JP2505224Y2 - ディ―ゼルエンジン用燃料噴射ポンプのコントロ―ルスリ―ブ制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプの
コントロールスリーブを制御する制御装置に係り、特
に、電子機器を省略してコントロールスリーブを制御す
ることができるコントロールスリーブ制御装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕 ディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプは、ディーゼル
エンジンの回転に同期して回転するカムと、このカムに
より軸方向位置及び運動速度を制御され先端部において
燃料を圧送するプランジャと、このプランジャの外周に
摺動可能に嵌合し軸方向位置の変化によりプランジャの
送出ストロークの開始及び終了の時期を変えるコントロ
ールスリーブとを有している。プランジャの運動速度は
軸方向位置に関係して変化するので、コントロールスリ
ーブの軸方向位置の変化は、すなわち、プランジャのプ
リストロークの変化は、プランジャの送出ストロークの
開始及び終了の時期を変更するとともに、送出ストロー
クにおけるプランジャの運動速度、すなわち燃料噴射ポ
ンプの吐出圧を変化させる。

また、ディーゼルエンジンの低速回転時では、燃焼室
の温度が低下するため、燃料の燃焼状態が悪化する傾向
があるので、インジェクションノズルから燃料を高圧噴
射することにより霧化を改善する一方、ディーゼルエン
ジンの高速回転時では、燃焼室における燃焼状態は良い
ので、インジェクシヨンノズルからの燃料噴射は通常圧
の噴射に戻して、燃料噴射ポンプの信頼性を確保するこ
とが好ましい。

従来のディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプのコント
ロールスリーブ制御装置では、CPUが、エンジン回転速
度を所定のセンサを介して検出するとともに、モータへ
制御信号を送り、このモータを介してコントロールスリ
ーブの軸方向位置、したがってプランジャのプリストロ
ークを変化させ、燃料噴射ポンプの吐出圧を変化させて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

センサ、CPU及びモータ等の電子機器は高価であり、
このことは従来のコントロールスリーブ制御装置をコス
ト高なものにしている。

この考案の目的は、高価な電子機器を省略してプラン
ジャのプリストロークをエンジン出力に応じて適切に制
御することができるディーゼルエンジン用燃料噴射ポン
プのコントロールスリーブ制御装置を提供することであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案によるディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプ
は、ディーゼルエンジンの回転に同期して回転するカム
と、このカムにより軸方向位置及び運動速度を制御され
先端部において燃料を圧送するプランジャと、このプラ
ンジャの外周に摺動可能に嵌合し軸方向位置の変化によ
りプランジャの送出ストロークの開始及び終了の時期を
変えるコントロールスリーブとを有している。そして、
コントロールスリーブ制御装置は、コントロールスリー
ブの軸方向位置を制御する制御部材と、燃料噴射ポンプ
のガバナにおける燃料噴射量制御レバーの揺動に制御部
材を連動させる連結リンクとを有してなる。

〔作用〕 コントロールスリーブの軸方向位置に関係してプラン
ジャのプリストロークが変化し、プランジャのプリスト
ロークの変化は、プランジャによる燃料の圧送速度を変
え、これにより、インジェクションノズルにおける燃料
噴射圧を変える。

ガバナの燃料噴射量制御レバーは、運転者が要求する
エンジン出力に関係して揺動し、燃料噴射量制御レバー
の揺動位置とエンジン出力とは一定の関係を有してい
る。制御部材は、連結リンクを介してガバナの燃料噴射
量制御レバーに連動するので、エンジン出力と関係する
変位位置へ操作される。

制御部材はその変位に関係してコントロールスリーブ
の軸方向位置を変化させ、この結果、インジェクション
ノズルからの燃料の噴射圧はエンジン出力、すなわちエ
ンジン回転速度及びエンジン負荷に関係して変化する。

〔実施例〕

以下、この考案を図面の実施例について説明する。

第１図は実施例の全体の構成図であり、燃料噴射ポン
プ10は、軸方向へ移動可能に配設されたプランジャ12
と、このプランジャ12の先端側に区画されディーゼルエ
ンジンの燃焼室の図示していないインジェクションノズ
ルへ接続されている圧力室14とを有している。カム軸15
はディーゼルエンジンの出力軸に同期して回転し、カム
16はカム軸15に一体回転的に装着されている。タペット
18は、プランジャ12と同軸線上に配置され、カム16の回
転に従って軸方向へ運動する。ばね座20は、プランジャ
12と一体的に運動するようにプランジャ12の基端に固定
され、タペット18の上面に接触している。プランジャば
ね22は、圧縮コイルばねから成り、プランジャ12を内側
に挿通され、下端をばね座20に当接して、ばね座20をタ
ペット18に押圧している。燃料溜室24は圧力室14と共に
ボデー26内に形成され、コントロールスリーブ28は、燃
料溜室24内に配置され、プランジャ12に相対摺動可能に
嵌合している。インレットポート30及びアウトレットポ
ート32は燃料溜室24内の位置においてプランジャ12の周
面に形成され、連通路36は、プランジャ12の内部に形成
され、インレットポート30及びアウトレットポート32を
圧力室14へ連通している。通路38は、ボデー26内に形成
され、図示していないフィードポンプからの燃料を燃料
溜室24へ導く。通孔40は、コントロールスリーブ28の壁
部に半径方向へ貫通するように形成され、アウトレット
ポート32と燃料溜室24との連通を制御する。

制御レバー42は、支点44の周りに回動可能に支持され
る双腕レバー形式であり、一方の端部の係止部46におい
てコントロールスリーブ28の外周溝に係止されている。
コントロールスリーブ28は、制御レバー42の揺動に関係
して係止部46により軸方向へ連行され、軸方向位置を制
御される。

アクセルペダル50は、運転席に設けられ、運転手の右
足により操作されて、その揺動量を変化する。オールス
ピードガバナ52は、燃料噴射ポンプ10の端部に設けら
れ、揺動可能な燃料噴射量制御レバー54を外部に備えて
いる。燃料噴射量制御レバー54の揺動位置に関係してオ
ールスピードガバナ52の内部のフローチングレバー（図
示せず）が揺動し、燃料噴射量は、フローチングレバー
により操作されるコントロールラック（図示せず）を介
して制御される。

第２図はカム角度とプランジャ12のリフト位置及び運
動速度との関係を示している。ディーゼルエンジンの出
力軸の回転に同期したカム軸15の回転に伴って、カム16
が回転し、プランジャ12が上下方向へ往復動する。イン
レットポート30がコントロールスリーブ28の下端より露
出して燃料溜室24に開口しているとき、すなわちプリス
トロークにおいては、燃料溜室24内の燃料がインレット
ポート30及び連通路36を介して圧力室14へ導入される。
プランジャ12が上昇して、インレットポート30がコント
ロールスリーブ28内に隠れると、圧力室14と燃料溜室24
との連通が遮断され、圧力室14内の燃料はプランジャ12
の先端部の上昇に伴ってインジェクションノズルへ圧送
される。プランジャ12がさらに上昇して、アウトレット
ポート32とコントロールスリーブ28の通孔40とが連通す
ると、圧力室14が連通路36、アウトレットポート32及び
通孔40を介して燃料溜室24へ連通し、送出ストロークが
終了する。カム16の周輪郭は、プランジャ12のリフト位
置が上昇するに連れてプランジャ12の運動速度が上昇す
るようになっている。したがって、プリストロークが高
くなる程、送出ストロークにおけるプランジャ12の運動
速度が上昇し、圧力室14からの燃料の吐出圧も上昇す
る。

実施例の作用について述べる。

運転者は、要求するエンジン室に関係してアクセルペ
ダル50の踏み込み量を変化させる。アクセルペダル50の
踏み込み量の変化は連結リンク56,58を介してそれぞれ
燃料噴射量制御レバー54及び制御レバー42へ伝達され
る。オールスピードガバナ52では、燃料噴射量制御レバ
ー54の揺動位置に関係して燃料噴射ポンプ10における燃
料供給量を制御し、これにより、要求エンジン出力が大
きい程、燃料供給量が増大する。一方、制御レバー42
は、連結リンク56,58を介して燃料噴射量制御レバー54
と連動関係にあり、要求エンジン出力が大きい程、すな
わちエンジン回転速度又はエンジン負荷が大きい程、操
作端部60が第１図において上方へ変位され、プリストロ
ークが減少する。この結果、ディーゼルエンジンの高速
回転時では、燃料噴射ポンプ10の吐出圧は通常の低い値
になるので、燃料噴射ポンプ10の信頼性が増大する。ま
た、ディーゼルエンジンの低速回転時では、インジェク
ションノズルにおける燃料の噴射圧が増大し、燃焼室に
おける燃料の霧化が改善され、燃焼状態が良好になる。

第３図はエンジン回転速度とエンジン出力トルクとを
座標軸として表わす等プリストローク線図である。制御
レバー42は、アクセルペダル50及び燃料噴射量制御レバ
ー54に連動するので、エンジン出力が大きい程、すなわ
ちエンジン回転速度又はエンジントルク（エンジン負
荷）が大きい程、プリストロークが減少する。

〔考案の効果〕

このように、この考案によれば、コントロールスリー
ブの軸方向位置を制御部材により制御可能とするととも
に、エンジン負荷及びエンジン回転速度等のエンジン出
力に関係した運動をガバナの燃料噴射量制御レバーから
取り出し、連結リンクを介して燃料噴射量制御レバーの
揺動を制御部材へ伝え、制御部材を操作する。これによ
り、高価な電子機器を省略して、燃料噴射ポンプの吐出
圧、すなわち燃焼室のインジェクションノズルからの燃
料噴射圧をエンジン出力に関係したものに制御すること
ができ、コントロールスリーブ制御装置のコストを低減
することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例に関し、第１図は全体の構成
図、第２図はカム角度とプランジャのリフト位置及び運
動速度との関係を示す図、第３図はエンジン回転速度と
エンジン出力トルクとを座標軸として表わす等プリスト
ローク線図である。 10……燃料噴射ポンプ、12……プランジャ、28……コン
トロールスリーブ、42……制御レバー（制御部材）、52
……オールスピードガバナ、54……燃料噴射量制御レバ
ー、56,58……連結リンク。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディーゼルエンジンの回転に同期して回転
   するカムと、このカムにより軸方向位置及び運動速度を
   制御され先端部において燃料を圧送するプランジャと、
   このプランジャの外周に摺動可能に嵌合し軸方向位置の
   変化により前記プランジャの送出ストロークの開始及び
   終了の時期を変えるコントロールスリーブとを有してい
   るディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプにおいて、前記
   コントロールスリーブの軸方向位置を制御する制御部材
   と、前記燃料噴射ポンプのガバナにおける燃料噴射量制
   御レバーの揺動に前記制御部材を連動させる連結リンク
   とを有してなることを特徴とするディーゼルエンジン用
   燃料噴射ポンプのコントロールスリーブ制御装置。
2. 【請求項２】前記制御部材は、揺動可能に支持されてい
   るレバーであることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプの
   コントロールスリーブ制御装置。
3. 【請求項３】前記連結リンクは、前記燃料噴射量制御レ
   バーと共にアクセルペダルにより操作されることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の
   ディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプのコントロールス
   リーブ制御装置。