JP2509637Y2 - 床下収納庫の蓋開閉装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は住宅等に設置する床下収納庫の蓋開閉装置、
特に動力を用いた蓋開閉装置に関する。

〔従来の技術〕

台所の床面に設けた開口部に開閉式の蓋を付設し、開
口部の下方に設置した収納ケースに物を収納できるよう
にした床下収納庫は知られている。

ところで、床下収納庫の蓋は、床面に付設するため、
開閉操作が面倒であるとともに、床面の一部を構成し、
重量も比較的大きくなるため、主婦等にとって容易に開
閉しにくい。しかも調理中に直接床面の取手を持って開
閉するため、衛生面でも好ましくない等の問題があり、
蓋の開閉操作を駆動部（動力）を利用して行う蓋開閉装
置も提案されている。

従来の蓋開閉装置は昇降装置の利用により蓋を直接上
方へ持上げて開閉するものがほとんどであり、例えば実
開昭64−24239号公報、実開昭63−165035号公報、実開
平１−67238号公報等で開示されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、蓋を上方へ持上げる従来の蓋開閉装置は次
のような問題点がある。

第一に、蓋を持上げる昇降装置が必要になり、しか
も、蓋の回動角度が少なくとも90°範囲にわたるため、
構造が複雑化及び大型化し、配設スペースが限られた床
下への設置上極めて不利となる。

第二に、蓋は床上に突出するため、収納部に対する物
の出し入れに邪魔になり、使い勝手上十分とはいえな
い。

第三に、重い蓋を持上げるため、駆動部の消費電力が
大きくなり、また、蓋は片持支持のため、機械的強度が
要求される。

本考案はこのような従来の技術に存在する課題を解決
した床下収納庫の蓋開閉装置の提供を目的とするもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る床下収納庫の蓋開閉装置１は、開口部Ｓ
の下方の両側に配し、かつ床Ｆに沿って設けた一対のガ
イドレール部2a、2bと、各ガイドレール部2a…に移動自
在に装填したキャリア部3a、3bと、蓋Ｃとキャリア部3a
…間に設けたリンク部5a…、5b…と、閉方向終端から開
方向への一定区間Loにおけるキャリア部3a…の移動によ
って蓋Ｃが全閉位置P1と下降位置P2間を昇降し、かつ前
記一定区間Lo以外の区間Leにおけるキャリア部3a…の移
動によって蓋Ｃが下降位置P2と全開位置P3間をガイドレ
ール部2a…に沿って移動可能にガイドするガイド機構部
７と、キャリア部3a…を進退移動制御する駆動部８を備
えることを特徴とする。この場合、リンク部5a…はガイ
ドレール部2a…の長手方向に対して複数備えることが望
ましい。また、ガイド機構部７は、一定区間Loにおける
蓋Ｃに対して、上下方向のみの変位を許容する第一ガイ
ド部11a、11bと、キャリア部3a…とリンク部5a…を係合
させることにより、一定区間Loにおけるキャリア部3a…
の移動によりリンク部5a…を昇降させる第二ガイド部12
a…、12b…により構成できる。さらに、駆動部８は先端
をキャリア部3a…に結合するギアードワイヤ14a、14b
と、ギアードワイヤ14a…に噛合するギア機構15と、ギ
ア機構15に回転伝達する駆動モータ16により構成でき
る。

〔作用〕

本考案に係る床下収納庫の蓋開閉装置１によれば、蓋
Ｃはリンク部5a…を介してキャリア部3a…により支持さ
れる。また、蓋Ｃの位置はガイド機構部７とキャリア部
3a…によって定まる。即ち、キャリア部3a…を閉方向終
端に位置させれば、ガイド機構部７の機能によって蓋Ｃ
は床Ｆと同一面となる全閉位置P1に位置し、また、キャ
リア部3a…を閉方向終端から一定区間Loだけ開方向へ移
動させれば、蓋Ｃは全閉位置P1よりも下方の下降位置P2
まで下降する。さらに、キャリア部3a…を一定区間Loを
越えて第二区間Leを開方向へ移動させれば、蓋Ｃは下降
位置P2からガイドレール部2a…に沿って移動し、全開位
置P3に達する。なお、蓋Ｃを閉じる場合はキャリア部3a
…を反対方向（閉方向）へ移動させれば同一の経路で全
閉位置P1まで戻る。

この場合、キャリア部3a…は駆動部８によって進退移
動制御され、キャリア部3a…の進退移動に伴って蓋Ｃは
スライド式に開閉するとともに、全開時には床Ｆの下方
に収納される。

〔実施例〕

以下には、本考案に係る好適な実施例を挙げ、図面に
基づき詳細に説明する。

床下収納庫Ｈは住宅における台所の床Ｆに設置するも
ので、床Ｆには開口部Ｓを設け、また、開口部Ｓには蓋
Ｃを付設する。そして、この蓋Ｃは本考案に係る蓋開閉
装置１によって開閉せしめられる。

次に、蓋開閉装置１の構造について第１図〜第５図を
参照して説明する。

まず、床Ｆの下方には床構成材Fmを利用して一対の平
行に配したガイドレール部2a、2bを取付ける（第３図参
照）。この場合、ガイドレール部2a、2bは開口部Ｓの両
側に配し、かつ床Ｆに沿わせる。

また、各ガイドレール部2a…の上面には、長手方向に
沿ってレール溝21a、21b（第３図参照）を形成し、この
レール溝21a…にキャリア部3a…をスライド自在に装填
する。キャリア部3a…には第２図（ａ）及び第３図に示
すように、上方に起立した前後一対のリンクブラケット
部22a…、22b…をそれぞれ一体に設け、さらに各リンク
ブラケット部22a…には横くの字形のガイドスリット23a
…を形成する。

一方、第２図（ａ）に示す5a…、5b…はリンク部であ
り、細長に形成する。一つのリンク部5aはその中間部と
後部にそれぞれ係合軸25a、26aを備え、この係合軸25
a、26aがガイドスリット23aに係合する。また、リンク
部5aの前部は蓋Ｃの下面に取付けた蓋ブラケット部27a
に回動自在に取付ける。このようなリンク部5aの取付構
造はリンク部5b側においても同様に構成される。よっ
て、蓋Ｃはリンク部5a…を介してキャリア部3a…により
支持されるとともに、蓋Ｃはキャリア部3a…に対して一
定の範囲で平行移動する。なお、ガイドスリット23a…
と一対の係合軸25a、26a…は前記第二ガイド部12a…を
構成する。

他方、蓋Ｃの下面には斜前方に傾斜し、かつ先端に係
合ピン29a…を有するガイドアーム28a…を取付ける。ま
た、ガイドレール部2a…の側面には第３図に示すよう
に、係合ピン29a…をガイドするピンガイド溝30a…を形
成する。ピンガイド溝30a…はガイドレール部2a…の長
手方向に形成した水平ガイド溝31a…と、水平ガイド溝3
0a…の前端から上方へ連通形成した鉛直ガイド溝32a…
からなる。この場合、鉛直ガイド溝32a…は係合ピン29a
…に対して上下方向のみの変位を許容する。なお、ガイ
ドアーム28a…と鉛直ガイド溝32a…は前記第一ガイド部
11a…を構成する。

一方、第４図に示すように、床構成材Fm（第３図）を
利用してキャリア部3a…を前進・後退移動制御する駆動
部８を取付ける。駆動部８は、キャリア部3a…の後端に
対して先端を結合し、かつガイドレール部2a…内にガイ
ドされるギアードワイヤ14a、14bと、ギアードワイヤ14
a…の後側に噛合するギア機構15と、ギア機構15に回転
伝達する駆動モータ16を備え、ギア機構15は、さらに駆
動モータ16の回転シャフトに取付けたウォームギア35
と、ウォームギア35に噛合するウォームホイール36と、
ウォームホイール36によって回転せしめられるピニオン
37を備える。そして、ピニオン37の180°対向位置に前
記ギアードワイヤ14a、14bが噛合する。

次に、蓋開閉装置１の各部の位置関係と機能について
第２図（ａ）及び（ｂ）を参照して説明する。

まず、第２図（ａ）はギアードワイヤ14a…を最前進
させ、キャリア部3a…を閉方向終端に位置させた状態を
示す。この状態ではガイドアーム28a…は鉛直ガイド溝3
2a…によって前方（第２図（ａ）左方向）への移動が規
制されるため、リンク部5a…における一対の係合軸25
a、26a…ガイドスリット23a…の後半部側へ移行する。
この結果、ガイドスリット23a…における後半部の傾斜
によってリンク部5a…の先端は上方へ変位する。即ち、
蓋Ｃは床Ｆと同一面である全閉位置P1（第２図（ａ））
に位置する。なお、この際、ガイドアーム28a…は鉛直
ガイド溝32a…内を上方に変位する。

一方、全閉位置P1から蓋Ｃを開く場合には、駆動部８
を作動させ、ギアードワイヤ14a…を後退させる。これ
によりキャリア部3a…はガイドレール部2a…に沿って後
退（第２図（ａ）右方向）移動する。この際、ガイドア
ーム28a…の係合ピン29a…は鉛直ガイド溝32a…により
後退方向への変位が規制されるため、キャリア部3a…の
係合軸25a、26a…はガイドスリット23a…に沿って前半
部側へ移行する。この結果、第２図（ｂ）に実線で示す
ように、リンク部5a…の先端はガイドスリット23a…に
おける前半部の傾斜により、下方へ変位する。よって、
蓋Ｃは下方に位置する下降位置P2まで下降する。なお、
蓋Ｃが全閉位置P1から下降位置P2まで変位する際に、キ
ャリア部3a…は一定区間Loだけ移動し、また、ガイドア
ーム28a…は鉛直ガイド溝32a…にガイドされて下降す
る。

さらに、キャリア部3a…を後退移動させ、一定区間Lo
以外の区間Leを移動させれば、リンク部5a…はキャリア
部3a…に引張られて後退し、蓋Ｃはガイドレール部2a…
に沿って平行移動する。この際、ガイドアーム28a…は
は水平ガイド溝31a…にガイドされる。そして、第２図
（ｂ）に仮想線で示すように、キャリア部3asを開方向
終端まで移動させれば、蓋Csは床Ｆの下方に収納される
ため、全開位置P3となり、開口部Ｓは完全に開放され
る。

なお、全開位置P3に位置する蓋Ｃを閉じる場合には、
ギアードワイヤ14a…を逆方向へ移動（前進移動）させ
ればよく、キャリア部3a…、さらに蓋Ｃは前述した開く
場合の経路に沿って反対方向へ変位し全閉位置P1まで戻
る。

次に、他の周辺構造について第１図を参照して説明す
る。まず、前記ガイドレール部2a…の下方には一対の第
二ガイドレール部51…を設ける。そして、第二ガイドレ
ール部51…には相前後して連結した二つの収納部52x、5
2yを移動自在に装填する。各収納部52x…は第二ガイド
レール部51…に直接係合する保持フレーム53x、53yと、
この保持フレーム53x…に保持され、かつ上方へ変位自
在な収納ケース54x、54yを備える。また、後側の保持フ
レーム53yは前記駆動部８と同様に構成した第二駆動部5
6によって前進・後退移動せしめられる。なお、55…は
保持フレーム53yに結合したギアードワイヤを示す。な
お、第二駆動部56はクラッチ等を介して駆動部８と兼用
してもよい。よって、収納ケース54x又は54yを開口部Ｓ
の下方に選択的に位置させることができる。

また、開口部Ｓの下方には収納ケース54x（54y）を昇
降させる昇降装置61を設置する。昇降装置61は、収納ケ
ース54xの四隅に対向して鉛直方向に設けたガイドレー
ル62…と、このガイドレール62…に沿ってスライドし、
かつ収納ケース54xの底面を支持するスライダ63…を備
える。このスライダ63…は前記駆動部８と同様に構成し
た第三駆動部65…によって昇降移動せしめられ、以て、
収納ケース54xを床Ｆから上方又は下方に昇降できる。
なお、66…はスライダ63に結合したギアードワイヤを示
す。

以上、実施例について詳細に説明したが、本考案はこ
のような実施例に限定されるものではなく、細部の構
成、形状、数量等において、本考案の要旨を逸脱しない
範囲で任意に変更できる。

〔考案の効果〕

このように、本考案に係る床下収納庫の蓋開閉装置
は、開口部の下方の両側に配し、かつ床に沿って設けた
一対のガイドレール部と、各ガイドレール部に移動自在
に装填したキャリア部と、蓋とキャリア部間に設けたリ
ンク部と、キャリア部を移動させることにより全閉位
置、下降位置又は全開位置に選択的に位置させることが
できるガイド機構部と、キャリア部を進退移動制御する
駆動部を備えてなるため、次のような顕著な効果を奏す
る。

蓋は水平方向へのスライドにより開閉されるため、
昇降装置等は不要となるなど、構造の簡略化及び小型化
が図れ、配設スペースの限られた床下に対しても有利に
設置できる。

蓋を持上げないため、消費電力を小さくでき、経済
的であるとともに、蓋にヒンジ部を設けないため、機械
的強度が要求されず、耐久性の向上、さらなる構造の簡
略化を図れる。

蓋は床の下方に収納され、床上には突出しないた
め、収納部に対する物の出し入れに対しても邪魔になら
ず、使い勝手に優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案に係る蓋開閉装置の内側からみた側面構
成図、 第２図（ａ）：蓋が全閉位置における同蓋開閉装置の内
側からみた拡大側面構成図、 第２図（ｂ）：蓋が下降位置における同蓋開閉装置の内
側からみた拡大側面構成図、 第３図：第１図中Ａ−Ａ線断面図、 第４図：同蓋開閉装置を原理的に示す平面構成図。 尚図面中、 1:蓋開閉装置 2a,2b:ガイドレール部 3a,3b:キャリア部 5a,5b:リンク部、7:ガイド機構部 8:駆動部 11a,11b:第一ガイド部 12a,12b:第二ガイド部 14a:14b:ギアードワイヤ 15:ギア機構、16:駆動モータ C:蓋、F:床 S:開口部、Lo:一定区間 Le:一定区間以外の区間 P1:全閉位置、P2:下降位置 P3:全開位置

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床の開口部に付設する蓋を開閉するための
   床下収納庫の蓋開閉装置において、開口部の下方の両側
   に配し、かつ床に沿って設けた一対のガイドレール部
   と、各ガイドレール部に移動自在に装填したキャリア部
   と、蓋とキャリア部間に設けたリンク部と、閉方向終端
   から開方向への一定区間におけるキャリア部の移動によ
   って蓋が全閉位置と下降位置間を昇降し、かつ前記一定
   区間以外の区間におけるキャリア部の移動によって蓋が
   下降位置と全開位置間をガイドレール部に沿って移動可
   能にガイドするガイド機構部と、キャリア部を進退移動
   制御する駆動部を備えてなることを特徴とする床下収納
   庫の蓋開閉装置。
2. 【請求項２】リンク部はガイドレール部の長手方向に対
   して複数備えることを特徴とする請求項１記載の床下収
   納庫の蓋開閉装置。
3. 【請求項３】ガイド機構部は、前記一定区間における蓋
   に対して、上下方向のみの変位を許容する第一ガイド部
   と、キャリア部とリンク部を係合させることにより、前
   記一定区間におけるキャリア部の移動によりリンク部を
   昇降させる第二ガイド部を備えることを特徴とする請求
   項１記載の床下収納庫の蓋開閉装置。
4. 【請求項４】駆動部は先端をキャリア部に結合するギア
   ードワイヤと、ギアードワイヤに噛合するギア機構と、
   ギア機構に回転伝達する駆動モータを備えることを特徴
   とする請求項１記載の床下収納庫の蓋開閉装置。