JP2509824B2 - ミネラル吸収促進剤 - Google Patents
ミネラル吸収促進剤Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品中あるいは食品に添
加したカルシュウムその他のミネラルの吸収を促進する
ミネラル吸収促進剤に関する。
加したカルシュウムその他のミネラルの吸収を促進する
ミネラル吸収促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、児童の骨折事故の多発を始めとし
て老齢者の骨粗鬆症まで、カルシュウム不足は社会問題
化しつつある。去る平成2年2月に厚生省がまとめた1
988年度国民栄養調査でもカルシュウムの摂取量は年
々下降傾向が続いているのが認められ、調査した13種
類の栄養素のうち唯一不足しており、カルシウムの摂取
必要量 604mgに対して摂取量が 524mgと大きく不足して
いる。また、鉄に関しては摂取量が足りているように見
えるが、若い女性に貧血が多いとの報告が数多くなされ
ている。更に、鉄の摂取が一番必要な女子学生や成人女
子に鉄の摂取量不足が目立つとの調査報告がなされてい
る(日本栄養食糧学会昭和59年度発表;日本人の無機質
摂取量:京都大学医学部衛生学:木村恵美子ら)、(同
学会発表;成人女子の鉄栄養状態に及ぼす鉄摂取量の影
響:日医大・生化:後藤久美子ら)。このため、アメリ
カの第10回RDAや、日本の機能性食品検討部会にお
いてミネラルは最近脚光を浴びており、それを反映して
市場にもミネラル食品が多種類発売されている。
て老齢者の骨粗鬆症まで、カルシュウム不足は社会問題
化しつつある。去る平成2年2月に厚生省がまとめた1
988年度国民栄養調査でもカルシュウムの摂取量は年
々下降傾向が続いているのが認められ、調査した13種
類の栄養素のうち唯一不足しており、カルシウムの摂取
必要量 604mgに対して摂取量が 524mgと大きく不足して
いる。また、鉄に関しては摂取量が足りているように見
えるが、若い女性に貧血が多いとの報告が数多くなされ
ている。更に、鉄の摂取が一番必要な女子学生や成人女
子に鉄の摂取量不足が目立つとの調査報告がなされてい
る(日本栄養食糧学会昭和59年度発表;日本人の無機質
摂取量:京都大学医学部衛生学:木村恵美子ら)、(同
学会発表;成人女子の鉄栄養状態に及ぼす鉄摂取量の影
響:日医大・生化:後藤久美子ら)。このため、アメリ
カの第10回RDAや、日本の機能性食品検討部会にお
いてミネラルは最近脚光を浴びており、それを反映して
市場にもミネラル食品が多種類発売されている。
【0003】しかし、これらのミネラルは難吸収性であ
ることに問題があった。たとえば、カルシュウムの吸収
率は約30%であり、老齢者では15%位との報告もな
されている。鉄にいたっては通常の状態で約5%、ヘム
鉄では約25%の吸収率である。ある特定のミネラルの
吸収率が低い場合、そのミネラルの補給量を大量にすれ
ば低い吸収率を補うことができると考えられるが、1種
類の成分が多量に存在すると却って他のミネラルの吸収
率を下げてしまい、微量ミネラルの欠乏状態を起こす可
能性があることが指摘されている。さらに大量のミネラ
ルは消化器官に影響を与える。このような観点から、摂
取したカルシュウムを効率良く吸収することが自然で健
康にも望ましいと言える。従って、この目的で食品に添
加して使用できる吸収促進剤があれば極めて有用であ
る。
ることに問題があった。たとえば、カルシュウムの吸収
率は約30%であり、老齢者では15%位との報告もな
されている。鉄にいたっては通常の状態で約5%、ヘム
鉄では約25%の吸収率である。ある特定のミネラルの
吸収率が低い場合、そのミネラルの補給量を大量にすれ
ば低い吸収率を補うことができると考えられるが、1種
類の成分が多量に存在すると却って他のミネラルの吸収
率を下げてしまい、微量ミネラルの欠乏状態を起こす可
能性があることが指摘されている。さらに大量のミネラ
ルは消化器官に影響を与える。このような観点から、摂
取したカルシュウムを効率良く吸収することが自然で健
康にも望ましいと言える。従って、この目的で食品に添
加して使用できる吸収促進剤があれば極めて有用であ
る。
【0004】既存のカルシュウム吸収促進剤としては、
乳蛋白の一部であるカゼインホスホペプチド(CPP)
が開発され、このCPPを含む飲料も開発され市販され
ている。牛乳や乳製品に含まれるカルシュウムの吸収効
率が良いのは、CPPの作用によるらしい事が分かって
いる(日本農化大会昭和55年度シンポジウム;食餌由
来の腸管内マクロペプチドの意義:カゼインホスホペプ
チド、東大農化、内藤博)、(日本農化大会昭和55年
度発表;ラット小腸下部におけるCa吸収におよぼすカゼ
イン食の影響、東大農化、李連淑,野口忠,内藤博)
他。
乳蛋白の一部であるカゼインホスホペプチド(CPP)
が開発され、このCPPを含む飲料も開発され市販され
ている。牛乳や乳製品に含まれるカルシュウムの吸収効
率が良いのは、CPPの作用によるらしい事が分かって
いる(日本農化大会昭和55年度シンポジウム;食餌由
来の腸管内マクロペプチドの意義:カゼインホスホペプ
チド、東大農化、内藤博)、(日本農化大会昭和55年
度発表;ラット小腸下部におけるCa吸収におよぼすカゼ
イン食の影響、東大農化、李連淑,野口忠,内藤博)
他。
【0005】CPPはカゼイン全蛋白中の約22%を占
める蛋白質(β−カゼイン)の末端側の4つのホスホセ
リン(リン酸ラジカルを各1個有する)を含んでいるア
ミノ酸20程度のペプチドである(日本食糧栄養学会昭
和60年度発表;ラット小腸内カゼインホスホペプチド
の同定とCa,Fe 可溶化能の検討、東大農化、佐藤隆一
郎,野口忠,内藤博)。一方、このβ−カゼインの分子
量は2〜3万であり、カゼインから得られるCPPは約
50分の1に過ぎない。従って、カゼインよりCPPを
製造する場合、残りの成分の処分利用が問題となる。ま
た、カゼイン自身動物の乳から分離される蛋白質であ
る。これらの事によりCPPはかなり高価なものになら
ざるを得ない。更に、CPPはペプチドであるため、胃
液や腸液(特に十二指腸液)に含まれる蛋白分解酵素に
より消化されると効果を失う欠点があった。
める蛋白質(β−カゼイン)の末端側の4つのホスホセ
リン(リン酸ラジカルを各1個有する)を含んでいるア
ミノ酸20程度のペプチドである(日本食糧栄養学会昭
和60年度発表;ラット小腸内カゼインホスホペプチド
の同定とCa,Fe 可溶化能の検討、東大農化、佐藤隆一
郎,野口忠,内藤博)。一方、このβ−カゼインの分子
量は2〜3万であり、カゼインから得られるCPPは約
50分の1に過ぎない。従って、カゼインよりCPPを
製造する場合、残りの成分の処分利用が問題となる。ま
た、カゼイン自身動物の乳から分離される蛋白質であ
る。これらの事によりCPPはかなり高価なものになら
ざるを得ない。更に、CPPはペプチドであるため、胃
液や腸液(特に十二指腸液)に含まれる蛋白分解酵素に
より消化されると効果を失う欠点があった。
【0006】そこで、本発明者はCPPに代わる安価で
且つ体内の蛋白分解酵素により消化されずに、しかも効
率良く生産されるカルシュウム吸収促進剤を開発するた
め鋭意研究した。先ず、カルシュウム吸収促進剤の持つ
べき機能として、 摂取されたカルシュウムが胃の酸
で可溶化された後、腸に送られ、pHの変化(中性域)
により不溶化させられるのを防ぐことにより、吸収可能
なカルシュウム濃度を高めることができる。そこで、カ
ルシュウム吸収剤はカルシュウムイオンと結合するラジ
カルを持つこと。 たとえばEDTAは鉄Feとの結合
が強固であるため、吸収低下を招くことが確認されてい
る(前出、日本食糧栄養学会昭和60年度発表;ラット
小腸内カゼインホスホペプチドの同定とCa,Fe 可溶化能
の検討、東大農化、佐藤隆一郎,野口忠,内藤博)。同
様に、カルシュウム吸収促進剤はカルシュウムイオンと
の結合が強すぎると、可溶化されたカルシュウムが吸収
されなくなる恐れがある。そこで、カルシュウムと結合
するラジカルは、適度な親和力であること。が必要であ
る。
且つ体内の蛋白分解酵素により消化されずに、しかも効
率良く生産されるカルシュウム吸収促進剤を開発するた
め鋭意研究した。先ず、カルシュウム吸収促進剤の持つ
べき機能として、 摂取されたカルシュウムが胃の酸
で可溶化された後、腸に送られ、pHの変化(中性域)
により不溶化させられるのを防ぐことにより、吸収可能
なカルシュウム濃度を高めることができる。そこで、カ
ルシュウム吸収剤はカルシュウムイオンと結合するラジ
カルを持つこと。 たとえばEDTAは鉄Feとの結合
が強固であるため、吸収低下を招くことが確認されてい
る(前出、日本食糧栄養学会昭和60年度発表;ラット
小腸内カゼインホスホペプチドの同定とCa,Fe 可溶化能
の検討、東大農化、佐藤隆一郎,野口忠,内藤博)。同
様に、カルシュウム吸収促進剤はカルシュウムイオンと
の結合が強すぎると、可溶化されたカルシュウムが吸収
されなくなる恐れがある。そこで、カルシュウムと結合
するラジカルは、適度な親和力であること。が必要であ
る。
【0007】本発明者はミネラル吸収阻害物質であるフ
ィチン酸はカルシュウムに対する挙動が上述の機能と極
めて類似し、唯一カルシュウム塩が不溶性である点だけ
が異なることに着目し、これを改良すれば一転してミネ
ラル吸収促進物質になることを予想し、研究を進めた。
ィチン酸はカルシュウムに対する挙動が上述の機能と極
めて類似し、唯一カルシュウム塩が不溶性である点だけ
が異なることに着目し、これを改良すれば一転してミネ
ラル吸収促進物質になることを予想し、研究を進めた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】フィチン酸は広く穀類
中に存在し、Zn, Mg, Ca, Fe等と結合し、ミネラルの吸
収阻害を起こす(化学同人発行;生化学辞典)ことが昔
から確認されている。たとえば、亜鉛Znの吸収率も食事
内容次第で大きく変動し、特に、食品の中に含まれてい
るフィチン酸やそして若干は食物繊維によって、亜鉛の
吸収がさまたげられるとの実例の報告がなされている。
発展途上国、特にイラン等で1960年に、初めて「ヒトの
Zn欠乏症」が突き止められた。すなわち「醗酵パン」を
常食している都市部ではトラブルは無かったが、「未醗
酵パン」を常食している田舎部では顕著な成長阻害、性
器の未発達が確認された。本例において、RAD の3〜5
倍(30〜50mg/日)のZnの病理的投与量で治療し得
たと報告しており、このトラブルは激しいZn欠乏症が原
因と考えられている(A.S.Prasad 「Deficiency of Znin
Man and its Toxicity」、Trace Elements in Human H
ealth and Dise-ase(Vol.1).,Academic Press.,1976,IS
BN 0-12-564201-6)。
中に存在し、Zn, Mg, Ca, Fe等と結合し、ミネラルの吸
収阻害を起こす(化学同人発行;生化学辞典)ことが昔
から確認されている。たとえば、亜鉛Znの吸収率も食事
内容次第で大きく変動し、特に、食品の中に含まれてい
るフィチン酸やそして若干は食物繊維によって、亜鉛の
吸収がさまたげられるとの実例の報告がなされている。
発展途上国、特にイラン等で1960年に、初めて「ヒトの
Zn欠乏症」が突き止められた。すなわち「醗酵パン」を
常食している都市部ではトラブルは無かったが、「未醗
酵パン」を常食している田舎部では顕著な成長阻害、性
器の未発達が確認された。本例において、RAD の3〜5
倍(30〜50mg/日)のZnの病理的投与量で治療し得
たと報告しており、このトラブルは激しいZn欠乏症が原
因と考えられている(A.S.Prasad 「Deficiency of Znin
Man and its Toxicity」、Trace Elements in Human H
ealth and Dise-ase(Vol.1).,Academic Press.,1976,IS
BN 0-12-564201-6)。
【0009】また、一般に穀物中に含まれるリンPのう
ちかなり多くの成分はフィチン酸として存在していて、
消化系内で「フィチン酸カルシュウム」を生成して不溶
物となり、不消化のままで糞便排泄されるので、Pだけ
でなくCaの吸収も妨げられることになる。特に、全穀粒
ではフィチン酸態のP塩が多いが、人類の長い歴史の知
恵でパンの酵母醗酵が行われて食されていて、この酵母
中のフィターゼ(Phytase)がこのフィチン酸を分解する
のでCaの吸収阻害の心配はなかった。しかし、未醗酵の
全穀粒パンを食べていた中近東やアジア地域では、Caの
吸収が阻害されて、骨軟化症のトラブルを起こしていた
のである( C.M.Berlyne et al「Osteomatacia due to
Ca Deprivation caused by high phyticacid Concentra
tion ofunleavened bread」,Am.J.Clin.Nutri.26,197
3)。
ちかなり多くの成分はフィチン酸として存在していて、
消化系内で「フィチン酸カルシュウム」を生成して不溶
物となり、不消化のままで糞便排泄されるので、Pだけ
でなくCaの吸収も妨げられることになる。特に、全穀粒
ではフィチン酸態のP塩が多いが、人類の長い歴史の知
恵でパンの酵母醗酵が行われて食されていて、この酵母
中のフィターゼ(Phytase)がこのフィチン酸を分解する
のでCaの吸収阻害の心配はなかった。しかし、未醗酵の
全穀粒パンを食べていた中近東やアジア地域では、Caの
吸収が阻害されて、骨軟化症のトラブルを起こしていた
のである( C.M.Berlyne et al「Osteomatacia due to
Ca Deprivation caused by high phyticacid Concentra
tion ofunleavened bread」,Am.J.Clin.Nutri.26,197
3)。
【0010】以上の実例の報告より、フィチン酸のミネ
ラル吸収阻害はフィチン酸とミネラルとの結合体が不溶
性であることに原因があると考えられる。また、このミ
ネラル吸収阻害の改善はパンの醗酵時のフィターゼによ
るフィチン酸の分解反応で行われていると考えられる。
しかしながら、どの程度フィチン酸が分解されれば良い
かは不明である。そこで、本発明者はその点の解明を行
いカルシュウムを始めとするミネラル吸収促進剤を発明
するに至った。
ラル吸収阻害はフィチン酸とミネラルとの結合体が不溶
性であることに原因があると考えられる。また、このミ
ネラル吸収阻害の改善はパンの醗酵時のフィターゼによ
るフィチン酸の分解反応で行われていると考えられる。
しかしながら、どの程度フィチン酸が分解されれば良い
かは不明である。そこで、本発明者はその点の解明を行
いカルシュウムを始めとするミネラル吸収促進剤を発明
するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るミネラル吸
収促進剤の要旨とするところは、フィチン酸又はその塩
類が有するリン酸ラジカルの数が1以上5以下であるフ
ィチン酸部分分解物又は該金属塩を主成分とすることに
ある。
収促進剤の要旨とするところは、フィチン酸又はその塩
類が有するリン酸ラジカルの数が1以上5以下であるフ
ィチン酸部分分解物又は該金属塩を主成分とすることに
ある。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【作用】本発明に係るミネラル吸収促進剤は、フィチン
酸又はその塩類の分子内に6個あるリン酸ラジカルを少
なくとも1個以上取り除いた5個以下のリン酸ラジカル
を持つフィチン酸部分分解物はカルシュウムの吸収を阻
害しないだけでなく、その吸収を促進することが判明
し、フィチン酸部分分解物又はその金属塩を主成分とす
るミネラル吸収促進剤が得られたのである。得られたミ
ネラル吸収促進剤はカルシュウムを豊富に含む食品、あ
るいはカルシュウムを添加した食品に0.05%以上、望ま
しくは0.2 %以上量を添加すればカルシュウムの吸収促
進の目的が達成される。
酸又はその塩類の分子内に6個あるリン酸ラジカルを少
なくとも1個以上取り除いた5個以下のリン酸ラジカル
を持つフィチン酸部分分解物はカルシュウムの吸収を阻
害しないだけでなく、その吸収を促進することが判明
し、フィチン酸部分分解物又はその金属塩を主成分とす
るミネラル吸収促進剤が得られたのである。得られたミ
ネラル吸収促進剤はカルシュウムを豊富に含む食品、あ
るいはカルシュウムを添加した食品に0.05%以上、望ま
しくは0.2 %以上量を添加すればカルシュウムの吸収促
進の目的が達成される。
【0016】このミネラル吸収促進剤の主成分を成すフ
ィチン酸部分分解物は次のようにして得られる。すなわ
ち、まずミネラル吸収阻害物質であるフィチン酸あるい
はその塩類の水溶液にパン酵母や小麦フィターゼを用い
てそれぞれ適切な反応条件で接触させて分解反応させ、
リン酸ラジカルが遊離させられる。そして、遊離してく
る無機リンを定量し、適度に分解反応が進んだところで
酵素を加熱失活させたり、あるいはアルカリを添加して
pHの変化によって酵素を失活させた後、不溶物を除去
して、フィチン酸部分分解物溶液が得られる。
ィチン酸部分分解物は次のようにして得られる。すなわ
ち、まずミネラル吸収阻害物質であるフィチン酸あるい
はその塩類の水溶液にパン酵母や小麦フィターゼを用い
てそれぞれ適切な反応条件で接触させて分解反応させ、
リン酸ラジカルが遊離させられる。そして、遊離してく
る無機リンを定量し、適度に分解反応が進んだところで
酵素を加熱失活させたり、あるいはアルカリを添加して
pHの変化によって酵素を失活させた後、不溶物を除去
して、フィチン酸部分分解物溶液が得られる。
【0017】また、フィチン酸部分分解物はミネラル吸
収阻害物質であるフィチン酸あるいはその塩類の水溶液
を酸性加熱下で、更に必要に応じて加圧して水溶液が沸
騰しないようにして化学反応させて、リン酸ラジカルが
遊離させられる。この遊離してくる無機リンを定量し、
適度に分解反応が進んだところでアルカリ溶液を入れて
反応を停止させ、次いで不溶物を除去してフィチン酸部
分分解物溶液が得られる。
収阻害物質であるフィチン酸あるいはその塩類の水溶液
を酸性加熱下で、更に必要に応じて加圧して水溶液が沸
騰しないようにして化学反応させて、リン酸ラジカルが
遊離させられる。この遊離してくる無機リンを定量し、
適度に分解反応が進んだところでアルカリ溶液を入れて
反応を停止させ、次いで不溶物を除去してフィチン酸部
分分解物溶液が得られる。
【0018】更に、得られたフィチン酸部分分解物溶液
にカルシュウム水溶液、あるいは他の金属塩が希望され
るなら該当する金属塩水溶液を添加し、不溶物を除去し
て塩として得ることができる。このとき未反応のフィチ
ン酸は除去される。このフィチン酸部分分解物の金属塩
はアルコールの添加により沈殿物として得られ、取り出
して乾燥することにより粉末として得ることができる。
にカルシュウム水溶液、あるいは他の金属塩が希望され
るなら該当する金属塩水溶液を添加し、不溶物を除去し
て塩として得ることができる。このとき未反応のフィチ
ン酸は除去される。このフィチン酸部分分解物の金属塩
はアルコールの添加により沈殿物として得られ、取り出
して乾燥することにより粉末として得ることができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例を詳しく説明する。本
発明のミネラル吸収促進剤の主成分であるフィチン酸部
分分解物の原料となるフィチン酸は穀物の精製過程で取
り除かれる食用に適さないたとえば糠などに多量に存在
しており、公知の手法で抽出して取り出され用いられ
る。また、フィチン酸の塩類はナトリウム塩、カルシュ
ウム塩、マグネシウム塩などが用いられる。
発明のミネラル吸収促進剤の主成分であるフィチン酸部
分分解物の原料となるフィチン酸は穀物の精製過程で取
り除かれる食用に適さないたとえば糠などに多量に存在
しており、公知の手法で抽出して取り出され用いられ
る。また、フィチン酸の塩類はナトリウム塩、カルシュ
ウム塩、マグネシウム塩などが用いられる。
【0020】このフィチン酸あるいはその塩類の水溶液
にフィターゼが加えられて加水分解され、リン酸ラジカ
ルが遊離させられる。フィターゼは市販の小麦フィター
ゼの他、パン酵母に含まれていることからパン酵母その
ものが用いられる。フィターゼによるフィチン酸又はそ
の塩類の加水分解は分子内に6個あるリン酸ラジカルが
全て遊離してイノシトール(イノシット)になる前の、
少なくとも1個のリン酸ラジカルが遊離した1以上5以
下のリン酸ラジカルを有するフィチン酸部分分解物の状
態で分解が停止させられる。特に、カルシュウムなどの
ミネラルと結合するリン酸ラジカルが多数存在する2以
上5以下のリン酸ラジカルを有するフィチン酸部分分解
物が好ましい。フィターゼによる加水分解の停止は酵素
失活によって行われ、酵素失活は加熱、あるいはアルカ
リなどによるpHの変化などにより行われる。
にフィターゼが加えられて加水分解され、リン酸ラジカ
ルが遊離させられる。フィターゼは市販の小麦フィター
ゼの他、パン酵母に含まれていることからパン酵母その
ものが用いられる。フィターゼによるフィチン酸又はそ
の塩類の加水分解は分子内に6個あるリン酸ラジカルが
全て遊離してイノシトール(イノシット)になる前の、
少なくとも1個のリン酸ラジカルが遊離した1以上5以
下のリン酸ラジカルを有するフィチン酸部分分解物の状
態で分解が停止させられる。特に、カルシュウムなどの
ミネラルと結合するリン酸ラジカルが多数存在する2以
上5以下のリン酸ラジカルを有するフィチン酸部分分解
物が好ましい。フィターゼによる加水分解の停止は酵素
失活によって行われ、酵素失活は加熱、あるいはアルカ
リなどによるpHの変化などにより行われる。
【0021】一方、このフィチン酸又はその塩類の加水
分解はフィターゼに代えて、無機酸を加えることによっ
ても行われる。たとえば塩酸などの無機酸を加えて、反
応を促進させるために加熱下で加水分解させられる。こ
こで、加熱されたフィチン酸又はその塩類の水溶液を沸
騰させないように熱管理し、工業的に量産するために加
圧下でこの反応を行うようにしても良い。フィチン酸又
はその塩類を加水分解させる程度は上述したように、リ
ン酸ラジカルが全て遊離してイノシトールになる前のフ
ィチン酸部分分解物の状態とされる。かかる反応の停止
はフィチン酸がアルカリに対して安定であることから、
濃アンモニア水などのアルカリ溶液を加えることによっ
てなされる。
分解はフィターゼに代えて、無機酸を加えることによっ
ても行われる。たとえば塩酸などの無機酸を加えて、反
応を促進させるために加熱下で加水分解させられる。こ
こで、加熱されたフィチン酸又はその塩類の水溶液を沸
騰させないように熱管理し、工業的に量産するために加
圧下でこの反応を行うようにしても良い。フィチン酸又
はその塩類を加水分解させる程度は上述したように、リ
ン酸ラジカルが全て遊離してイノシトールになる前のフ
ィチン酸部分分解物の状態とされる。かかる反応の停止
はフィチン酸がアルカリに対して安定であることから、
濃アンモニア水などのアルカリ溶液を加えることによっ
てなされる。
【0022】次に、フィチン酸又はその塩類を部分分解
させたフィチン酸部分分解物の溶液から遠心分離法や濾
過法により不溶物が取り除かれ、精製されたフィチン酸
部分分解物の溶液が製造される。
させたフィチン酸部分分解物の溶液から遠心分離法や濾
過法により不溶物が取り除かれ、精製されたフィチン酸
部分分解物の溶液が製造される。
【0023】このような溶液状のフィチン酸部分分解物
に更にカルシュウム水溶液や、あるいはカルシュウム以
外のミネラルが望まれる場合はその金属塩の水溶液を添
加して、生成した不溶物が遠心分離や濾過などによって
除去される。生成した不溶物は主として未反応のフィチ
ン酸のカルシュウム塩又は金属塩である。不溶物が除去
され精製された溶液状のフィチン酸部分分解物の金属塩
にエタノールなどのアルコールを添加し、その金属塩が
沈澱させられる。沈澱物として得られたフィチン酸部分
分解物の金属塩は乾燥させられ、粉末状の金属塩が得ら
れる。 実施例 1 7グラムのフィチン酸ナトリウム(シグマケミカル社
製)を3000mlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.6)に溶
解した。この溶解液にウエットケーキ状の業務用パン酵
母 (水分72%、窒素含有量2%、リン含有量 0.4%)
250グラムを攪拌しながら加え、45℃にて分解反応
を行った。フィチン酸ナトリウムがパン酵母によって分
解され遊離させられてくる無機リンの量を時間の経過と
共に測定した。その測定結果を遊離してくる無機リンの
量を全リン量に対する百分率で表したリン酸遊離率を縦
軸に、反応時間を横軸にして図2に示した。同図をフィ
チン酸ナトリウムのパン酵母による分解反応の程度の目
安とした。
に更にカルシュウム水溶液や、あるいはカルシュウム以
外のミネラルが望まれる場合はその金属塩の水溶液を添
加して、生成した不溶物が遠心分離や濾過などによって
除去される。生成した不溶物は主として未反応のフィチ
ン酸のカルシュウム塩又は金属塩である。不溶物が除去
され精製された溶液状のフィチン酸部分分解物の金属塩
にエタノールなどのアルコールを添加し、その金属塩が
沈澱させられる。沈澱物として得られたフィチン酸部分
分解物の金属塩は乾燥させられ、粉末状の金属塩が得ら
れる。 実施例 1 7グラムのフィチン酸ナトリウム(シグマケミカル社
製)を3000mlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.6)に溶
解した。この溶解液にウエットケーキ状の業務用パン酵
母 (水分72%、窒素含有量2%、リン含有量 0.4%)
250グラムを攪拌しながら加え、45℃にて分解反応
を行った。フィチン酸ナトリウムがパン酵母によって分
解され遊離させられてくる無機リンの量を時間の経過と
共に測定した。その測定結果を遊離してくる無機リンの
量を全リン量に対する百分率で表したリン酸遊離率を縦
軸に、反応時間を横軸にして図2に示した。同図をフィ
チン酸ナトリウムのパン酵母による分解反応の程度の目
安とした。
【0024】実施例 2 先ず実施例1と同様の条件でフィチン酸ナトリウムを酢
酸ナトリウム緩衝液に溶解し、その溶解液にパン酵母を
攪拌させて分解反応を行った。図2に示すリン酸遊離率
と反応時間との関係に基づいて、リン酸遊離率が約25
%となる反応時間約2時間の反応液に、濃アンモニア水
を反応液のpHが12になるまで添加し、パン酵母による
フィチン酸ナトリウムの分解反応を停止させた。次に、
その反応液を遠心分離して上澄液を集めた。得られた上
澄液をイオン交換樹脂(ダウエックス1、クロライド
形)に通じて生成したフィチン酸部分分解物(PDP)
を吸着させた後、1規定塩酸にてそのフィチン酸部分分
解物(PDP)をイオン交換樹脂から溶出させた。この
ようにして得たフィチン酸部分分解物(PDP)溶液を
無機リン25%を離脱分解させたリン酸遊離率25%の
分解物としてPDP−25とした。
酸ナトリウム緩衝液に溶解し、その溶解液にパン酵母を
攪拌させて分解反応を行った。図2に示すリン酸遊離率
と反応時間との関係に基づいて、リン酸遊離率が約25
%となる反応時間約2時間の反応液に、濃アンモニア水
を反応液のpHが12になるまで添加し、パン酵母による
フィチン酸ナトリウムの分解反応を停止させた。次に、
その反応液を遠心分離して上澄液を集めた。得られた上
澄液をイオン交換樹脂(ダウエックス1、クロライド
形)に通じて生成したフィチン酸部分分解物(PDP)
を吸着させた後、1規定塩酸にてそのフィチン酸部分分
解物(PDP)をイオン交換樹脂から溶出させた。この
ようにして得たフィチン酸部分分解物(PDP)溶液を
無機リン25%を離脱分解させたリン酸遊離率25%の
分解物としてPDP−25とした。
【0025】同様にして、リン酸遊離率が約30%とな
る3時間反応、同じく約40%となる6時間反応、及び
同じく約50%となる12時間反応を行い、それぞれP
DP−30, PDP−40およびPDP−50の水溶液
を得た。得られたそれぞれのフィチン酸部分分解物溶液
に含まれるフィチン酸リン酸エステル類の高速液体クロ
マトグラフィーHPLPによるパターンは図3、図4、
図5及び図6に示す通りであった。ここで、高速液体ク
ロマトグラフィーはWhatman Partisil 10 SAXcolumnを
用い、溶離法は95% H2 O /5%MeOHで10分間溶離し
た後、続いて95%0.7N HCl/5%MeOHで30分間傾斜溶
離した。図中、はイノシトール、はイノシトールモ
ノホスフェイト、はイノシトールジホスフェイト、
はイノシトールトリホスフェイト、はイノシトールテ
トラホスフェイト、はイノシトールペンタホスフェイ
ト、はイノシトールヘキサホスフェイトを示す。これ
らの図より、PDP−25は分解反応が初期の状態にあ
り、PDP−50はかなり分解反応が進んでいることが
分かる。
る3時間反応、同じく約40%となる6時間反応、及び
同じく約50%となる12時間反応を行い、それぞれP
DP−30, PDP−40およびPDP−50の水溶液
を得た。得られたそれぞれのフィチン酸部分分解物溶液
に含まれるフィチン酸リン酸エステル類の高速液体クロ
マトグラフィーHPLPによるパターンは図3、図4、
図5及び図6に示す通りであった。ここで、高速液体ク
ロマトグラフィーはWhatman Partisil 10 SAXcolumnを
用い、溶離法は95% H2 O /5%MeOHで10分間溶離し
た後、続いて95%0.7N HCl/5%MeOHで30分間傾斜溶
離した。図中、はイノシトール、はイノシトールモ
ノホスフェイト、はイノシトールジホスフェイト、
はイノシトールトリホスフェイト、はイノシトールテ
トラホスフェイト、はイノシトールペンタホスフェイ
ト、はイノシトールヘキサホスフェイトを示す。これ
らの図より、PDP−25は分解反応が初期の状態にあ
り、PDP−50はかなり分解反応が進んでいることが
分かる。
【0026】実施例 3 実施例2で得られた4種類のPDP溶液(PDP−2
5、PDP−30, PDP−40、PDP−50)50
0mlに、それぞれ水酸化カルシュウム水溶液を加えて約
pH7に中和した。生じた沈澱物を遠心分離して除いた。
沈澱物は主に未反応のフィチン酸のカルシュウム塩であ
った。得られた上澄液に500mlのエタノールを添加す
ることによりフィチン酸部分分解物PDPをカルシュウ
ム塩として沈澱させた。この沈澱物を遠心分離し、再度
溶解、エタノール沈澱を繰り返して精製した後、真空乾
燥し、それぞれPDP−25Ca塩、PDP−30Ca塩、
PDP−40Ca塩、PDP−50Ca塩の粉末を得ること
が出来た。
5、PDP−30, PDP−40、PDP−50)50
0mlに、それぞれ水酸化カルシュウム水溶液を加えて約
pH7に中和した。生じた沈澱物を遠心分離して除いた。
沈澱物は主に未反応のフィチン酸のカルシュウム塩であ
った。得られた上澄液に500mlのエタノールを添加す
ることによりフィチン酸部分分解物PDPをカルシュウ
ム塩として沈澱させた。この沈澱物を遠心分離し、再度
溶解、エタノール沈澱を繰り返して精製した後、真空乾
燥し、それぞれPDP−25Ca塩、PDP−30Ca塩、
PDP−40Ca塩、PDP−50Ca塩の粉末を得ること
が出来た。
【0027】実施例 4 胃液と近い濃度の塩酸溶液(pH1.5) にリン酸カルシュウ
ム粉末をカルシュウム濃度として0.1M懸濁し、更に実施
例3で製造したPDP−25Ca塩粉末を0.01%添加し、
体温に近い温度37℃で1時間攪拌して可溶化した。そ
の後、液のpHをカセイソーダ液で腸の条件に近い6.8 に
調節し、可溶化しているカルシュウムが時間の経過とと
もに不溶化していく様子を調べた。カルシュウム濃度の
測定は一定時間経過後、液の一部を採取し、遠心分離し
て上澄液中のカルシュウム濃度を原子吸光により測定し
た。測定結果を図1に示す。
ム粉末をカルシュウム濃度として0.1M懸濁し、更に実施
例3で製造したPDP−25Ca塩粉末を0.01%添加し、
体温に近い温度37℃で1時間攪拌して可溶化した。そ
の後、液のpHをカセイソーダ液で腸の条件に近い6.8 に
調節し、可溶化しているカルシュウムが時間の経過とと
もに不溶化していく様子を調べた。カルシュウム濃度の
測定は一定時間経過後、液の一部を採取し、遠心分離し
て上澄液中のカルシュウム濃度を原子吸光により測定し
た。測定結果を図1に示す。
【0028】同様の条件でPDP−30Ca塩、PDP−
40Ca塩、PDP−50Ca塩の粉末についてもそれぞれ
実験を行い、可溶化させたカルシュウムが時間の経過と
ともに不溶化していく様子を調べた。測定結果を図1に
示す。
40Ca塩、PDP−50Ca塩の粉末についてもそれぞれ
実験を行い、可溶化させたカルシュウムが時間の経過と
ともに不溶化していく様子を調べた。測定結果を図1に
示す。
【0029】比較例 1 実施例4と同様に、胃液と近い濃度の塩酸溶液(pH1.5)
にリン酸カルシュウム粉末をカルシュウム濃度として0.
1M懸濁し、本比較例1ではPDP塩粉末を添加せずに、
体温に近い温度37℃で1時間攪拌して可溶化した。そ
の後、液のpHをカセイソーダ液で腸の条件に近い6.8 に
調節し、可溶化しているカルシュウムが時間の経過とと
もに不溶化していく様子を調べた。カルシュウム濃度の
測定は一定時間経過後、液の一部を採取し、遠心分離し
て上澄液中のカルシュウム濃度を原子吸光により測定し
た。測定結果を図1に示す。
にリン酸カルシュウム粉末をカルシュウム濃度として0.
1M懸濁し、本比較例1ではPDP塩粉末を添加せずに、
体温に近い温度37℃で1時間攪拌して可溶化した。そ
の後、液のpHをカセイソーダ液で腸の条件に近い6.8 に
調節し、可溶化しているカルシュウムが時間の経過とと
もに不溶化していく様子を調べた。カルシュウム濃度の
測定は一定時間経過後、液の一部を採取し、遠心分離し
て上澄液中のカルシュウム濃度を原子吸光により測定し
た。測定結果を図1に示す。
【0030】図1に示すように、PDP塩粉末(PDP
−25Ca塩、PDP−30Ca塩、PDP−40Ca塩、P
DP−50Ca塩)を添加して可溶化したカルシュウムは
時間の経過とともに若干不溶化させられるのが認められ
た。一方、PDP塩粉末を添加せずに可溶化したカルシ
ュウムは時間の経過とともに大幅に不溶化させられ、カ
ルシュウム濃度が低下するのが認められた。以上より、
4種類のPDP塩粉末はいずれも著しいカルシウム不溶
化防止効果が認められた。
−25Ca塩、PDP−30Ca塩、PDP−40Ca塩、P
DP−50Ca塩)を添加して可溶化したカルシュウムは
時間の経過とともに若干不溶化させられるのが認められ
た。一方、PDP塩粉末を添加せずに可溶化したカルシ
ュウムは時間の経過とともに大幅に不溶化させられ、カ
ルシュウム濃度が低下するのが認められた。以上より、
4種類のPDP塩粉末はいずれも著しいカルシウム不溶
化防止効果が認められた。
【0031】実施例 5 体重約70グラムのSD系雄ラット2匹について16時
間絶食させた後、麻酔下で開腹し、盲腸より上部10セ
ンチメートルの位置、及びさらに10センチメートル程
度上部の回腸部を絹糸を用いて結紮し、内容物の上部よ
りの流入及び下部への流出等の移動がない状態にした。
結紮した腸管内に生理食塩水1ml当たりPDP−30Ca
塩4mgを溶解させた溶解液を0.25ml注射し、更に塩化カ
ルシュウム溶液(カルシュウムとして40mM)を0.25ml
注射した。
間絶食させた後、麻酔下で開腹し、盲腸より上部10セ
ンチメートルの位置、及びさらに10センチメートル程
度上部の回腸部を絹糸を用いて結紮し、内容物の上部よ
りの流入及び下部への流出等の移動がない状態にした。
結紮した腸管内に生理食塩水1ml当たりPDP−30Ca
塩4mgを溶解させた溶解液を0.25ml注射し、更に塩化カ
ルシュウム溶液(カルシュウムとして40mM)を0.25ml
注射した。
【0032】実験に用いた2匹のラットのうち1匹は直
ちに 0.1N塩酸水溶液にて腸管内容物を回収し、遠心分
離した後、その上澄液のカルシュウム量を測定し、吸収
ゼロタイムとして数値を求めた。ラットのうち他の1匹
は先の塩化カルシュウム溶液の注射後、時間を置かずに
直ちに40mMのpH8のリン酸緩衝液を0.25ml注射し、一
旦腸管を腹中に戻して、生理的条件ができるだけ自然に
保たれるようにした。2時間後再び開腹し、前述の吸収
ゼロタイムの時と同様にしてカルシュウム量を測定し
た。その結果を表1に示す。なお、カルシュウム量は全
カルシュウム量である。同図に示すように、2時間後に
おける吸収量は0.21mgであり、またゼロタイム時のカル
シュウム量に対する吸収量の百分率は40%であった
ちに 0.1N塩酸水溶液にて腸管内容物を回収し、遠心分
離した後、その上澄液のカルシュウム量を測定し、吸収
ゼロタイムとして数値を求めた。ラットのうち他の1匹
は先の塩化カルシュウム溶液の注射後、時間を置かずに
直ちに40mMのpH8のリン酸緩衝液を0.25ml注射し、一
旦腸管を腹中に戻して、生理的条件ができるだけ自然に
保たれるようにした。2時間後再び開腹し、前述の吸収
ゼロタイムの時と同様にしてカルシュウム量を測定し
た。その結果を表1に示す。なお、カルシュウム量は全
カルシュウム量である。同図に示すように、2時間後に
おける吸収量は0.21mgであり、またゼロタイム時のカル
シュウム量に対する吸収量の百分率は40%であった
【表1】
【0033】比較例 2 実施例5と同様に、ほぼ同じ体重のラット2匹を用い、
結紮した腸管にPDPを含まない生理食塩水を0.25ml注
射し、更に同様に塩化カルシュウム溶液を同量注射し
た。そして、ラット2匹のうち1匹はゼロタイム時に、
他の1匹は2時間後に同様の条件でカルシュウム量を測
定した。その結果を表1に示す。同表から分かるよう
に、比較例2の吸収率は14%であり、実施例5の約3
分の1であった。
結紮した腸管にPDPを含まない生理食塩水を0.25ml注
射し、更に同様に塩化カルシュウム溶液を同量注射し
た。そして、ラット2匹のうち1匹はゼロタイム時に、
他の1匹は2時間後に同様の条件でカルシュウム量を測
定した。その結果を表1に示す。同表から分かるよう
に、比較例2の吸収率は14%であり、実施例5の約3
分の1であった。
【0034】
【発明の効果】本発明に係るミネラル吸収促進剤はフィ
チン酸部分分解物又はその金属塩を主成分とし、かかる
ミネラル吸収促進剤をカルシュウムを初めとするミネラ
ルとともに摂取されると、摂取されたミネラルが胃液の
酸で可溶化された後、小腸に送られ中性域へpHの変化
により不溶化するのが防止され、吸収可能なミネラル濃
度を高めることができる。また、フィチン酸部分分解物
又はその金属塩と結合させられたミネラルはその結合が
強すぎることがないため、可溶化されたミネラルは充分
吸収される。更に、これらフィチン酸部分分解物やその
金属塩は胃液や腸液に含まれる蛋白分解酵素などによっ
て消化されることはなく、ミネラル吸収促進剤の効果を
失うことはない。しかも、フィチン酸部分分解物やその
金属塩を製造する原料であるフィチン酸やその塩類は食
用に適さない糠などに多量に含まれていて、安価であ
る。
チン酸部分分解物又はその金属塩を主成分とし、かかる
ミネラル吸収促進剤をカルシュウムを初めとするミネラ
ルとともに摂取されると、摂取されたミネラルが胃液の
酸で可溶化された後、小腸に送られ中性域へpHの変化
により不溶化するのが防止され、吸収可能なミネラル濃
度を高めることができる。また、フィチン酸部分分解物
又はその金属塩と結合させられたミネラルはその結合が
強すぎることがないため、可溶化されたミネラルは充分
吸収される。更に、これらフィチン酸部分分解物やその
金属塩は胃液や腸液に含まれる蛋白分解酵素などによっ
て消化されることはなく、ミネラル吸収促進剤の効果を
失うことはない。しかも、フィチン酸部分分解物やその
金属塩を製造する原料であるフィチン酸やその塩類は食
用に適さない糠などに多量に含まれていて、安価であ
る。
【0035】また、本発明に係るミネラル吸収促進剤の
主成分であるフィチン酸部分分解物又はその金属塩はパ
ン酵母などに含まれているフィターゼを用いたり、ある
いは無機酸を添加することによって、加水分解反応によ
りリン酸ラジカルを遊離させるとともに、リン酸ラジカ
ルが全て遊離しない範囲内で停止させることによって容
易に製造することができる。更に、粉末化することによ
って取扱いや保管が簡単になるなどの効果がある。
主成分であるフィチン酸部分分解物又はその金属塩はパ
ン酵母などに含まれているフィターゼを用いたり、ある
いは無機酸を添加することによって、加水分解反応によ
りリン酸ラジカルを遊離させるとともに、リン酸ラジカ
ルが全て遊離しない範囲内で停止させることによって容
易に製造することができる。更に、粉末化することによ
って取扱いや保管が簡単になるなどの効果がある。
【図1】本発明に係るミネラル吸収促進剤を添加した場
合と添加していない場合におけるカルシュウム濃度の変
化を示す図である。
合と添加していない場合におけるカルシュウム濃度の変
化を示す図である。
【図2】リン酸遊離率と反応時間との関係を示す図であ
る。
る。
【図3】本発明に係るPDP−25に含まれるフィチン
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
【図4】本発明に係るPDP−30に含まれるフィチン
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
【図5】本発明に係るPDP−40に含まれるフィチン
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
【図6】本発明に係るPDP−50に含まれるフィチン
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
酸リン酸エステル類の高速液体クロマトグラフィーによ
るパターンを示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 フィチン酸又はその塩類が有するリン酸
ラジカルの数が1以上5以下であるフィチン酸部分分解
物又は該金属塩を主成分とすることを特徴とするミネラ
ル吸収促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3050384A JP2509824B2 (ja) | 1991-02-23 | 1991-02-23 | ミネラル吸収促進剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3050384A JP2509824B2 (ja) | 1991-02-23 | 1991-02-23 | ミネラル吸収促進剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04270296A JPH04270296A (ja) | 1992-09-25 |
JP2509824B2 true JP2509824B2 (ja) | 1996-06-26 |
Family
ID=12857376
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3050384A Expired - Fee Related JP2509824B2 (ja) | 1991-02-23 | 1991-02-23 | ミネラル吸収促進剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2509824B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2617818B1 (en) | 2006-09-21 | 2016-03-23 | BASF Enzymes LLC | Phytases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them |
WO2010135588A2 (en) | 2009-05-21 | 2010-11-25 | Verenium Corporation | Phytases, nucleic acids encoding them and methods for making and using them |
US11446317B2 (en) | 2017-10-26 | 2022-09-20 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Inositol phosphate-containing composition |
-
1991
- 1991-02-23 JP JP3050384A patent/JP2509824B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
"ANALYTICALBIOCHEMISTRY",第162巻、第115〜121頁、1987年 |
"J.INST.BREW."第66巻、第487〜494頁、1960年 |
「栄養と食糧」、第19巻、第4号、第235〜239頁、1966年 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04270296A (ja) | 1992-09-25 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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