JP2024523349A - アルカリ金属アルコキシド生成用の三室電解槽 - Google Patents

アルカリ金属アルコキシド生成用の三室電解槽 Download PDF

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Abstract

本発明は、第一態様において、3つの室を有し、中間室が、陽イオン透過性の固体電解質、例えばNaSICONによって陰極室から仕切られ、拡散バリアによって陽極室から仕切られている電解槽に関する。本発明は、中間室が内部構造物を備えることを特徴とする。本発明による電解槽は、電解中に電解槽の中間室に濃度勾配が形成され、局所的にpH値が低下し、固体電解質の損傷につながるという課題を解決する。内部構造物は、電解中、電解液が中間室を通る際に渦流を発生させ、それによりpH勾配の形成を防ぐ。第二態様において、本発明は、本発明による電解槽内でアルカリ金属アルコキシド溶液を生成する方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、第一態様において、3つの室を有し、中間室が、陽イオン透過性の固体電解質、例えばNaSICONによって陰極室から仕切られ、拡散バリアによって陽極室から仕切られている電解槽に関する。
本発明は、中間室が内部構造物を備えることを特徴とする。
本発明による電解槽は、電解中に電解槽の中間室に濃度勾配が形成され、局所的にpH値が低下し、固体電解質の損傷につながるという課題を解決する。内部構造物は、電解中、電解液が中間室を通る際に渦流を発生させ、それによりpH勾配の形成を防ぐ。
第二態様において、本発明は、本発明による電解槽内でアルカリ金属アルコキシド溶液を生成する方法に関する。
1.発明の背景
アルカリ金属アルコキシド溶液の電気化学的製造は、重要な工業プロセスであり、例えばドイツ特許出願公開第10360758号明細書、米国特許出願公開第2006/0226022号明細書および国際公開第2005/059205号パンフレットに記載されている。これらのプロセスの原理は、陽極室にアルカリ金属塩の溶液、例えば塩化ナトリウムまたはNaOHが存在し、陰極室に問題のアルコールまたは問題のアルカリ金属アルコキシドを低濃度で含むアルコール溶液、例えばナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドが存在する電解槽に反映されている。陰極室と陽極室は、使用されるアルカリ金属イオンを伝導するセラミック、例えばNaSICON、またはカリウムもしくはリチウムの類似物によって仕切られている。電流を流すと、アルカリ金属の塩化物塩を使用した場合、陽極で塩素が形成され、陰極で水素とアルコキシドイオンが形成される。アルカリ金属イオンが、それに対して選択的なセラミックを介して、中間室から陰極室に移動することにより、電荷のバランスが保たれる。中間室と陽極室間の電荷のバランスは、陽イオン交換膜が使用される場合は陽イオンの移動によって、または陰イオン交換膜が使用される場合は陰イオンの移動によって、または非特異的拡散バリアが使用される場合は両イオン型の移動によって保たれる。これにより、陰極室内のアルカリ金属アルコキシド濃度が上昇し、陽極液中のナトリウムイオン濃度が低下する。
NaSICON固体電解質は、他の化合物の電気化学的製造にも使用される。
国際公開第2014/008410号パンフレットには、チタン元素または希土類を製造するための電解プロセスが記載されている。このプロセスの原理は、塩化チタンをTiOおよび対応する酸から生成し、これをナトリウムアルコキシドと反応させてチタンアルコキシドおよびNaClを得て、最終的にチタン元素およびナトリウムアルコキシドに電気分解することである。
国際公開第2007/082092号パンフレットおよび国際公開第2009/059315号パンフレットには、NaSICONを用いて電解的に生成されたアルコキシドの助けを借りて、まずトリグリセリドを対応するアルカリ金属トリグリセリドに転化し、第2段階において電解的に生成されたプロトンと反応させ、グリセロールおよびそれぞれのアルカリ金属水酸化物を得る、バイオディーゼルの製造方法が記載されている。
したがって、従来技術には、イオン透過性層、例えばNaSICON固体電解質を備えた電解槽内で実施するプロセスが記載されている。しかし、これらの固体電解質には通常、水性酸に対する長期安定性に欠けるという欠点がある。これは、陽極室での電解中、酸化プロセス(例えば、不均化または酸素生成によりハロゲンを生成する場合)の結果としてpHが低下するという点で課題がある。これらの酸性条件は、このプロセスを工業規模で使用できないほどNaSICON固体電解質を攻撃する。この課題に対処するために、従来技術にさまざまなアプローチが記載されている。
例えば、従来技術において三室槽が提案されている。これらは、例えば米国特許第6221225号明細書など、電気透析の分野で知られている。
例えば、国際公開第2012/048032号パンフレットおよび米国特許出願公開第2010/0044242号明細書には、そのような三室槽内での次亜塩素酸ナトリウムおよび類似の塩素化合物を調製するための電気化学的プロセスが記載されている。槽の陰極室と中間室は、陽イオン透過性の固体電解質、例えばNaSICONによって仕切られている。これを酸性陽極液から保護するために、中間室には、例えば陰極室からの溶液が供給される。米国特許出願公開第2010/0044242号明細書には、図6において、次亜塩素酸ナトリウムを得るために、室の外側で中間室からの溶液を陽極室からの溶液と混合する可能性についても記載されている。
このような槽は、アルカリ金属アルコキシドを生成または精製するために従来技術においても提案されている。
例えば、米国特許第5389211号明細書には、陽イオン選択性固体電解質または非イオン性隔壁によって室が互いに区切られた三室槽を使用する、アルコキシド溶液の精製方法が記載されている。中間室は、陰極室からの精製アルコキシドまたは水酸化物溶液が、陽極室からの汚染溶液と混ざるのを防ぐために、緩衝室として使用される。
ドイツ特許出願公開第4233191号明細書には、多室槽および複数槽の積層体内での塩およびアルコキシドからのアルコキシドの電解的回収が記載されている。
国際公開第2008/076327号パンフレットには、アルカリ金属アルコキシドの製造方法が記載されている。これは、三室槽を使用し、その中間室にはアルカリ金属アルコキシドが充填されている(例えば、国際公開第2008/076327号パンフレットの段落[0008]および段落[0067]を参照)。これにより、中間室と陰極室を隔てる固体電解質が、電解の過程でより酸性になる、陽極室に存在する溶液から保護される。同様の構成が国際公開第2009/073062号パンフレットに記載されている。しかしながら、この構成には、アルカリ金属アルコキシド溶液が所望の生成物であるのに、これが消費され、緩衝液として継続的に汚染されるという欠点がある。国際公開第2008/076327号パンフレット記載のプロセスのさらなる欠点は、陰極室におけるアルコキシドの生成が、2つの膜または固体電解質を通るアルカリ金属イオンの拡散速度に左右されることである。これは、ひいてはアルコキシド生成の鈍化につながる。
さらなる問題は、三室槽の幾何学的形状に起因している。このような室の中間室は、拡散バリアによって陽極室から仕切られ、イオン伝導性セラミックによって陰極室から仕切られている。これにより、電解中、pH勾配の進行とデッドボリュームが不可避的に生じる。これにより、イオン伝導性セラミックが損傷し、その結果、電解に必要な電圧が増加し、および/またはセラミックの破損につながる可能性がある。
この影響は電解槽全体で生じるが、中間室はイオン伝導性セラミックによって境界されているため、pHの低下は中間室において特に重大である。ガスは通常、陽極と陰極で生成され、これらの室内では少なくともある程度の混合が生じる。対照的に、中間室ではそのような混合は起こらず、その中でpH勾配が進行する。この望ましくない影響は、送り出された塩水が一般に比較的ゆっくりと電解槽を通るという事実によって増大する。
ドイツ特許出願公開第10360758号明細書 米国特許出願公開第2006/0226022号明細書 国際公開第2005/059205号パンフレット 国際公開第2014/008410号パンフレット 国際公開第2007/082092号パンフレット 国際公開第2009/059315号パンフレット 米国特許第6221225号明細書 国際公開第2012/048032号パンフレット 米国特許出願公開第2010/0044242号明細書 米国特許第5389211号明細書 ドイツ特許出願公開第4233191号明細書 国際公開第2008/076327号パンフレット 国際公開第2009/073062号パンフレット
したがって、本発明の目的は、アルカリ金属アルコキシドの電解的調製の改良法、およびそのような方法に特に適した電解室を提供することであった。これらは、前述の欠点を持たず、特に、pH勾配が形成される前の固体電解質の保護の向上と、従来技術と比較した使用反応物質の節約とを保証するものである。
2.発明の簡単な説明
驚くべきことだが、今回発見されたのは、本発明が取り組む課題を解決する電解槽およびプロセスである。
本発明の第一態様では、電解槽E<100>は、少なくとも1つの陽極室K<101>と、少なくとも1つの陰極室K<102>と、少なくとも1つの介装中間室K<103>と、を備え、
<101>は、陽極電極E<104>と、出口AKA<106>と、を備え、
<102>は、陰極電極E<105>と、入口ZKK<107>と、出口AKK<109>と、を備え、
<103>は、入口ZKM<108>を備え、拡散バリアD<110> によってK<101>から仕切られ、アルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>によってK<102>から仕切られ、
<103>とK<101>は、K<103>からK<101>へ液体を送ることができる接続VAM<112>によって互いに接続されており、
中間室K<103>は、内部構造物<120>を備え、内部構造物<120>は、中間室K<103>を通る電解質L<114>に乱流および渦流をもたらすように構成されている。
第二態様では、本発明は、
本発明の第一態様による電解槽E<100>内で、アルカリ金属アルコキシドXORのアルコールROH溶液L<115>を生成する方法であり、
同時進行する以下:
(a)アルコールROHを含む溶液L<113>をK<102>に通す工程、
(b)陽イオンとしてXを含む塩Sの中性またはアルカリ性水溶液L<114>をK<103>に通し、次いでVAM<112>を経由して、K<101>に通す工程、
(c)E<104>とE<105>間に電圧を印加する工程
を含み、
これにより、出口AKK<109>に、L<113>よりもXORの濃度が高い溶液L<115>を供給し、
出口AKA<106>に、L<114>よりもSの濃度が低い、Sの水溶液L<116>を供給し、
Xは、アルカリ金属陽イオンであり、Rは、炭素数1~4のアルキル基である方法に関する。
図1は、本発明による電解槽<100>および本発明による方法の好ましい実施形態を示す。 図2は、本発明による電解槽のさらなる実施形態と、図1に示されるものに対応する本発明による方法とを示す。
図1は、本発明による電解槽<100>および本発明による方法の好ましい実施形態を示す。三室槽E<100>は、陰極室K<102>と、陽極室K<101>と、介装中間室K<103>と、を備える。
陰極室K<102>は、陰極電極E<105>と、入口ZKK<107>と、出口AKK<109>と、を備える。
陽極室K<101>は、陽極電極E<104>と、出口AKA<106>と、を備え、接続VAM<112>を介して中間室K<103>に接続されている。
中間室K<103>は、入口ZKM<108>を備える。
三室は、三室槽E<100>の外壁<117>によって境界されている。陰極室K<102>も、ナトリウムイオンを選択的に透過するNaSICON固体電解質F<111>によって中間室K<103>から仕切られている。中間室K<103>はさらに、拡散バリアD<110>によって陽極室K<101>から仕切られている。NaSICON固体電解質F<111>および拡散バリアD<110>は、三室槽E<100>の深さおよび高さ方向の全体にわたって延びている。拡散バリアD<110>はガラス製である。
図1による実施形態では、接続VAM<112>は、電解槽E<100>の外側に、特にチューブまたはホースにより形成され、その材料は、ゴム、金属およびプラスチックから選択され得る。接続VAM<112>を介して、三室槽E<100>の外壁W<117>の外側において、液体を中間室K<103>から陽極室K<101>に送ることが可能である。接続VAM<112>は、中間室K<103>の底部において電解槽E<100>の外壁W<117>を貫通する出口AKM<118>と、陽極室K<101>の底部において電解槽E<100>の外壁W<117>を貫通する入口ZKA<119>と、を繋いでいる。
pH10.5の塩化ナトリウム水溶液L<114>が、入口ZKM<108>を経由して、重力方向に中間室K<103>に導入される。中間室K<103>からの出口AKM<118>と陽極室K<101>への入口ZKA<119>との間に形成された接続VAM<112>は、中間室K<103>を陽極室K<101>へ接続する。塩化ナトリウム溶液L<114>は、この接続VAM<112>を通って中間室K<103>から陽極室K<101>に送られる。
ナトリウムメトキシドのメタノール溶液L<113>は、入口ZKK<107>を経由して陰極室K<102>に送られる。
同時に、陰極電極E<105>と陽極電極E<104>との間に電圧が印加される。これにより、電解質L<113>中のメタノールが還元され、陰極室K<102>にメトキシドとHが発生する(CHOH+e→CH+1/2H)。同時に、ナトリウムイオンが、中間室K<103>からNaSICON固体電解質F<111>を通って陰極室K<102>に拡散する。全体として、これにより、陰極室K<102>内のナトリウムメトキシド濃度が上昇し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液L<115>が得られ、そのナトリウムメトキシド濃度はL<113>と比較して上昇している。
陽極室K<101>では、塩素イオンの酸化が起こり、塩素分子が生成される(Cl→1/2Cl+e)。出口AKA<106>では、水溶液L<116>が得られ、このNaCl含量はL<114>と比較して低減されている。水中の塩素ガス(Cl)は、Cl+HO→HOCl+HClの反応により、次亜塩素酸および塩酸を生成し、さらに水分子との酸性反応を起こす。酸性は、NaSICON固体電解質<111>を損傷するが、本発明による構成によって陽極室K<101>に限定され、したがって、電解槽E<100>内ではNaSICON固体電解質F<111>から遠ざけられる。これにより、その寿命が大幅に延びる。
中間室K<103>には、ガラスまたはプラスチックビーズ<121>を含むメッシュ状のワイヤーバスケット<122>形態の内部構造物<120>も存在する。ワイヤーバスケット<122>は、中間室K<103>内に遊離して配置されているが、<117>の外壁の内側に固定されていてもよい。入口ZKM<108>を通って供給される水溶液L<114>は、これらの内部構造物<120>を通って案内され、その結果、渦流および乱流が生じる。溶液中のこの乱流L<114>は、電解が進行中の中間室K<103>内でのpH勾配の発生を防ぎ、したがって、NaSICON固体電解質<111>に直接隣り合う溶液のpH低下の進行を防ぐ。これにより、NaSICON固体電解質<111>の耐用年数がさらに長くなる。
図2は、本発明による電解槽のさらなる実施形態と、図1に示されるものに対応する本発明による方法とを示す。相違点の一つとして、中間室K<103>から陽極室K<101>への接続VAM<112>が、拡散バリアD<110>の穿孔によって形成されている。また、内部構造物<120>として、中間室K<103>内に遊離して存在するワイヤーバスケット<122>ではなく、NaSICON固体電解質F<111>に面する中間室K<103>の中へ突出する複数のガラスまたはプラスチックのスタッド<123-2>が設けられている。代替的または追加的に、拡散バリアD<110>に面する対応するスタッド<123-1>を設けることも可能である。図1に示す実施形態と同様に、入口ZKM<108>を通って供給される水溶液L<114>は、これらの内部構造物<120>によって渦流される。溶液L<114>中のこの乱流は、電解進行中の中間室K<103>内に発生したpH勾配を破壊する。
4.発明の詳細な説明
4.1 電解槽E
本発明の第一態様は、電解槽E<100>に関する。本発明の第一態様における電解槽E<100>は、少なくとも1つの陽極室K<101>と、少なくとも1つの陰極室K<102>と、少なくとも1つの介装中間室K<103>と、を備える。これには、2つ以上の陽極室K<101>および/または陰極室K<102>および/または中間室K<103>を有する電解槽E<100>も含まれる。これらの室がモジュールの形態で互いに繋がれているこのような電解槽は、例えばドイツ特許出願公開第258143号明細書および米国特許出願公開第2006/0226022号明細書に記載されている。
陽極室K<101>は、陽極電極E<104>を備える。この種の有用な陽極電極E<104>は、本発明の第二態様における本発明による方法の条件下で安定である、当業者によく知られているすべての電極である。これらは、特に、国際公開第2014/008410号パンフレットの段落[024]またはドイツ特許出願公開第10360758号明細書の段落[031]に記載されている。この電極E<104>は、単層から構成されてもよく、またはそれぞれが穿孔または拡張処理されていてもよい互いに平行な複数の平面層から構成されてもよい。陽極電極E<104>は、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、ニッケル、コバルト、タングステン酸ニッケル、チタン酸ニッケル、チタンまたはKovar(登録商標)(個々の成分が好ましくは以下の通りである鉄/ニッケル/コバルト合金:鉄54質量%、ニッケル29質量%、コバルト17質量%)などの担体上に担持された貴金属(特に白金など)からなる群から選択される材料を含む。さらに可能な陽極材料は、特にステンレス鋼、鉛、グラファイト、炭化タングステン、二ホウ化チタンである。好ましくは、陽極電極E<104>は、酸化ルテニウム/酸化イリジウムで被覆されたチタン陽極(RuO+IrO/Ti)を含む。
陰極室K<102>は、陰極電極E<105>を備える。この種の有用な陰極電極E<105>は、条件下で安定である当業者によく知られたすべての電極である。これらは、特に、国際公開第2014/008410号パンフレットの段落[025]またはドイツ特許出願公開第10360758号明細書の段落[030]に記載されている。この電極E<105>は、メッシュウール、三次元マトリックス構造および「ボール」からなる群から選択され得る。 陰極電極E<105>は、特に、鋼、ニッケル、銅、白金、白金メッキ金属、パラジウム、炭素担持パラジウム、チタンからなる群から選択される材料を含む。好ましくは、E<105>はニッケルを含む。
少なくとも1つの中間室K<103>が、陽極室K<101>と陰極室K<102>との間に存在する。
電解槽E<100>は通常、外壁W<117>を有する。外壁W<117>は、鋼、好ましくはゴム引き鋼、プラスチック、特にTelene(登録商標)(熱硬化性ポリジシクロペンタジエン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVC-C(後塩素化ポリ塩化ビニル)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)からなる群から選択される材料から作製される。W<117>は、入口および出口用に特に穿孔処理されていてよい。W<117>内には、少なくとも1つの陽極室K<101>と、少なくとも1つの陰極室K<102>と、少なくとも1つの介装中間室K<103>とがある。
<103>は、拡散バリアD<110>によってK<101>から、アルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>によってK<102>から仕切られている。
拡散バリアD<110>については、本発明の第二態様における本発明による方法の条件下で安定なすべての材料を使用することができ、陽極室K<101>内に存在する液体から中間室K<103>へのプロトンの移動を防止または遅延させることができる。
使用される拡散バリアD<110>は、特に、非イオン特異性隔壁または特定のイオンに対して透過性の膜である。拡散バリアD<110>は、好ましくは非イオン特異性隔壁である。
非イオン特異性隔壁の材料は、特に、織物(特に繊維織物または金属織物である)、ガラス(特に焼結ガラスまたはガラスフリットである)、セラミック(特にセラミックフリット)、膜ダイアフラムからなる群から選択され、より好ましくはガラスである。
拡散バリアD<110>が「特定のイオンに対して透過性の膜」である場合、本発明によれば、それぞれの膜は、他のイオンに優先して特定のイオンが拡散するのを促進することを意味する。より具体的には、これが意味するのは、特定の電荷タイプのイオンが、その反対電荷のイオンに優先して拡散するのを促進する膜である。よりいっそう好ましくは、特定のイオンに対して透過性の膜はまた、ある電荷タイプを有する特定のイオンが、同じ電荷タイプを有する他のイオンに優先して拡散するのを促進する。
拡散バリアD<110>が「特定のイオンに対して透過性の膜」である場合、拡散バリアD<110>は、特に、陰イオン伝導性膜または陽イオン伝導性膜である。
本発明によれば、陰イオン伝導性膜は、陰イオンを選択的に伝導する膜であり、好ましくは特定の陰イオンを選択的に伝導する膜である。つまり、それらは、陽イオン、特にプロトンの拡散よりも陰イオンの拡散を促進する。よりいっそう好ましくは、それらは、特定の陰イオンの拡散を、他の陰イオンの拡散に優先して、さらに促進する。
本発明によれば、陽イオン伝導性膜は、陽イオンを選択的に伝導する膜であり、好ましくは特定の陽イオンを選択的に伝導する膜である。つまり、それらは、陰イオンの拡散よりも陽イオンの拡散を促進する。よりいっそう好ましくは、それらは、特定の陽イオンの拡散を、他の陽イオンの拡散に優先して、さらに促進する。より好ましくは、プロトンに優先して、プロトンではない陽イオンの拡散、より好ましくはナトリウム陽イオンの拡散を促進する。
「特定のイオンXの拡散を、他のイオンYの拡散に優先して促進する」とは、より具体的には、当該膜における所定温度でのイオンタイプXの拡散係数(単位:m/秒)が、当該膜におけるイオンタイプYの拡散係数よりも10倍、好ましくは100倍、好ましくは1,000倍高いことを意味する。
拡散バリアD<110>が「特定のイオンに対して透過性の膜」である場合、陽極室K<101>から中間室K<103>へのプロトンの拡散を特に効率的に防ぐために、拡散バリアD<110>は、陰イオン伝導性膜であることが好ましい。
使用される陰イオン伝導性膜は、特に、塩Sに包含される陰イオンに対して選択的な膜である。そのような膜は当業者に知られており、当業者によって使用されることができる。
塩Sは、好ましくは、Xのハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩または炭酸塩であり、さらに好ましくはハロゲン化物である。
ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物である。最も好ましいハロゲン化物は、塩化物である。
使用される陰イオン伝導性膜は、好ましくは、ハロゲン化物、好ましくは塩化物に対して選択的な膜である。
陰イオン伝導性膜は、例えば、M.A. Hickner、A.M. Herring、E.B. Coughlin、高分子化学ジャーナル第B部:高分子物理学2013、51、1727~1735頁、C.G. Arges、V. Ramani、P.N. Pintauro、電気化学会インターフェース2010、19、31~35頁、国際公開第2007/048712号パンフレット、およびVolkmar M. Schmidt、教科書「電気化学工学:基礎、反応技術、プロセス最適化」初版(2003年10月8日)の181頁に記載されている。
よりいっそう好ましくは、使用される陰イオン伝導性膜は、ポリエチレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルケトン、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびポリパーフルオロエチレンなどのフッ素化膜、好ましくはポリスチレンから特に選択される有機ポリマーである。これらは、-NH 、-NRH 、-NR 、=NR、-PR から選択される共有結合した官能基を有する。 式中、Rは、好ましくは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、または他の陽イオン性基である。それらは、-NH 、-NRH および-NR から選択され、より好ましくは-NH および-NR から選択され、よりいっそう好ましくは-NR である共有結合した官能基を有することが好ましい。
拡散バリアD<110>が陽イオン伝導性膜である場合、それは、特に、塩Sに包含される陽イオンに対して選択的な膜である。よりいっそう好ましくは、拡散バリアD<110>は、アルカリ金属陽イオン伝導性膜であり、よりいっそう好ましくはカリウムおよび/またはナトリウムイオン伝導性膜であり、最も好ましくはナトリウムイオン伝導性膜である。
陽イオン伝導性膜は、例えば、Volkmar M. Schmidt、教科書「電気化学工学:基礎、反応技術、プロセス最適化」初版(2003年10月8日)の181頁に記載されている。
よりいっそう好ましくは、使用される陽イオン伝導性膜は、ポリエチレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルケトン、ポリスチレン、ポリプロピレン、およびポリパーフルオロエチレンなどのフッ素化膜、好ましくはポリスチレンおよびポリパーフルオロエチレンから特に選択される有機ポリマーである。これらは、-SO 、-COO、-PO 2-および-PO、好ましくは-SO から選択される共有結合した官能基を有する(ドイツ特許出願公開第102010062804号明細書、米国特許第4,831,146号明細書に記載)。
これは、例えば、スルホン化ポリパーフルオロエチレン(Nafion(登録商標)、CAS番号:31175-20-9)であり得る。これらは、例えば、国際公開第2008/076327号パンフレットの段落[058]、米国特許出願公開第2010/0044242号明細書の段落[0042]、または米国特許出願公開第2016/0204459号明細書から当業者に知られており、Nafion(登録商標)、Aciplex(登録商標)F、Flemion(登録商標)、Neosepta(登録商標)、Ultrex(登録商標)、PC-SK(登録商標)の商品名で市販されている。Neosepta(登録商標)膜は、例えば、S.A.Mareev、D.Yu.Butylskii、N.D.Pismenskaya、C.Larchet、L.Dammak、V.V.Nikonenko、膜科学ジャーナル2018、563、768~776頁に記載されている。
陽イオン伝導性膜が拡散バリアD<110>として使用される場合、これは、例えばスルホン酸基で官能化されたポリマー、特に下記の式PNAFIONのものであり得る。式中、nおよびmは、独立して、1から10までの整数、好ましくは10から10までの整数、より好ましくは10から10までの整数である。
有用なアルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>は、陽イオン、特にアルカリ金属陽イオン、よりいっそう好ましくはナトリウム陽イオンを、中間室K<103>から陰極室K<102>へ輸送できるすべての固体電解質である。このような固体電解質は当業者に知られており、例えば、ドイツ特許出願公開第102015013155号明細書、国際公開第2012/048032号明細書の段落[0035]、[0039]、[0040]、米国特許出願公開第2010/0044242号明細書の段落[0040]、[0041]、ドイツ特許出願公開第10360758号明細書の段落[014]~[025]に記載されている。これらは、NaSICON、LiSICON、KSICONの名前で市販されている。ナトリウムイオン伝導性固体電解質F<111>が好ましく、NaSICON構造を有することがさらに好ましい。本発明に従って使用可能なNaSICON構造は、例えば、N.Anantharamulu、K.Koteswara Rao、G.Rambabu、B.Vijaya Kumar、Velchuri Radha、M.Vithal、J Mater Sci2011、46、2821~2837頁にも記載されている。
NaSICONは、好ましくは、下記式の構造を有する。
1+2w+x-y+zII III ZrIV 2-w-x-y (SiO(PO3-z
式中、Mは、Na、Liから選択され、好ましくはNaである。
IIは、二価の金属陽イオンであり、好ましくはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Co2+、Ni2+から選択され、より好ましくはCo2+、Ni2+から選択される。
IIIは、三価の金属陽イオンであり、好ましくはAl3+、Ga3+、Sc3+、La3+、Y3+、Gd3+、Sm3+、Lu3+、Fe3+、Cr3+から選択され、より好ましくはSc3+、La3+、Y3+、Gd3+、Sm3+から選択され、特に好ましくはSc3+、Y3+、La3+から選択される。
は、5価の金属陽イオンであり、好ましくはV5+、Nb5+、Ta5+から選択される。
ローマ数字のI、II、III、IV、Vは、それぞれの金属陽イオンの酸化数を示している。
w、x、y、zは実数であり、0≦x<2、0≦y<2、0≦w<2、0≦z<3であり、w、x、y、zは1+2w+x-y+z≧0かつ2-w-x-y≧0となるように選択される。
本発明によれば、よりいっそう好ましくは、NaSICONは、式Na(1+v)ZrSi(3-v)12の構造を有する。式中、vは、0≦v≦3の実数である。最も好ましくは、v=2.4である。
陰極室K<102>はまた、液体、例えば溶液L<113>の陰極室K<102>への添加と、そこに存在する液体、例えば溶液L<115>の除去と、を可能にする入口ZKK<107>および出口AKK<109>を備える。入口ZKK<107>と出口AKK<109>は、溶液が陰極室K<102>を流れる際、陰極電極E<105>と接触するように、陰極室K<102>に取り付けられている。これは、アルカリ金属アルコキシドXORのアルコールROH溶液L<113>をK<102>に通す際、本発明の第二態様で本発明による方法を実施して、出口AKK<109>で溶液L<115>を得るために必要な条件である。
陽極室K<101>はまた、陽極室K<101>内に存在する液体、例えば水溶液L<106>の除去を可能にする出口AKA<106>を備える。さらに、中間室K<103>は、入口ZKM<108>を備える。さらに、K<101>とK<103>は、液体をK<103>からK<101>へ送ることができる接続VAM<112>により互いに接続されている。その結果、溶液L<114>は、入口ZKM<108>を経由してK<103>に導入され、これは、K<103>を通過し、次いでVAM<112>を経由して陽極室K<101>に送られ、最後に陽極室K<101>を通過する。VAM<112>と出口AKA<106>は、溶液L<114>が陽極室K<101>を流れる際、陽極電極E<104>と接触するように、陽極室K<101>に取り付けられている。これは、溶液L<114>が最初にK<103、次にVAM<112>、次にK<101>を通る際、第二態様で本発明による方法を実施して、出口AKA<106>で水溶液L<116>を得るために必要な条件である。
入口ZKK<107>、ZKM<108>、ZKA<119>および出口AKK<109>、AKA<106>、AKM<118>は、当業者に知られている方法によって電解槽E<100>に取り付けられ得る。
接続VAM<112>は、電解槽E<100>内および/または電解槽E<100>の外側、好ましくは電解槽E<100>内に形成され得る。
接続VAM<112>が電解槽E<100>内に形成される場合、接続VAM<112>は、拡散バリアD<110>内の少なくとも1つの穿孔により形成されることが好ましい。
接続VAM<112>が電解槽E<100>の外側に形成される場合、電解槽E<100>の外側に延びるK<103>およびK<101>の接続により、形成されることが好ましい。
特にその中で、外壁W<117>を貫通する出口AKM<118>は、中間室K<103>内、好ましくは中間室K<103>の底部に形成され、入口ZKM<108>は、中間室K<103>の上端に位置していることがより好ましい。外壁W<117>を貫通する入口ZKA<119>は、陽極室K<101>内、好ましくは陽極室K<101>の底部に形成される。これらは、導管、例えばパイプまたはホース、好ましくはゴムおよびプラスチックから選択される材料を含むものにより接続される。そして、出口AKA<106>は、陽極室K<101>の上端に位置していることがより好ましい。
「中間室K<103>の底部にある出口AKM<118>」とは、溶液L<114>が重力方向に中間室K<103>から出るように、出口AKM<118>が電解槽E<100>に取り付けられていることを意味する。
「陽極室K<101>の底部にある入口ZKA<119>」とは、溶液L<114>が重力に逆らって陽極室K<101>に入るように、入口ZKA<119>が電解槽E<100>に取り付けられていることを意味する。
「中間室K<103>の上端にある入口ZKM<108>」とは、溶液L<114>が重力方向に中間室K<103>に入るように、入口ZKM<108>が電解槽E<100>に取り付けられていることを意味する。
「陽極室K<101>の上端にある出口AKA<106>」とは、溶液L<116>が重力に逆らって陽極室K<101>から出るように、出口AKA<106>が電解槽E<100>に取り付けられていることを意味する。
この実施形態は、出口AKM<118>が外壁W<117>により中間室K<103>の底部に形成され、入口ZKA<119>が外壁W<117>により陽極室K<101>の底部に形成される場合に特に有利であり、したがって好ましい。この構成により、特に簡単な方法で、陽極室K内で生成されたガスを、L<116>とともに、それらをさらに分離するために、陽極室K<101>から除去することが可能となる。
特に、接続VAM<112>が電解槽E<100>の外側に形成される場合、図1により具体的に示すように、ZKM<108>とAKM<118>は、中間室K<103>の外壁W<117>の両端に配置される。(つまり、電解槽E<100>の下端にZKM<108>、電解槽E<100>の上端にAKM<118>、またはその逆。)そして、ZKA<119>とAKA<106>は、陽極室K<101>の外壁W<117>の両端に配置される。(つまり、電解槽E<100>の下端にZKA<119>、電解槽E<100>の上端にAKA<106>、またはその逆。)この配置により、L<114>は、2つの室K<103>およびK<101>を必ず通過する。ZKA<119>とZKM<108>を電解槽E<100>の同じ側に形成することが可能であり、その場合、AKM<118>とAKA<106>も自動的に電解槽E<100>の同じ側に形成される。あるいは、図1に示すように、ZKA<119>とZKM<108>を電解槽E<100>の両側に形成することも可能であり、その場合、AKM<118>とAKA<106>も自動的に電解槽E<100>の両側に形成される。
接続VAM<112>が電解槽E<100>内に形成される場合、これは特に、電解槽E<100>の上端または底部、好ましくは図2に示すような上端である、電解槽E<100>の一方の側(「A側」)に実装され得る。そして、A側には、入口ZKM<108>と出口AKA<106>とがあり、拡散バリアD<110>がこの側(「A側」)から電解槽E<100>に向かって延びているが、電解セルE<100>のA側と反対の側(「B側」)には完全には届いていない。つまり、B側は、電解槽E<100>の底部または上端である。同時に、拡散バリアD<110>は、三室槽E<100>の高さの50%以上、好ましくは三室槽E<100>の高さの60%~99%、より好ましくは三室槽E<100>の高さの70%~95%、よりいっそう好ましくは三室槽E<100>の高さの80%~90%、さらに好ましくは三室槽E<100>の高さの85%に及んでいる。拡散バリアD<110>は、三室漕E<100>のB側に接していないので、拡散バリアD<110>と三室槽E<100>のB側の外壁W<117>との間には隙間が生じる。この場合、その隙間が接続VAM<112>である。この形状により、L<114>は、2つの室K<103>およびK<101>を必ず通過する。
これらの実施形態により、塩水溶液L<114>が、陽極電極E<104>と接触する前に、酸感受性固体電解質を通過して流れ、その結果、酸が形成されることが最も確実になる。
本発明によれば、「電解槽E<100>の底部」とは、電解槽Eにおいて溶液(例えば、図1のAKM<118>の場合にはL<114>)が重力と同じ方向に電解槽Eから流れ出る側、または電解槽Eにおいて溶液(例えば、図1および図2のZKK<107>の場合にはL<113>、および図1のAKA<119>の場合にはL<114>)が重量に逆らって電解槽Eに供給される側である。
本発明によれば、「電解槽Eの上端」とは、電解槽Eにおいて溶液(例えば、図1および図2中、AKA<106>の場合にはL<116>、およびAKK<109>の場合にはL<115>)が重量に逆らって電解槽Eから流れ出る側、または電解槽Eにおいて溶液(例えば、図1および図2のZKM<108>の場合にはL<114>)が重力と同じ方向に電解槽Eに供給される側である。
本発明によれば、中間室Kは、内部構造物<120>を備える。本発明によれば、内部構造物<120>は、固体の材料である。この種の適切な内部構造物は、電気分解条件に対して十分に不活性である、当業者に公知のすべての物品または構造体である。
内部構造物<120>は、特に、ゴム、プラスチック、特にポリスチレン、ポリプロピレン、PVC、PVC-Cから選択されるもの、ガラス、磁器、金属から選択される少なくとも1つの材料を含む。金属は、金属、またはチタン、鉄、モリブデン、クロム、ニッケルから選択される2つ以上の金属の合金、好ましくはチタン、鉄、モリブデン、クロム、ニッケルから選択される少なくとも2つの金属を含む合金、よりいっそう好ましくは、鉄のほかに、チタン、モリブデン、クロム、ニッケルから選択される少なくとも1つのさらなる金属を含む鋼合金、最も好ましくはステンレス鋼である。
内部構造物<120>は、特に、構造化パッキン、非構造化パッキン(ランダムパッキン)およびトレイ、例えば、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイ、トーマントレイ、クロススロットバブルキャップトレイまたはシーブトレイから選択される。
非構造化パッキンは一般に、ランダムパッキンである。使用されるランダムパッキンは通常、ラシヒリング、ポールリング、ベルルサドルまたはIntalox(登録商標)サドルである。構造化パッキンは、例えば、Sulzer社によりMellapak(登録商標)の商品名で販売されている。
内部構造物<120>は、図1に示すように、中間室K<103>内で遊離していてもよく、例えば、ガラス等でできた球体<121>が、ワイヤー骨格<122>で構成されたバスケット内にあってよい。
あるいは、内部構造物<120>はまた、例えば固体電解質F<111>、拡散バリアD<110>、または中間室K<103>の内部を境界する外壁<117>に固定され得る。固定は、当業者に知られている方法、例えば、ねじ接続、クランプ、接着剤による接着(ポリマー接着剤、PVC接着剤)により行うことができる。
したがって、図2に示すスタッド<123-2>は、固体電解質F<111>に取り付けられ、スタッド<123-1>は、拡散バリアD<110>に取り付けられている。対応するスタッドは、中間室K<103>の内部を境界する外壁<117>に取り付けることもでき、その場合、中間室内に鍾乳石または石筍のような構造が形成される。
アルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>または拡散バリアD <110>への内部構造物<120>の固定は、例えば、当該壁のワイヤー骨格に内部構造物を固定することによって実現できる。
本発明の第一態様による電解槽E<100>の好ましい実施形態では、内部構造物<120>は、中間室K内の容積の1%~99%、より好ましくは10%~99%、よりいっそう好ましくは40%~90%、よりいっそう好ましくは50%~90%、よりいっそう好ましくは60%~90%、最も好ましくは80%~90%の割合ζを占めている。
割合ζ(単位:%)は、ζ=[(V-V)/V]*100により計算される。

は、中間室K<103>が内部構造物<120>を備えない場合に中間室K<103>に収容できる液体、例えば電解質L<114>の最大体積である。
は、中間室K<103>が内部構造物<120>を備える場合に中間室K<103>に収容できる液体、例えば電解質L<114>の最大体積である。
驚くべきことだが、中間室K<103>内の内部構造物<120>により、本発明による方法の中で中間室K<103>を通る電解質L<114>に乱流および渦流が引き起こされることが分かっている。これにより、電解中のpH勾配形成が遅くなるかまたは完全に防止され、それにより酸感受性固体電解質F<111>が保護され、それ故に電解の実行時間を長くしたり、電解槽の寿命を延ばしたりすることができる。
内部構造物<120>は、中間室K<103>と陽極室K<101>とを通る電解質L<114>の流れを充分可能にするかまたは完全に遮断しないように、中間室K<103>に取り付けられることは明らかであろう。
本発明による電解槽の好ましい実施形態では、内部構造物<120>は、入口ZKM<108>と接続VAM<112>とが中間室Kにおいて直接的に繋がるのを遮断する。
中間室Kにおいて入口ZKM<108>および接続VAM<112>間の直接的ルートが遮断されているか否かは、次の「スレッド試験」により確認される。
1.入口ZKM<108>から中間室Kに通じる開口部に糸を通し、接続VAM<112>から中間室Kに通じる開口部からその糸を出す。糸は、その端が中間室Kの外側まで伸びるほど十分に長い。
2.糸が切れることなくピンと張った状態になるように、糸の両端に反対方向の力をかける。
3.糸を中間室に入れ、工程1.および工程2.に従ってピンと張った時に、内部構造物に接触する糸が少なくとも1本ある場合、中間室Kにおいて入口ZKM<108>および接続VAM<112>間の直接的ルートを遮断するという要件は満たされている。
4.糸を中間室に入れ、工程1.および工程2.に従ってピンと張った時に、内部構造物に接触する糸がない場合、中間室Kにおいて入口ZKM<108>および接続VAM<112>間の直接的ルートを遮断するという要件は満たされていない。
糸は、特に、ミシン糸(例えば、Gutermann社製)、釣り糸、紐から作製されている。
最も好ましくは、例えばHemingway社またはNexos社から販売されているような、直径0.2mmの釣り糸がスレッド試験に使用される。
4.2 本発明による方法
本発明の第二態様による方法は、本発明の第一態様による電解槽E<100>において、アルカリ金属アルコキシドXORのアルコールROH溶液L<115>を生成する方法である。
本発明の第二態様による方法は、同時に進行する工程(a)、(b)および(c)を含んでいる。
工程(a)において、アルコールROHを含む溶液L<113>、好ましくはアルカリ金属アルコキシドXORとアルコールROHを含む溶液L<113>は、K<102>を通って送られる。Xは、アルカリ金属陽イオンであり、Rは炭素数1~4のアルキル基である。
Xは、好ましくはLi、K、Naからなる群から選択され、より好ましくはK、Naからなる群から選択される。最も好ましくは、X=Naである。
Rは、好ましくはn-プロピル、イソ-プロピル、エチルおよびメチルからなる群から選択され、より好ましくはエチルおよびメチルからなる群から選択される。Rは、最も好ましくはメチルである。
溶液L<113>は、水を含まないことが好ましい。本発明によれば、「水を含まない」とは、溶液L<113>中のアルコールROHの重量に対する、溶液L<113>中の水の重量(質量比)が、1:10以下、より好ましくは1:20以下、よりいっそう好ましくは1:100以下、さらに好ましくは0.5:100以下であることを意味する。
溶液L<113>がXORを含む場合、溶液L<113>全体に対する、溶液L<113>中のXORの質量割合は、特に、0重量%~30重量%を超え、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~15重量%、最も好ましくは13重量%~14重量%、非常に最も好ましくは13重量%である。
溶液L<113>がXORを含む場合、溶液L<113>中のアルコールROHに対するXORの質量比は、特に、1:100~1:5の範囲、より好ましくは1:25~3:20の範囲、よりいっそう好ましくは1:12~1:8の範囲、さらに好ましくは1:10である。
工程(b)において、陽イオンとしてXを含む塩Sの中性またはアルカリ性水溶液L<114>は、K<103>を通り、次いでVAM<112>を経由して、K<101>を通る。
塩Sは、好ましくはXのハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩または炭酸塩であり、より好ましくはハロゲン化物である。
ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物である。最も好ましいハロゲン化物は、塩化物である。
水溶液L<114>のpHは、7.0以上、好ましくは7~12の範囲、より好ましくは8~11の範囲、よりいっそう好ましくは10~11、最も好ましくは10.5である。
溶液L<113>中の塩Sの質量割合は、溶液L<113>全体に対し、好ましくは0重量%~20重量%を超える範囲、好ましくは1重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~20重量%、よりいっそう好ましくは10重量%~20重量%、最も好ましくは20重量%である。
驚くべきことだが、工程(b)において、中間室K<103>内の内部構造物<120>により、本発明による方法の中で中間室K<103>を通って流れる電解質L3<114>に乱流および渦流が生じることが分かっている。これにより、電解中のpH勾配形成が遅くなるかまたは完全に防止され、それにより酸感受性固体電解質F<111>が保護され、それ故に電解の実行時間を長くしたり、電解槽の寿命を延ばしたりすることができる。
次いで、工程(c)において、E<104>とE<105>との間に電圧が印加される。
これにより、充電源から陽極へ電流が移動し、イオンを介して陰極へ電荷が移動し、そして最終的に電流が充電源に戻ってくる。充電源は当業者には知られており、典型的には、交流を直流に変換し、かつ変圧器を介して特定の電圧を生成することができる整流器である。
これにより、次のような結果が生じる。
<115>中のXOR濃度がL<113>中のXOR濃度よりも高い状態で、溶液L<115>が出口AKK<109>で得られる。
<116>中のS濃度がL<114>中のS濃度よりも低い状態で、Sの水溶液L<116>が出口AKA<106>で得られる。
特に、本発明の第二態様による方法では、電流密度(=中間室K<103>内に存在する陽極液と接触する固体電解質の面積に対する、電解槽に供給される電流の比)が10~8000A/mの範囲、より好ましくは100~2000A/mの範囲、よりいっそう好ましくは300~800A/m、さらに好ましくは494A/mである電流が流れるように電圧を印加する。これは、当業者であれば標準的な方法で測定することができる。中間室K<103>内に存在する陽極液と接触する固体電解質の面積は、特に、0.00001~10m、好ましくは0.0001~2.5m、より好ましくは0.0002~0.15m、よりいっそう好ましくは2.83cmである。
本発明の第二態様による方法の工程(c)は、2つの室K<103>およびK<101>が少なくとも部分的にL<114>で満たされ、K<102>が少なくとも部分的にL<113>で満たされているときに実施されることは明らかであろう。
工程(c)においてE<104>およびE<105>間で電荷の移動が発生するという事実は、回路が保護される程度までL<113>またはL<114>が電極E<104>およびE<105>を覆うように、K<102>、K<103>、およびK<101>が同時にL<113>またはL<114>で満たされていることを意味する。
これは特に、L<114>の液体ストリームがK<103>、VAM<112>およびK<101>を絶え間なく通り、L<113>の液体ストリームがK<102>を通り、L<114>の液体ストリームが電極E<104>を覆い、L<113>の液体ストリームが電極E<105>を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆う場合に当てはまる。
電解質L<114>のストリームが中間室K<103>内の内部構造物と接触するため、この室内には典型的なpH勾配が形成されない。この効果は、内部構造物<120>が、中間室Kにおいて入口ZKM<108>と接続VAM<112>とが直接的に繋がるのを遮断する場合にさらに高まる。これは、これらの内部構造物<120>が、中間室K<103>を通る電解液L<114>の流路内にあり、絶え間ない流れを中断するためである。
この所望の効果は、本発明の第二態様による方法において、工程(b)の実施時に中間室K<103>を通る電解質L<114>の流量を変化させることにより増大されることが好ましく、これにより、pH勾配の形成を妨げるさらなる乱流を発生させることができる。
さらに好ましい実施形態では、本発明の第二態様による方法は、連続的に実施される。すなわち、工程(c)のとおり電圧を印加しながら、工程(a)および工程(b)が連続的に実施される。
工程(c)の実施後、L<115>中のXOR濃度がL<113>中のXOR濃度よりも高い状態で、溶液L<115>が出口AKK<109>で得られる。L<113>が既にXORを含んでいる場合、L<115>中のXOR濃度は、L<113>中のXOR濃度よりも、好ましくは1.01~2.2倍、より好ましくは1.04~1.8倍、よりいっそう好ましくは1.077~1.4倍、さらに好ましくは1.077~1.08倍、最も好ましくは1.077倍高く、L<115>およびL<113>中のXORの質量割合は、より好ましくは10重量%~20重量%、よりいっそう好ましくは13重量%~14重量%の範囲である。
<116>中のS濃度がL<114>中のS濃度よりも低い状態で、Sの水溶液L<116>が出口AKA<106>で得られる。
水溶液L<114>中の陽イオンXの濃度は、好ましくは3.5~5モル/Lの範囲であり、より好ましくは4モル/Lである。水溶液L<116>中の陽イオンXの濃度は、いずれの場合も、使用される水溶液L<114>の濃度より0.5モル/L低いことがより好ましい。
特に、本発明の第二態様による方法は、20℃~70℃、好ましくは35℃~65℃、より好ましくは35℃~60℃、よりいっそう好ましくは35℃~50℃の温度、かつ0.5バール~1.5バール、好ましくは0.9バール~1.1バール、より好ましくは1.0バールの圧力で実施される。
本発明による方法を実施する過程で、水素が典型的には陰極室K<102>内で生成され、これは出口AKK<109>を経由して、溶液L<115>とともに槽から除去され得る。次いで、本発明の特定の実施形態では、水素と溶液L<115>との混合物を、当業者に公知の方法により分離することができる。使用されるアルカリ金属化合物がハロゲン化物、特に塩化物である場合、塩素または他のハロゲンガスが陽極室K<101>で生成される可能性があり、これは出口AKK<106>を経由して、溶液L<116>とともに槽から除去され得る。さらに、酸素および/または二酸化炭素が生成される可能性もあり、これらも同様に除去され得る。次いで、本発明の特定の実施形態では、塩素、酸素および/またはCOと溶液L<116>との混合物を、当業者に公知の方法により分離することができる。次いで、塩素、酸素および/またはCOガスを溶液L<116>から分離した後、当業者に公知の方法によりこれらを分離することも同様に可能である。
これらの結果は、従来技術に照らして、驚くべきものであり、予期せぬものであった。本発明による方法は、従来技術のように、緩衝液として陰極部からのアルコキシド溶液を犠牲にする必要がなく、酸に不安定な固体電解質を腐食から守る。したがって、本発明による方法は、生成物溶液を中間室に使用して、全体の転化率が低減させる、国際公開第2008/076327号パンフレット記載の方法よりも効率的である。さらに、酸に不安定な固体電解質は、内部構造物<120>によってpH勾配の形成が防止されるため、安定化される。
比較例1
20重量%のNaClの水溶液を陽極室に供給し、10重量%のメタノール性SM溶液を陰極室に供給する陰極プロセスにより、ナトリウムメトキシド(SM)を生成した。この電解槽は、中間室に内部構造物が無い点、すなわち、図1に示すガラスビーズ<121>を備えたワイヤーバスケット<122>が無い点を除き、図1に示すものに対応する3つの室から構成されていた。中間室および陽極室間の接続は、電解槽の底部に取り付けられたホースにより設置した。陽極室と中間室は、2.83cmの陰イオン交換膜AMX(トクヤマ社、ポリマー上のアンモニウム基)によって仕切った。陰極室と中間室は、面積2.83cmのNaSICON型セラミックによって仕切った。このセラミックは、式Na3.4Zr2.0Si2.40.612の化学組成を有していた。
陽極液を、中間室を経由して陽極室へ移動させた。陽極液の流量は1L/時間、陰極液の流量は90mL/時間であり、0.14Aの電流を印加した。温度は35℃であった。電解を5Vの定電圧で500時間行った。長期間にわたり、中間室でpH勾配が発生することが観察された。これは、電解の過程でイオンが電極へ移動したことと、陽極でのさらなる反応において生成されたプロトンが拡散したこととに起因する。このpHの局所的上昇は、固体電解質を攻撃し、特に、稼働期間が非常に長い場合に固体電解質の腐食や破損を引き起こす可能性があるため、望ましくない。
比較例2
1つの陽極室と1つの陰極室のみを備え、陽極室がNaSICON型セラミックによって陰極室から仕切られた二室槽を使用して、比較例1を再現した。したがって、この電解槽は中間室を備えていなかった。これは、比較例1と比較してセラミックがさらに速く腐食する点に現れており、これは電圧曲線の急速な上昇をもたらす。開始電圧値が5V未満である場合、100時間以内に20V超まで上昇する。
実施例1
ガラスビーズ<121>を備えたワイヤー骨格で構成され、中間室内に配置されたバスケット<122>を使用して、比較例1を再現した。当該バスケットは、NASICON固体電解質に面する中間室の半分を占めていた。この配置により、中間室を通る電解液の均一な流れが妨げられ、電解液に乱流が生じる。これにより、電解中にpH勾配が形成されにくくなる。
実施例2
中間室K<103>内のNASICONセラミックまたは拡散バリアに固定した円錐形構造体<123-1>および<123-2>を使用して、比較例1を再現した。
この配置も中間室を通る電解液の均一な流れを妨げ、乱流を引き起こす。これにより、電解中にpH勾配が形成されにくくなる。
結果
本発明による方法において本発明による三室槽を使用すると、固体電解質の腐食が防止される。同時に、中間室のためにアルカリ金属アルコキシド生成物を犠牲にする必要がなく、電圧が一定に保たれる。2つの比較例1および比較例2の比較から明らかなこれらの利点は、本発明の驚くべき効果を強調している。
さらに、中間室において電解液に渦流および乱流が生じると、進行する電解によって蓄積されたpH勾配が緩和または破壊され、電解室の延命につながる。この勾配は、特に稼働期間が非常に長い場合に、電解をより困難にし、腐食を引き起こし、最終的には固体電解質の破壊を引き起こす可能性がある。本発明の実施例1および実施例2による実施では、このpH勾配が破壊され、それにより、二室槽よりも三室槽によってもたらされる上述の利点に加えて、固体電解質の安定性がさらに高まる。

Claims (16)

  1. 少なくとも1つの陽極室K<101>と、少なくとも1つの陰極室K<102>と、少なくとも1つの介装中間室K<103>と、を備える電解槽E<100>であり、
    前記K<101>は、陽極電極E<104>と、出口AKA<106>と、を備え、
    前記K<102>は、陰極電極E<105>と、入口ZKK<107>と、出口AKK<109>と、を備え、
    前記K<103>は、入口ZKM<108>を備え、拡散バリアD<110> によってK<101>から仕切られ、アルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>によってK<102>から仕切られ、
    前記K<103>とK<101>は、K<103>からK<101>へ液体を送ることができる接続VAM<112>によって互いに接続されており、
    前記中間室K<103>は、内部構造物<120>を備え、前記内部構造物<120>は、前記中間室K<103>を通る電解質L<114>に乱流および渦流をもたらすように構成されている、電解槽E<100>。
  2. 前記アルカリ金属陽イオン伝導性固体電解質F<111>は、
    式 M 1+2w+x-y+zII III ZrIV 2-w-x-y (SiO(PO3-z
    (式中、Mは、NaおよびLiから選択され、
    IIは、二価の金属陽イオンであり、
    IIIは、三価の金属陽イオンであり、
    は、5価の金属陽イオンであり、
    ローマ字の指数I、II、III、IV、Vは、各金属陽イオンが存在する酸化数を示し、
    w、x、y、zは実数で、0≦x<2、0≦y<2、0≦w<2、0≦z<3であり、
    w、x、y、zは、1+2w+x-y+z≧0かつ2-w-x-y≧0となるように選択される。)
    の構造を有する、請求項1記載の電解槽E<100>。
  3. 前記内部構造物<120>は、トレイ、構造化パッキン、非構造化パッキンからなる群から選択される、請求項1または請求項2記載の電解槽E<100>。
  4. 前記内部構造物<120>は、ゴム、プラスチック、ガラス、磁器、金属から選択される材料を少なくとも1つ含む、請求項1~請求項3のいずれか一項記載の電解槽E<100>。
  5. 前記接続VAM<112>は、前記電解槽E<100>内に形成されている、請求項1~請求項4のいずれか一項記載の電解槽E<100>。
  6. 前記内部構造物<120>は、前記中間室K内の容積の1%~99%の割合ζを占めており、
    ζ=[(V-V)/V]*100
    (式中、Vは、前記中間室K<103>が前記内部構造<120>を備えない場合に、前記中間室K<103>に収容可能な最大液体容積であり、
    は、前記中間室K<103>が前記内部構造物<120>を備える場合に、前記中間室K<103>に収容可能な最大液体容積である。)
    である、請求項1~請求項5のいずれか一項記載の電解槽E<100>。
  7. 前記内部構造物<120>は、明細書記載のスレッド試験に従って、前記入口ZKM<108>と前記接続VAM<112>間の前記中間室K内における直接経路を遮断する、
    請求項1~請求項6のいずれか一項記載の電解槽E<100>。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか一項記載の電解槽E<100>内で、アルカリ金属アルコキシドXORのアルコールROH溶液L<115>を生成する方法であり、
    同時進行する以下:
    (a)前記アルコールROHを含む溶液L<113>を前記K<102>に通す工程、
    (b)陽イオンとしてXを含む塩Sの中性またはアルカリ性水溶液L<114>を前記K<103>に通し、次いで前記VAM<112>を経由して、前記K<101>に通す工程、
    (c)前記E<104>と前記E<105>間に電圧を印加する工程
    を含み、
    これにより、前記出口AKK<109>に、前記L<113>よりも前記XORの濃度が高い前記溶液L<115>を供給し、
    前記出口AKA<106>に、前記L<114>よりも前記Sの濃度が低い、前記Sの水溶液L<116>を供給し、
    前記Xは、アルカリ金属陽イオンであり、前記Rは、炭素数1~4のアルキル基である、方法。
  9. 前記Xは、Li、Na、Kからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
  10. 前記Sは、前記Xのハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩または炭酸塩である、請求項8または請求項9記載の方法。
  11. 前記Rは、メチルおよびエチルからなる群から選択される、請求項8~請求項10のいずれか一項記載の方法。
  12. 前記L<113>は、前記アルコールROHおよび前記アルカリ金属アルコキシドXORを含む、請求項8~請求項11のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記L<113>中の前記アルコールROHに対する前記XORの質量比は、1:100~1:5の範囲内である、請求項12記載の方法。
  14. 前記L<115>中の前記XOR濃度は、前記L<113>中の前記XOR濃度より1.01~2.2倍高い、請求項12または請求項13記載の方法。
  15. 20~70℃の温度および0.5~1.5バールの圧力で行われる、請求項8~請求項14のいずれか一項記載の方法。
  16. 前記中間室K<103>を通る前記電解質L<114>の流量は、前記工程(b)実施時に変動する、請求項8~請求項15のいずれか一項記載の方法。
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