JP2506227B2 - 鋼の窒化方法およびそれに用いる熱処理炉 - Google Patents

鋼の窒化方法およびそれに用いる熱処理炉

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JP2506227B2
JP2506227B2 JP19952690A JP19952690A JP2506227B2 JP 2506227 B2 JP2506227 B2 JP 2506227B2 JP 19952690 A JP19952690 A JP 19952690A JP 19952690 A JP19952690 A JP 19952690A JP 2506227 B2 JP2506227 B2 JP 2506227B2
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春男 仙北谷
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鋼材の表面に窒化層を形成するにあたり、
特殊な前処理を施して窒化層を深く均一に形成すると同
時に、単位時間当たりの処理量を向上することができる
鋼の窒化方法およびそれに用いる熱処理炉に関するもの
である。
〔従来の技術〕
耐摩耗性,耐食性,疲労強度等の機械的性質を向上さ
せる目的で、鋼材の表面に窒化層を形成する窒化方法が
採用されている。このような窒化法の中でも代表的な方
法として、アンモニアのみの単独ガス、またはアンモニ
アと炭素源を有するガス(RXガス)との混合ガスによる
窒化(ガス窒化,ガス軟窒化)法がある。これらの方法
は、合金鋼や複雑な形状のワークを処理する場合、窒化
ムラが生じやすい等処理の安定性に問題がある。
一般に、鋼材は500℃以上の温度で窒化されるが、鋼
材表面層への窒素の吸着,拡散には有機,無機系成分に
よる汚れはもちろんのこと、酸化皮膜の存在しないこと
が求められる。また、鋼材表面層自体の活性度が高いこ
とも求められる。しかしながら、実際には上記のような
窒化に際して、酸化皮膜の形成を防止することならびに
鋼材表面層の完全活性化は不可能である。例えば、オー
ステイナイト系のステンレスの冷間加工品等の場合は、
上記ステンレスを処理炉に装入する前にフツ硝酸洗浄し
て表面の不働態膜を除去することが行われるが、不働態
膜の完全な除去が困難であり、また鋼材表面層の完全活
性化を実現することができない。したがつて、満足な窒
化層を形成するのは、殆ど不可能である。また、鋼材表
面に対する有機,無機系成分による汚れの除去は、窒化
前にアルカリ脱脂もしくはトリクロロエタン等を用いた
有機洗浄が行われるが、最近の公害規制(オゾン層の破
壊に対する規制)により、最も洗浄効果の高い有機洗浄
ができにくい環境になつており、したがつて、これも良
好な窒化層の形成の大きな障害となつている。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、本発明者らは、窒化に先立つて鋼材をフツ素
系ガス雰囲気下で加熱状態で保持してフツ化処理し、つ
いで窒化処理すると、鋼材表面の浄化(有機,無機系成
分の汚れの除去ならびに酸化皮膜等の除去)および活性
化を実現でき良好な窒化層を形成しうることを見いだ
し、すでに特許出願している(特願平1−177660号)。
この方法は、まず鋼材を炉中において加熱し昇温させそ
の状態で、NF3のようなフツ素系ガスと接触させ前処理
する。その結果、活性化したフツ素原子により鋼材の表
面に付着していた有機,無機系の汚れ成分が破壊され表
面の汚れが除かれると同時に鋼材表面の酸化皮膜等の不
働態膜がフツ化膜に変化して鋼材表面がフツ化膜で被覆
保護された状態になる。つぎに、これを窒化する。上記
フツ化膜は、窒化処理に際して、加熱下で窒素源を有す
る窒化ガス(例えばNH3ガス)とH2ガスとの混合ガスを
炉内に導入することにより、破壊され除去される。より
詳しく述べると、上位フツ化膜の破壊除去により浄化さ
れ活性化された鋼材表面が現れ、この浄化され活性化さ
れた鋼材生地に窒化ガス中のN原子が迅速に内部浸透拡
散し、深い窒化層を均一に形成するようになる。そして
本発明者らは、さらに上記基本発明の実施に当たつて2
室型の炉装置を提唱(特願平1−333425号)している
が、この装置により実際に操業実験を行つた結果、上記
フツ素系ガスを使用するフツ化処理の時間と、鋼材を窒
化する窒化処理の時間とに大幅な差異があり、したがつ
て、鋼材の前処理から窒化処理に至る一連の作業が効率
よく行えないという問題を生じた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、鋼
材の前処理から窒化処理の一連の工程を効率よく行うこ
とができ、しかも均一で深い窒化層を形成しうる鋼の窒
化方法およびそれに用いる熱処理炉の提供をその目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、鋼材を第1の
熱処理炉においてフツ素系ガス雰囲気下で加熱状態で保
持したフツ化処理したのち、第2の熱処理炉において窒
化ガス雰囲気下で加熱状態で保持して窒化処理する鋼の
窒化方法において、上記第1の熱処理炉の単位時間当た
りの鋼材処理量に対応する数の第2の熱処理炉を設け、
上記第1の熱処理炉でフツ化処理を終えた鋼材を順次上
記複数の第2の熱処理炉に導入して窒化処理する鋼の窒
化方法を第1の要旨とし、内部に鋼材を出し入れ自在に
装填する吊上げ型のインナーカバーと、一定の空間を保
つた状態でインナーカバーを被覆する吊上げ型の鐘状ア
ウターカバーを備え、インナーカバー内をフツ化処理室
に形成し、このフツ化処理室にフツ素系ガスの供給パイ
プおよび排気パイプを設け、インナーカバーとアウター
カバーとの間を加熱室に形成し、この加熱室にフツ化処
理室加熱用手段を設けたことを特徴とするフツ化処理用
の熱処理炉を第2の要旨とし、内部にフツ化処理を終え
た鋼材を出し入れ自在に装填する吊上げ型のインナーカ
バーと、一定の空間を保つた状態でインナーカバーを被
覆する吊上げ型の鐘状アウターカバーを備え、インナー
カバー内を窒化処理室に形成し、この窒化処理室に窒化
ガスの供給パイプおよび排気パイプを設け、インナーカ
バーとアウターカバーとの間を加熱室に形成し、この加
熱室に窒化処理室加熱用手段を設けたことを特徴とする
窒化処理用の熱処理炉を第3の要旨とする。
〔作用〕
本発明の鋼の窒化方法は、上記のように前記基本発明
と同様、窒化処理に先立つて、鋼材に対して、フツ素系
ガスを使用して特殊な前処理を行うことから、深く均一
な窒化層を形成することができるうえ、前処理と窒化処
理とを同一の炉で行うのではなく別個の炉で行うように
し、かつ両炉の設立割合を、フツ化処理用熱処理炉の単
位時間当たりの鋼材処理量と窒化処理用熱処理炉の単位
時間当たりの鋼材処理量とを基準に合理的に設定してい
ることから、単位時間当たりの窒化量の大幅な向上を実
現しうるようになる。
また、本発明の熱処理炉によれば、インナーカバーと
アウターカバーとが吊り上げ可能になつているので、フ
ツ素系ガス、窒化ガス等によりインナーカバーの内面や
フアン類が損耗しても、インナーカバーを吊り上げて、
その内部補修が簡単に、手速く行える。また、損耗の点
検も簡単に行うことができる。
つぎに、本発明について詳しく説明する。
本発明では、フツ素系ガスを用いて鋼材の表面を前処
理する。
上記フツ素系ガスは、NF3,BF3,CF4,HF,SF6,F2の単独
もしくは混合物からなるフツ素源成分をN2等の不活性ガ
ス中に含有させたガスのことである。上記NF3,BF3,CF4,
F2は常温で気体であり、SF6は常温で液体である。そし
て、これらは単独でもしくは併せてN2等の不活性ガス中
に混合され、不活性ガスとともに、本発明におけるフツ
素系ガスを構成する。上記フツ素源成分のなかでも、安
全性,反応性,コントロール性,取扱性等の点でNF3
最も優れており実用的である。F2は反応性,毒性が大き
すぎ取扱性や炉の操作性に難点があることからあまり好
適ではない。BF3,SF6のようなガスも窒化層形成におい
ては有効であるが、有害なB,Sによる反応物の生成にお
いて、一般には適切ではない。また、FCl3のようなガス
は、昇華性の高いFeCl3等塩化物の生成の点でも望まし
くない。そして、一般に、フツ素系ガスは、高温雰囲気
下で用いられるものであり、このようなフツ素系ガスで
は、効果の点から、NF3等のフツ素源成分が0.05〜20%
(重量基準、以下同じ)の濃度に設定される。好ましい
のは2〜7%であり、より好ましいのは3〜5%の範囲
内である。
本発明の対象となる鋼材の中には、炭素鋼,ステンレ
ス鋼等各種の鋼材が含まれる。これら鋼材の形状等は特
に限定するものではなく、板やコイルの状態であつても
加工されてネジ等の形状になつていても差し支えはな
い。なお、本発明の鋼材には上記のような単体材料だけ
ではなく、上記の材料を適宜に配合した合金ないしは上
記の材料を主要成分とし、これに上記以外の他の金属材
料を配合した合金も含まれる。
本発明は、上記鋼材を例えばつぎのようにしてフツ化
処理する。すなわち、フツ化処理用の第1の加熱炉中に
上記鋼材を入れ加熱して鋼材を150〜600℃、好適には25
0〜380℃の温度に昇温させる。つぎに、その状態で上記
加熱炉中にNF3等のフツ素系ガスを導入し、上記鋼材を
上記温度においてNF3等のフツ素ガス雰囲気中に10〜120
分、好適には20〜90分、より好適には30〜60分程度保持
する。これにより鋼材表面の不働態膜(主として酸化膜
からなる)がフツ化膜に変化する。この反応は例えば、
下記の式にもとづいて行われる。
FeO+2F→FeF2+1/2O2 Cr2O3+4F→2CrF2+3/2O2 上記工程は、第1図に示すような構造のフツ化処理用
の熱処理炉を用いて行われる。図において、1は鐘状の
アウターカバー、2は上記アウターカバーで被覆される
円筒状のインナーカバーである。上記アウターカバー1
の頂部にはクレーン等のフツクを引掛けるための係合部
10aをもつ枠体10が一体的に設けられている。また、上
記インナーカバー2の上部にはクレーン等のフツクを引
掛けるための係合部11aをもつ蓋体11が一体的に設けら
れている。上記インナーカバー2内はフツ化処理室に形
成され、両カバー1,2の間の空間が加熱室に形成され
る。3は上記インナーカバー2内に出し入れ自在に装填
される鋼材である。この鋼材3は、中心穴14付きの台枠
15上に積載され、その中心穴14から上方に延びる第1の
円筒状網状体16と、台枠15の外周から上方に延びる第2
の円筒状網状体17aとの間の空間に、中心穴付きの多孔
状区切板17bを介して多段に積層される。4は上記アウ
ターカバー1の低部側の周壁に設けられたバーナー装入
用穴、4aはアウターカバー1の上部側の周壁に設けられ
た排気穴である。5はベース、6は炉気循環フアンで、
上記台枠15の中心穴14に対面し中心穴14およびそこから
上方に延びる円筒状網状体16を経由して炉気を循環させ
る。7は熱交換器でインナーカバー2のベースから下方
に延びるパイプ7aに設けられている。8は熱交換器7に
続いてパイプ7aに設けられた強制冷却用循環ブロワ、9
はインナーカバー2内にNF3等のフツ素系ガスを導入す
るパイプである。12aはインナーカバー2内の排ガスを
導出する排ガスパイプで、中間部が2股に分岐してお
り、一方の分岐パイプ17には弁18が設けられ、他方の分
岐パイプ19には弁20および真空ポンプ21が設けられてい
る。インナーカバー2内の排ガス圧力が高いときは分岐
パイプ17の経路が用いられ、低いときには真空ポンプ21
の吸引力で真空排気するため分岐パイプ19の経路が用い
られる。12は除害装置であり上記排ガスパイプ12aの終
端に連結されている。この除害装置12は、左右一対の活
性炭筒22とこれの外周に巻回されたヒータコイル23とフ
イン型熱交換器24とからなり、排ガスを左右一対の活性
炭筒22に導き排ガス中の残留NF3等を活性炭と熱反応さ
せて無害のCF4に変え、これをフイン型熱交換器24に導
入して冷却する。13は上記熱交換器24から延びるパイプ
25に設けられたスクラバーで、内部に水が収容され、パ
イプ25から導入される排ガスを気泡状にして排ガス中の
HF(インナーカバー2内においてNF3がH2O,H2と反応し
て副生する)を水中に溶解させることにより排ガスを完
全に無害化し、大気中に放出する。
この熱処理炉において、アウターカバー1およびイン
ナーカバー2の係合部10a,11aにクレーン等(図示せ
ず)のフツクを引つ掛けて、アウターカバー1およびイ
ンナーカバー2をクレーン等で吊り上げる。その状態
で、台枠15上に鋼材3を図示のように載置した後、アウ
ターカバー1およびインナーカバー2を下げて元の状態
(第1図の状態)にする。つぎに、アウターカバー1と
インナーカバー2との間に形成される加熱室に、バーナ
ー装入用穴4に装入されたバーナー(図示せず)から熱
火炎を放射する。これにより、インナーカバー2内の鋼
材3が加熱される。つぎに、インナーカバー2内に、そ
の底部からパイプ9を経由してNF3等のフツ素系ガスを
導入しフツ素処理する。このようにしてフツ素処理する
時間は、通常、先に述べたように30〜60分程度である。
上記フツ化処理がなされた鋼材3は、表面がフツ化皮
膜で覆われていることから空気等の外気にふれても、表
面が酸化されることなく好適に保護される。そして、こ
の状態で保管されるか、もしくは直ちに窒化処理用の第
2の加熱炉内において窒化処理がなされる。窒化処理用
の第2の加熱炉も上記第1の加熱炉と構造が同じものが
用いられる。すなわち、上記と同じ構造の加熱炉A′を
用い、インナーカバー2およびアウターカバー1を吊り
上げて上記フツ化処理を終えた鋼材3を装填したのち、
インナーカバー2およびアウターカバー1を下げて元の
状態に戻し、つぎにインナーカバー2とアウターカバー
1との間の空間内にバーナーから火炎を吹き込んでイン
ナーカバー2内の鋼材を480〜700℃の窒化温度に加熱
し、その状態で加熱炉の下側からパイプ9を経由してNH
3からなる単純ガスあるいはNH3と炭素源を有する混合ガ
スを炉内に導入し、120分程度保持する。この過程で上
記フツ化膜は、H2または微量の水分(窒化反応時に副生
する)によつて、例えば次式のような還元あるいは破壊
され、活性な鋼材表面が形成される。
CrF4+2H2→Cr+4HF 2FeF3+3H2→2Fe+6HF なお、上記フツ化膜の除去については、窒化ガスの導
入前にN2とH2からなる混合ガス、あるいはH2単独のガス
を吹き込んでフツ化膜を破壊するようにしてもよい。む
しろ、このようにすることが、フツ化アンモンの副生に
よるトラブルがなくなるという点で好適である。
このようにして形成された活性な鋼材表面に対して窒
化ガスに由来する活性な窒素原子が作用し、内部に浸透
・拡散する。その結果、鋼材の表面から内側に向かつて
CrN,Fe2N,Fe3N,Fe4N等の窒化物を含有する超硬質な化合
物層(窒化層)が均一に、深く形成され、それに続いて
硬質なN原子の拡散層が形成され上記化合物層+拡散層
が全窒化層を構成する。
このように、本発明の方法によれば、フツ化膜の破壊
と同時に現れる鋼材表面が極めて活性化されており、そ
の活性化された鋼材表面に対して、窒素原子が作用し浸
透して深い領域まで超硬質な窒化層を均一に形成する。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 第2図に示すように、フツ化処理用の第1の加熱炉A1
基に対して、窒化処理用の第2の加熱炉A′2基を用い
てフツ化処理および窒化処理を行つた。
〈フツ化処理〉 オーステナイトSUS系ねじ(試料)を複数個形成した
後、それぞれをトリクロロエチレンで蒸気洗浄した。つ
ぎに、これを第1の加熱炉Aに入れて加熱して300℃に
昇温させ、その状態で1%のNF3を含み残部がN2からな
るフツ素系ガスをインナーカバー内に単位時間当りイン
ナーカバー内容積の2倍の量を入れ、10分間保持した。
その後上記試料の一部を取り出し表面層を調べた結果、
表面の全体にフツ化膜が形成されていることが確認され
た。
〈窒化処理〉 つぎに、上記フツ化処理が終えた試料を2基の第2の
加熱炉A′のうちの一方に移し、その状態で、NH3が25
%、CO2が10%、H2が40%、N2が25%の混合ガスを炉内
に導入し、先に述べた条件で6時間窒化処理を行つた。
この処理後、試料を空冷してから炉から取り出した。得
られた試料の表面には窒化層が均一に形成されていた。
つぎに、上記窒化処理を行つている間に、上記第1の
加熱炉A内で上記と同様にして複数の試料にフツ化処理
を施したのち、今度は、2基の第2の加熱炉A′のうち
の他方の加熱炉A′に上記試料を入れ、上記と同様にし
て窒化処理を行つた。このようにして、フツ化処理炉A1
基に対して窒化処理炉A′を2基組み合わせて連続的に
操業することにより、第1の加熱炉Aの手持ち時間がな
くなり、効率のよい窒化処理が可能となる。
〔実施例2〕 第1の加熱炉A1基に対し、第2の加熱炉A′2基を組
み合わせ、フツ化処理および窒化処理を行つた。
〈フツ化処理〉 炉内の圧力を100torrに減圧し、フツ化処理用ガスと
して0.1%のNF3を含み残部N2からなるガスを用い、350
℃の温度で30分間保持して処理した。それ以外は実施例
1と同様に処理した。
〈窒化処理〉 窒化処理温度を570℃に変えると同時に、窒化ガスと
して25%のNH3,5%のCO,10%のH2,残部N2からなるもの
を用い、処理時間を5時間に変えた。それ以外は実施例
1と同様に処理した。
この実施例では、上記実施例1と同様の効果が得られ
た。
〔実施例3〕 第1の加熱炉A1基に対して、第2の加熱炉A′を3基
組み合わせ、フツ化処理および窒化処理を行つた。
〈フツ化処理〉 炉内を10torrに減圧し、2%のNF3を含み残部N2から
なるフツ化ガスを用い、330℃で40分間保持した。それ
以外は上記実施例1と同様に処理した。
〈窒化処理〉 窒化処理を25%NH3,10%CO2,25%H2,40%N2からなる
混合ガスを用い、570℃で7時間行つた。それ以外は上
記実施例1と同様に処理した。
この実施例でも上記実施例1と同様の効果が得られ
た。
〔実施例4〕 実施例1のフツ化処理において、第1の加熱炉Aの加
熱温度を200℃に変えるとともに、フツ素系ガスを、1
%のF2を含み残部がN2からなるものに変え、かつ上記フ
ツ素系ガスの導入量・時間を単位時間当たりインナーカ
バー内容積の3倍量入れて20分間保持するように変え
た。それ以外は実施例1と同様にしてフツ化処理および
窒化処理を行つた。得られた試料の窒化層は、NF3をフ
ツ化に用いた実施例1と同様、極めて良好であつた。
なお、実施例では、フツ化処理用の第1の加熱炉と窒
化処理用の第2の加熱炉との両方にアウターカバーとイ
ンナーカバーを備えた炉を用いているが、どちらか一方
の加熱炉にピツト型の炉を用いることも不可能ではな
い。ただし、このような炉装置では、ワークの取り出
し、装入に手間がかかる点と、フツ化および窒化による
炉材の損耗時の取り替え、補修が厄介な点が難点であ
る。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明の鋼の窒化方法は、鋼材をフツ
素系ガス雰囲気下に加熱状態で保持することにより、有
機,無機異物の除去を行うと同時に、鋼材の表面の酸化
皮膜等の不働態膜をフツ化膜に形成し、その後窒化処理
する。このように、鋼材表面の酸化皮膜等の不働態膜が
フツ化膜に変化することにより、良好な状態で鋼材の表
面の保護が行われる。したがつて、フツ化膜の形成から
窒化処理の間に時間的な経過があつても、鋼材表面に形
成されたフツ化膜は良好な状態で鋼材の表面を保護す
る。その結果、鋼材の表面に酸化皮膜が再び生ずること
がない。そして、このようなフツ化膜は後続窒化処理時
に分解されて除去され、それによつて鋼材の表面が露呈
するようになる。この露呈された金属表面は活性な状態
となつており、したがつて、窒化処理におけるN原子が
鋼材内に浸透しやすくなつている。その結果、N原子が
深く均一に鋼材表面から内部に浸透して良好な窒化層が
形成されるようになる。特に、本発明の鋼の窒化方法に
おいては、フツ化処理と窒化処理とを同一の炉内で行う
のではなく、それぞれの専用炉を設け、比較的短時間で
の処理が可能なフツ化処理用炉1基に対して、かなりの
長時間処理を要する窒化処理用炉を複数基設けて操業を
行うため、フツ化処理用炉の手持ちがなくなり、窒化の
連続化と効率アツプとを実現できるようになる。
また、本発明の熱処理炉は、インナーカバーとアウタ
ーカバーとが吊り上げ可能になつているので、フツ素系
ガス,窒化ガス等によりインナーカバーの内面やフアン
類が損耗しても、インナーカバーを吊り上げて、その内
部補修が簡単に、手速く行え、補修に時間がかからな
い。また、点検も容易である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いる熱処理炉の一例の断面図、第2
図はその使用状態説明図である。 1……アウターカバー、2……インナーカバー、3……
鋼材、4……バーナー装入用穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 憲三 大阪府河内長野市小山田町1498―1 (72)発明者 湊 輝男 和歌山県橋本市城山台3丁目38―2

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼材を第1の熱処理炉においてフツ素系ガ
    ス雰囲気下で加熱状態で保持してフツ化処理したのち、
    第2の熱処理炉において窒化ガス雰囲気下で加熱状態で
    保持して窒化処理する鋼の窒化方法において、上記第1
    の熱処理炉の単位時間当たりの鋼材処理量に対応する数
    以内の整数倍の第2の熱処理炉を設け、上記第1の熱処
    理炉でフツ化処理を終えた鋼材を順次上記複数の第2の
    熱処理炉に導入して窒化処理することを特徴とする鋼の
    窒化方法。
  2. 【請求項2】内部に鋼材を出し入れ自在に装填する吊上
    げ型のインナーカバーと、一定の空間を保つた状態でイ
    ンナーカバーを被覆する吊上げ型の鐘状アウターカバー
    を備え、インナーカバー内をフツ化処理室に形成し、こ
    のフツ化処理室にフツ素系ガスの供給パイプおよび排気
    パイプを設け、インナーカバーとアウターカバーとの間
    を加熱室に形成し、この加熱室にフツ化処理室加熱用手
    段を設けたことを特徴とするフツ化処理用の熱処理炉。
  3. 【請求項3】内部にフツ化処理を終えた鋼材を出し入れ
    自在に装填する吊上げ型のインナーカバーと、一定の空
    間を保つた状態でインナーカバーを被覆する吊上げ型の
    鐘状アウターカバーを備え、インナーカバー内を窒化処
    理室に形成し、この窒化処理室に窒化ガスの供給パイプ
    および排気パイプを設け、インナーカバーとアウターカ
    バーとの間を加熱室に形成し、この加熱室に窒化処理室
    加熱用手段を設けたことを特徴とする窒化処理用の熱処
    理炉。
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KR100414542B1 (ko) * 2001-05-22 2004-01-07 권숙철 질화로(窒化爐)
JP4742756B2 (ja) * 2005-09-01 2011-08-10 大同特殊鋼株式会社 高窒素鋼の製造方法

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