JPH08265957A - マトリックス演算形系統保護装置 - Google Patents

マトリックス演算形系統保護装置

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JPH08265957A
JPH08265957A JP7104547A JP10454795A JPH08265957A JP H08265957 A JPH08265957 A JP H08265957A JP 7104547 A JP7104547 A JP 7104547A JP 10454795 A JP10454795 A JP 10454795A JP H08265957 A JPH08265957 A JP H08265957A
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current
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JP7104547A
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Koichi Tsuji
浩一 辻
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Abstract

(57)【要約】 【目 的】 この発明は送電線事故時の各線の電圧・電
流の関係をキルヒホッフの第1,第2法則で定式化し,
この非線形連立方程式をコンパクトなマトリックスに変
換し,事故区間,事故地点,事故点抵抗を求めるディジ
タル形系統保護装置に関するものである。 【構 成】 送電線の片端子又は各端子に取り付けられ
た電圧・電流を検出する変成器PT,変流器CTと非検
出端ノードの発電機・負荷の事前値とCB状態を送る情
報伝送装置と,更にそれらの検出データをもとに事故点
と事故点抵抗を演算する演算処理装置から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は,送電線,配電線,変
電所などの電力系統ならびに,需要家構内の電気設備に
事故が発生した場合に事故区間と事故地点と事故点抵抗
を高速に特定し,事故区間を切断すると共に,事故原因
を推定し事故復旧の迅速化と保守の省力化に寄与するた
めの系統保護装置に関する。
【従来の技術】系統保護用として,従来のメカ形リレー
をデイジタル化した装置が実用に供されており,それら
の方式には次のようなものがある。 ア) 電流差動方式 イ) 方向比較方式 ウ) 距離継電方式 エ) 回線選択継電方式 オ) 過電流継電方式 カ) 電流差動母線保護方式 キ) 変圧器用比率差動方式 これらの動作原理はノードの電流和が零となるキルヒホ
ッフの第一法則か,あるいは電圧降下の関係を表わすキ
ルヒホッフの第二法則かのいずれか一方によっている。
適用する保護方式は対象とする電力系統によって様々で
あり,運用・保守も方式に左右されている。更にまた,
保護リレーは事故区間判定を目的としており,事故復旧
操作や保守に必要な事故地点と事故原因の推定は別に設
けたフォルトロケーターに依存している。
【従来の課題】
(1) 保護方式の種類が多く高価である。送電線の保
護リレーの種類が多く,適用する電力系統の電圧階級,
中性点接地方式などによって方式が異なり,大量生産に
よる価格低減効果が少ない。又方式によって運用・保守
も異なり,人間系の対応も複雑となっている。 (2) 保護精度の不足 動作原理から保護上,誤動作誤不動作を許容しなければ
ならない例に次のようなものがある。 イ) 2回線またがり事故 ロ) 多端子送電線 ハ) 重負荷長距離送電線 ニ) 回線選択リレーのCB開放時 ホ) 零相循環電流 ヘ) 距離リレーの進み相オーバーリーチ (3) 保護しゃ断時間 事故地点検出の誤差が保護区間の15%程度は避けられ
ず,直列しゃ断となるケースがあり,瞬時電圧低下継続
時間が長くなる。 (4) 系統事故が発生した場合,事故区間の切断だけ
ではすまず,停電を早期に復旧する操作や保守があとに
続いている。事故地点を特定するために,リレーと同様
なPT,CT情報を利用するフォルトロケーターが別に
設けられており,リレーとロケーターの一体化が求めら
れている。
【課題を解決するための手段】本発明による系統保護装
置は,事故に関係するなるべく多くの情報を活用するこ
とを意図し,遠隔端子の発電機出力,負荷のテレメータ
ー値とCBのSV情報と送電線の電圧・電流データを収
集し,三相の潮流計算から各母線の電圧を求め,PT,
CT非計測端の発電機負荷の事前状態を等価回路で定式
化する。またCBが開放されている回線はCBの極間電
圧を仮想の移相器で表わし,また零相循環電流が発生す
る区間については,循環起電力を三相の未知変数として
設定する。次に各電線の線路定数を使い,事故区間と健
全区間にキルヒホッフの第一,第二法則を適用し,事故
現象を定式化する。この非線形連立方式の演算を高速化
するため,変数を適切に組合せ,マトリックス要素を定
数とし,事故点の位置と事故点電流だけを変数とするコ
ンパクトなマトリックスに変換し,区間毎にこのマトリ
ックスを記憶しておく。事故時は,サンプリングしたP
T,CTの値とこのマトリックスとの演算によって事故
点の相対位置kを求める。この場合,両端計測方式など
冗長性がある場合は複素連立方程式の対角化により,ま
た冗長性が少ない場合は健全線の式と塔脚電流の式を追
加し,ニュートンラウソン法により解を演算している。
演算は区間毎に実行し,事故点kが0〜1.0となる区
間を事故区間と特定する。事故区間,事故点位置が判明
したあと,各線の事故点抵抗をPT,CTのサンプリン
グデータから算出し,事故点抵抗の時間的推移から事故
原因を特定する。
【作 用】
1.事故前の発電機や負荷の状態,更にはCBの開閉状
態を入力し,送電線を厳密に定式化することによって,
従来,問題のあった多端子送電線,重負荷送電線の事故
を確実に検出できる。また回線選択リレーにおいて2回
線が不平衡状態で運用されても,この保護装置は確実に
動作できる。 2.多回線併架送電線で零相循環電流が存在する場合保
護機能が問題となっていたが,零相起電力をマトリック
スの対角化によって消去できるので,この影響を受けな
い保護を実現できる。 3.送電線の線路定数と系統構成をデータベースとして
あらかじめ入力するだけで保護を実現できるので,従来
のような保護の協調をとるための整定業務を必要としな
くなる。 4.PT,CTのサンプリングデータを総合的にチェッ
クする自動監視の機能を実現できるので,保護の信頼性
を向上できる。 5.短絡と地絡の事故を同一の動作原理で検出できるの
で装置を簡素化できる。また主保護と後備保護を同時に
兼ねる装置を実現できる。 6.多端子送電線の事故区間,事故地点,事故原因を保
護装置で特定できるのが,事故復旧の迅速化がはかれ
る。 7.電気回路の基本式に計測点の式を追加するアルゴリ
ズムなので,片端・両端のいずれの計測方式にも,さら
にまた送電線の中性点接地方式に関係なく,普遍的にこ
の保護装置を適用できる。
【実 施 例】
1.系統保護の基本式 系統保護の基礎理論はキルヒホッフの第一,第二法則を
使って事故現象を定式化し,この非線形方程式から事故
点の位置と事故点の抵抗値を求めるものであるが,この
理論が広い分野で一般的に適用できるようマトリックス
の表現と解法にいくつかの工夫をしている。図1は三相
交流2回線送電線の3端子系統構成を示したもので理解
しやすいように,以下この系統構成を対象に記述する。
送電線の接続点から接続点までを区間と呼び,図1は3
区間で構成されているとする。送電線の亘長上におい
て,短絡・地絡などの事故が発生したときに,事故区間
と事故点抵抗を算出する。電気所の母線には発電機,負
荷が接続されるが送電線の分岐点には接続されない。本
例では区間1の母線1側の情報を取り込むようにPT,
CTが配置されている。遠隔地点の発電機出力W,負
荷の値WならびにCBのオンオフ情報がテレメーター
で演算処理装置に入力されている。この系統保護理論で
は複数地点の同時事故は考慮せず(両端計測方式では解
けるが地点多重事故は極めて少ない),いずれかの区間
の一ヶ所とする。分岐点の近くで事故が発生した場合事
故区間を判定できないことがあるので,各区間で事故が
あると仮想し事故点の位置をそれぞれ求めることとす
る。 <1・1> 事故区間におけるキルヒホッフの式 一つの区間を各相毎に表示したのが図2である。1号
線,2号線にまたがる事故が発生するので,相をNo.
1〜No.6により表示する。送電線の送受端子の電
圧,電流に添え字S,Rを付け表示してある。kは事故
点までの距離で全長を1とおいた割合によって示してあ
り,S端子至近端事故のときk=0である。以下の式の
展開でベクトルを小文字の太字(2回線送電線の場合,
6次ベクトル),行列を大文字の太字(6×6次,3×
3次)で表現する。eは零相循環電流を流す等価起電力
で3ケの自由な変数である。併架多回線送電線でない区
間はこの変数を設けない。SはCB開放を表す仮想の移
相器で,iとSはいずれかが零となる排他変数である。
(1)〜r(6)は,各相の事故点抵抗であり,u
は鉄塔の電位で,zは塔脚インピーダンスである。Z
は送電線の相互インピーダンス,yは各線の対地静電容
量である。これらの諸元で事故区間の電圧,電流の関係
を定式化すると(1)〜(8)となる。ここで変数v,
i,h,e,uは複素数で,k,rは実数である。 (1)〜(6)の式を変数を共通にしてマトリックス表
現すると(9)式となる。 換すると(10)式となる。 る。F,Fの部分の式を事故区間の式として後で使
用する。<1・2> 発電機と負荷の模擬両端計測方式
の場合(10)式のi,i,v,vが既知であ
り連立方程式は解けるが,片端計測方式の場合更に式を
増す必要がある。事故前のテレメーター値あるいは推定
値を使い発電機と負荷を等価回路で定式化し,各ノード
にキルヒホッフの第一法則を適用する。(1)事前潮流
計算図1で発電機出力と負荷の値がそれぞれW,W
で与えられ,計測端の電圧,電流が与えられた場合,遠
隔端子のノード電圧は潮流計算で求めることができる。
さらに,この電圧とW,Wから,負荷と発電機の等
価回路を次のように求める。 (2) 発電機の等価回路 発電機を3相対称内部誘起電圧eと直列インピーダン
スzで表すと,発電機端子電圧vと相電流iの関係
は(11)式の通りとなる。 (11)式の内部誘起電圧eとインピーダンスz
次の2点を満足するように設定する。 ・事故前の発電機出力がWであること。 ・発電機の至近端事故での故障電流が発電機の次過渡リ
アクダンスで短絡されたものに等しいこと。 一般に事故前の端子電圧をvGOとすると内部誘起電圧
GO但し,*は共役を表す。発電機の次過渡リアクタンスは
運転状態に関係ないので (13)式の第2項は定数マトリックスに組み込むこと
ができる。第1項は発電機出力によって決まる固定分で
事前に設定する。以下の式の展開ではiGOをiと読
みかえて表現する。 (3)負荷の等価回路 負荷の電圧特性は通常定インピーダンス特性,定電流特
性,定電力特性に分類されている。全国的調査結果によ
ると定電力特性60%,定インピーダンス特性40%の
割合が実測に近いことがわかっており,ここでは定電流
特性を採用することする。事故前の負荷をW,電圧を
LOとすると,負荷電流iは, で表わされる。 <1.3> 各区間マトリックスの統合 図1の3端子送電線を例にしてマトリックスを統合し,
全系の電圧・電流の関係を定式化する。 (イ) キルヒホッフの第2法則 (10)式のFを各区間に適用すると(15)式
のF−2nd部分となる。 (ロ) キルヒホッフの第1法則 ノード1は計測端であるので除き,その他のノードにつ
いてキルヒホッフの第一法則を適用するとF1−st
部分の式となる。右辺のi,iは前節の式から求め
るもので運用状態によって変化する可変部分である。 (ハ) 電圧等式 送電線の分岐点あるいは電気所の母線で送電線は接続さ
れる。一方ここでは送電線の両端電圧は区間毎,個別の
変数として扱っているので区間接続の式が必要になる。
(15)式のFVEQの部分となる。 (ニ) PT,CT計測値の式 図1で母線の電圧はPTで送電線の電流はCTで計測さ
れる。この計測値をもとにして事故様相を特定する。 (15)式のFPCTの部分がそれで,片端,両端計測
それぞれについて,変数と計測値を対応させる。右辺の
定数マトリックスは適用する送電線毎にあらかじめ計算
され,計測値を代入すると列ベクトルbとなる。 <1・4> 統合マトリックスの対角化 (15)式を対角化すると(17)式となる。最終的に
事故点の位置kと事故点抵抗r〜rを求めたいわけ
であるが,状態変数を減らして方程式をコ 化で一度に計算されているが,仮想する事故区間によっ
て対象とする一つが選択される。 <1・5> CB開放時のマトリックス処理 保護区間内のCBが一台でも開放された場合,(17)
式の統合マトリックスを事故前の状態に合致させる必 要がある。(17)式はすべてのCBが投入された系統
構成であり,開放されたCBについて,仮想の移相器S
とiをLP法におけるピボット操作の要領で入れかえ,
iを零とする。Sは左側の対角行列の位置にあって非零
の変数となる。このマトリックス処理によって,CBが
開放されても保護機能は生きることになる。この処理の
あとの (18)式で零相循環起電力は三相分を考慮することと
し,変数はe′からeに切り換え,関係分のマトリッ <1・6> 連立方程式の作成 (18)式となった。(18)式の変数と式の数を図1
の例で示すと次のようになる。 零相起電力が存在しない送電線でも(18)式だけでは
kを求められない。 できる。 SuM:CT設置点から保護区間側を見た場合の対地
充電容量の合計値 要である。 2.連立方程式の解法 (18),(20)式は事故前の系統状態と事故中の計
測端の情報をすべて含んでおり,この連立方程式を解い
て事故点の位置kを求める。 <2・1> 片端計測方式 (1) 零相循環電流がない場合 (18)式のeを零とおくと のようにD,DBKとする。 (24)式と(20)式から (26)式から求め,修正量がある許容値(ex k=
0.001)になったら繰り返し計算を終了する。これ
によってkが求まる。 (2)零相循環電流がある場合 零相循環電流が保護上問題になるのは中性点抵抗接地系
における一線地絡事故である。このとき健全 式を設定することができる。 これによって2回線送電線であれば4線分について式を
増すことができる。 kはあらかじめ判定された健全線No (30)式が得られる。 (29)式でa相が事故相でb,c相が健全相である例
では,#2,3,5,6線の事故電流が零となる。 (31)の左辺を集約し,更に対角化すると(32)式
が得られる。 (32),(28′)式を対角化したあとの右辺定数項
の要素をb〜bとする。 おれば,そのkを事故地点とする。 <2・2> 両端計測方式 式の数が変数に比較し余裕がある場合(18)式からk
を解くことは容易である。 固定マトリックスで事前に設定されており,事故時入力
データとの演算で列ベクトルbが計算される。 3.事故点抵抗の計算 <3・1> 事故区間の特定 図1の例では3区間についてそれぞれ事故点の位置を計
算し,そのkの値が0〜1.0の間にあれば,その区間
の事故だと特定する。事故点が分岐点より若干遠方であ
れば,区間2ならびに3においてkの値が0〜1.0の
間に入るので,この例ではNS=2,3が共に事故区間
と判定される。PT,CTの計測端子が多くなればこの
ようなあいまいさは消えることになる。なお,区間1の
kの値は,1.0をこえた数値となり,事故点が区間の
外であることがわかる。これによってこの保護方式では
後備保護の機能も備えていることがわかる。 <3・2> 事故点抵抗の計算 と,事故点抵抗を計算する方法を説明する。 事故点抵抗RはPT,CT入力値のサンプリングの都度
計算し,その時系列変化から事故原因を推定する。 4.系統保護装置の計算手順は図3の通りで,事前計算
は定周期又は系統状変時に実行し,事故時計算は例えば
30°サンプリング毎に実行する。 5.自動 監視の方法 保護継電装置の誤動作,誤不動作を積極的に発見するの
が自動監視で種々の方式が実用化されているが,ここの
マトリックスリレーでの方法を説明する。(17)式で
零相循環起電力eが零の場合(40)式が成立する。 なければならない。PT,CTのサンプリング値,テレ
メーターから算出した発電機・負荷の等価回路電流の間
で一つでも異常があれば,(41)式は成立しない。従
ってサンプリング毎に計算する(41)式の値から保護
装置の異常を検出することができる。ある具体例で(4
1)式のマトリックスDの要素で微小なものを無視す
ると(41)式は(42)式となり,(41)式の誤差
をΔbとしてその大きなものに注目して 誤差原因を推定することが可能である。この例でΔb
が大きければiCT1がΔbが大きければiCT2
誤差原因の可能性が強いと推定できる。両端計測方式の
ように式の数が多い場合,(41)式を連立方程式とし
て解き誤差原因を直接特定することができる。このよう
に,この方法はPT値とCT値の関係,ベクトルの相間
関係を総合的にチェックできる特徴がある。
【発明の効果】本発明のマトリックス演算形の系統保護
装置はコンピューターの演算処理能力を最大限に発揮す
るもので以下のような効果を期待することができる。 (1) 3端子以上の多端子送電線では,保護区間外の
事故では動作しないようにしているので,第一段の動作
範囲が狭く,事故の除去時間が長くなる傾向がある。ま
た,方向比較,位相比較方式においては内部事故時の電
流流出,事故電流の分流など本質的な問題があった。マ
トリックス演算形系統保護装置では各区間を独立した回
路方程式で定式化し,それらを統合して事故点を特定し
ているため,定式化に無理がなく高感度で多端子送電線
を保護できる。また事故区間と事故地点を同時に特定す
る機能があり,事故復旧にこの情報を活用できる。 (2) 重負荷長距離送電線においては,事故電流と負
荷電流が識別しにくくなり,方式の適用にあたって事故
点インピーダンスの影響や送電線非ねん架の影響まで考
慮する必要があった。マトリックス演算形の系統保護装
置においては,6線の相互インピーダンスで電圧・電流
の振舞を定式化すると共に,事故前の系統潮流状態を把
握しているので,この問題は解消できる。また,一線地
絡事故では地絡検出感度が低下するが,ここではPT,
CTの計測値を同時に使用し,(24)式で地絡電流を
求めるので問題は発生しない。 (3) あらかじめCBのオンオフ情報を取込み,基本
マトリックスを現状系統に合わせることによって従来盲
点とされた2回線非併用時の保護動作を確実に行うこと
が可能である。これによって系統保護の信頼性が向上す
るとともに電力系統運用の制約が削減される。 (4) 多回線併架送電線で併架亘長が長い場合,零相
循環電流が流れ,主として高抵抗接地系での地絡保護が
問題になることが多い。このため区間外事故によって供
給支障が発生したり,併架鉄塔の構造諸元を入力して整
定が複雑になるなどの弊害が発生している。マトリック
ス演算形の保護装置では,各相の零相循環起電力を未知
変数として電気回路を構成し,マトリックスの対角化に
よってこの影響を完全に消去しているので,保護機能上
の問題は一切発生しない。このため従来のような特別の
扱いはいっさい必要としない。 (5) 保護継電器には一般にタップとかタイマーと呼
ばれる動作条件を調整する整定機構を有するものが多
い。系統変化に対応して動作条件の変動が必要になる場
合,系統に配置されたすべての保護継電器に動作協調が
保たれるように整定が行われる。この業務はかなりの熟
練を要し,ケースによってはミス動作につながることが
ある。マトリックス演算形系統保護装置は整定業務は不
要で,送電線の線路定数と系統構成をデータベースとし
てあらかじめ入力しておけばよく,ヒューマンエラーを
抑制するとともに省力化が期待できる。 (6) ディジタル保護リレーにおいては保護の信頼性
を向上するために常時監視機能がついており,その代表
的な手法がPT,CT回路の零相,逆相監視である。こ
れはPT,CTそれぞれの不平衡度を監視するもので,
PTとCTの関係をチェックしているものでない。マト
リックス演算形の保護装置においてはPT,CTのサン
プリングデータとテレメーターから算出した発電機・負
荷電流の間の異常を(41)式から検出するもので,計
測値の相互間を総合的にチェックする機能がある。ま
た,両端計測方式など入力情報に冗長性がある場合,誤
差原因を積極的に特定することも可能である。以上の新
しい機能の出現により,電力系統における保護の高信頼
度化,事故しゃ断の高速化,事故復旧操作の迅速化さら
には保守の省力化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 3端子送電線の場合の本発明による電力系統
の事故様相特定のシステム構成図である。
【図2】 2回線送電線を対象とする事故区間の等価回
路である。
【図3】 保護装置の計算手順フローチャート。
【符号の説明】
PT 計器用変圧器 CT 計器用変流器 CB 線路用しゃ断器 W 発電機出力計量装置 W 変電所負荷計量装置 1L 1号線 2L 2号線 v S側端子の各相電圧 v R側端子の各相電圧 i S側端子の各相電流 i R側端子の各相電流 h 事故点のS側各相電流 h 事故点のR側各相電流 (1)〜r(6) 事故点の各相抵抗 塔脚インピーダンス y 送電線の各相静電容量 k 事故点の位置で区間亘長を1.0とした
相対値 e 零相循環起電力 S しゃ断器の開閉を表す仮想の移相器

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 事故前の系統状態を把握するための送電
    用しゃ断器(CB)情報と,電圧・電流非計測端に設置
    された発電機・負荷の出力テレメーター情報を用いて,
    送電回路をキルヒホッフの第一,二法則で定式化し記憶
    しておき,これと事故現象を計測するための計器用変圧
    器(PT)と計器用変流器(CT)の情報を入力し,演
    算装置により事故区間,事故地点,事故点抵抗を同時に
    標定演算する系統保護装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において,電圧・電流非計測端
    の事故中の振舞を発電機・負荷のテレメーター値と潮流
    計算から等価回路で模擬し,各ノードにキルヒホッフの
    第一法則を適用する。発電機は内部誘起電圧が一定の三
    相電源とリアクタンスの直列回路で模擬し,負荷は事故
    中も電流が変化しない三相定電流特性負荷で模擬する。
    この等価回路はあらかじめ定周期又は潮流状変時に作成
    し記憶しておく系統保護装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において,事故地点は6線(1
    回線送電線の場合は3線)の事故点抵抗と塔脚インピー
    ダンスの直列等価回路で表わし,キルヒホッフの第一,
    第二法則で電圧・電流の関係を定式化する系統保護装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1において送電線は6本の電線が
    線路亘長に比例する相互インピーダンスを持つ電気回路
    とし,対地静電容量はπ形回路で表わす系統保護装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において,送電用しゃ断器の一
    部が開放された不平衡運用状態にも保護機能を発揮する
    ため,CBの情報を取り込み,仮想の移相器S(複素変
    数)でCB状態を定式化する。送電線電流iとこの仮想
    変数Sはどちらかが零となる排他変数とし,(CBが開
    放状態ではiが投入状態ではSが零)この変数を系統構
    成状態に合致させ,あらかじめ基本マトリックスを作成
    しておく系統保護装置。
  6. 【請求項6】 請求項1において,送電線の各区間の回
    路方程式をキルヒホッフの第一法則で結合し,これにP
    T,CT計測値の式を追加し,左辺変数マトリックスと
    右辺定数マトリックスを作成する。変数マトリックの要
    素が定数となるよう新しい変数を定義し,線形なマトリ
    ックス演算によって事故区間と事故点と事故点抵抗を求
    める系統保護装置。
  7. 【請求項7】 を変数とするコンパクトなマトリックスを事故区間毎に
    作成し記憶しておき,事故時はPT,CT計測値と右辺
    定数マトリックスの演算から右辺定数ベクトルを設定
    し,この複素数連立方程式を解いて事故区間と事故点を
    高速に求める系統保護装置。
  8. 【請求項8】 ない場合,ニュートンラフラソン法でkを求める汎用形
    の系統保護装置。
  9. 【請求項9】 請求項1において,高抵抗接地系の併架
    送電線で零相循環電流が事故検出に影響する場合,零相
    誘起電圧を送電線回路に直列にそう入し,三相分の未知
    変数としてキルヒホッフの第一,二法則で送電回路を定
    式化する。このマトリックスを対角化によって,サイズ
    (6行,9列)のコンパクトなマトリックスに縮約す
    る。このマトリックスに健全線の事故点電流零の式,さ
    らに塔脚電流の式を追加し,これらの連立方程式から,
    事故地点を求める系統保護装置。
  10. 【請求項10】 請求項9において,事故前の発電機,
    負荷電流と事故時のPT,CTサンブリング値から各線
    の事故点電流を高感度で演算し,あるしきい値との比較
    から健全線を判別する系統保護装置。
  11. 【請求項11】 請求項1において多端子送電線の母線
    と分岐点の間を区間という概念で区分し,その区間毎に
    事故点の相対位置(k)を計算し,その値が0〜1.0
    の範囲にあるときそれが事故区間である確立が高いと判
    定し,kが1.0をこえる場合に,区間より遠方である
    と判定する遠隔後備保護機能をそなえた系統護装置。
  12. 【請求項12】 請求項1において非計測端の発電機・
    負荷電流と,PT,CTのサンプリングデータを収集
    し,これとあらかじめ計算した全系の縮約マトリックス
    との演算から,計測データを総合的にチェックし,また
    入力情報に冗長性がある場合には連立方程式を解いて誤
    差原因を特定する新しい自動監視の機能をそなえた系統
    保護装置。
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