JP2505591Y2 - 工作機械の自動パレット交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、工作機械の自動パレット交換装置に関し、
詳しくは、パレットのワーク取付具上のワークの自動交
換を可能とするため、ワークのクランプ．アンクランプ
機構及びパレットの割出し機構を備えたものに関する。

〈従来の技術〉 マシニングセンタなどの工作機械と自動ワーク搬送装
置とを連結して工作機械に対するワークの搬入搬出を自
動的に行う場合、ワークの交換は、工作機械のテーブル
上で直接行われる。また、工作機械が自動パレット交換
装置を備えるものである場合には、ワークの交換は、自
動パレット交換装置の待機位置（段取りステーション）
におけるパレット上で行われる。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところで、ワークを取付けるワークの取付具は生産性
向上等の理由から複数のワーク取付面を有している。こ
のような複数の取付面に対しワークの自動交換を行う場
合、前述の前者の如く工作機械のテーブル上でワーク交
換を行う場合には、工作機械のテーブル自体が自動割出
し機能及びワーククプランプ．アンクランプ機能を持っ
ているので、ワークの自動交換を連続して行うことがで
きる。

しかし、この方法では、ワークの交換中は加工ができ
ないので、生産性が低下するという欠点がある。

一方、前述の後者の如く、自動パレット交換装置の待
機位置におけるパレット上でワーク交換を行う場合に
は、工作機械による加工中にワーク交換が行えるので生
産性の低下はないが、待機位置にはパレットの自動割出
し機能が備えられてはいないので、複数の取付面を有す
る取付具の各面のワークの自動交換を行うことができな
い。

本考案は、このような事情にかんがみてなされたもの
で、自動パレット交換装置の待機位置で、複数の取付面
を持つ取付具の各面のワークを自動的に交換できるよう
にすることを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記問題を解決するため、本考案では、パレット受台
が装置本体に回転自在に支持され、割出し機構によって
前記パレット受台に搬入されるパレット上のワーク取付
具の４つのワーク取付面がワーク交換装置に対して選択
的に割出し可能とされ、前記ワーク取付具の４つのワー
ク取付面にそれぞれ対応してワーク固定シリンダが設け
られると共に該ワーク固定シリンダに接続されたチェッ
ク弁を有する流体接手が前記ワーク取付具の上部に設け
られる一方、外部に前記ワーク固定シリンダを作動させ
る流体源及びチェック弁を有する流体接手が設けられ、
前記パレットが前記パレット受台上に搬入されたとき
に、前記装置本体とは別の固定部材に設けられた接手着
脱シリンダによって前記流体源側の流体接手が移動して
前記ワーク固定シリンダ側の流体接手のうちの一つに上
方から選択的に接続可能とされた工作機械の自動パレッ
ト交換装置を構成したのである。

〈作用〉 上記パレット交換装置において、パレット受台上のパ
レットは、パレット受台と共に回転され、割出し機構に
よってワーク取付具の各ワーク取付面がワーク交換装置
に対して順に割出しされる。このとき、接手着脱シリン
ダによって流体源側の流体接手を移動すると、ワーク取
付具の割出されたワーク取付面のワーク固定シリンダ側
の流体接手と上方から接続され、流体源からワーク固定
シリンダに流体の給排が行われることでワークはクラン
プ・アンクランプされる。よって、ワーク取付具の各ワ
ーク取付面に対するワークの交換作業が自動的になし得
る。

〈実施例〉 第１図には本考案を適用した自動パレット交換装置及
び工作機械、ワーク交換装置の一部を含む概略平面を示
す。

１はマシニングセンタなどの工作機械の主軸ヘッド
で、その主軸２には工具３が装着されている。４は主軸
ヘッド１の前面側に位置する工作機械のテーブルで、図
中矢印で示す前後左右方向に移動可能となっている。図
では、テーブル４上にパレット５が供給されている状態
を示す。パレット５上にはワーク取付具６が一体に設け
てあり、この取付具６の前後左右の四面はワークの取付
面７となっており、各取付面７にはワークＷが取付けら
れている。

テーブル４の前後方向の移動端にパレット交換装置８
が設けられている。このパレット交換装置８はその本体
９が旋回し、パレット５を受取位置Ａと待機位置Ｂとで
位置替えできるようになっている。パレット５の待機位
置Ｂに対してはワーク交換装置10が進退し、パレット５
上の取付具６のワーク取付面７に対するワークＷの受け
渡しができるようになっている。

パレット５上の取付具６の各ワーク取付面７には、第
２図に示すように、ワーク固定手段としてのワーク自動
クランプ．アンクランプ装置（以下、ワーククランプ装
置と呼ぶ）11が装備されている。このワーククランプ装
置11は、ワークＷを受けるべくワーク取付面７に設けら
れたワーク受台12と、ワーク受台12とでワークＷを上下
方向に挾み付けて固定するクランプシリンダ13とからな
っている。クランプシリンダ13は油圧によりピストンロ
ッド13aを押し出し、油圧の解放によりばね13bのばね力
により復帰する構造のもので、シリンダ13につながる油
路の流体接手14が取付具６上面に設けられている。流体
接手14は各シリンダ13ごとに設けられており、その構造
はチェック弁15を有するものとなっている。

一方、パレット交換装置８によりパレット５を待機位
置Ｂに移動させたときに、流体接手14のうち、交換対象
となるワークＷを把持するクランプシリンダ13につなが
る流体接手14に対向するように流体接手16が位置してい
る。この流体接手16は、パレット交換装置８外の固定部
材17に設けられた接手着脱用シリンダ18のピストンロッ
ド18a先端に取付けられ、接手着脱用シリンダ18の作動
により前記流体接手14に対し着脱される。接手着脱用シ
リンダ18は複動シリンダで接手着脱用ソレノイドバルブ
19の切換により前進あるいは後退動される。流体接手16
は、チェック弁20を有する構造となっており、クラン
プ．アンクランプ用ソレノイドバルブ21を介して油圧ポ
ンプ、油圧タンクに接続されている。したがって、流体
接手14と16とを接続して、クランプ．アンクランプ用ソ
レノイドバルブ21を切換することにより、クランプシリ
ンダ13は前進動あるいは後退動し、ワークＷのクランプ
あるいはアンクランプがなされる。なお、ワーククラン
プ状態で流体接手14と16とを切り離すことにより、ワー
クＷはクランプ状態で保持される。

パレット交換装置８の本体９には、第３図に示すよう
にパレット自動割出し装置22が組み込まれている。23は
本体９に取付けられた筒状のベースブロックで、その上
面に軸受24を介してパレット受台25が回転可能に支持さ
れ、その下面中央部にパレット回転軸26が一体的にボル
ト結合されている。割出し装置22により、このパレット
回転軸26が割り出し回転されるのである。なお、パレッ
ト受台25の上にはパレット５を案内するガイドローラ27
a,27b及びパレット５をパレット受台25上に固定するロ
ック装置（図示省略）が設けられている。

前記ベースブロック23にはベースブロック23を外筒と
してクラッチ着脱用シリンダ28が構成されている。つま
り、ベースブロック23内には、パレット回転軸26に対し
軸方向に摺動可能で円周方向に一体となり、かつベース
ブロック23に対し上下方向に摺動可能にピストン29ガ収
容され、ピストン29と一体の筒状のピストロッド30はベ
ースブロック23下部を貫通してパレット回転軸26に沿っ
て下方に延び、さらにピストン29の上下両側にはそれぞ
れ油圧室31,32が形成されているのである。33は油圧室3
1を区画するためにベースブロック23に取付けられた端
板である。油圧室31,32には油路34,35が接続し、油路3
4,35はクラッチ着脱用ソレノイドバルブ26を介して油圧
ポンプ，油圧タンクに接続されている。

一方、ピストンロッド30の下部側には段がつけられ、
この段に上端をあてがってピストンロッド30にクラッチ
部材37が嵌め込まれ、かつキー38によりピストンロッド
30と円周方向に一体とされ、さらにピストンロッド30下
部に切られたおねじ部30aにナット39をねじ込むことに
よってクラッチ部材37はピストンロッド30と軸方向にも
一体とされている。クラッチ部材37は上面に着脱用の歯
（爪）37aが形成されている。前記ベースブロック23の
下側においてピストンロッド30にはクラッチ部材41がピ
ストンロッド30に対し回転可能に嵌め込まれ、かつ本体
９に設けられた支持部材42によって保持されている。43
はクラッチ部材41トベースブロック23との間に設けられ
たスラスト軸受である。クラッチ部材41の下面には前記
クラッチ部材37の歯37aと着脱される歯（爪）41aが形成
されている。また、クラッチ部材41の外周は歯車41bと
なっており、この歯車41bに割出し用ラック44が噛み合
わせられている。割出し用ラック44は図示されていない
駆動機構（油圧シリンダなど）により所定量往復動され
るようになっている。

クラッチ部材37,41はパレット割出し用のクラッチを
構成し、クラッチ着脱用シリンダ24の油圧室32に油圧を
かけてピストンロッド30と共にクラッチ部材41を上昇さ
せることにより両者は噛み合い、油圧室31に油圧をかけ
ることにより両者は分離する。クラッチ部材37と41とを
噛み合わせた状態で割出し用クラッチ44を駆動すること
により、クラッチ部材41が回転し、その回転がクラッチ
部材41、クラッチ部材37、キー38、ピストンロッド30及
びピストン29を介してパレット回転軸26に伝わり、パレ
ット受台25が回転される。

次に、上記構成の自動パレット交換装置８によるワー
ク交換作業について説明する。

工作機械によりすべての取付面へのワークＷの加工が
終了すると、テーブル４は交換位置Ａに移動し、交換位
置Ａにおいてテーブル４上のパレット５はパレット交換
装置８のパレット受台25上に渡される。

次に、本体９が旋回し、加工済みのワークＷを搭載し
たパレット５は待機位置Ｂに移動される。このとき、ワ
ーク交換装置10側を向くワーククランプ装置11のクラン
プシリンダ13につながる流体接手14は流体接手16の直下
に位置することとなる。

次に、接手着脱用ソレノイドバルブ19が切り換えら
れ、接手着脱用シリンダ18が伸長作動し、そのピスドン
ロッド18a先端の流体接手16が流体接手14と接続され
る。

次に、クランプ．アンクランプ用ソレノイドバルブ21
が油圧解放側に切り換えられ、クランプシリンダ13の油
圧が低下しばね13bのばね力によりピストンロッド13aは
押し戻され、ワークＷが解放される。

この状態で、ワーク交換装置10により加工済みのワー
クＷとが交換される。

ワークＷが交換されると、クランプ．アンクランプ用
ソレノイドバルブ21が切り換わり、クランプシリンダ13
に油圧が供給され、ピストンロッド13aの伸長により、
ワークＷはピストンロッド13aの先端とワーク受台12と
で把持される。ワークＷの把持完了後、接手着脱用ソレ
ノイドバルブ19が切り換わり、シリンダ18の短縮作動に
より、流体接手16が流体接手14から切り離される。流体
接手16,14が切り離されても、クランプシリンダ13内に
は油圧が保持されているので、ワークＷは把持された状
態を保つ。

以上のようなワークＷの交換動作と併行して、パレッ
ト自動割出し装置22においては、クラッチ部材41に対す
るクラッチ部材37の噛み合わせがなされる。つまり、ク
ラッチ着脱用ソレノイドバルブ36の切り換えにより、ク
ラッチ着脱用ソレンダ24の油圧室32に油圧が供給され、
ピストン29及びピストンロッド30が上昇して、クラッチ
部材41の歯41aに対しクラッチ部37の歯37aが噛み合わせ
られるのである。

前述のように、一のワーク取付面７におけるワークＷ
の交換が完了すると、ラック駆動機構の作動により割出
し用ラック44が所定量（割出し角度に相当する量）移動
され、ラック44との噛み合っているクラッチ部材41が回
転され、クラッチ部材41と噛み合わせられているクラッ
チ部材37等を介してパレット回転軸26及びパレット受台
25が所定量割り出し回転される。つまり、パレット受台
25と共にその上のパレット５が回転し、他のワーク取付
面７がワーク交換装置10に対し向けられるのである。パ
レット受台25の割出し回転後、クラッチ着脱用ソレノイ
ドバルブ36が切り換わり、クラッチ着脱用シリンダ24の
復帰用の油圧室31に油圧が供給され、ピストンロッド30
と共にクラッチ部材37は下降され、クラッチ部材41との
噛み合いは解除される。この後、ラック駆動機構が復帰
作動しラック44は起動位置に戻される。

一方、新たにワーク交換装置10に対面したワーク取付
面７のワークＷは前述と同様にして交換がなされる。

以上のようにして、すべてのワーク取付面７のワーク
Ｗが自動的に交換される。なお、ワークＷのクランプ．
アンクランプのためのクランプシリンダ13の作動、流体
接手14,16の着脱、パレット受台25の割出し動作等は、
ワーク交換装置10の動きと連動して順次動作するように
制御される。

上記実施例においては、ワークの固定手段として油圧
シリンダを採用し、その作動源として油圧を採用してい
るが、その他の手段を採用し、作動源として電気などを
利用することも可能である。また、パレット割出し機構
としても歯車その他を用いた機械的なもの、電気的なも
のの採用も可能である。さらに、取付具におけるワーク
の取付面も四面に限られない。

〈考案の効果〉 本考案に係る自動パレット交換装置によれば、パレッ
ト上のワーク取付具の各ワーク取付面が割出しされた状
態で、接手着脱シリンダによって１つの流体源と各ワー
ク取付面のワーク固定シリンダとを順に接続してワーク
をクランプ・アンクランプされることで、このパレット
上の取付具の複数のワーク取付面に対するワークの自動
交換が機械加工と同時に行うことができ、正味加工時間
の短縮を図ることができる。また、装置本体外の接手着
脱シリンダによって流体源側の流体接手を移動してワー
ク固定シリンダ側の流体接手に上方から接続可能とした
ので、装置の簡素化及び低コスト化を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る自動パレット交換装置
等の概略平面図、第２図はパレット上の取付具に装備さ
れたワーク自動クランプ．アンクランプ装置の概略図、
第３図は装置本体内に組み込まれているパレット自動割
出し装置の断面図である。 図面中 １は工作機械の主軸ヘッド、４は工作機械のテーブル、
５はパレット、６は取付具、７はワーク取付面、８はパ
レット交換装置、９はパレット交換装置本体、10はワー
ク交換装置、11はワーク自動クランプ．アンクランプ装
置、12はワーク受台、13はクランプシリンダ、14,16は
流体接手、18は接手着脱用シリンダ、21はクランプ．ア
ンクランプ用ソレノイドバルブ、22はパレット自動割出
し装置、25はパレット受台、26はパレット回転軸、28は
クラッチ着脱用シリンダ、29はピストン、31,32は油圧
室、36はクラッチ着脱用ソレノイドバルブ、37はクラッ
チ部材、38はキー、41はクラッチ部材、44は割出し用ラ
ックである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パレット受台が装置本体に回転自在に支持
   され、割出し機構によって前記パレット受台に搬入され
   るパレット上のワーク取付具の４つのワーク取付面がワ
   ーク交換装置に対して選択的に割出し可能とされ、前記
   ワーク取付具の４つのワーク取付面にそれぞれ対応して
   ワーク固定シリンダが設けられると共に該ワーク固定シ
   リンダに接続されたチェック弁を有する流体接手が前記
   ワーク取付具の上部に設けられる一方、外部に前記ワー
   ク固定シリンダを作動させる流体源及びチェック弁を有
   する流体接手が設けられ、前記パレットが前記パレット
   受台上に搬入されたときに、前記装置本体とは別の固定
   部材に設けられた接手着脱シリンダによって前記流体源
   側の流体接手が移動して前記ワーク固定シリンダ側の流
   体接手のうちの一つに上方から選択的に接続可能とされ
   たことを特徴とする工作機械の自動パレット交換装置。