JP2503673B2 - 精密鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

精密鋳造用鋳型の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は精密鋳造用鋳型の製造方法に関し、詳しくは
消失模型を使用する精密鋳造用鋳型の製造方法に関す
る。
[従来の技術] 従来より、ロウ、プラスチックス、スズ、冷凍水銀等
の熱により溶融又は蒸発して消失する材料からなる消失
模型を使用して精密鋳造用鋳型を製造する方法が知られ
ている。例えば、第4図に示すように、キャビティを形
成する複数の製品部1と、該製品部1から延び溶湯の通
路を形成する湯道部2及び湯口部3とから構成される樹
枝状の消失模型5をロウにより形成し、この模型5の周
囲で上記湯口部3の一側端面(第4図の下端面)以外の
部分に耐火物からなる鋳型材を被覆して被覆体6を形成
した後、該被覆体6を加圧加熱することにより上記消失
模型5を溶融させて鋳型から流出させる方法が知られて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来の方法で、ロウからなる消失模型5が熱によ
り溶融して鋳型から流出する場合、まず被覆体6により
被覆されていない湯口部3の下端部分のロウから流出し
始め、そして順に湯口部3の上方部分、湯道部2、製品
部1のロウが流出する。ところが、製品部1のロウが湯
道部2及び湯口部3のロウより先に溶融した場合、製品
部1のロウが一部ガス化したりして形成されたキャビテ
ィ内の圧力が上昇し、該製品部1を被覆する部分の被覆
体6が内部から圧迫され、鋳型に変形又は割れが発生す
るという問題があった。
上記問題を解決するために、被覆体6を加圧加熱する
条件を種々変えたり、鋳型の強度を向上させる等の手段
が試みられたが、好ましい結果が得られなかった。
本発明は、消失模型が除去される際のキャビティ内の
圧力上昇を防止することにより、鋳型の変形、割れを防
止して、鋳型不良率の低減及び鋳型の製品寸法精度の向
上を図ることを解決すべき技術課題とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法は、キャビティを
形成する製品部と、該製品部から延び溶湯の通路を形成
する湯口系部と、該製品部から延び開放孔を形成する凸
部とからなる消失模型を形成する模型形成工程と、前記
消失模型の周囲を耐火物からなる鋳型材により被覆して
被覆体を形成する被覆工程と、前記凸部を前記被覆体と
供に途中で切断する切断工程と、前記被覆体を加圧加熱
することにより前記消失模型を除去して鋳型を形成する
消失工程とからなり、前記消失工程で前記キャビティ内
に生じた圧力を前記開放孔より逃すようにしたことを特
徴とする。
本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法を構成する模型形
成工程は、熱により溶融又は蒸発して消失する材料、例
えばロウ、プラスチックス、スズ、冷凍水銀等の材料か
ら消失模型を形成する工程である。この消失模型は、キ
ャビティを形成する製品部と、該製品部から延び溶湯の
通路を形成する湯口系部と、該製品部から延び開放孔を
形成する凸部とから構成される。
本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法を構成する被覆工
程は、消失模型の周囲に溶湯の通路を形成する湯口系部
の一側端面を残して耐火物からなる鋳型材を被覆して被
覆体を形成する工程である。この耐火物としては、例え
ばアルミナ、シリカ、石膏、珪酸ジルコニウム等を使用
することができる。なお上記一側端面は、消失工程で上
記消失模型が消失して形成された鋳型において、溶湯を
鋳型のキャビティ内に注湯する際の注湯口となる。
本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法を構成する切断工
程は、上記消失模型において、キャビティを形成する製
品部から延び開放孔を形成する凸部を上記被覆体と供に
途中で切断する工程である。これにより、上記凸部の切
断面は外部に表出する。
本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法を構成する消失工
程は、上記被覆体を加圧加熱することにより上記消失模
型を溶融又は蒸発させて除去して、鋳型を形成する工程
である。本工程で、熱により溶融又は蒸発した材料は主
に上記湯口系部の一側端面に形成される注湯口から外部
に流出し、一部は上記開放孔から外部に流出する。これ
により、上記製品部、湯口系部、凸部は、それぞれキャ
ビティ、該キャビティから延びる溶湯の通路、該キャビ
ティから延びる開放孔となる。
なお、鋳造時には、鋳型のキャビティから延びる開放
孔は耐火物により密閉される。
[作用] 上記したように本発明の精密鋳造用鋳型の製造方法で
は、模型形成工程で消失模型に製品部から延びる凸部を
設けておき、被覆工程後の切断工程でこの凸部を被覆体
と供に途中で切断してから、消失工程で被覆体を加圧加
熱して消失模型を溶融又は蒸発させて除去するものであ
る。すなわち、消失工程で消失模型が除去される際、消
失模型の外部に表出している湯口系部の一側端面及び凸
部が最も早く加熱され溶融又は蒸発してそれぞれ注湯口
及び開放孔を形成し、溶融又は蒸発した消失模型材料は
主に上記注湯口から外部に流出する。そして、消失模型
の製品部が湯口系部より先に溶融又は蒸発してキャビテ
ィとなった場合でも、該キャビティは上記凸部が先に消
失して開放孔となっているので外部と連通しており、該
キャビティで生じた圧力を該開放孔から確実に逃すこと
ができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。
第1図は本実施例の被覆工程後の消失模型及び被覆体
の断面図、第2図は本実施例の切断工程後の要部断面
図、第3図は消失工程後の製造された鋳型の断面図であ
る。
(模型形成工程) 製造後の鋳型において、キャビティ1aを形成する製品
部1と、溶湯の通路(湯道2a、湯口3a)を形成する湯道
部2及び湯口部3と、開放孔4aを形成する凸部4とから
なる模型10を3個と、キャップ模型11と、注湯口模型12
とをそれぞれロウから金型ダイスで成形し、これらを重
ね合わせてボルト13により固定して樹枝状の消失模型5
を形成した。なお、凸部4は各製品部1の外周面に1個
ずつ設けられている。また注湯口模型12の下端部は、製
造後の鋳型において注湯口31aを形成する径大の注湯口
部31となっている。
(被覆工程) 上記消失模型5を上記注湯口部31を上にして、耐火物
のシリカ、アルミナと粘結剤のエチルシリケート他とか
らなるスラリーの中へ数回浸し、消失模型5の周囲で上
記注湯口部31の下側端面以外の部分に被覆体6を形成し
た(第1図)。
(切断工程) そして、上記消失模型5の各凸部4を被覆体6と供に
途中で切断し、該凸部4の切断面を外部に表出させた
(第2図)。
(消失工程) この被覆体6により被覆され各凸部4が途中で切断さ
れた消失模型5を100〜150℃の温度、及び5.5kg/cm2
圧力に設定された脱型装置内に15分保持し、溶融したロ
ウを上記注湯口31aより流出させ、キャビティ1a、湯道2
a、湯口3a、注湯口31aをもつ鋳型7を製造した(第3
図)。
なお、上記鋳型7は鋳造時に開放孔4aを耐火物のガラ
スウールにより密閉して使用される。
上記消失工程で、製品部1のロウが溶融してキャビテ
ィ1aが形成されたとき、該キャビティ1a内で生じた圧力
は、製品部1から延びた凸部4のロウが溶融して形成さ
れた開放孔4aから外部に逃される。したがって、製品部
1のロウが湯道部2及び湯口部3のロウより先に溶融し
た場合でも、キャビティ1a内の圧力が上昇することはな
く、キャビティ1a内の圧力上昇による鋳型7の変形、割
れ等を防止することができる。このため、鋳型7の補修
工程を低減でき、かつ注湯時鋳型7からの湯漏れ等の鋳
型不良を低減することができる。また、本実施例の製造
方法によれば、鋳型変形を防止することができるので、
製品寸法精度を向上させることが可能となる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の精密鋳造用鋳型の製造
方法では、消失工程において、消失模型の製品部の消失
模型材料が消失してキャビティが形成される際、該キャ
ビティ内で生じた圧力は上記消失模型の凸部の消失模型
材料が消失して形成された開放孔より外部に逃される。
したがって、消失工程時のキャビティ内の圧力上昇によ
る鋳型の変形、割れ等を防止することができ、これによ
り鋳型不良率の低減、及び製品寸法精度の向上を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本実施例の精密鋳造用鋳型の製造方法における
被覆工程後の上記消失模型及び被覆体の断面図、第2図
は上記製造方法における切断工程後の要部断面図、第3
図は上記製造方法における消失工程後の製造された鋳型
の断面図、第4図は従来の精密鋳造用鋳型の製造方法に
おける消失模型の周囲に被覆体を形成した状態での上記
消失模型及び被覆体の断面図である。 1…製品部、1a…キャビティ 2…湯道部、2a…湯道 3…湯口部、3a…湯口 4…凸部、4a…開放孔 5…消失模型、6…被覆体 7…鋳型

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティを形成する製品部と、該製品部
    から延び溶湯の通路を形成する湯口系部と、該製品部か
    ら延び開放孔を形成する凸部とからなる消失模型を形成
    する模型形成工程と、 前記消失模型の周囲を耐火物からなる鋳型材により被覆
    して被覆体を形成する被覆工程と、 前記凸部を前記被覆体と供に途中で切断する切断工程
    と、 前記被覆体を加圧加熱することにより前記消失模型を除
    去して鋳型を形成する消失工程とからなり、前記消失工
    程で前記キャビティ内に生じた圧力を前記開放孔より逃
    すようにしたことを特徴とする精密鋳造用鋳型の製造方
    法。
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