JP2508468Y2 - 紙製折り函 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、紙製折り函に係るも
ので、詳しくは、保温、保冷性を有し、しかも美粧性を
備えた紙製折り函に関するものであり、従来の発泡ポリ
スチロ−ルの函に代替えできる紙製折り函の提供を目的
とするものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、満足な保温、保冷性を有した紙製
折り函は実用化されていなかった。保温、保冷性が要求
される場合には、発泡ポリスチロ−ルの函がよく使用さ
れていた。発泡ポリスチロ−ルの函は、保温、保冷性と
いう狭い観点から見ると、優れているが、一旦不要なご
みになると、不燃物であり、しかも不腐物であるため
に、地球を汚染する最たる元凶の一つと見做され、地球
規模で問題視されている。

【０００３】しかも、その製法がインジェクションマシ
ンによる金型注形であるために、金型の製作に膨大な費
用を要し、従って、その費用を吸収し、市場性のあるコ
ストに押さえるためには、巨大ロットでの量産が不可欠
であり、必然的に商品の個性を無視して、大きさ、デザ
イン等を画一的なものにせざるを得ないという問題点が
あった。

【０００４】また、発泡ポリスチロ−ルの函の表面に、
直接印刷を施すことが不可能であるために、その函に収
納されている商品等を表示する場合には、商品等を表示
したラベルを貼付する方法しかなく、美粧性に劣るとい
う問題点も有していた。

【０００５】

【考案解決しようとする課題】この考案は、従来の技術
で述べた３つの大きな問題点、即ち、地球環境の汚染、
商品の個性を無視した画一性及び貧弱な美粧性という問
題点を解決するためになされたもので、保温、保冷性を
含め、従来の発泡ポリスチロ−ルの函に代替えできる紙
製折り函の提供を目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】函の材料としては、片面
にアルミを蒸着した段ボ−ル紙を使用するのである。収
納される商品等に合わせて、函の設計を行なうが、この
場合、折り函を完成させた時に、アルミ蒸着層が常に外
側に位置し、左右前後の壁が、適宜の幅の空隙を有する
二重壁になるように設計するのである。

【０００７】蓋の方は、従来の通り、函に嵌合するよう
な一重壁でよいが、アルミ蒸着層が常に外側に位置する
ようにするのである。

【０００８】上記の手順で折り上がった函の底と蓋の天
井とは一重壁になっているので、まず、函の底部に、ア
ルミ蒸着層が外面に位置し、函の底面との間に適宜深さ
の空隙を有するように折って仕上げた上げ底を装着する
のである。

【０００９】蓋も同様に、その天井部に天井面との間に
適宜深さの空隙を有するように折って仕上げた下げ天井
を装着するのである。

【００１０】つぎに、函の壁、底及び蓋の天井部にある
各空隙部に、エア−ガンで、ビ−ズ状の発泡紙を吹き込
み、各空隙部をビ−ズ状の発泡紙で充填するのである。
なお、ビ−ズ状の発泡紙を充填する作業工程は、限定的
なものではなく、函と蓋を別工程で行なってもよい。

【００１１】

【作用】まず、微量のアルミ蒸着層を含んでいるが、問
題視される量ではなく、殆どを占める主材料が可燃物の
紙であるので、可燃物のごみとして処理できるし、又そ
のまま棄てても、バクテリア分解して土に戻るので、地
球環境を害することがない。

【００１２】折り函としての使用状態を見ると、アルミ
蒸着層が常に外面に位置しているので、まず、このアル
ミ蒸着層の面で、外部から来る輻射熱及び収納された商
品等から出る輻射熱を遮断する。

【００１３】函の壁、底及び蓋の天井部にある各空隙部
に、充填されたビ−ズ状の発泡紙層は、空気を多量に含
んでいるので、外部及び内部から伝導や対流によって伝
って来る熱を遮断する。

【００１４】なお、アルミ蒸着層には、印刷が自由にで
きるので、函面には商品等の個性に合ったデザインを印
刷することができる上に、アルミ蒸着層そのものがきれ
いな光沢を有しているため、美粧性に優れている。

【００１５】

【実施例】片面にアルミ蒸着層（１）を有する段ボ−ル
紙（２）を、アルミ蒸着層（１）が外面に位置し、前
壁、後壁、左壁及び右壁に適宜幅の空隙（３）を有する
ように折ってなる函（４）の底部に、段ボ−ル紙（２）
のアルミ蒸着層（１）が外面に位置し、函（４）の底面
との間に適宜深さの空隙（５）を有するように折ってな
る上げ底（６）を装着する。ついで、適宜形状のノズル
を装着したエア−ガンを使用し、空隙（３，５）の適宜
箇所にノズルの先端を差し込み空隙（３，５）にビ−ズ
状の発泡紙（７）を吹き込み，空隙（３,５）を埋め込
んで函本体（８）を構成させるのである。つぎに、蓋
（９）については、段ボ−ル紙（２）のアルミ蒸着層
（１）が外面に位置するように折ってなる蓋（９）の天
井部に蓋（９）の天井面との間に適宜深さの空隙（１
０）を有するように折ってなる下げ天井（１１）を装着
し、函本体（８）と同様な方法で、空隙（１０）にビ−
ズ状の発泡紙（７）を吹き込み、空隙（１０）を埋め込
んで蓋本体（１２）を構成させるのである。蓋本体（１
２）は、函本体（８）に嵌合されることは、勿論のこと
である。

【００１６】なお、ビ−ズ状の発泡紙（７）に予め接着
剤を塗布しておくと、ビ−ズ状の発泡紙層は菓子のおこ
しのような状態になり、壁部を補強する作用をも発揮す
るので、好ましい。また、ビ−ズ状の発泡紙の大きさに
ついては、実験結果から、空隙幅や深さの約半分以下が
適当であったが、特に限定的な条件ではない。また、ビ
−ズ状の発泡紙には、紙質に制限がないので、古新聞等
の古紙の使用も自由にできる。

【００１７】図４には、折上げたときに、桝状の二重壁
になるように、設計した函（７）の展開図の一例を示し
たが、収納される商品等の大きさ、形状等によって、い
ろいろな形状の函を、一枚の段ボ−ル紙から作ることが
できる。なお、アルミ蒸着面には、商品等の個性に合っ
たデザインを自由に印刷することができる。

【００１８】

【効果】この考案は上述のように構成されているので、
次のような効果を呈する。

【００１９】不要になったごみは、可燃物のごみとして
処理できるし、又そのまま棄てても、バクテリア分解し
て土に戻るので、地球環境を害することがない。

【００２０】アルミ蒸着層が常に外面に位置しているの
で、まず、このアルミ蒸着層の面で、外部から来る輻射
熱及び収納された商品等から出る輻射熱を遮断し、函の
壁、底及び蓋の天井部にある各空隙部に、充填されたビ
−ズ状の発泡紙層は、空気を多量に含んでいるので、外
部及び内部から伝導や対流によって伝る熱を遮断するの
で、保温、保冷性に優れている。

【００２１】アルミ蒸着層には、印刷が自由にできるの
で、函面には商品等の個性に合ったデザインを印刷する
ことが自由にでき、美粧性に優れている。さらに、アル
ミ蒸着層そのものがきれいな光沢を有しているので、そ
のままの状態でも、美粧性に優れている。

【００２２】高価な金型が不要であるので、従来の発泡
ポリスチロ−ルの函とは逆に、小ロットである程、安価
な製品を作ることができ、小ロット化の傾向にある現在
社会のニ−ズによくマッチしている。

【００２３】また、函の用途に応じて、断熱層の厚さや
形状等を自由に変えることができる等の数多くの優れた
効果を有し、工業的利用価値は顕著である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施の一例を示す斜視図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ切断面図である。

【図３】片面にアルミ蒸着層を有する段ボ−ル紙の拡大
断面図である。

【図４】この考案の実施の一例を示す函の展開図であ
る。

【符号の説明】

１ アルミ蒸着層 ２ 段ボ−ル紙 ３ 空隙 ４ 函 ５ 空隙 ６ 上げ底 ７ ビ−ズ状の発泡紙 ８ 函本体 ９ 蓋 １０ 空隙 １１ 下げ天井 １２ 蓋本体

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 片面にアルミ蒸着層（１）を有する段ボ
   −ル紙（２）を、アルミ蒸着層（１）が外面に位置し、
   前壁、後壁、左壁及び右壁に適宜幅の空隙（３）を有す
   るように折ってなる函（４）の底部に、段ボ−ル紙
   （２）のアルミ蒸着層（１）が外面に位置し、函（４）
   の底面との間に適宜深さの空隙（５）を有するように折
   ってなる上げ底（６）を装着し、各空隙（３，５）には
   ビ−ズ状の発泡紙（７）を埋め込んで成る函本体（８）
   と、段ボ−ル紙（２）のアルミ蒸着層（１）が外面に位
   置するように折ってなる蓋（９）の天井部に蓋（９）の
   天井面との間に適宜深さの空隙（１０）を有するように
   折ってなる下げ天井（１１）を装着し、空隙（１０）に
   はビ−ズ状の発泡紙（７）を埋め込んで成り、函本体
   （８）と嵌合する蓋本体（１２）との組み合わせから成
   ることを特徴とする紙製折り函。