JP4955015B2 - Naイオン伝導セラミックス膜を使用した次亜塩素酸ナトリウム製造の電解プロセス - Google Patents
Naイオン伝導セラミックス膜を使用した次亜塩素酸ナトリウム製造の電解プロセス Download PDFInfo
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Description
【0001】
本願は、2005年12月20日付で出願された米国仮特許出願60/753191号の優先権に基づく出願であり、参照により本願発明に引用される。
【0002】
本発明は米国エネルギー省による研究費No.DE−FG02−05ER84221の政府援助に基づいてなされた。従って、米国政府が本発明の一部の権利を有している。
【0003】
本発明は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の製造のための電気化学的プロセスに関し、詳しくは、本発明は、Naイオン伝導セラミックス膜を使用した次亜塩素酸ナトリウム製造のための電気化学的プロセスに関する。
【0004】
次亜塩素酸ナトリウムは、NaOClの化学式で示される化合物である。次亜塩素酸ナトリウムは、消毒剤および/または漂白剤の使用を含む種々の幅広い応用分野で使用されている。その1つの分野として、次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用漂白剤としての使用において3〜6重量%溶液で市販されている。より濃い溶液としては、水処理工場における水の塩素消毒処理剤や医療分野における消毒剤として市販されており、更に濃い溶液としてスイミングプールにおける塩素消毒処理剤として製造されている。次亜塩素酸ナトリウムは飲み水の殺菌処理に使用され、その使用濃度は水4000リットルに対し家庭用漂白剤約1リットルの濃度である。そして、水の化学的性状、温度、処理時間、沈殿物の有無などによって、正確な量が必要とされる。
【0005】
ある方法では、次亜塩素酸ナトリウムは、冷水酸化ナトリウム溶液に塩素ガスを吸収させることによって、2NaOH+Cl2・NaCl+NaOCl+H2Oの反応式で製造される。上記の製造法において供給される水酸化ナトリウム及び塩素化剤は、塩素アルカリプロセスによって商業的に製造されている。この反応において使用する場合、一般的に、薬剤を分離する必要がなく、次亜塩素酸ナトリウムは、アノードとカソード間に分離手段や隔膜などを設けることなく、塩化ナトリウム溶液を電解することによって工業的に製造されている。この方法では、塩素酸ナトリウムの生成を防ぐために、一般に反応溶液を40℃未満に維持する。そのため、市販の次亜塩素酸ナトリウム溶液は、通常主副生物である塩化ナトリウムをかなりの量含んでいる。
【0006】
次亜塩素酸ナトリウムの製造のための上述の現在の方法では、実用上いくつかの制約を受ける。まず、次亜塩素酸ナトリウムの製造に使用される現在の2極または非分割セル技術では、次亜塩素酸セルに供給する塩溶液中にしばしば含まれるカルシウムやマグネシウムイオンを効果的に処置できない。その結果、いくつかの理論に規定されるわけではないが、これらのイオンはセルに悪影響を及ぼすと言われており、ある場合には、水酸化物の沈殿が形成されたり、セルそれ自身にふくまれる装置内に付着物が生じることがある。それゆえ、適時にしばしばセルを洗浄して付着物や沈殿を除去する必要がある。それにより、次亜塩素酸ナトリウム製造の稼動を制限する装置の整備休止時間が必要となり、資源費用および整備休止時間による更なるコストが必要となる。一般的な洗浄工程では塩酸を使用するため、更なる化学的廃棄物が生じ、更なるコストが生じる。もし、セルをタイミング良く洗浄しなければ、固体の付着物が電極間に浸透し、電極間の短絡を引起してセルの安全性に支障を来す。
【0007】
上記に付け加えて、2極または非分割セルを使用したプロセスでは水素ガスが塩素ガス及び他のガスと一緒に発生する。水素ガスがエネルギー源として非常に価値のあるものであるが、このような現在の次亜塩素酸セルを使用して排出されるガス混合物から水素ガスを回収するのは現実的ではなく、単純に放出廃棄している。
【0008】
現在使用されているプロセスの代替法として、有機膜(例えばNafion)を使用した電解膜プロセスがある。そのような有機膜を使用するプロセスでは、供給液自体に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが膜中に沈殿し、膜効率および性能を低下させるため、しばしば、膜の寿命が短いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、海水などの種々の塩化ナトリウム供給溶液から次亜塩素酸ナトリウムを製造でき、現行プロセスよりもより効率的で、廃棄物の発生がより少ない新規な電気化学的プロセスの提供が、当分野で望まれている。また、通常の供給流に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンから生じる付着物に対する耐性を有する、当分野において更に有利な次亜塩素酸ナトリウムの製造法の提供が望まれている。更に、発生する水素ガスを生成物として実際に回収可能な、当分野において更に有利な次亜塩素酸ナトリウムの製造法の提供が望まれている。
【0010】
上記製造方法およびその製造方法を遂行する装置を以下に開示する。
【0011】
本発明は、Naイオン伝導セラミックス膜を使用する次亜塩素酸ナトリウムの電気化学的製造方法のためのプロセス及び装置を提供するものである。Naイオン伝導セラミックス膜の好ましい種類の1つとしては、Naイオン超伝導(NaSICONと略すこともある)膜技術を含む。本発明の製造方法および装置は、塩化ナトリウム含有水溶液の連続供給により次亜塩素酸ナトリウムの連続発生を可能とするものである。供給される塩化ナトリウム含有水溶液としては、純粋なものであっても、又は海水や塩水などの純粋でないものであってもよい。
【0012】
本発明の要旨の範囲である電気化学的プロセスにおいて、供給される塩化ナトリウムは電解セルの陽極液室に導入される。Naイオン伝導セラミックス膜は陽極液室と陰極液室とを分離する。水または低濃度水酸化ナトリウムは陰極液室に供給される。本発明の要旨の範囲である電気化学的プロセスにおいて、アノードは、この分野で「寸法安定性アノード(DSAと略すこともある)」と称される高性能金属フィルムで被覆したチタンであり、カソードはニッケル/ステンレススチール合金である。
【0013】
電位差を印加することにより、電気化学的転化は、両電極において同時反応として生じる。すなわち、アノードにおける陽極液内の塩素イオンの酸化により塩素ガスが形成され、カソードにおける水の還元によりヒドロキシルイオンが生じる。これらの電極反応により、ナトリウムイオンはNaイオン伝導セラミックス膜を介して陽極液室から陰極液室に移送される。陰極液室内で形成された水酸化ナトリウムの1部は陽極液室に移送される。電解セル内では以下に示す種々の反応が起って次亜塩素酸ナトリウムが製造される。
【0014】
陽極液室のアノードにおいて:2Cl−→Cl2+2e−
【0015】
Cl2+H2O→HOCl+HCl
【0016】
HOCl+HCl+2NaOH→2NaOCl+NaCl+2H2O
【0017】
陰極液室のカソードにおいて:2H2O+2e−→2OH−+H2
【0018】
2Na++2OH−→2NaOH
【0019】
反応全体として:2NaCl+H2O→NaOCl+NaCl+H2
【0020】
本発明の他の技術効果および要旨は、以下の図面による記載および発明の詳細な説明により更に明らかになるであろう。更に、上記および他の要旨および技術効果は、以下の図面、記載および請求の範囲、さらに以下に示す発明の実施により習得できるであろう。
【発明の効果】
【0021】
本発明の次亜塩素酸ナトリウムの製造方法および装置は、海水などの種々の塩化ナトリウム供給溶液から次亜塩素酸ナトリウムを製造でき、現行プロセスよりもより効率的で、廃棄物の発生がより少ない。また、通常の供給流に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンから生じる付着物に対する耐性を有する。更に、発生する水素ガスを生成物として実際に回収可能である。
【0022】
上記および他の要旨および技術効果をより容易に理解するために、上述の簡単な説明よりもより具体的な説明を、添付の図面に記載された具体的な実施態様を参照して以下に記述する。なお、これらの図面は、本発明の具体的な実施態様の例示として記載されたに過ぎず、本発明の要旨をこれらに限定するものではない。本発明は添付の図面を使用しながら、更に具体的で詳細な記載および説明がなされる。
【0023】
本発明の好ましい実施態様は、同種の構成要素を同一の符号を付すことによって示された図面を参照することによって、理解を深めることが出来る。以下に記載され図に示される本発明の構成要素は、種々の異なる形状に配置および設計変更が可能であると理解されるべきである。従って、図1〜13に代表されるようなNaイオン伝導性セラミックス膜を使用した次亜塩素酸ナトリウムの製造のための電解プロセスの実施態様の以下のより詳細な記載は、本発明の要旨を限定するために記載されているものではなく、本発明の好ましい実施態様の単なる代表例である。
【0024】
ここで、膜を参照しながら本願において使用される「実質的に水に対して不透過」の語は、少量の水が膜を介して透過してもよいことを意味し、透過する量が本発明の実用性を減少させるような程度の量であってはならない。膜を参照しながら使用される「基本的に水に対して不透過」の語は、膜を介して水が透過しないか、通常の測定方法では検出できないほどの量の水が透過する場合を意味する。「実質的に」及び「基本的に」という語は本明細書の他の部分においても同様の意味の強調語として使用される。
【0025】
本発明の方法および装置に効果的に使用される電極は電気伝導性で、一般的に媒体中、それが露出されている状態で実質的に安定である。当業者には公知である種々の好適な電極材料および電極材料の組合せが、本発明の要旨の範囲内において使用できる。ある実施態様において、アノード材料は以下に示す材料:寸法安定性アノード(DSN、通常、酸化ルテニウム被覆チタンまたはRuO2/Ti)、ニッケル、コバルト、タングステン酸ニッケル、チタン酸ニッケル、白金および他の貴金属、白金メッキチタン等の支持材に貴金属メッキされたもの、チタンが主となる金属酸化物、ステンレススチール、鉛、二酸化鉛、グラファイト、タングステンカーバイド及び二酸化チタンの少なくとも1つから成る。ある実施態様において、カソード材料は以下に示す材料:ニッケル、コバルト、白金、銀、ニッケルを少量(例えば3重量%)含有するチタニウムカーバイド、FeAl3、NiAl3、ステンレススチール、ペロブスカイトセラミックス及びグラファイトの少なくとも1つから成る。ある実施態様において、電極は、電極の電気的効率とコストとのバランスにより、コスト的に最も効果的な組合せで選択される。
【0026】
電極材料は、当業者に理解できる様な本発明の要旨の範囲内の適当な形状であってもよい。ある実施態様において、電極材料の形状は、緻密または多孔性固体形状、基板上に配置された緻密または多孔性層形状、穿孔した形状、メッシュなどの引き伸ばされた形状またはそれらの組合せの少なくとも1種である。
【0027】
本発明のある実施態様において、電極材料と、使用状況下で電気伝導度の低い非電極材料との複合材を電極材料として使用してもよい。当業者には理解できるであろう種々の絶縁性非電極材料が知られている。ある実施態様において、非電極材料が、セラミックス材料、ポリマー、及び/又はプラスチックスの少なくとも1つを有する。これらの非電極材料もまた、媒体中、それが露出されている状態で実質的に安定であるように選択される。
【0028】
本発明の方法および装置において使用されるセラミックス膜は、Naイオン伝導性であり、セラミックス膜の緻密層により、陰極液から陽極液を物理的に分離する。ある実施態様において、セラミックス膜を含むセルから印加した電圧および電流を取除いた際にボルタ電池反応を最小とするために低い又は無視し得る電気伝導度を有するセラミックス膜を使用することが有利である。本発明のある実施態様において、少なくとも陰極液および陽極液の両方の溶媒成分を実質的に透過させないセラミックス膜を使用することが有利である。
【0029】
ある実施態様において、Naイオン伝導性セラミックス膜が、少なくとも1つの以下に示す特徴や使用性能を示す:約100℃未満の温度にてNaイオン伝導性を示す;低電気伝導度;Naイオン伝導度が約90%を超える(高移送);他のアルカリ又は非アルカリカチオンと比較して、高Naカチオン(Na+)選択性;Naイオン含有塩および弱または強有機酸または無機酸薬品溶液における安定性;理論的密度の約95%よりも大きい密度を有する;実質的に水輸送に対して不透過;酸、アルカリ、苛性、腐食性および薬品に対する耐薬品性。
【0030】
本発明におけるセラミックス膜のある実施態様として、セラミックス膜は、添加している2価カチオン、3価カチオン、4価カチオン又は溶液に存在する溶解した固形物の付着物、汚れの付着および沈殿による実質的な影響を受けない。
【0031】
種々のNaイオン伝導性セラミックス材が当分野で知られており、本発明におけるセラミックス膜を構築するのに適当であることは当業者に理解できるであろう。本発明の実施態様において、Naイオン伝導性セラミックス材は、電気的絶縁材で且つイオン伝導材であるような固体電解質材料であってもよい。多くの実施態様において、Naイオン伝導性セラミックス材は、媒体中、それが露出されている状態で実質的に安定である。他の好ましい材料は当業者に公知であり、本発明で好ましく使用できる。本発明におけるNaイオン伝導性セラミックス材料のある実施態様において、Naイオン伝導性セラミックス材は、常温〜85℃において、Naイオン伝導度が約1×10−4〜1×10−1S/cmであり、Naイオン移送効率は約90%を超える。
【0032】
ある実施態様において、セラミックス膜は異なるNaイオン伝導性セラミックス膜の組合さった2以上の層から成っていてもよい。そのような複合セラミックス膜層としては、Naイオン超伝導型材と、これに限定されないがβ−アルミナ等の他のセラミックスとの組合せがあげられる。そのような層において、それぞれを結合させる方法としては、これに限定されないが、共焼成、さらに引き続いて焼結する方法が挙げられる。他の適当な結合方法も当業者に公知であり、本発明に含まれる。
【0033】
ある実施態様において、本発明におけるNaイオン伝導性セラミックス材料は、Naイオン超伝導型材である。ある実施態様では、Naイオン超伝導型材は、式Na1+xMI 2SixP3−xO12且つ0≦x≦3で示され、MIがZr、Ge、Ti、Sn、Hf及びそれらの混合物から選択される材料;Na1+zLzZr2−zP3O12且つ0≦x≦2.0で示され、LがCr,Yb,Er、Dy、Sc、Fe、In、Y及びそれらの混合物から選択される材料;または、式Na5RESi4O12且つREがY又は希土類元素材料で示される材料である。
【0034】
ある実施態様において、Naイオン超伝導型材は、以下の少なくとも1種を含む:式Na5RESi4O12で示される材料;又は非化学量論的Na不足材料であって、式(Na5RESi4O12)1−δ(RE2O3・2SiO2)δ且つREがNd、Dy、Sm又はそれらの組合せで且つδが化学量論からの偏差の値で示される材料。これらの材料は米国特許第5580430号明細書に記載されており、参照により本発明に包含する。また、ある実施態様において、Naイオン超伝導材が、Zr不足材料(又はNa過剰材料)であって、Na1+xZr2−x/3Si2P3−zO12−2x/3且つ1.55≦x≦3で示される少なくとも1種を有する。
【0035】
ある実施態様において、Naイオン超伝導材が、非化学量論的Na不足材料であって、式Na1+x(AyZr2−y)(SizP3−z)O12−δ且つAがYb、Er、Dy、Sc、In、Y及びそれらの混合物から選択され、1.8≦x≦2.6で、0≦y≦0.2で、x<zで、δは電気的中性を維持するように選択される材料を少なくとも1つ含む。その具体的態様としては、Naイオン超伝導材が、式Na3.1Zr2Si2.3P0.7O12−δで示されるNa不足材料を含む。
【0036】
他のNaイオン超伝導材の例としては、H.Y−P.Hong著「Crystal structures and crystal chemistry in the system Na1+xZr2SixP3−xO12」、Materials Research Bulletin,Vol.11,pp.173−182,1976;J.B.Goodenough et al.、著「Fast Na+−ion transport skelton structures」,Materials Research Bulletin,Vol.11,pp.203−220,1976;J.J.Bentzen et al.著「The preoaration and characterization of dense, highly conductive Na5GdSi4O12 nasicon(NGS)」、Materials Research Bulletin,Vol.15,pp.1737−1745,1980;C.Delmas et al.著「Cryastal chemistry of the Na1+xZr2−xLx(PO4)3(L=Cr,In,Yb) solid solutions」、Materials Research Bulletin,Vol.16,pp.285−290,1981;V.von Alpen et al.著「Compositional dependence of the electrochemical structural parameters in the NASICON system(Na1+xSixZr2P3−xO12」、Solis State Ionics,Vol.3/4,pp.215−218,1981;S.Fujitsu et al.著「Conduction paths in sintered ionic conductive material Na1+xYxZr2−x(PO4)3」、Materials Research Bulletin,Vol.16,pp.1299−1309,1981;Y.Saito et al.著「Ionic conductivity of NASICON−type conductors Na1.5M0.5Zr1.5(PO4)3(M=Al3+,Ga3+,Cr3+,Sc3+,Fe3+,In3+,Yb3+,Y3+)」、Solis State Ionics,Vol.58,pp.327−331,1992;J.Alamo著「chemistry and properties of solids with the [NZP] skeleton」、Solis State Ionics,Vol.63−65,pp.547−561,1993;K.Shimazu著「Electrical conductivity and Ti4+ ion substitution range in NASICON systemm」、Solis State Ionics,Vol.79,pp.106−110,1995;Y.Miyajima著「Ionic conductivity of NASICON−type Na1+xMxZr2−xP3O12(M=Yb,Er,Dy)」、Solis State Ionics,Vol.84,pp.61−64,1996等に記載されている。これらの文献は参照により本発明に包含する。
【0037】
セラミック膜は、本発明の製造方法および装置において使用されるための当業者に理解されるであろう種々の好適な形状で使用され、また製造される。ある実施態様では、セラミックス膜の形状が、一体化した平板幾何学形状、平板幾何学形状体に支持された構造、チューブ幾何学形状、チューブ幾何学形状体に支持された構造、一体化したハニカム幾何学形状、ハニカム幾何学形状体に支持された構造の少なくとも1つである。支持構造体は、多孔性支持体上に支持されたNaイオン伝導性セラミックス材料の緻密層から成っていてもよい。多孔性支持体のための種々の形状がこの分野では知られており、セラミック膜のための多孔性支持体を提供する好適な形状は、例えば、連続した開放性の孔を有しており完全に密な状態より低い密度の焼結されたセラミック層、孔のある形状の層、穿孔された形状の層、メッシュを含む引き伸ばされた形状の層、これらの組合せなどが挙げられる。ある実施態様では、多孔性支持体の多孔性は、実質的に連続な開放性の孔構造であり、セラミック膜の両サイドの液体溶液が、Naイオン伝導性セラミックス材料の緻密層の広い面積において密接に接することが出来るような構造であり、例えば、連続的な開放性孔が約30〜90体積%の割合で存在する。ある実施態様において、支持されるべき構造体のための多孔性支持体は、Naイオン伝導性セラミックス材料の緻密層の片側に存在させてもよい。また、ある実施態様において、支持されるべき構造体のための多孔性支持体は、Naイオン伝導性セラミックス材料の緻密層の両側に存在させてもよい。
【0038】
種々の多孔性支持材が知られており、支持構造を有するセラミックス膜の多孔性支持材料として好適に供給される。支持材としては、電極材料、Naイオン超伝導材、βI−アルミナ、βII−アルミナ、他のカチオン伝導性材料、プラスチック及びセラミックス材料などの非伝導性材料、金属および金属アロイ等が挙げられる。モノリシック(一体化)構造を有するNaイオン伝導性セラミックス材料の緻密層の厚さは、約0.3〜5mm、であり、ある態様においては約0.1〜1.5mmである。支持構造体中のNaイオン伝導材の緻密層の厚さは、通常、約25μm〜約2mmであり、ある態様においては約0.5〜1.5mmである。約25μm〜約0.5mmの薄い厚さの層も製造可能であることは、当業者に理解できるであろう。ある実施態様では、セラミックス膜が構造的に多孔性であるカソード及びアノードによって支持される。すなわち、膜の形状および/またはカソード及び/又はアノードの形状の両方の性質を有するものである。ある実施態様において、多孔性支持材は膜と同じ膨張率を有し、膜に良好にせっちゃくされ、良好な機械的強度を有する。支持構造体としてのセラミックス膜の構築に使用される層の数や形状は、本発明の要旨の範囲内で種々変更できることは当業者に理解できるであろう。
【0039】
本発明におけるセラミックス膜の実施態様において、セラミックス膜がNaイオン伝導性セラミックス材と非伝導材との複合体であってもよく、非伝導体としては、使用状況下でイオンや電気伝導性の低い材料である。絶縁性の非導電材料は種々知られており、当業者に公知である。ある実施態様では、非導電材料が、この種の分野において好適であるセラミックス材、ポリマー及び/又はプラスチックの少なくとも1種である。
【0040】
本発明におけるセラミックス膜として、セラミックス−ポリマー積層複合膜も特に好適に使用でき、その例として、特に限定されないが、米国特許第5290405明細書に記載の膜が挙げられ、そのすべてを参照により本発明に包含する。セラミックス−ポリマー積層複合膜は、通常、イオン選択性ポリマーをNaイオン伝導性セラミックス材料の上に積層してなる、ある実施態様において、セラミックス−ポリマー積層複合膜のNaイオン伝導性セラミックス材料は、Naイオン超伝導型材料またはβアルミナの少なくとも1つを含む。イオン選択性ポリマー材料は、Naイオンに対する選択性が低いという欠点を有するが、耐薬品性に優れているという利点も有する。それゆえ、化学的に安定なイオン選択性ポリマー層とNaイオン伝導性セラミックス材料から成るセラミックス−ポリマー積層複合膜は、本発明において好適に使用される。ある実施態様において、セラミックス−ポリマー積層複合膜に使用されるイオン選択性ポリマーは、過フッ化スルホン酸ポリマーのポリ電解質、カルボン酸ポリマー電解質、Nafion(登録商標)材(DuPont Fluoroproducts社製、Fayetteville、ノースカロライナ州)、ポリ塩化ビニル(PVC)、マトリックス系ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0041】
ある実施態様において、セラミックス−ポリマー積層複合膜は、当業者には理解されるであろう以下の特徴や使用性能:高耐薬品性、高イオン伝導性、セラミックス膜への良好な接着性および/または不純物に対する防汚染などの少なくとも1つを有する。
【0042】
本発明の製造方法または装置において、カソードとアノードの何れもがセラミックス膜に直接接触している必要はない。陰極液および陽極液の両方がイオン伝導性であり、電気的な観点から、電極はNaイオン伝導性セラミックス膜から離れていてもよい。そのような場合、電極ではない多孔性支持体上に薄フィルム状で緻密な膜が配置される。
【0043】
Naイオン伝導性セラミックス膜の製造方法として種々のセラミックス粉末の加工方法が知られていることは当業者には理解でき、その方法としては、高温固体反応方法、共沈殿方法、熱水方法、ゾル−ゲル方法などが挙げられる。ある実施態様において、Naイオン伝導性セラミックス材料の合成として、高温固体反応方法が有利である。特に、Naイオン超伝導型材料としては、個々の構成要素の単酸化物および/または炭酸塩などの原料前駆体の混合物を、所望の比率にてポリエチレン容器中のメタノール中に混合し、約60℃にて乾燥させて溶媒を蒸発除去し、乾燥した前駆体の混合物を約800〜1200℃の温度範囲(組成物による)で焼結させ、更に、安定化ジルコニア又はアルミナ若しくは他の当業者には公知の媒体と一緒に粉砕し、必要な粒径分布を達成する。必要な粒径分布を達成したら、振動ミル、摩擦ミル、ジェットミル、ボールミル又は他の公知の粉砕方法によって、必要に応じて安定化ジルコニア、アルミナまたは他の当業者に公知の媒体を使用して、焼成粉末を粉砕する。
【0044】
上述の素材形成に必要とされる様なセラミックス粉末と共に加工される種々のポリマーが知られていることは当業者には理解でき、例えば、これに限定されるわけではないが、ポリアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキレンカーボネート)、ポリエチレングリコール、DURAMAX(登録商標)バインダー(Rohm and Hass Company社製、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)、POLYOX(登録書票)Resin(Dow Chemical Company社製、ミッドランド、ミシガン州)等が挙げられる。
【0045】
上述の素材形成に必要とされるで挙げられたセラミックス膜の加工方法として、種々の公知のセラミックス形成加工方法が知られていることは当業者には理解でき、例えば、これに限定されるわけではないが、テープキャスト法、カレンダー法、エンボス加工、パンチング、レーザーカッティング、溶媒接着法、積層法、熱積層法、押出法、共押出法、延伸製膜法、スリップキャスト法、ゲルキャスト法、ダイカスト法、加圧成形法、平衡加圧成形法、熱平衡加圧成形法、1軸加圧成形法、ゾル−ゲル法などが挙げられる。形成されたセラミックス膜素材は、セラミックス膜中の個々の成分のロスを最小とするように大気中または制御環境下における当業者には公知の常法の熱加工法を使用して、焼結してセラミックス膜を形成する。
【0046】
ある実施態様において、ダイ加圧成形法および必要に応じてそれに引き続いて平衡加圧成形法によってセラミックス膜の素材形成を行うことが有利な場合がある。また、他の実施態様において、テープキャスト法、パンチング、レーザーカッティング、溶媒接着法、熱積層法または当御者に公知の他の方法を組合せて使用することにより、多通路装置としてのセラミックス膜の素材形成を行うことが有利な場合がある。特に、Naイオン超伝導型材料として、セラミックス膜の素材形成において、ダイで加圧成形して素材形成した後に平衡加圧成形し、更に大気中で約925〜1300℃の温度で約8時間焼結することによって、アルカリカチオン伝導性セラミック材料の緻密層を有する焼結セラミックス膜構造を形成できる。通常のX線回折分析法により、焼結セラミックス膜中のアルカリカチオン伝導性セラミック材料の結晶構造や相純度を同定することが出来る。
【0047】
ある実施態様において、本発明の製造方法および装置に使用されるセラミック膜が蒸着法によって多孔性支持体上に形成されてもよく、その蒸着法としては、物理的蒸着法、化学的蒸着法、スパッタリング法、熱スプレー法、プラズマスプレー法などが挙げられる。 蒸着法による多孔質支持体上に形成されるセラミックス膜の厚さは、通常、約1〜100μmであるが、当業者に公知のように種々変更できる。
【0048】
過塩素酸ナトリウム製造の電気化学プロセスに使用される電解セルの1実施態様を図1に示す。電解セル10は、電解セル10を陽極液室14と陰極液室16の2つの室に分離するNaイオン伝導性セラミックス膜12を使用している。電気化学的活性なアノード18は陽極液室14中に配置されて酸化反応が行われ、電気化学的活性なカソード20は陰極液室16中に配置されて還元反応が行われる。Naイオン伝導性セラミックス膜12は、電位差24の影響により、各室からそれぞれ他の室への水の移送を防止しながら、陽極液室14から陰極液室16にNaイオン22を選択的に透過させる。
【0049】
電解セル10は、塩化ナトリウム水溶液26を陽極液室14に供給することにより作動する。塩化ナトリウム水溶液26は如何なる供給源から供給されてもよく、天然に生じる海水や塩水から供給されてもよい。また、塩化ナトリウム水溶液26は水に塩化ナトリウムを溶解させて調製したものであってもよい。水は純粋な脱イオン水である必要も無く、水道水や他の供給源から供給される非純粋な水も使用できる。水溶液中の塩化ナトリウムの濃度は、水における飽和濃度未満である。水溶液中の塩化ナトリウムの濃度は、約0.1〜26重量%、好ましくは約3〜26重量%である。
【0050】
水28は陰極液室16に供給される。少なくとも最初に、水28がNaイオンを含有しており、不飽和水酸化ナトリウム溶液を形成していることが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液濃度は約0.1〜50重量%である。ある実施態様では、水28は水酸化ナトリウムの希釈溶液を含む。セルの動作中、Naイオンの供給は、陽極液室14から陰極液室16にNaイオン伝導性セラミックス膜12を透過して輸送されたNaイオン22によって供給される。
【0051】
アノード18は、上述の様な種々の材料から形成できる。ある実施態様では、アノード18はチタン被覆高性能金属酸化物から成る。カソード20も、上述の様な種々の材料から形成できる。ある実施態様では、カソード29はニッケル/ステンレススチールから成る。電位差24の影響下において、電気化学的反応がアノード18とカソード20とで生じる。塩素イオンの塩素ガスへの酸化反応はアノード18で生じ、水の水素ガス30及びヒドロキシルイオンへの還元反応はカソード20で生じる。
【0052】
電極において反応が生じるので、Naイオン22は、陽極液室14から陰極液室16にNaイオン伝導性セラミックス膜12を透過して輸送される。もしプロトン、カルシウム、マグネシウムなどの非Naイオンが陽極液室14に存在する場合、それらは固体電解質12(Naイオン伝導性セラミックス膜12)によって、Naイオンと比較してイオン径の違いや電気的中性の制約により陰極液室16への透過が防止される。このような理由から、ある実施態様において電流効率は約95〜100%と予測される。輸送されたNaイオン22は、カソード20における水の還元から生じたヒドロキシルイオンと組み合わさり水酸化ナトリウム溶液が形成される。水酸化ナトリウム溶液32の1部はセルの陽極液室14に輸送されて陽極液室のpHを制御し、次亜塩素酸ナトリウム溶液が製造される。次亜塩素酸ナトリウム溶液34は陽極液室14から回収除去される。ある実施態様では、次亜塩素酸ナトリウムから成る溶液が、現場で使用している際に陽極液室14から回収除去される。ここで、現場で使用するとは、電解セルの近傍に配置された個人的、商業的または工業的プロセスで製造された次亜塩素酸ナトリウムを使用することであり、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵や輸送のための施設を必要としない。
【0053】
電気化学的セル10における化学反応を以下にまとめる。
【0054】
陽極液室のアノードにおいて:2Cl−→Cl2+2e−
【0055】
Cl2+H2O→HOCl+HCl
【0056】
HOCl+HCl+2NaOH→2NaOCl+NaCl+2H2O
【0057】
陰極液室のカソードにおいて:2H2O+2e−→2OH−+H2
【0058】
2Na++2OH−→2NaOH
【0059】
反応全体として:2NaCl+H2O→NaOCl+NaCl+H2
【0060】
陽極液のpHの制御は、供給する陽極液がカルシウム、マグネシウム又はその他の沈殿可能なカチオンを含有する純粋でない溶液の場合重要となる。そのような塩化ナトリウム溶液としては、特に制限されないが、海水、塩水、工業的な製造プロセス流、塩化ナトリウムを含有する塩溶液が挙げられる。陽極液室14中の溶液のpHは14未満、好ましくは7〜12の範囲とする。pH約8より大きい場合にカルシウムとマグネシウムが沈殿するので、不純物を含有する塩化ナトリウム溶液を使用して作動する場合はpHを8未満に維持することが好ましい。純粋な塩化ナトリウム溶液を使用する場合は、陽極液室をより高いpHにしてもよい。pHを制御することによりアノードにおけるカルシウム及びマグネシウムの水酸化物の形成沈殿反応を防止でき、クリアーな次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造できる。
【0061】
Naイオン伝導性セラミックス膜12は、電解中にカルシウム又はマグネシウムイオンを陰極液室16に拡散することを阻止できることが好ましい。これに対し、Nafion(登録商標)膜などの有機膜は、陰極液室16へのカルシウムイオンやマグネシウムイオンの拡散を防止することが出来ず、沈殿が避けられず、陽極液室16だけでなく膜中にも沈殿が生じて徐々に膜の効率が低下する。このような欠点により、有機膜の使用は、塩化ナトリウムのみを含有する塩溶液を供給して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる場合に限られる。
【0062】
電解セル10に必要な一定電流における電圧は、陽極液(塩化ナトリウム溶液)の濃度、陰極液(水酸化ナトリウム溶液)の濃度、膜厚、膜の伝導度、所望の次亜塩素酸ナトリウムの製造速度のための電解セルの電力消費に影響する局所的な物質移動条件などの要因による。
【0063】
セルは連続式運転でもバッチ式運転でも動作可能である。本発明の製造方法および装置の1実施態様において、電解セル10は連続式で作動してもよい。連続式の場合、セルは、まず最初に陽極液と陰極液を充填させ、作動中に更なる追加溶液をセルに供給し、セルを休止させることなく生成物、副生物および/または希釈された溶液をセルから除去する。片方または両方の室中が空の状態にならないように、溶液の必要に応じて及び/又はセル中の溶液濃度を所望の濃度に維持するために、供給される溶液の流れを開始または停止させ、断続的に反応溶液を供給してもよい。同様に、陽極液室14及び陰極液室16からの溶液の除去は、連続的であっても断続的であってもよい。セルに追加および/またはセルから除去する溶液の制御は適切な手段によりなされる。そのような手段としては、1人以上のオペレーターによる手動制御と、センサー、電気バルブ、実験室ロボット等をコンピュータ制御またはアナログ式制御下で行う自動制御が挙げられる。自動制御において、タイマー、出口センサー又は他の手段を基に、コンピューター又はコンピューターコントローラーから送られる信号に従ってバルブや栓が開閉される。自動制御システムの例については、この分野においてよく知られている。手動制御と自動制御を組合せて使用することも可能である。また、定常状態を維持するために単位時間当りに供給または除去されるそれぞれの溶液の量は、使用するセル及び定常状態流を達成するために設定された系内に供給または系内から除去される溶液流に関して、実験的に決定されてもよい。製造される次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、溶液に対して通常1〜20重量%又はそれ以上である。
【0064】
他の実施態様としては、系がバッチ式である。バッチ式において、陽極液および陰極液は電解セル10に供給され、陽極液室14および陰極液室16中の生成物の濃度が所望の濃度に達するまでセルを作動させる。生成物を回収するために電解セル10を空にし、再度セルに充填を行って操作を再開する、また、連続式とバッチ式とを組合せて使用してもよい。更に、どちらの方法においても、溶液の供給は、予め調製された溶液またはその場で形成される溶液を使用して行われてもよい。
【0065】
連続式およびバッチ式の両方とも溶液の動的流れを有すると考えるべきである。連続式の場合、陽極液として形成された溶液が添加され、ナトリウム濃度がある一定の濃度または濃度範囲に維持される。陰極液中の生成物濃度が適切な値に到達したら運転を停止する。
【0066】
カソード20において発生する水素ガス30は、分割していないセルにおいて発生する水素、酸素、塩素酸などの混合物であるガスと異なり、純粋な水素ガスである。汚染されていない水素ガスを得られることは、本発明の範囲内の電解セル10の重要な利点であり、非分割セルにおいては得られない。水素ガス30は、エネルギー生成分野における当業者に公知のPEM燃料電池または他の装置などのエネルギー発生方法に供給される。これにより電解プロセスを作動することに必要なエネルギーを相殺できる。水素ガス30は陰極液室16から回収され、当業者には公知の化学的方法操作に使用される。
【0067】
陰極液室16から陽極液室14への水酸化ナトリウム32の移送は、当業者に公知の手段を使用して自動的に制御され、通常カルシウムやマグネシウムが沈殿するpHより低く陽極液室内のpHを維持し、セル内にそれらの沈殿が生じるのを防ぐ。セラミックス膜は、カルシウムやマグネシウムの拡散に対して実質的に不透過であるため、膜の陰極液側においてそれらの水酸化物が溶液から沈殿することを防止する。有機膜を使用した場合、カルシウムやマグネシウムの拡散を完全に不透過に出来ないため、それらの沈殿は避けられない。
【0068】
ある実施態様において、Naイオン超伝導型材セラミックス膜を使用した電解プロセスは、通常使用している開放型セル2極プロセスにおける欠点を克服できる。セラミックス膜セルにおいて、Naイオン超伝導型材を使用することにより、ある実施態様において、もちろんこれに限るわけではないが、90%を超える高い電流効率を達成できる。これは、このような態様においてセルの陰極液側から陽極液側へのヒドロキシルイオンの逆流が実質的に防止されるからである。また、本発明において示しているNaイオン超伝導型材セラミックス膜は、腐食性の海水や亜塩素酸ナトリウムなどに対して実質的に耐性を有する。
【実施例】
【0069】
以下に本発明の具体的な実施態様の構成、使用および試験結果について例示するが、これらの具体例は単なる例示であって、本発明の要旨がこれらに限定されるべきではない。
【0070】
実施例1:
4重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して次亜塩素酸ナトリウムを製造した。
【0071】
陽極液として4重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用し、2室電解セル装置を使用した次亜塩素酸ナトリウムの製造の短時間実演テストを行った。Na3.4Zr2Si2.4P0.6O12から成るNaイオン超伝導型材の面積14cm2のセラミックス膜を、電解セル装置の2室の間に配置した。
【0072】
定常状態で操作されるセルの陰極液室から陽極液室に、陽極液として4重量%の塩化ナトリウム水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、二次反応を促進した。陽極液および陰極液の供給操作は23℃で行った。操作条件について表1に、セルの操作を図2にそれぞれ示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例2:
海水を使用して次亜塩素酸ナトリウムを製造した。
【0075】
陽極液として海水を使用し、2室電解セル装置を使用した次亜塩素酸ナトリウムの製造の短時間実演テストを行った。Na3.1Zr2Si2.3P0.7O12−δから成るNaイオン超伝導型材の面積14cm2のセラミックス膜を、電解セル装置の2室の間に配置した。
【0076】
陽極液室に供給される塩化ナトリウム溶液は海水であった。定常状態で操作されるセルの陰極液室から陽極液室に低い濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、次亜塩素酸ナトリウムの形成の二次反応を促進した。陰極液として0.25Mの水酸化ナトリウム水溶液を供給した。供給陽極液および陽極液室は15℃に保持し、供給陰極液および陰極液室は25℃に保持した。セルは、1.48アンペア/インチ2(230mA/cm2)の一定の電流密度で作動させた。次亜塩素酸ナトリウムの製造速度を図3に示す。
【0077】
上記の電流密度における操作において、約12g/lの次亜塩素酸ナトリウムが生じた。陽極液室で生成した次亜塩素酸ナトリウムについて、生成した次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、ヨウ化カリウムと澱粉を指示薬としてチオ硫酸ナトリウムによる化学滴定試験を行うことにより求めた。
【0078】
実施例3:
26重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して次亜塩素酸ナトリウムを製造した。
【0079】
陽極液として26重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用し、2室電解セル装置を使用した次亜塩素酸ナトリウムの製造の短時間実演テストを行った。Na3.4Zr2Si2.4P0.6O12から成るNaイオン超伝導型材の面積14cm2のセラミックス膜を、電解セル装置の2室の間に配置した。定常状態で操作されるセルの陰極液室から陽極液室に水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、次亜塩素酸ナトリウムの形成の二次反応を促進した。
【0080】
セルは、閉系で且つ周囲環境条件にて、0.16アンペア/インチ2(25mA/cm2)の一定の電流密度で作動させた。操作条件について表2に、セルの性能について図4にそれぞれ示す。
【0081】
【表2】
【0082】
実施例4:
塩化ナトリウム溶液を使用して次亜塩素酸ナトリウムを製造した。
【0083】
合成塩溶液を使用して次亜塩素酸ナトリウムの製造の短時間実演テストを行った。塩溶液は高純度塩化ナトリウムと脱イオン水を使用して調製され、図1に示される2室電解セル装置の陽極液室に供給した。陰極液室用の水酸化ナトリウム溶液は試薬級(50%強度)の水酸化ナトリウムを脱イオン水を使用して必要な濃度に希釈して調製した。操作条件および結果を以下の表3に示す。また、Naイオン伝導性セラミックス膜セルの次亜塩素酸ナトリウム生成効率を示しているセルの性能を図5に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例5:
海水を使用して次亜塩素酸ナトリウムを製造した。
【0086】
図1に示される2室電解セル装置の陽極液室に、実際の海水を供給して次亜塩素酸ナトリウムの製造の実演テストを行った。操作条件および結果を以下の表4に示す。また、セラミックス膜セルにおいて、海水を使用して次亜塩素酸ナトリウムが生成可能であることを図5に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
実施例6:
非分割セルとNaイオン伝導性セラミックス膜を使用したセルとの次亜塩素酸ナトリウムの製造性能を比較した。
【0089】
この試験において、次亜塩素酸ナトリウムの製造に使用するNaイオン伝導性セラミックス膜を使用したセルと非分割セルとの性能を比較した。試験結果を図7及び8に示す。図1に示すセラミックス膜を使用したセルは非分割セルと比較して次亜塩素酸ナトリウムの製造効率が優れている。これは、非分割セル(2極電極セルで、電極間にセパレーターがない)では、電極間が分離されていないため、生成した次亜塩素酸ナトリウムの一部がカソードにおいて塩化物に還元されるからである。セラミックス膜電解セルは、非分割セルと比較して、同一操作条件で高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを製造できる。
【0090】
実施例7:
Naイオン伝導性セラミックス膜を有する電解セルにおける、次亜塩素酸ナトリウムの発生効率に対する反応温度の影響を調べた。
【0091】
セラミックス膜セルにおいて次亜塩素酸ナトリウムの発生効率に対する反応温度の影響を調べた。結果を図9に示す。図9より、温度の関数として次亜塩素酸ナトリウムの安定性が悪くなるため、セルの操作温度が高くなると生成効率が減少することがわかる。電解セルによる次亜塩素酸ナトリウム製造のための最適操作温度は約20℃であることがわかった。電解セルは室温において、好ましくは30℃未満において効率良く操作できる。
【0092】
実施例8:
電解セルにおける、次亜塩素酸ナトリウムの発生の電流効率に対する操作電流密度の影響を調べた。
【0093】
図1に示す装置を使用して、次亜塩素酸ナトリウムの発生の電流効率に対する操作電流の影響を調べた。セラミックス膜セルの電流効率を電流密度の関数として図10に示す。電解セルの電流効率は、操作電流密度の関数として増加する。電流密度は、好ましくは約0.03〜1.47A/インチ2(約5〜150mA/cm2)である。
【0094】
実施例9:
次亜塩素酸ナトリウムの製造の電流効率に対する電解セルの陽極液のpHの影響を調べた。
【0095】
図1に示す装置を使用して、次亜塩素酸ナトリウムの製造の電流効率に対する電解セルの陽極液のpHの影響の測定試験を行った。結果を図11に示す。電解の操作における最適pH範囲は10〜11と測定された。図12はpH11における試験性能を示す。この陽極液のpH範囲は、電解セルの陰極室からの水酸化ナトリウムの制御添加により、セラミックス膜電解セルにおいて維持される。これはあまり実践的ではないかもしれないが、セル内の陽極液と陰極液とが混合してしまう様な非分割セルにおいてpHを制御すると通常pH8〜9の範囲の溶液となる。
【0096】
実施例10:
次亜塩素酸ナトリウムの製造における塩化ナトリウム高濃度溶液の影響を調べた。
【0097】
この実験において、図1に示す装置を使用し、温度とpHの条件を最適化し、次亜塩素酸ナトリウムの製造性能における塩化ナトリウム高濃度溶液の影響を調べた。結果を図13に示す。操作開始時における塩化ナトリウムの濃度を、通常の30g/lから約200g/lに変更した。なお、30g/lの塩化ナトリウムの濃度は、非分割セルを用いた場合の次亜塩素酸ナトリウム製造で最高の結果が得られる最適化塩濃度である。Naイオン伝導性セラミックス膜を有する電解セルは、非分割セルとは異なって、操作中の塩濃度の変化に柔軟にかつ十分に順応でき、この試験において塩濃度および電流密度の両方のパラメーターは試験の間に調節され、電力および塩消費を最小にした。
【0098】
上述より、本発明は、Naイオン伝導性セラミックス膜を有する電解セルを使用して次亜塩素酸ナトリウムを効率良く製造できる方法を提供する。現在の工業的方法と比較して、本発明の要旨の範囲における製造方法は、より高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造できる。発明の要旨の範囲における製造方法は、海水、塩水、工業用塩化ナトリウム溶液などの純粋でない塩化ナトリウム溶液を含む種々の異なる塩化ナトリウムの供給原料から次亜塩素酸ナトリウムを製造できる。本発明の方法は、広い範囲の塩化ナトリウム溶液の濃度で使用可能である。Naイオン伝導性セラミックス膜の使用と組合わされる陽極液室のpHの制御が可能であることが、電極付着物や必要としないカチオンの沈殿による問題を最小とすることが出来る。陽極液室から陰極液室を分離することによって、水素ガスを回収でき、エネルギー源として使用でき、本方法の必要とするエネルギーを相殺することも出来る。本発明の要旨の範囲における電解プロセスは、現場で次亜塩素酸ナトリウムを発生させることが出来る。更に、本発明の要旨の範囲における電解プロセスは、閉系電解セルとして使用でき、河川などを汚染することはない。
【0099】
本発明において、いくつかの具体的な実施態様を示したが、これらは単なる例示であって、本発明の要旨から逸脱しない範囲において、多くの変更が可能であり、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の次亜塩素酸ナトリウム製造電解セルの1実施態様を示す概略図
【図2】実施例1の次亜塩素酸ナトリウム製造電解セルの動作グラフ
【図3】実施例2のセルにおける次亜塩素酸ナトリウムの製造速度を示すグラフ
【図4】実施例3のセルにおける次亜塩素酸ナトリウムの製造に必要なエネルギーを示すグラフ
【図5】実施例4に示す電解セルにおけるアンペア・時の関数として次亜塩素酸ナトリウムの製造を示すグラフ
【図6】実施例5に示す電解セルにおけるアンペア・時の関数として次亜塩素酸ナトリウムの製造を示すグラフ
【図7】非分割電解セルと実施例6に示すNaイオン伝導性セラミックス膜を使用した電解セルとにおけるアンペア・時の関数として次亜塩素酸ナトリウムの製造を比較したグラフ
【図8】非分割電解セルと実施例6に示すNaイオン伝導性セラミックス膜を使用した電解セルとにおける次亜塩素酸ナトリウムの製造を電流効率で比較したグラフ
【図9】実施例7に示す電解セルにおける温度を関数とした次亜塩素酸ナトリウムの製造の電流効率を示したグラフ
【図10】実施例8に示す電解セルにおける電流密度を関数とした電流効率を示したグラフ
【図11】実施例9に示す電解セルにおける次亜塩素酸ナトリウムの製造の電流効率のpHによる影響を示したグラフ
【図12】実施例9に示す電解セルにおける電流密度を関数とした次亜塩素酸ナトリウムの製造を示したグラフ
【図13】実施例10に示す電解セルにおけるアンペア・時を関数とした電力消費量および電流効率を示したグラフ
Claims (40)
- 次亜塩素酸ナトリウムの製造方法であって、(a)Naイオンを選択的に透過させ、アノードを形成する陽極液室とカソードを形成する陰極液室とを分離するように設計されたNaイオン伝導セラミックス膜から成る電解質セルを得る工程と;(b)電解質セルの陽極液室にカルシウム、マグネシウム又はその他の沈殿可能なカチオンを不純物として含有する非純粋塩化ナトリウム水溶液を供給する工程と;(c)電解質セルの陰極液室中に水とNaイオンを供給する工程と;(d)電解質セルに電流を印加する工程であって、当該電流印加工程が、(i)陽極液室中の塩素イオンを2Cl−→Cl2+2e−の式に従って酸化してCl2+H2O→HOCl+HClの式に従って次亜塩素酸を形成する工程と、(ii)陽極液室から陰極液室にNaイオン伝導セラミックス膜を介してNaイオンを透過させる工程と、(iii)陰極液室中のNaイオンの存在下でNa++H2O+e−→NaOH+1/2H2の式に従って水を分解する工程から成り;e)陰極液室から陽極液室に制御されてNaOHが移送され、HOCl+HCl+2NaOH→2NaOCl+NaCl+2H2Oの式に従って次亜塩素酸ナトリウムを陽極液室中に形成する工程と;(f)陽極液室中のカルシウム、マグネシウム又はその他の沈殿可能なカチオンを不純物として含有する非純粋塩化ナトリウム水溶液のpHを7以上8未満に維持する工程と;(g)陽極液室から次亜塩素酸ナトリウムから成る溶液を回収除去する工程とから成ることを特徴とする次亜塩素酸ナトリウムの製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液が陽極液室に断続的に供給され、次亜塩素酸ナトリウム溶液が陽極液室から断続的に回収除去される請求項1に記載の製造方法。
- 水が陰極液室に断続的に供給され、水酸化ナトリウム溶液が陰極液室から断続的に取出されて陽極液室に添加され、次亜塩素酸ナトリウムが製造される請求項2に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液が陽極液室に連続的に供給され、次亜塩素酸ナトリウム溶液が陽極液室から連続的に回収除去される請求項1に記載の製造方法。
- 水が陰極液室に連続的に供給され、水酸化ナトリウム溶液が陰極液室から連続的に取出されて陽極液室に添加され、次亜塩素酸ナトリウムが製造される請求項4に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液が海水または塩水である請求項1に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液が、塩化ナトリウムを非純粋な水に溶解して調製される請求項1に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液中の塩化ナトリウムの濃度が、水に対する飽和濃度未満である請求項1に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液中の塩化ナトリウムの濃度が、水溶液に対して0.1〜26重量%である請求項1に記載の製造方法。
- 非純粋塩化ナトリウム水溶液中の塩化ナトリウムの濃度が、水溶液1Lに対して2〜200gである請求項1に記載の製造方法。
- 陰極液室に供給される水とNaイオンが、水酸化ナトリウムの不飽和溶液から成る請求項1に記載の製造方法。
- 陰極液室に供給される水とNaイオンが、溶液に対して50重量%以下の濃度の水酸化ナトリウム溶液である請求項1に記載の製造方法。
- 陽極液室から回収除去され次亜塩素酸ナトリウム溶液が、溶液に対して0.1〜20重量%の濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液である請求項1に記載の製造方法。
- 陽極液室から回収除去され次亜塩素酸ナトリウム溶液が、溶液1Lに対して0.1〜30gの次亜塩素酸ナトリウムを有する請求項1に記載の製造方法。
- 陽極液室から回収除去され次亜塩素酸ナトリウム溶液が、溶液1Lに対して2〜20gの次亜塩素酸ナトリウムを有する請求項1に記載の製造方法。
- 更に、電解セルの操作温度を40℃未満に維持する工程を含む請求項1に記載の製造方法。
- 電解セルに印加する電流密度が0.1アンペア/インチ2 (15.5mA/cm 2 )よりも大きい請求項1に記載の製造方法。
- 電解セルに印加する電流密度が0.01〜1.16アンペア/インチ2 (1.55〜180mA/cm 2 )である請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜がNaイオン超伝導材から成る請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン超伝導材が、式Na1+xZr2SixP3−xO12且つ0≦x≦3で示される材料である請求項19に記載の製造方法。
- Naイオン超伝導材が、式Na5RESi4O12且つREがY、Nd、Dy、Sm又はそれらの組合せで示される材料である請求項19に記載の製造方法。
- Naイオン超伝導材が、非化学量論的Na不足材料であって、式(Na5RESi4O12)1−δ(RE2O3・2SiO2)δ且つREがNd、Dy、Sm又はそれらの組合せで且つδが化学量論からの偏差の値で示される材料である請求項19に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、一体化した平板、一体化したチューブ、一体化したハニカム又はこれらの基本構造を支持している構造体である請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、Naイオン伝導セラミックス固体電解質材料の上にNaイオン選択性ポリマー層が積層されているNaイオン伝導セラミックス−ポリマー複合膜である請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、2以上の異なるNaイオン伝導セラミックス材料を結合した層の複数層から成る請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜が多孔性セラミックス基材上に支持された薄いシート形状またはより厚い板形状の平板幾何学形状を有する請求項1に記載の製造方法。
- Naイオン伝導セラミックス膜が多孔性セラミックス基材上に支持された薄いシート形状またはより厚いチューブ形状のチューブ幾何学形状を有する請求項1に記載の製造方法。
- 更に、陰極液室から水素ガスを回収除去する工程を有する請求項1に記載の製造方法。
- 回収除去された水素ガスが、エネルギー発生プロセスにおける燃料として供給される請求項1に記載の製造方法。
- 次亜塩素酸ナトリウムから成る溶液が現場で他の応用用途に使用されるために製造される請求項1に記載の製造方法。
- (a)原料であるカルシウム、マグネシウム又はその他の沈殿可能なカチオンを不純物として含有する非純粋塩化ナトリウム水溶液を有する電気化学的活性なアノードを有する陽極液室であって、塩素イオンを2Cl−→Cl2+2e−の式に従って酸化し、生じた塩素が水と反応してCl2+H2O→HOCl+HClの式に従って次亜塩素酸を形成する陽極液室と、(b)電気化学的活性なカソードを有する陰極液室であって、Naイオンを選択的に透過させ且つアノードを形成する陽極液室とカソードを形成する陰極液室とを分離するように設計されたNaイオン伝導セラミックス膜を有し、原料である水とNaイオンを有し、Na++H2O+e−→NaOH+1/2H2の式に従って水を分解する陰極液室と、(c)陽極液室中のカルシウム、マグネシウム又はその他の沈殿可能なカチオンを不純物として含有する非純粋塩化ナトリウム水溶液のpHを7以上8未満に維持する手段と、(d)陰極液室から水素を回収除去するためのベントと、(e)陰極液室からNaOHの1部を除去して陽極液室に導くためのNaOH除去流体通路であって、HOCl+HCl+2NaOH→2NaOCl+NaCl+2H2Oの式に従って次亜塩素酸ナトリウムの生成を可能にする流体通路と、(f)陽極液室で形成された次亜塩素酸ナトリウムを除去するための次亜塩素酸ナトリウム除去流体通路とから成る次亜塩素酸ナトリウムを製造するための電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜がNaイオン超伝導材から成る請求項31に記載の電解セル。
- Naイオン超伝導材が、式Na1+xZr2SixP3−xO12且つ0≦x≦3で示される材料である請求項32に記載の電解セル。
- Naイオン超伝導材が、式Na5RESi4O12且つREがY、Nd、Dy、Sm又はそれらの組合せで示される材料である請求項32に記載の電解セル。
- Naイオン超伝導材が、非化学量論的Na不足材料であって、式(Na5RESi4O12)1−δ(RE2O3・2SiO2)δ且つREがNd、Dy、Sm又はそれらの組合せで且つδが化学量論からの偏差の値で示される材料である請求項32に記載の電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、一体化した平板、一体化したチューブ、一体化したハニカム又はこれらの基本構造を支持している構造体である請求項31に記載の電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、Naイオン伝導セラミックス固体電解質材料の上にNaイオン選択性ポリマー層が積層されているNaイオン伝導セラミックス−ポリマー複合膜である請求項31に記載の電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜が、2以上の異なるNaイオン伝導セラミックス材料を結合した層の複数層から成る請求項31に記載の電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜が多孔性セラミックス基材上に支持された薄いシート形状またはより厚い板形状の平板幾何学形状を有する請求項31に記載の電解セル。
- Naイオン伝導セラミックス膜が多孔性セラミックス基材上に支持された薄いシート形状またはより厚いチューブ形状のチューブ幾何学形状を有する請求項31に記載の電解セル。
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