JP2918716B2 - 鋼材の窒化方法 - Google Patents

鋼材の窒化方法

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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材の表面に窒化層を
形成するにあたり、特殊な前処理を施して窒化層を深く
均一に形成することができる鋼材の窒化方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】耐摩耗性,耐食性,疲労強度等の機械的
性質を向上させる目的で、鋼材の表面に窒化層を形成す
る窒化方法が採用されている。このような窒化法の中で
も代表的な方法として、アンモニアのみの単独ガス、ま
たはアンモニアと炭素源を有するガス(RXガス)との
混合ガスによる窒化(ガス窒化,ガス軟窒化)法があ
る。これらの方法は、合金鋼や複雑な形状のワークを処
理する場合、窒化ムラが生じやすい等処理の安定性に問
題がある。
【0003】一般に、鋼材は500℃以上の温度で窒化
されるが、鋼材表面層への窒素の吸着,拡散には有機,
無機系成分による汚れはもちろんのこと、酸化被膜の存
在しないことが求められる。また、鋼材表面層自体の活
性度が高いことも求められる。しかしながら、実際には
上記のような窒化に際して、酸化被膜の形成を防止する
ことならびに鋼材表面層の完全活性化は不可能である。
例えば、オーステイナイト系のステンレス加工品等の場
合は、上記ステンレスを処理炉に装入する前にフツ硝酸
洗浄して表面の不働態膜を除去することが行われるが、
不働態膜の完全な除去が困難であり、また鋼材表面層の
完全活性化も実現することができない。したがつて、満
足な窒化層を形成するのは、殆ど不可能である。また、
鋼材表面に対する有機,無機系成分による汚れの除去
は、窒化前にアルカリ脱脂もしくはトリクロロエチレン
等を用いた有機洗浄が行われるが、最近の公害規制(オ
ゾン層の破壊に対する規制)により、最も洗浄効果の高
い有機洗浄ができにくい環境になつており、したがつ
て、これも良好な窒化層の形成の大きな障害となつてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、窒化に先立つて鋼材をNF3 のようなフツ素系ガス
雰囲気下で加熱状態で保持してフツ化処理し、ついで窒
化処理すると、鋼材表面の浄化(有機,無機系成分の汚
れの除去ならびに酸化被膜等の除去)および活性化を実
現でき良好な窒化層を形成しうることを見いだし、すで
に特許出願している(特願平1−177660号)。こ
の方法は、まず鋼材を炉中において加熱し昇温させその
状態で、NF3 のようなガスと接触させ前処理する。そ
の結果、活性化したフツ素原子により鋼材の表面に付着
していた有機,無機系の汚れ成分が破壊され表面の汚れ
が除かれると同時に、鋼材表面の酸化被膜等の不働態膜
がフツ化膜に変化して鋼材表面がフツ化膜で被覆保護さ
れた状態になる。つぎに、これを窒化する。上記フツ化
膜は、窒化処理に際して、加熱下で窒素源を有する窒化
ガス(例えばNH3 ガス)とH2 ガスとの混合ガスを炉
内に導入することにより、破壊され除去される。より詳
しく述べると、上記フツ化膜の破壊除去により浄化され
活性化された鋼材表面が現れ、この浄化され活性化され
た鋼材生地に窒化ガス中のN原子が迅速に内部浸透拡散
し、深い窒化層を均一に形成するようになる。しかしな
がら、上記NF3 ガスは、上記のような優れた性能を有
するのであるがガスコストが高いという難点があり、ま
た、フツ化処理するのにかなりの高温(280〜500
℃)を要するため、熱エネルギーもかなり必要となり、
これもコストアツプの上昇要因となつている。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、均一で深い窒化層を安価に形成しうる鋼材の窒
化方法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の鋼材の窒化方法は、フツ素ガスと三フツ化
窒素ガスと不活性ガスの混合雰囲気下において、鋼材を
加熱状態で保持してフツ化処理したのち、窒化ガス雰囲
気下において加熱状態で保持して窒化処理することを特
徴とする
【0007】
【作用】本発明者らは、上記NF3 をフツ化処理ガスと
して使用する窒化方法について、そのコストの引き下げ
を目的として一連の研究を重ねた結果、NF3 をフツ化
処理ガスとして使用する前記基本発明においては、フツ
化処理に適さないと考えられていたフツ素ガス(F2
が、実際にはNF3 と同様に優れたフツ化処理能力を有
し、しかもNF3 よりもかなり低い温度でフツ化処理す
ることができることを突き止めこの発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の鋼材の窒化方法、N
2 とF2 とNF3 の混合ガスを用いてフツ化処理するも
のであり、この場合には上記N2 +F2 の組み合わせの
混合ガスを用いる場合よりもやや高いが、それでもNF
3 をフツ化処理ガスとして用いる場合によりも低い20
0〜400℃の温度、好適には250〜300℃でフツ
化処理することが可能となる。すなわち、F2 を単独で
用いた場合(F2 +N2 )の鋼材に対する実質的なフツ
化温度と、NF3 を単独で用いた場合(NF3+N2
のフツ化温度との間には100℃〜150℃の温度差が
あることが判つた。なお、本発明においては、上記温度
よりも高い温度、例えば500℃程度までの温度でフツ
化処理することも可能である。なお、上記のF2 (フツ
素ガス)としては、溶融電解法等でつくられる通常のF
2 ガスだけでなく、BF3 ,CF4 ,HF,SF6 ,C
2 6 ,WF6 ,CHF3 ,SiF4 等のFを含む化合
物を熱クラツキング装置に導入し、熱分解して生成した
2 を用いるようにしてもよい。本発明におけるF2
は、上記のようにして熱分解生成したF2 も含まれる。
【0009】つぎに、本発明について詳しく説明する。
【0010】本発明では、フツ化処理に際して上記のよ
にN 2 +F2 +NF3 の混合ガスを用いる。
【0011】 2 +NF3 +N2 の混合ガスを用いる場
合には、F2 の濃度は1〜5%,NF3 の濃度は1〜2
0%に設定することが好適である。3成分混合ガスを用
いる場合F2 とNF3 との比率はフツ化時間とフツ化温
度の選定によつて決まる。すなわち、フツ化時間が長く
なると作業時間が長くなるため、この不利益と、フツ化
ガスコストとの併合で3成分混合ガスのF2 とNF3
の比率が決定される。
【0012】本発明の対象となる鋼材の中には、炭素
鋼,ステンレス鋼等各種の鋼材が含まれる。これら鋼材
の形状等は特に限定するものではなく、板やコイルの状
態であつても加工されてネジ等の形状になつていても差
し支えはない。なお、本発明の鋼材には上記のような単
体材料だけではなく、上記の材料を適宜に配合した合金
ないしは上記の材料を主要成分とし、これに上記以外の
他の金属材料を配合した合金も含まれる。
【0013】本発明は上記鋼材を、例えば、(A)フツ
化処理用の第1の熱処理炉と、窒化処理用の第2の処理
炉とを用いて窒化を行うか、もしくは(B)フツ化処理
室と窒化処理室の双方を備えた1個の熱処理槽内におい
て処理する。
【0014】上記(A)の、フツ化処理用の熱処理炉
と、窒化処理用の熱処理炉の双方を用いて処理する場合
は、例えばつぎのようにして行われる。まず、フツ化処
理用の熱処理炉において、つぎのようにしてフツ化処理
する。すなわち、フツ化処理用の第1の加熱炉中に上記
鋼材を入れ加熱して鋼材を150〜300℃、好適には
200〜250℃の温度に昇温させる。つぎに、その状
態で上記加熱炉中にフツ素ガス(F2 +N2 )を導入
し、上記鋼材を上記温度においてフツ素ガス雰囲気中に
10〜120分、好適には20〜90分、より好適には
30〜60分程度保持する。BF3 等の化合物をクラツ
キングして用いる場合は、加熱炉の手前側にクラツキン
グ装置を設け、上記化合物を熱クラツキングしたのち、
2 と混合し、加熱炉に導入することが行われる。これ
により鋼材表面の不働態膜(主として酸化膜からなる)
がフツ化膜に変化する。この反応は例えば、下記の式に
もとづいて行われる。
【0015】 FeO+F2 →FeF2 +1/2O2 Cr2 3 +2F2 →2CrF2 +3/2O2
【0016】上記各処理工程は、例えば図1に示すよう
な熱処理炉を用いて行われる。図において、1は鐘状の
アウターカバー、2は上記アウターカバーで被覆される
円筒状のインナーカバーである。上記アウターカバー1
の頂部にはクレーン等のフツクを引掛けるための係合部
10aをもつ枠体10が一体的に設けられている。ま
た、上記インナーカバー2の上部にはクレーン等のフツ
クを引掛けるための係合部11aをもつ蓋体11が一体
的に設けられている。上記インナーカバー2内はフツ化
処理室に形成され、両カバー1,2の間の空間が加熱室
に形成される。3は上記インナーカバー2内に出し入れ
自在に装填される鋼材である。この鋼材3は、中心穴1
4付きの台枠15上に積載され、その中心穴14から上
方に延びる第1の円筒状網状体16と、台枠15の外周
から上方に延びる第2の円筒状網状体17aとの間の空
間に、中心穴付きの多孔状区切板17bを介して多段に
積層される。4は上記アウターカバー1の低部側の周壁
に設けられたバーナー装入用穴、4aはアウターカバー
1の上部側の周壁に設けられた排気穴である。5はベー
ス、6は炉気循環フアンで、上記台枠15の中心穴14
に対面し中心穴14およびそこから上方に延びる円筒状
網状体16を経由して炉気を循環させる。7は熱交換器
でインナーカバー2のベースから下方に延びるパイプ7
aに設けられている。8は熱交換器7に続いてパイプ7
aに設けられた強制冷却用循環ブロワ、9はインナーカ
バー2内にフツ素ガスを導入するパイプである。12a
はインナーカバー2内の排ガスを導出する排ガスパイプ
で、中間部が2股に分岐しており、一方の分岐パイプ1
7には弁18が設けられ、他方の分岐パイプ19には弁
20および真空ポンプ21が設けられている。インナー
カバー2内の排ガス圧力が高いときは分岐パイプ17の
経路が用いられ、低いときには真空ポンプ21の吸引力
で真空排気するため分岐パイプ19の経路が用いられ
る。12は除害装置であり上記排ガスパイプ12aの終
端に連結されている。この除害装置12は、左右一対の
活性炭筒22とこれの外周に巻回されたヒータコイル2
3とフイン型熱交換器24とからなり、排ガスを左右一
対の活性炭筒22に導き排ガス中の残留F2 等を活性炭
と熱反応させて無害のCF4 に変え、これをフイン型熱
交換器24に導入して冷却する。13は上記熱交換器2
4から延びるパイプ25に設けられたスクラバーで、内
部に水が収容され、パイプ25から導入される排ガスを
気泡状にして排ガス中のHF(インナーカバー2内にお
いてF2 がH2 O,H2 と反応して副生する)を水中に
溶解させることにより排ガスを完全に無害化し、大気中
に放出する。
【0017】この熱処理炉において、フツ化処理は、つ
ぎのようにして行われる。すなわち、アウターカバー1
およびインナーカバー2の係合部10a,11aにクレ
ーン等(図示せず)のフツクを引つ掛けて、アウターカ
バー1およびインナーカバー2をクレーン等で吊り上げ
る。その状態で、台枠15上に鋼材3を図示のように載
置した後、アウターカバー1およびインナーカバー2を
下げて元の状態(第1図の状態)にする。つぎに、アウ
ターカバー1とインナーカバー2との間に形成される加
熱室に、バーナー装入用穴4に装入されたバーナー(図
示せず)から熱火炎を放射する。これにより、インナー
カバー2内の鋼材3が加熱される。つぎに、インナーカ
バー2内に、その底部からパイプ9を経由してNF3
のフツ素系ガスを導入しフツ化処理する。このようにし
てフツ化処理する時間は、通常、先に述べたように30
〜60分程度である。
【0018】つぎに、窒化処理は、つぎのようにして行
われる。すなわち、上記フツ化処理がなされた鋼材3
は、表面がフツ化皮膜で覆われていることから空気等の
外気にふれても、表面が酸化されることなく好適に保護
される。そして、この状態で保管されるか、もしくは直
ちに窒化処理用の第2の加熱炉内において窒化処理がな
される。窒化処理用の第2の加熱炉も上記加熱炉と構造
が同じものが用いられる。すなわち、上記と同じ構造の
第2の加熱炉A′を用い、インナーカバー2およびアウ
ターカバー1を吊り上げて上記フツ化処理を終えた鋼材
3を装填したのち、インナーカバー2およびアウターカ
バー1を下げて元の状態に戻し、つぎにインナーカバー
2とアウターカバー1との間の空間内にバーナーから火
炎を吹き込んでインナーカバー2内の鋼材を480〜7
00℃の窒化温度に加熱し、その状態で加熱炉の下側か
らパイプ9を経由してNH3 からなる単独ガスあるいは
NH3 と炭素源を有する混合ガスを炉内に導入し、12
0分程度ないしそれ以上の時間保持する。この過程で上
記フツ化膜は、H2 または微量の水分(窒化反応時に副
生する)によつて、例えば次式のように還元あるいは破
壊され、活性な鋼材表面が形成される。
【0019】 CrF4 +2H2 →Cr+4HF 2FeF3 +3H2 →2Fe+6HF
【0020】なお、上記フツ化膜の除去については、窒
化ガスの導入前にN2 とH2 からなる混合ガス、あるい
はH2 単独のガスを吹き込んでフツ化膜を破壊するよう
にしてもよい。むしろ、このようにすることが、フツ化
アンモンの副生によるトラブルがなくなるという点で好
適である。
【0021】このようにして形成された活性な鋼材表面
に対して窒化ガスに由来する活性な窒素原子が作用し、
内部に浸透・拡散する。その結果、鋼材の表面から内側
に向かつてCrN,Fe2 N,Fe3 N,Fe4 N等の
窒化物を含有する超硬質な化合物層(窒化層)が均一
に、深く形成され、それに続いて硬質なN原子の拡散層
が形成され上記化合物層+拡散層が全窒化層を構成す
る。
【0022】また、上記(B)のフツ化処理室と窒化処
理室の双方を備えた1個の熱処理炉を用いて処理する場
合は、例えば図2のような構造の炉が用いられる。図に
おいて、1′は炉、2′は金網製のかごで鋼材(図示せ
ず)が装填される。3′はヒータ、5′は排気ガス管、
6′は断熱壁、7′は開閉扉、8′はフアン、10′は
支柱、12′は真空ポンプ、13′は排気ガス処理装置
である。21′は断熱壁をもつ炉本体であり、その内部
が開閉隔壁22′で左右の2室23′,24′に分割さ
れている。上記開閉隔壁22′は、左右の2室23′,
24′を気密状態に、かつ断熱状態に区切るものであ
り、図示の上下にスライドして開閉するようになつてい
る。23′はフツ化処理室、24′は窒化処理室であ
る。フツ化処理室23′および窒化処理室24′には、
それぞれ鋼材が入つた金網製のかご2′を受ける架台2
5′が形成されている。この架台25′は左右1組のレ
ールからなり、金網製のかご2′はこのレールの上をす
べつてフツ化処理室23′および窒化処理室24′に導
入されるようになつている。26′はフツ化処理室内2
3′にフツ素ガスを導入するガス流入管、27′は温度
測定センサーである。そしてフツ化処理室23′の前部
開口は、横開き式の開閉蓋7′で開閉自在に蓋されてい
る。28′は窒化処理室24′内に窒化ガスを導入する
窒化ガス流入管である。
【0023】この熱処理炉においてフツ化処理は、つぎ
のようにして行われる。すなわち、まず、フツ化処理室
23′内に鋼材が入つたかご2′を入れ、その状態でフ
ツ化処理室23′内を昇温させ、鋼材を150〜300
℃に昇温させる。つぎに、その状態でフツ素ガス(F2
+N2 )を導入してフツ化処理を30〜60分間行う。
フツ化処理が終わつた段階で、フツ化処理室23′内の
ガスを排出する。
【0024】つぎに、窒化処理は、上記開閉隔壁22′
を開けて鋼材を金網製かご2′ごと窒化処理室24′内
に移して開閉隔壁22′を閉じる。その状態で窒化処理
室24′を昇温させ鋼材を480〜600℃に加温し、
その状態で窒化処理室24′内にH2 ガスを導入して1
時間保持する。これによつて鋼材表面を被覆していたフ
ツ化膜が破壊されて鋼材表面の素地が露呈する。480
〜600℃でつぎに、NH3 ,N2 ,H2 ,CO,CO
2 の混合ガスからなる窒化ガスを窒化処理室24′内に
導入し4〜5時間窒化処理を行う。そして、その後35
0〜450℃に内部温度を下げ、その状態でH2 ,N2
の混合ガス、またはN2 ,H2 ,CO2の混合ガスを1
時間流してクリーニングを行う。ついで、窒化処理室2
4′内の排気ガスを外部に排出した後、開閉隔壁22′
を開け鋼材を金網製かご2′ごとフツ化処理室23′内
に入れて隔壁22′を閉め、その状態で冷却する。この
場合、ガス流入管26′から窒素ガスをフツ化処理室2
3′内に流して冷却することが行われる。このようにし
て処理された鋼材は、その表面に窒化層が深くかつ均一
な状態で形成されている。この場合、フツ化処理におけ
る鋼材の加熱を、窒化処理室24′を加熱してそのなか
で行うようにしてもよい。すなわち、鋼材を窒化処理室
24′内に直接入れ、そこで加熱したのち、開閉隔壁2
2′を開けてフツ化処理室23′に入れ、そこでフツ化
処理したのち再び窒化処理室24′に入れて窒化処理す
るようにしてもよい。この場合には、フツ化処理におけ
る鋼材の加熱を利用して窒化処理室24′の予熱を行う
ことができる。
【0025】このように、本発明の方法によれば、フツ
化膜の破壊と同時に現れる鋼材表面が極めて活性化され
ており、その活性化された鋼材表面に対して、窒素原子
が作用し浸透して深い領域まで超硬質な窒化層を均一に
形成する。また、フツ化処理に用いるガスがF2 を主体
とする混合ガスであつて、NF3 を用いる場合に比べて
安価でしかもフツ化処理時の温度も低くできることか
ら、処理コストがかなり安くなる。
【0026】つぎに、実施例について説明する。
【0027】
【実施例1】まず、(A)の2個の熱処理炉を用いる例
について説明する。
【0028】〈フツ化処理〉 自動車の吸気系のエンジンバルブ(試料)を複数個形成
した後、これを直接第1の加熱炉Aに入れて280℃に
昇温させ、その状態でN2 +10%F2 +8%NF3
混合ガスを、炉内に単位時間当たり炉内容積の10倍の
量を入れ、30分間保持した。その後、上記試料の一部
を取り出し表面層を調べた結果、表面の全体にフツ化膜
が形成されていることが確認された。
【0029】〈窒化処理〉 つぎに、上記フツ化処理を終えた試料を、第2の加熱炉
A′に移し、その状態で570℃において、NH3 +5
0%RXの窒化用ガスを流し120分間保持した。この
処理後、試料を空冷してから炉から取り出した。
【0030】
【比較例1】 フツ化処理工程をNF3 ガス(1%)+N
2 の雰囲気ガスを用い380℃で行つた。それ以外は上
記実施例と同様にしてエンジンバルブ試料を得た。
【0032】このようにして得られた実施例品および
比較例品の品質は、同等であつた。この場合、実施例
で得られたエンジンバルブ試料の製品コストに占める
フツ化ガスのコストは、NF3 を用いた比較例品に比
べて、40%安くなつた。また、フツ化処理における加
熱および冷却時間を75分間短縮することができた。
【0033】つぎに、(B)の1個の熱処理炉を用いる
例について説明する。
【0034】
【実施例2】 フツ化処理用と窒化処理用を、図2に示す
ようなフツ化処理室と窒化処理室の双方を有する熱処理
炉を用いて行つた。この場合の各操作は先の本文中で述
べたと同様にして行い、また各処理における条件は実施
例1と同様にした。その結果、実施例1と同様の効果が
得られた。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法は、安価な
フツ素ガスを主成分とする混合ガスを用いてフツ化処理
をすることから、処理コストを大幅に低くすることがで
きる。しかも、フツ化処理に際して、NF3 をフツ化処
理用ガスとして用いる場合に比べて100〜150℃低
温でフツ化処理が可能となることから、熱エネルギーも
節約することができ、これも上記コストの引き下げに大
きく寄与する。特に、このような比較的低い温度でフツ
化処理が可能なことより、フツ化処理後の冷却時間の短
縮も可能となり、全体の処理時間を短縮化できるように
なる。そのうえフツ素ガスは臭気が強いことから、NF
3 をフツ化ガスとして用いる場合に比べて、漏洩検知上
有利であり、有毒なF2 にもとづく公害現象の発生を確
実に防止することができる。その他の大きなメリツトと
してフツ化処理を低温で行いうることは、フツ化処理室
と窒化処理室とを備えた熱処理炉(連続炉)において、
構造設計上様々のメリツトがある。例えば、その窒化処
理室とフツ化処理室との間を開閉するシヤツターのシー
ルパツキンの寿命を長くするという効果が得られるよう
になる。すなわち、フツ化処理にはフツ素ガスが用いら
れるのであるが、このガスは腐食性が強いことからフツ
化処理室が低温側である程、シールパツキンの特性劣化
が防止され、パツキンの長寿命化が実現されるのであ
る。その他構造物の補強基材などのシンプル化,長寿命
化にも有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる熱処理炉の一例の断面図であ
る。
【図2】他の熱処理炉の説明図である。
【符号の説明】
1 アウターカバー 2 インナーカバー 3 鋼材 4 バーナー装入用穴
フロントページの続き (72)発明者 仙北谷 春男 大阪府富田林市藤沢台1丁目3−306− 404 (72)発明者 北野 憲三 大阪府河内長野市小山田町1498−1 (72)発明者 湊 輝男 和歌山県橋本市城山台3丁目38−2 (56)参考文献 特開 平3−44457(JP,A) 特開 平4−187755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 8/02,8/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フツ素ガスと三フツ化窒素ガスと不活性
    ガスの混合雰囲気下において、鋼材を加熱状態で保持し
    てフツ化処理したのち、窒化ガス雰囲気下において加熱
    状態で保持して窒化処理することを特徴とする鋼材の窒
    化方法。
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