以下、本発明に係る加工システムを歯車加工システムに適用した場合の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。この歯車加工システムは、ワークである歯車の両側縁の面取り加工、及び面取りにより生じたバリ及び余肉を除去する除去加工を行うためのものである。具体的には、歯車を加工する歯車加工装置と、加工対象である歯車及び加工具を交換する交換装置(交換ユニット)とで構成されている。以下では、まず、歯車加工装置について説明し、その後、交換装置について説明する。なお、以下の説明では、図5の上側を「前」又は「前面側」、下側を「後」又は「背面側」と称するとともに、ワークに近い側を「先端側」、その反対側を「後端側」と称することがある。
図1は、本実施形態に係る歯車加工装置及び交換装置の概略構成を示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る歯車加工装置1は、内部空間111及びこの内部空間111の上部を塞ぐ蓋部112を有する基台11を備えている。そして、この基台11には、ワークWである歯車を支持する主軸ユニット12と、この主軸ユニット12との間でワークWを挟持する心押しユニット13とが設けられている。さらに、基台11上には、ワークWに対して面取り加工を行う面取り加工ユニット14、及びバリ及び余肉の除去を行う除去加工ユニット18が設けられている。以下、これら各ユニットについて詳細に説明する。
図2は、加工装置の主軸ユニット及び交換装置の断面図である。図2に示すように、主軸ユニット12は、基台11の蓋部112に固定される筒状の基部121と、この基部121の内部に挿通される筒状の回転スリーブ122と、を備えている。基部121の下端部は、蓋部112に固定されており、ここから上方へと延びている。そして、回転スリーブ122は、軸方向に離れて配置された一対の軸受123を介して、基部121の内部に回転自在に取り付けられている。また、回転スリーブ122の上下の両端部は、基部121の上端及び下端からそれぞれ突出している。このうち、回転スリーブ122の下端部は、基台11の内部空間111に突出し、この突出部分に第1プーリー124が固定されている。また、基部11の内部空間111には、回転スリーブ122と平行に延びる回転軸を有する駆動モータ125が配置され、この駆動モータ125の回転軸には第2プーリー126が取り付けられている。そして、第1及び第2プーリー124,126には伝動ベルト127が掛け渡されており、駆動モータ125を駆動することで、回転スリーブ122が軸周りに回転するようになっている。
回転スリーブ122の内部には、軸方向に上下動可能な可動ロッド128が設けられている。また、回転スリーブ122の上端部には、治具Zを固定するためのチャック部120が設けられている。このチャック部120には、後述するように、チャック部120の上面及び側面を覆うように配置される治具Zが取り付けられるようになっており、チャック部120が治具Zの内壁面を径方向外方に押圧することで、治具Zをチャック部120に固定するようになっている。具体的には、上述した可動ロッド128が、下方からチャック部120の内部を押圧することで、チャック部120の外周面が治具Zの拘束を解くように構成されており、可動ロッド128が下降すると、チャック部120が治具Zを固定するようになっている。チャック部120としては、公知のコレットチャックなどを用いることができる。
可動ロッド128の下端部は、回転スリーブ122の下端から下方に突出しており、この突出部分に支持板129が取り付けられている。支持板129と回転スリーブ122との間には、可動ロッド128の外周面に巻き付くようにバネ1290が配置されており、このバネ1290によって支持板129が下方に押し下げられている。すなわち、このバネ1290により、可動ロッド128は、通常は下方に押し遣られ、チャック部120に力を及ばせないようにしている。また、支持板129には、可動ロッド128を囲むように周方向に上方へ突出する複数の支持棒1291が配置されている。各支持棒1291は、第1プーリー124の下面に形成された穴にそれぞれ挿入され、上下動可能となっている。したがって、第1プーリー124が回転すると、支持棒1291を介して連結された支持板129も回転し、これに伴って可動ロッド128も回転する。すなわち、可動ロッド128は回転スリーブ122とともに軸周りに回転する。
支持板129の下方には、支持板129を上方に押し上げるための押し上げ機構15が設けられている。この押し上げ機構15は、支持板129の下方に配置された複数の押し上げ棒151を備えており、これら押し上げ棒151が基板152によって支持されている。基板152の下方には油圧シリンダ153が配置されており、この油圧シリンダ153によって基板152が上方に押し上げられる。これにより、押し上げ棒151が支持板129を上方に押し上げ、可動ロッド128がチャック部120に作用する。すなわち、チャック部120と治具Zの固定状態が解除される。一方、押し上げ棒151が降下すると、可動ロッド128も下降し、チャック部120と治具Zが固定される。押し上げ棒151が降下すると、可動ロッド128はバネ1290によって下方に付勢されているため、チャック部120と治具Zとの固定状態が維持される。なお、押し上げ棒151の上端と支持板129との間には隙間が形成されており、油圧シリンダ153が作動していないときには押し上げ棒151は支持板129に接触しないようになっている。そのため、支持板129は押し上げ棒151と干渉せず、可動ロッド128とともに回転可能となる。
また、この主軸ユニット12には、チャック部120に対して空気を供給するための空気供給機構が設けられている。具体的には、以下の通りである。まず、支持板129の下面に、スイベルジョイント16が回転可能に連結されており、このスイベルジョイント16を介して、可動ロッド128内にエアを供給できるようになっている。可動ロッド128の内部には、軸方向に延びる貫通孔1281が形成されており、貫通孔1281の下端部が上述したスイベルジョイント16に連結されている。この貫通孔1281は、可動ロッド128の上端付近で径方向に延び、回転スリーブ122の内部に開口している。このエアの流通路は、上方に延び、チャック部120の上面で開口している。このように形成されたエアの流通路からはエアが排出され、これによってチャック部120の上面のゴミを吹き飛ばすことができる。したがって、治具Zを正確に取り付けることができる。また、流通路1221とは別の流通路(図示せず)が可動ロッド128に設けられ、チェック部120に治具Zが装着されると、流通路(図示せず)が治具Zによって塞がれ、エアが排出されないようになるため、ロータリジョイント16にエアを供給する供給源(図示省略)が、これを検出することで、治具Zが装着されたことを検知することができる。
図1に示すように、心押しユニット13は、基台11上に配置され、上方に延びる支持部131と、この支持部131に沿って上下動可能な心押し部132とを備えている。支持部131の上端には、モータ133が取り付けられており、このモータ133の回転軸に、下方へ延びるボールねじ134が連結されている。ボールねじ134には、ナット135が螺合しており、このナット135に心押し部132が取り付けられている。また、支持部131には、ボールねじ134と平行に、上下方向に延びるガイドレール136が取り付けられており、心押し部132は、このガイドレール136によってガイドされつつ上下動するようになっている。また、心押し部132の下端には、後述するように、治具Zを押圧する棒状の押圧部材1321が取り付けられている。
図3は主軸ユニット及びこれに取り付けられた治具及びワークの拡大正面図である。同図に示すように、本実施形態のワーク用治具Zは、ワークWを支持するためのものであり、上述したように、主軸ユニット12のチャック部120に取り付けられる。ワーク用治具Zは、主として3つの部位で構成されている。すなわち、下方から上方へ一体的に構成された、固定部Z1、テーパ部Z2、及び挿通部Z3を備えている。固定部Z1は、概ね円筒状に形成され、その下面にはチャック部120が挿入される開口Z11が形成されている。また、固定部Z1の外周面には、周方向に延びる環状溝Z12が形成されている。この環状溝Z12には、治具を把持するロボットアームなどが係合するようになっており、これによって治具の交換がなされる。そして、固定部Z1の上端には上方に延びるテーパ部Z2が一体的に連結されており、上方にいくにしたがってワーク用治具Zの径が小さくなる。テーパ部Z2の上端には、径の小さい挿通部Z3が設けられ、この挿通部Z3がワークWの中心穴W1に挿入される。挿通部Z3には、上方から心押しユニット13の押圧部材1321によって押圧されると、径方向に移動する可動部(図示省略)が設けられており、この可動部がワークWの中心穴W1を内側から押圧することで、ワークWが挿通部Z3に固定される。このような挿通部Z3としては、例えば、公知のコレットチャックを用いることができる。
続いて、ワークの面取り加工を行う面取り加工ユニット14について、図4〜図6を参照しつつ説明する。図4は面取り加工ユニットの拡大側面図、図5は図4のA−A線断面図、図6は図5のB−B線断面図、図7は図5に示す支持フレームの拡大図(a)及びそのC−C線断面図(b)である。図1,図4〜図7及びに示すように、面取り加工ユニット14は、心押しユニット13の支持台131に設けられた第1フレーム138に沿って、水平方向に移動可能なベースプレート141を有している。第1フレーム138には、上下方向に所定間隔をおいて平行に配置され、水平方向に延びる一対のガイドレール1411が設けられており、このガイドレール1411に沿ってベースプレート141が移動可能となっている。第1フレーム138には、水平方向に延びるボールねじ1412が配置されており、このボールねじ1412に螺合するナット1413がベースプレート141の背面(図4の上側)に固定されている。また、ボールねじ1412の端部、つまりワークWとは反対側の端部(図4の右側)には、モータ1414が取り付けられており、このモータ1414が駆動することで、ボールねじ1412が回転し、ナット1413とともにベースプレート141が移動する。
ベースプレート141の前面(図5の下側)には、環状の支持フレーム142が平面視で斜めに配置されている。より詳細には、図5に示すように、ワークWとは反対側の端部が、ベースプレート141から離れるように斜めに配置されている(なお、ベースプレート141と支持フレーム142とは一体的に形成することもできる)。そして、この支持フレーム142の内部には、歯がベースプレート141を向くように第1ベベルギア1421が回転自在に設けられている。この第1ベベルギア1421は、支持フレーム142の傾きに対応するように、ベースプレート141の垂線から傾いた軸線V周りに回転可能となっている。また、図7に示すように、第1ベベルギア1421の外周面には、6箇所において凹部1422が形成されているが、これについては後述する。さらに、第1ベベルギア1421の前面には、円形の加工具支持部143が固定されており、第1ベベルギア1421とともに回転するようになっている。そして、この加工具支持部143の外周面には、等間隔に複数(本実施形態では6個)の面取り加工具(第1加工具)144が取り付けられており、加工具支持部143が回転することで、いずれかの面取り加工具144がワークWに対向配置されて、ワークWを加工するように構成されている。以下、この位置をワーク加工位置と称する。
なお、図5に示すように、この面取り加工ユニット14は、面取り加工具144が進退する際に、面取り部材1442の回転中心が通る線上に、ワークWの回転中心が位置していない。すなわち、面取り部材は、ワークの中心からずれた位置、つまりワークWの前面側(図5の下側)に当接するようになっている。そして、ワークの背面側(図5の上側)には、後述するように、除去加工ユニット18のカッター1846が揺動により接触する。
次に、面取り加工具144の選択について説明する。支持フレーム142は、ベースプレート141に対して斜めに取り付けられているが、図5に示すように、この取り付けによりベースプレート141と支持フレーム142との間に形成される隙間には、第1ベベルギア1421と噛み合う第2ベベルギア1423が設けられている。この第2ベベルギア1423の回転軸1424は、支持フレーム142に回転自在に支持されるとともに、上記隙間から径方向外方へ延びるように配置されている。そして、その端部にはモータ1425が連結されている。したがって、このモータ1425が回転することで、両ベベルギア1421,1423が回転し、これに伴って、加工具支持部143も回転する。また、図7に示すように、第1ベベルギア1421の外周面に形成された凹部1422には、プッシュピン1426が係合するようになっている。より詳細に説明すると、このプッシュピン1426は、支持フレーム142に進退自在に支持されるとともに、第1ベベルギア1421から径方向外方に延びるように配置されているが、第2ベベルギア1423の回転軸1424とは、周方向にずれて配置されている。すなわち、図6に示すように、第2ベベルギア1423の回転軸1424が水平に延びているのに対し、上記プッシュピン1426は斜め上方に延びるように配置されている。そして、プッシュピン1426の端部には、油圧シリンダ1427が配置されており、これによって、プッシュピン1426を第1ベベルギア1421の凹部1422に押し込み、第1ベベルギア1421を所定の回転位置に固定できるようになっている。すなわち、いずれかの面取り加工具144がワーク加工位置にあるときに、この状態をプッシュピン1426により固定できるようになっている。
次に、面取り加工具について、図8及び図9を参照しつつ説明する。図8は面取り加工具の拡大断面図であり、図9は面取り加工具の交換を説明する図である。図8に示すように、各面取り加工具144は、筒状の基材1441と、この基材1441の軸方向の両端に固定される一対の面取り部材1442とを備えており、さらに基材1441を回転自在に支持する回転軸1443が設けられている。回転軸1443は、面取り部材1442から突出するように軸方向に延びている。両面取り部材1442は、ワークWに噛み合うように歯車状に形成されており、ワークWの両側縁を押圧できるような間隔で平行に配置されている。また、図9に示すように、各面取り加工具144の回転軸1443の両端には、矩形状の固定片1444がそれぞれ設けられており、この固定片1444が加工具支持部143に形成された矩形状の凹部1431に嵌まるようになっている。なお、面取り加工具141がワーク加工位置にあるときには、回転軸1443が鉛直方向に延びて、両面取り部材1442が水平となるように配置される。
そして、固定片1444が凹部1431から離脱しないように、加工具支持部143には、加工具144の固定部材145が取り付けられている。この固定部材145は、L字型に形成された固定片1451と、両固定片1451を連結する連結片1451とを備えている。各固定片1451は、加工具支持部143の外周に揺動自在に取り付けられており、一端部が凹部1431を塞ぐように構成され、他端部同士が連結片1452によって連結されている。そして、固定片1451は揺動により、加工具144の回転軸1443の固定片1444が凹部1431に嵌まったときに、凹部1431を覆って固定片1444の抜け止めを行う第1の位置(図9(a))と、凹部1431から固定片1444が離脱できるように凹部1431を開放する第2の位置(図9(b))とをとり得るようになっている。そして、通常は、バネ1453によって固定片1451が付勢され、第1の位置を取るようになっている。その一方で、連結片1452が押圧され、バネ1453の付勢力に抗して固定片1451が揺動すると、第2の位置をとり得るようになっている。
連結片1452の押圧は、押圧シリンダ146により行われる。押圧シリンダ146は、図5に示すように、加工具支持部143の回転軸1432に取り付けられ、加工具支持部143が回転しても、これに追随しないように固定されている。そして、加工具支持部143が回転したときに、ワーク加工位置にある加工具144を固定する連結片1452に対してのみ、押圧できるようになっている。そして、図9(b)に示すように、押圧シリンダ146が固定部材145の連結片1452を押圧すると、固定片1451は第2の位置に変位し、固定片1444が凹部1431から離脱できるようになる。これにより、加工具144が加工具支持部143から取り外し可能となる。
取り外し可能となった加工具144は、主軸ユニット12に取り付けられる面取り加工具用治具Uに引き渡し可能となっており、他の面取り加工具に交換することができる。この点について、図10も参照しつつ説明する。図10は面取り加工ユニットの動作を説明する平面図である。図8に示すように、面取り加工具用治具Uは、上述した主軸ユニット12のチャック部120に取り付けられるものであり、ワーク用治具Zの固定部Z1と同一構成の固定部U1を有している。固定部U1の上端には、支持部U2が設けられ、この支持部U2に、面取り加工具144の回転軸1443を挟持する一対の把持アームU3が取り付けられている。これら把持アームU3は、面取り加工具144の回転軸1443を挟持するように、上下方向に間隔をおいて配置されている。図9に示すように、各挟持アームU3は、揺動可能な一対のアーム片U31を有し、回転軸1443を挟持する一端側とは反対の端部にバネU32が設けられている。このバネU32は、アーム片U31の他端部を離間するように付勢している。また、各アーム片U31において、互いに対向する面には、回転軸1443を挟持できるように円弧状の切り欠きU311が形成されている。これにより、常時は、バネU32によってアーム片U31の一端側が近接し、回転軸1443を挟持できるようになっている。
面取り加工具144を面取り加工具用治具Uに引き渡すときは、まず、図10(a)に示すように、主軸ユニット12に面取り加工具用治具Uを配置するとともに、交換対象となる面取り加工具144をワーク加工位置に配置する。この状態で、ベースプレート141を前進させ、把持アームU3のアーム片U31の間に加工具144の回転軸1443を押し込む。回転軸1443の押し込みにより、アーム片U31の一端部はバネU32に抗して押し広げられ、ベースプレート141がさらに前進することで、回転軸1443が切り欠きU311に嵌まる。そして、図10(b)に示すように、回転軸1443が切り欠きU311に嵌まると、ベースプレート141の前進を停止する。こうして、回転軸1443は、把持アームU3に固定される。この状態で、押圧シリンダ146を駆動し、固定部材145の連結片1452を押圧すると、回転軸1443が加工具支持部143から離脱可能な状態となる。そして、ここからベースプレート141を後退させると、図9(b)に示すように、面取り加工具144は治具Uに固定されたまま、加工具支持部143から離脱する。その後、初期位置までベースプレート141を後退させた後、押圧シリンダ146の駆動を停止する。
続いて、除去加工ユニット18について、図11も参照しつつ説明する。図11は図5のD−D線矢視図である。
図5及び図11に示すように、心押しユニット13の支持台131には、上述した第1フレーム138と隣接して(第1フレームの背面側)、第2フレーム139が設けられている。第2フレーム139には、水平方向に延びるボールねじ181が設けられており、このボールねじ181において、ワークWと反対側の端部には、モータ1811が取り付けられている。また、このボールねじ181には、ナット1812が螺合しており、このナット1812には、ワークW側に延びる2つの押圧ロッド182が取り付けられている。両押圧ロッド182は、上下方向に所定間隔をあけて平行に配置されており、ワークW側の端部には、上下方向に延び、両押圧ロッド182を連結する第1連結棒1821が取り付けられている。第1連結棒1821の両端部には、揺動プレート1822が揺動自在に取り付けられており、さらに各揺動プレート1822の先端には、上下方向に延びる第2連結棒1823が揺動自在に取り付けられている。第2連結棒1823の両端部には、第1及び第2支持プレート1831,1832が回転自在に取り付けられており、両支持プレート1831,1832の間に除去加工具184が取り付けられている。各支持プレート1831,1832には、上下方向に延びる揺動軸185が固定されており、この揺動軸185の上下の端部が、第2フレーム139のワークW側の端部に回転自在に取り付けられている。これにより、支持プレート1831,1832は、揺動軸185を揺動中心として揺動し、これによって、除去加工具184が、背面側からワークWへ近接するようになっている。
図11に示すように、除去加工具184は、上下方向に配置されるブロック状の第1基部1841及び第2基部1842を備えている。第1基部1841は下側に配置され、上面に円板状の第1カッター1843が配置され、その上面に第1固定部材1844が配置されている。第1カッター1843は、回転軸が上下方向に延びるように配置されている。また、第1固定部材1844は、筒状に形成された係合部18441と、この係合部18441の上面から上方に突出する突出部18442を備えている。係合部18441には、外周面に環状溝が形成されており、この環状溝に後述する除去加工具用治具Rの把持アームの1つが固定される。また、第1基部1841において、揺動軸185側には、第2固定部材1845が配置されている。この第2固定部材1845は、第1固定部材1844とほぼ同様の構成である、筒状に形成された係合部18451と、この係合部18451の上面から上方に突出する突出部18452を備えている。
一方、第2基部1842は、第1基部1841を覆うように配置され、第1カッター1843と対向する位置に円板状の第2カッター1846が配置されており、第2カッター1846の中央には、第1固定部材1844の突出部142が嵌まる係合穴が形成されている。また、第2基部1842において、第2固定部材1845と対向する位置には、突出部18452が嵌まる係合穴が形成されている。第1基部1841及び第2基部1842は、次に説明する第1及び第2支持ブロック1861,1862にそれぞれ支持されており、互いに近接離間可能となっている。これにより、両カッター1843,1846の間の隙間をワークWの厚さに対応するように調節可能となっている。また、両カッター1843,1846の間に第1固定部材1844が設けられているため、両カッター1843,1846が最も近接しても、第1固定部材1844の係合部18441の高さだけ、両カッター1843,1846の間には隙間が形成される。そして、この状態で、両固定部材1844,1845の係合部18441,18451が外部に露出した状態となる。
次に、両基部1841,1842を支持する支持ブロック1861,1862について、図12も参照しつつ説明する。図12は除去加工ユニットの一部側面図であり、除去加工具のクランプの動作を示している。図11及び図12に示すように、第1支持ブロック1861は、第1基部1841の下側に配置され、第1基部1841を上下動させるように支持する。この第1支持ブロック1861には、揺動軸185及び第2連結棒1823が貫通しており、これらに沿って上下動するようになっている。また、第2支持プレート1831の下面には第1駆動シリンダ1871が取り付けられており、この第1駆動シリンダ1871が第1支持ブロック1861の下側に連結されている。したがって、第1駆動シリンダ1871が伸縮することで、第1支持ブロック1861が第1基部1841とともに上下動するようになっている。また、図12に示すように、第1支持ブロック1861と、第1基部1841とは、第1油圧クランプ1881によって着脱自在に固定されている。すなわち、第1支持ブロック1861に連結されたクランプ用給油管1883から供給される作動油によって、第1油圧クランプ1881が作動すると第1支持ブロック1861と第1基部1841とが固定され、第1油圧クランプ1881が解除されると第1支持ブロック1861から第1基部1841が離脱可能となる。実際に、第1支持ブロック1861から第1基部1841を離脱させるには、第1駆動シリンダ1871を駆動し、第1支持ブロック1861を下降させる。
第2支持ブロック1862も、第1支持ブロック1861と同様の構成であり、揺動軸185及び第2連結棒1823が貫通し、これらに沿って上下動するようになっている。また、第2支持プレート1832の上面に配置された第2駆動シリンダ1872によって、第2支持ブロック1862が上下動するようになっている。また、第2油圧クランプ1882が内蔵されており、これによって第2支持ブロック1862と第2基部1842とが着脱自在に固定されている。以上のような構成により、除去加工具184は、除去加工ユニット18から取り外し可能となっており、交換することができる。
取り外し可能となった除去加工具184は、主軸ユニット12に取り付けられる除去加工具用治具Rに引き渡し可能となっており、他の加工具に交換することができる。この点について、図13も参照しつつ説明する。図13は除去加工ユニットの動作を説明する平面図である。図12及び図13に示すように、除去加工具用治具Rは、上述した主軸ユニット12のチャック部120に取り付けられるものであり、ワーク用治具Zの固定部Z1と同一構成の固定部R1を有している。固定部R1の上端には、支持部R2が設けられ、この支持部R2に、面取り加工具の基材を挟持する一対の把持アームR3が取り付けられている。これら把持アームR3は、除去加工具184の各係合部18441,18451の環状溝を挟持するものであり、水平方向に所定間隔をおいて配置されている。各挟持アームR3の構成は、面取り加工用治具Uの把持アームU3とほぼ同じであるため、説明を省略する。
除去加工具184を除去加工具用治具Rに引き渡すときは、まず、図13(a)に示すように、主軸ユニット12に除去加工具用治具Rを配置する。この状態で、モータ1811によりボールねじ181を回転させ、ナット1812、両押圧ロッド182、第1及び第2連結棒1821,1822を前進させ、支持プレート1831,1832を揺動軸185を中心として揺動させる。これにより、図13(b)に示すように、除去加工具用治具Rの両把持アームR3に、除去加工具184の各係合部18441,18451がそれぞれ係合する。このとき、両把持アームR3に固定されるのは第1基部1841の両係合部18441,18451であるが、第2基部1842は、両突出部18442,18452により第1基部1841上に支持された状態となっているため、第2基部1842も除去加工具用治具Uに支持された状態となる。その後、図12(b)に示すように、両油圧クランプ1881,1882を解除し、両駆動シリンダ1871,1872を駆動して、各支持ブロック1861,1862をそれぞれ各基部1841,1842から離間させる。これにより、除去加工具184が除去加工ユニット18から離脱する。この状態で、モータ1811を逆回転すれば、支持プレート1831,1832が揺動し、初期状態に復帰する。
続いて、交換装置について説明する。図2に示すように、交換装置2は、基台11に固定される筒状の基部21と、この基部21に挿通される昇降ロッド22を有しており、これらは主軸ユニット12と隣接して配置されている。交換装置2の基部21の下端部は、蓋部112に固定されており、ここから上方へ延びている。昇降ロッド22は、基部21の内部で軸周りに回転可能で、且つ昇降可能であり、その下半分にはスプライン加工が施されたスプライン部221を構成している。そして、このスプライン部221が基部21の下端から基台11の内部空間111へ延び、その下端部には、スイベルジョイント23が回転可能に取り付けられている。昇降ロッド22の内部には、4つの貫通孔(図16参照)が軸方向に形成されており、スイベルジョイント23を介して4つの貫通孔にエアが供給されるようになっている。
次に、昇降ロッド22を上下方向に移動させる移動機構について説明する。まず、スイベルジョイント23の側面には固定部材231を介して第1油圧シリンダ24が取り付けられており、さらに、この第1油圧シリンダ24の下端には、第2エアシリンダ25が取り付けられている。両油圧シリンダ24,25は、上下方向に伸縮するように構成されており、第2油圧シリンダ25の下端部が基台11に固定されている。このような2つの油圧シリンダ24,25により、昇降ロッド22は、3つの位置を取り得る。すなわち、第1及び第2油圧シリンダ24,25がともに縮んだ第1の位置、第2油圧シリンダ25が伸長し第1油圧シリンダ24が縮んだ第2の位置、及び第1及び第2油圧シリンダ24,25がともに伸長した第3の位置、の3つの位置を取り得る。
続いて、昇降ロッド22を軸周りに回転させるための回転機構について、図2及び図14を参照しつつ説明する。図14は、回転機構を下方から見た平面図及び動作図である。昇降ロッド22のスプライン部221には、基部21の下方においてスプラインナット222が螺合しており、このスプラインナット222の外周面には歯車が形成されている。また、スプラインナット222には、その約2倍の径の駆動歯車223が噛合している。この駆動歯車223の回転軸224は、基台11の蓋部112の下面に取り付けられている。すなわち、駆動歯車223が蓋部112の下面から回転自在に吊り下げられた状態となっている。また、駆動歯車223の下面には、平面視円形のカム225が一体的に取り付けられている。このカム225には、径方向に延びる切欠き2251が形成されており、この切欠き2251には後述するカムフォロワー226が係合している。また、カム225の径は、駆動歯車223よりもやや大きく、駆動歯車223の外形よりも径方向に突出した部分にスプラインナット222が支持されている。カム225に隣接する位置には、平面視L字型のリンク部材229が設けられている。このリンク部材229は、蓋部112の下面から下方へ延びる回転軸227に回転自在に支持されており、この回転軸227がリンク部材229の屈曲部分に連結されている。リンク部材229の一端部には、上述したカムフォロワー226が取り付けられ、他端部には、油圧シリンダ228が取り付けられている。油圧シリンダ228は、ピストン部2281とこれを収容するシリンダ本体2282によって構成され、シリンダ本体2282は固定部材2283を介して蓋部112の下面に固定されている。また、ピストン部2281の先端は、リンク部材229の他端部に揺動自在に取り付けられている。
図14(a)に示すように、油圧シリンダ228のピストン部2281は初期状態で伸長しており、図14(b)に示すように、ピストン部2281がシリンダ本体2282内に収容されることでリンク部材226が回転軸227周りに約90度揺動する。これに伴って、カムフォロワー226と係合するカム225が約90度回転し、これによってスプラインナット222は昇降ロッド22とともに約180度正回転する。一方、この状態からピストン部2281が伸長すると、昇降ロッド22は、約180度逆回転し、初期状態に復帰する。また、リンク部材229には、初期状態でストッパ220が当接しており、これによって初期状態を維持する。一方、リンク部材229が揺動すると、ストッパ220からリンク部材229が離間し、ピストン部2281の動作端で回転した位置を維持する。
次に、昇降ロッドの上端部に設けられた固定機構について、図15及び図16も参照しつつ説明する。図15は固定機構の平面図であり、図16はこの固定機構を主軸ユニット12側から見た側面図である。この固定機構17は、主軸ユニット12に取り付けられたワークWや治具Zを交換するためのものである。図16に示すように、この固定機構17は、昇降ロッド22の上端部に取り付けられる支持板171を備えている。この支持板171は、初期状態において、一方の面が主軸ユニット12側を向くように配置されている。以下、この面を第1面1711と称し、反対側の面を第2面1712と称することとする。また、支持板171の両面の構成は同じであるため、ここでは図16に示す第1面について説明する。但し、以下では、同一部材であっても、第1面に配置された部材にa,第2面に配置された部材にbを付して説明することがある。
図16に示すように、支持板171の第1面1711には、上下方向の中央付近に水平方向に延びるガイドレール172が取り付けられている。ガイドレール172には、図16の左側に第1アーム支持部材174、右側に第2アーム支持部材175が取り付けられ、それぞれがガイドレール172に沿って水平方向に移動可能となっている。各アーム支持部材174,175の下端部には、棒状のアーム176がそれぞれ取り付けられている。各第1アーム176は、支持板171から水平方向に突出しており、両アーム176によってワークWや治具Zを挟持可能となっている。図15に示すように、各アーム176において互いに対向する面には、平面視三角形状の切欠き1761が形成されており、この切欠き1761によってワークWなどを挟持しやすくなっている。
支持板171において、ガイドレール172の上方にはピニオンギア173が回転自在に取り付けられており、第1アーム支持部材174の上端部には、ピニオンギア173に下側から噛み合うラック1741が水平方向に延びるように設けられている。一方、第2アーム支持部材175の上端部には、第1アーム支持部材174側へ水平方向に延びるラック1751が取り付けられている。このラック1751は、ピニオンギア173に上方から噛み合うように配置され、さらに、支持板171には、このラック1751を挟んでピニオンギア173の上方にガイドローラ177が回転自在に取り付けられている。このようにピニオンギア173を上下から挟むように、各アーム支持部材174,175にはラック1741,1751が設けられており、これによって各アーム支持部材174,175は互いに近接離間するようになっている。
また、支持板171の上端部には、ピストン部1781と、このピストン部1781を収容するシリンダ本体1782とで構成された複動型のエアシリンダ178が取り付けられている。具体的には、シリンダ本体1782が水平方向に延びるように支持板171に固定され、ピストン部1781の先端が第2アーム支持部材175に固定されている。これにより、ピストン部1781の進退とともに、第2アーム支持部材175が水平方向に移動し、これと同期して第1アーム支持部材174も移動する。これに伴って、上述したように、両アーム176は互いに近接離間するようになっている。なお、両アーム176が最も離れたとき、両者の距離は、治具Zの最大径よりも大きく、治具Zに干渉しないようになっており、両アーム176が近接したときには、後述するように、治具Zの環状溝Z12またはワークWを挟持するようになっている。
上述したように、昇降ロッド22の内部には、4つの貫通孔が形成されているが、図16に示すように、この貫通孔179i〜179ivは、支持板171の内部に形成された4つの流通路1710に連通している。そのうちの2つ179i,179iiは、流通路1710及び連結チューブ(図示省略)などを介して、支持板171の第1面1711に設けられたエアシリンダ178aに接続され、残りの2つは、同様に流通路1710及び連結チューブ(図示省略)などを介して、支持板171の第2面1712に設けられたエアシリンダ178bに接続されている。すなわち、各エアシリンダ178a,178bには、4つの流路からエアが供給され、上述したように複動式のエアシリンダとして機能する。
また、昇降ロッド22の上下方向の位置と、アーム176との関係は以下の通りである。図2も参照して説明する。すなわち、昇降ロッド22が最も低い第1の位置にあるとき、アーム176は、治具Zの環状溝と対向する位置に配置され、両アームが近接することでアームが環状溝Z12に係合し、治具Zを挟持することができる。次に、第2の位置にあるときは、アーム176は、治具Zに取り付けられたワークWと対向する位置に配置される。これにより、アーム176によってワークWを挟持可能になる。そして、第3の位置にあるときは、アーム176はワークWよりも上方で、両アーム176が近接してもワークWとは干渉しない位置に配置される。なお、上述した各機構の操作は、図示を省略する制御部によって行われ、次に説明するように動作する。
次に、上記のように構成された歯車加工装置及び交換装置の動作について、図17〜図21を参照しつつ説明する。まず、加工装置1の主軸ユニット12に治具Zが取り付けられていない状態で、ロータリジョイント16から可動ロッド128内にエアを注入する。このエアは、可動ロッド128及び回転スリーブ122の流通路を介して、主軸ユニット12の先端にあるチャック部120の上面から噴射され、チャック部120の上面のゴミを吹き飛ばすと共に治具Zの着座確認を待ち受ける。このようにエアの噴射を継続した状態で、治具Z及びワークWの取り付けを行う。
最初に、図17(a)に示すように、支持板171の第2面1712を主軸ユニット12とは反対側に向け、第3の位置(3)において、ロボットアームなどの搬送装置(図示省略)を介して、アーム176bに治具Zを挟持させる。そして、回転機構により、支持板171を180度回転させ、図17(b)に示すように、第2面1712が主軸ユニット12と対向するようにする。次に、図17(c)に示すように、支持板171を降下させ、アーム176bに挟持された治具Zを主軸ユニット12のチャック部120に装着する。すなわち、油圧シリンダ153を駆動して、可動ロッド128を上昇させ、チャック部120へ治具Zが装着可能な状態とする。そして、油圧エアシリンダ153を駆動し、可動ロッド128を降下させる。これにより、チャック部120が治具Zを径方向外方に押圧し、治具Zがチャック部120に固定される。そして、チャック部120の上面への治具Zの着座が確認される。これに続いて、治具にワークを取り付ける。
まず、両アーム176bを離間させ、アーム176bを治具Zから離した後、支持板171を上昇させ、アーム176bを第3の位置(3)に配置する。このとき、上述したロボットアームなどを介して、支持板171の第1面1711にあるアーム176aにワークWを挟持させる。これに続いて、支持板171を180度回転させ、図18(a)に示すように、第1面1711を主軸ユニット12に対向させる。この状態で、図18(b)に示すように、支持板171を下降させ、ワークWを挟持したアーム176aを第2の位置(2)に配置する。これにより、ワークWの中心穴に治具Zの挿通部Z3が挿通される。これに続いて、両アーム176aを互いに離間させ、ワークWから離した後、支持板171を下降させ、図18(c)に示すように、アーム176aを第1の位置(1)に配置する。続いて、心押しユニット13の心押し部132を下降させ、押圧部材1321で治具Zの挿通部Z3を押圧すれば、挿通部Z3が径方向外方にワークWの中心穴を押圧し、ワークWが治具Zに固定される。
上記の準備作業の後、またはこの作業と並行して、面取り加工具144の選択を行う。すなわち、主軸ユニット12に固定されたワークWに対応した面取り加工具144を選択し、面取り加工ユニット14のモータ1425を駆動して加工具支持部143を回転させ、選択した加工具144をワーク加工位置に配置する。この状態で、面取り加工ユニット14のモータ1414を駆動し、面取り加工具144をワークWに向けて前進させる。そして、面取り加工具144の面取り部材1442をワークWに噛み合わせ、主軸ユニット12を回転させつつ、面取り加工具144をワークWに押しつけて、面取り加工を行う。同時に、除去加工ユニット18のモータ1811を駆動し、除去加工具184を揺動させる。そして、除去加工具184により、ワークWの両側面に生じるバリや余肉を削り取る。このとき、両カッター1843,1846を近接させるように、ワークWに対して押しつけて加工を行う。こうして、図19に示すように、面取り加工と除去加工を所定時間行い、加工を完了させた後、面取り加工具144及び除去加工具184をそれぞれワークWから離間させる。その後、主軸ユニット12の駆動を停止させ、図5に示す初期状態に復帰させる。
この状態で、心押し部132を上昇させると、挿通部Z3とワークWとの固定状態が解除され、ワークWがワーク用治具Zから取り外し可能な状態となる。続いて、アーム176aを第2の位置(2)に移動させた後、両アーム176aを互いに近接させてワークWを挟持する。そして、アーム176aを上昇させ、第3の位置(3)に配置する。このとき、支持板171の第2面1711のアーム176bには次に加工を行うワークWを挟持させておく。そして、支持板171を180度回転させ、アーム176aに挟持された加工後のワークWを、ロボットアームなどで取り外し、新たなワークWをアーム176aに挟持させる。主軸ユニット12に対向した第2面1712のアーム176bのワークWに対しては、上述したように、加工を施す。
上記のように、ワークWの加工と交換を繰り返した後、必要に応じてワーク用治具Zの交換も行う。ワーク用治具Zの交換はワークWの交換と同じであり、例えば、アーム176aを第1の位置(1)に移動させて治具Zを挟持し、チャック部120から取り外す。そして、第3の位置(3)までアーム176aを上昇させた後、支持板171を回転させる。このとき、第2面1712のアーム176bには新たなワーク用治具Zが挟持されており、支持板171が回転した後、アーム176bを第1の位置(1)まで下降させ、チャック部120に新たなワーク用治具Zを取り付ける。こうして、ワーク用治具Zの交換が行われると、この治具Zに対応したワークWを取り付け、加工を行う。
次に、面取り加工具の交換について説明する。まず、治具Uの交換を行う。すなわち、主軸ユニット12に取り付けられたワーク用治具Zを取り外し、主軸ユニット12に面取り加工用治具Uを取り付ける。このときの手順は、ワーク用治具Zの交換と同じであり、新たなワーク用治具Zの代わりに面取り加工用治具Uを交換装置2により主軸ユニット12に取り付ける。続いて、上述したように、交換すべき面取り加工具Uをワーク加工位置に配置した後、これを、図10に示すように、主軸ユニット12に取り付けられた面取り加工用治具Uに近接させる。そして、上述した手順で面取り加工用治具Uに面取り加工具144を取り付けた後、加工具支持部143をワーク加工位置から後退させる。このとき、ワークWと反対側にある交換装置のアーム176には、新たな面取り加工具144が取り付けられた面取り加工用治具U’を取り付けておく。その後、図20(a)〜図20(c)に示すように、取り外された面取り加工具144が装着された治具Uと、新たな面取り加工具が装着された治具U’とを交換し、新たな治具U’を主軸ユニット12に取り付ける。この後の手順は、図10で示した面取り加工具用治具Uに面取り加工具144を取り付けるのとは反対の手順を行えばよい。すなわち、押圧シリンダ146を駆動させて固定片1451が凹部1431を開放した状態にした後、加工具支持部143を面取り加工具用治具Uに近接させる。そして、開放された凹部1431に新たな面取り加工具144の固定部1444を係合させる。次に、押圧シリンダ146の駆動を停止し、固定片1451によって凹部1431を覆い、凹部1431から固定部1444が抜けないようにする。この状態で、加工具支持部143を治具Uから後退させれば、加工具144は、治具UのバネU32に抗して治具Uから取り外される。こうして、加工具支持部143に新たな加工具144が装着される。
除去加工具の交換も面取り加工具の交換と同じ手順で行われる。まず、主軸ユニット12に除去加工具用治具Rを取り付ける。次に、上述したように、この治具Rに除去加工具184を装着する。続いて、図21(a)〜図21(c)に示すように、取り外された除去加工具184が装着された治具Rと、新たな除去加工具184が装着された治具R’とを交換し、新たな治具R’を主軸ユニット12に取り付ける。この後の手順は、除去加工具用治具Rに除去加工具184を取り付けるのとは反対の手順を行えばよいので、詳しい説明は省略する。
以上のように、本実施形態によれば、主軸ユニット12に支持されたワーク用治具Z及びワークWを、交換装置2によって他のワーク用治具及びワークに交換することができる。そして、主軸ユニット12には、加工具144,184を支持するための加工具用治具U,Rを取り付けることができ、さらに、面取り加工ユニット14及び除去加工ユニット18を、主軸ユニット12に取り付けられた加工具用治具U,Rとの間で、加工具144,184の引き渡し及び受け取りを行うように構成しているため、加工具144,184の交換も主軸ユニット12に取り付けられた加工具用治具U,Rを介して、交換装置2によって行うことができる。したがって、ワークWのみならず、治具Z,U,Rや加工具144,184の交換も自動化することも可能となる。
また、ワークWの面取りを行う面取り工具ユニット14と、ワークWの側面のバリ及び余肉除去を行う除去工具ユニット18とが、それぞれ独立して駆動可能であるため、面取りの切り込み量とバリ取りの除去量を個別に調整することができる。すなわち、面取りの切り込み量に応じて生じるバリの量も変化するため、面取り工具ユニットと除去工具ユニットとをそれぞれ独立して駆動できるようにすることで、面取りによって生じたバリを正確に除去することができる。
さらに、図5及び図19に示すように、この面取り加工ユニット14において、面取り部材1442は、ワークWの中心からずれた位置、つまりワークWの前面側(図5の下側)に当接するようになっている。そして、ワークの背面側(図5の上側)には、除去加工ユニット18のカッター1846が揺動により接触する。ここで、例えば、面取り加工具144と除去加工具184がともに、ワークWに対して直線的に近接離間するように構成すると、ワークWの径は小さいため、両工具ユニット14,18を隣接して配置することはできない。そこで、上記のように、除去工具ユニット18において、除去加工具184が揺動するように構成すると、面取り工具ユニット14と除去工具ユニット18とを隣接して配置しても、両加工具をともにワークWに対して近接させることができ、しかも両ユニット14,18が配置される幅を小さくすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。
上記実施形態では、面取り加工ユニットと、除去加工ユニットの駆動方法の一例を示したが、これに限定されるものではなく、ワークに近接離間できるように構成されていれば、種々の方法が適用可能である。
面取り加工ユニットに取り付けられる面取り加工具の数は複数でなくてもよく、1つでもよい。
除去加工ユニットは、揺動により除去加工具をワークに近接されているが、上記実施形態の面取り加工ユニットと同様に、除去加工具を直線的にワークに近接離間させるように構成することもできる。
上記実施形態では、面取り加工具144の面取り部材1442を2つ設け、除去加工具184のカッター1843,1846も2つ設けているが、これらは一つでもよく、歯車Wの片面の面取りやバリ取りを行うようにしてもよい。
各ユニットの位置は特には限定されない。すなわち、ワークの周囲のいずれかに配置されていればよい。但し、装置をコンパクトにするには、上述したように隣接させるのがよい。
また、上記実施形態では、本発明の固定部として、一対のアーム176でワークWや治具Zを挟持したが、ワークや治具を着脱自在に固定できるものであれば、その態様は特には限定されない。例えば、1つの固定部をワークや治具に係合させてもよいし、ワークや治具に形成された穴や溝に係合させてもよい。
なお、上記加工システムでは、ワークの種類は特には限定されず、また、これを加工する加工具も特には限定されない。したがって、歯車以外のワークを適用することもできるし、面取り加工及び除去加工以外の加工具を用いることもできる。