JPH09157830A - 金属材料のガス窒化方法及びその装置 - Google Patents

金属材料のガス窒化方法及びその装置

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JPH09157830A
JPH09157830A JP32001195A JP32001195A JPH09157830A JP H09157830 A JPH09157830 A JP H09157830A JP 32001195 A JP32001195 A JP 32001195A JP 32001195 A JP32001195 A JP 32001195A JP H09157830 A JPH09157830 A JP H09157830A
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gas
furnace
nitriding
atmosphere
vacuum
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JP32001195A
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Sukeaki Hamanaka
亮明 濱中
Kazushi Fuji
一志 藤
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークの酸化を炉内全域に亘って均一に阻止
できるので後工程の窒化も均一に行える金属材料の窒化
方法及びその装置を提供する。 【解決手段】 真空ポンプと加熱ヒーター及び水素キャ
リヤーガス供給系とを備えた真空加熱炉と;弗素系ガス
及び不活性ガスを炉内に供給する給気系と反応ガスを炉
外排出する排気系と加熱ヒーターとを備えた弗化室1
と;NH3 ガス及び変性ガスを供給する給気系と反応ガ
スを排出する排気系と加熱ヒーターとを備えた窒化室2
と;冷却用窒素ガスを供給する給気系と窒素ガスを排気
する排気系とを備えた冷却室3とからなり、真空雰囲気
下で炉内を減圧すると共に、金属マグネシウム粉末もし
くはマグネシウム合金を炉中で加熱して洗浄・還元する
第1工程と;弗素系ガスもしくは弗素系ガスと不活性ガ
スとの混合ガス雰囲気下で加熱して弗化処理する第2工
程と;アンモニアガス及び変性ガスの混合ガス雰囲気下
で加熱して窒化処理する第3工程と;冷却窒素ガスを炉
内に流下して冷却させる第4工程とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弗化工程を踏まえ
たガス窒化法において、窒化ムラ,処理効果の持続安定
性及び弗化ガスのガス使用量の削減を図った金属材料の
表面窒化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の最新ガス窒化方法の概要を図4に
基き説明する。図4中、符号1は弗化室、2は窒化室、
3は冷却室、4〜7は開閉ゲート、8は除外装置、及び
9−1,9−2はヒーターを各々図示する。
【0003】先ず第1工程では、弗化室1に於いて、炉
内に導入した金属材料をNF3 (三弗化窒素)ガスと不
活性ガス(N2 )との混合雰囲気下で、ヒーター9−1
により加熱状態で保持して弗化処理を行うことにより、
金属材料表面に付着した有機・無機系の汚染物質が破
壊、除去されると同時に、金属表面の酸化皮膜、とくに
強固、緻密なCr2 3 ,Al2 3 等の酸化皮膜の不
働態膜が弗化膜に変化して金属材料表面が弗化膜で被覆
される。
【0004】次に、窒化処理室2に移動後、窒化温度に
昇温させ、アンモニア(NH3 )ガスと変性(RX)ガ
スとの混合ガスを炉内に導入することにより、上記の弗
化膜が破壊され活性化された金属表面が露呈し、ヒータ
ー9−2により加熱状態で保持して導入されたNH3
びRXガスの分解した反応性の高い発生期状態の窒素原
子が、金属材料表面から拡散・浸透し窒化層が得られ
る。
【0005】次に、金属材料を冷却室3に移動後、冷却
用窒素(N2 )ガスを導入し、所定温度まで低下後、取
出すようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おける金属材料の表面を弗化後、窒化を行う従来のガス
窒化処理方法は、数々の特長を有するが、未だに下記課
題を残している。
【0007】[課題−1] 変動処理時、大量処理時に
窒化ムラを発生し易い。小型バッチ炉による少量処理時
には、複雑形状を呈した部材に対しても、安定かつ均一
深さの窒化層が得られている。一方、上述したように、
連続炉による大量処理時には、炉内に投入した被処理材
量(以下「ワーク」という。)の多少,形状,寸法等の
要因により窒化ムラが発生しやすい。
【0008】この窒化ムラは、弗化工程に於いて、ワー
クを昇温、保持する過程で先ず炉内大気をN2 ガスでパ
ージ後NF3 ガスを流入させて、ワーク表面の金属酸化
物を弗化膜に置換させる段階でワーク表面全域に均一な
弗化膜形成が行われない為に、後工程の窒化工程で、金
属酸化膜の残留した部位では窒化が進行せず、窒化膜に
置換された部位では窒化が進行することに起因してい
る。
【0009】この弗化膜置換の不均一形成には、種々の
要因が複雑に交錯しているが、結果としてNF3 ガスが
ワーク表面全域に亘って均一かつ充分に接触、供給され
てないことによる。その要因を以下に分離・解析する。
【0010】<要因1> 弗化段階での化学量論的なN
3 ガスが必要最少限しか投入されていない。ワーク、
治具、炉壁等の金属材料は程度の差こそあれ、金属酸化
膜を形成されており、下記例の反応式で弗化膜に置換さ
れる。 3FeO+2NF3 → 3FeF2 +NO+NO2 Fe3 4 +3NF3 → 3FeF3 +2NO+NO2 Cr2 3 +2NF3 → 2CrF3 +NO+NO2 3NiO2 +4NF3 → 3NiF4 +2NO+2NO2
【0011】一方、NF3 ガスは、超高価なガスであ
り、ランニングコスト低減の見地から、ワーク,治具,
炉壁等の重量,表面積から算出したNF3 ガス量に対し
て安全係数を小さく設定せざるを得ず、大量処理、変動
処理時に、本命のワーク表面へNF3 ガスが均一かつ充
分に行き渡らないこととなる。又、治具,ワーク及びこ
れらの投入量の大小により、炉内のガス流れが不均一と
なることも影響している。
【0012】<要因2> 昇温過程で大量のアウトガス
が発生する。大量処理時には、炉内昇温過程で、ワー
ク,治具表面から、付着水,吸着水、各種の有機・無機
の汚染物からアウトガスが大量に発生する。有機油脂類
については、工程増加で煩雑となるが洗浄除去により軽
減できるが、吸着水、結晶水については、少くとも25
0℃×30分以上の加熱工程を要し、煩雑となる。
【0013】<要因3> 弗化反応時点でNF3 ガスが
既に浪費されている。大量処理,変動処理時の炉内昇温
過程では、大量のアウトガス、就中H2 Oガスが炉内で
大量放出されるが、N2 パージガスによる炉外排出が不
充分であったり、ワーク表面に滞留していると要因1で
述べた金属弗化膜への置換に先行して、2NF3 +3H
2 O→6HF+NO+NO2 の反応が生じNF3 ガスが
消費され、化学量論的なNF3 ガスの不足を招来し、弗
化膜ムラ即ち、次の窒化工程で窒化ムラを発生する。
【0014】[課題−2] 処理ガスのランニングコス
トが高価である。上記課題−1で生じる窒化ムラ防止策
としては、下記2方法がある。
【0015】 弗化炉内で昇温・保温時に、N2 パー
ジガスを大量、長時間流すことにより悪影響を及ぼすア
ウトガスを炉外へ排出すること。
【0016】 で炉内アウトガスを充分除去された
段階でNF3 弗化ガスを化学量論的必要量以上に使用す
ること。
【0017】しかし、,の施策は、処理ガスのラン
ニングコストが膨大となる欠点があり、弗化ガスの使用
量の削減を図った安価な弗化処理法の開発が待たれてい
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
本発明に係る金属材料のガス窒化方法は、金属材料を炉
中加熱処理するに際して、真空雰囲気下で炉内を減圧す
ると共に、金属マグネシウム(Mg)粉末もしくはマグ
ネシウム合金を炉中で加熱して洗浄・還元する第1工程
と;弗素系ガスもしくは弗素系ガスと不活性ガスとの混
合ガス雰囲気下で加熱して弗化処理する第2工程と;ア
ンモニア(NH3 )ガス及び変性ガスの混合ガス雰囲気
下で加熱して窒化処理する第3工程と;冷却窒素
(N2 )ガスを炉内に流下して冷却させる第4工程と;
から成ることを特徴とするものである。
【0019】上記方法において、上記ガス窒化処理方法
の第1工程において、真空雰囲気下で、金属マグネシウ
ム(Mg)粉末もしくはマグネシウム合金を炉中加熱す
るに際して、キャリヤーガスとして微少量の水素
(H2 )ガスを供給することを特徴とするものである。
【0020】以下、本発明に係る金属材料のガス窒化装
置の構成は、真空ポンプと加熱ヒーター及び水素
(H2 )キャリヤーガス供給系とを備えた真空加熱炉
と;弗素系ガス及び不活性ガスを炉内に供給する給気系
と反応ガスを炉外排出する排気系と加熱ヒーターとを備
えた弗化雰囲気炉と;NH3 ガス及び変性ガスを供給す
る給気系と反応ガスを排出する排気系と加熱ヒーターと
を備えた窒化雰囲気炉と;冷却用窒素ガスを供給する給
気系と窒素(N2 )ガスを排気する排気系とを備えた冷
却雰囲気炉と;からなることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照にして詳細に説明する。本発明の金属材料のガス
窒化方法は、上記課題で述べた如く、窒化ムラを防止し
処理ガスのランニングコストを低減させる課題を解決す
るために、図1に示すように、次の手段を取るようにし
ている。
【0022】[手段−1] 「弗化工程」に於いて、窒
化室1の炉内にワーク(含治具)と金属Mg粉末又は低
融点Mg合金を同時搬入後、真空ポンプP2 12で減圧
させながら、加熱昇温して、弗化温度に保持後、真空引
きを停止して弗素系ガス(NF 3 orF2 など)と不活性
ガス(N2 )を炉内に所定流量で供給し、反応生成ガス
(NOX ,HFなど)を排気ポンプP1 11で、除外装
置8aを経由して炉外に排気するものである。
【0023】[手段−2] 「弗化工程」に於いて、窒
化室1の炉内にワーク(含治工具)と金属Mg粉末又
は、低融点Mg合金を同時搬入後、真空ポンプP2 12
で減圧させながら、加熱昇温して弗化温度に保持後、真
空引きを一端停止して弗素系ガス(NF3 orF2 など)
のみを炉内に所定量供給し、反応の定常化を待って反応
生成ガス(NOX ,HFなど)を排気ポンプP1 11
で、除外装置8aを経由して炉外に排気するものであ
る。
【0024】[手段−3] 上記「手段1,2」に於い
て、窒化室1の炉内搬入に際して、ワーク(含治具)の
みを搬入し、金属Mg粉末又は低融点Mg合金は搬入せ
ずに真空加熱脱ガス後、以下同様の弗化ガス供給、反応
を行うものである。
【0025】[作用−1] 「手段−1」に於いて、真
空ポンプP2 12で窒化室1の炉内を減圧させながら加
熱昇温することにより、ワーク,治具,炉壁から放出さ
れるアウトガスが刻々と炉外に排出される。
【0026】[作用−2] 金属Mg粉末又は低融点M
g合金を、炉内に同時搬入することにより、真空中加熱
されることにより、蒸発して弗化にとって有害なアウト
ガス中の特に酸素と結合してゲッター作用を有する。
【0027】[作用−3] ここで、弗化温度に保持す
るのは、弗化温度域でのアウトガスを真空脱ガスする為
である。また、弗化温度保持後、真空引を停止するの
は、弗化膜を形成させる為の弗素系ガス(NF3 orF2
など)がワーク表面で反応せずに炉外に放出されるロス
を防止する。弗素系ガス及び不活性ガス(N2 )を炉内
に所定流量で供給するのは、定常反応に応じて、反応ガ
スを炉外に放出する為である。
【0028】[作用−4] 「手段−2」に於いて、真
空引き後に弗素系ガス(NF3 orF2)のみを供給する
のは、不活性ガス(N2 )の存在しない分だけ、炉内圧
が低くなり、弗素系ガス分子の平均自由行程(Mean Fre
e Path)が長くなり、複雑なワーク形状を有する場合で
も、その表面全域に弗素系ガス分子が到達する。
【0029】[作用−5] 「手段−3」に於いては、
金属Mg又はMg合金の顕著なゲッター効果は失われる
が、蒸発したMgの酸化物の炉壁蒸着がなくなる。一
方、真空加熱だけでも、アウトガスの大半を除去でき
る。
【0030】以上に述べた、真空加熱による脱ガスは真
空熱処理分野で、又、Mgをゲッター剤として使用する
ことは、アルミニウムの真空ろう付技術分野では、公知
手段であるが、ガス窒化法の弗化工程での問題点に応用
され、絶大な効果を発揮する点が目新しい。
【0031】
【実施例】以下、本発明の効果を示す実施例について説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本
実施例においては、図2に示すような、軸部20−1と
フェース部20−2とからなるエンジンバルブ20を、
図3に示す処理治具21のエンジンバルブ20を保持す
る上面板22に保持させ、該処理治具のフレーム23を
介して複数段積み上げた。この被処理材料であるエンジ
ンバルブ及び処理治具並びに装置の詳細を以下に説明す
る。
【0032】 (1)供試体:自動車用エンジンバルブ20(図2参照) ・吸気弁…材質:SUH11(8.5%Crマルテンサイト系耐熱鋼) 寸法:5φ〜9φ×75〜120mm(長さ) ・排気弁…材質:SUH35(21%Cr−4Niオーステナイト系耐熱鋼) 寸法:5φ〜9φ×80〜120mm(長さ)
【0033】(2)治具:処理治具21[22:上面
板,23:フレーム](図3参照) ・材 質…SUS310 ・寸 法…450mm×450mm×150H mm ・上面板…格子板[22]
【0034】(3)ガス窒化装置…3室構成の半連続炉
(図1参照) ・寸 法…各室 1,200W × 1,200H × 1,800L mm ・炉 壁…Ni基耐熱合金(インコネル) ・ヒーター…Ni製リボンヒーター ・開閉ゲート…各室出入口に自動開閉式気密ゲート ・炉内搬送…各室に軌道上走行式自動受渡搬送コンベア
設置。 ・ガス吸排系…N2 ガス系統:弗化室1,窒化室2,冷
却室3へ。 弗素系ガス(例NF3 )系統:弗化室1へ。 H2 (還元)ガス系統:弗化室1へ。 真空排気系統:弗化室より。 排気ガス系統:弗化室1,窒化室2,冷却室3より。 NH3 ガス系統:窒化室2へ。 RXガス系統:窒化室2へ。 なお、除外装置8a,8bは排気ガス系統に取付けてい
る。これは未反応ガス(NF3 ,F3 ,NH3 など)及
び反応生成ガス(HFなど)の有毒ガスを捕集後、排気
する為である。
【0035】(4)ゲッター材…純Mg金属(mp:65
0℃),Mg−28%Zn合金(融点、340℃)な
ど。
【0036】[実施例−1]図1に示す3室半連続炉
1,2,3を用いて、以下のプロセスでガス窒化を実施
した。
【0037】<第1工程> 搬送台31上に、エンジン
バルブ20(図2)を載荷した治具21,22(図3)
を多段積みあげて処理治具21を構成した後、ゲッター
材(粉)32である純Mg金属粉を入れたるつぼ33を
上記処理治具21と共に搬送台31上に載せ、弗化室1
のゲート4を開閉して搬入し、真空ポンプP2 12(本
実施例ではメカニカルポンプ及び拡散ポンプで構成し
た。)で炉内空気を排気すると同時に、加熱ヒーター9
−1で350℃まで昇温し、ワーク,治具,炉壁からの
アウトガスを除去すると共に、5分間保持し、ゲッター
金属蒸気34であるMgの蒸発沈静を待って(真空度1
-4Torrオーダーへの到達で確認した。)、炉内の酸素
除去を行った。続いて、真空ポンプ12を停止させ、弗
化室1の炉内へ自動開閉バルブ1dにより微量のNF3
ガスとN2 ガスを投入して、所定濃度で所定時間保持す
ることにより、金属表面を弗化させた。その後、バルブ
1a及び1bの開閉により、炉内に微少流量の窒素を供
給し、キャリヤーガスとして炉内の反応ガス(HF,N
O,NO2 など)を排気ポンプP1 11により吸引し、
除外装置により排気した。
【0038】<第2工程> 第1工程で弗化後、窒化室
2の開閉ゲート5の開閉により、搬送台31を搬入後、
加熱ヒーター9−2により、所定温度(580℃)に加
熱保持すると共に、NH3 及び変性(RX)ガスをバル
ブ2c,2dを介して供給し窒化処理を施した。
【0039】<第3工程> 続いて、冷却室3の開閉ゲ
ート6により、搬送台31を冷却室3へ搬入後、バルブ
3aを介して冷却窒素を導入し、所定温度(約250
℃)に冷却後、ゲート7の開閉により炉外へ搬出した。
処理後のワークの窒化状況については、ワークの炉内配
置位置(上下、左右、前後)が窒化層深さに及ぼす影響
は認められなかった。
【0040】上記構成による装置としたことにより、上
記弗化室1で消費するNF3 ガス量は、従来法に比し、
約1/3 に削減できた。一連の処理を施した後のるつぼ3
3内に残ったゲッター材は、灰白色に変色しており、分
析の結果、酸化物に変化した酸化ゲッター材35となっ
ており、弗化室内でゲッター効果を発揮していたといえ
る。これは、弗化直前より詳しくは330℃付近での炉
内真空雰囲気の圧力が急激に低下(高真空化)すること
及び質量分析計により酸素濃度の低下が認められること
からも裏付けられる。
【0041】[実施例−2]実施例−1の第1工程に於
いて、炉内に導入するゲッター材(粉)32として「純
Mg金属」に代えて「Mg−28%Zn合金」を用い
た。本合金は340℃付近で溶融し、その中のMg成分
が急激に蒸発するので、弗化開始温度350℃時点にお
いて、酸素濃度が実施例−1(純Mg金属粉使用)に比
べて、大幅に低減できた。
【0042】この高真空下の状態で真空ポンプP2 12
を停止させ、弗化室1の炉内に開閉バルブ1dにより該
炉内へ一定流量のNF3 ガスのみを導入し、排気ポンプ
111により反応生成ガスを除外装置8aによりトラ
ップして排気した。以下、実施例−1と同様の工程で窒
化処理を完了した。
【0043】本例での弗化室1に於けるNF3 ガスの消
費量は実施例−1の1/2 、即ち、従来法の約1/6 に削減
できた。窒素の消費量は、不要となった。
【0044】又、炉内各所に搬入配置したエンジンバル
ブ20の窒化層深さの位置によるバラツキは、実施例−
1と同様に認められなかった。
【0045】[実施例−3]実施例−1の第1工程に於
いて、Mg純金属を炉内導入後、真空ポンプP2 12で
減圧させつつ昇温する過程で、真空度が数Torr(1〜5
Torr)程度を維持できるように極微量のH2 ガスを自動
流量調整バルブ1eを経由して炉1内に導入し、350
℃到達付近で導入停止後10-4Torrオーダーまで真空引
き後、ポンプP2 12を停止させると共に、炉内へ一定
流量のNF3 ガスのみを導入し排気ポンプP1 11によ
り反応生成ガスを除外装置8aによりトラップして排気
した。本例では、実施例−2と同様の結果を得た。
【0046】以上、説明したように、本発明によれば、
炉内で処理物を加熱,減圧・真空化することにより、ワ
ーク,治具,炉壁に付着した吸着水,結晶水,有機汚染
物質から放出されるアウトガスが真空加熱により、積極
的に炉外へ蒸発,除去される。
【0047】また、予め金属Mg粉末もしくは、マグネ
シウム合金を同時に炉内に導入することにより、で述
べたアウトガス(H2 O,O2 など)が、酸素と親和力
の高い蒸発Mg金属元素と下記の如く反応して、ワーク
材の金属表面の酸化進行を阻止できる。 Mg+H2 O → MgO+2H↑ Mg+1/2 O2 → MgO
【0048】この結果、第1工程で弗化を開始する前段
階でのワーク材の酸化進行が阻止できる為、弗化段階で
消費される弗化ガス(特に高価なNF3 ガス)量を少く
できる。特に、この段階で、NF3 ガスとN2 ガスを併
給する実施例−1よりも、高真空下で微量のNF3 ガス
のみを供給する実施例−2及び3では、NF3 ガスの消
費量を著しく削減できた。これはNF3 ガスとN2 ガス
の併給時には、NF3ガス分子がワーク表面に接触しな
い儘(未反応の儘)N2 ガスにより、炉外に運び去られ
る確率が高いのに対し、高真空下でのNF3 ガスの単独
供給時には、NF3 ガス分子の濃度が希薄であっても平
均自由行程が大きい為、ワーク表面と接触する確率が高
い為である。
【0049】また、一方炉内で処理物を真空・加熱する
に際して、ゲッター金属(Mg純金属粉末又はMg合
金)と共にH2 還元ガスを微量流入するのは、ワーク表
面の酸化阻止効果を高める為である。
【0050】
【発明の効果】以上のように、従来における「課題−
1」及び「課題−2」を解決できた。即ち、第1工程で
ワーク昇温過程で、真空加熱により、積極的にアウトガ
スを短時間に炉外排出することにより、ワークの酸化を
炉内全域に亘って均一に阻止できるので後工程の窒化も
均一に行えることとなった。この結果、連続炉による大
量処理時においても、炉内に投入したワークである被処
理材料(エンジンバルブ,切削工具、各種機械部品等)
の多少や,形状,寸法等の種々の要因があっても、処理
ムラが生じることがなくなる。
【0051】更に、従来ではアウトガスによるワークの
酸化があったが、例えばエンジンバルブ場合では、軸部
及びフェース部は、研磨加工で金属光沢を呈している
が、本発明によれば、この酸化が阻止されるので、弗化
時の高価な弗化ガス(NF3 など)及び、従来法で大量
使用した不活性ガス(N2 ,Ar)の消費量を抑制で
き、ランニング・コストを大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るガス窒化工程及び装
置の概略図である。
【図2】本発明の第1実施例で適用した被処理材例とし
てのエンジンバルブを示す図である。
【図3】本発明の第1実施例で被処理材を載荷した治具
例を示す図である。
【図4】従来のガス窒化工程及び装置を示す図である。
【符号の説明】 1 弗化室 2 窒化室 3 冷却室 4〜7 開閉ゲート 8 除外装置 8a,8b 除外装置 9−1 ヒーター 9−2 ヒーター 11 排気ポンプ 12 真空ポンプ 21 処理治具 31 搬送台 32 ルツボ 33 ゲッター金属(粉) 34 ゲッター金属蒸気 35 酸化したゲッター金属

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料を炉中加熱処理するに際して、 真空雰囲気下で炉内を減圧すると共に、金属マグネシウ
    ム(Mg)粉末もしくはマグネシウム合金を炉中で加熱
    して洗浄・還元する第1工程と;弗素系ガスもしくは弗
    素系ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で加熱して
    弗化処理する第2工程と;アンモニア(NH3 )ガス及
    び変性ガスの混合ガス雰囲気下で加熱して窒化処理する
    第3工程と;冷却窒素(N2 )ガスを炉内に流下して冷
    却させる第4工程と;から成ることを特徴とする金属材
    料のガス窒化処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のガス窒化処理方法の第1工程
    において、 真空雰囲気下で、金属マグネシウム(Mg)粉末もしく
    はマグネシウム合金を炉中加熱するに際して、キャリヤ
    ーガスとして微少量の水素(H2 )ガスを供給すること
    を特徴とする金属材料のガス窒化方法。
  3. 【請求項3】 真空ポンプと加熱ヒーター及び水素(H
    2 )キャリヤーガス供給系とを備えた真空加熱炉と;弗
    素系ガス及び不活性ガスを炉内に供給する給気系と反応
    ガスを炉外排出する排気系と加熱ヒーターとを備えた弗
    化雰囲気炉と;NH3 ガス及び変性ガスを供給する給気
    系と反応ガスを排出する排気系と加熱ヒーターとを備え
    た窒化雰囲気炉と;冷却用窒素ガスを供給する給気系と
    窒素(N2 )ガスを排気する排気系とを備えた冷却雰囲
    気炉と;からなることを特徴とする金属材料のガス窒化
    装置。
JP32001195A 1995-12-08 1995-12-08 金属材料のガス窒化方法及びその装置 Withdrawn JPH09157830A (ja)

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