JP2017227465A - 絶縁劣化診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変圧器の絶縁劣化を診断できる絶縁劣化診断装置を提供する。【解決手段】絶縁劣化診断装置は、サージ電流判定部(31a)がサージ電流ありと判定し、かつ、サージ波形成分の波形データのうち、変圧器TRの一次側と二次側の見做し同一相のサージ電流の波形データが互いに逆位相または逆極性のとき、変圧器TRに絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定する第1絶縁劣化判定部(31b)と、第1絶縁劣化判定部(31b)が上記予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、商用周波数成分の波形データのうち、サージ電流判定部(31a)がサージ電流ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、変圧器TRの一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、変圧器TRで漏電となる絶縁劣化または部分短絡となる絶縁劣化が発生したと判定する第2絶縁劣化判定部(31c)を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁劣化診断装置に関し、詳しくは、変電所などに設置された変圧器の絶縁劣化を診断する絶縁劣化診断装置に関する。
変電所などに設置された変圧器の故障を検出する装置には、電流比率継電器などが使われている。この電流比率継電器は、変圧器が一定の電圧比で電圧変換するときに電流値がその逆数の電流比で変換されることを利用し、変圧器内部に地絡電流等が漏れる要因が発生すると、変圧器に流れ込む方向の電流を正として、更にその電流比を加味した電流値の総和(もしくは電流比を加味した変圧器に流れ込む方向の零相電流成分の総和)が零にならなくなることを利用し、変圧器内の対接地間漏れ電流の有無を検出するものである。
しかしながら、上記電流比率継電器は、誤検出を避けるために検出範囲を狭くとってあり、電流値そのものが大きくなると、漏れ電流の有無の判定閾値も比例して大きくなる。また、この電流比率継電器は、商用周波の1サイクル以上継続する漏電事故を検出するものであり、瞬発的に発生する電流サージ波形等による事故予兆現象を検出するものではない。
しかるに事故が起こってしまうと、変圧器の補修や交換には、多大な時間が必要となり、その間停電状態が継続したり、変電所の稼働率が低下したりする。そのため、事故に至る前の事故予兆を検出し、劣化した絶縁オイルの交換など事前に対策を講じることができれば、変圧器の事故を未然に防ぐことも可能である。
最近では、そういった用途に供するため、変圧器等の機器内の絶縁劣化によって生じる放電現象について、その機器の周辺に配置したサージ波形検出用センサ−から得られるサージ波形データを元に、おおよその発生個所を特定したり、絶縁劣化の程度を予測したりすることが行われている。
また、誤検出の元となる不要な外来サージを低減させるためにフィルターを用いたり、線間波を用いたりすることで、外来の磁気誘導等によって生じる同相のノイズによる不要なサージ波形を互いにキャンセルさせることも行われてきた。
特許文献1には、送電線のサージの到達時間差によって、故障箇所を特定する方法が記されている。
また、特許文献1には、事故電圧サージの周波数成分を周波数バンド毎に抽出するサブバンドフィルターを用いて不要なノイズ成分を除去して故障個所を特定する方法が記載されている。
また、特許文献2には、電圧分圧器の二次側回路からコンデンサを経由してサージ電流を得る方法が記載されている。
また、特許文献3には、送電線から入力変換器でパルス波を取り込み、そのパルス波の極性を判定して内部事故か外部事故かを判断する方法が記載されている。
また、特許文献4には、メタリックモ−ド(送電線の電線間モ−ド)の線間波のサージ波形を用いることで、誘導ノイズ等の同相の誤差成分を排除しつつ故障点標定することが記載されている。
ところで、変圧器内部での地絡現象や短絡現象は、巻線数周分の短絡(ターンツーターンショートまたは単にワンターンショートという)では、入出力電流値に相間短絡(レイヤーツーレイヤーショートまたは単にレイヤーショートという)の場合ほどの変化を生じず、また、漏電ではないために電流比率継電器も動作しないことがある。そのような場合、地絡個所や短絡箇所(主に巻線間の部分短絡の場合が多いが)では巻線の抵抗値も小さいので、大電流が流れて発熱し、絶縁部材を急速に劣化させて大事故に進展する可能性が有るので、早急に発見して対処しなければならない。
そのため、変圧器について内部地絡時や部分短絡時に生じる僅かな放電パルスも検出可能とし、かつ、その放電パルスの前後の僅かな電流値の変化も評価でき、電流比率継電器などよりさらに高精度に事故や事故予兆現象を検出できる機能を有する装置が必要となっている。
従来の事故予兆検出装置では、絶縁破壊が起こる瞬間のサージ電流等を捉えて何らかの問題が発生していることを指摘できる機能はあるものの、絶縁破壊によって短絡状態やアーク閃絡状態が継続した場合、その状況を評価できる機能はなく、原因が判らないまま放置され、より大きな事故に繋がっていた。
そこで、本発明の課題は、主に発変電所の変圧器に適用して、変圧器内の絶縁劣化によって生ずる放電現象を外来サージ波形と区別して観測し、放電現象の結果生じる入出力電流値の変化が僅かな場合でも上記変化を高精度に検出し、その原因(内部地絡または巻線間の部分短絡など)を判定することにより、変圧器の絶縁劣化を診断できる絶縁劣化診断装置を提供することにある。
一般に絶縁物の劣化によって生じる放電パルスは、その継続時間が数μsecのものから数msecのものまで様々であるが、事故予兆現象をなるべく早期に捉えようとする場合は、継続時間が最も短い数μsec程度のものを検出できることが必要である。
変圧器内で絶縁破壊の結果起こる現象については、通常の保護リレ−(電流比率継電器など)で充分検出可能なほど影響の大きな現象である場合は問題ないが、本発明の課題は、変圧器内の絶縁劣化現象を高精度に捉え、その原因を推定する装置を提供することにある。
そのため、本発明の絶縁劣化診断装置は、高速度サンプリングで検出可能なサージ波形検出機能の他に、サージ波形の検出前後の商用周波の半サイクルから数サイクル分の低速度サンプリングで商用周波電流値の高精度の評価を行って、変圧器内部のワンターンショート現象の検出を行う。
本発明の絶縁劣化診断装置は、
変圧器の一次側および二次側の三相電流波形を検出する電流波形検出手段と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形のサージ波形成分を高サンプリング周波数でA/D変換する高速A/D変換部と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形の商用周波数成分を低サンプリング周波数でA/D変換する低速A/D変換部と、
上記高速A/D変換部によりA/D変換された上記サージ波形成分の波形データを記憶する第1波形記憶部と、
上記低速A/D変換部によりA/D変換された上記商用周波数成分の波形データを記憶する第2波形記憶部と、
上記サージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流の有無を判定するサージ電流判定部と、
上記サージ電流判定部が上記サージ電流ありと判定し、かつ、上記第1波形記憶部に記憶された上記サージ波形成分の波形データのうち、上記変圧器の一次側と二次側の同一相または見做し同一相の上記サージ電流の波形データが逆位相または逆極性のとき、上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定する第1絶縁劣化判定部と、
上記第1絶縁劣化判定部が、上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、上記変圧器の一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、上記変圧器で漏電となる絶縁劣化または部分短絡となる絶縁劣化が発生したと判定する第2絶縁劣化判定部と
を備えたことを特徴とする。
変圧器の一次側および二次側の三相電流波形を検出する電流波形検出手段と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形のサージ波形成分を高サンプリング周波数でA/D変換する高速A/D変換部と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形の商用周波数成分を低サンプリング周波数でA/D変換する低速A/D変換部と、
上記高速A/D変換部によりA/D変換された上記サージ波形成分の波形データを記憶する第1波形記憶部と、
上記低速A/D変換部によりA/D変換された上記商用周波数成分の波形データを記憶する第2波形記憶部と、
上記サージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流の有無を判定するサージ電流判定部と、
上記サージ電流判定部が上記サージ電流ありと判定し、かつ、上記第1波形記憶部に記憶された上記サージ波形成分の波形データのうち、上記変圧器の一次側と二次側の同一相または見做し同一相の上記サージ電流の波形データが逆位相または逆極性のとき、上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定する第1絶縁劣化判定部と、
上記第1絶縁劣化判定部が、上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、上記変圧器の一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、上記変圧器で漏電となる絶縁劣化または部分短絡となる絶縁劣化が発生したと判定する第2絶縁劣化判定部と
を備えたことを特徴とする。
ここで、変圧器の一次側と二次側が共にY接続または△接続の同一結線方式であった場合は商用周波において対地間電圧波形または相間電圧波形の位相が同じ相または相間を言い、変圧器の一次側と二次側の一方がY接続で他方が△接続である場合は、Y接続側の電流計測用CT(Current Transformer)の接続を△結線方式として変圧器の他方の△接続と商用周波において線間電圧波形の位相が同じになる相間を「見做し同一相」というものとする。
例えば、図3のように変圧器の一次側がY結線で二次側が△結線である場合は、一次側のCT接続を図3のように△接続として一次側のCTの二次側の各相とそれに対応する変圧器の二次側の位相が同じとなる相同士が「見做し同一相」となる。
上記構成によれば、高速A/D変換部によりA/D変換されたサージ波形成分の波形データを第1波形記憶部に記憶すると共に、低速A/D変換部によりA/D変換された商用周波数成分の波形データを第2波形記憶部に記憶する。また、上記サージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流判定部はサージ電流の有無を判定する。そして、サージ電流判定部がサージ電流ありと判定し、かつ、第1波形記憶部に記憶されたサージ波形成分の波形データのうち、変圧器の一次側と二次側の同一相のサージ電流の波形データが逆位相または逆極性のとき、第1絶縁劣化判定部は、変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定する。次に、上記第1絶縁劣化判定部が、変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、第2波形記憶部に記憶された商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、変圧器の一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、第2絶縁劣化判定部は、変圧器で漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)が発生したと判定する。
このようにして、変圧器内部で漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)で生じた放電現象によるサージ電流と共に入出力電流値の僅かな変化を捉えて、そのサージ電流の原因(漏電(内部地絡)または巻線間の部分短絡など)を診断することができる。
なお、変電所などの変圧器には、タップ切り替え機能があり、部分短絡でなくても電圧比が変わる場合が有る。タップ切り替えの場合もサージは発生し、電圧比は変わるので、これらは区別するのが難しい。
そこで、本発明者は、変圧器のタップ切り替えの場合は電圧比が三相ともほぼ同時に変化するが、変圧器内部のワンターンショート等の場合は特定相のみ電圧比が変わることを利用して、両者を区別してワンターンショート等を検出する方法を検討した。
すなわち、一実施形態の絶縁劣化診断装置では、
上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定し、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点の前後の上記変圧器の入出力間の上記電流比が三相とも略同時にかつ略同じ電流比で変化したとき、上記変圧器がタップ切り替えされたと判定するタップ切替判定部を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記タップ切替判定部により上記変圧器が上記タップ切り替えされたと判定したとき、上記漏電となる絶縁劣化または上記部分短絡となる絶縁劣化について判定しないことを特徴とした。
上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定し、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点の前後の上記変圧器の入出力間の上記電流比が三相とも略同時にかつ略同じ電流比で変化したとき、上記変圧器がタップ切り替えされたと判定するタップ切替判定部を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記タップ切替判定部により上記変圧器が上記タップ切り替えされたと判定したとき、上記漏電となる絶縁劣化または上記部分短絡となる絶縁劣化について判定しないことを特徴とした。
上記実施形態によれば、第1絶縁劣化判定部により変圧器に絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定し、かつ、第2波形記憶部に記憶された商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定した時点の前後の変圧器の入出力間の電流比が三相とも略同時にかつ略同じ電流比で変化したとき、タップ切替判定部は、変圧器がタップ切り替えされたと判定する。このとき、第2絶縁劣化判定部では、漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)について判定しない。
例えば、変電所の変圧器には、タップ切り替え機能があり、部分短絡でなくても電圧比が変わるタップ切り替えの場合に、サージ電流が発生して電圧比が変わるので、絶縁劣化によるサージ電流とタップ切り替えによるサージ電流を区別するのは難しい。
上記実施形態では、このような変圧器のタップ切り替えが行われたことをタップ切替判定部により判定したときは、第2絶縁劣化判定部は、漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)について判定しないので、タップ切り替えによる誤判定を防止できる。
また、一実施形態の絶縁劣化診断装置では、
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の零相成分を検出する零相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記零相成分検出手段により検出された上記零相成分が予め設定された閾値を越えたとき、対接地間漏電と判定する。
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の零相成分を検出する零相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記零相成分検出手段により検出された上記零相成分が予め設定された閾値を越えたとき、対接地間漏電と判定する。
上記実施形態によれば、第1絶縁劣化判定部により変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、零相成分検出手段により検出された三相電流波形の零相成分が予め設定された閾値を越えたとき、第2絶縁劣化判定部は対接地間漏電と判定する。これにより、変圧器の巻線と接地との間で漏電が生じていることが容易に分かる。
また、一実施形態の絶縁劣化診断装置では、
上記変圧器の一次側が中性点接地されたY結線であり、
上記零相成分検出手段は、上記変圧器の一次側の中性点接地電流を検出する。
上記変圧器の一次側が中性点接地されたY結線であり、
上記零相成分検出手段は、上記変圧器の一次側の中性点接地電流を検出する。
上記実施形態によれば、零相成分検出手段により検出された変圧器の一次側の中性点接地電流に基づいて、対接地間漏電を確実に判定できる。
また、一実施形態の絶縁劣化診断装置では、
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の逆相成分を検出する逆相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記逆相成分検出手段により検出された上記三相電流波形の逆相成分が予め設定された閾値を越えたとき、上記部分短絡が発生したと判定する。
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の逆相成分を検出する逆相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記逆相成分検出手段により検出された上記三相電流波形の逆相成分が予め設定された閾値を越えたとき、上記部分短絡が発生したと判定する。
上記実施形態によれば、第1絶縁劣化判定部により変圧器に絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、逆相成分検出手段により検出された三相電流波形の逆相成分が予め設定された閾値を越えたとき、第2絶縁劣化判定部は、部分短絡が発生したと判定する。これにより、変圧器内の巻線間で短絡現象が生じていることが容易に分かる。
以上より明らかなように、本発明の絶縁劣化診断装置では、高速サンプリング機能によるサージ波形検出機能と低速サンプリング機能による商用周波波形観測機能とを有しており、サージ波形検出によって何らかの事故予兆現象を検出した場合、それの発生個所が監視対象とする変圧器の内部かそれ以外の部分かをサージ波形の方向から判定した後、低速サンプリング機能によって収集した交流波形の半サイクル分のデータからその電流比を算出し、変圧器内部で部分短絡や地絡が発生しているか否かを判定することができる。
変圧器では、ワンターンショートという現象が有り、隣接巻線間で1巻線分のショートを起こしやすいが、これによる電圧変化は少ないため検出が容易でない。しかし、このようなワンターンショートという現象を放置すると、その部分が過熱して、変圧器火災や爆発事故に進展することがある。
本発明の絶縁劣化診断装置では、高速サンプリング機能によるサージ波形検出機能によって隣接巻線間でのワンターンショート現象を捉え、また低速サンプリング機能による商用周波波形観測機能によって電流実効値の変化を精密に測定することによって、僅かな電流比の変化も捉えるので、変圧器内部の部分短絡現象を確実に検出することが可能になる。
ところで、変電所の変圧器では、タップ切り替えによってもサージが発生して電圧比が変化するが、本発明の絶縁劣化診断装置では、電圧比の変化が三相同時である場合は、タップ切り替えによるものと判断する機能を備えることによって、誤検出を防ぐことができる。
また、変圧器内部で事故予兆として発生する地絡現象および短絡現象は、商用周波の半サイクルで終了することが多い。これは半サイクル内で電圧が零となり、アーク閃絡などが途絶え、電圧が零の間に辛うじて絶縁機能が復活することが多いからである。通常の継電器は、半サイクルの事故や故障では動作しないが、本発明の絶縁劣化診断装置では、商用周波の半サイクルで終了する地絡現象および短絡現象を検出し、かつ、その地絡現象および短絡現象が地絡事故予兆であるか短絡事故予兆であるかを識別することができる。
以下、本発明の絶縁劣化診断装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の実施の一形態の絶縁劣化診断装置10を用いた絶縁劣化診断システムの構成を示している。なお、この絶縁劣化診断システムでは、一例として、受電線または母線より供給された三相電源が、送電線Lを介して変電所内の変圧器TRの一次側に接続され、絶縁劣化診断装置10によって変圧器TRの絶縁劣化を診断する。
この実施の形態の絶縁劣化診断システムは、図1に示すように、変圧器TRの一次側の各相の電流を電圧に変換する電流変換器1と、変圧器TRの二次側の各相の電流を電圧に変換する電流変換器2と、上記電流変換器1,2からの信号を受けて、変圧器TRの絶縁劣化を診断する絶縁劣化診断装置10と、絶縁劣化診断装置10からの判定結果を通信ネットワーク40を介して受けるデータサーバー装置41と、絶縁劣化診断装置10からの判定結果を通信ネットワーク40を介して受けて表示するモニター装置42とを備えている。
上記絶縁劣化診断装置10は、電流変換器1,2により変換された変圧器TRの一次側,二次側の電流を計測用電圧信号に変換する計測用の電流電圧変換器3と、電流電圧変換器3により変換された計測用電圧信号から所定周波数以下の周波数成分をカットするハイパスフィルター11と、ハイパスフィルター11からの信号を高サンプリング周波数(この実施形態では10MHz)でA/D変換する高速A/D変換器12と、高速A/D変換器12によりデジタルデータに変換された波形データを所定サンプル数遅延させる遅延メモリー13と、遅延メモリー13からの波形データを記憶する主メモリー14と、電流電圧変換器3により変換された計測用電圧信号から所定周波数以上の周波数成分をカットするアンチエリアジングフィルター21と、アンチエリアジングフィルター21からの信号を低サンプリング周波数(この実施形態では3.2kHz)でA/D変換する低速A/D変換器22と、低速A/D変換器22によりデジタルデータに変換された波形データを所定サンプル数遅延させる遅延メモリー23と、遅延メモリー23からの波形データを記憶する主メモリー24と、主メモリー14,24に記憶された波形データに基づいて、変圧器TRを診断する診断部31と、診断部31からの判定結果を通信ネットワーク40を介してデータサーバー装置41とモニター装置42に伝送する伝送部32と、診断部31の判定結果を表示する表示部34とを備えている。
上記電流電圧変換器3は、電流波形検出手段の一例である。
高速サンプリング側の遅延メモリー13の遅延時間は、サージ波形の一波程度であればよく、実際には更に余裕を見て数msecの遅延時間になっている。また、低速サンプリング側の遅延メモリー23の遅延時間は、交流波形の1サイクル程度であればよく、実際には更に余裕を見て数百msecの遅延時間になっている。なお、高速サンプリング側の遅延メモリー13と低速サンプリング側の遅延メモリー23の波形データには、先頭に時刻コードデータが付随しているので、時間軸上の整合性は容易に得られる。
上記ハイパスフィルター11と高速A/D変換器12で高速A/D変換部の一例としてのサージ波形入力部101を構成し、遅延メモリー13と主メモリー14で第1波形記憶部の一例としてのサージ波形記録部102を構成している。また、上記アンチエリアジングフィルター21と低速A/D変換器22で高速A/D変換部の一例としての商用周波波形入力部201を構成し、遅延メモリー23と主メモリー24で第2波形記憶部の一例としての商用周波波形記録部202を構成している。
また、上記診断部31は、サージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流の有無を判定するサージ電流判定部31aと、変圧器TRに絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性の有無を判定する第1絶縁劣化判定部31bと、変圧器TRで漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)が発生しているか否かを判定する第2絶縁劣化判定部31cと、変圧器TRのタップ切り替えを判定するタップ切替判定部31dとを有する。なお、変圧器TRにタップ切り替え機能を有しない場合は、タップ切替判定部31dは無くてもよい。
上記絶縁劣化診断システムにおいて、変圧器TRの一次側の各相および二次側の各相の電流を電流変換器1,2により検出し、電流変換器1,2の二次側の電流信号を絶縁劣化診断装置10内の電流電圧変換器3に入力する。そして、電流電圧変換器3で変換された電圧信号を、ハイパスフィルター11を介して高速A/D変換器12に入力すると共に、アンチエリアジングフィルター21を介して低速A/D変換器22に入力する。
このようにして、上記三相電流波形のサージ波形成分を高サンプリング周波数で高速A/D変換器12によりA/D変換すると共に、上記三相電流波形の商用周波数成分を低サンプリング周波数で低速A/D変換器22によりA/D変換する。
なお、高速A/D変換器12のサンプリング周波数は、数MHz〜数十MHzであればよく、低速A/D変換器22のサンプリング周波数は、数kHz〜数十kHzであればよい。
ここで、診断部31のサージ電流判定部31aは、高速A/D変換器12からのサージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流の有無を判定する。例えば、サージ波形成分の波形データが所定サンプリング数分連続して判定値を超えたとき、サージ電流ありと判定する。なお、サージ電流の判定は、これに限らず、サージ波形成分の波形データについて所定サンプリング数の移動平均を演算し、その演算結果に基づいてサージ電流の判定を行ってもよい。
次に、診断部31のサージ電流判定部31aがサージ電流ありと判定すると、高速A/D変換器12により10MHzでサンプリングした波形データをサージ波形記録部102に記録する。このとき、遅延メモリー13により所定時間遅延した波形データが、主メモリー14に一定サンプリング数記録される。すなわち、サージ電流ありと判定した時点前後のサージ波形成分の波形データが主メモリー14に記録される。
また、低速A/D変換器22により3.2kHzでサンプリングした波形データを商用周波波形記録部202で記録する。このとき、遅延メモリー23により所定時間遅延した波形データが、主メモリー24に一定サンプリング数記録される。すなわち、サージ電流ありと判定した時点前後の商用周波数成分の波形データが主メモリー24に記録される。
次に、サージ波形記録部102に記憶されたサージ波形成分の波形データのうち、変圧器TRの一次側と二次側の同一相のサージ電流の波形データが逆位相(または逆極性)のとき、第1絶縁劣化判定部31bは、変圧器TRに絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定する。
次に、上記第1絶縁劣化判定部31bが、変圧器TRに絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、商用周波波形記録部202に記憶された商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、変圧器TRの一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、第2絶縁劣化判定部31cは、変圧器TRで漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)が発生したと判定する。
このようにして、上記絶縁劣化診断装置10は、変圧器TR内部で漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)で生じた放電現象によるサージ電流と共に入出力電流値の僅かな変化を捉えて、そのサージ電流の原因(漏電(内部地絡)または巻線間の部分短絡など)を診断することができる。
<変圧器の巻線の構成>
ところで、変圧器TRの巻線の構成は、図1のような「一次側も二次側も△結線」の場合以外にも「一次側も二次側もY結線」、「一次側Y結線−二次側△結線」などのような場合が有る。
ところで、変圧器TRの巻線の構成は、図1のような「一次側も二次側も△結線」の場合以外にも「一次側も二次側もY結線」、「一次側Y結線−二次側△結線」などのような場合が有る。
一次側,二次側とも同一結線方式ならば各相の電流波形は各々位相が一致する。しかしながら、一次側Y結線−二次側△結線の場合のように、一次側と二次側とで同名称の相でも位相差が生じるので、電流比の測定には工夫が必要である。
例えば、図2に示すように、一次側がY結線、二次側が△結線の場合、一次側と二次側とでは各相の電流波形の位相は30°異なる。これを合わせるためには、一次側の電流変換器1(図1に示す)のCT接続を図3に示すように△結線にして、一次側でも各相の差電流が検出できるようにすれば良い。
図2において、一次側の電流IAを検出する電流変換器CT11と、一次側の電流IBを検出する電流変換器CT12と、一次側の電流ICを検出する電流変換器CT13で電流変換器1(図1に示す)を構成している。図2の「○」印は、電流測定ポイントP11, P12, P13, P0, P21, P22, P23である(図3も同様)。また、IAP,IBP,ICPは一次側の相電流、IAS,IBS,ICSは二次側の線間電流である。例えば、図2の右下側に示すように、二次側の電流Iaは、
Ia=IAS−ICS
で表される。
Ia=IAS−ICS
で表される。
また、図2において、二次側の電流Iaを検出する電流変換器CT21と、二次側の電流Ibを検出する電流変換器CT22と、二次側の電流Icを検出する電流変換器CT23で電流変換器2(図1に示す)を構成している。
このように、変圧器TRの一次二次間の結線方法が異なる場合は、CTの結線方法で調整して観測波形の位相を一致させる。なお、このようなCTの結線方法は、既存の電流比率継電器にも用いられている従来から既存の手法である。
一般には、変電所の取り扱う電圧は高電圧であるため、絶縁材料のコストを削減するため、各相の対地電圧が低くなるように中性点を接地するのが普通である。その場合は、一次側も二次側もY結線となり、各相の位相を合わせる必要は生じない。
図3の結線方式の場合、一次側の零相電流成分は、電流変換器CT11, CT12, CT13の△結線回路内を循環するため、各相の観測波形データ内には表れてこない。そのため、零相電流成分は、変圧器TR一次側の中性点接地回路上の電流変換器CT0から検出する必要が有る。
図3の一次側の電流変換器CT11, CT12, CT13の接続方法では、各相の測定データに零相成分が含まれなくなるので、3相とも同相成分となる波形は観測できなくなる点に注意が必要である。
次に、図4に高速サンプリング波形の例を示し、図5に図4の要部の拡大波形を示している。図5の上側から下側に向かって順に、77kV二次側の電流Ia、77kV二次側の電流Ib、77kV二次側の電流Ic、275kV一次側の電流(Ia−Ic)、275kV一次側の電流(Ib−Ia)、275kV一次側の電流(Ic−Ib)を示している。
この波形はいわゆるC相地絡の例であるが、高速サンプリングデータでは、三相ともほぼ同じ波形データとなっており、変圧器TR内部の漏電やワンターンショート等ではない場合の波形例である。
図4の波形例では、変圧器TRは図3の接続方式である。波形の位相は同極性であれば商用周波においては、二次側のIbと一次側の(Ib−Ia)とが一致するが、図5より、高速サンプリング波形においても同様であることが判る。この波形例では、上記二次側のIbと一次側の(Ib−Ia)とが一致しているので、両者の波形は同極性と判定できる。したがって、図4の波形例では、変圧器TR内部で発生したサージ波形でない。
一方、図6および図7のように逆極性となる場合もある。図7の上側から下側に向かって順に、77kV二次側の電流Ia、77kV二次側の電流Ib、77kV二次側の電流Ic、275kV一次側の電流(Ia−Ic)、275kV一次側の電流(Ib−Ia)、275kV一次側の電流(Ic−Ib)を示している。
ただし、商用周波の場合とは異なり、サージ波形は変圧器TRの一次側と二次側とでは波形の形そのものがかなり変わっていて相似形ではないので、波形の立ち上がりの方向や立ち上がり後の初回のピ−ク点周辺のサンプリング値の比較によって判定する。
図6,図7の波形例では、一次側と二次側の波形の先頭部分の極性が逆になっているので、変圧器TR内部で発生したサージ波形である可能性が大きいことが判る。
そのような場合には、サージ波形が検出された時点前後の低速サンプリング波形から商用周波電流成分の実効値を求め、その比較から変圧器TRの電流比を求める。
その結果、特定の相のみが他の相に比して電流比が異なっている場合は、その相の巻線において、ワンターンショート等が生じていると判定できる。
<ワンターンショート>
ここで、公知の内容であるが、ワンターンショートについて簡単に説明する。
ここで、公知の内容であるが、ワンターンショートについて簡単に説明する。
変圧器は、コアの周囲に一次巻線、二次巻線等を積層して巻いてあり、コアと巻線の間、一次と二次の巻線間の間、巻線の各層の間にはセパレ−タ(絶縁体)があって絶縁されている。
小型の変圧器では、巻線自身にも絶縁用のエナメル等が塗ってあるが、これは耐電圧性能が乏しく絶縁破壊しやすい。大型変圧器でも巻線にはオイルを含浸させた絶縁紙などが巻いてあるが、各層間のセパレ−タ程の耐電圧性能は無い。
同相間では、セパレ−タもなく巻線同士が密接して巻いてあるので、絶縁紙等が劣化してくると、隣接する巻線間でアーク放電を起こしやすくなる。
今、コアにN回巻かれたコイルの1回分が短絡したとすると、これは通常の(N−1)回巻のコイルと1回巻のコイルからなる変圧器と考えられるので、(N−1)回巻のコイルに印加された交流電圧Vin[V]の1/(N−1)が短絡した1回巻のコイル部分に誘起されることになる。一方、1回巻のコイル部分に流れる電流は(N−1)回巻のコイル部分に流れる電流の(N−1)倍になる。
変圧器には、以下の(式1-1), (式1-2)が成り立つ。
交流では、
ただし、
交流では、
ただし、
ところで、変圧器には、必ず漏れ磁束が存在する。変圧器の一次側および二次側の漏れ磁束による漏れインダクタンスをそれぞれLSC1、LSC2、変圧に寄与するインダクタンスをそれぞれLm1、Lm2とすると、一次側および二次側のインダクタンスL1およびL2はそれぞれ、
L1=Lm1+LSC1
および、
L2=Lm2+LSC2
となる。また、相互インダクタンスMは、
である。
L1=Lm1+LSC1
および、
L2=Lm2+LSC2
となる。また、相互インダクタンスMは、
である。
図8はワンターンショートの模擬した変圧器ターンを示す模式図である。図8において、v1は一次側巻線に印加される電圧、v2は二次側巻線の電圧である。
ここで、一次側巻線に印加される電圧v1は、
である。
である。
変圧器の一次側巻線に起こるワンターンショートは、図8に示す変圧器ターンで二次側の巻線を1ターンにして短絡させ、その短絡部分を一次側巻線の間に割り込ませた場合と等価である。
上記の(式1-1),(式1-2)より、二次側短絡を模擬するため、v2=0とおいて、
の二行目の式から、二次側の複素電流実効値は、
で表され、この二次側の複素電流実効値を一行目の式に代入すると、一次側の複素電圧実効値は、
となる。この(式2)で更に漏れ磁束を考慮すると、次の(式3)となる。
の二行目の式から、二次側の複素電流実効値は、
で表され、この二次側の複素電流実効値を一行目の式に代入すると、一次側の複素電圧実効値は、
となる。この(式2)で更に漏れ磁束を考慮すると、次の(式3)となる。
ここで、比透磁率が数千のコアの中を通る磁束に対して、比透磁率1の気中に漏れる磁束は少ないので、
と近似できる。
と近似できる。
上記(式4)の右辺を上記(式3)の右辺に代入すると、
となる。
となる。
一次側の変圧に寄与するインダクタンスLm1と二次側の変圧に寄与するインダクタンスLm2は、巻線数の二乗に比例するので、その比(Lm1/Lm2)は巻線数の二乗比になる。この場合、(N−1)対1なので、
(Lm1/Lm2)=(N−1)2
になる。
(Lm1/Lm2)=(N−1)2
になる。
一方、1回巻の部分の漏れ磁束は(N−1)回巻の部分の漏れ磁束の1/(N−1)であると近似できるので、一次側の漏れインダクタンスLSC1と一次側の漏れインダクタンスLSC2との関係は、
LSC2=LSC1/(N−1)
で表される。この関係を考慮すると、上記(式5)は
となり、ワンターンショートによる一次側回路の短絡電流は、次の(式7)のようになる。
LSC2=LSC1/(N−1)
で表される。この関係を考慮すると、上記(式5)は
となり、ワンターンショートによる一次側回路の短絡電流は、次の(式7)のようになる。
漏れインダクタンスは、変圧に寄与するインダクタンスの数%以下なので、仮に巻線数がN=1000としても、通常時の電流の数十分の一が増加して流れることになる。
また、二次側で短絡している一回巻コイルの部分の電流は、(式7)の(N−1)倍であり、次の(式8)で表される。
一方、電流比率継電器は、変圧器の入力電流と電圧比の逆数となる一次二次間の電流比を考慮した一次二次間の電流差を求め、これが有る閾値を越えた場合に異常を検出するものであるが、数%程度の電流比の変化は変圧器のタップ変更時にも発生するので、それによって停止しても困るので、電流比率継電器では動作領域を狭く採ってある。また、電流値が大きい場合には、図9に示すように、更に動作領域が狭くなっている。
図9は電流比率継電器の動作領域とワンターンショート時の電流増加量との関係を示している。図9の横軸は入出力電流のスカラー和を表し、縦軸は電流比を考慮した入出力電流のベクトル和を表している。
ここで、一次側の巻線数をN1、二次側の巻線数をN2、一次側の複素電流I1、二次側の複素電流I2とすると、入出力電流のスカラー和は、
で表される。また、入出力電流のベクトル和は、
で表される。
で表される。また、入出力電流のベクトル和は、
で表される。
図9に示すように、電流比率継電器では動作領域を狭く採ってあり、電流値が大きい場合には、更に動作領域が狭くなっている。ワンターンショート時の電流増加は、入出力電流のスカラー和に関わらず、電流比率継電器の最小検出誤差許容範囲の上限よりも小さい。
そのため、ワンターンショートを発見するには、本発明の絶縁劣化診断装置のように、より精度の高い検出方法が必要となってくる。
<タップ切替器を有する変圧器>
図10はタップ切替器を有する変圧器の例を示している。なお、図10では、変圧器の一相のみを示している。
図10はタップ切替器を有する変圧器の例を示している。なお、図10では、変圧器の一相のみを示している。
変電所の大型変圧器には、一次側にタップ切替器があり、これを切り替えて二次側の出力電圧を調整する。このタップ位置情報は変電所制御室の制御卓には表示されているが、絶縁劣化診断装置で取り込んでいる低速サンプリングデータによる電流比を観測すれば簡単に得られる値である。
図10の例では、一次側の巻線数をNINX、二次側の巻線数をNOUTとすると、電圧比は、
で表され、その逆数である電流比は、
である。
で表され、その逆数である電流比は、
である。
したがって、一次側の電流に電流比を掛けたものから二次側の電流を差し引けば零になるはずである。一次側も二次側も変圧器に電流が流れ込む方向を正にとれば、上記電流の差(ベクトル和)が零になる。その値をIdとおき、交流理論における複素電流ベクトルで表現すれば、Idは次の(式9)のようになる。
ここで、電流比をCpとおけば、
である。変圧器のタップは当初中央のタップ位置に置かれる。その場合の中央のタップ位置での一次側の巻線数をNIN0、電流比をCpとすると、
である。
である。変圧器のタップは当初中央のタップ位置に置かれる。その場合の中央のタップ位置での一次側の巻線数をNIN0、電流比をCpとすると、
である。
変圧器のタップが切り替わる場合はサージ電流が発生するので、絶縁劣化診断装置10において、そのサージ電流の前後において低速サンプリングされた波形データを取り込み、サージ電流の前後数サイクル分の波形データから入出力電流のベクトル量を求め、この電流比の変化を調べる。電流比が三相とも略同タイミングで同様に変化している場合は、変圧器のタップ切り替えが行われたと判断して電流比Cpの値を更新する。この電流比は3相とも常に同一値であり、複数の変圧器が並列運転されている場合も、そのすべての変圧器において同一の値になるよう制御されている。
一方、ワンターンショートが発生している場合は、一相のみで上記(式9)のIdの値が大きくなる。ワンターンショートは、一度発生すると商用周波の半サイクル相当時間程度継続して終了する場合が多い。これは、交流電圧の零クロス時点でアーク閃絡が途絶えるためである。一方、変圧器のタップ切り替えの場合は三相ほぼ同時であり、また次に切り替わるまで同一状態が継続するので、その判別は容易である。
このように、第1絶縁劣化判定部31bにより変圧器TRに絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定し、かつ、商用周波波形記録部202(第2波形記憶部)に記憶された商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありの前後の変圧器の入出力間の電流比が三相とも略同時にかつ略同じ電流比で変化したとき、タップ切替判定部31dは、変圧器がタップ切り替えされたと判定する。このとき、第2絶縁劣化判定部31cでは、漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)について判定しない。
例えば、変電所のタップ切り替え機能を有する変圧器において、部分短絡でなくても電圧比が変わるタップ切り替えを行った場合に、サージ電流が発生して電圧比が変わるので、これらを区別するのは難しい。
上記実施形態では、このような変圧器のタップ切り替えが行われたことをタップ切替判定部31dにより判定したときは、第2絶縁劣化判定部31cは、漏電となる絶縁劣化(または部分短絡となる絶縁劣化)について判定しないので、タップ切り替えによる誤判定を防止できる。
なお、上記絶縁劣化診断装置10において、変圧器TRの一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の零相成分を検出する零相成分検出手段を備えてもよい。
この場合、零相成分検出手段により検出された三相電流波形の零相成分を、アンチエリアジングフィルター21を介して低速A/D変換器22に入力する。そして、上記三相電流波形の零相成分を低サンプリング周波数で低速A/D変換器22によりA/D変換する。
次に、第2絶縁劣化判定部31cは、第1絶縁劣化判定部31bにより変圧器TRに絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、零相成分検出手段により検出された零相成分が予め設定された閾値を越えたとき、対接地間漏電と判定する。これにより、変圧器TRの巻線と接地との間で漏電が生じていることが容易に分かる。
ここで、上記変圧器TRの一次側が中性点接地されたY結線とすることによって、零相成分検出手段により検出された変圧器TRの一次側の中性点接地電流に基づいて、対接地間漏電を確実に判定できる。
また、上記絶縁劣化診断装置において、変圧器TRの一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の逆相成分を検出する逆相成分検出手段を備えてもよい。
この場合、第1絶縁劣化判定部31bにより変圧器TRに絶縁劣化(または絶縁劣化の予兆現象)が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、逆相成分検出手段により検出された三相電流波形の逆相成分が予め設定された閾値を越えたとき、第2絶縁劣化判定部31cは、部分短絡が発生したと判定する。これにより、変圧器TR内の巻線間で短絡現象が生じていることが容易に分かる。
なお、上記三相電流波形の零相成分と逆相成分は、変圧器の一次側および二次側の三相電流波形を検出する電流波形検出手段の回路構成により零相成分と逆相成分とを分離してもよいし、あるいは、三相電流波形をA/D変換した後の各相間の波形データの瞬時値の加算や差分演算によって、零相成分と逆相成分とを分離してもよい。
上記実施の形態では、変電所内の変圧器TRの絶縁劣化を診断する絶縁劣化診断装置10について説明したが、発電所内の変圧器やその他の変圧器の絶縁劣化を診断してもよい。
本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
1…電流変換器
2…電流変換器
3…電流電圧変換器
10…絶縁劣化診断装置
11…ハイパスフィルター
12…高速A/D変換器
13…遅延メモリー
14…主メモリー
21…アンチエリアジングフィルター
22…低速A/D変換器
23…遅延メモリー
24…主メモリー
31…診断部
31a…サージ電流判定部
31b…第1絶縁劣化判定部
31c…第2絶縁劣化判定部
31d…タップ切替判定部
32…伝送部
34…表示部
40…通信ネットワーク
41…データサーバー装置
42…モニター装置
101…サージ波形入力部
102…サージ波形記録部
201…商用周波波形入力部
202…商用周波波形記録部
2…電流変換器
3…電流電圧変換器
10…絶縁劣化診断装置
11…ハイパスフィルター
12…高速A/D変換器
13…遅延メモリー
14…主メモリー
21…アンチエリアジングフィルター
22…低速A/D変換器
23…遅延メモリー
24…主メモリー
31…診断部
31a…サージ電流判定部
31b…第1絶縁劣化判定部
31c…第2絶縁劣化判定部
31d…タップ切替判定部
32…伝送部
34…表示部
40…通信ネットワーク
41…データサーバー装置
42…モニター装置
101…サージ波形入力部
102…サージ波形記録部
201…商用周波波形入力部
202…商用周波波形記録部
Claims (5)
- 変圧器の一次側および二次側の三相電流波形を検出する電流波形検出手段と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形のサージ波形成分を高サンプリング周波数でA/D変換する高速A/D変換部と、
上記電流波形検出手段により検出された上記三相電流波形の商用周波数成分を低サンプリング周波数でA/D変換する低速A/D変換部と、
上記高速A/D変換部によりA/D変換された上記サージ波形成分の波形データを記憶する第1波形記憶部と、
上記低速A/D変換部によりA/D変換された上記商用周波数成分の波形データを記憶する第2波形記憶部と、
上記サージ波形成分の波形データに基づいて、サージ電流の有無を判定するサージ電流判定部と、
上記サージ電流判定部が上記サージ電流ありと判定し、かつ、上記第1波形記憶部に記憶された上記サージ波形成分の波形データのうち、上記変圧器の一次側と二次側の同一相または見做し同一相の上記サージ電流の波形データが逆位相または逆極性のとき、上記変圧器が絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定する第1絶縁劣化判定部と、
上記第1絶縁劣化判定部が、上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点から少なくとも半サイクルの期間に、上記変圧器の一相または二相で入出力間の電流比が予め設定された範囲内にないとき、上記変圧器で漏電となる絶縁劣化または部分短絡となる絶縁劣化が発生したと判定する第2絶縁劣化判定部と
を備えたことを特徴とする絶縁劣化診断装置。 - 請求項1に記載の絶縁劣化診断装置において、
上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定し、かつ、上記第2波形記憶部に記憶された上記商用周波数成分の波形データにおいて、上記絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定した時点の前後の上記変圧器の入出力間の上記電流比が三相とも略同時にかつ略同じ電流比で変化したとき、上記変圧器がタップ切り替えされたと判定するタップ切替判定部を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記タップ切替判定部により上記変圧器が上記タップ切り替えされたと判定したとき、上記漏電となる絶縁劣化または上記部分短絡となる絶縁劣化について判定しないことを特徴とする絶縁劣化診断装置。 - 請求項1または2に記載の絶縁劣化診断装置において、
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の零相成分を検出する零相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記零相成分検出手段により検出された上記零相成分が予め設定された閾値を越えたとき、対接地間漏電と判定することを特徴とする絶縁劣化診断装置。 - 請求項3に記載の絶縁劣化診断装置において、
上記変圧器の一次側が中性点接地されたY結線であり、
上記零相成分検出手段は、上記変圧器の一次側の中性点接地電流を検出することを特徴とする絶縁劣化診断装置。 - 請求項1から4までのいずれか1つに記載の絶縁劣化診断装置において、
上記変圧器の一次側または二次側の少なくとも一方の三相電流波形の逆相成分を検出する逆相成分検出手段を備え、
上記第2絶縁劣化判定部は、上記第1絶縁劣化判定部により上記変圧器に絶縁劣化または絶縁劣化の予兆現象が発生した可能性ありと判定したとき、かつ、上記逆相成分検出手段により検出された上記三相電流波形の逆相成分が予め設定された閾値を越えたとき、上記部分短絡が発生したと判定することを特徴とする絶縁劣化診断装置。
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