JP2509798Y2

JP2509798Y2 - 機械駆動式過給機

Info

Publication number: JP2509798Y2
Application number: JP1990040517U
Authority: JP
Inventors: 秀次松原; 雄一井口; 耕一畑村; 剛後藤
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1990-04-16
Filing date: 1990-04-16
Publication date: 1996-09-04
Anticipated expiration: 2005-04-16
Also published as: JPH041690U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は吸入空気を圧縮してエンジンに過給すること
によりエンジンの出力性能を向上させるために使用され
る機械駆動式過給機に関するものである。

［従来の技術］エンジンの出力性能向上のために用いられるスクリュ
ー式圧縮機構を有する機械駆動式過給機は、第４図に一
例を示す如く、ロータケーシング１内に、互いに噛合す
る雄ロータ２と雌ロータ３とをそれぞれ軸受４によって
回転自在に支持させて収納させると共に、上記雄ロータ
２の軸５の一端と雌ロータ３の軸６の一端を、上記ロー
タケーシング１を貫通させて、該ロータケーシング１の
一側に設けられたギヤケーシング７内に突出位置させ、
該ギヤケーシング７内にて上記各軸5,6の端部に、互い
に噛合するタイミングギヤ8,9を取り付け、且つ上記ギ
ヤケーシング７内に互いに噛合させて配置した増速ギヤ
10,11のうち、小径のギヤ10を雄ロータ２の軸５の端部
に取り付け、一方、大径のギヤ11を入力軸13の一端に取
り付け、該入力軸13から増速ギヤ11,10、タイミングギ
ヤ8,9へ伝えられる動力により雄ロータ２と雌ロータ３
とが回転させられるようにしてある。又、上記入力軸13
は、上記ギヤケーシング７を貫通していて、ギヤケーシ
ング７内では軸受12にて支承され、ギヤケーシング７外
では端部にプーリ14が軸受15を介して回転自在に取り付
けてあり、更に、該プーリ14と、エンジン16の出力軸17
に取り付けたプーリ18との間にはベルト19が掛け回して
あって、エンジン16の出力がプーリ18、ベルト19を介し
てプーリ14に伝達されるようにしてあり、又、上記プー
リ14と入力軸13との間には電磁クラッチ20が設けてあっ
て、該電磁クラッチ20を入れたときに、プーリ14の回転
が電磁クラッチ20を介して入力軸13に伝達され、更に増
速ギヤ11,10で増速された後、タイミングギヤ8,9でタイ
ミングをとられて雄ロータ２と雌ロータ３とがロータケ
ーシング１内で回転させられるようにしてあり、該雄ロ
ータ２と雌ロータ３の回転によりロータケーシング１の
一端部側に設けてある吸入口21から吸入した空気を、第
５図に示す如く、吸入行程部Ａ、圧縮行程部Ｂ、吐出行
程部Ｃを順次通過させることにより、ロータケーシング
１の他端部側に設けてある吐出口22より圧縮状態で吐出
させ、上記エンジン16に過給するようにしてある。

［考案が解決しようとする課題］ところが、上記従来のスクリュー式圧縮機構を有する
機械駆動式過給機の場合、エンジン16への過給を必要と
しない部分負荷運転時の如きエンジン16の状態でもエン
ジン16からの動力が入力軸13に伝えられると、雄ロータ
２と雌ロータ３は回転を続けるので、空気を吸入して圧
縮するという内部圧縮仕事を行うようになっている。エ
ンジン16で過給を必要としないときにも内部圧縮仕事を
させることは、過給機駆動馬力が増大し、無駄な動力を
費すことになるので、従来では第４図に示す如く、電磁
クラッチ20を設け、過給を必要としないときは、電磁ク
ラッチ20を切ってエンジ16からの動力が各ロータ2,3へ
伝達されないようにしており、電磁クラッチ20は不可欠
のものとされている。

そこで、本考案は、電磁クラッチを用いることなく、
エンジンが過給を必要としないときには内部圧縮仕事を
行わせずに過給機駆動馬力を低減させて無駄な動力を要
することがないようにしようとするものである。

［課題を解決するための手段］本考案は、上記課題を解決するために、ロータケーシ
ング内に吸入した空気を、該ロータケーシング内の雄ロ
ータと雌ロータによる吸入行程部、圧縮行程部、吐出行
程部を順次経て吐出させるようにしてある機械駆動式過
給機において、上記ロータケーシングに雄又は雌のいず
れか対応するロータのスクリューピッチよりも大きなバ
イパスホールを設け、且つ該バイパルホールを開閉する
ための弁体を、バイパスホール部に設けられてロータケ
ーシング外方へ突出するケース内に開閉方向へ移動自在
に収納し、該ケース内の弁体をエンジンの運転状態に応
じて部分負荷時にバイパルホール開、全負荷時にバイパ
スホール閉となるように制御する弁体制御手段を備えた
構成とする。

更に、ロータケーシングにバイパスホールを設ける位
置を、圧縮行程部から吸入行程部に跨がる位置とし、
又、弁体制御手段を、ケース内の弁体に弁棒を介し一体
化させてケース外に位置させた受圧板とケース外のカバ
ーとによりエンジンに連通させる可変の作動室を形成
し、且つ該作動室内に受圧板を押して弁体を閉方向へ付
勢する弾性体を設けてなる構成とする。

［作用］部分負荷運転時の如きエンジンの状態では、弁体制御
手段の作用により弁体がバイパスホールから離れてバイ
パスホールが自動的に開かれ、圧縮行程部の空気がバイ
パスホールを通り吸入行程部にリリーフされることによ
り、雄ロータと雌ロータは回転させられても内部圧縮仕
事が行われなくなる。したがって、電磁クラッチをなく
すことができる。

又、弁体制御手段を、エンジンと連通する可変の作動
室、作動室内に配置した弾性体、該弾性体によって付勢
される受圧板等により構成すると、部分負荷時に、作動
室内が負圧になって受圧板が引き上げられることによ
り、バイパスホールが開かれることになる。

［実施例］以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示すもので、
第４図に示すスクリュー式圧縮機構を有する機械駆動式
過給機と同様な構成において、雄ロータ２と雌ロータ３
による空気の吸入行程部、圧縮行程部、吐出行程部のう
ちの上記圧縮行程部から吸入行程部に至る間に位置する
ように、ロータケーシング１の雄ロータ２と対応する側
壁部に、上記雄ロータ２のスクリューピッチよりも大き
な直径でバイパスホール24を穿設し、該バイパスホール
24部に弁体28を組み付けると共に、部分負荷運転時の如
きエンジンの状態で上記バイパスホール24を開き、全負
荷運転時の如きエンジンの状態で上記バイパスホール24
を閉じるように上記弁体28を作動させる弁体制御手段23
を組み付け、且つギヤケーシング７から突出する入力軸
13の端部にプーリ14を直接取り付け、該プーリ14とエン
ジン16の出力軸17上のプーリ18との間にベルト19を掛け
回した構成とする。

上記弁体28及び弁体制御手段23は、その詳細を第２図
及び第３図に示す。すなわち、圧縮行程部から吸入行程
部に跨がるようにロータケーシング１に設けたバイパス
ホール24の内周部に、表面保護剤としてテフロンコーテ
ィングを施した弁座25を設けると共に、該弁座25に接し
て上記バイパスホール24を閉じるようにする弁体28を上
下方向（内外方向）へ案内するための筒状のケース27を
上記ロータケーシング１に、該ロータケーシング１外へ
突出するように一体的に設けて、該ケース27内に、上記
弁体28を上下方向（開閉方向）へ移動自在に収納させ
る。又、弁体制御手段23は、上記ケース27の上端を塞ぎ
板26で塞ぎ、ケース27を外気と遮断させるようにすると
共に、該塞ぎ板26の中心部を移動自在に貫通させ且つＯ
リング32でシールさせた弁棒33の下端を上記弁体28の上
面中央部に固定し、又、該弁棒33の突出端部には円板状
の受圧板34を固定し、該受圧板34を取り囲むようにケー
ス27上に設けたカバー35内を、上記受圧板34とその周辺
のベローズ37とにより上下に仕切って、上部を可変の作
動室38、下部を大気圧室39とし、上記作動室38内には受
圧板34を押して弁棒33を介し弁体28を常時閉じる方向へ
力を付与するための弾性体としてスプリング36を介装
し、更に上記作動室38に連絡口40を設け、連絡口40から
作動室38内に圧力が作用するようにし、更に、大気圧室
39は内部を大気圧とするために内外を連通する連通孔41
が設けてある構成としてあり、受圧板34が上下動させら
れることにより弁棒33を介して弁体28がバイパスホール
24を開閉できるようにしてある。なお、上記作動室38に
設けた連絡口40は、エンジン16に連絡させ、作動室38内
にエンジン16の正圧、負圧が作用するようにし、作動室
38内にエンジン16の正圧が作用したときには、受圧板34
がスプリング36の弾力により押し下げられることにより
弁体28が弁座25に押し付けられてバイパスホール24が閉
じられるようにすると共に、作動室38内にエンジン16の
負圧が作用したときには、受圧板34がスプリング36を縮
めて引き上げられることにより弁体28が弁座25から離反
してバイパスホール24が開かれ、圧縮行程部の空気がバ
イパスホール24を通り吸入行程部にリリーフするように
する。又、上記弁体28の外周部にキー部29を突設し、一
方、上記ケース27の内側部に上下方向にキー溝部30を設
けて、上記キー部29とキー溝部30とを摺動自在に係合さ
せ、弁体28が回り止めされた状態で上下方向へ移動でき
るようにしてあり、更に上記弁体28には、該弁体28の内
外方部の圧力がバランスされるように、上下方向に貫通
するバランス孔31が設けてある。

全負荷運転時の如きエンジン16の領域では、エンジン
16の正圧がカバー35内の作動室38に連絡口40を通して作
用するため、スプリング36の弾力により受圧板34が押し
下げられる。これにより弁棒33を介し受圧板34と一体の
弁体28が押し下げられて弁座25に押し付けられるのでバ
イパスホール24が閉じた状態となる。したがって、ロー
タケーシング１の吸入口21よりロータケーシング１内に
吸入された空気は、雄ロータ２と雌ロータ３による吸入
行程部、圧縮行程部、吐出行程部を順次経て吐出口22よ
り圧縮状態で吐出されてエンジン16へ過給されることに
なる。

一方、部分負荷運転時の如きエンジン16の領域では、
エンジン16の負圧がカバー35内の作動室38に作用するた
め、受圧板34はスプリング36を縮めて引き上げられる。
これにより弁棒33を介し弁体28も同時に引き上げられて
弁座25から離反させられるので、バイパスホール24が開
いた状態となる。したがって、吸入口21よりロータケー
シング１内に吸入された空気は、吸入行程部から圧縮行
程部に移っても、バイパスホール24を通って吸入行程部
にリリーフすることになるので、雄ロータ２と雌ロータ
３は回転していても内部圧縮仕事が行われることはなく
なる。これにより吐出行程部を経て、吐出口22からエン
ジン16へ過給が行われることはなくなる。このように、
エンジン16が過給を必要としない場合、弁体制御手段23
によって制御される弁体28の作動によりバイパスホール
24が自動的に開いて、雄ロータ２と雌ロータ３による空
気の圧縮仕事をさせずに過給機駆動馬力を低減させるよ
うにするので、無駄な動力を要することがなくなり、
又、上記弁体28がエンジン16の負荷に応じて開閉するこ
とによりクラッチとしての機能を発揮することから、従
来不可欠とされていた電磁クラッチを不要にすることが
できる。更に、バイパスホール24の設定だけで内部圧縮
仕事の低減を図ることができることから、過給機自体を
大型化することがない点でも有利である。

上記において、受圧板34はエンジン16の圧力によって
スプリング36が伸びて押し下げられたりスプリング36が
縮められて引き上げられたりするが、カバー35内の大気
圧室39は連通孔41によって大気と連通しているため、受
圧板34は支障なく上下動できる。又、弁体28には上下に
貫通するバランス孔31が設けてあり、更にキー部29をキ
ー溝部30に係合させて回り止めしてあることから、弁体
28は安定した確実な開閉作動が得られる。

なお、上記実施例では、ロータケーシング１の雄ロー
タ２と対応する位置にバイパスホール24と弁体制御手段
23によって制御される弁体28を設けた場合を示したが、
雌ロータ３と対応する位置、あるいは、雄ロータ２と雌
ロータ３が噛み合う位置に設けるようにしてもよいこ
と、その他本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種
々変更を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］以上述べた如く、本考案の機械駆動式過給機によれ
ば、ロータケーシング内に吸入した空気を、該ロータケ
ーシング内の雄ロータと雌ロータによる吸入行程部、圧
縮行程部、吐出行程部を順次経て吐出させるようにして
ある機械駆動式過給機において、上記ロータケーシング
に雄又は雌のいずれか対応するロータのスクリューピッ
チよりも大きなバイパスホールを設け、且つ該バイパス
ホールを開閉するための弁体を、バイパスホール部に設
けられてロータケーシング外方へ突出するケース内に開
閉方向へ移動自在に収納し、該ケース内の弁体をエンジ
ンの運転状態に応じて部分負荷時にバイパスホール開、
全負荷時にバイパスホール閉となるように制御する弁体
制御手段を備えた構成としてあるので、部分負荷時の如
きエンジンの領域では、弁体制御手段により弁体をバイ
パスホールから離してバイパスホールを自動的に開くこ
とができて、本来圧縮行程部にある空気をバイパスホー
ルを通して吸入行程部へリリーフさせ、雄ロータと雌ロ
ータが回転していても内部圧縮仕事を行わせないように
することができ、これにより過給機駆動馬力を低減させ
て無駄な動力を要することを防止でき、又、上述した如
くエンジンの過給を必要としない領域では内部圧縮仕事
を行わせないようにすることができることから、従来不
可欠とされていた電磁クラッチを不要にでき、しかもス
クリューピッチよりも大きなバイパスホールの設定だけ
で内部圧縮仕事の低減を図ることができることから、過
給機自体を大型化する必要がない。

又、ロータケーシングにバイパスホールを設ける位置
を、圧縮行程部から吸入行程部に跨がる位置とし、又、
弁体制御手段を、ケース内の弁体に弁棒を介し一体化さ
せてケース外に位置させた受圧板とケース外のカバーと
によりエンジンに連通させる可変の作動室を形成し、且
つ該作動室内に受圧板を押して弁体を閉方向へ付勢する
弾性体を設けてなる構成とすることにより、部分負荷時
の如きエンジンの領域では、エンジンの負圧が作動室に
作用して受圧板を介し弁体をバイパスホールから離すこ
とができ、圧縮行程部の空気をバイパスホールを通して
吸入行程部をリリーフさせることができて、内部圧縮仕
事を行わせないようにすることができる、という優れた
効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の機械駆動式過給機の一実施例を示す概
略図、第２図は第１図のII方向拡大矢視図、第３図は第
２図のIII-III拡大矢視図、第４図は機械駆動式過給機
の一例を示す概要図、第５図は第４図の過給機での空気
の体積変化を示す図である。１……ロータケーシング、２……雄ロータ、３……雌ロ
ータ、16……エンジン、21……吸入口、22……吐出口、
23……弁体制御手段、24……バイパスホール、27……ケ
ース、28……弁体、33……弁棒、34……受圧板、35……
カバー、36……スプリング（弾性体）、38……作動室。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者畑村耕一広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内 (72)考案者後藤剛広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内 (56)参考文献特開昭54−119113（ＪＰ，Ａ)

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ロータケーシング内に吸入した空気を、該
ロータケーシング内の雄ロータと雌ロータによる吸入行
程部、圧縮行程部、吐出行程部を順次経て吐出させるよ
うにしてある機械駆動式過給機において、上記ロータケ
ーシングに雄又は雌のいずれか対応するロータのスクリ
ューピッチよりも大きなバイパスホールを設け、且つ該
バイパスホールを開閉するための弁体を、バイパスホー
ル部に設けられてロータケーシング外方へ突出するケー
ス内に開閉方向へ移動自在に収納し、該ケース内の弁体
をエンジンの運転状態に応じて部分負荷時にバイパスホ
ール開、全負荷時にバイパスホール閉となるように制御
する弁体制御手段を備えてなることを特徴とする機械駆
動式過給機。
【請求項２】ロータケーシングにバイパスホールを設け
る位置を、圧縮行程部から吸入行程部に跨がる位置と
し、又、弁体制御手段を、ケース内の弁体に弁棒を介し
一体化させてケース外に位置させた受圧板とケース外の
カバーとによりエンジンに連通させる可変の作動室を形
成し、且つ該作動室内に受圧板を押して弁体を閉方向へ
付勢する弾性体を設けてなる構成とした請求項（１）記
載の機械駆動式過給機。