JPH0596721U - 表面燃焼バーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 確実な着火が行え、組立て作業性の高い表面
燃焼バーナを得ること。 【構成】 微小孔を多数個形成した保炎体を備え、この
微小孔から予混合気を噴出させて保炎体表面にて火炎を
形成する形式の表面燃焼バーナであって、所望形状の枠
状フレーム(20)と、この枠状フレーム(20)内を区画する
フレームホルダー部材(30)と、上記フレームホルダー部
材(30)によって区画された枠状フレーム(20)の各区画内
に収容配置される保炎体ユニット(10)とからなり、上記
フレームホルダー部材(30)は、その長手方向に延びる間
隙(32)を有し、この間隙(32)の各開口縁に沿って、所望
の隙間を保有し、保炎体ユニット(10)裏面側に向けて延
びる脚部(34)(34)…を備えていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、保炎体の表面に多数の微小火炎を形成する形式の表面燃焼バーナ に関し、更に詳しくは、複数の保炎体ユニットを連設・一体化してなる表面燃焼 バーナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年大気汚染等環境問題から燃焼ガス中の有害成分が極めて少ない都市ガス、 ＬＰＧ等のガス燃料が産業上多用される傾向にあり、ボイラー等の産業機械にお いてもガスバーナを用いたものが増加している。これらガスバーナの一種に、表 面燃焼バーナがあり、このバーナは、保炎体に形成した多数個の微小孔を通して 予混合気を流出させ、この保炎体表面に多数の微小火炎を形成する形式のもので ある。

【０００３】 上記の表面燃焼バーナにおいては、使用する機器によって容量を変更する必要 があり、一般には、小型の保炎体を単位ユニットとし、この保炎体ユニットを所 定個数組み合せた状態で所定の枠状フレームに収容することにより、各種容量の バーナを得ている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記のような表面燃焼バーナにおいて、枠状フレーム(1) に単位保 炎体ユニット(2) を収容する際に、各ユニット(2) 間の境界部分からの予混合気 （或は燃料ガス）のもれを防止するため、枠状フレーム(1) の上記対応箇所にシ ール用のフレームホルダー部材(3) を設け、このフレームホルダー部材(3) を上 記保炎体ユニット(1) の境界部分に密接させている（図１０参照）。

【０００５】 上記の構成のバーナの点火時において、点火装置（パイロットバーナ、スパー クプラグ等）に近接する予混合気噴出孔から順次隣の予混合気噴出孔に着火され るが、保炎体ユニット(2) から隣の保炎体ユニット(2) に火炎が移行する際には 、上記フレームホルダー部材(3) が周囲より低温であるためもあって、この火炎 の移行が妨げられ、着火完了までに長時間を要してしまう。その間に未着火状態 の保炎体ユニット(2) からは、予混合気が噴出しており、この予混合気が燃焼炉 等の閉鎖空間内で一気に着火されて、大きな衝撃音が発生し、最悪の場合は、爆 発事故につながる恐れがある。

【０００６】 特に、上記保炎体ユニット(2) が、平板(4) と波板(5) とを積層してなるコル ゲートバーナ形式のものにおいては、保炎体ユニット(2) の周囲に平板(4) と波 板(5) の積層体を一体化するために枠状の締付部材(6) を設けてあるが、この締 付部材(6) がフレームホルダー部材(3) 同様に火炎の移行を阻害するため、上記 の問題は一層顕著なものとなる（図１１参照）。

【０００７】 更に、この種表面燃焼バーナは、定常燃焼時においても以下の様な問題があっ た。即ち、上述の様なフレームホルダー部材(3) は、燃焼火炎からの輻射熱によ って時の熱によって、熱変形を生じ、バーナ表面（保炎体ユニット表面）から浮 き上がって上記のような予混合気の漏れを生じたり、更には、枠状フレーム(1) とフレームホルダー部材(3) の熱負荷の差から、枠状フレーム(1) 自体を変形さ せていた。また、上記フレームホルダー部材(3) の変形のみにとどまった場合に おいても、バーナ表面から浮き上がった状態の枠状フレーム(1) が燃焼火炎から の輻射熱によって焼損する場合が有った。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記課題を解決するためになされたもので、微小孔を多数個形成 した保炎体を備え、この微小孔から予混合気を噴出させて保炎体表面にて火炎を 形成する形式の表面燃焼バーナであって、所望形状の枠状フレームと、この枠状 フレーム内を区画するフレームホルダー部材と、上記フレームホルダー部材によ って区画された枠状フレームの各区画内に収容配置される保炎体ユニットとから なり、上記フレームホルダー部材は、その長手方向に延びる間隙を有し、この間 隙の各開口縁に沿って、所望の隙間を保有し、保炎体ユニット裏面側に向けて延 びる脚部を備えていることを特徴とする表面燃焼バーナである。

【０００９】

【実施例】

図１〜図６は、この考案に係る表面燃焼バーナの一実施例を示すものである。 図１において、(10)は保炎体ユニット、(20)は、枠状フレーム、(30)は、各保 炎体ユニット(10)の多数の予混合気噴出孔(14)を複数の小グループに区画するフ レームホルダー部材を示す。

【００１０】 上記保炎体ユニット(10)は、この実施例においては、帯板状の薄肉の平板(11) 及び波板(12)を、厚み方向に交互に多数枚積層したもので、このような構造とす ると、波板(12)同士が、互いに密接することなく、平板(11)によって間隔を保持 した状態で積層でき、上記波板(12)の凹状部分(12a) と平板(11)とで囲まれた領 域が、予混合気の噴出孔(14)として機能する。

【００１１】 上記枠状フレーム(20)は、矩形状の枠部(21)と、この枠部(21)の一端側開口周 縁から内方に向けて延び、保炎体ユニット(10)を支持するための受けフランジ部 (22)と、この枠部(21)の他端側開口周縁から外方に向けて延び、表面燃焼バーナ を適用する熱機器に取付けるための取付けフランジ部(22)とを一体的に形成した ものである。

【００１２】 上記の枠状フレーム(20)には、枠状フレーム(20)を所定数に区画するフレーム ホルダー部材(30)を配置してある。図示する実施例においては枠状フレーム(20) を長手方向に３分割する位置と、それら分割後の各区画を枠状フレーム(20)の幅 方向に５分割する位置の、計１４箇所に配置される。従って、このフレームホル ダー部材(20)により、保炎体ユニット(10)の噴出孔(14)は複数（この例では３行 ５列の１５個）の小グループに区画される。尚、上記フレームホルダー部材(30) のうち、枠状フレーム(20)の対向する側壁間を連結するように配置したフレーム ホルダー部材(30)は、枠状フレーム(20)に対し、溶接等により結合されている。

【００１３】 このフレームホルダー部材(30)は、断面Ｌ字形状の桟状部材(31)(31)を互いの 一面同士間に適宜の隙間(32)を介在させた状態で、略Ｔ字型をなすように組合わ せた構成となっており、上記所定の隙間(32)を保持するために桟状部材(31)(31) 間に適宜のスペーサ（この実施例では上述保炎体ユニット(10)の波板(12)と同様 のもの）(33)を介在させてある。尚、上記桟状部材(31)(31)において、隙間(32) を形成すべく互いに対向させた面(34)(34)は、保炎体ユニット(10)を所定位置に 収容するための保持部として機能すると共に、後述するようにフレームホルダ部 材(30)を冷却するための脚部(34)(34)として機能する。

【００１４】 図示する実施例においては、これら各フレームホルダー部材(30)における桟状 部材(31)(31)の互いに離隔する側の外側縁を適宜に切り欠いて波型形状に形成し てあり、更に、各桟状部材(31)(31)の面一をなす側面部には、適宜の配設ピッチ にて予混合気噴出用の小孔(35)を穿設してある。

【００１５】 以上のように枠状フレーム(20)に、フレームホルダー部材(30)を取り付けるこ とによって、複数個の保炎体ユニット(10)の収容区画が形成され、この各収容区 画に保炎体ユニットを収容する。この実施例では、保炎体ユニットは、平板と波 板を交互に積層した構成であるため、各収容区画に平板(11)と波板(12)を交互に 積層したものを収容するか、或いは、平板(11)と波板(12)を交互に積層しながら 収容すれば、所望の表面燃焼バーナが得られる。

【００１６】 上記構成の表面燃焼バーナは、ボイラ等の熱機器に取付けて使用するが、その 取付けに際しては、次の様に行う。尚、以下では、この表面燃焼バーナを多管式 貫流ボイラに装着する場合を示す。

【００１７】 図４〜５において、(40)は、多管式貫流ボイラの缶体で、この缶体(40)は、互 いに平行をなす２つの水管壁(41)(41)間に多数の水管(42)多数本配置して構成さ れており、この水管壁(41)(41)間の一端側で挟まれる開口部(43)に、ウインドボ ックス(44)を介して上記の表面燃焼バーナ(A) が取り付けられる。

【００１８】 即ち、表面燃焼バーナ(A) は、矩形状シール部材(45)を介してウインドボック ス(44)の底板部(46)に固定されており、この状態のウインドボックス(44)は、矩 形状シール部材(47)を介して缶体ケーシング(48)に取付けられる。

【００１９】 尚、図面において、参照番号(50)は、断面コ字状のバーナ保護板で、ウインド ボックス底板部(46)よりも缶体側に突出する枠状フレーム(20)を囲むようにコ字 枠状に組合わされて底板部(46)に固定され、枠状フレーム(20)の突出部分を輻射 熱から保護する。(51)(52)は、保護板(50)の内側に装着される断熱シール材、(5 3)は、保護板(30)に固着される断熱シール材で、先端が水管(41)に圧接して水管 と保護板(30)との間を断熱シールする。

【００２０】 上記の構成のバーナの点火時において、点火装置（パイロットバーナ、スパー クプラグ等）に近接する予混合気噴出孔から順次隣の予混合気噴出孔に着火され るが、保炎体ユニット(10)から隣の保炎体ユニット(10)に火炎が移行する際には 、上記フレームホルダー部材(30)の隙間(32)並びに小孔(35)から噴出する予混合 気に火炎が形成されるため、隣の保炎体ユニット(10)への火炎の移行が円滑に行 われ、表面燃焼バーナの全保炎体ユニット(10)が燃焼状態となる。

【００２１】 そして、定常燃焼に移行した状態において、低負荷時は、前記多数の予混合気 噴出孔(14)の夫々に微小火炎が形成される。この状態から予混合気の供給圧力を 上げていくと、隣り合う噴出孔(14)同志の火炎は一体化してより大きな火炎とな っていくが、これら噴出孔(14)は、フレームホルダー部材(30)により、複数の小 グループに区画され、互いに所定距離、離隔しているため、各グループ毎の火炎 が一体化しない。そのため、予混合気の供給圧力が高く、高負荷燃焼状態であっ ても、安定した燃焼が行われる。また着火時においては、各グループ毎に順次に 火炎が形成されるため、着火音、衝撃も小さく抑えることができる。

【００２２】 以上の燃焼状態において、フレームホルダー部材(20)は、 主に燃焼火炎から の軸射熱を受け、加熱される。しかし、この考案に係る表面燃焼バーナにおいて は、フレームホルダー部材(30)の隙間(32)から噴出する予混合気により、フレー ムホルダー部材(30)表面が直接冷却され、更に、上記隙間(32)に至るまでに、脚 部(34)(34)間を通る予混合気により、これらの脚部(34)(34)を介してフレームホ ルダー部材(30)表面が間接冷却される。そのため、フレームホルダー部材(30)の 熱変形及び、この熱変形に起因するガス漏れや焼損等が防止できる。更に、上記 脚部(34)(34)が、フレームホルダー部材(30)の補強部材として機能するため、上 記フレームホルダー部材(30)の熱変形は、上記予混合気の冷却作用と共に有効に 防止できる。

【００２３】 尚、以上の説明において、フレームホルダー部材(30)は、桟状部材(31)(31)の 互いに離隔する側の外側縁を適宜に切り欠いて台形波型形状に形成してあるが、 図７〜９に示すような曲線状の波型形状としてもよく、また、この桟状部材(31) (31)の側縁形状は、直線状であってもよい。 更に、上記フレームホルダー部材(30)は、枠状フレーム(20)に直接溶接等によ り固定してあるが、この枠状フレーム(20)に直接固定せず、別体としてあっても よい。

【００２４】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案に係る表面燃焼バーナによれば、各保炎体ユニ ットの境界部分を略Ｔ字形状のフレームホルダー部材で区画することにより、枠 状フレーム内に収容した各保炎体ユニットへの火炎の移行が円滑に行えると共に 、保炎体ユニット間からの予混合気（或いは燃料ガス）の漏れを防止することが できるため、従来問題となっていた部分的な不着火や、爆発事故の危険性を解消 でき安全な着火動作を保証できる。加えて、このフレームホルダー部材は、間隙 から噴出する予混合気により、直接冷却され、また、この間隙に至るまでに脚部 間を流通する予混合気により、この脚部を介して間接的に冷却されるため、熱に よる前述の悪影響を小さく抑えることができ、熱耐久性の極めて高い表面燃焼バ ーナを得ることができる。 更にこの表面燃焼バーナの組み立てに際しては、フレームホルダー部材によっ て区画した枠状フレームの各収容区画内に単位保炎体ユニットを収容すればよい から、生産性が高く、コストダウンが達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る表面燃焼バーナの一実施例を示
す平面図である。

【図２】この考案に係る表面燃焼バーナにおける枠状フ
レームの斜視図である。

【図３】第１図の要部の拡大斜視図である。

【図４】この考案に係る表面燃焼バーナを熱機器に装着
した場合の平面図である。

【図５】図４の詳細図である。

【図６】この考案に係る表面燃焼バーナの機能を説明す
るための断面図である。

【図７】この考案におけるフレームホルダー部材の他の
実施例を示す拡大平面図である。

【図８】この考案におけるフレームホルダー部材の更に
他の実施例を示す拡大平面図である。

【図９】この考案におけるフレームホルダー部材の更に
他の実施例を示す拡大平面図である。

【図１０】従来の予混合式の表面燃焼バーナの一例を示
す平面図である。

【図１１】従来の予混合式の表面燃焼バーナの他の例を
示す平面図である。

【符号の説明】

(10) … 保炎体ユニット (11) … 平板 (12) … 波板 (20) … 枠状フレーム (30) … フレームホルダー部材 (31) … 桟部 (32) … 間隙 (34) … 脚部 (35) … 窓孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 曽我部 崇 愛媛県松山市堀江町７番地 三浦工業株式 会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 微小孔を多数個形成した保炎体を備え、
   この微小孔から予混合気を噴出させて保炎体表面にて火
   炎を形成する形式の表面燃焼バーナであって、 所望形状の枠状フレーム(20)と、 この枠状フレーム(20)内を区画するフレームホルダー部
   材(30)と、 上記フレームホルダー部材(30)によって区画された枠状
   フレーム(20)の各区画内に収容配置される保炎体ユニッ
   ト(10)とからなり、 上記フレームホルダー部材(30)は、その長手方向に延び
   る間隙(32)を有し、この間隙(32)の各開口縁に沿って、
   所望の隙間を保有し、保炎体ユニット(10)裏面側に向け
   て延びる脚部(34)(34)…を備えていることを特徴とする
   表面燃焼バーナ。
2. 【請求項２】 請求項１記載のフレームホルダー部材(3
   0)に、複数個の予混合気噴出用小孔(35)を穿設してある
   ことを特徴とする表面燃焼バーナ。
3. 【請求項３】 上記保炎体ユニット(10)が、帯板状の薄
   肉の平板(11)及び波板(12)を、厚み方向に交互に多数枚
   積層した構造であることを特徴とする請求項１乃至２記
   載の表面燃焼バーナ。