JP2505611B2 - 快削銅合金 - Google Patents

快削銅合金

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JP2505611B2
JP2505611B2 JP2078932A JP7893290A JP2505611B2 JP 2505611 B2 JP2505611 B2 JP 2505611B2 JP 2078932 A JP2078932 A JP 2078932A JP 7893290 A JP7893290 A JP 7893290A JP 2505611 B2 JP2505611 B2 JP 2505611B2
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copper alloy
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敏行 大迫
公一 横沢
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、機械部品、バルブなど切削加工部品用材料
として用いられる快削銅合金に関する。
【従来の技術】
0.6〜3.7重量%のPbを含有するCu−Zn合金(快削黄
銅)は、Pbの添加によって切削抵抗を低下させた銅合金
であり、被削性に優れるので機械部品などの切削加工用
材料として従来より広く用いられてきた。しかし、近年
では機械部品の微小化、加工精度の向上など、加工技術
に対する要求が厳しくなる一方で、自動工作機械の普及
により、特に工具の長寿命化が重要な課題となってきて
いる。 切削加工方法としては、平削り、フライス削り、施
削、穴あけなどがあるが、このうちドリルによる穴あけ
加工は他の加工方法に比べて工具の損耗が激しい。 ドリル加工においても近年は、細穴加工、深穴加工な
ど加工条件がより厳しくなっており、従来の快削黄銅を
用いた場合には、ドリルの損耗や破損が起こりやすく、
また十分な加工精度が得られない場合があるなどの問題
があった。 そのため、工具の改良ばかりでなく被削材に対して
も、従来よりさらに高い被削性が要求されるようになっ
ている。
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来材料の欠点を解決し、Cu−Zn
−Pb系合金の被削性を改善して、ドリルなどの加工工具
の長寿命化および加工精度の向上を達成しようとするも
のである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決のためにCu−Zn−Pb系
合金に種々の検討を加えた結果、合金中のβ相量を1〜
20体積%とすること、並びに合金中の不純物Siを0.001
重量%以下及びPを0.003重量%以下とすることによ
り、ドリルによる穴開け加工時の被削性、特に穿孔性が
著しく改善され、加工精度が向上すると共に、工具寿命
も大きく改善されることを見出し、本発明の第1に至っ
た。すなわち本発明の第1は、59〜64重量%のCuと、0.
5〜4重量%のPbとを含み、かつPの含有量が0.003重量
%以下及びSiの含有量が0.001重量%以下であって、残
部が実質的にZnからなり、合金中のβ相量が体積にして
1〜20体積%であることを特徴とする快削銅合金であ
る。 また、銅合金中の不純物Si及びPをそれぞれ0.001重
量%以下とすることによって、工具寿命がさらに改善さ
れることを見出し、本発明の第2に至った。すなわち、
本発明の第2は、59〜64重量%のCuと、0.5〜4重量%
のPbとを含み、かつP及びSi含有量がそれぞれ0.001重
量%以下であって、残部が実質的にZnからなり、合金中
のβ相量が体積にして1〜20体積%であることを特徴と
する快削銅合金である。
【作用】
Pbはα黄銅中に固溶せず、分散相として存在する。こ
のPb相は潤滑作用を有し、切削抵抗を低下させるので、
0.5〜4重量%含有される。ここでPb含有量が0.5重量%
未満では充分な潤滑作用が得られず、一方4重量%を超
えて含有すると熱間加工が困難となるので、Pb含有量は
0.5〜4重量%とする。 Cuについては、64重量%を超えると工程の如何にかか
わらず、β相が出現しなくなるので、64重量%以下とす
る必要がある。またCuが59重量%未満ではβ相量が20体
積%を超えて切削抵抗が上昇すると共に、冷間加工性が
低下するので、Cu含有量は59重量%以上とする必要があ
る。 上記のCu成分範囲においては、焼鈍条件によってβ相
の量及び分布が変化する。ここでβ相量を1〜20体積%
とするのは、1体積%未満のβ相量では特に深穴加工の
場合の切削抵抗増加が著しく、工具寿命の低下や寸法精
度の低下の原因となるためである。一方、β相量が20体
積%を超えると、切削抵抗が上昇すると共に切削面が粗
く成って加工精度が低下する。したがって、β相量は1
〜20体積%とする必要がある。 さらに、SiとPの含有量をそれぞれ0.001重量%以下
とするのは、これらの元素は、0.001重量%を超えて含
まれると、銅合金中に普通に含まれるFeなどの不純物と
化合して、硬い分散相を形成し、これが工具の磨り減り
摩耗を引き起こして、工具寿命を著しく低下させるから
である。 本発明合金の製造にあたっては、普通の大気溶解、雰
囲気溶解などによって処理され、得られた鋳塊は、熱間
圧延や熱間押出し加工の後、冷間圧延や冷間伸線と焼鈍
を繰り返すことにより、所望の形状に加工される。尚、
本発明合金におけるβ相の量及び分布は、工程途中にお
いて素材の焼鈍条件によって変化させ得るものであり、
その最適条件は、材料に供与される切削加工条件によっ
て決められる。
【実施例】
銅スクラップ(上故銅)及び快削黄銅スクラップを所
定の組成となるように配合し、高周波溶解炉を用いて、
5種の合金を大気中で溶解・鋳造した。また市販の電気
銅、電気亜鉛、粒状鉛を原料として用いた4種の合金も
作成した。第1表に各合金の化学分析値を示す。 各鋳塊を750℃で熱間押出し5.0mm径の棒材とした。そ
の際、Pbを本発明の成分範囲より多く含む鋳塊No.9は熱
合割れを生じ、以後の加工ができなかった。 本発明の成分範囲にあって、熱間割れを生じなかった
No.2およびNo.4〜5の棒材、並びに本発明の成分範囲外
にあって、熱間割れを生じなかったNo.1、No.3およびN
o.6〜8の棒材を冷間伸線と450℃、1時間の焼鈍を繰返
すことにより2.5mm径とした。この線材を350〜700℃の
各温度で1時間の焼鈍を行ってβ相量を種々に変化させ
た。その後、再び冷間伸線を行って2.0mm径線材とし
た。 これらの線材を本発明のβ相量範囲に従い分類して、
本発明合金6種、比較合金7種を被削性試験に供した。
各合金中のβ相量については、X線回析法により、α,
β各相の回析ピーク強度の比から求めた。 尚、X線回析法による測定値をもってβ相量を同定す
ることを裏付ける為に、粗大なβ相組織を有する一部の
試料については、光学顕微鏡観察における各相の面積比
からもβ相量を求めたが、両者の値はほぼ一致した。 本発明合金及び比較合金の焼鈍条件及びβ相量測定結
果を第2表に示す。 各合金の被削性は、以下の試験をおこなって評価し
た。まず1mm径の高速度鋼ツイストドリルを用いて深さ7
mmの穴開け加工を100回行い、穴径を測定し、1mm±10μ
m以内のものを良品、それ以外を不良品とした。各合金
について、不良発生率を第2表に示す。また穴開け加工
を1000回を超えて続けた結果、工具が破損するか、不良
発生率が1%になるまでの穴開け回数をもって工具寿命
を表したものを第2表に併せて示す。 本発明合金は1000回までの加工で不良は全く発生せ
ず、工具寿命はいずれも29000回以上である。それに対
し比較合金では、不良発生が多く、工具の寿命が10000
回末端が多く、高々25000回であって被削性に劣ること
が分かる。
【発明の効果】
上記のように、本発明合金は被削性に優れる銅合金で
あり、これを切削加工用材料として用いることにより、
機械部品などの加工精度を高めると共に、工具寿命を向
上させることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】59〜64重量%のCuと、0.5〜4重量%のPb
    とを含み、かつP及びSiの含有量がそれぞれ0.001重量
    %以下であって、残部が実質的にZnからなり、合金中の
    β相量が体積にして1〜20体積%であることを特徴とす
    る快削銅合金。
  2. 【請求項2】59〜64重量%のCuと、0.5〜4重量%のPb
    とを含み、かつPの含有量が0.003重量%以下及びSiの
    含有量が0.001重量%以下であって、残部が実質的にZn
    からなり、合金中のβ相量が体積にして1〜20体積%で
    あることを特徴とする快削銅合金。
JP2078932A 1990-03-29 1990-03-29 快削銅合金 Expired - Lifetime JP2505611B2 (ja)

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JPH03281749A JPH03281749A (ja) 1991-12-12
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5925938A (ja) * 1982-08-03 1984-02-10 Nitto Kinzoku Kogyo Kk 耐脱亜鉛腐食性快削黄銅およびその製造法

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