JP2024511853A - Gdf15シグナル伝達の治療的阻害剤 - Google Patents

Gdf15シグナル伝達の治療的阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、グリア細胞由来神経栄養因子ファミリー受容体α様(GFRAL)タンパク質に結合し、その活性を阻害する抗体に関する。本発明はまた、悪液質の状態および食物摂取の減少および筋肉量および脂肪量の減少を伴う状態の治療標的としてのGDF15-GFRALシグナル伝達経路に関する。

Description

本発明は、グリア細胞由来神経栄養因子ファミリーレセプターα様(GFRAL)タンパク質に結合し、その活性を阻害する抗体に関する。本発明はまた、悪液質の状態および食物摂取の減少および筋肉および脂肪量の減少を伴う状態のための治療標的としてのGDF15-GFRALシグナル伝達経路に関する。
「グリア細胞由来神経栄養因子ファミリーレセプターα様」として知られる細胞表面レセプターは、ヒト染色体6p12.1に位置し、394アミノ酸の配列をコードする9個のエキソンを有するGFRAL遺伝子によってコードされる。
発生中のマウスの脳では、大脳皮質および海馬におけるGfralのmRNAレベルは出生時に最大に達し、その後減少することが示されており、これは、神経保護および脳の発生に関与し得ることが示唆されている[1]。成体マウスでは、Gfralの転写産物は主に中枢神経系で見出されている。その発現は脳幹の特定のニューロン、特に後頭野(AP)および孤束路核(nucleus tractus solitariusu、NTS)に限定されていることが見出されている。その後、Gfralの発現は精巣および脂肪組織でも低レベルで検出された[2、3、4、5]。
GFRALのリガンドはGDF15(growth and differentiation factor 15)というホルモンであることが同定されている[2、3、4、5、6]。GDF15と相互作用すると、GDF15-GFRAL複合体はチロシンプロテインキナーゼ受容体であるRETと相互作用し、MAPK、AKT、およびPLC-γシグナル伝達経路の活性化を介して細胞シグナル伝達を誘導する。このシグナル伝達は、食物摂取、エネルギー消費、および体重を調節するという下流の効果を有することが示されている[2、3、4、5]。活性シグナル伝達複合体は、GDF15-GFRAL-RETのホモ二量体を含む6つのポリペプチドの集合体である。
GDF15はTGF-βファミリーの遠くはなれたメンバーである。これはストレス誘導性サイトカインであり、組織傷害[7]、電離放射線[8]、低酸素[9]、炎症[10]、化学毒素[42、43]、およびがん[11]、関節リウマチ[12]、慢性腎不全[13]、心血管系疾患[14]、肥満、および糖尿病[15]を含む様々な疾患状態によって上方制御し得る。また、化学療法剤のような組織損傷毒素によっても誘導される[16、17]。マウス[18]および非霊長類モデル[4]で実証されているように、GDF15は食欲/食物摂取を低下させるストレス応答性サイトカインである。GDF15の循環レベルは、多くの疾患状態を含む広範な状態において上昇することが報告されている[42、44]。GDF15は、細胞ストレスに対する「センチネル」ホルモン反応を表すと考えられており、その保護作用には、最近摂取した毒素への全身的な暴露を(例えば、嘔吐を通じて)制限すること、および条件付き嫌悪の誘導を通じて、以前に細胞ストレスにつながった薬剤への将来的な暴露の回避を促進することが含まれる[42]。
高いレベルのGDF15は、一部のがん患者における悪液質と関連している。体内にがんが存在すると、GDF15のレベルが上昇し、がん性悪液質を促進する可能性がある。悪液質は、骨格筋および脂肪組織の減少による体重減少、代謝調節のアンバランス、ならびに食物摂取量の減少を特徴とする多因子疾患である[19]。悪液質は、世界的に多くの種類のがん患者の最大74%が罹患していると推定されており、頭頸部がん、膵がん、胃がん、および肝がんで最も発生率が高い[20]。がん性悪液質は、がん患者のQOLに悪影響を及ぼすだけでなく[21、22]、抗がん化学療法の有効性を低下させ[23、24]、その毒性を増大させ[25、26、27]、がんに関連した死亡率の増加[27、28、29]、および医療資源の支出の増加につながる。がん以外の広範囲の疾患も悪液質と関連しており、これには肺および心臓の状態(例えば、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患)、ならびに慢性腎臓病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、および嚢胞性線維症、多発性硬化症、運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症、結核、多系統萎縮症、水銀中毒、クローン病、関節リウマチ、およびセリアック病の進行状態が挙げられる。
悪液質動物モデルにおいて、GDF15に対するモノクローナル抗体の投与は、食物摂取量の増加、運動機能およびエネルギー消費の改善をもたらし、体重減少を逆転させ、骨格筋を回復させることができた[30、31]。GDF15-GFRAL経路を遮断することによって、がん性悪液質によって引き起こされる体重減少が逆転し、生存期間が延長した[30]。脳幹ニューロンのRETシグナル伝達複合体を阻害する抗GFRALアンタゴニスト抗体は、腫瘍保有マウスに注射した場合に、過剰な脂質酸化を逆転させ、がん性悪液質を予防することが報告された[32]。2019年には、抗GFRALモノクローナル抗体NGM120を用いたがん性食欲不振/悪液質症候群の治療における臨床試験が開始された(NCT04068896)。
Gfral-/-(「ノックアウト」)マウスは、野生型マウスと同様に固形飼料食では正常体重に見え、高脂肪食では肥満になる。いくつかの報告によると、Gfral/GFRALノックアウトマウスは高脂肪食で野生型マウスよりやや重くなる。GDF15で処理した野生型マウスは、ビヒクルで処理したマウスと比較して有意な食物摂取の減少、および体重の持続的減少を示すが、Gfral-/-マウスはGDF15の効果に抵抗性である[3、4]。このことは、GDF15-GFRALシグナル伝達による体重増加の抑制を示している。さらに、GDF15の過剰発現はマウスを肥満の発症から保護し、高脂肪食での耐糖能を改善することが示されている[11、33]。固形飼料または高脂肪食を与えられたマウスまたはラットにおいて、GDF15投与は摂食量および体重を減少させる。自発性肥満のカニクイザルは、組換えHAS-GDF15に4週間暴露された後、食物摂取量の減少を示し、その結果、体重が著しく減少する[2、3、4、5、6]。ラットモデルにおいて、血清GDF15レベルは腫瘍体積と正の相関があり、食物摂取量と負の相関があり、GDF15が悪心および嘔吐を通して食欲不振を誘導することが示された[34、35]。
GDF15-GFRAL経路が妊娠悪阻と高度に関連しているという報告もある[36]。
このように、GDF15-GFRAL-RET複合体によって誘導されるシグナル伝達は、食物摂取および体重を調節し、その活性はがん性悪液質などの状態において重要な役割を果たしている。GDF15-GFRAL-RET複合体の活性を阻害することによって、例えば、細胞表面におけるこの複合体の形成を阻害することによって、アンタゴニストは、これらおよび他の状態の治療への潜在的なルートを提供する。外因性および内因性GDF15による視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の活性化は、非特許文献1により記載され、その内容は、参照によって本明細書に組み入れる。
Cimino et al.、PNAS 118(27)2021
本発明は、ヒトGFRALに対する抗体を提供する。本発明者らはGFRALタンパク質に対する抗体を作製し、選択し、この抗体は高い力価でGFRALの活性を阻害し、その下流のシグナル伝達に拮抗する。これらの抗体はGFRAL発現細胞表面のGFRALに対する高い親和性の結合を示し、GFRAL発現細胞のGDF15誘導細胞内シグナル伝達を阻害する。GFRAL細胞外ドメインへの抗体の結合は、例えばRETとGDF15-GFRALとの会合を阻害することにより、GDF15-GFRAL-RET複合体の形成を阻害する可能性がある。本発明者らは、ヒトGFRALとのアッセイにおいて高い親和性および高い力価を示し、非ヒトGFRAL、例えばマウスGFRALに対する交差反応性を組み合わせて抗体を選択した。
本発明の例示的な抗体はQUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301と命名される。さらに、本発明の関連抗体は、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304と命名される。本発明は、QUEL-0101、QUEL-0201もしくはQUEL-0301、またはQUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0302、QUEL-0303もしくはQUEL-0304のいずれかの抗原結合配列を組み込んだ抗GFRAL結合分子、例えば、それらの相補性決定領域(CDR)、例えば、重鎖CDR(HCDR)HCDR1、HCDR2および/またはHCDR3および/または軽鎖CDR(LCDR)LCDR1、LCDR2および/またはLCDR3、ならびに場合により、重鎖および/または軽鎖可変(VHおよび/またはVL)ドメイン、ならびにそれらのバリアントにまで拡張される。結合分子は、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0201、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0302、QUEL-0303またはQUEL-0304のHCDR1、HCDR2および/またはHCDR3をポリペプチドスキャフォールド中に含んでいてもよく、および/またはQUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0201、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303またはQUEL-0304のLCDR1、LCDR2および/またはLCDR3をポリペプチドスキャフォールド中に含んでいてもよい。例えば、結合分子は、QUEL-0201のHCDR3、場合によりQUEL-0201のHCDRセット、および場合によりQUEL-0201のHCDRおよびLCDRを含む。
本発明の実施形態は、VHドメインおよびVLドメインを含む抗体を含み、VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、ここで
(i)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号3であり、HCDR2が配列番号4であり、HCDR3が配列番号5であると定義されるHCDRのQUEL-0101セットであり、
(ii)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号13であり、HCDR2が配列番号14であり、HCDR3が配列番号15であると定義されるHCDRのQUEL-0201セットであるか、または
(iii)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号23であり、HCDR2が配列番号24であり、HCDR3が配列番号25であると定義されるHCDRのQUEL-0301セットである。
本発明のさらなる実施形態は、VHドメインおよびVLドメインを含む抗体を含み、VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、ここで、
(iv)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号99であり、HCDR2が配列番号100であり、HCDR3が配列番号101であると定義されるHCDRのQUEL-0102セットであり、
(v)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号107であり、HCDR2が配列番号108であり、HCDR3が配列番号5であると定義されるHCDRのQUEL-0103セットであり、
(vi)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号107であり、HCDR2が配列番号108であり、HCDR3が配列番号113であると定義されるHCDRのQUEL-0104セットであるか、または
(vii)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号118であり、HCDR2が配列番号108であり、HCDR3が配列番号119であると定義されるHCDRのQUEL-0105セットである。
本発明のさらなる実施形態は、VHドメインおよびVLドメインを含む抗体を含み、VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、ここで、
(viii)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号23であり、HCDR2が配列番号124であり、HCDR3が配列番号125であると定義されるHCDRのQUEL-0302セットであり、
(ix)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号133であり、HCDR2が配列番号134であり、HCDR3が配列番号135であると定義されるHCDRのQUEL-0303セットであるか、または
(x)HCDRのセットは、HCDR1が配列番号133であり、HCDR2が配列番号142であり、HCDR3が配列番号143であると定義されるHCDRのQUEL-0304セットである。
本発明の抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含んでいてもよく、
VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、ここで
HCDR1は、配列番号3、配列番号99、配列番号107または配列番号118であり、
HCDR2は、配列番号4、配列番号100、または配列番号108であり、
HCDR3は、配列番号5、配列番号101、配列番号113または配列番号119であり、場合により、
LCDR1は、配列番号8であり
LCDR2は、配列番号9であり、
LCDR3は配列番号10または配列番号104である。
本発明の抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含んでいてもよく、
VHドメインは、HCDR1 配列番号3、HCDR2 配列番号4およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0101セットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号10のLCDRのQUEL-0101セットを含む。
別の実施形態では、抗体はVHドメインおよびVLドメインを含み、
VHドメインは、HCDR1 配列番号99、HCDR2 配列番号100およびHCDR3 配列番号101のHCDRのQUEL-0102セットを含み、
VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0102セットを含む。
別の実施形態では、抗体はVHドメインおよびVLドメインを含み、
VHドメインは、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0103セットを含み、
VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0103セットを含む。
別の実施形態では、抗体はVHドメインおよびVLドメインを含み、
VHドメインは、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号113のHCDRのQUEL-0104セットを含み、
VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0104セットを含む。
別の実施形態では、抗体はVHドメインおよびVLドメインを含み、
VHドメインは、HCDR1 配列番号118、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号119のHCDRのQUEL-0105セットを含み、
VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0105セットを含む。本発明の抗体は、QUEL-0101 VHドメイン配列番号2または1つまたはそれ以上のアミノ酸改変が存在するそのバリアント、および/またはQUEL-0101 VLドメイン配列番号7、または1つまたはそれ以上のアミノ酸改変が存在するそのバリアントを含んでいてもよい。アミノ酸改変は、アミノ酸の置換、欠失または挿入であり得る。そのような改変は、場合により、CDRの外側の可変ドメインフレームワークにあってもよい。例えば、VHおよび/またはVLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変が存在し得る。改変は保存的置換であっても、および/またはフレームワーク残基の生殖細胞系列化を表していてもよい。アミノ酸残基の生殖細胞系列化は、アミノ酸残基を可変ドメインが産生された生殖細胞系列遺伝子セグメントによってコードされるその位置に存在する残基に戻すことを意味する。対応する生殖細胞系列遺伝子セグメントは、可変ドメイン配列をヒトv、dおよびj(VHの場合)またはヒトvおよびj(VLの場合)遺伝子セグメントと比較し、最も近い一致を同定することにより同定し得る。QUEL-0101VHドメインのバリアントには、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104またはQUEL-0105 VHドメインに存在する1つまたはそれ以上の改変を有するVHドメイン、例えば、これらのVHドメインの1つまたはそれ以上のフレームワークに存在するVHドメインが含まれる。本発明の抗体は、場合により、QUEL-0102 VHドメイン配列番号98、QUEL-0103 VHドメイン配列番号106、QUEL-0104 VHドメイン配列番号112またはQUEL-0105 VHドメイン配列番号117を含む。
VHドメインは、重鎖v遺伝子セグメントIGHV3-30(例えば、IGHV3-3018)とd遺伝子セグメントおよび重鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGHJ6(例えば、IGHJ602)との組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードし得る。したがって、IGHV3-30とIGHJ6の組換えによって産生されたVHドメインフレームワーク(「IGHV3-30 IGHJ6フレームワーク」)を含んでいてもよい。場合により、VHドメインは、IGHV3-30、IGHD3-10およびIGHJ6の組換えによって産生されている。
抗体は、QUEL-0101 VHドメイン配列番号2と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインを含んでいてもよい。VHドメインは、配列番号2を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VHドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号1によりコードされるVHドメインを含んでいても、またはこれからなっていてもよい。
VLドメインは、軽鎖v遺伝子セグメントIGKV1-27(例えば、IGKV1-2701)と軽鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGKJ4(例えば、IGKJ401)などのκjセグメントとの組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードし得る。したがって、IGKV1-27とIGKJ4の組換えによって産生されたVLドメインフレームワーク(「IGKV1-27 IGKJ4フレームワーク」)を含んでいてもよい。
抗体は、QUEL-0101 VHドメイン配列番号7に対して少なくとも90%アミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVLドメインを含んでいてもよい。VLドメインは、配列番号7を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VLドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号6によってコードされるVLドメインを含んでいても、またはこれからなっていてもよい。
本発明の抗GFRAL抗体は、QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含み得る。
別の実施形態において、QUEL-0102 VHドメイン配列番号98およびQUEL-0102 VLドメイン配列番号103を含む。
別の実施形態において、QUEL-0103 VHドメイン配列番号106およびQUEL-0103 VHドメイン配列番号110を含む。
別の実施形態において、QUEL-0104 VHドメイン配列番号112およびQUEL-0104 VLドメイン配列番号115を含む。
別の実施形態では、QUEL-0105 VHドメイン配列番号117およびQUEL-0105 VHドメイン配列番号121を含む。
本発明の抗体は、VHドメインとVLドメインを含んでいてもよく、
VHドメインは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号13、HCDR2 配列番号14およびHCDR3 配列番号15のQUEL-0201セットを含み、そして
VLドメインは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号18、LCDR2 配列番号19およびLCDR3 配列番号20のQUEL-0201セットを含む。
本発明の抗体は、QUEL-0201 VHドメイン配列番号12または1つもしくは複数のアミノ酸改変が存在するそのバリアント、および/または1つもしくは複数のアミノ酸改変が存在するQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含み得る。アミノ酸改変は、アミノ酸の置換、欠失または挿入であり得る。このような改変は、場合により、CDRの外側の可変ドメインフレームワークにあってもよい。例えば、VHおよび/またはVLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変が存在し得る。改変は保存的置換であっても、および/またはフレームワーク残基の生殖細胞系列化を表していてもよい。
VHドメインは、重鎖v遺伝子セグメントIGHV1-3(例えば、IGHV1-301)とd遺伝子セグメントおよび重鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGHJ6(例えば、IGHJ602)との組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードし得る。したがって、IGHV1-3とIGHJ6の組換えによって産生されたVHドメインフレームワーク(「IGHV1-3 IGHJ6フレームワーク」)を含んでいてもよい。場合により、VHドメインは、IGHV1-3、IGHD5-18およびIGHJ6の組換えによって産生されている。
抗体は、QUEL-0201 VHドメイン配列番号12と少なくとも90%アミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインを含んでいてもよい。VHドメインは、配列番号12を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VHドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号11によってコードされるVHドメインを含んでいても、またはこれからなっていてもよい。
VLドメインは、軽鎖v遺伝子セグメントIGLV1-40(例えば、IGLV1-4001)と軽鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGLJ3(例えば、IGLJ302)などのλjセグメントとの組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる。したがって、IGLV1-40とIGLJ3の組換えによって産生されたVLドメインフレームワーク(「IGLV1-40 IGLJ3フレームワーク」)を含んでいてもよい。
本発明の抗体は、QUEL-0201 VLドメイン配列番号17、または1つまたはそれ以上のアミノ酸改変を有するそのバリアントを含んでいてもよい。抗体は、QUEL-0201 VHドメイン配列番号17に対して少なくとも90%アミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVLドメインを含んでいてもよい。VLドメインは、配列番号17を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VLドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号16によってコードされるVLドメインを含んでいても、またはこれからなっていてもよい。
本発明の抗GFRAL抗体は、QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含んでいてもよい。
本発明の抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含んでいてもよく、
VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、ここで
HCDR1は、配列番号23または配列番号133であり、
HCDR2は、配列番号24、配列番号124、配列番号134または配列番号142であり、
HCDR3は、配列番号25、配列番号125、配列番号135または配列番号143であり、そして場合により、
LCDR1は、配列番号28、配列番号128または配列番号138であり、
LCDR2は、配列番号29または配列番号129であり、
LCDR3は、配列番号30、配列番号130、配列番号139または配列番号146である。
本発明の抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含んでいてもよく、
VHドメインは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号24およびHCDR3 配列番号25のQUEL-0301セットを含み、そして
VLドメインは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号28、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号30のQUEL-0301セットを含む。
別の実施形態において、抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含み、VHドメインは、HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号124およびHCDR3 配列番号125のHCDRのQUEL-0302セットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1 配列番号128、LCDR2 配列番号129およびLCDR3 配列番号130のLCDRのQUEL-0302セットを含む。
別の実施形態において、抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含み、VHドメインは、HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号134、およびHCDR3 配列番号135のHCDRのQUEL-0303セットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号139のLCDRのQUEL-0303セットを含む。
別の実施形態では、抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含み、VHドメインは、HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号142およびHCDR3 配列番号143のHCDRのQUEL-0304セットを含み、そして
VLドメインは、LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号146のLCDRのQUEL-0304セットを含む。
本発明の抗体は、QUEL-0301 VHドメイン配列番号22または1つもしくは複数のアミノ酸改変があるそのバリアント、および/または1つもしくは複数のアミノ酸改変があるQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含んでいてもよい。アミノ酸改変は、アミノ酸の置換、欠失または挿入であり得る。そのような改変は、場合により、CDRの外側の可変ドメインフレームワークにあってもよい。例えば、VHおよび/またはVLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変が存在し得る。改変は保存的置換であってもよく、および/またはフレームワーク残基の生殖細胞系列化を表してもよい。QUEL-0301VHドメインのバリアントには、QUEL-0302、QUEL-0303またはQUEL-0304 VHドメインに存在する1つまたはそれ以上の改変、例えば、これらのVHドメインの1つまたはそれ以上のフレームワークに存在する改変を有するVHドメインが含まれる。本発明の抗体は、場合により、QUEL-0302 VHドメイン配列番号123、QUEL-0303 VHドメイン配列番号132またはQUEL-0304 VHドメイン配列番号141を含む。
VHドメインは、重鎖v遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-701)とd遺伝子セグメントおよび重鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGHJ4(例えば、IGHJ402)との組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードし得る。したがって、IGHV3-7とIGHJ4の組換えによって産生されたVHドメインフレームワーク(「IGHV3-7 IGHJ4フレームワーク」)を含んでいてもよい。場合により、VHドメインは、IGHV3-7、IGHD1-7およびIGHJ4の組換えによって産生されている。あるいは、VHドメインは、IGHV3-7、IGHD1-20およびIGHJ4の組換えによって産生されている。
抗体は、QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも90%アミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインを含んでいてもよい。VHドメインは、配列番号22を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VHドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号21によってコードされるVHドメインを含むか、またはこれからなっていてもよい。
VLドメインは、軽鎖v遺伝子セグメントIGLV1-44(例えば、IGLV1-4401)またはIGLV1-47(例えば、IGLV1-4701)と軽鎖j遺伝子セグメント、例えば、IGLJ3(例えば、IGLJ302)などのλjセグメントとの組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる。一実施形態では、軽鎖v遺伝子セグメントはIGLV1-44である。別の実施形態では、軽鎖v遺伝子セグメントはIGLV1-47である。したがって、IGLV1-44とIGLJ3の組換えによって産生されたVLドメインフレームワーク(「IGLV1-44 IGLJ3フレームワーク」)を含んでいてもよい。あるいは、IGLV1-47とIGLJ3の組換えによって産生されたVLドメインフレームワーク(「IGLV1-47 IGLJ3フレームワーク」)を含んでいてもよい。
抗体は、QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性、場合により少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVLドメインを含んでいてもよい。VLドメインは、配列番号27を含んでいても、またはこれからなっていてもよい。VLドメインは、哺乳動物細胞、例えばCHOで発現される配列番号26によってコードされるVLドメインを含んでいても、またはこれからなっていてもよい。
本発明の抗GFRAL抗体は、QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含んでいてもよい。
別の実施形態において、QUEL-0302 VHドメイン配列番号123およびQUEL-0302 VLドメイン配列番号127を含む。
別の実施形態において、QUEL-0303 VHドメイン配列番号132およびQUEL-0303 VLドメイン配列番号137を含む。
別の実施形態では、QUEL-0304 VHドメイン配列番号141およびQUEL-0304 VLドメイン配列番号145を含む。
本発明による抗GFRAL抗体は、ヒトGFRALへの結合をQUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301と競合するものであってもよい。例えば、QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含むQUEL-0201 IgGと競合し得る。あるいは、QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含むQUEL-0101 IgGと競合しても、および/またはQUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含むQUEL-0301 IgGと競合してもよい。GFRALへの結合について参照分子と競合する結合分子の能力は、in vitroで、例えば、サンドイッチアッセイにおける表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定し得る。
本発明による抗GFRAL抗体は、GFRALへの結合についてGDF15と競合しないものであってもよい。GFRALへの結合についてGDF15と競合する結合分子の能力は、SPRサンドイッチアッセイによっても決定し得る。
GFRALへの高い親和性結合が好都合である。抗GFRAL抗体は、好ましくは、GRFALタンパク質の限られた発現を考慮すると、1ナノモル(nM)またはそれ以上(すなわち、1nMまたは1nM未満)の親和性(K)でヒトGFRALと結合する。親和性は、例えば、実施例2に記載されるように、SPRによって決定し得る。Kは、0.5nM(500ピコモル濃度、pM)以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、または100pM以下であり得る。Kは50pM以下、例えば10pM以下であり得る。Kは約100pM、例えば50pM~200pMの範囲であり得る。Kは、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下、または1pM以下であり得る。Kは、約1pM(例えば、0.5pM~2pM)であり得る。いくつかの実施形態において、Kは少なくとも0.1pMであり得る。Kは、少なくとも0.5pMであり得る。Kは少なくとも1pM、例えば1pM~1nMの範囲内であり得る。
抗GFRAL抗体は、好ましくは、ヒトGFRALに加えて、非ヒトGFRAL(例えば、マウスGFRAL、ラットGFRALおよび/またはカニクイザルGFRAL)にも結合する。最適には、抗体はマウスおよびカニクイザルGFRALに対して交差反応性(10倍以内の親和性/力価)を有する。ヒトGFRAL(図1)とマウスGFRAL(図2)のアミノ酸配列同一性は70%であり、ヒトとカニクイザルのアミノ酸配列同一性は94%である。抗体の交差反応性の程度は、ヒトGFRALと非ヒトGFRALへの結合におけるKの倍数差として定量化することができる。好ましくは、抗体はマウスGFRALに対して、ヒトGFRALに対する親和性の100倍以内、10倍以内、5倍以内、またはより好ましくは2倍以内の親和性を有する。
抗GFRAL抗体は、マウスGFRALに対して10nM以上、好ましくは5nM以上の親和性(K)で結合し得る。マウスGFRALLに対する親和性は、場合により100pM以下である。
本明細書に記載の抗GFRAL抗体は、GDF15シグナル伝達の阻害剤である。具体的には、GFRAL細胞外ドメインに結合し、細胞表面GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体の形成を阻害することによって、GFRALを介したGDF15シグナル伝達を阻害する。抗GFRALアンタゴニスト抗体による阻害の力価は、ERKリン酸化アッセイのようなin vitroアッセイにおいて決定し得る。これは、GDF15の添加によって引き起こされるRETシグナル伝達を阻害する候補アンタゴニスト分子の能力を決定する細胞ベースのアッセイである。力価はアッセイにおけるIC50として定量化し得る。好ましくは、抗体は、ERKリン酸化アッセイにおいて15nM以上(すなわち、15nM以下)の力価(IC50)でGFRAL活性化を阻害する。好ましくは、IC50は10nM以下、例えば5nM以下である。
本明細書において記載される抗体をコードする核酸もまた、前記核酸を含む細胞として提供される。インビトロの宿主細胞は核酸を含み得、当該核酸は場合により、宿主細胞の細胞(例えばゲノム)DNAに組み込まれているか、または一過性トランスフェクションされている(例えば、プラスミドDNA)。
抗GFRALアンタゴニスト抗体は、医療用途に適している。GDF15-GFRAL-RET経路を介するホルモンGDF15のシグナル伝達を阻害する、GFRALを標的とするアンタゴニスト抗体は、悪液質(例えば、がん性悪液質)、および妊娠悪阻などの状態に対する潜在的な治療剤を表す。本明細書において例示する、アンタゴニスト抗GFRAL抗体によるGDF15:GFRAL相互作用の阻害は、in vivoでの食物摂取および体重に対するGDF15の作用を阻害する。抗GFRAL抗体またはそれをコードする核酸は、食物摂取を増加させるために患者に(例えば、がんに関連する悪液質または食欲不振の患者のために)投与し得る。抗GFRAL抗体またはそれをコードする核酸は、外科手術、放射線療法および/または抗新生物薬の投与などの他の抗がん介入と組み合わせて、補助治療薬として使用することができる。本発明者らは本明細書において、アンタゴニスト抗GFRAL抗体がマウスにおいてGDF15によって誘導されるコルチコステロンの産生を阻害し得ることを示す。コルチコステロンはマウスにおいて、グルココルチコイドクラスのステロイドホルモンである。ヒトのコルチコステロンに相当するのはコルチゾールである。血漿中のコルチゾールレベルは様々なストレス因子に反応して上昇する。コルチゾールは免疫系を抑制し、タンパク質の異化を促進し、異なる脂肪組織の部位によって異なるように脂肪分解を変化させ、糖新生を促進する。グルココルチコイドは生命に必須である。しかし、グルココルチコイドの循環レベルが長期にわたって過剰になると、筋肉疲労を促進するなど、有害な影響を及ぼす可能性がある。悪液質とは、除脂肪量と脂肪量の減少を特徴とする状態である。悪液質と関連するいくつかの状態では、視床下部下垂体副腎(HPA)軸の慢性的な活性化の根拠がある[37、38、39]。グルココルチコイドの既知の効果を考慮すると、HPA軸の過剰な活性化が悪液質を特徴とする状態における除脂肪量の減少に寄与している可能性が高い。本発明者らが本明細書で示す研究は、その受容体GFRALにおけるGDF15シグナル伝達の遮断が、GDF15の上昇レベルによるHPA軸の病理学的活性化を阻害し、それによって、骨格筋を含む除脂肪量に対するグルココルチコイドの慢性的上昇の有害な効果を減少させることを示唆する。
したがって、本発明のさらなる態様は、GDF15のレベルの上昇が、患者における循環コルチゾールの病理学的に上昇したレベルの有害な影響につながる視床下部下垂体副腎軸(HPA)の過剰な活性化を促進する状態の治療に関し、ここで、治療は、GDF15シグナル伝達の阻害剤を患者に投与することを含む。GDF15シグナル伝達の阻害剤は、コルチゾールの循環レベル(例えば、血漿中で測定されるか、または尿中の遊離コルチゾールの排出の評価によって測定される)を低下させ得る。
抗体を産生する方法、医薬組成物、および患者を処置する方法を含む、本発明のこれらのおよび他の態様および実施形態が、以下でより詳細に記載される。
残基1~18がシグナルペプチドを表す、394アミノ酸を含むヒトGFRAL 配列番号31、NCBI NP_997293.2のアミノ酸配列を示す。枠で囲んだアスパラギン残基は、N23、N50、N62、N67、N103およびN116のN-結合型グリコシル化(GlcNAc)部位である。GFRALは2つのGDNF/GAS1ドメインを含み、それぞれ枠で囲んだ残基131~210および残基220~316で形成されている。GDF15との相互作用に必要と考えられている領域は斜体で示す、残基149~228である。膜貫通ドメインは、太字で示す残基352~371にわたる。下線を引いた残基33の多型変異はヒト集団に存在し、1000ゲノムプロジェクトによれば、残基Rが約62%、Cが約38%で存在する。細胞質尾部のP386残基も可変性であり、Sである可能性がある。 マウスGFRAL 配列番号32、NCBI NP_995316.2のアミノ酸配列を示す。配列構成の注釈は、図1と同じ慣例を用いている。 ERKリン酸化アッセイにおけるlogヒトGDF15モル濃度に対してプロットしたΔF%を示す。 4nM(0.05μg/ml)のGDF15を用いたERKリン酸化アッセイにおけるアンタゴニスト滴定の蛍光変化を示す。 ヒトGFRALに結合する抗体のSPR分析からのセンサーグラムを示す。(A)QUEL-0101。(B)QUEL-0201。(C)QUEL-0301。 マウスGFRALに結合した抗体のSPR分析からのセンサーグラムを示す。(A)QUEL-0101。(B)QUEL-0201。(C)QUEL-0301。 図7は、(A)食物摂食および(B)体重のGDF15誘導性減少を阻害する抗GFRAL抗体の能力を示す。データは、左から右へ:アイソタイプ対照;低用量QUEL-0301;低用量QUEL-0201;高用量QUEL-0301;高用量QUEL-0201の処置群についてのデータである。 マウスにおけるGFRAL遮断抗体QUEL-0201のバリデーション検証に関するMouse Study 15(MS15)のデータを表す。対照ビヒクル(左棒)またはヒト組換えGDF15(右棒)投与後24時間における(AA)食物摂取および(BB)体重の変化率。データは平均値±SEMで表し、各群n=6~8である。ANOVAによって、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 Mouse Study 3(MS3)のデータ:0.1mg/kgヒト組換えGDF15投与あり(右棒)またはなし(左棒)のQUEL-0201-およびIgG対照処置マウスにおけるコルチコステロン血清レベルを示す。データは平均値±SEMで表し、各群n=6~8である。ANOVAによって、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 MS3のデータ::ヒト組換えGDF15で処置したQUEL-0201およびIgG群におけるヒトGDF15血清濃度を示す。データは、平均±SEMとして表し、各群n=6~8である。片側スチューデントのt検定によって、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図11A~Dは、(A)前脛骨筋;(B)腓腹筋;(C)長趾伸筋;(D)ヒラメ筋の筋肉における実施例8のデータを示す。0.1mg/kgヒト組換えGDF15投与(右棒、黒四角)または偽注射(左棒、白丸)を受けたQUEL-0201-またはIgG対照処置マウスにおけるMafbx、Murf1およびFoxo1のmRNA発現レベルの相対的な倍数変化(β-2ミクログロブリンに対して正規化)。データは平均値±SEMで表し、各群n=4~5である。二元配置分散分析および多重比較によって、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図11A~Dは、(A)前脛骨筋;(B)腓腹筋;(C)長趾伸筋;(D)ヒラメ筋の筋肉における実施例8のデータを示す。0.1mg/kgヒト組換えGDF15投与(右棒、黒四角)または偽注射(左棒、白丸)を受けたQUEL-0201-またはIgG対照処置マウスにおけるMafbx、Murf1およびFoxo1のmRNA発現レベルの相対的な倍数変化(β-2ミクログロブリンに対して正規化)。データは平均値±SEMで表し、各群n=4~5である。二元配置分散分析および多重比較によって、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図11A~Dは、(A)前脛骨筋;(B)腓腹筋;(C)長趾伸筋;(D)ヒラメ筋の筋肉における実施例8のデータを示す。0.1mg/kgヒト組換えGDF15投与(右棒、黒四角)または偽注射(左棒、白丸)を受けたQUEL-0201-またはIgG対照処置マウスにおけるMafbx、Murf1およびFoxo1のmRNA発現レベルの相対的な倍数変化(β-2ミクログロブリンに対して正規化)。データは平均値±SEMで表し、各群n=4~5である。二元配置分散分析および多重比較によって、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図11A~Dは、(A)前脛骨筋;(B)腓腹筋;(C)長趾伸筋;(D)ヒラメ筋の筋肉における実施例8のデータを示す。0.1mg/kgヒト組換えGDF15投与(右棒、黒四角)または偽注射(左棒、白丸)を受けたQUEL-0201-またはIgG対照処置マウスにおけるMafbx、Murf1およびFoxo1のmRNA発現レベルの相対的な倍数変化(β-2ミクログロブリンに対して正規化)。データは平均値±SEMで表し、各群n=4~5である。二元配置分散分析および多重比較によって、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
HPA軸の活性化におけるGDF15-GFRAL-RETシグナル伝達の役割
グルココルチコイドの循環レベルの上昇をもたらす視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の活性化は、広範囲のストレス刺激に反応して生じる。グルココルチコイドホルモン(ヒトでは主にコルチゾール)は、炎症、代謝、および血管に作用し、生物が生命を脅かすような試練に耐えるのを助ける[40]。感染に応答すると、TNFα/β、IL-1、およびIL-6などの炎症性サイトカインがこの軸を活性化する[41]。
化学毒素に対する細胞応答の研究では、GDF15が最も高度に上方制御された遺伝子の1つとして頻繁に同定されている[42、43]。GDF15は体内で遍在的に産生されており、広範囲のストレス因子に暴露されると、循環濃度が急速に上昇する[42、44]。シスプラチンは、コルチコステロン(げっ歯類のコルチゾールに相当)[45、46]とGDF15[35、35、47]の両方の循環レベルを上昇させることが知られている。小胞体(ER)ストレスは遺伝毒性とは機構的に異なり、GDF15の発現および分泌を増加させるその作用は十分に確立されている[48、49]。GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達に起因する作用は、本明細書の「背景技術」のセクションで議論されているように、主に食物摂取、食欲不振、悪液質、嘔吐、および条件付き嫌悪の制御に焦点を当てられている。このような様々な作用は、GDF15が生物に対する化学的脅威の存在のシグナルを伝達する役割を果たしていることと一致しており、これによって摂取された毒素への暴露率または排出率を減少させ、将来的にそれらの回避を促進することによって緩和される可能性がある。
本明細書で報告されるように、本発明者らは抗GFRAL抗体を用いた、GFRALの拮抗作用が、(i)in vivoでの食物摂食および体重に対するGDF15の作用を阻害し、また同用量で、(ii)GDF15に応答する循環グルココルチコイドレベルの上昇を阻害することを見出した。したがって、本発明者らは、GFRALを阻害することが、グルココルチコイドレベルを上昇させるGDF15の効果を含む、神経内分泌応答を阻害することを示している。抗GFRALは、循環グルココルチコイドのGDF15誘導性上昇に対抗する。
GDF15シグナル伝達の阻害剤
GDF15シグナル伝達の阻害剤には、GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体の活性化を阻害する分子が含まれる。阻害剤は、この複合体の形成(例えば、GDF15のGFRALへの結合を阻害すること、またはGDF15-GFRALのRETへの結合を阻害することによって)および/またはその機能的活性(例えば、受容体をより活性の低いコンフォメーションに偏らせることによって)を阻害し得る。GDF15シグナル伝達の阻害は、場合により、本明細書に記載されるERKリン酸化アッセイなどのin vitroアッセイにおいて測定される。GDF15シグナル伝達の他の阻害剤は、例えば、その発現を下方制御するか、またはその分解を増加させることによって、GDF15、GFRALまたはRETのレベルを低下させ得る。阻害剤は、細胞表面上のその存在を減少させることによって、GFRALまたはRETを下方制御し得る。
阻害剤は、場合により、GDF15、GFRALもしくはRET、またはそれらをコードする核酸に結合する。阻害剤は、場合により、低分子、核酸(例えば、阻害RNA)、またはバインダーポリペプチドであり得る。バインダーポリペプチドは、その標的抗原(例えば、GDF15、GFRALまたはRET)と特異的に結合し、阻害する能力を有するポリペプチド分子である。
従来のIgG抗体、および免疫グロブリンドメインに基づく他の結合タンパク質を含む、多くのクラスのバインダーポリペプチドが当技術分野において公知である。免疫グロブリンに結合していない分子もまた公知であり、結合ループは、フィブロネクチンなどの他のポリペプチド足場内に操作により作製することができる。
好ましくは、本発明のバインダーポリペプチドは、抗原への結合部位が免疫グロブリンドメインのループ領域によって形成されている免疫グロブリンドメインを含む。バインダーポリペプチドの好ましい実施形態は抗体である。抗GFRAL抗体の例は、本明細書中に詳細に記載されている。
例えば抗GFRAL抗体および抗GDF15抗体を含む、他のGDF15シグナル阻害剤は、国際公開第2017/189724号、国際公開第2017/172260号、国際公開第2017/152105号、国際公開第2017/147742号、国際公開第2017/121865号、国際公開第2017/055613号、国際公開第2016/049470号、国際公開第2015/144855号、国際公開第2014/100689号、国際公開第2014/049087号、国際公開第2013/023557号、国際公開第2013/012648号、国際公開第2011/070177号、国際公開第2005/099746号、および国際公開第2005/072112号に記載されている。
治療的使用
本発明の態様には以下:
GDF15シグナル伝達の阻害剤で患者を治療する方法、
患者を治療する際に使用するためのGDF15シグナル伝達の阻害剤、および
患者を治療するための医薬の製造のためのGDF15シグナル伝達の阻害剤の使用が含まれる。
本明細書に記載のGDF15シグナル伝達の阻害剤、例えば、抗GFRAL抗体は、GDF15-GFRAL経路の過剰な活性化に関連する任意の医学的状態を治療するために使用し得る。そのような状態の例は、本明細書中に記載され、以下
(i)がん、心不全、腎不全、慢性、慢性肺疾患、およびミトコンドリアミオパチーおよびサラセミアなどの希少遺伝性疾患を含む広範な状態に起因する悪液質(食欲の喪失、および骨格筋を含む、脂肪量および除脂肪量を含む体重の喪失)
(ii)上記(i)に列挙された全ての状態におけるGDF15高レベルに起因する神経内分泌機能障害
(iii)がん化学療法などのGDF15を急速に増加させる薬剤の結果としての悪心および嘔吐
(iv)妊娠悪阻
を含む。
GFRALにおけるGDF15シグナル伝達の阻害剤は、GDF15のレベルが急性的または慢性的に上昇しているあらゆる状態の治療に使用することができる。
GDF15の急性上昇は、細胞毒性化学療法、電離放射線への急性曝露、または妊娠初期などの刺激に応答して起こり、悪心、嘔吐、および身体活動の低下、ならびに視床下部下垂体副腎軸の活性化に関連することが知られている。GFRALにおけるGDF15シグナル伝達の遮断は、これらの現象全てを減少させると予測される。
GDF15の慢性的な上昇は、がん、慢性心不全、慢性呼吸器疾患、慢性腎不全、およびサラセミアおよびサラセミアミトコンドリアミオパチーのような様々な希少疾患など、広範囲の状態で生じる。これら全ての状態において、GDF15の上昇は慢性的な食欲および食物摂取の減少、脂肪量の減少、筋肉量の減少に関連しており、これら全てを合わせて悪液質と呼ぶ。悪液質の少なくともいくつかの形態では、HPA軸の慢性的な過剰活性化の証拠がある。筋肉タンパク質の分解に対するコルチゾールの既知の作用を考慮すると、HPA軸の過剰な活性化を防ぐことが筋肉量の減少に対して有益な効果をもたらすことは、少なくとももっともなことである。
治療は、予防的治療を含んでいてもよく、治療組成物は、治療されるべき病態の出現に先立って投与され、状態の影響を予防するか、または少なくとも改善する。治療はまた、状態の出現後に行ってもよく、例えば、状態の診断後に治療を処方し得る。上記の状態は、細胞毒性剤(例えば、がんの治療に使用される抗悪性腫瘍剤)または放射線治療を用いた治療などの他の医学的介入の副作用である可能性がある。
治療は、患者のコルチゾールの上昇を抑制する方向に向けられる場合がある。患者は、血液または尿において、1日の異なる時間にサンプリングすることによって(例えば、24時間尿遊離コルチゾールを測定することによって[50])検出可能な、コルチゾールの上昇した循環レベルを有する可能性がある。
患者は、血液中で検出可能なGDF15の上昇した生理学的レベルを有する可能性がある。GDF15のヒト血清レベルは、ある研究において150~1150pg/mLであると報告されている[51]。血液サンプルからGDF15を測定する方法が記載されており、例えば、ヒト血清および血漿中のGDF-15をin vitroで定量的に決定するためのElecsys(登録商標)GDF-15免疫アッセイなどのELISAまたはサンドイッチ免疫アッセイが記載される。
治療される患者はがん患者であってもよい。当技術分野の発表文献から明らかなように、多くの種類のがんがGDF15の増加と関連しており、がん性悪液質を促進する。がんは、固形腫瘍(場合により転移性)または血液がんであってもよい。がんは、膀胱がん、脳腫瘍、乳がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、腎臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)、黒色腫、中皮腫、神経芽腫、食道がん、口腔がんまたは口腔咽頭がん、胃腸がん(例えば、胃がん)、膵臓がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がんまたは子宮がんであってもよい。
あるいは、治療は、肺および/または心臓の状態(例えば、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患)、慢性腎疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)、嚢胞性線維症、多発性硬化症、運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症、結核、多系統萎縮症、水銀中毒、クローン病、関節リウマチまたはセリアック病を有する患者の悪液質を治療することを含み得る。
治療の結果、状態が軽減し、食物摂取の増加、および/または患者の体重の安定化もしくは増加が観察されることがある。例えば、患者を、がんに関連する悪液質に対して治療してもよく、治療により体重が増加するか、または体重の減少が低減する。
本発明にしたがって治療される患者は、細胞毒性化学物質に曝露された、または曝露される予定の患者であってもよい。本発明にしたがって治療される患者は、電離放射線に曝露された、または曝露される予定の患者であってもよい。
細胞毒性剤は、抗新生物剤であってもよく、その例は、以下および本明細書の他の箇所に提示される。治療は、本発明の組成物を、がん化学療法などの抗新生物剤による治療も受けている患者に投与する併用療法を含んでいてもよい。本発明の組成物は、抗新生物剤の前または後に投与してもよく、または同時に投与してもよい。一般的には別々の製剤で投与されるが、両剤を一緒に製剤化できる場合には、両剤を含む単一の医薬品の可能性もある。本発明による治療は、化学療法の効果を増強し得る。この治療は患者の生存期間を延長する可能性がある。また、患者のQOLを著しく改善することも期待される。
治療される患者は、以下のがん化学療法剤の1種またはそれ以上による治療を受けたか、または受ける予定の患者であってもよい:
アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファランなどの二官能性アルキル化剤、またはダカルバジン、ニトロソウレア、テモゾロミドなどの単官能性アルキル化剤);
アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルビシン);
細胞骨格破壊剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン、タキソテールなどのタキサン)
エポチロン(例えば、エポチロンA、B、C、D、EまたはF)
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン)
トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、タフルポシド)
トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、タフルポシド)
キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ)
ヌクレオチド類似体および前駆体類似体(例えば、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン)
ペプチド系抗生物質(例えば、ブレオマイシン、アクチノマイシン)
白金系製剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン)
レチノイド(例えば、アリトレチノイン、ベキサロテン、トレチノイン)
ビンカアルカロイドおよび誘導体(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)。
抗体
本発明に従った抗体は、免疫グロブリンであるか、または、天然のまたは一部分もしくは全体が合成によって産生された免疫グロブリンドメインを含む分子である。抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgE分子、またはこれらの抗原特異的な抗体断片(限定はしないが、Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合したFv、scFv、単一ドメイン抗体、閉じた立体構造の多重特異的抗体、ジスルフィド結合したscfv、ダイアボディを含む)であり得、これらは、抗体を天然に産生する任意の種に由来するか、または組換えDNA技術によって作成され;血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母、または細菌から単離されたものである。抗体は、通常の技術を使用してヒト化することができる。抗体という用語は、抗体の抗原結合部位を含むあらゆるポリペプチドまたはタンパク質を網羅する。抗原結合部位(パラトープ)は、その標的抗原のエピトープ、例えば、GFRALに結合し、それに相補的な、抗体の一部分である。
用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原の領域を指す。エピトープは、構造的または機能的であると定義される。機能的エピトープは一般に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接関与する残基を有する。エピトープはまた立体構造的でもあり得、すなわち、非線形アミノ酸からなり得る。ある特定の実施形態において、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な分子表面基である抗原決定基を含み得、ある特定の実施形態において、特異的な三次元構造特徴、および/または特異的な電荷特徴を有し得る。
抗原結合部位は、抗体の1つまたはそれ以上のCDRを含み、抗原に結合し得る、ポリペプチドまたはドメインである。例えば、ポリペプチドは、CDR3(例えばHCDR3)を含む。例えば、ポリペプチドは、抗体の可変ドメインのCDR1および2(例えば、HCDR1および2)またはCDR1~3(例えば、HCDR1~3)を含む。
抗体の抗原結合部位は、1つまたはそれ以上の抗体可変ドメインによって提供される。一例として、抗体の結合部位は、単一の可変ドメイン、例えば、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)または軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)によって提供される。別の例では、結合部位は、VH/VL対、または2つ以上のこのような対を含む。したがって、抗体の抗原結合部位は、VHおよびVLを含み得る。
抗体は、定常領域を含む免疫グロブリン全体であり得るか、または、抗体断片であり得る。抗体断片は、例えば無傷抗体の抗原結合領域および/または可変領域を含む、無傷抗体の一部分である。抗体断片の例としては:
(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片;
(ii)F(ab’)2断片、すなわち、ヒンジ領域でジスルフィド結合によって結合されている2つのFab断片を含む二価の断片;
(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;
(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、
(v)VHまたはVLドメインからなるdAb断片;ならびに
(vi)特異的な抗原結合機能性を保持する単離された相補性決定領域(CDR)
が挙げられる。
抗体のさらなる例は、重鎖の二量体(5’-VH-(任意のヒンジ)-CH2-CH3-3’)を含み、軽鎖を欠いている、H2抗体である。
一本鎖抗体(例えばscFv)は、一般に使用される断片である。多重特異的抗体は、抗体断片から形成される。本発明の抗体は、任意のこのようなフォーマットを必要に応じて利用し得る。
場合により、バインダーポリペプチド、またはその抗体免疫グロブリンドメインを、さらなるポリペプチド配列に、および/または、標識、タグ、毒素、もしくは他の分子に融合またはコンジュゲートさせることができる。バインダーポリペプチドを、1つまたはそれ以上の異なる抗原結合領域に融合またはコンジュゲートさせて、GFRALに加えて第2の抗原に結合し得る分子が提供される。例えば、本発明の抗体は、(i)GFRALへの抗体の抗原結合部位、および(ii)別の抗原を認識するさらなる抗原結合部位(場合により、本明細書において記載される抗体の抗原結合部位)を含む、多重特異的抗体、例えば二重特異的抗体であり得る。
抗体は、通常は、抗体のVHおよび/またはVLドメインを含む。抗体の単離されたVHおよびVLドメインもまた、本発明の一部である。抗体可変ドメインは、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、およびCDR3)、ならびにフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体の軽鎖および重鎖の一部分である。したがって、VHおよびVLドメインの各々には、CDRおよびFRが存在する。VHドメインは一組のHCDRを含み、VLドメインは一組のLCDRを含む。VHは、重鎖の可変ドメインを指す。VLは、軽鎖の可変ドメインを指す。VHおよびVLの各々は、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で並んだ3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明において使用される方法に従って、CDRおよびFRに割り当てられるアミノ酸位置は、IMGTの命名に従って定義される。
抗体は、VHのCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体VHドメインを含み得る。抗体は、あるいは、またはさらに、VLのCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびにフレームワークを含む抗体VLドメインを含み得る。本発明に従った抗体のVHおよびVLドメインならびにCDRの例は、表Aに列挙する通りである。本明細書において開示されている全てのVHおよびVL配列、CDR配列、CDRの組、ならびにHCDRの組およびLCDRの組は、本発明の態様および実施形態である。本明細書において記載される場合、「CDRの組」は、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。したがって、HCDRの組は、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を指し、LCDRの組は、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を指す。別段の記載が無い限り、「CDRの組」は、HCDRおよびLCDRを含む。
実施例により詳細に記載されているように、本発明者らは、QUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301と命名された、特に関心のある抗体を単離し、特性決定した。その後、QUEL-0101およびQUEL-0301それぞれの構造バリアント、すなわちQUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304を同定した。本発明の様々な態様において、文脈が他に指示しない限り、抗GFRAL抗体は、場合により、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0201、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304から選択し得る。場合により、QUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301から選択される。
本発明は、添付の配列表において示されているこれらの抗体のVHおよび/またはVLドメイン配列を有する抗GFRAL抗体、ならびに、これらの抗体のHCDRおよび/またはLCDRを含む、また場合により、重鎖アミノ酸配列全体および/または軽鎖アミノ酸配列全体を有する抗体を包含する。
抗体のVHドメインまたはVLドメインが、組換えによってそれが得られた元である生殖細胞系列遺伝子セグメントと異なる、フレームワーク領域内の1つまたはそれ以上の残基を含む場合、非生殖細胞系列の残基は保持されているか、または異なる残基に突然変異していてよく、例えば、非生殖細胞系列残基は、生殖細胞系列残基に戻っていてよい。対応する生殖細胞系列遺伝子セグメントは、可変ドメインの配列が最も密接に整列している遺伝子セグメントとして同定することができ、QUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301のVHおよびVLドメインそれぞれに対応する生殖細胞系列遺伝子セグメント、ならびにそれらの対応する関連抗体は、本明細書の表Gに示されている。
本発明に従った抗体は、本明細書において記載される1つまたはそれ以上のCDR、例えばCDR3を含み得、場合により、一組のCDRを形成するために、CDR1およびCDR2も含み得る。CDRまたはCDRの組は、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0201、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのCDRまたはCDRの組であり得る。
本発明は、抗体QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104、QUEL-0105、QUEL-0201、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのHCDR1、HCDR2、および/もしくはHCDR3、ならびに/または、これらの抗体のいずれかのLCDR1、LCDR2、および/もしくはLCDR3、例えば一組のCDRを含む抗体を提供する。抗体は、これらの抗体の1つの一組のVH CDRを含み得る。場合により、抗体はまた、これらの抗体の1つの一組のVL CDRを含み得、VL CDRは、VH CDRと同一のまたは異なる抗体に由来し得る。
開示されているHCDRの組を含むVHドメイン、および/または開示されているLCDRの組を含むVLドメインもまた、本発明によって提供される。
以下でさらに論じるように、VHまたはVLドメイン単独は、抗原に結合させるために使用することができるが、典型的には、VHドメインはVLドメインと対合して、抗体の抗原結合部位を生じさせる。QUEL-0201のVHドメインは、QUEL-0201のVLドメインと対合し得、したがって、QUEL-0201のVHドメインおよびVLドメインの両方を含む抗体の抗原結合部位が形成される。類似の実施形態が、本明細書中に開示される他のVHおよびVLドメインについて提供される。他の実施形態において、QUEL-0201 VHは、異なるVLドメイン、例えば、λ VLドメイン、例えば、QUEL-0301 VLドメインと対にされる。反対に、QUEL-0301 VHは、異なるVLドメイン、例えばλ VLドメイン、例えばQUEL-0201 VLドメインと対になり得る。軽鎖の無差別な対合は、当技術分野で十分に確立されている。例えば:
QUEL-0101 VHドメインは、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0102 VHドメインは、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0103 VHドメインは、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0104 VHドメインは、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0105 VHドメインは、QUEL-0101、QUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0301 VHドメインは、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0302のVHドメインは、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0303 VHドメインは、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのVLドメインと対になり得る。
QUEL-0304 VHドメインは、QUEL-0301、QUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304のいずれかのVLドメインと対になり得る。
抗体は、抗体フレームワーク内に1つまたはそれ以上のCDR、例えば一組のCDRを含み得る。フレームワーク領域は、ヒト生殖細胞系列遺伝子セグメント配列のものであり得る。したがって、抗体は、ヒト生殖細胞系列フレームワークにおいて一組のHCDRを含むVHドメインを有するヒト抗体であり得る。通常、抗体はまた、例えばヒト生殖細胞系列フレームワークにおいて、一組のLCDRを含むVLドメインを有し得る。抗体の「遺伝子セグメント」、例えば、VH遺伝子セグメント、D遺伝子セグメント、またはJH遺伝子セグメントは、抗体のその部分が由来した元である核酸配列を有するオリゴヌクレオチドを指し、例えば、VH遺伝子セグメントは、ポリペプチドVHドメインのFR1からCDR3の一部分に対応する核酸配列を含むオリゴヌクレオチドである。ヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントは、組換えられてVHドメインを生じさせ、ヒトVおよびJセグメントは、組換えられてVLドメインを生じさせる。DドメインまたはD領域は、抗体鎖の多様性(diversity)ドメインまたは多様性領域を指す。JドメインまたはJ領域は、抗体鎖の連結ドメインまたは連結領域を指す。体細胞超突然変異は、対応する遺伝子セグメントと正確にはマッチまたはアラインしないフレームワーク領域を有する抗体VHまたはVLドメインを生じさせ得るが、配列アラインメントは、最も近い遺伝子セグメントを同定するため、ひいては、どの遺伝子セグメントの特定の組合せから特定のVHまたはVLドメインが由来するかを同定するために、使用することができる。抗体配列を遺伝子セグメントとアラインする場合、抗体のアミノ酸配列が、遺伝子セグメントによってコードされるアミノ酸配列とアラインされるか、または、抗体のヌクレオチド配列が、遺伝子セグメントのヌクレオチド配列と直接アラインされる。
本発明の抗体は、ヒト抗体、またはヒト可変領域および非ヒト(例えばマウス)定常領域を含むキメラ抗体であり得る。本発明の抗体は、例えば、ヒト可変領域を有し、場合により、ヒト定常領域も有する。
したがって、抗体は、場合により、定常領域またはその一部分、例えば、ヒト抗体の定常領域またはその一部分を含む。例えば、VLドメインは、そのC末端で、抗体軽鎖カッパまたはラムダ定常ドメインに付着していてよい。同様に、抗体VHドメインは、そのC末端で、任意の抗体アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgE、およびIgM、ならびに、アイソタイプサブクラスのいずれか、例えばIgG1またはIgG4に由来する免疫グロブリン重鎖定常領域の全てまたは一部(例えば、CH1ドメインまたはFc領域)に付着していてよい。好ましい例は、IgG4PE、例えば、配列番号60である。ヒト重鎖定常領域配列のさらなる例を表Cに示す。
好ましい実施形態において、抗GFRAL抗体は、
(i)QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびヒトIgG4重鎖定常領域(例えば、IgG4PE 配列番号60)を含む重鎖、および
(ii)QUEL-0201 VLドメイン配列番号17およびヒトλ定常領域(例えば、表Cに示される配列を有する)を含む軽鎖、
を含むQUEL-0201 IgGである。
別の好ましい実施形態では、抗GFRAL抗体は、
(i)QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびヒトIgG4重鎖定常領域(例えば、IgG4PE 配列番号60)を含む重鎖、および
(ii)QUEL-0301 VLドメイン配列番号17およびヒトλ定常領域からなる軽鎖(例えば、表Cに示される配列を有する)を含む軽鎖
を含むQUEL-0301 IgGである。
別の好ましい実施形態において、抗GFRAL抗体は、
(i)QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびヒトIgG4重鎖定常領域(例えば、IgG4PE 配列番号60)を含む重鎖、および
(ii)QUEL-0101 VLドメイン配列番号7およびヒトκ定常領域(例えば、表Cに示される配列を有する)を含む軽鎖
を含むQUEL-0101 IgGである。
本発明の抗体の定常領域は、あるいは、非ヒト定常領域であり得る。例えば、抗体がトランスジェニック動物(その例は、本明細書の他の箇所で記載されている)において作製される場合、ヒト可変領域および非ヒト(宿主動物)定常領域を含むキメラ抗体が産生される。一部のトランスジェニック動物は、完全にヒトの抗体を作製する。他のものは、キメラ重鎖および完全にヒトの軽鎖を含む抗体を生じるように操作されている。抗体が1つまたはそれ以上の非ヒト定常領域を含む場合、これらをヒト定常領域で置き換えるとそれらの免疫原性が低減するため、治療用組成物としてのヒトへの投与により適した抗体を産生するために、このような置き換えを行ってもよい。
酵素パパインで抗体を消化すると、「Fab」断片としても知られている2つの同一の抗原結合断片と、抗原結合活性を有さないが結晶化能力は有する「Fc」断片とが生じる。本明細書において使用される「Fab」は、重鎖および軽鎖の各々の1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメインを含む抗体の断片を指す。本明細書における用語「Fc領域」は、ネイティブな配列のFc領域およびバリアントFc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。「Fc断片」は、ジスルフィドによって共に保持されている両H鎖のカルボキシ末端部分を指す。抗体のエフェクター機能は、ある特定のタイプの細胞で見られるFc受容体(FcR)によっても認識される領域であるFc領域における配列によって決定される。酵素ペプシンで抗体を消化すると、F(ab’)2断片が生じ、当該断片は、抗体分子の2つのアームが結合したままであり、2つの抗原結合部位を含む。F(ab’)2断片は、抗原を架橋する能力を有する。
「Fv」は、本明細書において使用される場合、抗原認識部位および抗原結合部位の両方を保持する抗体の最小断片を指す。この領域は、強固に、非共有結合により、または共有結合により結び付いた、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体構造において、各可変ドメインの3つのCDRは相互作用して、VH-VL二量体の表面上で抗原結合部位を規定している。総合すると、6つのCDRによって、抗原結合特異性が抗体に付与される。しかし、単一の可変ドメイン(または、3つの抗原特異的CDRのみを含む、半分のFv)であっても、結合部位全体よりも親和性は低いが、抗原を認識し結合する能力を有する。
本明細書において開示されている抗体は、血清中半減期を増大または低下させるように修飾される。一実施形態において、以下の突然変異:T252L、T254S、またはT256Fの1つまたはそれ以上が、抗体の生物学的半減期を増大させるために導入される。そこに記載されている修正が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,869,046号および米国特許第6,121,022号において記載されているように、生物学的半減期はまた、重鎖定常領域のCHドメインまたはCL領域を、IgGのFc領域のCHドメインの2つのループから得られるサルベージ受容体結合エピトープを有するように改変することによって、増大し得る。別の実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片のFcヒンジ領域は、抗体または断片の生物学的半減期を減少させるように突然変異される。1つまたはそれ以上のアミノ酸突然変異がFc-ヒンジ断片のCH-CHドメイン界面領域に導入され、その結果、抗体または断片は、ネイティブなFc-ヒンジドメインのブドウ球菌タンパク質A(SpA)結合と比較して、SpA結合が損なわれている。血清中半減期を増大させる他の方法は当業者に公知である。したがって、一実施形態において、抗体または断片はペグ化されている。別の実施形態において、抗体または断片は、アルブミン結合ドメイン、例えば、アルブミン結合単一ドメイン抗体(dAb)に融合している。別の実施形態において、抗体または断片は、PAS化(すなわち、大きな流体力学的容積を有する非荷電のランダムコイル構造を形成するPAS(XL-Protein GmbH)から構成されるポリペプチド配列の遺伝的融合)される。別の実施形態において、抗体または断片は、XTEN化(登録商標)/rPEG化(すなわち、治療用ペプチドへの正確でない反復ペプチド配列(Amunix、Versartis)の遺伝的融合)される。別の実施形態において、抗体または断片は、ELP化(すなわち、ELP反復配列(PhaseBio)への遺伝的融合)される。これらの様々な半減期を延ばす融合は、Strohl、BioDrugs(2015)29:215~239においてより詳細に記載されており、例えば表2および表6におけるこの融合は、参照によって本明細書に組み入れる。
抗体定常領域
上述したように、抗体は、様々なアイソタイプで、および異なる定常領域を伴って、提供される。抗体のFc領域は、Fc受容体によって認識され、抗体の、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)活性、相補体依存性細胞傷害(CDC)活性、および抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性を含む細胞エフェクター機能を仲介する能力を判定する。これらの細胞エフェクター機能は、Fc受容体を担持する細胞を標的細胞の部位に動員し、抗体に結合した細胞を死滅させることを伴う。
本発明の文脈において、ADCC、ADCP、および/またはCDCなどの細胞エフェクター機能を避けることが望ましい。したがって、本発明に従った抗体はFcエフェクター機能を欠いていてよく、例えば、本発明に従った抗体は、ADCC、ADCP、および/もしくはCDCを仲介しないFc領域を有し得るか、または、これらは、Fc領域を欠いているかもしくは抗体定常領域全体を欠いている。抗体は、エフェクターヌルの定常領域を有し得る。
抗体は、1つまたはそれ以上のタイプのFc受容体に結合するが細胞エフェクター機能を誘導しない、すなわち、ADCC、CDC、またはADCP活性を仲介しない、重鎖定常領域を有し得る。このような定常領域は、ADCC、CDC、またはADCP活性を引き起こすことに関与する特定のFc受容体に結合することができない場合がある。
抗体は、Fcγ受容体に結合しない重鎖定常領域を有し得、例えば、定常領域は、「E」突然変異、例えばIgG4-Eと呼ばれる、Leu235Glu突然変異(すなわち、野生型ロイシン残基がグルタミン酸残基に突然変異しているもの)を含み得る。重鎖定常領域の別の任意選択の突然変異は、Fabアームの交換を低減させることによって安定性を増大させるSer228Pro(「P」突然変異)である。重鎖定常領域は、Leu235Glu突然変異とSer228Pro突然変異との両方を含むIgG4であり得る。この「IgG4-PE」重鎖定常領域は、エフェクターヌルである。代替的なエフェクターヌルのヒト定常領域は、無効化されたIgG1である。
IgG4PEは、本発明の好ましい抗体アイソタイプである。バインダーポリペプチドは、表Cで示すIgG4PE定常領域の配列を含むIgG4PE抗体であり得る。
抗体定常領域は、インビボでの半減期が延びるように操作される。例としては、「YTE」突然変異および他の半減期延長突然変異が挙げられる(参照によって本明細書に組み入れる、Dall’Acqua、Kiener、およびWu、JBC 281(33):23514~23524、2006、ならびにWO02/060919)。トリプル突然変異YTEは、IgGのCH2ドメインにおける3つのアミノ酸の置換であり、これらの突然変異は、KabatのEUインデックスに従って番号付けされた、残基252のチロシン、残基254のスレオニン、および残基256のグルタミン酸を提供する。参照される刊行物において記載されているように、YTE修飾は、ヒトCH2野生型ドメインを有する対応する抗体の半減期と比較して、抗体の半減期を増大させる。インビボでの有効期間を増大させるために、本発明の抗体は、対応する野生型ヒト定常領域(例えばIgG、例えばIgG CH2ドメイン)と比較して抗体の半減期を増大させる1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体定常領域(例えばIgG定常領域、例えばIgG CH2ドメイン)を含み得る。半減期は、WO02/060919において記載されているものなどの標準的な方法によって決定することができる。
さらなる定常領域の例を表Cに示す。
GFRALへの結合
ヒトGFRALおよびマウスGFRALの一次構造をそれぞれ図1および2に示す。
GDF15シグナル伝達阻害剤、例えば抗GFRAL抗体は、GFRALの細胞外ドメイン内のエピトープを認識し得る。それは、図1に示されるように、残基19~351の配列内に結合し得る。例えば、エピトープは、最初のGDNF/GAS1ドメインの上流の残基を含むGFRALのN末端領域を含み得る。
抗体に結合するGFRALの残基(すなわち、正確な構造エピトープ)は、抗体:抗原複合体の構造解析、例えば、凍結電子顕微鏡法またはX線結晶構造解析によって決定することができる。結合残基には、側鎖またはポリペプチド骨格を介して抗体と塩橋、疎水性相互作用または水素結合を形成する残基が含まれる。エピトープはさらに、グリコシル化抗原上の糖鎖部分を含み得る。
抗GFRAL抗体は、QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301によって認識されるエピトープと同一または重複するGFRALのエピトープを認識し得る。抗GFRAL抗体は、例えば、QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301が結合する残基の1つまたはそれ以上、場合により全てを含むエピトープに結合し得る。これらのエピトープの認識は、アンタゴニスト活性、すなわち、GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達の阻害と関連しており、したがって、標的化するための貴重なエピトープである。
抗体または他の阻害剤間の競合もまた決定し得る。例えば、抗GFRALバインダーは、QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301のVHおよびVLドメインを含む抗体(例えば、IgGまたはscFv)、または完全な重鎖および軽鎖を含むIgGと競合し得る。例えば、QUEL-0201 IgGと競合する可能性がある。
バインダーポリペプチドまたは他剤間の競合は、それらがGFRALの同じ領域にエピトープを有することを示し、例えば、両者は重複する結合フットプリントで同じドメインに結合する可能性がある。このことは、他の技術、例えば、GFRALに結合した抗GFRAL分子の構造解析によって確認することができ、これは、例えば、上述の凍結電子顕微鏡法またはX線結晶構造解析を使用して達成することができる。
競合は、場合により、溶液中で2つのバインダーが同時にGFRAL細胞外ドメインに結合する能力を評価するサンドイッチアッセイによって決定される。このアッセイでは、第1のバインダー(例えば、抗GFRAL抗体QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301 IgG)が固体支持体に結合し、GFRAL抗原が溶液中で添加され、抗体-抗原(または他のバインダー-抗原)複合体が形成されることが可能になる。その後、試験抗体または他の抗GFRAL結合分子を溶液中で添加する。試験分子の結合が検出された場合、それは第1のバインダー(例えば、参照(QUEL)抗体)と競合しないことを示す。試験分子の結合が検出されない場合、第1のバインダー(例えば、参照抗体)と、GFRALとの結合について競合しないことを示す。アッセイはSPRを用いて実施することができ、この場合、第1のバインダーはバイオセンサーチップの表面に結合する。IgGの場合、結合は一般的にFc領域を介しており、例えば抗Fc抗体でコーティングしたチップを用いる。SPRサンドイッチアッセイのさらなる詳細については実施例4を参照されたい。
場合により、抗GFRALバインダーはGDF15とGFRALとの結合を阻害しない。これは、上記の原理を用いたサンドイッチアッセイで決定することができ、バインダーを固体支持体に結合し、溶液中のGFRAL抗原を添加し、次いでGDF15の結合または結合の非存在を決定する。
結合に対する親和性
GFRALに対するバインダー(例えば、抗GFRAL抗体)の親和性は、結合相互作用の会合またはオン速度(Ka)および解離またはオフ速度(kd)の比Ka/Kdである平衡解離定数KDの観点から定量化することができる。抗原結合のKD、KaおよびKdは、表面プラズモン共鳴SPRを用いて測定することができる。SPRの手順および条件の例を実施例2および実施例3に示す。親和性(KD)は、抗体と抗原との相互作用の強さの尺度である。会合速度(ka)は、抗原が認識される速度を示す。解離速度(ka)は結合の安定性の尺度である。これらを総合すると、動態データは生物学的活性、薬物動態、および投与レジメンに示唆を与える貴重な情報を提供する。
SPRは、抗GFRALバインダーをバイオセンサーチップに(直接的または間接的に)コーティングまたは固定化し、バインダーを緩衝剤中で抗原にある濃度範囲で曝露し、結合を検出し、結合相互作用の平衡解離定数Kを算出することを含み得る。IgG抗体の場合、チップへの結合は、抗Fcコートチップ(抗ヒトFc抗体をチップ表面に有する、例えばチップ表面に化学的に固定化したチップ)上のFc捕捉を介して都合の良いように行うことができる。結合データは、使用する機器に固有であり得る標準的なアルゴリズムを使用して、1:1モデルにフィッティングすることができる。Biacore(商標)、ProteOn XPR36(商標)(Bio-Rad(登録商標))、およびKinExA(登録商標)(Sapidyne Instruments,Inc)などの、様々なSPR機器が公知である。簡単に説明すると、SPRは25℃で、バインダーを1μg/mlの濃度で60秒間チップ上に捕捉し(例えば、約80~140RUを捕捉し得る)、可溶性GFRAL(分析物)を30μLL/分で120秒間(会合時間)注入し、1200秒間解離をモニターすることにより実施し得る。分析物は希釈系列で注入してもよい(例えば、100、25、6.25、1.56、0.39、0.098、0.024、0nM濃度)。適切なランニング緩衝剤としては、1mM CaClを含むHBS-P+緩衝剤pH7.4である。バインダーポリペプチドのセンサーグラムが作成され、データは1:1相互作用モデルにフィッティングされる。Kおよび場合によってその他の動態データが計算される。単離された精製GFRAL細胞外ドメインはアッセイに都合の良いように使用でき、SPRに適した分析物である(実施例2参照のこと)。
GFRAL結合についての種の交差反応性
非ヒト動物における抗GFRAL抗体の治療的使用または試験を可能にするために、抗体は対象種の対応する抗原と交差反応性でなければならない。
本発明の抗体は、ヒトGFRALに加えて、マウスGFRAL、ラットGFRALおよび/またはカニクイザルGFRALに結合することが好ましい。
抗GFRAL抗体または他の抗GFRAL結合分子の種間交差反応性の程度は、ある種の抗原に対する親和性の倍数差として、他の種の抗原と比較したものであり、例えば、ヒト抗原対マウス抗原に対する親和性の倍数差である。親和性は、抗原結合分子への抗原の結合の平衡解離定数を指すKDとして定量することができる。KDは、本明細書の他の箇所において記載されているSPRによって決定することができる。
ある種の交差反応性結合分子は、ヒト抗原と非ヒト抗原との結合親和性の倍数差が、100倍以下、50倍以下、30倍以下、25倍以下、20倍以下、15倍以下、10倍以下、5倍以下、または2倍以下であってもよい。言い換えれば、ヒト抗原の細胞外ドメインと結合するKは、非ヒト抗原の細胞外ドメインとの結合についてのKの100倍以内、50倍以内、30倍以内、25倍以内、20倍以内、15倍以内、10倍以内、5倍以内、または2倍以内であってもよい。
好ましくは、ヒト抗原と非ヒト抗原の結合親和性は10倍以下の範囲内であり、より好ましくは5倍以下または2倍以下である。マウスGFRALとの結合についてのKは、例えばSPRによって決定され、ヒトGFRALとの結合についてのKよりも最大10倍(好ましくは最大5倍または最大2倍)大きくてもよく、または最大10倍(好ましくは最大5倍または最大2倍)低くてもよい。
また、両方の種の結合抗原のKが閾値を満たす場合、例えば、ヒト抗原と結合するKおよび非ヒト(例えばマウス)抗原と結合するKがともに10mM以下、好ましくは5mM以下、より好ましくは1mM以下である場合、結合分子は種交差反応性であると考えることができる。Kは、100nM以下、50nM以下、25nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、または1nM以下であってもよい。
結合分子は、複数の種由来のGFRAL(例えば、ヒトおよびマウス、ラットおよびカニクイザルGFRALのうちの1つもしくはそれ以上、または全て)を用いた細胞ベースのアッセイにおいて、GDF15シグナル伝達を阻害する測定可能な能力を有し得る。ヒトおよび非ヒト(例えば、マウス、ラットまたはカニクイザル)GFRALを用いた本明細書に記載のアッセイ、例えば、ERKリン酸化アッセイにおいて、GDF15誘導性GFRALシグナル伝達活性の用量依存的阻害を示し得る。
異なる種の抗原結合についての種交差反応性は好都合であり得るが、それでもGFRALに対するバインダーの選択性は、望ましくない副作用を回避するために望ましい。したがって、体内では、GFRALがバインダーポリペプチドの抗原結合部位に結合する唯一の抗原であることが好ましい。このことにもかかわらず、バインダーポリペプチドは、場合により、さらなる結合部位を含むように操作され、また、抗体定常領域を含む抗体は、例えば、1つまたはそれ以上のFc受容体に場合により結合し得る。
GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体の阻害
GDF15シグナル伝達の阻害剤、例えば抗GFRAL抗体の機能活性は、in vitroで試験し得る。適切なアッセイは、ERKリン酸化アッセイである。このアッセイにおいて、細胞表面でGFRALおよびRETを共発現する細胞はGDF15とインキュベートされ、その結果、GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体が形成され、ERKのリン酸化を含む下流シグナル伝達が生じる。ERKリン酸化は、例えばHTRFを用いて、蛍光の変化を検出することにより、溶解細胞において定量化することができる。阻害剤の非存在下において、希釈系列でのGDF15の添加はシグモイド曲線を生成する(図3)。このアッセイにおける阻害剤の添加の効果は、HTRFによって検出される蛍光の変化に対するその効果によって定量化することができる。当業者であれば、適切な対照を含め、試薬の適切な濃度を決定するためにアッセイを較正するであろう。例えば、GDF15阻害剤の非存在下でアッセイにおいて最大応答を与えるのに十分なGDF15の濃度を決定するために、適切な濃度を選択する前に、GFRAL/RET発現細胞をある濃度範囲のGDF15に曝露し、各濃度における阻害を決定することができる。例えば、本発明者らは、4nMの濃度が本発明の実験において最大応答を生じることを見出し、したがって、このアッセイに使用するGDF15濃度として4nMを選択した。さらなる詳細は実施例1に記載されている。
GDF15シグナル伝達の阻害剤は、例えば、ヒトおよび/または非ヒト(例えば、マウス、ラットまたはカニクイザル)GFRALを用いたERKリン酸化アッセイにおいて、GDF15誘導性GFRALシグナル伝達活性の用量依存的阻害を示し得る。ERKリン酸化アッセイは、IC50値を算出し得る用量反応曲線を作成するために、阻害剤を様々な濃度で用いて実施し得る。したがって、本発明による阻害剤は、このような酵素アッセイにおける用量依存的阻害によって同定することができる。
阻害剤の力価はIC50として定量化することができる。
例えば、抗GFRAL抗体は、このようなアッセイにおいて15nM以下のIC50を有し得る。抗GFRAL抗体のようなバインダーポリペプチドの力価は、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の抗GFRAL抗体と参照のために比較し得る。例えば、QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301のVHおよびVLドメインを含む抗体を参照抗体として使用することができる。参照抗体は、IgGとして提供される。GDF15シグナル伝達の阻害剤、例えば本発明による抗GFRAL抗体は、QUEL-0101、QUEL-0201またはQUEL-0301 IgGのIC50の50%以内または10%以内のIC50を有するものであってもよく、または前記参照抗体のIC50よりも低いIC50を有するものであってもよい。「~のx%以内」は、試験用バインダーポリペプチドのIC50が参照抗体のIC50よりもx%以下大きいおよびx%以下小さいことを意味する。
抗GFRAL抗体は、ERKリン酸化アッセイにおいて10nM以下、場合により5nM以下のIC50を有し得る。
バインダーポリペプチドの生成および修飾
抗体を含むバインダーポリペプチドを同定および製造するための方法は、当技術分野で周知である。
例えば、抗体は、GFRALまたはそのコード核酸で免疫し、その後場合により、ヒトまたはヒト化抗体を産生するように定常領域および/または可変領域をヒト化した実験動物、例えば、トランスジェニックマウス(例えば、Kymouse(登録商標)、Velocimouse(登録商標)、Omnimouse(登録商標)、Xenomouse(登録商標)、HuMab Mouse(登録商標)またはMeMo Mouse(登録商標))を含むマウス、ラット(例えば、Omnirat(登録商標))、ラクダ科動物、サメ、ウサギ、ニワトリまたは他の非ヒト動物を使用して生成される。一例では、当業者には明らかなように、酵母、ファージまたはリボソームディスプレイなどのディスプレイ技術が使用される。例えばディスプレイ技術を使用する標準的な親和性成熟が、トランスジェニック動物、ファージディスプレイライブラリーまたは他のライブラリーから誘導された抗体を単離した後のさらなる工程で行われる。適切な技術の代表的な例は、その全体を参照によって本明細書に組み入れるUS20120093818(Amgen,Inc)、例えば、段落[0309]~[0346]に提示された方法に記載されている。
大規模製造に向けたポリペプチド配列の最適化、精製の容易化、安定性の増強、または所望の医薬製剤に封入するための適合性の改善を含む、バインダーの変異体を作成することが望ましくなり得る多くの理由がある。例えば、1つのアミノ酸を代わりのアミノ酸で置換(CysおよびMetは例外となる可能性があるが、場合により、全ての天然に存在するアミノ酸をこの位置に含有する変異体を生成)し、機能および発現に対する影響をモニタリングして最良の置換を決定するなどのタンパク質工学作業が、抗体配列の1個またはそれ以上の標的残基で行われる。残基をCysもしくはMetで置換するか、またはこれらの残基を配列に導入することは望ましくない場合がある。その理由は、そうすることで、例えば新たな分子内または分子間システイン-システイン結合の形成により、製造に問題を生じる可能性があるためである。主な候補が選択されており、製造および臨床開発のために最適化されている場合、その抗原結合特性をできるだけ変えないか、または少なくとも親分子の親和性および力価を保持することが一般的に望ましいであろう。しかし、変異体は、親和性、交差反応性または中和力価などの重要な抗体の特徴を調節するために生成することもできる。
抗体は、Hおよび/またはL CDRの開示された組の中に1個またはそれ以上のアミノ酸変異を含む開示された抗体のいずれかの一組のHおよび/またはL CDRを含んでもよい。変異は、アミノ酸置換、欠失または挿入であってもよい。故に、例えば、Hおよび/またはL CDRの開示された組の中に1個またはそれ以上のアミノ酸置換があってもよい。例えば、一組のHおよび/またはL CDRの中に最大12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個の変異、例えば置換があってもよい。例えば、HCDR3に最大6個、5個、4個、3個もしくは2個の変異、例えば置換があってもよく、および/またはLCDR3に最大6個、5個、4個、3個、もしくは2個の変異、例えば置換があってもよい。抗体は、一組のHCDR、LCDR、もしくは本明細書における任意のQUEL抗体について示された一組の6つの(HおよびL)CDRを含んでもよく、または1個もしくは2個の保存的置換を含むCDRのその組を含んでもよい。
1個またはそれ以上のアミノ酸変異は、本明細書に開示された抗体VHまたはVLドメインのフレームワーク領域に場合により導入される。例えば、対応するヒト生殖細胞系列セグメント配列とは異なる1個またはそれ以上の残基が、生殖細胞系列に復帰される。例示的抗GFRAL抗体のVHおよびVLドメインに対応するヒト生殖細胞系列遺伝子セグメント配列は、表Gに示されている。
抗体は、添付の配列表に示された抗体のいずれかのVHドメインと少なくとも60、70、80、85、90、95、98もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインを含んでもよく、および/またはそれらの抗体のいずれかのVLドメインと少なくとも60、70、80、85、90、95、98もしくは99%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメインを含んでもよい。2つのアミノ酸配列の同一性%を算出するのに使用することができるアルゴリズムとしては、例えばBLAST、FASTA、または例えばデフォルトパラメーターを使用するスミスウォーターマンアルゴリズムが挙げられる。特定の変異体は、1つまたはそれ以上のアミノ酸配列変更(アミノ酸残基の付加、欠失、置換および/または挿入)を含んでもよい。
変更は、1つもしくはそれ以上のフレームワーク領域および/または1つもしくはそれ以上のCDRに対して行われる。変異体は場合により、CDR変異誘発によって提供される。変更は通常は機能の喪失をもたらさず、そのため、このようにして変更されたアミノ酸配列を含む抗体は、ヒトGFRALおよび/またはマウスGFRALに結合する能力を保持し得る。該抗体は、例えば本明細書に記載されたアッセイで測定した場合、変更を加えられない抗体と同じ定量的結合能を保持し得る。このようにして変更されたアミノ酸配列を含む抗体は、ヒトおよび/またはマウスGFRALに結合するおよび/またはヒトおよび/またはマウスGFRALを阻害する能力が改善し得る。
変更は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を天然に存在しないもしくは非標準的なアミノ酸と交換すること、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を天然に存在しないもしくは非標準的な形態に修飾すること、または1つもしくはそれ以上の天然に存在しないもしくは非標準的なアミノ酸を配列に挿入することを含んでもよい。本発明の配列中の変更の数および位置の例は、本発明の他の箇所に記載されている。天然に存在するアミノ酸には、標準的な1文字表記によりG、A、V、L、I、M、P、F、W、S、T、N、Q、Y、C、K、R、H、D、Eとして識別される、20種類の「標準的な」L-アミノ酸が挙げられる。非標準的なアミノ酸には、ポリペプチド骨格に組み込まれるか、または既存のアミノ酸残基の修飾から生じ得る任意の他の残基が挙げられる。非標準的なアミノ酸は、天然に存在してもよく、または天然に存在しなくてもよい。
用語「変異体」は本明細書で使用される場合、1つまたはそれ以上のアミノ酸または核酸の欠失、置換または付加により親ポリペプチドまたは核酸とは異なるが、それにもかかわらず、親分子の1つまたはそれ以上の特定の機能または生物学的活性を保持するペプチドまたは核酸を指す。アミノ酸置換は、アミノ酸が、天然に存在する異なるアミノ酸残基と交換される変更を含む。そのような置換は「保存的」として分類され、その場合ポリペプチドに含有されるアミノ酸残基は、極性、側鎖機能性またはサイズのいずれかに関して類似した特徴の別の天然に存在するアミノ酸と交換される。そのような保存的置換は当技術分野で周知である。本発明によって包含される置換は「非保存的」でもあってもよく、ペプチドに存在するアミノ酸残基は、異なる特性を有するアミノ酸、例えば異なるグループからの天然に存在するアミノ酸で置換(例えば、荷電または疎水性アミノ酸をアラニンで置換)されるか、またはあるいは、天然に存在するアミノ酸は従来にないアミノ酸で置換される。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は保存的である。また、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される場合、用語変異体内に包含されるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して(例えば、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して)、一次、二次、または三次構造が異なり得るポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
いくつかの態様では、当技術分野で周知の方法を使用して単離もしくは生成された「合成変異体」、「組換え変異体」、または「化学的に修飾された」ポリヌクレオチド変異体もしくはポリペプチド変異体を使用することができる。「修飾された変異体」は、以下に記載されるような保存的または非保存的アミノ酸変化を含んでもよい。ポリヌクレオチド変化は、参照配列によってコードされるポリペプチド中のアミノ酸の置換、付加、欠失、融合およびトランケーションをもたらすことができる。いくつかの態様は、変異体の基盤となるペプチド配列には通常生じないアミノ酸および他の分子の挿入および置換、例えば、限定されるものではないが、ヒトタンパク質では通常は生じないオルニチンの挿入を含む、挿入変異体、欠失変異体、またはアミノ酸の置換による置換変異体を使用する。用語「保存的置換」は、ポリペプチドを述べる場合、ポリペプチドの活性を実質的に変えないポリペプチドのアミノ酸組成の変化を指す。例えば、保存的置換は、類似した化学特性(例えば、酸性、塩基性、正または負に荷電、極性または非極性等)を有する異なるアミノ酸残基の代わりにアミノ酸残基を置換することを指す。保存的アミノ酸置換は、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンとの交換、アスパラギン酸のグルタミン酸との交換、またはスレオニンのセリンとの交換を含む。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野で周知である。例えば、以下の6つのグループは、互いに保存的置換であるアミノ酸をそれぞれ含有する:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン、(I)、ロイシン、(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。(その全体を参照によって組み入れる、Creighton、Proteins、W. H. Freeman and Company(1984)も参照のこと)。いくつかの実施形態では、単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失する個々の置換、欠失または付加もまた、変化がペプチドの活性を低減しないならば「保存的置換」とみなすことができる。挿入または欠失は、典型的には、約1~5個のアミノ酸の範囲である。保存的アミノ酸の選択は、ペプチド中の置換されるアミノ酸の位置に基づき、例えば、アミノ酸がペプチドの外側にあり、溶媒に曝露するか、または内側にあり、溶媒に曝露されないかに基づき選択される。
溶媒への曝露を含む既存のアミノ酸の位置(すなわち、溶媒に曝露されない、内部に局在化したアミノ酸と比較して、アミノ酸が溶媒に曝露されるか、またはペプチドもしくはポリペプチドの外面に存在するか)に基づき、既存のアミノ酸を置換するアミノ酸を選択することができる。そのような保存的アミノ酸置換の選択は、例えばDordoら、J. MoI Biol、1999、217、721~739頁、ならびにTaylorら、J. Theor. Biol. 119(1986);205~218頁、ならびにS. FrenchおよびB. Robson、J. Mol. Evol. 19(1983)171頁に開示されているように当技術分野で周知である。したがって、タンパク質またはペプチドの外側のアミノ酸(すなわち、溶媒に曝露されるアミノ酸)に適した保存的アミノ酸置換を選択することができ、例えば、限定されるものではないが、以下の置換が使用される:FによるYの置換、SまたはKによるTの置換、AによるPの置換、DまたはQによるEの置換、DまたはGによるNの置換、KによるRの置換、NまたはAによるGの置換、SまたはKによるTの置換、NまたはEによるDの置換、LまたはVによるIの置換、YによるFの置換、TまたはAによるSの置換、KによるRの置換、NまたはAによるGの置換、RによるKの置換、S、KまたはPによるAの置換。
代わりの実施形態では、タンパク質またはペプチドの内側のアミノ酸に適した包含される保存的アミノ酸置換を選択することもでき、例えば、タンパク質またはペプチドの内側にあるアミノ酸(すなわち、アミノ酸が溶媒に曝露されない)にとって適切な保存的置換を使用することができ、例えば、限定されるものではないが、以下の保存的置換を使用することができる:YはFで置換され、TはAまたはSで置換され、IはLまたはVで置換され、WはYで置換され、MはLで置換され、NはDで置換され、GはAで置換され、TはAまたはSで置換され、DはNで置換され、IはLまたはVで置換され、FはYまたはLで置換され、SはAまたはTで置換され、およびAはS、G、TまたはVで置換される。いくつかの実施形態では、非保存的アミノ酸置換も変異体の用語内に包含される。
本発明は、表Aに示された抗体VHおよび/またはVLドメインのVHおよび/またはVLドメイン変異体を含有する抗体を作製する方法を含む。そのような抗体は、
(i)親抗体VHドメインが、QUEL-0101、QUEL-0201もしくはQUEL-0301のVHドメイン、またはそれらの抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域を含むVHドメインである、
親抗体VHドメインのアミノ酸配列変異体である抗体VHドメインを、親抗体VHドメインのアミノ酸配列への1つまたはそれ以上のアミノ酸の付加、欠失、置換または挿入により提供する工程と、
(ii)このようにして提供されたVHドメインをVLドメインと場合により組み合わせて、VH/VL組合せを提供する工程と、
(iii)このようにして提供されたVHドメインまたはVH/VLドメイン組合せをテストして、1つまたはそれ以上の所望の特徴を有する抗体を同定する工程と
を含む方法によって作製することができる。
VHドメインは、QUEL-0201のVHドメインであってもよい。
所望の特徴には、ヒトおよび/または非ヒトGFRALへの結合が挙げられる。親抗体と比べてヒトおよび/またはマウスGFRALに対する親和性が同等またはより高い抗体が同定される。他の所望の特性には、本明細書に記載されるGDF15シグナル伝達アッセイ、例えばERKリン酸化アッセイの阻害が含まれる。所望の特徴を有する抗体の同定は、その親和性、交差反応性、特異性、または中和力価など、そのいずれも本明細書に記載のアッセイで決定することができる、本明細書に記載された機能的属性を有する抗体の同定を含み得る。
VLドメインが方法に含まれる場合、VLドメインは、QUEL-0101、QUEL-0201もしくはQUEL-0301のいずれかのVLドメインであってもよく、または親VLドメインのアミノ酸配列への1つもしくはそれ以上のアミノ酸の付加、欠失、置換もしくは挿入により提供される変異体であってもよく、親VLドメインは、QUEL-0101、QUEL-0201もしくはQUEL-0301のいずれかのVLドメイン、またはそれらの抗体のいずれかの軽鎖相補性決定領域を含むVLドメインである。VLドメインは、VHドメインと同じ抗体のVLドメインであってもよい。VLドメインは、QUEL-0201のVLドメインであってもよい。
変異体抗体を生成する方法は、該抗体またはVH/VLドメイン組合せのコピーを作製する工程を場合により含んでもよい。方法は、結果として得られた抗体を発現させる工程をさらに含んでもよい。所望の抗体VHおよび/またはVLドメインに対応するヌクレオチド配列を、場合により1つまたはそれ以上の発現ベクターで作製することができる。宿主細胞での組換え発現を含む発現の適切な方法は、本明細書に詳細に記載される。
コード核酸および作製方法
本発明による抗体をコードする単離された核酸が提供される。核酸は、DNAおよび/またはRNAであってもよい。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNA、またはそれらの任意の組合せは、抗体をコードすることができる。
本発明は、上記のように少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、ベクター、転写または発現カセットの形態で構築物を提供する。例示的なヌクレオチド配列は、配列表に含まれている。本明細書に記載のヌクレオチド配列への言及は、文脈が特に必要としない限り、指定された配列を有するDNA分子を包含し、Tの代わりにUが置換されている指定された配列を有するRNA分子を包含する。
本発明はまた、該抗体をコードする1つまたはそれ以上の核酸を含む組換え宿主細胞も提供する。コードされた抗体を作製する方法は、例えば、核酸を含有する組換え宿主細胞を培養することによる核酸からの発現を含んでもよい。抗体は故に、任意の適切な手法を使用して得られ、単離および/または精製され、次いで必要に応じて使用される。作製方法は、産物を、薬学的に許容される賦形剤などの少なくとも1つの追加の成分を含む組成物に製剤化する工程を含んでもよい。
様々な異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現のための系は周知である。適切な宿主細胞には、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、糸状菌、酵母およびバキュロウイルス系、ならびにトランスジェニック植物および動物が挙げられる。
原核細胞での抗体および抗体断片の発現は、当技術分野で十分に確立されている。一般的な細菌宿主は大腸菌である。培養下の真核細胞での発現も、作製のための選択肢として当業者に利用可能である。異種ポリペプチドの発現のために当技術分野で利用可能な哺乳動物細胞株には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NSOマウス黒色腫細胞、YB2/0ラット骨髄腫細胞、ヒト胎児腎臓細胞(例えば、HEK293)、ヒト胎児網膜細胞および多くの他の細胞が挙げられる。
ベクターは、必要に応じてプロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列を含む、適切な制御配列を含有してもよい。抗体をコードする核酸が宿主細胞に導入される。本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば染色体)に組み込むことができる。組込みは、標準的な手法に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列を含めることによって促進することができる。核酸は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、およびレトロウイルスまたは他のウイルス、例えばワクシニアもしくは、昆虫細胞にはバキュロウイルスを使用した形質導入を含む様々な方法によって真核細胞に導入することができる。宿主細胞、特に真核細胞への核酸の導入は、ウイルスまたはプラスミドベースの系を使用してもよい。プラスミド系は、エピソームとして維持されるか、または宿主細胞もしくは人工染色体に組み込まれる。組込みは、単一または複数の遺伝子座における1つまたはそれ以上のコピーのランダムな組込みまたは標的化組込みのどちらかによってもよい。細菌細胞に関して、適切な手法には、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション、およびバクテリオファージを使用したトランスフェクションが挙げられる。導入に続いて、例えば、遺伝子の発現のための条件下で宿主細胞を培養して核酸を発現し、次いで場合により、バインダーポリペプチド、例えば抗体を単離または精製してもよい。
製剤および投与
本発明にしたがって、GDF15シグナル伝達の阻害剤、例えば抗GFRAL抗体を含む組成物が提供される。組成物はまた、バインダーポリペプチド、例えば抗体であるGDF15シグナル伝達の阻害剤をコードする核酸を含む形で提供される。このような組成物は、本明細書に記載される例示的な医学的治療のいずれかを含む、療法によるヒトまたは動物の身体の治療における使用のために提供し得る。組成物は、活性成分(阻害剤またはコード核酸)に加えて、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
本発明によるバインダーポリペプチド、およびそれらのコード核酸分子は、通常は単離形態で提供されることになる。VHおよび/またはVLドメイン、ならびに核酸は、天然の環境またはその作製環境から精製されて提供される。単離されたバインダーポリペプチドおよび単離された核酸は、それらが天然に会合する物質、例えば、それらがインビボで共に見出される他のポリペプチドもしくは核酸、またはそれらが製造される環境(そのような製造がインビトロでの組換えDNA技術による場合)(例えば、細胞培養物)を含まないか、または実質的に含まないであろう。場合により、単離されたバインダーポリペプチドまたは核酸は、(1)それが通常共に見出される少なくともいくつかの他のタンパク質を含まない、(2)同じ供給源、例えば同じ種由来の他のタンパク質を本質的に含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、(4)それが天然に会合するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、もしくは他の物質の少なくとも約50パーセントから分離されている、(5)天然には会合しないポリペプチドと作動可能に会合する(共有結合または非共有結合の相互作用によって)、または(6)天然には生じない。
バインダーポリペプチドまたはそれらのコード核酸は、希釈剤またはアジュバントと共に製剤化され、さらには実用的な目的のために単離される。例えば、それらは、免疫アッセイで使用するためのマイクロタイタープレートをコーティングするのに使用されるならば担体と混合され、治療で使用される場合は薬学的に許容される担体または希釈剤と混合される。本発明の他の箇所に記載されているように、他の活性成分も治療用製造物に含めることができる。バインダーポリペプチドは、インビボで天然に、もしくはCHO細胞などの異種真核細胞の系によってグリコシル化されるか、または(例えば、原核細胞での発現によって産生される場合)非グリコシル化される。本発明は、修飾されたグリコシル化パターンを有する抗体を包含する。
典型的には、単離された産物は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を占める。バインダーポリペプチドは、その治療的、診断的、予防的、研究的または他の使用を妨げることになる、その天然の環境または作製環境で見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物を実質的に含み得ない。
本発明は、本明細書に記載されたバインダーポリペプチドを含む治療用組成物を提供する。そのようなバインダーポリペプチドをコードする核酸を含む治療用組成物も提供される。コード核酸は本発明の他の箇所により詳細に記載され、コード核酸にはDNAおよびRNA、例えばmRNAが挙げられる。本明細書に記載された治療方法では、バインダーポリペプチドをコードする核酸の使用、および/またはそのような核酸を含有する細胞の使用は、バインダーポリペプチドそれ自体を含む組成物に代わるものとして(または加えて)使用することができる。場合により核酸がゲノムに安定に組み込まれた、バインダーポリペプチドをコードする核酸を含有する細胞は、故に患者における治療的使用のための医薬品となる。バインダーポリペプチドをコードする核酸は、意図された患者に由来するヒト細胞に導入され、エクスビボで修飾される。コード核酸を含有する細胞の患者への投与は、バインダーポリペプチドを発現することができる細胞のリザーバーを提供し、単離された核酸または単離されたバインダーポリペプチドの投与と比べてより長期の治療的利益をもたらし得る。核酸は、遺伝子治療のために患者に直接投与することもできる。故に、バインダーポリペプチドをコードする核酸は、核酸が患者の細胞で発現され治療効果をもたらすように、患者の細胞にコード核酸をインビボで導入することを含む遺伝子治療において使用するために提供される。治療効果の例は、本明細書に開示されている。
組成物は、製剤に組み込まれて移動、送達、忍容性等の改善をもたらす適切な担体、賦形剤、および他の薬剤を含有してもよい。数多くの適切な製剤は、全ての薬剤師に公知の処方集に見出すことができる:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(LIPOFECTINT(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照のこと。組成物は、医療用注射緩衝液および/またはアジュバントと組み合わせて抗体または核酸を含んでもよい。
バインダーポリペプチド、またはそれらのコード核酸は、患者への所望の投与経路用に、例えば、注射用の液体(場合により水溶液)で製剤化することができる。組成物は、場合により、静脈内注射用または皮下注射用に製剤化し得る。
様々な送達系が知られており、本発明の医薬組成物を投与するのに使用することができる。導入方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)を通じた吸収によって投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することができる。投与は、全身または局所であってもよい。抗原結合分子は、好ましくは皮下注射によって投与される。投与は、患者による自己投与、例えば自己注射であってもよい。
医薬組成物は、小胞、特にリポソームで送達することもできる(Langer(1990) Science 249:1527~1533頁;Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、Lopez BeresteinおよびFidler(編)、Liss、New YorkのTreatら(1989)、353~365頁;Lopez-Berestein、同書、317~327頁を参照のこと;一般的に同書を参照のこと)。
特定の状況では、医薬組成物は徐放系で送達することができる。1つの実施形態では、ポンプが使用される(Langer、上記;Sefton(1987)CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201頁を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用される;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974)を参照のこと。さらに別の実施形態では、徐放系は組成物の標的の近くに置かれ、故に全身用量の一部しか必要としない(例えば、Medical Applications of Controlled Release、上記のGoodson、2巻、115~138頁、1984を参照のこと)。
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴等のための剤形を含んでもよい。これらの注射用製剤は、公知の方法によって製造することができる。例えば注射用製剤は、例えば、上に記載された抗体またはその塩を、注射用に慣例的に使用される滅菌水性媒体または油性媒体に溶解、懸濁または乳化することによって製造することができる。注射用の水性媒体としては、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリゾルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]等などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用される、例えば、生理食塩水、グルコースを含有する等張液、および他の助剤等がある。油性媒体としては、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等などの可溶化剤と組み合わせて使用される、例えば、ゴマ油、ダイズ油等が使用される。このようにして製造された注射は、適切なアンプルに充填することができる。本発明の医薬組成物は、標準的な針および注射器を用いて皮下または静脈内に送達することができる。処置は、診療所での使用に限定されないことが想定される。したがって、無針デバイスを使用する皮下注射も有利である。皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本発明の医薬組成物の送達に容易に適用される。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能または使い捨て可能であり得る。再使用可能なペン型送達デバイスは一般的に、医薬組成物を含有する交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内の医薬組成物の全てが投与され、カートリッジが空になると、空のカートリッジは容易に廃棄され、医薬組成物を含有する新たなカートリッジと交換される。ペン型送達デバイスは、次いで再使用することができる。使い捨て可能なペン型送達デバイスでは、交換可能なカートリッジはない。逆に、使い捨て可能なペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバーに保持された医薬組成物を予め充填されるようになる。リザーバーに医薬組成物が空になると、デバイスごと廃棄される。数多くの再使用可能なペン型およびオートインジェクター型送達デバイスが本発明の医薬組成物の皮下送達に適用される。例には、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、ブルクドルフ、スイス)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、インディアナポリス、Ind.)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、コペンハーゲン、デンマーク)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、フランクリンレイクス、N.J.)、OPTIPENT(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIKT(商標)(Sanofi-Aventis、フランクフルト、ドイツ)が挙げられるが、もちろんこれらに限定されない。本発明の医薬組成物の皮下送達に適用される使い捨て可能なペン型送達デバイスの例には、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)が挙げられるが、もちろんこれらに限定されない。
有利には、上に記載された経口または非経口用の医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適した単位用量で剤形に製造される。単位用量のそのような剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が挙げられる。含有される前述の抗体の量は、一般的に、単位用量の剤形あたり約5~約500mgであり;特に注射の形態では、前述の抗体は約5~約100mgで含有され、他の剤形については約10~約250mgで含有される。
バインダーポリペプチド、核酸、またはそれを含む組成物は、バイアル、注射器、IV容器または注射デバイスなどの医療用容器に含有される。一例では、バインダーポリペプチド、核酸または組成物はインビトロであり、滅菌容器中にあってもよい。一例では、本明細書に記載の治療方法において使用するためのバインダーポリペプチド、包装および使用説明書を含むキットが提供される。
本発明の1つの態様は、本発明のバインダーポリペプチドまたは核酸、および上に例が列挙されている1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物である。「薬学的に許容される」は、ヒトを含む動物での使用に関して米国連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されているもしくは承認見込みであるか、または米国薬局方もしくは他の一般的に認められた薬局方に収載されていることを指す。薬学的に許容される担体、賦形剤、またはアジュバントは、バインダーポリペプチド、例えば、本明細書に記載された任意の抗体またはポリペプチド分子と一緒に患者に投与することができ、その薬理活性を損なわず、治療量の薬剤を送達するのに十分な用量で投与された場合に無毒である。
いくつかの実施形態では、バインダーポリペプチドは、本発明による組成物中の唯一の活性成分となるであろう。故に、組成物は抗体からなり得、または組成物は1つもしくはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤と共にバインダーポリペプチドからなり得る。しかし、本発明による組成物は、場合により1つまたはそれ以上の追加の活性成分を含む。本発明によるバインダーポリペプチドまたは核酸と共に投与することが望ましい場合がある他の治療剤には、がんの他の治療剤が挙げられ、その例は本明細書に記載されている。任意のそのような薬剤または薬剤の組合せは、組合せ製剤としてかまたは別々の製剤としてかにかかわらず、本発明によるバインダーポリペプチドもしくは核酸と組み合わせて投与されるか、または本発明によるバインダーポリペプチドもしくは核酸と共に組成物で提供される。本発明によるバインダーポリペプチドまたは核酸は、本明細書で述べられたものなどの別の治療剤と別々におよび連続して、または同時におよび場合により組合せ製剤として投与することができる。
複数の組成物は、別々または同時に投与することができる。別々の投与は、異なる時間に、例えば少なくとも10、20、30、もしくは10~60分おいて、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12時間おいて投与される2つの組成物を指す。24時間おいて、またはさらにより長くおいて組成物を投与することもできる。あるいは、2つ以上の組成物は、同時に、例えば10分未満または5分未満おいて投与することができる。同時に投与される組成物は、いくつかの態様では、成分ごとに類似したもしくは異なる時間放出機構によりまたは該機構なしで混合物として投与される。
バインダーポリペプチドおよびそれらのコード核酸は、治療剤として使用することができる。本明細書における患者は、一般的に哺乳動物、典型的にはヒトである。バインダーポリペプチドまたは核酸は、例えば本明細書で述べられた任意の投与経路によって哺乳動物に投与することができる。好ましい実施形態では、バインダーポリペプチドは皮下注射によって投与される。
投与は通常、「治療有効量」であり、これは、患者に対する利益を示すのに十分な、そのために投与される所望の効果をもたらす量である。正確な量は処置の目的に依存し、公知の手法を使用して当業者によって確認できるであろう(例えば、Lloyd(1999)The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照のこと)。処置の処方、例えば投与量等の決定は、一般医および他の医師の責任の範囲内であり、処置されている疾患の症状および/または進行の重症度に依存し得る。バインダーポリペプチドまたは核酸の治療有効量または適切な用量は、動物モデルにおいてそのインビトロ活性およびインビボ活性を比較することによって決定することができる。マウスおよび他の試験動物においてヒトに対する有効投与量を外挿する方法は公知である。
本明細書に記載された処置方法では、1つまたはそれ以上の用量が投与される。いくつかの場合では、単回投与が長期的な利益を達成するのに有効である場合がある。故に、方法は、バインダーポリペプチド、そのコード核酸、または組成物の単回投与を含み得る。あるいは、複数回投与が、通常は連続して、および数日間、数週間または数ヶ月の期間を離して投与される。例えば、投与は、2週間おき、3週間おきまたは4週間おきであってもよい。場合により、バインダーポリペプチドは、1ヶ月に1回、またはより少ない頻度で、例えば、2ヶ月おきまたは3ヶ月おきに患者に投与される。
本明細書で使用される場合、用語「処置(treat)」、「処置(treating)」、または「改善(amelioration)」は、疾患または障害に関連する状態の進行または重症度を逆転する、軽減する、改善する、阻害する、減速させるまたは止めることが目的である治療的処置を指す。用語「処置(treating)」は、状態、疾患または障害の少なくとも1つの有害作用または症状を低減または軽減することを含む。1つまたはそれ以上の症状または臨床マーカーが低減するならば、処置は概ね「有効」である。あるいは、疾患の進行が低減または停止するならば、処置は「有効」である。すなわち、「処置」は、症状またはマーカーの改善だけでなく、処置の非存在下で予測されるものと比較した症状の進行または悪化の休止、または少なくとも減速も含む。有益なまたは所望の臨床結果には、検出可能かまたは検出不能かを問わず、1つもしくはそれ以上の症状(複数可)の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延もしくは減速、疾患状態の改善もしくは緩和、寛解(部分寛解かまたは完全寛解かを問わず)、および/または死亡率の低下が挙げられるが、これらに限定されない。疾患の「処置」という用語は、疾患の症状または副作用からの解放(緩和処置を含む)の提供も含む。有効な処置に関して、完全な治癒は企図されない。方法は、ある特定の態様では治癒も含み得る。本発明の文脈では、処置は予防的処置であってもよい。
長い半減期は、本発明のバインダーポリペプチドの望ましい機能である。半減期の延長は投与頻度の低下につながり、血流中の該分子の治療有効濃度を維持するのに必要とされる注射が少なくなる。ヒトにおける本発明の抗原結合分子のインビボでの半減期は、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日もしくは21日、またはそれ以上であってもよい。カニクイザルなどの非ヒト霊長類における抗原結合分子のインビボでの半減期は、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日もしくは21日、またはそれ以上であってもよい。
1週間、2週間、3週間、4週間、または1ヶ月の一定間隔で投与するバインダーポリペプチドが提供される。
項目
以下の番号付けした項目は、本発明の実施形態を表し、本明細書の一部である。
1. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号13、HCDR2 配列番号14およびHCDR3 配列番号15のQUEL-0201セットを含み、および
VLドメインが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号18、LCDR2 配列番号19およびLCDR3 配列番号20のQUEL-0201セットを含む、抗体。
2. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む抗体。
3. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
遺伝子セグメントIGHV1-3(例えば、IGHV1-3*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、および
遺伝子セグメントIGLV1-40(例えば、IGLV1-40*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
を含む抗体。
4. VHドメインが、遺伝子セグメントIGHV1-3(例えば、IGHV1-3*01)、IGHD5-18(例えば、IGHD5-18*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目3に記載の抗体。
5. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含むQUEL-0201 IgGとヒトGFRALへの結合について競合する抗体。
6. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する項目1~5のいずれかに記載の抗体。
7. 表面プラズモン共鳴法により決定される100pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する、項目6に記載の抗体。
8. 50pM~200pMの範囲の親和性でヒトGFRALと結合する、項目6に記載の抗体。
9. マウスGFRALと交差反応し、マウスGFRALに対して、ヒトGFRALに対する親和性の10倍以内の親和性を有する、項目1~8のいずれかに記載の抗体。
10. GDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、15n M以上の力価でGFRALを阻害する、項目1~9のいずれかに記載の抗体。
11. 力価が10nM以上である、項目10に記載の抗体。
12. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインと
QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、項目1~11のいずれかに記載の抗体。
13. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、先行する項目のいずれかに記載の抗体。
14. 場合により1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VHドメイン配列番号12、および
場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変以下を含むQUEL-0201 VLドメイン配列番号17
を含む、項目13に記載の抗体
15. HCDR1 配列番号13、HCDR2 配列番号14およびHCDR3 配列番号:15のHCDRのQUEL-0201セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VHドメイン配列番号12、および
LCDR1 配列番号18、LCDR2 配列番号19およびLCDR3 配列番号20のLCDRのQUEL-0201セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VLドメイン配列番号17
を含む、項目14に記載の抗体。
16. 1つまたは2つのアミノ酸改変が保存的置換である、項目14または項目15に記載の抗体。
17. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含む、先行する項目のいずれかに記載の抗体。
18. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、重鎖相補性決定領域(HCDR)のセットを含み、HCDR1が、配列番号23または配列番号133であり、HCDR2が、配列番号24、配列番号124、配列番号134または配列番号142であり、そしてHCDR3が、配列番号25、配列番号125、配列番号135または配列番号143である、および
VLドメインが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)のセットを含み、LCDR1が、配列番号28、配列番号128または配列番号138であり、LCDR2が、配列番号29または配列番号129であり、そしてLCDR3が、配列番号30、配列番号130、配列番号139または配列番号146である、抗体。
19. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号24およびHCDR3 配列番号25のQUEL-0301セットを含むVHドメイン、および
軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号28、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号30のQUEL-0301セットを含むVLドメイン
を含む抗体。
20. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号124およびHCDR3 配列番号125のHCDRのQUEL-0302セットを含むVHドメイン、および
LCDR1 配列番号128、LCDR2 配列番号129およびLCDR3 配列番号130のLCDRのQUEL-0302セットを含むVLドメイン
を含む抗体。
21. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号134およびHCDR3 配列番号135のHCDRのQUEL-0303セットを含むVHドメイン、および
LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号139のLCDRのQUEL-0303セットを含むVLドメイン
を含む抗体。
22. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号142およびHCDR3 配列番号143のHCDRのQUEL-0304セットを含むVHドメイン、および
LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号146のLCDRのQUEL-0304セットを含むVLドメイン
を含む抗体。
23. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む抗体。
24. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、および
遺伝子セグメントIGLV1-44(例えば、IGLV1-44*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
を含む抗体。
25. VHドメインが、遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)、IGHD1-7(例えば、IGHD1-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目24に記載の抗体。
26. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、および
遺伝子セグメントIGLV1-47(例えば、IGLV1-47*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
を含む抗体。
27. VHドメインが、遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)、IGHD1-20(例えば、IGHD1-20*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目26に記載の抗体。
28. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含むQUEL-0301 IgGと、ヒトGFRALとの結合について競合する抗体。
29. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する、項目18~28のいずれかに記載の抗体。
30. 表面プラズモン共鳴により決定される1pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する、項目29に記載の抗体。
31. 0.5pM~2pM範囲の親和性でヒトGFRALと結合する、項目29に記載の抗体。
32. マウスGFRALと交差反応し、表面プラズモン共鳴法で決定される10nM以上のマウスGFRALに対する親和性を有する、項目18~31のいずれかに記載の抗体。
33. 15nM以上の力価でGFRALを阻害し、力価がGDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、項目18~32のいずれかに記載の抗体。
34. 力価が10nM以上である、項目33に記載の抗体。
35. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、項目18~34のいずれかに記載の抗体。
36. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、先行する項目のいずれかに記載の抗体。
37. 場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0301 VHドメイン配列番号22、および
場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0301 VLドメイン配列番号27
を含む、項目36に記載の抗体。
38. HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号24およびHCDR3 配列番号25のHCDRのQUEL-0301セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を有するQUEL-0301 VHドメイン配列番号22、および
LCDR1 配列番号28、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号30のLCDRのQUEL-0301セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を有するQUEL-0301 VLドメイン 配列番号27
を含む、項目37に記載の抗体。
39. 1つまたは2つのアミノ酸改変が保存的置換である、項目37または項目38に記載の抗体。
40. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含む、項目18~39のいずれかに記載の抗体。
41. QUEL-0302 VHドメイン配列番号123およびQUEL-0302 VLドメイン配列番号127を含む、項目18、20および23~28のいずれかに記載の抗体。
42. QUEL-0303 VHドメイン配列番号132およびQUEL-0303 VLドメイン配列番号137を含む、項目18、21および23~28のいずれかに記載の抗体。
43. QUEL-0304 VHドメイン配列番号141およびQUEL-0304 VLドメイン配列番号145を含む、項目18および22~28のいずれかに記載の抗体。
44. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、
HCDR1が、配列番号3、配列番号99、配列番号107または配列番号118であり、
HCDR2が、配列番号4、配列番号100または配列番号108であり、
HCDR3が、配列番号5、配列番号101、配列番号113または配列番号119であるVHドメイン、および
LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、
LCDR1が、配列番号8であり、
LCDR2が、配列番号9であり、および
LCDR3が、配列番号10または配列番号104である、VLドメイン
を含む抗体。
45. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号3、HCDR2 配列番号4およびHCDR3 配列番号5のQUEL-0101セットを含み、および
VLドメインが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号10のQUEL-0101セットを含む、抗体。
46. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALと結合する抗体であって、
VHドメインが、HCDR1 配列番号99、HCDR2 配列番号100およびHCDR3 配列番号101のHCDRのQUEL-0102セットを含み、および
VLドメインが、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0102セットを含む、抗体。
47. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0103セットを含み、および
VLドメインが、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0103セットを含む、抗体。
48. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号113のHCDRのQUEL-0104セットを含む、および
VLドメインが、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0104セットを含む、抗体。
49. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
VHドメインが、HCDR1 配列番号118、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号119のHCDRのQUEL-0105セットを含む、および
VLドメインが、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0105セットを含む、抗体。
50. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む抗体。
51. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
遺伝子セグメントIGHV3-30(例えば、IGHV3-30*18)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、ならびに
遺伝子セグメントIGKV1-27(例えば、IGKV1-27*01)およびIGKJ4(例えば、IGKJ4*01)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
を含む抗体。
52. VHドメインが、遺伝子セグメントIGHV3-30*18(例えば、IGHV3-30)、IGHD3-10(例えば、IGHD3-10*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目51に記載の抗体。
53. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含むQUEL-0101 IgGと、ヒトGFRALとの結合について競合する抗体。
54. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する、項目44~53のいずれかに記載の抗体。
55. 表面プラズモン共鳴法により200pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する、項目54に記載の抗体。
56. 100pM~400pMの範囲の親和性でヒトGFRALと結合する、項目54に記載の抗体。
57. マウスGFRALと交差反応し、マウスGFRALに対して、ヒトGFRALに対する親和性の10倍以内の親和性を有する、項目44~56のいずれかに記載の抗体。
58. 15nM以上の力価でGFRALを阻害する抗体であって、力価がGDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、項目44~57のいずれかに記載の抗体。
59. 力価が10nM以上である、項目58に記載の抗体。
60. 力価が5nM以上である、項目59に記載の抗体。
61. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、項目44~60のいずれかに記載の抗体。
62. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
を含む、項目44~61のいずれかに記載の抗体。
63. 場合により1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VHドメイン配列番号2、および
場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VLドメイン配列番号7
を含む、項目62に記載の抗体。
64. HCDR1 配列番号3、HCDR2 配列番号4およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0101セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VHドメイン配列番号2、および
LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9、およびLCDR3 配列番号10のLCDRのQUEL-0101セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VLドメイン 配列番号7
を含む、項目63に記載の抗体。
65. 1つまたは2つのアミノ酸改変が保存的置換である、項目63または項目64に記載の抗体。
66. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含む、項目44~65のいずれかに記載の抗体。
67. QUEL-0102 VHドメイン配列番号98およびQUEL-0102 VLドメイン配列番号103を含む、項目44、46および50~53のいずれかに記載の抗体。
68. QUEL-0103 VHドメイン配列番号106およびQUEL-0103 VHドメイン配列番号110を含む、項目44、47および50~53のいずれかに記載の抗体。
69. QUEL-0104 VHドメイン配列番号112およびQUEL-0104 VLドメイン配列番号115を含む、項目44、48および50~53のいずれかに記載の抗体。
70. QUEL-0105 VHドメイン配列番号117およびQUEL-0105 VHドメイン配列番号121を含む、項目44および49~53のいずれかに記載の抗体。
71. 重鎖Fc領域を含む、先行の項目のいずれかに記載の抗体。
72. ヒトIgGである、項目71に記載の抗体。
73. ヒトIgG4である、項目72に記載の抗体。
74. 重鎖定常領域配列番号60を含む、項目73に記載の抗体。
75. 先行の項目のいずれかに記載の抗体をコードする核酸。
76. 項目75に記載の核酸を含むin vitro宿主細胞。
77. 項目1~74のいずれかに記載の抗体または項目75に記載の核酸を含み、薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化された組成物。
78. 静脈内注射または皮下注射用に製剤化された、項目77に記載の組成物。
79. 患者においてGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療する方法であって、患者に項目77または78に記載の組成物を投与することを含む方法。
80. 患者におけるGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療するために使用するための、項目77または78に記載の組成物。
81. 患者におけるGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療するための医薬の製造のための、項目77または項目78に記載の組成物の使用。
82. 医学的状態が、妊娠悪阻、食欲不振、悪液質、条件付け味覚嫌悪、および/またはがんのための化学療法治療の副作用である、項目79に記載の方法、項目80に記載の組成物、または項目81に記載の組成物の使用。
83. 患者がまた、抗癌化学療法剤による治療を受けるか、または受けたことがある、項目82に記載の方法、組成物または使用。
84. 医学的状態ががん患者の食欲不振である、項目82または項目83に記載の方法、組成物または使用。
85. 医学的状態ががん患者の悪液質である、項目82または項目83に記載の方法、組成物または使用。
86. 医学的状態が抗癌化学療法剤による治療の副作用である、項目82~85のいずれかに記載の方法、組成物または使用。
87. 治療が、抗癌化学療法剤による治療によって引き起こされる条件付け味覚嫌悪を予防することを含む、項目86に記載の方法、組成物または使用。
88. 治療が、体重損失を軽減させ、がん患者の生存期間を延長することを含む、項目82~87のいずれかに記載の方法、組成物または使用。
89. 患者におけるグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させる方法であって、GDF15シグナル伝達の阻害剤を患者に投与することを含む方法。
90. 患者におけるグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させるのに使用するための、GDF15シグナル伝達の阻害剤。
91. 患者におけるグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させるための医薬の製造のための、GDF15シグナル伝達阻害剤の使用。
92. 血中グルココルチコイドレベルが上昇していると判定された患者においてグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)の血液レベルを正常化するための、項目89に記載の方法、項目90に記載の使用のための阻害剤、または項目91に記載の阻害剤の使用。
93. 患者ががん患者である、項目89に記載の方法、項目90に記載の使用のための阻害剤、または項目91に記載の阻害剤の使用。
94. 患者が細胞毒性剤および/または抗悪性腫瘍剤による治療も受けているか、または受けたことがある、項目89~93のいずれかに記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
95. 阻害剤がGDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体を阻害する、項目89~94のいずれかに記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
96. 阻害剤が抗GFRAL抗体である、項目95に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
97. 抗GFRAL抗体が項目1~74のいずれかに記載の抗体である、項目96に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
これらの実施例において、本発明者らは、抗GFRALアンタゴニスト抗体QUEL-0101(およびそのバリアントQUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105)、QUEL-0201、およびQUEL-0301(およびそのバリアントQUEL-0302、QUEL-0303およびQUEL-0304)の特徴付けを提示する。本発明者らは、抗GFRALアンタゴニスト抗体がGFRALに結合し、強力に阻害する能力を実証した。GFRALのこのような遮断が、マウスにおいてin vivoでの食物摂取、体重および筋萎縮のマーカーに対するGDF15の作用を阻害することを示す。さらに、同じ用量で、抗GFRAL抗体は、GFRALを介して作用するGDF15の循環グルココルチコイドレベルを増加させる作用も阻害することを示す。この研究は、GDF15:GFRAL相互作用の阻害が、グルココルチコイドの上昇を含むGDF15に対する神経内分泌応答を阻害することを示し、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾール)の上昇した血液レベルを患者の正常な生理学的レベルに近づくように低下させるために、患者のグルココルチコイドレベルを低下させるために抗GFRALアンタゴニスト抗体を治療的に使用する可能性を示す。
GFRALシグナル伝達の阻害のためのin vitro ERKリン酸化アッセイ
ヒトGFRAL 配列番号31および/またはヒトRETをコードするDNAを細胞表面に発現するようにHEK293細胞を操作した。ヒトGDF15(6-Hisタグを有する組換え型ヒトGDF15タンパク質(R&D Systems、957-GD))を、以下のHEK293細胞株を含む96ウェル細胞培養に添加した:
ヒトGFRALのみを発現するHEK293細胞
ヒトRETのみを発現するHEK293細胞
ヒトGFRALおよびRETを共発現するHEK293細胞。
細胞をGDF15 4nMとインキュベートした後、培地を除去し、細胞サンプルを溶解した。細胞溶解物を384ウェルプレートに移し、GDF15-GFRAL-RET経路の下流シグナルを表すERK遺伝子産物のリン酸化を測定するためにHTRFアッセイを行った。RETがGDF15-GFRAL四量体によって活性化されると、ERKのリン酸化が引き起こされ、これはHTRFによって検出可能である。本発明者らは、Cisbio Advanced Phospho-ERK assayキットを用いて、リン酸化ERKに特異的な2つの異なる抗体を用いて、一方はEu3+-クリプテート(ドナー)で標識し、他方はd2(アクセプター)で標識したサンドイッチアッセイ形式でリン酸化ERKを検出した。色素が近接すると、2つの抗体がリン酸化ERKに結合する場合に、光源によるドナーの励起がアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を引き起こし、次いでこれは特定の波長(665nm)で蛍光を発する。蛍光の変化(ΔF)はGDF15の下流シグナル伝達の効果を表す。GDF15の濃度の対数に対するΔFのプロットは、GFRALおよびRETを共発現する細胞では標準シグモイド曲線を生成するが、GFRALまたはRETを単独で発現する細胞ではシグナルを示さない(図3)。
陽性対照として、抗GFRALアンタゴニスト抗体mAb Qが比較のために含まれた。
選択したQUEL-0101、QUEL-0202、およびQUEL-0301抗体ならびにmAb Qについての結果を下表および図4に示す。
Figure 2024511853000001
SPRによって決定されるヒトGFRALに対する親和性
QUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301は、SPRによって決定される、ヒトGFRALに対する良好な範囲の親和性を示した。
ヒトGFRALに対する抗体の結合は、Hisタグを付加したヒトGFRALを分析物として使用し、試験抗体を固定化抗ヒトFc抗体を介してCM4バイオセンサーチップ表面に結合させ、SPRによって測定した。ランニング緩衝剤は1mM CaClを含むHBS-P+緩衝剤pH7.4(GE BR100671)である。抗体は1μg/mlで60秒間捕捉された(約80~140RU捕捉、バインダーによる)。分析物(組換え可溶性GFRALタンパク質、R&Dカタログ番号9647-GR-050)を100、25、6.25、1.56、0.39、0.098、0.024、0 nMで30 μg/分で会合時間120秒間注入し、解離を1200秒間モニターした。チップ表面は10mMグリシンpH1.5を用いて再生した。実験は全て25℃で行った。各抗体のセンサーグラムは二重減算した(参照セルおよび濃度0)。データは1:1結合相互作用モデルにフィッティングした。センサーグラムは多サイクル動態モードを用いてフィッティングした。QUEL-0101、QUEL-0201、およびQUEL-0301はそれぞれ速いオン速度および遅い解離を示した。図5。
ヒトGFRALとの結合に関するKDおよび他の動態定数を算出し、結果を下表に示す。
Figure 2024511853000002
これらの抗体のうち、QUEL-0301はヒトGFRALに対して約1ピコモル(pM)の最も高い親和性を示し、これは、4.3pMの親和性を測定した参照抗体mAb Qよりも強かった。これらの抗体間の約4倍の差は、同等の親和性を示している(2倍の差はBiacore装置の実験誤差の範囲内である)。表示されたKD値は、抗体QUEL-0301の解離が非常に遅く、kdが装置の測定限界に近づいているため、単なる推定値に過ぎない。QUEL-0201はヒトGFRALと約84pMの親和性で結合した。QUEL-0101は140pMの親和性でヒトGFRALと結合した。
QUEL抗体は非常に優れた動態特性を有する。その動態定数は、受容体に対する強力な治療用抗体として期待される範囲にある。KoffおよびKonの値は、抗体がGFRALに非常に速く結合し、長時間結合したままであることを示しており、非常に参考になる。
SPRにより決定されたマウスGFRALに対する親和性
マウスGFRAL-Fc融合体(R&Dカタログ番号9844-GR-050050)を分析物として使用して、実施例2と同様の方法でマウスGFRALに対する親和性をSPRによって測定した。図6。
マウスGFRALとの結合に関するKDおよび他の動態定数を算出し、結果を下表に示す。
Figure 2024511853000003
これらの抗体のうち、QUEL-0201は約64.8pMのマウスGFRALに対する親和性が最も高く、QUEL-0101は約1.2ナノモル(nM)に対する親和性を有し、QUEL-0301は5nM以下と比較的低い親和性を有していた。
これらの抗体のヒトおよびマウスGFRALに対する測定された親和性を比較すると、QUEL-0201は最も交差反応性が高く、ヒトおよびマウスGFRALに対する親和性の差は1.5倍以内であった(ヒトは約84pM;マウスは約65pM)。QUEL-0101も10倍以内の良好な交差反応性を示したが、絶対親和性はより低かった(ヒトは約0.14nM;マウスは約1.2nM)。QUEL-0301も交差反応性を示したが、ヒトGFRALに対する親和性が高いのとは対照的に、マウスGFRALに対する結合性は比較的弱かった(ヒトは約1pM;マウスは約5nM)。
GDF15-GFRAL-RET複合体形成の抗体阻害の分析
エピトープマッピングアッセイを、GDF15-GFRAL-RETシグナル伝達を阻害する可能性のある機序を調べるために、選択されたアンタゴニストmAbについて実施した。
(a)サンドイッチアッセイ
このアッセイでは、抗体の対が同時に抗原と結合する能力について試験される。第1の抗体はそのFc領域を介して固体支持体に結合され、溶液中でGFRAL抗原が添加され、抗体-抗原複合体の形成が可能になる。次に第2の抗体を溶液中で添加する。第2の抗体の結合が検出された場合、第1の抗体と第2の抗体が異なるエピトープに結合していることを示す。第2の抗体の結合が検出されない場合は、第1の抗体と第2の抗体が同じエピトープへの結合で競合していることを示している。
同じ原理を使用して、抗体およびネイティブリガンドが抗原への結合について競合するかどうかを評価することもできる。したがって、試験抗体を固体支持体に結合し、GFRAL抗原は溶液中で添加され、抗体-GFRAL複合体の形成が可能になっている。次にGDF15が溶液中で添加される。GDF15の結合が検出されると、これは、その抗体がGDF15-GFRAL複合体の形成を阻害しないことを示す。
ここでは、本発明者らは、表面プラズモン共鳴を用いて、事前に固定化した抗Fc捕捉抗体を介してバイオセンサーチップ表面に結合した抗体への結合を検出した。試験抗体、GFRAL抗原、および分析物としてGDF15またはmAbQを用いたサンドイッチアッセイで以下の結果が得られた:
Figure 2024511853000004
表中の結果は、GDF15またはmAbQ注入後の共鳴単位で示している。
GDF15の抗体-GFRAL複合体への添加後に結合シグナルが観察されたことから、QUEL-0101、QUEL-0201、QUEL-0301および参照抗体mAb QのいずれもGDF15のGFRALへの結合を阻害しないと考えられた。QUEL-0101、QUEL-0201、およびQUEL-0301のいずれもGFRALへの結合についてGDF15と競合しないことが観察されたことから、これらの抗体は、RETとGDF15-GFRALとの会合を阻害するなど、異なる機構を介してGFRALシグナル伝達を阻害することが示唆される。したがって、GDF15-GFRAL-RET活性シグナル伝達複合体の形成が阻害される。
QUEL-0101、QUEL-0201、およびQUEL-0301のそれぞれは、mAb Qと比較してGFRALの異なるエピトープと結合すると考えられ、これは、mAb Qを抗体-GFRAL複合体に添加した後に結合シグナルが観察されたためである。
(b)タンデム結合アッセイ
タンデムアッセイは、上記(a)に記載のサンドイッチアッセイの代替法である。タンデムアッセイでは、表面結合するのは抗体ではなく抗原である。6Hisタグを有するヒトGFRALを、バイオセンサーチップ表面に固定化した抗His抗体上に捕捉し、第1の抗体を抗原上に、続いて第2の抗体を注入した。タンデム法を用いて、QUEL抗体は2つのエピトープビンに分離された。QUEL-0201は、1つのエピトープビンを共有するQUEL-0101およびQUEL-0301と比較して、異なるエピトープを認識する。QUEL抗体はいずれもこのアッセイでmAb Qと競合しなかった(サンドイッチアッセイの結果を確認)ことから、mAb Qは第3のエピトープビンに位置づけられる。
QUEL-0201およびQUEL-0301のin vivo活性
マウス試験で使用するために、QUEL-0201およびQUEL-0301をマウスIgG1アイソタイプとして、すなわちマウスIgG1重鎖定常領域を有する一方、本明細書で定義した配列を有するヒト可変ドメインを保持して作製した。
22℃で飼育したC57BL/6マウスに、QUEL-0201またはQUEL-0301の注射を受け、次いでGDF15の注射を受け、そしてその食物摂取および体重をモニターした。処置群は以下の通りである:
1. 木曜日および土曜日に10mg/kgのQUEL-0301を2回注射
2. 木曜日および土曜日に10 mg/kgのQUEL-0201を2回注射
3. 土曜日に20mg/kgのQUEL-0301を1回注射
4. 土曜日に20mg/kgのQUEL-0201を1回注射
5. 木曜日および土曜日にアイソタイプ対照抗体を2回注射。
日曜日に全群に組換えヒトGDF15を注射した。
アイソタイプ対照抗体で処置されたマウスは、試験期間中、食物摂取が減少した。抗GFRAL抗体QUEL-0201で処置したマウスも食物摂取を減らしたが、アイソタイプ対照群より少なかった。抗GFRAL抗体QUEL-0301で処置したマウスは食物摂餌を維持した。図7A。
食物摂取への影響と一致して、対照群のマウスは体重の減少を示したが、QUEL-0301で処置したマウスは体重の減少が少なく、QUEL-0201で処置したマウスは体重の減少を示さなかった。
この試験におけるQUEL-0201の高い効能は、QUEL-0301(実施例3)と比較してマウスGFRALに対する親和性が高いことに起因する。
さらなるマウス試験(MS15)において、それぞれ20mg/kgの用量で2回注射で投与した場合、QUEL-0201は、GDF15誘導性食物摂食減少および体重減少を遮断することを確認した(図8Aおよび8B)。
外因性GDF15はGFRAL依存的様式でHPA軸を活性化する
後脳受容体を介して作用するGDF15がマウスにおいてコルチコステロンレベルを増加させるかどうかを決定するために、本発明者らは、マウス(MS15)における古典的GDF15応答に対するその効能を検証した抗GFRAL抗体QUEL-0201を用いた実験を行った(実施例5)。QUEL-0201は、GDF15誘導性コルチコステロン濃度を完全に防止したが、対照アイソタイプ抗体は効果を示さなかった(図9)。研究において達成されたヒト循環GDF15の濃度は、抗GFRAL群と対照アイソタイプとの間で差がなかった(図10)。
したがって、食物摂取および体重に対するGDF15の効果を完全に遮断するのに有効であった同じ用量で、抗GFRAL抗体はまた、GDF15に対するコルチコステロン応答を完全に遮断した。
QUEL-0101の配列バリアント
本発明者らは、QUEL-0101のVHおよびVLドメインとの高い配列相同性に基づき、生殖細胞系列からQUEL-0101と同一または並列の進化系統を共有すると考えられる配列を有する抗体を免疫化マウスから単離した。これらをQUEL-0102、QUEL-0103、QUEL-0104およびQUEL-0105と命名した。これらの各クローンはヒトGFRALに対する結合を示した。
QUEL-0301の配列バリアント
本発明者らは、QUEL-0301のVHおよびVLドメインとの高い配列相同性に基づき、生殖細胞系列からQUEL-0301と同一または並列の進化系統を共有すると考えられる配列を有する抗体を免疫化マウスから単離した。これらをそれぞれQUEL-0302、QUEL-0303、およびQUEL-0304と命名した。これらのクローンはそれぞれヒトGFRALに対する結合を示した。QUEL-0304はさらにin vitroの一次スクリーニングアッセイでヒトGFRALを認識することが確認された。
GFRALの阻害は筋萎縮のバイオマーカーを減少させる
本発明者らは、Mafbx、Murf1およびFoxo1の発現に対するGDF15および抗GFRAL抗体の効果を分析した。これらの遺伝子は萎縮誘導条件下で骨格筋において転写的に増加し、筋萎縮の優れたマーカーとなる[52、53]。本発明者らは、抗GFRAL抗体QUEL-0201による処置が、マウスの骨格筋においてin vivoでGDF15誘導性のこれらのマーカーの各増加を阻害したことをここで示し、したがって、悪液質のような骨格筋量の損失を伴う状態の治療におけるGDF15阻害剤の使用のさらなる支持を提供する。
材料と方法
22℃で飼育したBL6/C57マウスに、抗GFRAL抗体QUEL-0201(用量20mg/kg)またはアイソタイプ対照のいずれかを1日1回、4日間腹腔内投与した。最後の注射の翌日、マウスはヒト組換えGDF15(0.1mg/kg、Qkine)またはビヒクル対照のいずれかを皮下注射された。全群(n=4~5マウス)を6時間後に犠牲にし、4つの筋肉を採取した:前脛骨筋、長趾伸筋、腓腹筋、ヒラメ筋。RNAを抽出、精製し、既述の方法で分析した[49]。骨格筋萎縮のよく認識されている3つのマーカーであるMafbx、Murf1、およびFoxo1を分析した。
結果
分析した時点で、ヒト組換えGDF15とアイソタイプ対照抗体で処置したマウスの組織は、筋萎縮のマーカーの発現の有意な増加を示した。抗GFRAL抗体で前処理した後にGDF15を投与した場合、分析した筋肉組織のいずれにおいてもそのような効果は見られなかった。図11。
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配列情報
表A
以下の表Aは、本明細書に記載される抗体の可変ドメイン配列を示す。全てのQUEL VHドメイン、QUEL VLドメイン、QUEL CDR、QUEL重鎖およびQUEL軽鎖、それらを含む抗体、ならびにそれらをコードする核酸は、本発明の実施形態を表す。
Figure 2024511853000005
Figure 2024511853000006
Figure 2024511853000007
Figure 2024511853000008
Figure 2024511853000009
Figure 2024511853000010
Figure 2024511853000011
Figure 2024511853000012
Figure 2024511853000013
Figure 2024511853000014
表C
以下の表Cは、抗体の重鎖および軽鎖の定常領域ならびにそれをコードする核酸の配列を示す。これらは、本発明の抗体で使用し得る定常領域の例である。
Figure 2024511853000015
Figure 2024511853000016
Figure 2024511853000017
Figure 2024511853000018
Figure 2024511853000019
Figure 2024511853000020
Figure 2024511853000021
Figure 2024511853000022
Figure 2024511853000023
Figure 2024511853000024
Figure 2024511853000025
Figure 2024511853000026
Figure 2024511853000027
Figure 2024511853000028
表G
ヒト生殖細胞系列のV、DおよびJ遺伝子セグメントは組換えにより抗体のVHドメインを生成し、ヒト生殖細胞系列のVおよびJ遺伝子セグメントは組換えにより抗体のVLドメインを生成する。抗体可変ドメインのヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列遺伝子セグメントと比較して、最もよく一致する遺伝子セグメントを同定することができる。
以下の表G1に、QUEL抗体について同定された生殖細胞系列遺伝子セグメントを示す。
Figure 2024511853000029
以下の表G2は、QUEL-0101、QUEL-0201およびQUEL-0301に対応する生殖細胞系列のvおよびjフレームワーク領域を有する可変ドメインを示す。
本発明の抗体は、場合により、ここに示すような生殖細胞系列残基を有するフレームワーク領域を含む。
Figure 2024511853000030

Claims (97)

  1. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号13、HCDR2 配列番号14およびHCDR3 配列番号15のQUEL-0201セットを含み、および
    VLドメインは軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号18、LCDR2 配列番号19およびLCDR3 配列番号20のQUEL-0201セット
    を含む抗体。
  2. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む抗体。
  3. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
    遺伝子セグメントIGHV1-3(例えば、IGHV1-3*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、ならびに
    遺伝子セグメントIGLV1-40(例えば、IGLV1-40*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
    を含む抗体。
  4. VHドメインは、遺伝子セグメントIGHV1-3(例えば、IGHV1-3*01)、IGHD5-18(例えば、IGHD5-18*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、請求項3に記載の抗体。
  5. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含むQUEL-0201 IgGと、ヒトGFRALとの結合について競合する抗体。
  6. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体。
  7. 表面プラズモン共鳴により決定される100pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項6に記載の抗体。
  8. 50pM~200pMの範囲の親和性でヒトGFRALと結合する請求項6に記載の抗体。
  9. マウスGFRALと交差反応し、マウスGFRALに対して、ヒトGFRALに対する親和性の10倍以内の親和性を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体。
  10. 15nM以上の力価でGFRALを阻害し、力価はGDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体。
  11. 力価は10nM以上である、請求項10に記載の抗体。
  12. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも95 %のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体。
  13. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインおよび
    QUEL-0201 VLドメイン配列番号17に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体。
  14. 場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VHドメイン配列番号12、および
    場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VLドメイン配列番号17
    を含む、請求項13に記載の抗体。
  15. HCDR1 配列番号13、HCDR2 配列番号14およびHCDR3 配列番号15のHCDRのQUEL-0201セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VHドメイン配列番号12、および
    LCDR1 配列番号18、LCDR2 配列番号19およびLCDR3 配列番号20のLCDRのQUEL-0201セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0201 VLドメイン配列番号17
    を含む、請求項14に記載の抗体。
  16. 1つまたは2つのアミノ酸変化は保存的置換である、請求項14または請求項15に記載の抗体。
  17. QUEL-0201 VHドメイン配列番号12およびQUEL-0201 VLドメイン配列番号17を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体。
  18. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、重鎖相補性決定領域(HCDR)のセットを含み、HCDR1は、配列番号23または配列番号133であり、HCDR2は、配列番号24、配列番号124、配列番号134または配列番号142であり、そしてHCDR3は、配列番号25、配列番号125、配列番号135または配列番号143であり、および
    VLドメインは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)のセットを含み、LCDR1は、配列番号28、配列番号128または配列番号138であり、LCDR2は、配列番号29または配列番号129であり、そしてLCDR3は、配列番号30、配列番号130、配列番号139または配列番号146である、抗体。
  19. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号24およびHCDR3 配列番号25のQUEL-0301セットを含み、および
    VLドメインは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号28、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号30のQUEL-0301セットを含む、抗体。
  20. VHドメインおよびVLドメインを含み、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号124およびHCDR3 配列番号125のHCDRのQUEL-0302セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号128、LCDR2 配列番号129およびLCDR3 配列番号130のLCDRのQUEL-0302セットを含む、抗体。
  21. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号134およびHCDR3 配列番号135のHCDRのQUEL-0303セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号139のLCDRのQUEL-0303セットを含む、抗体。
  22. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号133、HCDR2 配列番号142およびHCDR3 配列番号143のHCDRのQUEL-0304セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号138、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号146のLCDRのQUEL-0304セットを含む、抗体。
  23. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む抗体。
  24. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
    遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、ならびに
    遺伝子セグメントIGLV1-44(例えば、IGLV1-44*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
    を含む抗体。
  25. VHドメインは、遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)、IGHD1-7(例えば、IGHD1-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、請求項24に記載の抗体。
  26. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
    遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、ならびに
    遺伝子セグメントIGLV1-47(例えば、IGLV1-47*01)およびIGLJ3(例えば、IGLJ3*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
    を含む抗体。
  27. VHドメインは、遺伝子セグメントIGHV3-7(例えば、IGHV3-7*01)、IGHD1-20(例えば、IGHD1-20*01)およびIGHJ4(例えば、IGHJ4*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、請求項26に記載の抗体。
  28. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含むQUEL-0301 IgGと、ヒトGFRALとの結合について競合する抗体。
  29. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項18~28のいずれか1項に記載の抗体。
  30. 表面プラズモン共鳴により決定される1pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項29に記載の抗体。
  31. 0.5pM~2pMの範囲の親和性でヒトGFRALと結合する請求項29に記載の抗体。
  32. マウスGFRALと交差反応し、表面プラズモン共鳴により決定される10nM以上のマウスGFRALに対する親和性を有する、請求項18~31のいずれか1項に記載の抗体。
  33. 15nM以上の力価でGFRALを阻害し、力価は、GDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、請求項18~32のいずれか1項に記載の抗体。
  34. 力価は10nM以上である、請求項33に記載の抗体。
  35. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項18~34のいずれか1項に記載の抗体。
  36. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0301 VLドメイン配列番号27に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の抗体。
  37. 場合により1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0301 VHドメイン配列番号22、および
    場合により1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0301 VLドメイン配列番号27
    を含む、請求項36に記載の抗体。
  38. HCDR1 配列番号23、HCDR2 配列番号24およびHCDR3 配列番号25のHCDRのQUEL-0301セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を有するQUEL-0301 VHドメイン配列番号22、および
    LCDR1 配列番号28、LCDR2 配列番号29およびLCDR3 配列番号30のLCDRのQUEL-0301セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を有するQUEL-0301 VLドメイン 配列番号27
    を含む、請求項37に記載の抗体。
  39. 1つまたは2つのアミノ酸改変は保存的置換である、請求項37または請求項38に記載の抗体。
  40. QUEL-0301 VHドメイン配列番号22およびQUEL-0301 VLドメイン配列番号27を含む、請求項18~39のいずれか1項に記載の抗体。
  41. QUEL-0302 VHドメイン配列番号123およびQUEL-0302 VLドメイン配列番号127を含む、請求項18、20および23~28のいずれか1項に記載の抗体。
  42. QUEL-0303 VHドメイン配列番号132およびQUEL-0303 VLドメイン配列番号137を含む、請求項18、21および23~28のいずれか1項に記載の抗体。
  43. QUEL-0304 VHドメイン配列番号141およびQUEL-0304 VLドメイン配列番号145を含む、請求項18および22~28のいずれか1項に記載の抗体。
  44. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1、HCDR2およびHCDR3のHCDRのセットを含み、
    HCDR1は、配列番号3、配列番号99、配列番号107または配列番号118であり、
    HCDR2は、配列番号4、配列番号100または配列番号108であり、
    HCDR3は、配列番号5、配列番号101、配列番号113または配列番号119であり、
    VLドメインは、LCDR1、LCDR2およびLCDR3のLCDRのセットを含み、
    LCDR1は、配列番号8であり
    LCDR2は、配列番号9であり、および
    LCDR3は、配列番号10または配列番号104である、抗体。
  45. 抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1 配列番号3、HCDR2 配列番号4およびHCDR3 配列番号5のQUEL-0101セットを含み、ならびに
    VLドメインは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号10のQUEL-0101セットを含む、抗体。
  46. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALと結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号99、HCDR2 配列番号100およびHCDR3 配列番号101のHCDRのQUEL-0102セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0102セットを含む、抗体。
  47. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0103セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDR のQUEL-0103セットを含む、抗体。
  48. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号107、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号113のHCDRのQUEL-0104セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0104セットを含む、抗体。
  49. VHドメインおよびVLドメインを含む、ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    VHドメインは、HCDR1 配列番号118、HCDR2 配列番号108およびHCDR3 配列番号119のHCDRのQUEL-0105セットを含み、および
    VLドメインは、LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9およびLCDR3 配列番号104のLCDRのQUEL-0105セットを含む、抗体。
  50. ヒトGFRALに結合する抗体であって、
    QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインおよび
    QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む抗体。
  51. ヒトGFRALと結合する抗体であって、
    遺伝子セグメントIGHV3-30(例えば、IGHV3-30*18)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVHドメイン、ならびに
    遺伝子セグメントIGKV1-27(例えば、IGKV1-27*01)およびIGKJ4(例えば、IGKJ4*01)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされるVLドメイン
    を含む抗体。
  52. VHドメインは、遺伝子セグメントIGHV3-30*18(例えば、IGHV3-30)、IGHD3-10(例えば、IGHD3-10*01)およびIGHJ6(例えば、IGHJ6*02)の組換えによって産生されたヌクレオチド配列によってコードされる、請求項51に記載の抗体。
  53. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含むQUEL-0101 IgGと、ヒトGFRALとの結合について競合する抗体。
  54. 表面プラズモン共鳴により決定される1nM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項44~53のいずれか1項に記載の抗体。
  55. 表面プラズモン共鳴により決定される200pM以上の親和性でヒトGFRALと結合する請求項54に記載の抗体。
  56. 100pM~400pMの範囲の親和性でヒトGFRALと結合する請求項54に記載の抗体。
  57. マウスGFRALと交差反応し、マウスGFRALに対して、ヒトGFRALに対する親和性の10倍以内の親和性を有する、請求項44~56のいずれか1項に記載の抗体。
  58. 15nM以上の力価でGFRALを阻害し、力価はGDF15に応答するERKリン酸化のin vitroアッセイにおけるIC50として決定される、請求項44~57のいずれか1項に記載の抗体。
  59. 力価は10nM以上である、請求項58に記載の抗体。
  60. 力価は5nM以上である、請求項59に記載の抗体。
  61. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項44~60のいずれか1項に記載の抗体。
  62. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメイン、および
    QUEL-0101 VLドメイン配列番号7に対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメイン
    を含む、請求項44~61のいずれか1項に記載の抗体。
  63. 場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VHドメイン配列番号2、および
    場合により、1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VLドメイン配列番号7
    を含む、請求項62に記載の抗体。
  64. HCDR1 配列番号3、HCDR2 配列番号4およびHCDR3 配列番号5のHCDRのQUEL-0101セットを含み、場合により、VHドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VHドメイン配列番号2、および
    LCDR1 配列番号8、LCDR2 配列番号9、およびLCDR3 配列番号10のLCDRのQUEL-0101セットを含み、場合により、VLドメインフレームワークに1つまたは2つのアミノ酸改変を含むQUEL-0101 VLドメイン配列番号7
    を含む、請求項63に記載の抗体。
  65. 1つまたは2つのアミノ酸改変は保存的置換である、請求項63または請求項64に記載の抗体。
  66. QUEL-0101 VHドメイン配列番号2およびQUEL-0101 VLドメイン配列番号7を含む、請求項44~65のいずれか1項に記載の抗体。
  67. QUEL-0102 VHドメイン配列番号98およびQUEL-0102 VLドメイン配列番号103を含む、請求項44、46および50~53のいずれか1項に記載の抗体。
  68. QUEL-0103 VHドメイン配列番号106およびQUEL-0103 VHドメイン配列番号110を含む、請求項44、47および50~53のいずれか1項に記載の抗体。
  69. QUEL-0104 VHドメイン配列番号112およびQUEL-0104 VLドメイン配列番号115を含む、請求項44、48および50~53のいずれか1項に記載の抗体。
  70. QUEL-0105 VHドメイン配列番号117およびQUEL-0105 VHドメイン配列番号121を含む、請求項44および49~53のいずれか1項に記載の抗体。
  71. 重鎖Fc領域を含む、請求項1~70のいずれか1項に記載の抗体。
  72. ヒトIgGである、請求項71に記載の抗体。
  73. ヒトIgG4である、請求項72に記載の抗体。
  74. 重鎖定常領域配列番号60を含む、請求項73に記載の抗体。
  75. 請求項1~74のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸。
  76. 請求項75に記載の核酸を含むin vitro宿主細胞。
  77. 請求項1~74のいずれか1項に記載の抗体または請求項75に記載の核酸を含み、薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化された組成物。
  78. 静脈内注射または皮下注射用に製剤化された、請求項77に記載の組成物。
  79. 患者においてGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療する方法であって、請求項77または請求項78に記載の組成物を患者に投与することを含む方法。
  80. 患者におけるGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療するために使用するための、請求項77または請求項78に記載の組成物。
  81. 患者におけるGDF15-GFRAL経路に関連する医学的状態を治療するための医薬の製造のための、請求項77または請求項78に記載の組成物の使用。
  82. 医学的状態は、妊娠悪阻、食欲不振、悪液質、条件付き味覚嫌悪、および/またはがんのための化学療法治療の副作用である、請求項79に記載の方法、請求項80に記載の組成物、または請求項81に記載の組成物の使用。
  83. 患者はまた、抗癌化学療法剤による治療を受けるか、または受けたことがある、請求項82に記載の方法、組成物または使用。
  84. 医学的状態はがん患者の食欲不振である、請求項82または請求項83に記載の方法、組成物または使用。
  85. 医学的状態はがん患者の悪液質である、請求項82または請求項83に記載の方法、組成物または使用。
  86. 医学的状態は抗癌化学療法剤による治療の副作用である、請求項82~請求項85のいずれか1項に記載の方法、組成物または使用。
  87. 治療は、抗癌化学療法剤による治療によって引き起こされる条件付き味覚嫌悪を予防することを含む、請求項86に記載の方法、組成物または使用。
  88. 治療は、体重損失を減少させがん患者の生存期間を延長することを含む、請求項82~87のいずれか1項に記載の方法、組成物または使用。
  89. 患者においてグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させる方法であって、GDF15シグナル伝達の阻害剤を患者に投与することを含む方法。
  90. 患者におけるグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させるのに使用するための、GDF15シグナル伝達の阻害剤。
  91. 患者におけるグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)レベルを低下させるための医薬の製造のための、GDF15シグナル伝達阻害剤の使用。
  92. 血液グルココルチコイドレベルが上昇していると判定された患者のグルココルチコイド(例えば、コルチゾール)の血液レベルを正常化するための、請求項89に記載の方法、請求項90に記載の使用のための阻害剤、または請求項91に記載の阻害剤の使用。
  93. 患者がん患者である、請求項89に記載の方法、請求項90に記載の使用のための阻害剤、または請求項91に記載の阻害剤の使用。
  94. 患者は細胞毒性剤および/または抗悪性腫瘍剤による治療も受けるか、または受けたことがある、請求項89~93のいずれか1項に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
  95. 阻害剤はGDF15-GFRAL-RETシグナル伝達複合体を阻害する、請求項89~94のいずれか1項に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
  96. 阻害剤は抗GFRAL抗体である、請求項95に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
  97. 抗GFRAL抗体は請求項1~74のいずれか1項に記載の抗体である、請求項96に記載の方法、使用のための阻害剤、または阻害剤の使用。
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