JP2505844B2 - 電気粘性流体組成物 - Google Patents

電気粘性流体組成物

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JP2505844B2
JP2505844B2 JP128288A JP128288A JP2505844B2 JP 2505844 B2 JP2505844 B2 JP 2505844B2 JP 128288 A JP128288 A JP 128288A JP 128288 A JP128288 A JP 128288A JP 2505844 B2 JP2505844 B2 JP 2505844B2
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M171/00Lubricating compositions characterised by purely physical criteria, e.g. containing as base-material, thickener or additive, ingredients which are characterised exclusively by their numerically specified physical properties, i.e. containing ingredients which are physically well-defined but for which the chemical nature is either unspecified or only very vaguely indicated
    • C10M171/001Electrorheological fluids; smart fluids

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電気粘性流体組成物に関するものである。更
に詳しくは、電場変化を加えることによって大きいせん
断応力を発生し、かつ発生したせん断応力の経時安定性
に優れた電気粘性流体組成物に関するものである。
(従来の技術) 電気粘性流体とは、例えば絶縁性の分散媒中に固体粒
子を分散−懸濁して得られる流体であって、そのレオロ
ジー的あるいは流れ性質が電場変化を加えることにより
粘塑性型の性質に変わる流体であり、一般に外部電界を
印加した時に粘度が著しく上昇し大きいせん断応力を誘
起する、いわゆるウインズロー効果を示す流体として知
られている。このウインズロー効果は応答性が速いとい
う特徴を有するため、電気粘性流体はクラッチ、ダンパ
ー、ブレーキ、ショックアブソーバー、アクチュエータ
ー等への応用が試みられている。
従来、電気粘性流体としては、シリコン油、塩化ジフ
ェニル、トランス油等の絶縁油中に、セルロース、でん
粉、大豆カゼイン、ポリスチレン系イオン交換樹脂、ポ
リアクリル酸塩架橋体等の固体粒子を分散させたものが
知られている。しかしながら、これらの電気粘性流体
は、誘起されるせん断応力が小さく、その経時安定性に
も乏しいという問題点があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記問題点を解決するものである。
したがって、本発明の目的は、電場変化を加えること
によって大きいせん断応力を発生し、かつ長期間にわた
ってそれを維持するという経時安定性にも優れた電気粘
性流体組成物を提供することにある。
(課題を解決するための手段および作用) 本発明は、イオン性重合体粒子の表面上で一般式
(I) (RmSiX)4-m (I) (ただし、Rは置換基があってもよい、アルキル基、ア
リール基または不飽和脂肪族残基、Xはアルコキシ基、
アシロキシ基、水素原子、ハロゲン原子または水酸基、
mは0又は1〜3の整数を示し、m個のRおよび4−m
個のXはそれぞれ異なっていてもよい。)で表わされる
ケイ素化合物および/またはその2〜10量体を縮合反応
して得られる複合粒子を絶縁性分散媒中に分散させてな
る電気粘性流体組成物に関するものである。
本発明で用いられるイオン性重合体は、例えばスルホ
ン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基、アミノ
基、有機置換アミノ基、4級アンモニウム基等の解離基
を有する重合体であり、例えば上記解離基を含む不飽
和単量体の重合物および/またはその架橋物、重合性
単量体の重合物および/またはその架橋物あるいは天然
高分子および/またはその架橋物を後処理することによ
り上記解離基を導入したもの等が挙げられる。
のイオン性重合体としては、例えば2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチ
ル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)
アクリレート、1−スルホプロパン−2−イル(メタ)
アクリレート、2−スルホプロピル(メタ)アクリレー
ト、1−スルホブタン−2−イル(メタ)アクリレー
ト、2−スルホブチル(メタ)アクリレート、3−スル
ホブタン−2−イル(メタ)アクリレート、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸等のスルホン酸基含有不飽
和単量体やカルボン酸基含有不飽和単量体ならびにそれ
らのリチウム・ナトリウム・カリウム等のアルカリ金属
塩、カルシウム・マグネシウム等のアルカリ土類金属
塩、亜鉛・アルミニウム・銅等のその他の金属塩、アン
モニウム塩、有機アミン塩、ピリジニウム塩、グアニジ
ウム塩など塩;エチレンイミン、プロピレンイミン等の
アジリジン化合物;2−アミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−
[メチルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2−
[エチルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2−
[N,N−ジメチルアミノ]エチル(メタ)アクリレー
ト、2−[N,N−ジメチルアミノ]エチル(メタ)アク
リルアミド、2−[N,N−ジエチルアミノ]エチル(メ
タ)アクリレート、2−[N,N−ジエチルアミノ]エチ
ル(メタ)アクリルアミド、3−[N,N−ジエチルアミ
ノ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[N,N−ジエ
チルアミノ]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−
[N,N−ジプロピルアミノ]プロピル(メタ)アクリレ
ート、3−[N,N−ジプロピルアミノ]プロピル(メ
タ)アクリルアミド、3−[N,N−ジメチルアミノ]プ
ロピル(メタ)アクリレート、3−[N,N−ジメチルア
ミノ]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[N,N−
ジメチルアミノ]ブチル(メタ)アクリレート、3−
[N,N−ジメチルアミノ]ブチル(メタ)アクリルアミ
ド、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]
アミン等のアミノ基含有不飽和単量体ならびにそれらの
塩酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、フッ素酸塩、
硝酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、ホウ
酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、
酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、p−ト
ルエンスルホン酸・ベンゼンスルホン酸・メタンスルホ
ン酸・エタンスルホン酸・イセチオン酸・ドデシルベン
ゼンスルホン酸等のスルホン酸塩などの塩;および2−
[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルトリメチルアン
モニウムクロライド、2−[(メタ)アクリロイルオキ
シ]エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−
[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルトリメチルアン
モニウムヨーダイド、2−[(メタ)アクリロイルオキ
シ]エチルジメチルフェニルアンモニウムクロライド等
の4級アンモニウム基含有不飽和単量体等から選ばれる
1種または2種以上の解離基含有不飽和単量体を含んで
なる単量体成分の重合物および/またはその架橋物が挙
げられる。また、得られる電気粘性流体組成物の性能を
低下させない範囲で、非解離性不飽和単量体を上記解離
基含有不飽和単量体と組み合わせて用いることも可能で
ある。
のイオン性重合体としては、例えばポリスチレン系
イオン交換樹脂等の合成樹脂のスルホン化もしくはカル
ボキシル化変性物や、カルボキシメチルセルロース等の
天然高分子の変性物等が挙げられる。
本発明で用いられるイオン性重合体は、解離基を0.5m
g当量/g以上含むことが好ましい。解離基が0.5mg当量/g
未満のイオン性重合体では、得られる電気粘性流体組成
物に電場を印加した際のせん断応力が大きくならない時
がある。
また、本発明で用いられるイオン性重合体は、架橋構
造を有する架橋物であってもよい。むしろイオン性重合
体に架橋物を用いると、得られる電気粘性流体組成物の
経時安定性が向上するので好ましい。このような架橋物
を得るには、前記の解離基含有不飽和単量体を含んでな
る単量体成分中に架橋剤を混合しておいてから重合する
か、あるいはイオン性重合体に架橋剤を反応させるかす
ればよい。
これらの架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミド、イソ
シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジアリ
ルエーテル等の1分子中にエチレン系不飽和基を2個以
上有する化合物;エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコ
ール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポ
リプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペン
タエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコー
ス、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多
価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物
等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いるこ
とができる。架橋剤として多価アルコールを用いる場合
には150℃〜250℃で、ポリエポキシ化合物を用いる場合
は50℃〜250℃で熱処理することが好ましい。
本発明に用いられるイオン性重合体を得るための重合
方法は、従来から知られているいかなる方法でも良く、
例えばラジカル重合触媒を用いる方法や、放射線・電子
線・紫外線等を照射する方法が挙げられる。ラジカル重
合触媒としては、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイ
ド、キュメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アン
モニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジカル発
生剤や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコル
ビン酸、第一鉄塩等の還元剤との組み合わせによるレド
ックス系開始剤が用いられる。重合系溶媒としては、例
えば水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、シク
ロヘキサン、キシレン、トルエン、ベンゼン等やこれら
の混合物を使用することができる。重合時の温度は用い
る触媒の種類により異なるが、比較的低温の方が重合体
の分子量が大きくなり好ましい。しかし、重合が完結す
るためには20℃以上100℃以下の範囲内であることが好
ましい。
重合系の単量体濃度には特に制限はないが、重合反応
の制御の容易さと収率・経済性を考慮すれば、20〜80重
量%の範囲にあることが好ましい。重合形態としては種
々の形態を採用できるが、例えば懸濁重合、注型重合、
双腕型ニーダーのせん断力によりゲル状含水重合体を細
分化しながら重合する方法(特開昭57−34101号)が挙
げられる。これらの中でも、球形の微粒子が得られると
いう点で、単量体水溶液を疎水性有機溶媒中に懸濁させ
て重合する方法などの懸濁重合が特に好ましい。
本発明でその表面上で特定のケイ素化合物および/ま
たはその2〜10量体を縮合反応させるイオン性重合体粒
子の粒子径及び形状には、特に制限はないが、粒子径が
0.1〜500μで形状が球形のものが後記する好ましい粒子
径と形状を有する複合粒子を得る上で好ましい。
本発明で用いられるケイ素化合物および/またはその
2〜10量体は、前記一般式(I)で表わされるケイ素化
合物および/またはその2〜10量体であり、例えばオル
トメチルシリケート、オルトエチルシリケート、オルト
プロピルシリケート、オルトブチルシリケート等のオル
トアルキルシリケート及びそれらの2〜10量体;ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリアセトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ア
ミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミ
ノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシランカ
ップリング剤;メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オ
クタデシルトリエトキシシラン、メチルオクタデシルジ
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン等のアルキルまたはアリールアルコキシシラン;フェ
ニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ト
リフェニルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メ
チルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルト
リクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルト
リクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、メチ
ルオクタデシルジクロロシラン、ジメチルオクタデシル
クロロシラン、テトラクロロシラン、ジフェニルジクロ
ロシラン等のクロロシラン化合物が挙げられ、これらの
1種または2種以上を用いることができる。
ケイ素化合物および/またはその2〜10量体の使用量
は、イオン性重合体100重量部に対して0.1〜100重量部
であることが好ましい。0.1重量部未満ではケイ素化合
物による処理効果が不十分となり、また100重量部を越
えると得られる電気粘性流体組成物に電場を印加した時
のせん断応力が低下することがある。
イオン性重合体粒子の表面上でケイ素化合物および/
またはその2〜10量体を縮合反応させる場合、イオン性
重合体の絶乾重量に対して1〜200重量%の範囲の水が
イオン性重合体中に含有されている状態であることが好
ましい。1重量%未満の場合は反応速度が非常に遅くな
り、また200重量%を越える場合には反応速度が速くな
りすぎて縮合反応中にイオン性重合体同志が凝集するこ
とがある。また、縮合反応は、イオン性重合体とケイ素
化合物および/またはその2〜10量体との間あるいはケ
イ素化合物および/またはその2〜10量体同志の間で起
っても良い。また縮合反応と同時にケイ素化合物および
/またはその2〜10量体が加水分解を受けても良い。
イオン性重合体粒子の表面上でケイ素化合物および/
またはその2〜10量体を縮合反応させる場合、ケイ素化
合物および/またはその2〜10量体に対し実質的に不活
性な溶媒中で反応を行うことが好ましい。用いられる溶
媒としては、水あるいは水性溶媒のようにケイ素化合物
および/またはその2〜10量体に反応活性なものでない
限り特に制限なく、例えばヘキサン、オクタン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、二塩化エチレン、クロロホルム、ジエチルエーテ
ル等の1種または2種以上の混合物を挙げることができ
る。
イオン性重合体粒子の表面上でケイ素化合物および/
またはその2〜10量体を縮合反応させる場合、反応速度
を速くするために例えばジブチルチンジラウレート、ジ
ブチルチンジアセテート、ジブチルチンジオクトエー
ト、有機アミン等の縮合反応触媒を用いたり、また反応
速度を抑制するために例えばアセチルアセトン、エチレ
ングリコール等のキレート化剤を用いたりすることもで
きる。また、ケイ素化合物および/またはその2〜10量
体を前記のキレート化剤で処理した後、縮合反応に用い
てもよい。
本発明においてイオン性重合体粒子の表面上でケイ素
化合物および/またはその2〜10量体を縮合反応させる
には、イオン性重合体粒子を凝集させることなくその表
面にケイ素化合物および/またはその2〜10量体の縮合
物を生成できる限り、特に制限はない。しかし、容易に
しかも絶縁性分散媒に対する濡れ性や分散性により優れ
た複合粒子が得られるという点で、イオン性重合体粒子
の前記溶媒への分散液にケイ素化合物および/またはそ
の2〜10量体を添加し0〜200℃の温度に好ましくは0.5
〜6時間保持する方法が好ましい。反応温度が0℃未満
では反応速度が遅くなって濡れ性や分散性の改良効果が
不十分となり易く、また200℃を越える温度では縮合反
応中にイオン性重合体の粒子同志が凝集しやすくなる。
このようにして、イオン性重合体粒子表面上で特定の
ケイ素化合物および/またはその2〜10量体を縮合反応
して得られる複合粒子の粒子径及び形状には特に制限は
ないが、粒子径として0.1〜500μのものが好ましく、形
状は球形のものが好ましい。粒子径が上記範囲をはずれ
たり、形状が不定形であったりすると、得られる電気粘
性流体組成物に電場変化を加えた際にせん断応力が十分
に大きくならない時がある。
本発明で用いられる絶縁性分散媒としては、109Ωcm
以上の電気抵抗を有する電気絶縁性液体であれば特に制
限なく、例えばハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化ジフェ
ニル、ハロゲン化ジフェニルメタン、ハロゲン化ジフェ
ニルエーテル、ハロゲン化パラフィン、ハロゲン化ナフ
タレン等のハロゲン化炭化水素類;ダイフロイル やデ
ムナム (ダイキン工業株式会社製)等のフッ化物の低
重合体;フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオク
チル、トリメリット酸イソデシル、セバシン酸ジブチル
等のエステル類;流動パラフィン、石油エーテル、石油
ベンジン、キシレン、ベンゼン、トルエン、テトラリン
等の炭化水素類;シリコン油、トランス油等やこれらの
混合物を挙げることができる。
特に、シリコン油は、縮合反応後にアルキル基やアリ
ール基を失うオルトアルキルまたはアリールシリケート
やそれらの2〜10量体等をケイ素化合物および/または
その2〜10量体として用いて得られた複合粒子の絶縁性
分散媒として適しており、またハロゲン化炭化水素類や
炭化水素類やエステル類は、縮合反応後にもアルキル基
やアリール基を失わないアルキルまたはアリールアルコ
キシシラン等を用いて得られた複合粒子に適している。
本発明におけるイオン性重合体と絶縁性分散媒との比
は、特に制限はないが、絶縁性分散媒100重量部に対し
てイオン性重合体が5〜400重量部の範囲であることが
好ましい。イオン性重合体の量が5重量部未満では、得
られる電気粘性流体組成物に電場変化を加えた際にせん
断応力が十分に大きくならない場合があり、また400重
量部を越えると、得られた組成物自体の流動性が低下し
て、電気粘性流体として使用し難くなる場合がある。
本発明の電気粘性流体組成物が顕著なウインズロー効
果を発現する理由は明らかでないが、組成物中のイオン
性重合体中に微量の水分が含まれることにより、電場変
化が加わった際に大きなせん断応力が誘起されるものと
考えられる。しかしながら、本発明におけるイオン性重
合体中の水分は、20重量%以下が好ましい。水分が20重
量%を越えると、イオン性重合体の粒子同志が付着した
り、電場変化が加わった際のせん断応力が大きくならな
かったりする事がある。
本発明では、イオン性重合体の絶縁性分散媒中への分
散性向上や、電気粘性流体組成物の粘度調節あるいはせ
ん断応力向上のために、界面活性剤、高分子分散剤、高
分子増粘剤等の各種添加物を添加することができる。
(発明の効果) 本発明において特定のケイ素化合物で表面処理して得
られる複合粒子は絶縁性分散媒に対する濡れ性や分散性
にすぐれているため、本発明の電気粘性流体組成物は、
外部電解を印加した時に大きなせん断応力を発生し、か
つ発生したせん断応力の経時安定性にも優れている。し
たがって、本発明の電気粘性流体組成物は、クラッチ、
ダンパー、ブレーキ、ショックアブソーバー、アクチュ
エーター等へ有効に利用できる。
(実 施 例) 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発
明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではな
い。
実施例 1 攪拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入
管を備えた2の四つ口フラスコにシクロヘキサン1200
gを仕込み、ソルビタンモノステアレート8gを添加溶解
した後、窒素置換した。一方、滴下ロートに2−スルホ
エチルメタクリレートのナトリウム塩151g(0.70モ
ル)、メタクリル酸6.5g(0.075モル)、メタクリル酸
ナトリウム24.3g(0.225モル)、N,N−メチレンビスア
クリルアミド0.154g(0.001モル)、水268gおよび過硫
酸アンモニウム0.2gを加えて溶解した後、窒素ガスを吹
き込んで水溶液内に存在する酸素を除去した。次いで、
滴下ロートの内容物を上記四つ口フラスコに加えて分散
させ、わずかに窒素ガスを導入しつつ湯浴により重合系
の温度を60〜65℃に保持して、3時間重合反応を続け
た。その後、シクロヘキサンとの共沸により、系内の水
を232g留出させた。
次に、オルトメチルシリケート18gを四つ口フラスコ
中に加え、攪拌しながら70℃で3時間加熱して、オルト
メチルシリケートの縮合反応を行った。その後、得られ
た懸濁液から固形分を過・乾燥して、複合粒子(1)
を得た。
得られた複合粒子(1)の平均粒子径を島津レーザー
回折式粒度分布測定装置を用いて測定したところ、35.6
μであった。
比較例 1 シクロヘキサンとの共沸により系内の水を留出させる
までは実施例1と同様にし、その後、固形分を過・乾
燥した後、48メッシュ標準篩で分級し、通過物(以下、
これを比較粒子(1)という。)を得た。この比較粒子
(1)の平均粒子径は38.4μであった。
実施例 2 滴下ロートの内容物として2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸リチウム213g(1.0モル)、
N,N−メチレンビスアクリルアミド1.54g(0.01モル)、
水221gおよび過硫酸アンモニウム0.2gを用いる以外は実
施例1と同様にして重合を行った。その後、シクロヘキ
サンとの共沸により系内の水を120g留出させた。
次に、オクタデシルトリクロロシラン21gを四つ口フ
ラスコ中に加え、攪拌しながら70℃で4時間加熱して、
オクタデシルトリクロロシランの縮合反応を行った。そ
の後、固形分を過・乾燥して、複合粒子(2)を得
た。得られた複合粒子(2)の平均粒子径は47.6μであ
った。
比較例 2 重合終了までは実施例2と同様にし、その後、シクロ
ヘキサンとの共沸で系内の水を200g留出させた。その
後、固形分を過・乾燥した後、48メッシュ標準篩で分
級し、通過物(以下、これを比較粒子(2)という。)
を得た。この比較粒子(2)の平均粒子径は51.2μであ
った。
実施例 3 1の円筒形セパラブルフラスコに2−(N,N−ジメ
チルアミノ)エチルアクリレート71.5g(0.5モル)、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸104g
(0.5モル)、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト0.0592g(0.002モル)および水318gを仕込み、攪拌し
て均一に溶解させた。次いで、フラスコ内を窒素置換し
た後、フラスコ内容物を湯浴で40℃に加熱しながら10%
過硫酸アンモニウム水溶液1.0gおよび1%L−アスコル
ビン酸水溶液1.0gを添加し、攪拌を停止して重合させ
た。重合開始後発熱し、30分後に78℃まで上昇した。重
合系の温度が下がり始めたのを確認した後、湯浴を90℃
に上昇させ、更に1時間加熱した。得られた重合体架橋
物の含水ゲルを細分化した後、乾燥・粉砕・分級して、
100メッシュ標準篩通過物を得た。
次に、この100メッシュ標準篩通過物20gを相対湿度80
%の室内に1時間放置して、2.2gの水分を均一に吸湿さ
せた。このものをトルエン80g中に分散させ、得られた
分散液にエチルシリケート40(コルコート(株)製)1g
を加えた後、70℃で4時間加熱して縮合反応を行った。
その後、この分散液から固形分を過・乾燥して、複合
粒子(3)を得た。この複合粒子(3)の平均粒子径は
118μであった。
比較例 3 実施例3と同様にして得られた重合体架橋物の含水ゲ
ルを乾燥・粉砕したのち100メッシュ標準篩で分級し
て、比較粒子(3)を得た。この比較粒子(3)の平均
粒子径は114μであった。
実施例 4 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム型イオン交換樹脂
であるアンバーライト IR−120B(オルガノ株式会社
製)を乾燥して、含有水分を10%まで低下させた。これ
を粉砕・分級して100メッシュ標準篩通過物を得た。
次に、この100メッシュ標準篩通過物20gをメタノール
80g中に分散させ、得られた分散液にフェニルトリメト
キシシラン8gを加えた後、70℃で4時間加熱して縮合反
応を行った。その後、この分散液から固形分を過・乾
燥して、複合粒子(4)を得た。この複合粒子(4)の
平均粒子径は103μであった。
実施例 5 実施例4におけるフェニルトリメトキシシラン8gの代
わりにビニルトリメトキシシラン2gを使用する以外はす
べて実施例4と同様にして、複合粒子(5)を得た。こ
の複合粒子(5)の平均粒子径は99μであった。
比較例 4 アンバーライト IR−120Bを実施例4と同様にして乾
燥・粉砕・分級して、100メッシュ標準篩通過物(以
下、これを比較粒子(4)という。)を得た。この比較
粒子(4)の平均粒子径は98μであった。
実施例6〜10および比較例5〜8 第1表に示した粒子のそれぞれ20gを110℃で1時間乾
燥後、温度20℃、相対湿度60%の室内に1時間放置して
吸湿させた後、第1表に示した絶縁性分散媒80g中に混
合・分散した。このようにして得られた電気粘性流体組
成物のそれぞれを共軸二重円筒形回転粘度計に入れ、せ
ん断速度400sec-1で外部電界3000V/mmを印加した時のせ
ん断応力を測定した。また、外部電界を印加した状態で
6日間連続して粘度計の運転を行った後のせん断応力を
測定し、経時安定性を調べた。
せん断応力の測定結果を第1表に示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 中野 孝一 (56)参考文献 特開 昭60−209242(JP,A) 特開 昭61−259752(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン性重合体粒子の表面上で一般式
    (I) (RmSiX)4-m (I) (ただし、Rは置換基があってもよい、アルキル基、ア
    リール基または不飽和脂肪族残基、Xはアルコキシ基、
    アシロキシ基、水素原子、ハロゲン原子または水酸基、
    mは0又は1〜3の整数を示し、m個のRおよび4−m
    個のXはそれぞれ異なっていてもよい。)で表わされる
    ケイ素化合物および/またはその2〜10量体を縮合反応
    して得られる複合粒子を絶縁性分散媒中に分散させてな
    る電気粘性流体組成物。
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