計算値に若干の誤差が生ずるの
は避けられないので、励磁突入の場合でも(1)式又は
(2)式の左辺は完全に零とはならず、高感度故障検出
を阻害する要因となる。 (b)種々の巻線構造の変圧器に対して精度良く係数を
求めるだけの計算式は繁雑で、係数設定誤まりの要因と
なる。 (c)変圧器の巻線寸法等が不明の場合、予め係数を設
定しておくことができない。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、
演算式の係数として用いる保護対象変圧器固有の物理定
数として既知値を用いることで高精度に内部故障を検出
できる変圧器故障検出方法およびその装置を提供するこ
とにある。 〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、本発明では複数の巻線を
備えた変圧器の内部故障の検出を行う変圧器故障検出方
法において、変圧器の複数巻線の各端子電流および各端
子電圧を検出すること、変圧器の複数巻線の各端子電流
と各端子電圧を関連づける変圧器の伝達アドミッタンス
と、変圧器の複数巻線の各端子電流と、各端子電圧とか
ら変圧器の駆動点アドミッタンスを導出すること、検出
された各端子電流の差電流の絶対値が所定レベルよりも
大きいときに、駆動点アドミッタンスの大きさから変圧
器の内部故障を検出するようにしたものである。 また、本発明は複数の巻線を備えた変圧器の内部故障
の検出を行う変圧器故障検出装置において、変圧器の複
数巻線の各端子電流を検出する電流検出手段と、変圧器
の複数巻線の各端子電圧を検出する電圧検出手段と、変
圧器の複数巻線の各端子電流と各端子電圧を関連づける
変圧器の伝達アドミッタンスを記憶する伝達アドミッタ
ンス記憶手段と、この伝達アドミッタンス記憶手段に記
憶された伝達アドミッタンスと、電流検出手段による複
数巻線の各端子電流と、電圧検出手段による複数巻線の
各端子電圧とから、変圧器の駆動点アドミッタンスを算
出する駆動点アドミッタンス算出手段と、電流検出手段
による各端子電流の差電流の絶対値が所定値レベルを超
え、かつ駆動点アドミッタンス算出手段による駆動点ア
ドミッタンスが判定値レベルを超えた場合に変圧器の内
部故障と判別する変圧器内部故障判別手段とを備えるよ
うにしたものである。 〔作用〕 本発明においては変圧器を多端子回路網と考えてアド
ミッタンス方程式で表現したとき、励磁突入時の伝達ア
ドミッタンスが健全時とほとんど変わらないこと、駆動
点アドミッタンス又はこれらより導出される並列アドミ
ッタンスが励磁突入時と内部故障時で異なることに着目
して故障検出を行わせるようにしているものであり、こ
れにより変圧器の内部故障を励磁突入時と区別して高精
度に検出するようにしている。 また、本発明で用いる伝達アドミッタンスは、変圧器
の漏れインダクタンスより求めることが可能であり、そ
してこの漏れインダクタンスは変圧器設計段階で巻線構
造より精度良く計算できると共に、製作後の試験結果の
測定値から容易に求めることができる。 尚、本発明の説明においては、インダクタンスの逆数
を表現する適当な言葉がないので、ここではこれをアド
ミッタンスと称している。 〔実施例〕 本発明による変圧器保護方式に用いる計算機の基本構
成を保護対象変圧器主回路も含めて第1図に、演算フロ
ー例を第2図に示し、以下説明を加える。 第1図において、11,12は保護対象変圧器の1次及び
2次巻線、21,22は1次側及び2次側電流変成器、31,32
は1次側及び2次側電圧変成器、41,42は1次側及び2
次側しや断器、5乃至9より構成されるのは計算機で、
5は入力部、6は演算処理部、7は記憶部、8は出力
部、9は係数設定器である。入力部5は主回路の電圧,
電流をレベル変換する補助電圧,電流変成器Aux.PCT、
保護には必要でない高調波分を除去するフイルタFIL、
入力の瞬時値をサンプリングし、ホールドするサンプル
ホールダSH、SHの出力を順次切り換えてA/Dに入力する
マルチプレクサMPX、アナログ/デイジタル変換器A/Dで
構成される。演算処理部6は、制御及び演算を実行する
主処理ユニツトCPU,データバス及びアドレスバスで構成
される。記憶部7は、プログラムを記憶するROM(Read
Only Memory)、データを記憶するRAM(Random Access
Memory)で構成される。又、係数の記憶,変更などのた
めに書き換え可能な不揮発性の、例えば半導体不揮発性
メモリEAROMがあつても良い。出力部8は演算及び判定
結果のデイジタル出力部で、しや断器トリツプ許容信号
はこの部分より出力される。係数設定器9は演算式の係
数,リレー整定値等を設定,表示するためのものであ
が、演算,判定結果を表示,出力するようにしても良
い。 次に第2図の演算フロー例を説明する前に、第3図及
び第4図により変圧器のアドミツタンス方程式及びアド
ミツタンス演算法の概略を説明する。 第3図は2巻線変圧器の略線図で、1は保護対象2巻
線変圧器、10は鉄心、11,12は1次及び2次巻線を示
す。図中i1,i2は1次及び2次電流、v1,v2は1次及び2
次電圧である。 第3図の2巻線変圧器を4端子回路網と考えると、定
常運転時,励磁突入時,内部故障時などの状態にかかわ
らず、電圧,電流は一般に(3)式のアドミツタンス方
程式で関係づけられる。 (3)式のアドミツタンス行列は、対称行列で、独立
なアドミツタンス要素はy12(=y21),y11′,y22′の
3個である。アドミツタンス行列の非対角要素y12,y21
は伝達アドミツタンス、対角要素y11′,y22′は駆動点
アドミツタンスと呼ばれている。 なお本発明では伝達アドミツタンスを既知値、駆動点
アドミツタンスを未知値として取り扱うので、両者を区
別し易いよう、駆動点アドミツタンスのみダツシユ記号
を付すことにした。以下未知値として取り扱うアドミツ
タンスのみ同様にダツシユ記号を付すことにする。 (3)式より駆動点アドミツタンスは(4)式で得ら
れる。 又、第4図は(3)式を満足する等価回路である。第
4図におけるy10′,y20′は1次,2次各端子と並列アド
ミツタンスで、一般に(5)式によつて伝達アドミツタ
ンス及び駆動点アドミツタンスと関係づけられる。 第4図の等価回路が(3)式のアドミツタンス方程式
を満足するのは、電気回路理論の基本事項に属するので
証明は省略する。 第4図の電圧,電流は任意の基準巻数に換算されてい
るものとして、各アドミツタンスの性質について次に説
明する。 健全状態においては、第4図の回路は一般に用いられ
ている2巻線変圧器のπ形等価回路であり、衆知のよう
に、−y12は漏れインダクタンスに、y10′,y20′は励
磁インダクタンスに対応している。即ち、第3図の2巻
線変圧器の基準巻数に換算した1次−2次間漏れインダ
クタンスをL12とすると、 y12=−1/L12 ……(6) である。漏れインダクタンスL12は、空心として1次及
び2次巻線寸法から計算で求めた値と、鉄心がある状態
での測定値とが良く一致することが経験的に知られてい
る。即ち、L12は鉄心の励磁状態にかかわらずほぼ一定
値であるから、伝達アドミツタンスy12も又、鉄心の励
磁状態、即ち定常運転時か励磁突入時かにかかわらずほ
ぼ一定値である。 並列アドミツタンスy10′,y20′は鉄心の励磁状態に
よつて変化する。定常運転時の励磁電流は一般に負荷電
流に比べて無視できるため、 y10′≒y20′≒0 (7) である。励磁突入時は空心状態と等価であるから、並列
アドミツタンスy10′,y20′は空心の自己,相互インダ
クタンスで定まる一定値となる。 一方、巻線短絡などの内部故障時のアドミツタンス
は、一般に健全時(定常運転時,励磁突入時)とは異な
る状況となる。例えば、通常の等価回路の考え方による
と、第3図の1次巻線11の全短絡故障の場合は、 となり、2次巻線12の全短絡故障の場合は、 となる。両方の場合において伝達アドミツタンスy12は
健全時と変らない。 以上を整理すると、 (a)伝達アドミツタンスy12は、定常運転時,励磁突
入時,内部故障時でほとんど変らないので、既知の漏れ
インダクタンスL12より正確な値を求め、予めメモリに
記憶しておくことができる。 (b)並列アドミツタンスy10′,y20′は励磁突入時と
内部故障時で異なるので、これを両者の判別に利用でき
る。 これらの各アドミツタンス値については、3巻線変圧
器を対象にして後で更に詳しく説明する。 次にアドミツタンス演算式の離散化の方法について説
明する。電圧,電流は時間tの関数であることを表わす
ために、以下添字(t)を付すことにする。(4)式は
時間積分の項を含むので、積分開始時間をt=t0として
変形すると(10)式が得られる。 i1(t0),i2(t0)は積分定数に相当する。積分の方
法としては、サンプリングの時間間隔をΔtとして、例
えば台形則を適用すると、 となる。ただし、積分の初期値は φ1(t0)=φ2(t0)=0 (12) である。 又、電流増分として とおくと、駆動点アドミツタンスは(14)式で得られ
る。 これを(5)式に代入することによつて並列アドミツタ
ンスy10′,y20′が得られる。 以上でアドミツタンス方程式、及びアドミツタンス演
算法の概略の説明を終り、次に第2図の演算フロー例
を、図中に示したステツプ毎に詳細に説明する。 まずステツプS1で時刻tにおける電圧v1(t),v
2(t),電流i1(t),i2(t)をサンプリングす
る。電圧,電流は任意の基準巻数に換算されているもの
とする。 ステツプS2で差電流Σi(t)を(15)式より求め
る。 Σi(t)=i1(t)+i2(t) …(15) ステツプS3でΣi(t)の絶対値が所定の検出レベル
εより大かどうかを判定する。εより小であればステツ
プS12へ進む。εより大であれば励磁突入又は内部故障
であり、ステツプS4へ進む。 ステツプS4で差電流Σi(t)の絶対値が検出レベル
εより大となつた1回目のステツプであるかどうかを判
定する。前回のステツプでもεより大であつたら、ステ
ツプS6へと進む。1回目であればステツプS5へ進む。な
お内部故障の場合、Σi(t)の極性が反転する付近
で、例えば前回のステツプにおいてΣi(t)が負極性
でεより大となり、現在のステツプにおいて正極性でε
より大となる場合がある。この場合、Σi(t)の極性
反転を検出して1回目と判定するようにしても良い。 ステツプS5では次のように初期設定を行う。まず、t0
=tとし、i1(t0),i2(t0)を記憶する。次に電圧v1
(t),v2(t)の積分エリアとして、φ1(t0),φ
2(t0)をクリアする。初期設定後、ステツプS12へと
進む。 ステツプS6で(13)式により電流増分A1(t)及びA2
(t)を、ステツプS7で(11)式より電圧積分φ
1(t)及びφ2(t)を求める。 ステツプS8で(14)式より駆動点アドミツタンス
y11′及びy22′を、ステツプS9で(5)式より並列アド
ミツタンスy10′,y20′を求める。 次に、ステツプS10乃至S13における、並列アドミツタ
ンスの判定法について説明する。前記のように、励磁突
入時のy10′,y20′の値はほぼ一定値であるから、予め
その概略値を予測しておき、これより大きい判定値と小
さい判定値を記憶しておく。例えばy10′に関して励磁
突入時の値より大きい判定値としてα1、小さい判定値
としてβ1を記憶しておく。y20′に関して同様に
α2,β2を記憶しておく。判定式を(16)乃至(19)
式に示す。 y10′≦β1 …(16) y10′≧α1 …(17) y20′≦β2 …(18) y20′≧α2 …(19) (16)乃至(19)式の判定式の実行によりステツプS
10にてy10′,y20′を判定し、このうち少くとも1個の
判定式を満足したとき、ステツプS11において健全範囲
外と判定し、ステツプS13において判定フラグをセツト
する。(16)乃至(19)式のいずれの判定式も満足しな
いとき、ステツプS11において健全範囲内と判定し、ス
テツプS12において判定フラグをリセツトする。なお、
健全範囲外を判定するに、(16)乃至(19)式の判定式
が必ずしも全て必要という訳ではない。一部の判定式の
みでも、全ての内部故障を健全範囲外と判定することが
できる。具体的な方法については、3巻線変圧器を対象
にして、後で更に詳しく説明する。 内部故障を誤まりなく判別し、連続したトリツプ許容
信号を出力するため、ステツプS14及びS15において上記
判定フラグの継続性を調べる。これには次に示すような
幾つかの方法がある。 (a)複数回、例えば2回又は3回以上継続して判定フ
ラグがセツトされたら継続性ありと判定する。 (b)一定時間の間、例えば主回路周波数の1サイクル
の間において、判定フラグが複数回セツトされたら、そ
れが断続的であつても継続性ありと判定する。 (c)一たん継続性ありと判定したら、少くとも一定時
間の間、例えば1サイクル間は継続性ありと判定し続け
る。 継続性ありと判定したとき、ステツプS17で故障判定
し、しや断器トリツプ許容信号を出力する。そうでない
とき、ステツプS16で健全判定する。 トリツプ許容信号は単独で、又は他の故障検出要素と
の条件によつてしや断器をトリツプする信号となる。 なお、第2図の演算フローでは並列アドミツタンスy
10′及びy20′の値で判定するようにしたが、駆動点ア
ドミツタンスy11′及びy22′で判定するようにしても同
等の効果が得られる。この場合、y10′,y20′は求める
必要がない。 以上で第2図の演算フロー例の説明を終る。アドミツ
タンスを演算するには、(14)式で示したように除算を
必要とするが、このような除算を行なわなくても同様の
演算,判定を行えることを次に示す。簡単のため、以下
電圧,電流の添字(t)を省略する。 (4)式を(5)式に代入,整理すると、(20)及び
(21)式が得られる。 y10′=〔i1−{−y12∫v1dt+y12∫v2dt}〕/∫v1d
t …(20) y20′=〔i2−{−y21∫v1dt+y21∫v2dt}〕/∫v2d
t …(21) ここで、第4図の等価回路から並列アドミツタンスy
10′の電流を求めると、(22)式となる。 i10=i1−i12 =i1−{−y12∫(v1−v2)dt} =i1−{−y12∫v1dt+y12∫v2dt} …(22) 同様にして並列アドミツタンス電流i20を求めると、 i20=i2−{y12∫v1dt−y12∫v2dt} …(23) 即ち、(20)式右辺の分子は(22)式と等しい。(2
1)式右辺の分子は(23)式と等しい。従つて、 y10′=i10/∫v1dt (24) y20′=i20/∫v2dt (25) である。次にアドミツタンス判定式の例として、(16)
式の判定式をとり上げることにし、(24)式を(16)式
に代入,変形すると(26)式が得られる。 C1/∫v1dt≦0 …(26) ただし、 C1=i10−β1∫v1dt =i1−{(β1−y12)∫v1dt+y12∫v2dt} …(27) である。従つて(16)式と全く同じ判定を(28)式によ
つて行うことができる。 他の判定式についても全く同様である。以上の演算,
判定法は変数同志の乗除算を含まないため、演算式の簡
単化,演算時間の短縮化に大きな効果をもたらす。 次に、アドミツタンス方程式として、微分形式の方程
式を用いる場合を示す。(3)式は積分形式であるが、
これを微分形式に書き直すと(29)式が得られる。 (3)式のアドミツタンス行列と(29)式のアドミツ
タンス行列は全く同一であり、前記した2巻線変圧器の
アドミツタンス値の性質、及び後述する3巻線変圧器に
おけるアドミツタンス値の性質は両者に等しく適用され
得る。従つて微分形式のアドミツタンス方程式を用いて
も、基本的には積分形式のアドミツタンス方程式を用い
たのと同様の効果を得ることができる。その演算判定法
は、前記した積分形式の場合から容易に推察できるので
説明を省略する。 なお、一般の電力用変圧器では巻線抵抗は小さいので
これを無視したが、比較的小容量の変圧器で、巻線抵抗
が無視できない場合は、例えば1次電圧v1の代りにv1−
r1i1を用いれば良い。r1は1次巻線抵抗である。 以上2巻線変圧器を対象として本発明の実施例を説明
したが、本発明が任意構造の変圧器に適用でき、極めて
高い故障判別性能を有することを、以下3巻線変圧器を
例にとつて詳細に説明する。 第5図は3巻線変圧器の略線図で、1は保護対象3巻
線変圧器、10は鉄心、11,12,13は1次,2次及び3次巻線
を示す。図中i1,i2,i3は1次,2次及び3次電流、v1,v2,
v3は1次,2次及び3次電圧を示す。2巻線変圧器の場合
と同様に、アドミツタンス方程式は(30)式で表わせ
る。 (30)式のアドミツタンス行列は対称行列で、非対角
要素y12(=y21),y13(=y31),y23(=y32)は伝達
アドミツタンス、対角要素y11′,y22′,y33′は駆動
点アドミツタンスである。 (30)式から駆動点アドミツタンスを求めると、 y11′={i1-(y12∫v2dt+y13∫v3dt)}/∫v1dt y22′={i2-(y21∫v1dt+y23∫v3dt)}/∫v2dt y33′={i3-(y31∫v1dt+y32∫v2dt)}/∫v3dt …(31) となる。 又、(30)式の等価回路は第6図で表わせ、その並列
アドミツタンスは である。電圧,電流は全て任意の基準巻数に換算されて
いるものとし、まず定常時の伝達アドミツタンスを漏れ
インダクタンスから求める方法を示す。 基準巻数に換算された1次−2次,1次−3次,2次−3
次間の漏れインダクタンスをL12,L13,L23とする。定常
時の3巻線変圧器は一般に第7図のスター形、又は第8
図のデルタ形の等価回路で表わせる。衆知のようにスタ
ー形等価回路の各要素値は、 であり、これをスター/デルタ変換すると、デルタ形等
価回路の各要素値は ただしLSS=LS1LS2+LS1LS3+LS2LS3である。第6図
と第8図を比較すると、定常時はy10′=y20′=y30′
=0であるから、伝達アドミツタンスは、 y12=−1/LD12 y13=−1/LD13 …(35) y23=−1/LD23 によつて得られる。従つて2巻線変圧器の場合と同様
に、漏れインダクタンスより予め伝達アドミツタンスを
求め、記憶しておくことができる。 一般のN巻線変圧器の場合、アドミツタンス行列はN
×Nの対称行列となり、独立な伝達アドミツタンスは各
巻線の組合せの数と等しいN(N−1)/2個あるが、こ
れと同数の独立な漏れインダクタンスより予め求めるこ
とができる。伝達アドミツタンスの一般的な求め方には
幾つかの方法があるが、本発明では特にその方法を限定
しないので、説明を省略する。 なお、予め漏れインダクタンスより伝達アドミツタン
スを求めることの繁雑さを避けるため、前処理として、
第1図における係数設定器9で設定された漏れインダク
タンスより、伝達アドミツタンスを求めるプログラムを
内蔵しておくことは効果がある。このようにすること
で、係数設定誤まりを防ぐ効果も得られる。 次に第9図に示す構造の3巻線変圧器について、各ア
ドミツタンス値の計算例を示す。第9図において、10は
鉄心、11,12,13は1次,2次及び3次巻線である。まず計
算方法について説明すると、励磁突入時に空心状態と等
価であり、第6図の等価回路における各アドミツタンス
要素値は、空心状態での各巻線の自己,相互インダクタ
ンス行列の逆行列より求めることができる。内部故障時
の計算方法としては、第10図に示す3次巻線の部分短絡
故障の場合を例として説明する。第10図において第9図
と同一部分は同一符号を付している。このような部分短
絡故障の場合、4巻線変圧器となるので、その等価回路
は一般的には第6図と異なり、第11図のようになる。第
11図における6個の要素値は、4巻線変圧器としての6
個の漏れインダクタンスから求めることができる。一方
第10図における短絡部分の巻線は端子に対応する。第
11図における端子の電位は零であるので、トポロジー
的に第11図と第6図は同一であることが分かる。即ち内
部故障時における第6図の等価回路の各アドミツタンス
要素値は、4巻線変圧器としての漏れインダクタンス値
から求めることができる。 以上の計算方法により求めた各種状態での伝達アドミ
ツタンス値を第12図に示す。第12図において(a),
(b),(c),(d)はそれぞれ励磁突入,1次巻線短
絡故障,2次巻線短絡故障,3次巻線短絡故障の場合を示
す。第12図(a)の横軸θは電源電圧投入位相,BRは投
入時の残留磁束密度である。第12図(b)乃至(d)の
横軸fは各巻線の全ターン数に対する短絡ターン数の割
合である。励磁突入の場合、θ,BRの値にかかわらず各
アドミツタンスは一定値である。内部故障の場合も、故
障巻線,短絡ターン数にかかわりなく、ほぼ一定値であ
る。即ち伝達アドミツタンスy12,y13,y23は定常運転
時,励磁突入時,内部故障時などの状態変化にかかわら
ずほぼ一定値であり、予め漏れインダクタンスよりその
値を求め、既知係数として記憶しておくことが妥当であ
ることが、これにより明らかである。 次に上記計算方法により求めた各種状態での並列アド
ミツタンス値を第13図に示す。第13図において(a),
(b),(c),(d)は第12図と同様にそれぞれ、励
磁突入、1次巻線短絡故障,2次巻線短絡故障,3次巻線短
絡故障の場合を示し横軸は第12図と同じである。励磁突
入の場合は、電源電圧投入位相θ、残留磁束密度BRの値
にかかわらず、各アドミツタンス値はほぼ一定値であ
る。内部故障の場合は、これとは全く異なる様相となる
ので、2巻線変圧器を対象として説明したのと同様の判
定法により、励磁突入の場合と極めて明確に判別できる
ことが明らかである。 第9図及び第10図で示した変圧器構造と、第13図の並
列アドミツタンス特性の関係について若干の考察を加え
る。 まず励磁突入の場合、y30′の値が最も大きい。これ
は変圧器の励磁に関して、鉄心脚に近い最内層の3次巻
線電圧が最も大きい影響を与えるためである。次に影響
を与えるのは鉄心継鉄に近い最外層の1次巻線電圧で、
y10′がこれに対応する。y20′がほぼ零となつているの
は、3次巻線と1次巻線にはさまれた中間層の2次巻線
電圧が、変圧器の励磁に与える影響が少ないことを示し
ている。 次に内部故障の場合をみると、故障巻線に関する並列
アドミツタンスのみ、例えば1次巻線故障の場合y10′
のみが、短絡ターン数の増加に従つて大となるが、他の
並列アドミツタンスy20′,y30′はほぼ零、もしくは負
の値となつている。このことは、並列アドミツタンスに
よる故障判別法が、励磁突入と内部故障を明確に判別で
きるのみではなく、故障部位の推定も可能であるという
極めて優れた特徴を有していることを示唆している。 この方法について、次に示す。まず2巻線変圧器の場
合の判定式(16)乃至(19)式に対応する、3巻線変圧
器の場合の判定式を(36)乃至(41)式に示す。 y10′≦β1 …(36) y10′≧α1 …(37) y20′≦β2 …(38) y20′≧α2 …(39) y30′≦β3 …(40) y30′≧α3 …(41) (36)乃至(41)式のうち少くとも1個の判定式を満
足したとき、健全範囲外と判定する。ただし、これらの
判定式の全ては必ずしも必要ではない。例えば、第13図
に示した並列アドミツタンス特性の場合、(36)式と
(40)式の2個の判定式により、次のように全ての故障
を健全範囲外と判定することができる。 y10′≦β1(例えば0 p.u) …(42) y30′≦β3(例えば2 p.u) …(43) 即ち、第13図において、(43)式によつて、3次巻線
の比較的短絡ターン数の多い故障を除いて、他の全ての
故障を判定できる。又、(42)式によつて、2次巻線及
び3次巻線故障の全てを判定できる。 次に故障部位の推定法の例を示す。まず、y10′,
y20′,y30′に関して零より大きい判定値γ1,γ2,
γ3を予め記憶しておく、これらの判定値は同じ値でも
良い。次に、上記方法で健全範囲外と判定されたとき、
更に(44)乃至(46)式が成立するかどうかの判定を行
う。 y10′≧γ1 …(44) y20′≧γ2 …(45) y30′≧γ3 …(46) 第13図から明らかに、(44)式を満足したとき1次巻
線故障,(45)式を満足したとき2次巻線故障,(46)
式を満足したとき3次巻線故障と推定できる。又、
y10′,y20′,y30′の値によつて短絡ターン数をも推
定できる。 以上の種々の判定結果及びy10′,y20′,y30′の値
等を第1図で示した係数設定器9、又は他の出力装置へ
出力表示すること、又は記憶部7の所定の記憶エリアに
記憶しておき、外部へ出力できるようにしておくこと
は、万一の内部故障発生後の迅速且つ適切な後処理のた
めに極めて大きな効果をもたらすものである。 演算,判定法の例として、電源投入時励磁突入電流が
発生し、定常状態に達した後、1次巻線の短絡故障が発
生した場合のタイムチヤートを第14図に示す。第14図に
おいて、(a)は差電流Σi、(b)はΣiの絶対値が
所定の検出レベルを越えたかどうかの判定出力、(c)
及び(d)は(32)式から求めた並列アドミツタンスy
10′とy30′、(e)はy10′とy30′が(42)式又は(4
3)式を満足するかどうかの判定出力、(f)は(e)
の出力に継続性があるかどうかを判定する故障判定出力
である。 励磁突入時のy10′とy30′の値は(42)式及び(43)
式の両方を満足しないので、(e)及び(f)の出力は
されない。 内部故障時のy10′は(42)式を満足しないが、y30′
が(43)式を満足するので、(e)が出力され、(f)
で継続した故障判定出力が得られる。又、y10′の値は
(44)式を満足しているので、1次巻線故障であると推
定される。又、第14図のタイムチヤートで明らかなよう
に、極めて高速度で故障判別できることが、本発明の効
果の一つである。 以上のアドミツタンス演算においては(31)式に示し
たように、変数同志の除算が必要であるが、2巻線変圧
器の場合と同様に、このような除算をしなくても同じ判
定ができる。例えば(42)式に相当する判定式は(47)
式となる。 ただし、 C1=i10−β1∫v1dt =i1−〔{β1−(y12+y13)}∫v1dt +y12∫v2dt+y13∫v3dt …(48) である。他の判定式についても同様に、変数同志の乗除
算を行うことなく、同一の判定を行うことができる。 以上3巻線変圧器について演算,判定法を詳述した
が、4巻線以上の変圧器についても全く同様のため、説
明を省略する。 なお、変圧器の構造によつては内部故障時の伝達アド
ミツタンス値が定常時と異なる場合がある。このような
場合でも、前記したように、空心として巻線寸法から計
算した漏れインダクタンスが、実際の漏れインダクタン
ス測定値と良く一致することが経験的に知られており、
励磁突入時の伝達アドミツタンスは定常時とほとんど変
らない。従つて、変圧器の構造にかかわらず、本発明の
方法によつて、励磁突入時の駆動点アドミツタンス、及
び並列アドミツタンスをほぼ正しく求めることができ
る。 内部故障時は伝達アドミツタンスが定常時と異なるこ
とによつて、駆動点アドミツタンス及び並列アドミツタ
ンスの演算値に誤差を生ずるが、第13図で示したように
励磁突入時と内部故障時の並列アドミツタンスには極め
て大きな相違があり、少々の演算誤差を生じても、両者
を十分に判別可能である。 本発明が分離巻線形変圧器のみでなく、単巻変圧器に
も適用できることを第15図で説明する。第15図はその略
線図で、1は保護対象の単巻変圧器、10は鉄心、11,12,
13は直列巻線、分路巻線、3次巻線である。第15図の単
巻変圧器は3個の巻線11,12,13を有する3巻線変圧器で
あり、各巻線電圧としてv1′,v2,v3、及び各巻線電流
としてi,i4,i3を用いれば良い。又、1次巻線(11+1
2),2次巻線12,3次巻線13で構成される3巻線変圧器と
考えれば、電圧としてv1,v2,v3、及び電流としてi1,i2,
i3を用いれば良い。 次に本発明が3相結線された変圧器にも適用できるこ
とを示す。第16図は 結線された変圧器を示す略線図で、11a,11b,11cは各々
a,b,c相の1次巻線,12a,12b,12cは各々a,b,c相の2次巻
線である。電圧,電流を図中のように定め、3相各相の
2巻線変圧器としてアドミツタンス方程式を(49)乃至
(51)式を示す。 Δ巻線内の相電流i2a,i2b,i2cを検出できない場合、
(49)乃至(51)式ではアドミツタンスを演算すること
ができない。そこで、(49)式と(51)式の差をとる
と、(52)式が得られる。 (52)式はa−c相に関するアドミツタンス方程式
で、この式を用いることで本発明を適用できる。b−a
相及びc−b相についても同様である。 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば変圧器の内部故
障を励磁突入時と区別して高精度に検出することが可能
になるという効果がある。 また、本発明によれば色々な種類の変圧器に対して
も、内部故障が発生した巻線を特定することが可能にな
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明に用いる計算機の基本構成図、第2図は
本発明の演算フロー図、第3図は2巻線変圧器の略線
図、第4図はその等価回路、第5図は3巻線変圧器の略
線図、第6図乃至第8図はその等価回路、第9図は3線
線変圧器の巻線配置図、第10図は巻線故障時の第9図と
同一の図、第11図はその等価回路、第12図及び第13図は
3巻線変圧器のアドミツタンス特性図、第14図は本発明
による変圧器保護方式の動作タイムチヤート、第15図は
単巻変圧器の略線図、第16図は 結線変圧器の略線図である。 5……入力部、6……演算処理部、7……記憶部、8…
…出力部、9……係数設定器。
本発明の演算フロー図、第3図は2巻線変圧器の略線
図、第4図はその等価回路、第5図は3巻線変圧器の略
線図、第6図乃至第8図はその等価回路、第9図は3線
線変圧器の巻線配置図、第10図は巻線故障時の第9図と
同一の図、第11図はその等価回路、第12図及び第13図は
3巻線変圧器のアドミツタンス特性図、第14図は本発明
による変圧器保護方式の動作タイムチヤート、第15図は
単巻変圧器の略線図、第16図は 結線変圧器の略線図である。 5……入力部、6……演算処理部、7……記憶部、8…
…出力部、9……係数設定器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 和芳 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内 (72)発明者 稲垣 恵造 日立市久慈町4026番地 株式会社日立製 作所日立研究所内 (72)発明者 工藤 博之 日立市久慈町4026番地 株式会社日立製 作所日立研究所内 (72)発明者 佐野 和汪 日立市国分町1丁目1番1号 株式会社 日立製作所国分工場内 (56)参考文献 特開 昭54−155443(JP,A)
Claims (7)
- 【請求項1】複数の巻線を備えた変圧器の内部故障の検
出を行う変圧器故障検出方法において、前記変圧器の複
数巻線の各端子電流および各端子電圧を検出すること、
前記変圧器の複数巻線の各端子電流と各端子電圧を関連
づける前記変圧器の伝達アドミッタンスと、前記変圧器
の複数巻線の各端子電流と、各端子電圧とから前記変圧
器の駆動点アドミッタンスを導出すること、前記検出さ
れた各端子電流の差電流の絶対値が所定レベルよりも大
きいときに、前記駆動点アドミッタンスの大きさから前
記変圧器の内部故障を検出することを特徴とする変圧器
故障検出方法。 - 【請求項2】特許請求の範囲第1項の変圧器故障検出方
法において、前記変圧器の伝達アドミッタンスと駆動点
アドミッタンスから、前記変圧器の並列アドミッタンス
を導出し、前記検出された各端子電流の差電流の絶対値
が所定レベルよりも大きいときに、前記並列アドミッタ
ンスの大きさから前記変圧器の内部故障を検出すること
を特徴とする変圧器故障検出方法。 - 【請求項3】特許請求の範囲第2項の変圧器故障検出方
法において、前記変圧器の伝達アドミッタンスと駆動点
アドミッタンスから、前記変圧器の並列アドミッタンス
電流を導出し、前記検出された各端子電流の差電流の絶
対値が所定レベルよりも大きいときに、前記並列アドミ
ッタンスと前記各端子電圧とによる積分値の大きさから
前記変圧器の内部故障を検出することを特徴とする変圧
器故障検出方法。 - 【請求項4】特許請求の範囲第2項の変圧器故障検出方
法において、前記変圧器の伝達アドミッタンスと駆動点
アドミッタンスから、前記変圧器の並列アドミッタンス
電流を導出し、前記検出された各端子電流の差電流の絶
対値が所定レベルよりも大きいときに、前記並列アドミ
ッタンスと前記各端子電圧とによる微分値の大きさから
前記変圧器の内部故障を検出することを特徴とする変圧
器故障検出方法。 - 【請求項5】特許請求の範囲第1項乃至第4項におい
て、前記伝達アドミッタンスは、前記変圧器の漏れイン
ダクタンスから求めることを特徴とする変圧器故障検出
方法。 - 【請求項6】複数の巻線を備えた変圧器の内部故障の検
出を行う変圧器故障検出装置において、前記変圧器の複
数巻線の各端子電流を検出する電流検出手段と、前記変
圧器の複数巻線の各端子電圧を検出する電圧検出手段
と、前記変圧器の複数巻線の各端子電流と各端子電圧を
関連づける前記変圧器の伝達アドミッタンスを記憶する
伝達アドミッタンス記憶手段と、該伝達アドミッタンス
記憶手段に記憶された伝達アドミッタンスと、前記電流
検出手段による前記複数巻線の各端子電流と、前記電圧
検出手段による前記複数巻線の各端子電圧とから、前記
変圧器の駆動点アドミッタンスを算出する駆動点アドミ
ッタンス算出手段と、前記電流検出手段による各端子電
流の差電流の絶対値が所定値レベルを超え、かつ前記駆
動点アドミッタンス算出手段による駆動点アドミッタン
スが判定値レベルを超えた場合に前記変圧器の内部故障
と判別する変圧器内部故障判別手段とを備えたことを特
徴とする変圧器故障検出装置。 - 【請求項7】特許請求の範囲第6項の変圧器故障検出装
置において、前記変圧器の伝達アドミッタンスと駆動点
アドミッタンスから、前記変圧器の並列アドミッタンス
を導出する並列アドミッタンス算出手段と、前記電流検
出手段による各端子電流の差電流の絶対値が所定値レベ
ルを超え、かつ前記並列アドミッタンス算出手段による
並列アドミッタンスが判定値レベルを超えた場合に前記
変圧器の内部故障と判別する変圧器内部故障判別手段と
を備えたことを特徴とする変圧器故障検出装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP60226788A JP2510498B2 (ja) | 1985-10-14 | 1985-10-14 | 変圧器故障検出方法及び装置 |
CA000520283A CA1283161C (en) | 1985-10-14 | 1986-10-10 | Transformer protection system |
EP86114157A EP0219790B1 (en) | 1985-10-14 | 1986-10-13 | Transformer protection system |
DE8686114157T DE3680282D1 (de) | 1985-10-14 | 1986-10-13 | Transformator-schutzsystem. |
US06/918,038 US4772978A (en) | 1985-10-14 | 1986-10-14 | Transformer protection system |
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JP60226788A JP2510498B2 (ja) | 1985-10-14 | 1985-10-14 | 変圧器故障検出方法及び装置 |
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US5006769A (en) * | 1989-04-05 | 1991-04-09 | Asea Brown Boveri Ltd. | Arrangement for detecting winding shorts in the rotor winding of electrical machines |
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JPH04355628A (ja) * | 1991-05-31 | 1992-12-09 | Toshiba Corp | 直流送電線路短絡検出装置 |
FR2684248B1 (fr) * | 1991-11-22 | 1997-04-30 | Pioch Sa | Appareil electronique de mesure et de protection du fonctionnement du transformateur a huile. |
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