JP2508919B2 - 予混合式燃焼バ―ナ - Google Patents

予混合式燃焼バ―ナ

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JP2508919B2
JP2508919B2 JP3280558A JP28055891A JP2508919B2 JP 2508919 B2 JP2508919 B2 JP 2508919B2 JP 3280558 A JP3280558 A JP 3280558A JP 28055891 A JP28055891 A JP 28055891A JP 2508919 B2 JP2508919 B2 JP 2508919B2
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昇 田窪
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、保炎体の表面に予混
合気による燃焼火炎を形成する形式の予混合式燃焼バー
ナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年大気汚染等環境問題から燃焼ガス中
の有害成分が極めて少ない都市ガス、LPG等のガス燃
料が産業上多用される傾向にあり、ボイラ等の産業機械
においてもガスバーナを用いたものが増加している。こ
れらガスバーナの一種に、微小孔を多数個形成した保炎
体を通して予混合気を噴出させ、この保炎体表面に多数
の微小火炎を形成する形式の所謂予混合式燃焼バーナが
あり、この形式のバーナは一般に表面燃焼バーナと称さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
な予混合式燃焼バーナにおいて、高負荷燃焼とするため
に予混合気の供給圧を高めると、保炎体表面からの微小
火炎は徐々に大きさを増していく。周知のように、燃焼
反応は、予混合気の噴出速度と燃焼速度が釣り合う領域
で行われるため、前記在来の予混合式燃焼バーナにおい
ては、予混合気の供給圧を高めるにしたがって、燃焼火
炎が一体化し、遂には燃焼反応領域は平坦面状となって
しまう。この状態では、供給される予混合気量に対して
燃焼反応領域が狭くなっており、火炎の安定性が悪く、
燃焼に振動を伴う。特に、予混合気の供給圧力の変動に
より、予混合気の噴出速度に変化が生じると、上述の釣
り合い状態が容易にくずれ、火炎にリフトや吹き消えが
生じる。また、この種のバーナにおける着火時には、火
炎が瞬時に保炎体全面に拡がるため、着火時の衝撃が大
きいという問題もある。
【0004】この問題を解決するためのものとしては、
所定個数の窓孔を穿設したフレームホルダー部材を保炎
体表面に配設する等して、微小孔を所定個数毎に密集さ
せたグループに区画したもの(図9参照)があるが、こ
のような予混合式燃焼バーナでは、燃焼熱により前記フ
レームホルダー部材が膨張して保炎体表面から離隔する
方向に湾曲し、更に、この変形によって更に燃焼熱を受
けて赤熱し、ついには焼損に至る可能性も否定できな
い。更に、この種の予混合式燃焼バーナにおいて、燃焼
時の騒音レベルは、フレームホルダー部材により低減さ
れているが、市場からは、より一層の低騒音化が要望さ
れており、商品価値を高める上で重要課題となってい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するためになされたもので、多数の予混合気噴出孔
を形成した保炎体と、この保炎体表面側に配置され、前
記多数の予混合気噴出孔を複数の小グループに区画する
フレームホルダー部材とからなり、前記保炎体表面側に
おいて、前記フレームホルダー部材の少なくとも一方の
側縁を連続した波型形状に形成し、更に、前記フレーム
ホルダー部材に、その長手方向に延びる隙間を形成し、
これら隙間の各開口縁に沿って、前記保炎体の裏面側に
向けて延びる脚部を設けたことを特徴とする予混合式燃
焼バーナである。
【0006】
【作用】この発明に係る予混合式燃焼バーナによれば、
保炎体表面に発生する燃焼火炎を複数の小グループに分
割しているフレームホルダー部材の少なくとも一方の側
縁を波型形状としてあるので、カルマン渦による共振周
波数を分散することができて、燃焼騒音の低下が達成さ
れる。
【0007】
【実施例】図1〜図4は、この発明に係る予混合式燃焼
バーナの一実施例を示すものである。図面において、保
炎体(10)は、この実施例においては、帯板状の薄肉の平
板(11)及び波板(12)を、厚み方向に交互に多数枚積層し
たものを枠状フレーム(13)にて保持させた構成である。
このような積層構造とすると、波板(12)同士が、互いに
密接することなく、平板(11)によって間隔を保持した状
態で積層でき、前記波板(12)の凹状部分(12a) と平板(1
1)とで囲まれた領域が、予混合気噴出孔(14)として機能
する。
【0008】前記保炎体(10)の表面側には、フレームホ
ルダー部材(20)を配置してあり、このフレームホルダー
部材(20)により、保炎体(10)の多数の予混合気噴出孔(1
4)を複数の小グループに区画している。前記フレームホ
ルダー部材(20)は、この実施例においては、断面L字形
状の桟状部材(21)(21)を互いの一面同士間に適宜の隙間
(22)を介在させた状態で、略T字型をなすように組合わ
せたもので、前記所定の隙間(22)を保持するために桟状
部材(21)(21)間に適宜のスペーサ(23)を介在させてあ
る。尚、このスペーサ(23)は、図示する実施例では上述
保炎体ユニット(10)の波板(12)と同様のものとしてあ
る。更に、前記桟状部材(21)(21)において、隙間(22)を
形成すべく互いに対向させた脚部(24)(24)は、保炎体ユ
ニット(10)を所定位置に収容するための保持部材として
機能すると共に、後述するようにフレームホルダー部材
(20)を冷却するための冷却部材として機能する。
【0009】更に、図示する実施例においては、これら
各フレームホルダー部材(20)における桟状部材(21)(21)
の互いに離隔する側の外側縁は適宜に切り欠いて連続し
波型形状に形成してあり、更に、桟状部材(21)(21)の
面一をなす側面部には、適宜の配設ピッチにて予混合気
噴出用の小孔(25)を穿設してある。
【0010】これらのフレームホルダー部材(20)は、前
記の枠状フレーム(13)内に、縦横に格子状に配置して構
成される。即ち、図示する実施例においては枠状フレー
ム(13)を長手方向に3分割する位置と、それら分割後の
各区画を枠状フレーム(13)の幅方向に5分割する位置
の、計14箇所に配置される。従って、このフレームホ
ルダー部材(20)により、保炎体(10)の予混合気噴出孔(1
4)は複数(この例では3行5列の15個)の小グループ
に区画される。
【0011】尚、前記構成の予混合式燃焼バーナの製作
に際しては、平板(11)と波板(12)を積層して保炎体(10)
を形成する際に、同時にフレームホルダー部材(20)を積
層し、これを枠状フレーム(13)に保持させるか、或い
は、枠状フレーム(13)に、予めフレームホルダー部材(2
0)を取り付けて、複数個の保炎体(10)の収容区画を形成
したのち、各収容区画に平板(11)と波板(12)を交互に積
層しながら収容すれば、所望の予混合式燃焼バーナが得
られる。
【0012】前記構成の予混合式燃焼バーナの燃焼時に
おいて、低負荷燃焼時は、前記フレームホルダー部材(2
0)の各予混合気噴出孔(14)の夫々に微小火炎が形成され
る。そして、予混合気の供給圧力を上げていくと、隣り
合う予混合気噴出孔(14)の火炎が一体化し、より大きな
火炎となっていくが、フレームホルダー部材(20)によ
り、前記予混合気噴出孔(14)は、複数の小グループに
画され、各グループは、桟状部材(21)によって互いに所
定距離、離隔しているため各グループ毎の火炎が一体化
しない。そのため、予混合気の供給圧力が高く、高負荷
燃焼状態であっても、安定した燃焼が行われる。また着
火時においては、各グループ毎に順次に火炎が形成され
るため、着火音、衝撃も小さく抑えることができる。
【0013】そして、この予混合式バーナが高負荷の定
常燃焼状態に移行した状態において、各グループの境界
縁近傍から噴出する予混合気は、フレームホルダー部材
(20)の側縁が波型形状とされているため、後流側におい
て定常的な渦流の発生が阻止され、従来問題となってい
た特定周波数成分の騒音レベルが低下する。即ち、フレ
ームホルダー部材(20)の周囲を流出していく予混合気
(或いは燃焼ガス)は、その後流両側において、流速と
フレームホルダー部材(20)の保炎部の幅に関係する規則
的な渦(カルマン渦)を生じるが、フレームホルダー部
材(20)の保炎部の形状を従来のごとく直線状に形成する
と、このカルマン渦は、フレームホルダー部材(20)の長
手方向に沿って連続した状態で発生することになり(図
4参照)、これが特定周波数の騒音発生の原因となる。
【0014】この発明のようにフレームホルダー部材(2
0)の保炎部の側縁形状を波型に形成すること、すなわ
ち、フレームホルダー部材(20)の側縁を直線状でなく、
適宜に変化させた形状とすることにより、前記フレーム
ホルダー部材(20)の長手方向に延びていてたカルマン渦
が適宜に分断されるため(図5参照)、特定周波数成分
の騒音レベルが低下するものと考えられる。
【0015】ここで、この定常燃焼状態において、フレ
ームホルダー部材(20)は、主に燃焼火炎からの軸射熱を
受け、加熱されるが、この予混合式燃焼バーナにおいて
は、桟状部材(21)に設けた隙間(22)から噴出する予混合
気により、フレームホルダー部材(20)表面が直接冷却さ
れ、更に、前記隙間(22)に至るまでに、脚部(24)(24)間
を通る予混合気により、これらの脚部(24)(24)を介して
フレームホルダー部材(20)表面が間接冷却されるため、
フレームホルダー部材(20)の熱変形及び、この熱変形に
起因する焼損等が防止でき、更に、前記脚部(24)(24)
が、フレームホルダー部材(20)の補強部材として機能す
るため、前記予混合気による冷却作用と共にフレームホ
ルダー部材(20)の熱変形を効果的に防止している。
【0016】尚、以上の説明において、フレームホルダ
ー部材(20)は、桟状部材(21)(21)の互いに離隔する側の
外側縁を適宜に切り欠いて台形波型形状に形成してある
が、図6〜8に示すような三角波型形状や曲線状の波型
形状としてもよく、また、前記の実施例では一対の桟状
部材(21)(21)の側縁形状を共に波型形状としてあるが、
少なくとも一方側が波型形状であればよい。
【0017】更に、前記フレームホルダー部材(20)は、
枠状フレーム(13)に直接溶接等により固定してあるが、
この枠状フレーム(13)に直接固定せず、別体としてあっ
てもよい。
【0018】また、フレームホルダー部材(20)による保
炎体(10)の区画は、上述のように3行5列に限らず、適
用する熱機械に応じて適宜変更可能である。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る予
混合式燃焼バーナは、保炎体表面に発生する燃焼火炎を
複数の小グループに分割しているフレームホルダー部材
の少なくとも一方の側縁を波型形状とすることにより、
フレームホルダ部材の後流に長手方向に連続して発生
する渦流を分割し、従来問題となっていた燃焼騒音の低
減が達成できる。
【0020】更に、この発明に係る予混合式燃焼バーナ
によれば、フレームホルダー部材は、隙間から噴出する
予混合気により、直接冷却され、また、この隙間に至る
までに冷却用脚部間を流通する予混合気により、この脚
部を介して間接的に冷却されるため、熱による前述の悪
影響を小さく抑えることができ、熱耐久性の極めて高い
予混合式燃焼バーナを得ることができる。
【0021】従って、この発明によれば、低騒音で、高
耐熱性を有する商品的価値の高い予混合式燃焼バーナを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る予混合式燃焼バーナの一実施例
を示す平面図である。
【図2】この発明に係る予混合式燃焼バーナの一実施例
における枠状フレームを示す斜視図である。
【図3】図1に示す予混合式燃焼バーナの保炎体の拡大
斜視図である。
【図4】この発明に係る予混合式燃焼バーナの機能を説
明するための斜視図である。
【図5】この発明に係る予混合式燃焼バーナの機能を説
明するための斜視図である。
【図6】この発明に係る予混合式燃焼バーナにおけるフ
レームホルダー部材の他の実施例を示す拡大平面図であ
る。
【図7】この発明に係る予混合式燃焼バーナにおけるフ
レームホルダー部材の更に他の実施例を示す拡大平面図
である。
【図8】この発明に係る予混合式燃焼バーナにおけるフ
レームホルダー部材の更に他の実施例を示す拡大平面図
である。
【図9】従来の予混合式燃焼バーナの一例を示す平面図
である。
【符号の説明】 (10) … 保炎体 (14) … 予混合気噴出孔 (20) … フレームホルダー部材 (24) … 脚部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−213904(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の予混合気噴出孔(14)を形成した保
    炎体(10)と、この保炎体(10)表面側に配置され、前記多
    数の予混合気噴出孔(14)を複数の小グループに区画する
    フレームホルダー部材(20)とからなり、前記保炎体(10)
    表面側において、前記フレームホルダー部材(20)の少な
    くとも一方の側縁を連続した波型形状に形成したことを
    特徴とする予混合式燃焼バーナ。
  2. 【請求項2】 前記フレームホルダー部材(20)に、その
    長手方向に延びる隙間(22)を形成し、これら隙間(22)の
    各開口縁に沿って、前記保炎体(10)の裏面側に向けて延
    びる脚部(24)(24)を設けたことを特徴とする請求項1記
    載の予混合式燃焼バーナ。
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