JP2503665B2 - 累進焦点レンズ - Google Patents

累進焦点レンズ

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JP2503665B2
JP2503665B2 JP1181937A JP18193789A JP2503665B2 JP 2503665 B2 JP2503665 B2 JP 2503665B2 JP 1181937 A JP1181937 A JP 1181937A JP 18193789 A JP18193789 A JP 18193789A JP 2503665 B2 JP2503665 B2 JP 2503665B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、眼の調節力の補助として使用する累進焦点
レンズに関する。
〔従来技術〕
眼の調節力が衰退して近方視が困難になった場合の調
節力の補助用眼鏡レンズとして、上方の遠用視矯正領域
(以下遠用部という)と下方の近用視矯正領域(以下近
用部という)と両者の中間において連続的に屈折力が変
化する累進領域(以下中間部という)を有する累進焦点
レンズが種々知られている。
累進焦点レンズにおいて、一般には遠用部と近用部と
の明視域を広く確保し、その間を累進帯で結ぶと、その
累進帯の側方領域にレンズ収差が集中するようになり、
この領域の存在が像のボケをはじめとして、像のゆがみ
を引き起こし、視線を移動したときのゆれとして、装用
者に悪い印象を与える。
このような視覚特性の問題を解決するために、公知の
累進焦点レンズにおいては様々な観点での設計、評価が
なされている。そして、レンズ面の形状に関して、レン
ズ面のほぼ中央に垂直に走る子午線に沿う断面と物体側
レンズ面との交線が、レンズの加入度などの仕様を表す
ための基準線として用いられ、レンズの設計においても
重要な基準線として用いられている。また、レンズの装
用状態において近用部が鼻側に寄ることを考慮して近用
部を非対称な配置とした累進焦点レンズにおいても、遠
用中心と近用中心とを縦に通る1本の中心線が基準線と
して扱われている。本発明においては、これらの基準線
を主子午線曲線という。
従来の累進焦点レンズとしては、例えば特公昭49−35
95号公報に開示されたものや、特公昭59−42285号公報
に開示されたものが知られている。
〔発明の解決しようとする課題〕
上記の公知技術においては一応の視覚性能の向上を図
ることが可能ではあるが、実用上では未だ不十分なもの
であった。すなわち、前者は主子午線曲線と直角な平面
と屈折面との成す交線の形状について、中間部のほぼ中
央に相当する点における交線のみを円形形状とし、それ
より上部では主子午線曲線から遠ざかるに従って交線の
曲率半径は減少し下部では増加するような、いずれも非
円形形状とするものであり、このように中央部のみを円
形形状とし他の領域において単純な非円形形状としてい
るため、近用部及び遠用部の明視域(非点隔差が0.5デ
ィオプター以下の範囲)が狭く、また急激な収差変化を
伴うため視野が狭くなり、像のゆがみ、ゆれが著しいも
のであった。
また後者のものでは、同様に主子午線曲線と直角な平
面と屈折力面との成す交線の形状について、遠用部上方
では、主子午線曲線より遠ざかるにつれて曲率半径が減
少し、遠用部の上方にいくに従ってその減少率が0に近
づき上方周辺部では一定の曲率半径とし、遠用部の下部
では曲率半径が単調に減少する非円形形状とし、さらに
中間部では遠用部との接続部を除いて主子午線曲線から
遠ざかるに従って、曲率半径が増加し減少する非円形形
状とし、近用部では主子午線曲線より遠ざかるにつれて
曲率半径が増加して減少する構成としている。このもの
では、前者のものよりはある程度の視覚特性の改良がな
され得るものの、遠用部の周辺領域、特に遠用部の中央
から下方にかけての側方領域における残存非点隔差が依
然著しく、また中間部及び近用部の側方領域においても
像のひずみ、ゆれが大きく、未だ十分広い視野を得るこ
とが難しいものであった。
一般に累進帯としての中間部を短くすると屈折力変化
が急激になるため、収差が急激に増大する。ミンクウィ
ッツの法則からもわかるように、特に主子午線曲線の近
傍においては収差が急激に増大し、累進帯の幅が狭くな
りがちになるばかりではなく、像のゆれ、ゆがみが急激
に増大する。一方、累進帯が比較的長い場合には、屈折
力変化が比較的穏やかなため非点収差や、ゆれ、ゆがみ
を低減しやすい。しかしながら、累進帯が長すぎると装
用時において目線を十分下げないと所望の加入度が得ら
れないため、使用しにくい等の問題があった。
本発明は、上述の如き従来の欠点を解消し、累進帯と
しての中間部が短くなった場合においても、収差的にバ
ランスのとれた累進焦点レンズを提供しようとするもの
であり、具体的には遠用部の下方においても広い視野を
有し、実用上不便のない広さの明視域を有する中間部及
び近用部を有し、その周辺においても像のゆがみ、ゆれ
を極力低減し側方視においても不快感を感ずることのな
い累進焦点レンズを提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は主子午線曲線に沿って遠景に対応する屈折力
を有する遠用部Fと、近景に対応する屈折力を有する近
用部Nと、前記遠用部と前記近用部との間において両部
の屈折力を連続的になめらかに接続する中間部Pとを有
する第1図の如き累進焦点レンズでおいて、累進帯とし
ての中間部が短くなった場合に、屈折表面の横断面形状
について、各部の最適形状を見出し、屈折面全域におけ
る収差バランスの最適化を図ったものである。
具体的には、遠用部の上部において屈折表面の横断面
形状は、横断面曲線に沿って該主子午線曲線との交点か
ら遠ざかるに従って横曲率半径の値が減少しその後増加
する非円形曲線であり、該遠用部の上部において屈折表
面の横断面形状は、横断面曲線に沿って該主子午線曲線
との交点から遠ざかるに従って横曲率半径の値が増加す
る非円形曲線であり、該遠用部のほぼ中央部分において
横断面曲線に沿って屈折表面の横断面形状がほぼ円形曲
線であり、前記中間部の中央から近用部上方にかけて屈
折表面の横断面形状は、横断面曲線に沿って主子午線曲
線との交点から遠ざかるに従って曲率半径の値が増加し
その後ほぼ一定になる非円形曲線である構成としたもの
である。
また、中間部Pの上部において、屈折表面の横断面形
状は、主子午線曲線との交点から遠ざかるに従って曲率
半径の値が増加する非円形曲線であり、その増加率は近
用部に近づくに従って増大する構成とすることが有効で
ある。
そして、中間部の下方から近用部の上方において、屈
折表面の横断面形状は、該主子午線曲線との交点から遠
ざかるに従って曲率半径の値が増加しその後ほぼ一定と
なる位置が、該累進焦点レンズの半径をWとしたとき、
前記主子午線曲線から垂直方向に1/4W〜3/4Wだけ離れた
領域内に存在すること構成とすることが有効である。
さらに、中間部P及び近用部Nにかけての屈折表面の
うち少なくとも近用部の中間において、累進焦点レンズ
の半径をWとするとき、主子午線曲線から垂直方向に1/
2W以上離れた領域での屈折表面の横断面に沿う方向の面
屈折力は、遠用中心の表面屈折力に対して、加入度をA
(ディオプター)とするとき、±A/2ディオプター以内
の範囲とすることが有効である。
〔作用〕
上記の如き本発明による構成においては、まず遠用部
の上方において、屈折表面の横断面形状が主子午線曲線
から遠ざかるに従って増加減少し、一方遠用部の下方に
おいてはこの逆の傾向をもち、遠用部のほぼ中央におい
てほぼ円形状となるため、遠用部Fを極めて広く確保し
つつ、中間部とのなめらかな接続を可能として、中間部
Pの側方部での非点隔差の集中を弱めることを可能と
し、中間部Pでの明視域をより広く、かつ周辺での像の
ゆがみ、ゆれの軽減を達成したものである。
また、中間部Pの下部及び近用部Nの上方において、
屈折表面の横断面形状が、該主子午線曲線との交点から
遠ざかるに従って曲率半径の値が増加し、その後ほぼ一
定になる非円形曲線となっているため、上記の如き遠用
部の形状による広い遠用明視域を有するにもかかわら
ず、中間部及び近用部での非点隔差の集中をバランス良
く軽減し、側方領域での像のゆれ、ゆがみ等をやわら
げ、視覚の改良を可能としている。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例について述べるが、まず本発明
における横断面及び縦断面について説明する。
第2図(A)及び(B)はレンズの屈折表面σについ
ての横断面及び縦断面を説明するための斜視図である。
レンズの幾何中心OGに光軸をとりこれをx軸とし、幾何
中心OGにおける屈折表面の曲率中心位置を中心OOとし、
幾何中心OGにおける屈折表面σの曲率半径R0を半径とす
る球面を基準球面としている。従って、基準球面はレン
ズの屈折表面σと幾何中心OGにおいて接している。基準
球面の中心OOを原点として、垂直方向にy軸を、水平方
向にz軸をとっている。
本発明における横断面とは、第2図(A)に示す如
く、基準球の中心O0を通り主子午線曲線MM′を含む面
(X−y平面)に直行する平面πjによる屈折表面σの
横断面のことであり、横断面交線Φjとして示してい
る。また、本発明における縦断面とは、第2図(B)に
示す如く、基準球の中心O0を通りy軸を含む平面χj
よる屈折表面σの縦断面のことであり、縦断面交線Σj
として示している。
このような横断面交線Φj及び縦断面交線Σjのレンズ
屈折表面上での平面的位置の様子を示す平面図が第3図
である。第3図に示した各横断面交線(Φ3,Φ2
Φ1,…)に沿って、横方向の曲率半径の値を、主子午
線曲線MM′上の横方向の曲率半径を基準として屈折表面
σの右半分についての変化を示したのが第4図である。
尚、ここに説明した横断面交線Φj及び縦断面交線Σj
は、それぞれ、本発明における横断面曲線及び縦断面曲
線を意味することは言うまでもない。
より具体的に説明すれば、第4図は、主子午線曲線M
M′と交差する7つの代表的横断面での、各横断面交線
に沿って縦方向の曲率半径の値を、主子午線曲線MM′上
の横方向の曲率半径を基準として、主子午線曲線MM′の
右側半分についてプロットしたものである。ここで、プ
ロットした各曲率半径の値は、第2図(A)(B)にお
いて、基準球の中心OOを通り主子午線曲線MM′を含む面
(x−y平面)に直行する平面πjによる屈折表面σの
横断面交線Φjに沿って、y軸を含む垂直面(χj)によ
る縦交線曲線Σiが交差する点Mjにおける横方向の曲率
半径である。
そして、基準球の中心を通り主子午線曲線MM′を含む
面(x−y平面)に直行する平面πjが光軸(x軸)と
なす角度Vyを、5.6°毎に変えた7つの面(π3,π2
π1,π0,π-1,π-2,π-3)による、7つの横断面交
線(Φ3,Φ2,Φ1,Φ0,Φ-1,Φ-2,Φ-3)に沿っ
て、それぞれの横断面上で、y軸を含む垂直面(χj
と主子午線曲線MM′を含む平面(x−y平面)との成す
横方向の角度Vzを、5.6°毎にとった場合の主子午線曲
線MM′上の横方向の曲率半径を基準として、横方向曲率
半径の値を結んだのが第4図である。
第4図に示した如く、本実施例においては、遠用部F
の下部(5.6°)において屈折表面の横断面形状は、該
主子午線曲線MM′との交点から遠ざかるに従って曲率半
径の値が減少しその後増加する非円形曲線であり、該遠
用部Fの上部(16.8°)において屈折表面の横断面形状
は、主子午線曲線MM′との交点から遠ざかるに従って曲
率半径の値が増加しその後減少する非円形曲線であり、
遠用部Fのほぼ中央部分(11.2°)において屈折表面の
横断面での曲率半径がほぼ一定となり、この横断面形状
がほぼ円形曲線となっている。
また、中間部P(−5.6°)において、屈折表面の横
断面形状は、該主子午線曲線との交点から遠ざかるに従
って曲率半径の値が増加しその後ほぼ一定になる非円形
曲線であり、その増加率及び減少率は近用部に近づくに
従って増大しており、この傾向は近用部Nにおける横断
面形状(−11.2°)との比較から明らかである。
そして、近用部N(−11.2°の上部,−16.8°の下
部)において、屈折表面の横断面形状は、近用部の上部
では該主子午線曲線MM′との交点から遠ざかるに従って
曲率半径の値が増加しその後ほぼ一定になる非円形曲線
である。ここで曲率半径の増加からほぼ一定になる位置
は、該累進焦点レンズの半径をWとするとき、Wの約半
分の位置にあり、実用的には主子午線曲線から横方向に
W/4〜3W/4だけ離れた領域内に存在する構成とすること
が有効である。
上記の如き横断面に沿った横方向曲率半径の変化につ
いて、遠用部F上方における側方領域での曲率半径の増
加は、その横断面と主子午線曲線との交点における曲率
半径に対して、約7%の増加であり、遠用部F下方にお
ける曲率半径の減少量は、その横断面と主子午線曲線と
の交点における曲率半径に対して、約8%の減少であ
る。また、中間部Pの下部における横方向曲率半径の増
加からほぼ一定となるが、その増加の最大値はその横断
面と主子午線曲線との交点における曲率半径に対して、
約60%の増加である。近用部Nにおける横方向曲率半径
の増加減少において、最大値はその横断面と主子午線曲
線との交点における曲率半径に対して約84%の増加であ
り、近用中心ONの側方領域における横方向曲率半径の最
大値は、その横断面と主子午線曲線との交点における曲
率半径に対して50%〜100%増加した値であることが有
効である。
ところで、第5図は横方向の曲率半径に対応する横方
向の屈折力について、縦交線に沿った変化を示すもので
ある。即ち、屈折表面σでの前述したy軸を含む垂直面
(χj)による縦交線Σiに沿って、各点での横方向の屈
折力をプロットした図であり、屈折表面σの横方向曲率
半径の縦の変化を示すものでもある。これらの曲線は、
種々の縦交線に沿った加入度曲線でもある。ここで、曲
率半径と屈折力とは密接な関係にあり、曲率半径をRと
し、レンズの屈折率をnとするとき、曲率ρは、 ρ=1/R で表され、屈折力Dは、 D=(n−1)/R=(n−1)ρ の関係になる。ここで、曲率半径Rをメートル単位とす
る場合に、屈折力Dはディオプター単位で表される。
第5図におけるΣ0は主子午線曲線MM′(Vz=0°)
に相当し、この主子午線曲線に沿った横方向の屈折力の
変化を曲線e0で示す。そして、Σ1,Σ2,Σ3はそれぞ
れ、Vz=5.6°,11.2°,16.8°に対応し、それぞれの縦
交線に沿った横方向屈折力の変化を曲線e1,e2,e3で示
している。ここで、Vz=16.8°が累進焦点レンズとして
の最大有効口径にほぼ対応するものとすれば、Σ1
Σ2,Σ3はそれぞれ、レンズの半径Wに対して、W/3、2
W/3,Wに対応することになる。
第5図のe3に示される如く、遠用部Fの上方において
は、主子午線曲線上の屈折力(e0)に対して、レンズの
側縁部(Σ3)における屈折力がより大きく、レンズ側
方中間部(Σ1,Σ2)における屈折力(e1,e2)がより
小さくなっており、遠用部Fの中間でこれらがほぼ等し
い屈折力となっている。中間部Pの上部においては、最
も大きな屈折力となる主子午線曲線上の屈折力(e0)に
対して、レンズ側方中間部(Σ1,Σ2)における屈折力
(e1,e2)よりも、レンズの側縁部(Σ3)における屈
折力が小さくなっている。
そして、中間部の下部から近用部Nにおいては、主子
午線曲線上の屈折力(e0)は最も大きく、所定の加入度
をもって増大したのち近用部の下方で減少傾向となる。
近用部Nにおける側方領域の横方向屈折力については、
レンズ側方中間部((Σ1,Σ2)において屈折力(e1
e2)が減少し、e2が最も小さく、これより側方部
(Σ3)の屈折力(e3)が少し上昇しているが、ほとん
ど同一の屈折力となっている。即ち、レンズの有効径を
Wとするとき、近用部Nの中間において、主子午線曲線
から垂直方向に2/3W以上離れた領域(Σ2)での横方向
の面屈折力は、遠用中心OFでの表面屈折力(5ディオプ
ター)に対して、若干の変動を有するものであり、本実
施例の如く加入度をA(ディオプター)とするとき、±
A/2ディオプター以内の範囲とすることが有効である。
尚、本実施例では近用部Nの中間において、主子午線曲
線から垂直方向に2/3W離れた領域となっているが、1/2W
以上離れた領域であれば実質的に有効である。
ところで、上記の如き実施例において、主子午線曲線
に沿った平均屈折力の分布の状態は、第6図に示すごと
くである。本実施例は遠用部Fの平均屈折度数(ベース
カーブ)が4.0ディオプターで、加入度2.5ディオプター
の累進焦点レンズであるから、遠用中心OFにおいてほぼ
4.0ディオプターであり、近用中心ONにおいて平均屈折
度数はほぼ6.5ディオプターとなっている。
このような加入度曲線を有するレンズ面の設計におい
ては、レンズとしての円形形状の範囲内のみにおいて面
形状を設計評価するのではなく、レンズ面の円形形状を
含む第3図に示した如き四角形を想定し、この四角形内
での面形状の設計と評価を行った。このように、レンズ
の円形形状を覆うより大きな面での曲面を最適化するこ
とによって、実用的レンズ面をよりなめらかな優れた形
状とすることが可能となるのである。
上記の如き実施例の面形状を有する累進焦点レンズに
ついて、性能評価を行った結果を示したのが、第7図の
等非点隔差曲線図である。この図において、等非点隔差
曲線は0.5ディオプターごとの値としている。
本実施例との比較のために、第8図に従来の累進焦点
レンズについての等非点隔差曲線図及び主子午線曲線上
の屈折力分布曲線図の概要を示した。この図において
も、等非点隔差曲線は0.5ディオプターごとの値として
いる。
従来の累進焦点レンズにおいては、本発明による上記
の如き構成ではないため、第8図に示す如く、非点隔差
の密度が高くなり、非点隔差量及び非点隔差の勾配が急
激なものとなり、結果として像のゆがみが大きくなり、
視線を移動したときに像のゆれを感ずることになる。ま
た、遠用部下方の側方領域には、中間部の側方領域から
の非点隔差の収差がしみ出して、この領域へ眼を向けた
場合には、像のボケばかりではなく、像のゆがみ、ゆれ
が著しくなっている。
これに対し、本実施例においては第7図に示す如く、
累進帯が短くなったにもかかわらず表面屈折力の非点隔
差の密度も低下し、非点隔差の勾配もゆるやかになり、
像のゆがみもゆれも軽減されていることが明らかであ
る。
ここで、上記実施例の加入度曲線を示した第6図を用
いて、本発明による累進焦点レンズの主要な点について
説明しておく。
遠用中心OFとは、遠用部での所定の表面屈折平均度数
を有する主子午線曲線上の位置であり、実用上は遠用部
の測定基準点とされる点である。また、近用中心ON
は、近用部での所定の表面屈折平均度数を有する主子午
線曲線上の位置であり、実用上は近用部の測定基準点と
される点である。
そして、遠用アイポイントEは、レンズを眼鏡フレー
ムに枠入れする際の基準とされる位置であり、眼鏡フレ
ームを装用した状態において遠用視線通過位置と合致す
る遠用基準点となる。このような遠用アイポイントEの
位置は、第6図の主子午線曲線上の平均屈折力分布曲線
に示す如く、レンズの幾何中心とは独立に定められてお
り、本発明においては以下のように定義する。すなわ
ち、主子午線曲線上の表面屈折力の平均度数を主子午線
曲線上の各位置ごとにプロットした第6図の如き加入度
曲線において、遠用部Fの遠用中心OFと近用部Nの近用
中心ONとを結ぶ直線aと平行で、加入度曲線と遠用部F
側で接する直線bが、遠用中心OFでの平均屈折力を表す
直線cとの交点Eを遠用アイポイントとする。
尚、一般の累進焦点レンズでは、主子午線曲線に沿っ
て、全線を微視的な球面の連続とする所謂臍点曲線とし
たものや、主子午線曲線上の一部の領域において臍点で
はなく、互いに直交する方向での曲率半径が異なる面形
状とするものが提案されており、主子午線曲線上の面形
状についてみれば主子午線曲線の全線にわたって臍点状
としたものと、主子午線曲線上の少なくとも一部におい
て臍点ではなくして、主子午線曲線に沿う方向の曲率半
径とそれに直角な方向での曲率半径とを異なる値とした
ものとに2大別されるが、本発明においてはこれらの何
れの場合にも有効である。
また、一般に累進焦点レンズは眼鏡フレームに合わせ
て加工されるため、遠用部、中間部及び近用部の各領
域、特に周辺部を含む遠用部と近用部の領域は、フレー
ムの形状によって異なることとなるが、加工前の累進焦
点レンズは一般に直径60mm程度以上の円形レンズであ
り、この円形形状のまま眼鏡小売店に供給され、小売店
において所望の眼鏡フレーム形状に合わせて加工されて
いる。従って、本発明における累進焦点レンズの面形状
の規定においてはこのような加工前の形状を基準とする
ものである。そして、累進焦点レンズの最適面形状の設
計においては、使用頻度の高い中心領域のみではなく使
用される有効領域を含むより広い領域における面形状を
も考慮して収差バランスを図ることが肝要である。
〔発明の効果〕
以上の如き本発明によれば、累進帯としての中間部を
短くしても、遠用部の下方においても広い視野を有し、
実用上不便のない広さの明視域を有する中間部及び近用
部を有し、その周辺においても像のゆがみ、ゆれを極力
低減し側方視においても不快感を感ずることがなく、収
差的にバランスのとれた累進焦点レンズを実現すること
が可能となり、この種のレンズを初めて用いる人にも違
和感なく装用し得る累進焦点レンズを達成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図本発明の累進焦点レンズの領域区分の概要を示す
平面図であり、第2図(A)及び(B)は本発明による
屈折表面の横断面及び縦断面を説明するための斜視図、
第3図は本発明による横断面を説明するための平面図、
第4図は本発明による実施例の横断面に沿った横方向曲
率半径の変化を示す図、第5図は横方向の屈折力につい
て縦交線に沿った変化を示す図、第6図は実施例におけ
る主子午線曲線に沿う平均屈折力の分布を示す図、第7
図は本発明による実施例についての等非点隔差曲線図、
第8図は従来の累進焦点レンズについての等非点隔差曲
線図である。 〔主要部分の符号の説明〕 F……遠用部、OF……遠用中心 P……中間部、ON……近用中心 N……近用部、E……遠用アイポイント
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−32120(JP,A) 特開 昭57−10113(JP,A) 特開 昭59−58415(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主子午線曲線に沿って遠景に対応する屈折
    力を有する遠用部と、近景に対応する屈折力を有する近
    用部と、前記遠用部と前記近用部との間において両部の
    屈折力を連続的になめらかに接続する中間部とを有する
    累進焦点レンズにおいて、前記遠用部の下部において屈
    折表面の横断面形状は、横断面曲線に沿って該主子午線
    曲線との交点から遠ざかるに従って横曲率半径の値が減
    少しその後増加する非円形曲線であり、該遠用部の上部
    において屈折表面の横断面形状は、横断面曲線に沿って
    該主子午線曲線との交点から遠ざかるに従って横曲率半
    径の値が増加する非円形曲線であり、該遠用部のほぼ中
    央部分において横断面曲線に沿って屈折表面の横断面形
    状がほぼ円形曲線であり、前記中間部の中央から近用部
    上方にかけて屈折表面の横断面形状は、横断面曲線に沿
    って主子午線曲線との交点から遠ざかるに従って曲率半
    径の値が増加しその後ほぼ一定になる非円形曲線である
    ことを特徴とする累進焦点レンズ。
  2. 【請求項2】前記中間部の中央から近用部上方におい
    て、屈折表面の横断面形状について曲率半径の値がほぼ
    一定になる位置は、該累進焦点レンズの半径をWとする
    とき、主子午線曲線から垂直方向に1/4W〜3/4Wだけ離れ
    た領域内に存在することを特徴とする請求項1記載の累
    進焦点レンズ。
  3. 【請求項3】前記中間部及び近用部にかけての屈折表面
    のうち少なくとも近用部の中間において、該累進焦点レ
    ンズの半径をWとするとき、主子午線曲線から垂直方向
    に1/2W以上離れた領域での屈折表面の横断面に沿う方向
    の面屈折力は、遠用中心の表面屈折力に対して加入度を
    A(ディオプター)として、±A/2ディオプター以内の
    範囲であることを特徴とする請求項1記載の累進焦点レ
    ンズ。
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