JP2024511610A - コロナウイルス感染の治療及び予防のための抗tmem106b抗体 - Google Patents

コロナウイルス感染の治療及び予防のための抗tmem106b抗体 Download PDF

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Abstract

本開示は、概して、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染の治療、予防、またはリスク低減における、TMEM106Bタンパク質に結合する抗体の使用を対象とする。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月23日出願の米国仮出願第63/164,873号、2021年9月1日出願の同第63/239,498号、及び2022年3月9日出願の同第63/318,068号の優先権の利益を主張するものであり、これらの仮出願はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ASCIIテキストファイルの配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルでの提出物の内容は、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する:コンピューターで読み取り可能な形式(CRF)の配列表(ファイル名称:4503_015PC03_Seqlisting_ST25.txt、作成日:2022年3月23日、サイズ258,941バイト)。
本開示の分野
本開示は、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染の治療及び予防のための抗TMEM106B抗体の使用に関する。
本開示の背景
膜貫通タンパク質106B(TMEM106B)は、主に、後期エンドソーム、及び、リソソームの膜内に存在する、タイプ2の1回膜貫通糖タンパク質である。(例えば、Lang et al., 2012, J Biol Chem, 287:19355-19365(非特許文献1);Chen-Plotkin et al., 2012, J Neurosci, 32:11213-11227(非特許文献2);Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 22:685-695(非特許文献3)を参照されたい)。TMEM106Bは、哺乳動物で高度に保存されており、ヒトのタンパク質は、カニクイザル変異体とは99%の配列同一性を、また、マウスのオルソログとは97%の配列同一性を共有している。
TMEM106Bは、アミノ酸残基1~92(ヒトTMEM106B;配列番号1)の範囲にあると予測されている細胞質ドメイン、アミノ酸残基96~117の範囲にあると予測されている膜貫通ドメイン、及び、アミノ酸残基118~274の範囲にあると予測されている内腔ドメインを有する。翻訳後のN-グリコシル化部位(N-X-T/S)の5つの配列モチーフは、その内腔ドメインに及んでいる。単純なグリカンが、3つのアスパラギン残基(N145、N151、及び、N164)に加えられているが、TMEM106Bの局在性に関しては重要ではない。複雑なグリカンが、最もC末端側のモチーフのN183、及び、N256に加えられており;N183に関する複雑なグリカンを失うと、エンドソーム/リソソームに向かうTMEM106Bの順方向への輸送が機能しなくなり、小胞体で保持されることになる。加えて、複雑なN256グリコシル化は、適切なTMEM106Bの選別のために必要である。(例えば、Nicholson and Rademakers, 2016, Acta Neuropathol, 132:639-651(非特許文献4)を参照されたい。)
TMEM106Bの機能は、完全には特徴決定されていない。最近の報告は、樹状突起に沿ったリソソームの輸送を阻害することで、リソソームの機能及び維持における、TMEM106Bの役割を示している。(例えば、Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 126:696-698(非特許文献5);Schwenk et al., 2014, EMBO J, 33:450-467(非特許文献6);Clayton et al., 2018, Brain 141(12):3428-3442(非特許文献7)を参照されたい。)
TMEM106Bは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の宿主因子として同定されている。TMEM106Bを遺伝的に欠失させると、SARS-CoV-2コロナウイルスの複製及び感染が低減した(Baggen et al,2021,Nature Genetics,doi.org/10.1038/s41588-021-00805-2(非特許文献8)、Baggen et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020.09.28.316281(非特許文献9)、Wang et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020/09.24.312298(非特許文献10)、Wang et al,2021,Cell,184:1-14(非特許文献11))。
TMEM106B活性と関連する様々な疾患、障害及び、病態(コロナウイルス感染など)を治療するために、TMEM106Bに特異的に結合する治療用抗体、及び/またはTMEM106Bの活性を阻害することが可能な療法(TMEM106Bタンパク質のレベルもしくは機能を低減させることによるものなど)を含めて、TMEM106Bを標的とする治療が求められている。
特許出願、及び、刊行物を含む、本明細書で引用するすべての文献を、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。
Lang et al., 2012, J Biol Chem, 287:19355-19365 Chen-Plotkin et al., 2012, J Neurosci, 32:11213-11227 Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 22:685-695 Nicholson and Rademakers, 2016, Acta Neuropathol, 132:639-651 Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 126:696-698 Schwenk et al., 2014, EMBO J, 33:450-467 Clayton et al., 2018, Brain 141(12):3428-3442 Baggen et al,2021,Nature Genetics,doi.org/10.1038/s41588-021-00805-2 Baggen et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020.09.28.316281 Wang et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020/09.24.312298 Wang et al,2021,Cell,184:1-14
本開示の概要
本開示は、概して、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染の治療、予防、またはリスク低減を行う方法を対象とし、この方法は、その必要のある個体に対して、TMEM106Bに結合する抗体を治療的に有効な量で投与する工程を含む。
したがって、本開示のある特定の態様では、本明細書で提供される使用及び方法のための抗TMEM106抗体は、コロナウイルスの複製の低減、コロナウイルスの伝播の低減、コロナウイルスゲノムの翻訳の低減、コロナウイルスによる細胞侵入の低減、感染細胞からのコロナウイルスの放出の低減、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される特性を有する。一部の実施形態では、抗体は、SARS-CoV-2に感染した細胞における細胞変性効果を低減し、任意で、細胞は、VeroE6細胞またはNCI-H1975細胞である。
本開示のその他の態様は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための、単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関するものであり、当該抗TMEM106B抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つのHVRを含む。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗体の6つのHVR(例えば、以下の表1~4に示されるもの)を含む。
本開示のその他の態様は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗体のV及びV(例えば、以下の表5及び6に示されるもの)を含むリファレンス抗TMEM106B抗体と本質的に同じTMEM106Bエピトープに結合する、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための、単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関する。本開示の他の態様は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための、単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関し、抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗体のいずれかの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗体のTMEM106Bへの結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、抗体は、配列番号1のアミノ酸122~210を含む短縮型TMEM106Bタンパク質に結合する。一部の実施形態では、抗体は、ビン2のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン3のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン4のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン5のものではない。一部の実施形態では、抗体は、ビン1のものではない。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、モノクローナル抗体である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である。一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラスの抗体であり、かつ、IgG1、IgG2、または、IgG4アイソタイプを有する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B、または、哺乳動物TMEM106Bタンパク質に関するアミノ酸残基を含むエピトープに対して結合する抗体断片である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、または、scFv断片である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、全長抗体である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体、または、キメラ抗体である。
本開示のその他の態様は、前出の実施形態のあらゆる当該抗TMEM106B抗体と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物に関する。
本開示の他の態様は、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染の治療、予防、またはリスク低減のための医薬の製造における、本明細書に記載の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体の使用に関する。
本明細書に記載の様々な実施形態の1つ、一部、または、全部の特性を組み合わせて、本発明のその他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。本発明のこれらの態様、及び、その他の態様は、当業者には自明である。本発明のこれらの実施形態、及び、その他の実施形態を、以下にさらに詳細に説明する。
VeroE6アフリカミドリザル腎臓上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の用量漸増作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の用量漸増作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の用量漸増作用を示すデータを示す。 NCI-H1975ヒト肺上皮細胞のSARS-CoV-2感染後の細胞生存率に対する本開示の抗TMEM106B抗体の用量漸増作用を示すデータを示す。
本開示の詳細な説明
本開示は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための、抗TMEM106B抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその医薬組成物の使用に関する。一部の態様では、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための方法が本明細書で提供され、この方法は、その必要のある個体に抗TMEM106B抗体を投与することによるものである。
本明細書で説明または参照した技術や手順は、一般的に、よく理解されており、当業者であれば、例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., (2003);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000)に記載されている方法論など、広く利用されている方法論である従来の方法論を進んで使用している。
定義
本明細書では、用語「TMEM106B」または「TMEM106Bポリペプチド」を、互換的に使用しており、特に断りがない限り、霊長類(例えば、ヒト、及び、カニクイザル(cynos))、及び、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)などの哺乳類を含む、あらゆる脊椎動物起源の天然のあらゆるTMEM106Bのことを指す。一部の実施形態では、この用語は、野生型配列、及び、天然に存在する変異配列、例えば、スプライス変異、または、対立遺伝子変異の両方を含む。一部の実施形態では、この用語は、「全長」の未処理TMEM106B、ならびに、細胞内での処理が関与するあらゆる形態のTMEM106Bを含む。一部の実施形態では、当該TMEM106Bは、ヒトTMEM106Bである。一部の実施形態では、例示的なTMEM106Bのアミノ酸配列は、2006年6月27日現在でのUniprot受託番号:Q9NUM4である。一部の実施形態では、例示的なヒトTMEM106Bのアミノ酸配列は、配列番号1である。
用語「抗TMEM106B抗体」、「TMEM106Bに対して結合する抗体」、及び、「TMEM106Bに特異的に結合する抗体」は、TMEM106Bを標的にする診断薬、及び/または、治療薬として有用な抗体であり、TMEM106Bに対して十分な親和性で結合することができる抗体のことを指す。ある実施形態では、無関係の非TMEM106Bポリペプチドに対する抗TMEM106B抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)で決定したように、TMEM106Bに対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、TMEM106Bに対して結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、異なる種に由来するTMEM106Bの間で保存されているTMEM106Bのエピトープに対して結合する。
標的分子に対する抗体の結合に関して、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、非特異的相互作用とは異なる測定可能な結合を意味する。特異的結合は、例えば、対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定して測定することができる。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰の非標識標的に類似する対照分子と競合させて決定することができる。この事例では、プローブに対する標識した標的の結合を、過剰な非標識標的が競合的に阻害するのであれば、特異的結合を示す。本明細書で使用する用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、例えば、概ね、10-4M以下、10-5M以下、10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下のいずれかの標的に関するKD、または、10-4M~10-6M、または、10-6M~10-10M、または、10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子として示すことができる。当業者であれば、親和性とKD値は反比例することを理解する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値として表れる。ある実施形態では、用語「特異的結合」とは、分子が、あらゆるその他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに対して実質的に結合せずに、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチドに関するエピトープに対して結合する結合のことを指す。
本明細書において、用語「免疫グロブリン」(Ig)は、「抗体」と互換的に使用する。本明細書において、用語「抗体」は、最も広い意味で使用しており、特に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成した多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び、所望の生物学的活性を示す限りは、抗体断片を含む。
「ネイティブ抗体」は、通常、2つの同一の軽(「L」)鎖、及び、2つの同一の重(「H」)鎖から構成されている、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合で重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。それぞれの重鎖、及び、それぞれの軽鎖は、規則的な間隔を開けた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一端に、可変ドメイン(V)を有しており、これに、幾つかの定常ドメインが続く。それぞれの軽鎖は、一端に、可変ドメイン(V)を有しており、他端に、定常ドメインを有しており;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列しており、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられる。
異なる抗体クラスの構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
あらゆる脊椎動物種に由来する軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)、及び、ラムダ(「λ」)と称する2つの明確に異なる種類の内の1つに割り当てることができる。免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及び、IgMの5つのクラスがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、及び、ミュー(「μ」)と表記される重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CH配列及び機能の相対的にわずかな相違に基づいて、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分類され、例えば、ヒトでは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及び、IgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造、及び、三次元構成は公知であり、例えば、Abbas et al.,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)で概説されている。
本開示のTMEM106B抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインのことを指す。当該重鎖及び軽鎖の可変ドメインを、それぞれ、「V」及び「V」と称し得る。これらのドメインは、一般的に、(同じクラスのその他の抗体と比較して)最も変化しやすい抗体の部分であり、抗原結合部位を含む。
用語「可変」とは、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示のTMEM106B抗体などの抗体の間で配列が大きく異なるという事実のことを指す。当該可変ドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、当該可変性は、当該可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインの超可変領域(HVR)と呼ばれている3つのセグメントに集中している。可変ドメインにおいて高度に保存されている部分を、フレームワーク領域(FR)と称する。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、3つのHVRで接続した、ベータシート立体配置を主体とする4つのFR領域を含み、それらは、当該ベータシート構造に接続するループ、及び、一部の事例では、当該ベータシート構造の一部を形成するループを形成する。それぞれの鎖でのHVRは、FR領域に非常に近接して一緒に保持され、他方の鎖に由来するHVRと共に、それらの抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。当該定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体集団から得た抗体、例えば、本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体のことを指し、すなわち、当該集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る自然発生の変異、及び/または、翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1つ以上の抗原部位を指向する。一般的には異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、当該抗原の単一の決定基を指向する。それらの特異性に加えて、当該モノクローナル抗体は、その他の免疫グロブリンによる汚染を受けていないハイブリドーマ培養で合成するという点で有利である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体の特徴を示すものであって、あらゆる特定の方法で抗体の生産を必要とするものと解釈すべきではない。例えば、本発明にしたがって使用するモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、及び、ヒト免疫グロブリン遺伝子座、または、ヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部またはすべてを有する動物において、ヒトまたはヒト様抗体を生産する技術などの様々な技術によって生産し得る。
用語「全長抗体」、「インタクト抗体」、または、「全抗体」とは、抗体断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体を指すために、互換的に使用している。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、ネイティブ配列の定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列の定常ドメイン)、または、そのアミノ酸配列変異体とし得る。一部の事例では、当該インタクト抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原に対して結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子のことを指す。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、及び、Fv断片;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)を参照されたい)、一本鎖抗体分子、及び、抗体断片から形成した多重特異性抗体がある。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体をパパイン消化すると、「Fab」断片と称する2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映した名称を有する残留「Fc」断片とを生成する。当該Fab断片は、軽鎖全体に加えて、重鎖の可変領域ドメイン(V)と、1つの重鎖の第1の定常ドメイン(C1)とからなる。それぞれのFab断片は、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、単一の大きなF(ab’)断片が得られ、このものは、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド結合した2つのFab断片に概ね対応しており、また、依然として抗原を架橋することができる。Fab’断片は、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含んだ幾つかのさらなる残基を有する点で、Fab断片と異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’に関する本明細書での表記である。F(ab’)抗体断片は、当初は、その断片間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生産された。抗体断片のその他の化学的カップリングも公知である。
当該Fc断片は、ジスルフィドと共に保持された両方の重鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域は、特定の細胞型で認められるFc受容体(FcR)でも認識される。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体の「機能性断片」は、インタクト抗体の一部分を含み、一般的には、インタクト抗体の抗原結合領域または可変領域、または、FcR結合能力を保持する、または、改変したFcR結合能力を有する抗体のFc領域を含む。抗体断片の例として、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び、抗体断片から形成した多重特異性抗体がある。
用語「ダイアボディ」とは、可変ドメインの鎖内ではなく、鎖間のペアリングを達成し、それにより、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VドメインとVドメインとの間に短いリンカー(約5~10個)の残基)を用いてsFv断片(前出の段落を参照されたい)を構築して調製した小さな抗体断片のことを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVドメイン及びVドメインが、異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。
本明細書で使用する「キメラ抗体」とは、本開示のキメラ抗TMEM106B抗体などの抗体(免疫グロブリン)であって、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体、または、特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同であり、かつ、その鎖(複数可)の残部が、別の種に由来する抗体、または、別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同である抗体、ならびに、所望の生物活性を示す限りは、それら抗体の断片のことを指す。本明細書で対象とするキメラ抗体として、PRIMATIZED(登録商標)抗体があり、当該抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫処置して産生した抗体に由来する。本明細書で使用する、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用する。
本開示の抗TMEM106B抗体のヒト化など、非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及び、ヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び、一般的には、2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて、または、実質的にすべてが、非ヒト抗体のHVRに対応し、FRのすべて、または、実質的にすべてが、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体のことを指す。
「ヒト抗体」は、本開示の抗TMEM106B抗体のように、ヒトで産生した抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む抗体、及び/または、本明細書に開示したヒト抗体を作る技術のいずれかを使用して生産した抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して生産することができる。ヒト抗体は、かかる抗体を抗原接種に応答して生産するように修飾されているが、例えば、免疫処置したゼノマウス、ならびに、ヒトB細胞ハイブリドーマを介して生成させて、その内因性遺伝子座を無効化したトランスジェニック動物に対して当該抗原を投与して、調製することができる。
本明細書で使用する用語「超可変領域」、「HVR」または「HV」とは、配列が超可変性であり、かつ/または、構造的に定義されたループを形成する、本開示の抗TMEM106B抗体の抗体可変ドメインの領域などの抗体可変ドメインの領域のことを指す。一般的に、抗体には、6つのHVRがあり;3つが、V(H1、H2、H3)にあり、3つが、V(L1、L2、L3)にある。ネイティブ抗体において、H3及びL3が、6つのHVRの内で最も多様性に富んでおり、特に、H3が、抗体に対して優れた特異性を与える上で独特の役割を果たすものと考えられている。重鎖のみからなる天然ラクダ抗体は、軽鎖がなくとも機能的で、かつ、安定している。
数多くのHVRの記載を、本明細書で使用しており、かつ、本明細書に含んでいる。一部の実施形態では、これらのHVRは、配列変動性に基づいたKabat相補性決定領域(CDR)とし得、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,上掲)。一部の実施形態では、それらのHVRは、Chothia CDRとし得る。Chothiaは、どちらかと言えば、構造的ループの位置を指すものである(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901~917(1987))。一部の実施形態では、これらのHVRを、AbM HVRとし得る。これらのAbM HVRは、Kabat CDRと、Chothia構造的ループとの間の折衷案を示しており、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されている。一部の実施形態では、これらのHVRを、「contact」HVRとし得る。当該「contact」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づくものである。これらのHVRのそれぞれの残基を、以下に示す。
Figure 2024511610000001
HVRは、次の「伸長HVR」を含み得る:VLでの24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び、89~97または89~96(L3)、及び、VHでの26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、及び、93~102、94~102または95~102(H3)。当該可変ドメイン残基を、これらの伸長HVR定義のそれぞれに対して、Kabat et al.,上掲に従って付番する。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義するHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書で使用する「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに由来するVまたはVフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、当該フレームワークと同じアミノ酸配列を含み得る、または、既存のアミノ酸配列変化を含み得る。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、または、2つ以下である。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましいアミノ酸変化は、位置71H、73H、及び、78Hの内の3つ、2つ、または、1つのみに生じ;例えば、当該位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または、78Aとし得る。ある実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、Vヒト免疫グロブリンフレームワーク配列、または、ヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVまたはVフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンのV配列またはV配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行う。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)などのサブグループである。例として、Vに関するものとして、サブグループは、Kabat et al.,上掲などのサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、または、カッパIVとし得る。さらに、Vに関するものとして、サブグループは、Kabat et al.,上掲などのサブグループI、サブグループII、または、サブグループIIIとし得る。
例えば、本開示の抗TMEM106B抗体のアミノ酸修飾など、指定した位置での「アミノ酸修飾」とは、指定した残基の置換もしくは欠失、または、少なくとも1つのアミノ酸残基を、指定した残基に隣接するように挿入することを指す。指定した残基に「隣接する」挿入とは、そこから1個~2個の残基までに挿入することを意味する。当該挿入は、指定した残基のN末端側またはC末端側で行い得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
例えば、本開示の親和性成熟抗TMEM106B抗体などの「親和性成熟」抗体とは、当該抗体の1つ以上のHVRに1つ以上の改変を有し、その結果、抗原に対する抗体の親和性が、当該改変(複数可)を有しない親抗体と比較して改善した抗体である。ある実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル、または、ひいてはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で公知の手法で生産する。例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779~783(1992)は、V-及びV-ドメインのシャッフリングを用いた親和性成熟について記載している。HVR、及び/または、フレームワーク残基のランダム変異導入については、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809~3813(1994);Schier et al.Gene 169:147~155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994~2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310~9(1995);及び、Hawkins et al.,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
「Fv」は、完全な抗原認識部位、及び、抗原結合部位を含む、最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと、1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みが、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供してこの抗体に抗原結合特異性を与える、6つの超可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的なHVRを3つしか含まない半分のFv)であっても、全結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも略称される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖の状態で接続したVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体断片である。好ましくは、当該sFvポリペプチドは、VとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域、または、アミノ酸配列変異Fc領域)が関与する生物活性のことを指し、抗体のアイソタイプに応じて異なる。
本明細書で使用する用語「Fc領域」とは、ネイティブ配列Fc領域、及び、変異Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用する。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、アミノ酸残基の位置Cys226、または、Pro230から、そのカルボキシル末端にまで及ぶものと定義される。当該Fc領域のC末端リジン(EU付番システムでの残基447)は、例えば、抗体の生産もしくは精製の間に、または、抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することで除去し得る。したがって、インタクト抗体の組成は、すべてのK447残基を除去した抗体集団、K447残基を除去していない抗体集団、及び、K447残基を持つ抗体と持たない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に好適なネイティブ配列Fc領域として、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4がある。
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然界で認められるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列のヒトFc領域として、ネイティブ配列のヒトIgG1 Fc領域(非A、及び、Aアロタイプ)、ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域、ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域、及び、ネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに、それらの天然変異がある。
「変異Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)によって、ネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該変異Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有しており、例えば、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域に、約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5のアミノ酸置換を有する。本明細書での変異Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域、及び/または、親ポリペプチドのFc領域に対して、少なくとも約80%の相同性、及び、最も好ましくは、それらに対して少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらに対して少なくとも約95%の相同性を有する。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことを表す。好ましいFcRは、ネイティブ配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合する受容体であり、FcγRI、FcγRII、及び、FcγRIIIのサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異体、及び、選択的スプライシング形態を含み、FcγRII受容体は、同様のアミノ酸配列を有し主にその細胞質ドメインが異なる、FcγRIIA(「活性化受容体」)とFcγRIIB(「阻害性受容体」)とを含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(「ITAM」)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害性モチーフ(「ITIM」)を含む。その他のFcRは、今後同定されるものを含めて、本明細書での用語「FcR」に含まれる。また、FcRは、抗体の血清での半減期を長くすることができる。
ペプチド、ポリペプチド、または、抗体配列に関して本明細書で使用する、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「アミノ酸配列相同性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大配列同一性パーセントを達成するために必要に応じてギャップを導入した後、配列同一性の一部としてあらゆる保存的置換は考慮しない、指定のペプチドまたはポリペプチド配列でのアミノ酸残基と同一である、候補配列でのアミノ酸残基のパーセンテージのことを指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術範囲に属する様々な方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、または、MEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要とされる当該技術分野において公知のあらゆるアルゴリズムを含む、アラインメントを評価するための適切なパラメーターを決定することができる。
同じエピトープに関して競合する抗体(例えば、中和抗体)の文脈で使用する用語「競合する」とは、試験する抗体が、共通の抗原(例えば、TMEM106B、または、その断片)に対するリファレンス分子(例えば、リガンド、または、リファレンス抗体)の特異的結合を予防または阻害(例えば、低減)するアッセイによって決定する抗体間の競合のことを意味する。無数のタイプの競合結合アッセイを使用して、抗体が、別の抗体と競合するか否かを判断でき、例えば;固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619)固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);1-125ラベルを使用した固相直接ラベルRIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology176:546-552を参照されたい);及び、直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)がある。一般的には、そのようなアッセイは、非標識試験抗体、及び、標識参照抗体のいずれかを担持する固体表面または細胞に結合した精製抗原の使用を含む。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定して測定する。通常、当該試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイ(競合抗体)で同定した抗体として、リファレンス抗体と同じエピトープに対して結合する抗体と、立体障害を招くリファレンス抗体が結合するエピトープに対して十分近位の隣接エピトープに対して結合する抗体とがある。競合結合を決定するための方法に関するさらなる詳細を、本明細書の以下の記載と実施例で説明する。通常、競合する抗体が過剰に存在すると、共通抗原に対するリファレンス抗体の特異的結合は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または、ほぼ100%を阻害(例えば、低減)する。
TMEM106Bの同じ領域への結合について競合する抗体は、同じ抗体「ビン」のものであると見なされる。TMEM06Bに結合する抗体のビンの例は、本明細書では、例えば、実施例4及び6で論じられている。
本明細書で使用される「ビン1」の抗体は、本明細書で提供されるTM1、TM17、TM22、TM26、TM79、及び/またはTM82抗体と同じまたは重複するTMEM106B領域への結合について競合する抗体を指す。
本明細書で使用される「ビン2」の抗体は、本明細書で提供されるTM3、TM9、TM10、TM11、TM12、TM13、TM18、TM19、TM21、TM24、TM25、TM32、TM35、TM37、TM42、TM45、TM48、TM54、TM59、TM60、TM61、及び/またはTM76抗体と同じまたは重複するTMEM106B領域への結合について競合する抗体を指す。
本明細書で使用される「ビン3」の抗体は、本明細書で提供されるTM7、TM15、TM83、及び/またはTM84抗体と同じまたは重複するTMEM106B領域への結合について競合する抗体を指す。
本明細書で使用される「ビン4」の抗体は、本明細書で提供されるTM5、TM28、TM29、TM30、TM63、TM64、TM72、TM78、TM80、TM86、及び/またはTM88抗体と同じまたは重複するTMEM106B領域への結合について競合する抗体を指す。
本明細書で使用される「ビン5」の抗体は、配列番号1のアミノ酸122~210を含む短縮型TMEM106Bに結合しない抗体を指す。
本明細書で使用するTMEM106Bタンパク質と第2のタンパク質との間の「相互作用」として、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及び、イオン結合があるが、これらに限定されない。本明細書において、抗体が、2つのタンパク質の間の相互作用を、攪乱、低減、または、完全に解消する場合、当該抗体は、2つのタンパク質の間の「相互作用を阻害する」。その抗体が、2つのタンパク質の内の一方に結合する場合、本開示の抗体は、2つのタンパク質の間の「相互作用を阻害する」。一部の実施形態では、当該相互作用は、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または、ほぼ100%のいずれかで阻害することができる。
用語「エピトープ」として、抗体が結合することができる、あらゆる決定基がある。エピトープは、その抗原を標的とする抗体が結合する抗原の領域であり、また、抗原がポリペプチドである場合、当該抗体と直接に接触する特定のアミノ酸を含む。大抵の場合、エピトープは、ポリペプチドに存在するが、一部の事例では、核酸などのその他の種類の分子に存在することができる。エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル基などの分子に属する化学的に活性な表面を含み、特定の三次元構造特性、及び/または、特定の電荷特性を有することができる。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、ポリペプチド、及び/または、高分子の複雑な混合物での標的抗原に関するエピトープを優先的に認識する。
「アゴニスト」抗体、または、「活性化」抗体は、抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を誘導する(例えば、高める)抗体である。
「アンタゴニスト」抗体、または、「ブロッキング」抗体、または、「阻害」抗体とは、当該抗体が、抗原と結合した後に、1つ以上のリガンドに対する抗原結合を低減し、阻害し、及び/または、解消する(例えば、弱める)抗体、及び/または、当該抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を低減し、阻害し、及び/または、解消する(例えば、弱める)抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体、または、ブロッキング抗体、または、阻害抗体は、1つ以上のリガンドへの抗原結合、及び/または、当該抗原の1つ以上の活性または機能を、実質的または完全に阻害する。
本開示の単離された抗TMEM106B抗体などの「単離された」抗体は、その生産環境の成分から(例えば、自然に、または、組換えて)同定、分離、及び/または、回収したものである。好ましくは、当該単離された抗体は、その生産環境に由来するその他のすべての汚染成分とは関連がない。組換えトランスフェクト細胞から得られるものなど、その生産環境に由来する汚染成分は、一般的には、抗体の研究、診断、または、治療への使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、及び、その他のタンパク質性、または、非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施形態では、抗体を:(1)例えば、ローリー法で決定した抗体の95重量%を超えるまで、一部の実施形態では、99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップシーケンサーを使用して、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または、(3)クーマシーブルー、または、好ましくは、銀染色を使用する、非還元または還元条件下でのSDS-PAGEで、均一になるまで精製する。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換えT細胞内の元の位置に抗体を含む。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程で調製する。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体をコードする「単離された」核酸分子とは、それが生産された環境において通常付随する少なくとも1つの汚染核酸分子から、同定及び分離された核酸分子である。好ましくは、当該単離された核酸は、その生産環境に関連するすべての構成成分とは会合しない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、自然界で認められる形態または状況とは異なる形態で存在する。したがって、単離された核酸分子は、細胞内に自然に存在する本明細書のポリペプチド、及び、抗体をコードする核酸とは区別される。
本明細書で使用する用語「ベクター」とは、それに結合した別の核酸を輸送することができる核酸分子のことを指す。「プラスミド」は、ベクターの一種であり、さらなるDNAセグメントをライゲーションすることができる環状二本鎖DNAのことを指す。ファージベクターは、別の種類のベクターである。別の種類のベクターとして、ウイルスベクターがあり、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノムに対してライゲーションすることができる。特定のベクター(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、及び、エピソーム哺乳動物ベクター)は、導入された宿主細胞で自己複製が可能である。その他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結した遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書では、「組み換え発現ベクター」、または、簡略して「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技法で利用する発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが、ベクターの内で最も一般的に使用される形態であるため、互換的に使用し得る。
本明細書で互換的に使用する「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、あらゆる長さのヌクレオチドの重合体のことを指すものであり、DNA及びRNAを含む。当該ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/または、それらの類似体、あるいは、DNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または、合成反応により、重合体に組み込まれ得るあらゆる基質とすることができる。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクター(複数可)のレシピエントになることができる、または、レシピエントになっている個々の細胞、または、細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、自然発生的、偶発的、または、意図的な変異により、元の親細胞と必ずしも完全に(形態学的に、または、ゲノムDNA相補鎖において)同一でなくともよい。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(複数可)をインビボでトランスフェクションした細胞を含む。
本明細書で使用する「担体」は、使用する用量及び濃度で、そこに曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒である薬学的に許容される担体、賦形剤、または、安定剤を含む。
本細書で使用する用語「予防する」とは、個体における特定の疾患、障害、または、病態の発生または再発に関して予防を提供することを含む。個体は、特定の疾患、障害、または、病態にかかりやすく、影響を受けやすく、または、そのような疾患、障害、または、病態を発症するリスクがあるが、未だに、当該疾患、障害、または、病態であると診断されていない。
本明細書で使用する、特定の疾患、障害、または、病態を発症する「リスクのある」個体とは、検出可能な疾患または疾患の症状を有し得る、または、有し得ず、本明細書に記載した治療法の前に、検出可能な疾患または疾患の症状を示し得る、または、示し得ない。「リスクがある」とは、個体が、特定の疾患、障害、または、病態の発症と相関する測定可能なパラメーターである、当該技術分野で公知の1つ以上のリスク因子を有することを示す。これらのリスク因子の1つ以上を有する個体は、これらのリスク因子の1つ以上を持たない個体よりも、特定の疾患、障害、または、病態を発症する可能性が高くなる。
本明細書で使用する用語「治療」とは、臨床病理の経過期間で治療を受けている個体の自然な経過を変えるように設計した臨床介入のことを指す。治療の望ましい効果として、進行速度の低下、病的状態の改善または緩和、及び、特定の疾患、障害、または、病態の寛解または予後の改善がある。例えば、特定の疾患、障害、または、病態に関連する1つ以上の症状が緩和または解消した場合、個体の「治療」は成功している。
「有効量」とは、所望の治療的、または、予防的結果を達成するために必要な投薬量、及び、期間で、少なくとも有効な量のことを指す。有効量は、1回以上の投与で提供することができる。本明細書に記載の有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び、体重、ならびに、個体において所望の応答を誘発する治療の能力などの要因によって変化し得る。有効量は、治療でのあらゆる毒性または有害な作用よりも、治療的に有益な効果が勝る量でもある。予防的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患の生化学的、組織学的、及び/または、行動的症状、その合併症、及び、疾患の進行過程での中間的病理学的表現型など、疾患のリスクの排除または低減、重症度の軽減、または、発症の遅延などの結果がある。治療的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患が関与する1つ以上の症状の減少、疾患を患った方々の生活の質の向上、疾患の治療に必要なその他の薬物の投与量の減少、標的化などを介した別の薬物の効果の改善、疾患の進行の遅延、及び/または、生存期間の延長などがある。薬物、化合物、または、医薬組成物の有効量は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床の文脈で理解すると、薬物、化合物、または、医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または、医薬組成物と組み合わせて達成し得る、または、達成し得ない。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療薬を投与する状況で考慮し得るものであり、単一の薬剤が、1つ以上のその他の薬剤と組み合わせて、所望の結果を達成し得る、または、達成するのであれば、有効量で与えられると考え得る。
治療、予防、または、リスク低減を目的とする「個体」とは、ヒト、飼育動物、及び、家畜、ならびに、動物園用動物、競技用または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む、哺乳動物に分類されるあらゆる動物のことを指す。好ましくは、個体は、ヒトである。
本明細書で使用する、別の化合物または組成物との「併用」投与とは、同時投与、及び/または、異なる時点での投与を含む。また、併用投与は、合剤としての投与、または、別個の組成物としての投与を含み、異なる投与頻度または間隔で、かつ同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む。一部の実施形態では、併用投与は、同じ治療レジメンの一部としての投与である。
本明細書で使用する用語「約」とは、それぞれの数値の通常の誤差範囲のことを指しており、当該技術分野の当業者であれば、容易に理解する。本明細書において「約」を付した値またはパラメーターへの言及は、その数値、または、パラメーターそれ自体を対象にした実施形態を含む(及び、説明する)。
本明細書、及び、添付した特許請求の範囲で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び、「その(the)」は、特に断りのない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、1つの抗体から、モル量の数多くの抗体までを指すものであり、当業者に公知のそれらの等価物なども含む。
本明細書で使用する本開示の「TMEM106B」タンパク質として、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、霊長類のTMEM106Bタンパク質、カニクイザル(cyno)のTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、ラットのTMEM106Bタンパク質があるが、これらに限定されない。加えて、本開示の抗TMEM106B抗体は、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、霊長類のTMEM106B、カニクイザルのTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、ラットのTMEM106Bタンパク質の1つ以上の中にあるエピトープに結合し得る。
本明細書で説明する本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態を「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」、及び、「から本質的になる(consisting essentially of)」を含む、ことを理解されたい。
TMEM106Bタンパク質
本明細書では、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減を行う方法が提供され、この方法は、その必要のある個体に抗TMEM106B抗体を投与することによるものである。
ある態様では、本開示は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための、単離された(例えば、モノクローナル)抗体を提供し、抗体は、本開示のTMEM106Bタンパク質内のエピトープに結合する。本開示のTMEM106Bタンパク質として、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、カニクイザルのTMEM106Bタンパク質があるが、これらに限定されない。
ヒトTMEM106Bは、2型膜糖タンパク質をコードする274個のアミノ酸のタンパク質である。ヒトTMEM106Bの当該アミノ酸配列は、以下に記載している(配列番号1):
MGKSLSHLPLHSSKEDAYDGVTSENMRNGLVNSEVHNEDGRNGDVSQFPYVEFTGRDSVTCPTCQGTGRIPRGQENQLVALIPYSDQRLRPRRTKLYVMASVFVCLLLSGLAVFFLFPRSIDVKYIGVKSAYVSYDVQKRTIYLNITNTLNITNNNYYSVEVENITAQVQFSKTVIGKARLNNITIIGPLDMKQIDYTVPTVIAEEMSYMYDFCTLISIKVHNIVLMMQVTVTTTYFGHSEQISQERYQYVDCGRNTTYQLGQSEYLNVLQPQQ
一部の実施形態では、TMEM106Bタンパク質は、細胞で発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bタンパク質は、エンドソーム、及び/または、リソソームで発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bタンパク質は、後期エンドソーム、及び/または、後期リソソームで発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bタンパク質は、細胞表面で発現する。
本開示のTMEM106Bタンパク質として、N末端内腔ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基11~274の範囲であると考えられる;配列番号1を参照されたい)、膜貫通ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基96~117の範囲であると考えられる)、及び、C末端ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基1~92の範囲であると考えられる)など、これらに限定されない、幾つかのドメインを含む。
エピトープビニング
エピトープビニングは、標的タンパク質に対するモノクローナル抗体のライブラリーの特徴付け及び選別に使用される競合イムノアッセイである(Abdiche et al,2009,Analytical Biochemistry,386:172-180)。エピトープビニングは、エピトープマッピング及びエピトープ特徴付けとも称される(Brooks,2014,Current Drug Discovery Technology,11:109-112)。特定の標的(例えば、TMEM106B)に対する抗体が、ライブラリー中の他のすべての抗体に対してペアワイズ様式で試験されることで、抗体のいずれについても、標的エピトープへの互いの結合を遮断するかどうかが決定される。ライブラリーのその他の抗体のすべてに対する各抗体のプロファイルが作られた後、ライブラリー中のその他の抗体と対比した各抗体の競合抗体遮断プロファイルが作られる。ビニングプロファイルが密接に関連することは、そうした抗体が同じエピトープまたは密接に関連する(例えば、重複する)エピトープを有することを示し、一緒に「ビニング」される。
後述の実施例に示されるように、本開示の抗TMEM106B抗体は、ビン1、ビン5、ならびにビン2(ビン2は、関連する下位のビン3及び4を含む)によって特徴付けられる様々なビニングプロファイルを示した。
本明細書で提供される結果は、重複するまたは同様のエピトープ結合特徴(ビニングプロファイルによって裏付けられるもの)を示す本開示の抗TMEM106B抗体が、コロナウイルス性細胞変性効果(CPE)の低減において様々な程度の有効性を示したことを示す。具体的には、ビン2(及び関連する下位のビン3及び4)に属する抗TMEM106B抗体は、ビン1または5に属する抗TMEM106B抗体で観察されたものと比較して、インビトロでのコロナウイルス感染後の細胞死(CPEアッセイによって測定したもの)の低減に有効であった。
コロナウイルス
コロナウイルスは、哺乳類及び鳥類において疾患を引き起こす関連エンベローププラス鎖RNAウイルスの一群である。ヒトコロナウイルス(HCoV)は、これまでに7つ同定されている。これらには、4つの季節性の循環ヒト「感冒HCoV」が含まれると共に、アルファコロナウイルス229E及びNL63ならびにベータコロナウイルスOC43及びHKU1が含まれ、これらはそれぞれ、ヒトにおいて軽度の上気道疾患を引き起こす。過去20年の間に、高度に病原性のコロナウイルスが3つ出現しており、これらは、ベータコロナウイルスであるSARS-CoV、MERS-CoV、及び最近出現したSARS-CoV-2であり、これらはそれぞれ、ヒトにおいて潜在的に致死性の重度呼吸器感染症を引き起こし得る。SARS-CoV-2コロナウイルスは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の原因ウイルスである。
受容体への結合及び感染細胞との膜融合に際して、細胞質中にコロナウイルスRNAが放出され、細胞質中でこのコロナウイルスRNAが翻訳されてウイルスタンパク質が生じる。感染細胞内の二重膜小胞上にウイルス複製/転写複合体が形成され、このウイルス複製/転写複合体がゲノムコピーを生成し、このゲノムコピーが、その後に出芽プロセス(この出芽プロセスを介してコロナウイルスはウイルスエンベロープを獲得する)を介して新たなビリオンへとパッケージングされ、こうして生じたビリオンが感染細胞から放出される。
コロナウイルスは、上皮細胞(例えば、気道の上皮細胞)を主に標的とし、細胞への感染には、ある特定の宿主因子を必要とする。そのような宿主因子は、コロナウイルスの複製サイクルの1つ以上のステップ(例えば、受容体への結合、エンドサイトーシス、融合、ウイルスの複製タンパク質及び構造タンパク質の翻訳、ゲノム複製、ビリオンアセンブリ、ならびにビリオン放出)において役割を担い得る。感染個体はウイルスを環境中に放出する能力を有し、他の個体へのウイルス伝播を引き起こし得る。ヒトでは、SARS-CoV-2コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合することによって、エアロゾル経路を介して気道の上皮細胞に感染する。
TMEM106Bは、SARS-CoV-2コロナウイルス感染の宿主因子として同定されている(Baggen et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020.09.28.316281、Wang et al,2020,bioRxiv,doi:10.1101/2020/09.24.312298、Wang et al,2021,Cell,184:1-14)。ヒト細胞におけるTMEM106Bの遺伝的欠失及びゲノムワイドの機能喪失スクリーニングによって、SARS-CoV-2コロナウイルスの感染及び複製に重要な宿主因子が同定された。具体的には、TMEM106Bの欠失によってウイルス複製が低減し、肝臓及び肺に由来する培養ヒト細胞株におけるSARS-CoV-2コロナウイルスの細胞変性効果(CPE)が低減した。CPEは、ウイルス感染に起因する宿主細胞の構造変化を指す。CPEは、感染ウイルスが宿主細胞の溶解(lysis)(溶解(dissolution))を誘発した場合、または宿主細胞が再生不能に陥ることに起因して溶解を伴わずに宿主細胞が死滅した場合に生じる。ウイルスによってこうした形態変化が宿主細胞に生じた場合、細胞変性と言われる。CPEの一般的な例としては、感染細胞の円形化、隣接細胞との融合による合胞体形成、及び核内封入体または細胞質封入体の出現が挙げられる。
したがって、一部の実施形態では、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための方法及び組成物が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、SARS-CoV-2感染の治療、予防、またはリスク低減に有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、SARS-CoV-2コロナウイルスのバリアント(アルファバリアント、ベータバリアント、ガンマバリアント、デルタバリアント、ラムダバリアントなど)を含めて、SARS-CoV-2感染の治療、予防、またはリスク低減に有効である。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスの複製を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、インビトロでコロナウイルスの複製を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、インビボでコロナウイルスの複製を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る他の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルス感染を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、インビトロでコロナウイルス感染を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、インビボでコロナウイルス感染を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得るさらに他の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスの細胞変性効果(CPE)を低減する。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルス感染を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスの複製を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスの伝播を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスのアセンブリを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、感染細胞からのコロナウイルスの放出を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、細胞へのコロナウイルスの侵入を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、コロナウイルスゲノムの翻訳を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減する上で有効である。本明細書で提供される実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスである。
例示的な抗TMEM106B抗体、及び、特定のその他の抗体の実施形態
本開示は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための抗TMEM106B抗体を提供し、こうした抗TMEM106B抗体には、抗TMEM106B抗体TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94が含まれる。例示の抗TMEM106B抗体のアミノ酸配列は、以下の表1~6に示される。
一部の態様では、本開示の方法に有用な抗TMEM106B抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の重鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(V)アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の重鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を有するVアミノ酸配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の重鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列において、合計で1~10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の重鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列において、合計で1~5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意で、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の重鎖可変ドメイン(V)のVアミノ酸配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む。ある特定の実施形態では、Vは、以下の表5及び表6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、Vは、以下の表1及び表3に示されるHVR-H1アミノ酸配列、HVR-H2アミノ酸配列、及びHVR-H3アミノ酸配列から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の態様では、本開示の方法に有用な抗TMEM106B抗体は、抗TMEM106B抗体TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の軽鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V)アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗TMEM106B抗体TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の軽鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の同一性を有するVアミノ酸配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して結合する能力を保持している。一部の実施形態では、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の軽鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列において、合計で1~10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の軽鎖可変ドメイン(V)のアミノ酸配列において、合計で1~5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意で、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体の軽鎖可変ドメイン(V)のV配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む。ある特定の実施形態では、Vは、以下の表5及び表6に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、Vは、以下の表2及び表4に示されるHVR-L1アミノ酸配列、HVR-L2アミノ酸配列、及びHVR-L3アミノ酸配列から選択される1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法における使用のための抗TMEM106B抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのV、及び、前出のいずれかの実施形態でのVを含む。一部の実施形態では、本明細書では抗TMEM106B抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのV、及び、前出のいずれかの実施形態でのVを含む。ある実施形態では、当該抗体は、抗TMEM106B抗体TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体のV配列及びV配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む。
一部の実施形態では、抗体は、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗TMEM106B抗体のいずれか1つの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を、その配列の翻訳後修飾を含めて含む抗体のTMEM106Bへの結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、抗体は、配列番号1のアミノ酸122~210を含む短縮型TMEM106Bタンパク質に結合する。一部の実施形態では、抗体は、ビン2のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン3のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン4のものである。一部の実施形態では、抗体は、ビン1のものではない。一部の実施形態では、抗体は、ビン5のものではない。
本開示の方法における使用のための抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bの様々な領域など、TMEM106Bの様々な領域に結合し得る。TMEM106Bのそのような領域として、TMEM106Bの細胞質ドメイン、または、内腔ドメインTMEM106Bがある。
一部の実施形態では、本開示の方法における使用のための抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bの1つ以上の領域またはドメインに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の方法における使用のための抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bの1つ以上の領域またはドメインに対して結合する。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体は、ヒト化、及び/または、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、または、F(ab’)2断片である。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、実質的な全長抗体、例えば、本明細書で定義するIgG1抗体、IgG2a抗体、または、その他の抗体クラス、または、アイソタイプである。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかによる方法のいずれかに有用な抗TMEM106B抗体を、以下の第1~7節に記載したように、あらゆる特徴を、単独で、または、組み合わせて取り込み得る。
(1)抗TMEM106B抗体結合親和性
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioのOctet Systemを参照されたい)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、示差走査熱量測定法(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップト-フロー分析、及び、比色分析、または、蛍光タンパク質融解分析などのあらゆる生化学的または生物物理学的技法など、あらゆる解析技法で決定することができる。一部の実施形態では、Kdを、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定する。一部の実施形態では、RIAを、例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865-881(1999))に記載された、目的の抗体のFabバージョン、または、その抗原を用いて実施する。一部の実施形態では、BIACORE表面プラズモン共鳴アッセイ、例えば、BIACORE-2000、または、BIACORE-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway,NJ)を使用するアッセイを使って、約10反応単位(RU)の固定化した抗原CM5チップを用いて、25℃で、Kdの測定を行う。一部の実施形態では、当該Kを、一価抗体(例えば、Fab)、または、完全長抗体を使用して決定する。一部の実施形態では、当該Kを、一価形態の全長抗体を使用して決定する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して、ナノモルまたはピコモルの親和性を有し得る。一部の実施形態では、当該抗体の解離定数(Kd)は、約0.1nM~約500nMである。例えば、ヒトTMEM106Bに対する結合に関する当該抗体のKdは、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約75nM、約50nM、約25nM、約10nM、約9nM、約8nM、約7nM、約6nM、約5nM、約4nM、約3nM、約2nM、約1nM、または、約1nM~約0.1nMである。
(2)抗体断片
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、抗体断片である。抗体断片として、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、Fv、及び、scFv断片、及び、後述するその他の断片があるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、WO93/16185;及び、米国特許第5571894号、及び、第5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつ、インビボでの半減期が延びたFab、及び、F(ab’)断片の考察については、米国特許第5869046号を参照されたい。
ダイアボディは、2価、または、二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。トリアボディ、及び、テトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部または一部、または、軽鎖可変ドメインの全部または一部を含む抗体断片である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照されたい)。
抗体断片は、本明細書に記載した通り、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに、組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)、または、ファージ)による生産など、これらに限定されない様々な技術で生産することができる。
(3)キメラ、及び、ヒト化抗体
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されている。ある例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または、サルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)、及び、ヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスを、親抗体のものから変更した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体である。一般的に、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性と親和性とを保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化する。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、標的に対して、ヒト化抗体が由来する別の種に由来する抗体と実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、第5693761号;第5693762号、及び、第5585089号を参照されたい。特定の実施形態では、免疫原性を低下させながら、抗原結合ドメインの本来の親和性を低減せずに修飾することができる抗体可変ドメインのアミノ酸を同定する。例えば、米国特許第5766886号、及び、第5869619号を参照されたい。一般的に、ヒト化抗体は、HVR(またはその一部)が、非ヒト抗体に由来し、かつ、FR(またはその一部)が、ヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体での一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換する。
ヒト化抗体、及び、それらを生産する方法は、例えば、Almagro et al.,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で概説されており、また、例えば、米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び、第7087409号に記載されている。ヒト化に使用し得るヒトフレームワーク領域として、「ベストフィット」法を使用して選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992);及び、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)を参照されたい);ヒトの成熟した(体細胞変異)フレームワーク領域、または、ヒトの生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)、及び、FRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)、及び、Rosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
(4)ヒト抗体
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して生産することができる。ヒト抗体は、一般的には、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)、及び、Lonberg Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)で説明されている。
ヒト抗体は、抗原接種に応答して、インタクトなヒト抗体、または、ヒト可変領域を有するインタクトな抗体を生産するように修飾されたトランスジェニック動物に対して免疫原を投与して調製することができる。そのようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を生産するものとして予想して、ヒトIg遺伝子座の大きな断片にてマウス抗体生産を欠損しているマウス系統を遺伝子操作することができる。大きなヒトIg断片は、大きな可変遺伝子の多様性、ならびに、抗体の生産と発現の適切な調節を続けることができる。抗体の多様化と選択、及び、ヒトタンパク質に対する免疫学的寛容の欠如のためのマウス機構を利用することで、これらのマウス系統において再現したヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原などの目的の抗原に対する高親和性完全ヒト抗体を生み出すことができる。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を、生産及び選択することができる。特定の例示的な方法は、米国特許第5545807号、EP546073、及び、EP546073で説明されている。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6075181号、及び、第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許番号7041870号、及び、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号を参照されたい。そのような動物が生成したインタクトな抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせて、さらに改変し得る。
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法で生産することができる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒト骨髄腫、及び、マウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001(1984)、及び、Boerner et al.J.Immunol.147:86(1991))。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成したヒト抗体は、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1 03:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法として、例えば、(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の生産を説明している)米国特許第7189826号に記載されている方法がある。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927-937(2005)、及び、Vollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91(2005)に記載されている。また、ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択したFvクローン可変ドメイン配列を単離することで生成し得る。次に、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を、以下に説明する。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、インビトロ法、及び/または、所望の1つ以上の活性を有する抗体に関するコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして単離されたヒト抗体である。適切な例として、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(かつてのProliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ(Adimab)などがあるが、これらに限定されない。特定のファージディスプレイ法では、VH、及び、VL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で別々にクローニングし、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.12:433-455(1994)に記載されているファージライブラリーでランダムに再結合する。例えば、当該技術分野では、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を保有する抗体に関する当該ライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が公知である。Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299-310、2004;Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004;Fellouse Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及び、Lee et al.,J.Immunol.Methods 284(-2):119-132(2004)も参照されたい。一般的に、ファージは、一本鎖Fv(scFv)断片、または、Fab断片のいずれかで抗体断片を提示する。免疫源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要がなく、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、未処理のレパートリーを、(例えば、ヒトから)クローニングして、Griffiths et al.EMBO J.12:725-734(1993)に記載されているようにして、免疫化処置をせずに、広範囲の非自己抗原、それに、自己抗原に対する単一の抗体源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞から再配置していないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して可変性に富んだHVR3領域をコードし、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381-388、1992に記載されているようにして、インビトロでの再配置を達成した。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許文献として、例えば:米国特許第5750373号、ならびに、米国特許公開第2007/0292936号、及び、第2009/0002360号がある。ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体は、本明細書では、ヒト抗体またはヒト抗体断片と見なす。
(5)Fc領域を含む定常領域
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、Fcを含む。一部の実施形態では、当該Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び/または、IgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG2定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、1つ以上のTMEM106B活性を誘導し、または、Fc受容体に対する結合とは無関係に誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、マウスIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体はヒトIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG4定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc-ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するあらゆる抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番法で定めたヒトIgG2のアミノ酸118~260、及び、EU付番法で定めたヒトIgG4のアミノ酸261~447を含む、アミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
一部の実施形態では、当該Fc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、クラスタリングを増加させる。一部の実施形態では、当該抗体は、当該抗体が特異的に結合する標的の1つ以上の活性を誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、TMEM106Bに対して結合する。
本開示の抗TMEM106B抗体を修飾して、エフェクター機能を改変すること、及び/または、抗体の血清半減期を長くすることも望ましい。例えば、当該定常領域のFc受容体結合部位を修飾または変異させて、FcγRI、FcγRII、及び/または、FcγRIIIなどの特定のFc受容体に対する結合親和性を除去または低減して、抗体依存性細胞性細胞毒性を低減し得る。一部の実施形態では、当該抗体の(例えば、IgGのCH2ドメインにおける)Fc領域のN-グリコシル化を除去すると、当該エフェクター機能は低下する。一部の実施形態では、WO99/58572、及び、Armour et al.Molecular Immunology 40:585-593(2003);Raddy et al.J.Immunology164:1925-1933(2000)に記載されているようなヒトIgGの233~236、297、及び/または、327~331などの領域を修飾すると、当該エフェクター機能は低下する。その他の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体を修飾してエフェクター機能を改変し、ITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する発見選択性を高めて、抗体依存性細胞媒介細胞毒性、及び、抗体依存性細胞食作用などの体液性応答を活性化せずに、隣接細胞でのTMEM106B抗体のクラスタリングを増加させることも望ましい。
当該抗体の血清半減期を長くするために、例えば、米国特許第5739277号に記載されているようにして、サルベージ受容体結合エピトープを、当該抗体(特に、抗体断片)に組み込み得る。本明細書で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、インビボでのIgG分子の血清中半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、または、IgG)のFc領域のエピトープのことを指す。その他のアミノ酸配列の修飾。
(6)多重特異性抗体
多重特異性抗体とは、同じまたは別のポリペプチド(例えば、本開示の1つ以上のTMEM106Bポリペプチド)エピトープなど、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体のことである。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、二重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、三重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、四重特異性抗体とすることができる。そのような抗体を、完全長抗体、または、抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)に由来する抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、TMEM106Bでの第1の部位に対して結合する第1の抗原結合領域を含み、かつ、TMEM106Bでの第2の部位に対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、TMEM106Bに対して結合する第1の抗原結合領域、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。
本明細書では、第1の抗原結合領域を含む多重特異性抗体を提供しており、当該第1の抗原結合領域は、TMEM106Bに対して結合する本明細書に記載の抗体の6つのHVR、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該第1の抗原結合領域は、本明細書に記載している抗体のVまたはVを含む。
当該多価抗体は、TMEM106B抗原に加えて、追加の抗原(アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)(HCoV-NL63、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2のウイルス侵入受容体)を含む、コロナウイルスウイルス侵入因子など)も認識し得、こうした追加の抗原に制限はない。
当該多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(及び、好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含み、1つ以上の当該ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、1つ以上のポリペプチド鎖は、VD1-(X1)-VD2-(X2)-Fcを含み得るものであり、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である。同様に、1つ以上のポリペプチド鎖は、V-C1可撓性リンカー-V-C1-Fc領域鎖;または、V-C1-V-C1-Fc領域鎖を含む。本明細書の多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(及び、好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書の多価抗体は、例えば、約2~約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図する軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、また、任意で、CLドメインをさらに含む。
多重特異性抗体を作る技術として、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの組換え共発現があるが、これらに限定されない(Milstein and Cuello Nature 305:537(1983)、WO93/08829、及び、Traunecker et al.EMBO J.10:3655(1991))、及び、「ノブ-イン-ホール」遺伝子操作(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)を参照されたい)。また、WO2013/026833(CrossMab)も参照されたい。また、多特異性抗体は、抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作る静電ステアリング効果を操作して(WO2009/089004A1);2つ以上の抗体を架橋して(例えば、米国特許第4676980号を参照されたい);ロイシンを使用して;二重特異性抗体断片を作る「ダイアボディ」技術を使用して(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい);一本鎖Fv(scFv)二量体を使用して(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい);及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されているようにして三重特異性抗体を調製して作り得る。
本明細書は、「オクトパス抗体」などの3つ以上の機能的な抗原結合部位を有する遺伝子操作した抗体も含む(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。また、本明細書の抗体は、複数のTMEM106Bに対して結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」を含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
(7)抗体変異体
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体のアミノ酸配列の変異を企図している。例えば、抗体の結合親和性、及び/または、その他の生物学的特性を改善することが望ましい。
(i)置換、挿入、及び、欠失変異
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体を提供する。抗体のアミノ酸配列変異は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、または、ペプチド合成により調製し得る。そのような修飾として、例えば、当該抗体のアミノ酸配列での残基の欠失、及び/または、挿入、及び/または、残基の置換がある。
Figure 2024511610000002
これらの抗体の生物特性の実質的な修飾は、(a)置換領域内のポリペプチド主鎖の構造、例えば、シートまたはヘリックス構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩を維持することに対する作用が著しく異なる置換を選択することで達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖特性に基づいて:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe
に分けられる。
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの内の1つのメンバーを、別のクラスのものと交換することを伴う。そのような置換した残基は、例えば、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域、または、当該分子の非相同領域に導入することができる。
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に変更を加える場合、特定の実施形態では、アミノ酸の疎水性指標を考慮することができる。それぞれのアミノ酸には、その疎水性と電荷特性に基づいて、疎水性指標を割り当てている。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸塩(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及び、アルギニン(-4.5)である。
タンパク質に対して相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野で理解されている。Kyte et al.J.Mol.Biol.,157:105-131(1982)。特定のアミノ酸では、類似の疎水性指標、または、スコアを有するその他のアミノ酸の代わりに使用することができ、かつ、なおも類似の生物活性を保持することができる、ことは公知である。疎水性指標に基づいて変更を加える場合、特定の実施形態では、疎水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。特定の実施形態では、±1以内の事例を含み、特定の実施形態では、±0.5以内の事例を含む。
同様に、類似のアミノ酸の置換を、親水性に基づいて効果的に行うことができ、特に、そうして生成した生物学的機能性タンパク質またはペプチドは、本事例のように免疫学的実施形態での使用を意図している、ことも理解されたい。特定の実施形態では、隣接するアミノ酸の親水性が支配するタンパク質の最大の局所平均親水性は、その免疫原性、及び、抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
これらのアミノ酸残基には:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0±1);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5)、及び、トリプトファン(-3.4)の親水性値を割り当てている。類似の親水性値に基づいて変更を加える場合、特定の実施形態では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±1以内のアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±0.5以内のアミノ酸の置換を含む。親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域を、「エピトープコア領域」とも称する。
特定の実施形態において、置換、挿入、または、欠失は、そのような改変が、抗体が抗原に対して結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVRで起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的改変(例えば、本明細書で提供する保存的置換)は、HVRで行い得る。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側で行い得る。前出の変異VH、及び、VL配列の特定の実施形態では、それぞれのHVRは改変されておらず、または、1つ、2つ、または、3つ以下のアミノ酸置換を含む。
アミノ酸配列挿入として、1残基~100以上の残基の長さのポリペプチドまでの範囲のアミノ末端、及び/または、カルボキシル末端融合、ならびに、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入がある。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体がある。抗体分子のその他の挿入変異体として、(例えば、ADEPTに関しては)抗体のN-またはC-末端への融合、または、当該抗体の血清半減期を長くするポリペプチドがある。
抗体の適切な立体構造の維持に関与しないシステイン残基も、一般的に、セリンで置換することができ、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合(複数可)を抗体に付加すると、その安定性を改善することができる(特に、当該抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)。
(ii)グリコシル化変異
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体を改変して、当該抗体がグリコシル化する程度を増加または減少させる。抗体に対するグリコシル化部位の追加または削除は、1つ以上のグリコシル化部位を、生成または除去するように当該アミノ酸配列を改変することで好都合に達成し得る。
抗体のグリコシル化は、一般的に、N結合またはO結合のいずれかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の付着のことを指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン、及び、アスパラギン-X-スレオニンであり、式中、Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸であり、これらの配列は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素的付着の認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作る。O結合型グリコシル化とは、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、または、キシロースの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリン、または、スレオニンに対して付着することを指すが、5-ヒドロキシプロリン、または、5-ヒドロキシリジンも使用し得る。
抗体に対するグリコシル化部位の付加は、(N-結合グリコシル化部位に関する)上記したトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を改変することで、好都合に達成する。また、当該改変は、(O-結合型グリコシル化部位に関しては)当初の抗体の配列に対して、1つ以上のセリン、または、スレオニン残基を追加または置換しても達成し得る。
当該抗体が、Fc領域を含む場合、そこに付着した炭水化物を改変し得る。哺乳動物細胞が生成するネイティブ抗体は、一般的に、Fc領域のCH2ドメインのKabat付番法でのAsn297に対するN結合で一般的に付着している分岐した二分岐オリゴ糖を含む。このオリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及び、シアル酸、ならびに、二分岐オリゴ糖構造の「ステム」においてGlcNAcに付着したフコースを含み得る。一部の実施形態では、本発明の抗体でのオリゴ糖の修飾を、特定の改善した特性を有する抗体変異体を作るために行い得る。
ある実施形態では、Fc領域に(直接的に、または、間接的に)付着したフコースを欠いた炭水化物構造を有する抗体変異体を提供する。例えば、米国特許公開第2003/0157108号、及び、第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フチコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例として:US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)がある。脱フコシル化抗体を生産することができる細胞株の例として、タンパク質フコシル化を欠損したLed 3 CHO細胞がある(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);US2003/0157108)、及び、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、及び、Kanda et al.,Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688(2006)を参照されたい)がある。
(iii)修飾された定常領域
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体Fcは、抗体Fcアイソタイプ、及び/または、修飾体である。一部の実施形態では、当該抗体Fcアイソタイプ、及び/または、修飾体は、Fcガンマ受容体に対して結合することができる。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該修飾された抗体Fcは、IgG1修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換が、そのアミノ酸位置をEU付番法で定めている、N297A(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol23:403-411)、D265A(Shields et al.(2001)R.J.Biol.Chem.276,6591-6604)、L234A、L235A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980-11984;Alegre et al.,(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.,(2000)Cell Immunol,200:16-26)、G237A(Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.(2000)Cell Immunol,200:16-26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、P331S(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA2008,105:20167-20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。
あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのN297A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU番号法でのD265A、及び、N297A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのD270A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、及び、L235A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、及び、G237A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、L235A、及び、G237A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異の(すべてを含む)1つ以上を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での1つ以上のS267E/L328F変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。一部では IgG1修飾Fcのいずれかの実施形態、Fcは、EU付番法によるC226S、C229S、E233P、L234V、及び、L235A変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234F、L235E、及び、P331S変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E、及び、L328F変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E変異を含む。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG1の定常重鎖1(CH1)及びヒンジ領域を、CH1で置換すること、及び、IgG2のヒンジ領域(EU付番法によるIgG2のアミノ酸118~230)を、カッパ軽鎖で置換することを含む。
あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、2つ以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、抗体クラスター化を高める2つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、Fc領域を含む抗体であり、当該抗体は、位置E430Gでのアミノ酸置換、及び、EU付番法でのL234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、及び、これらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置でのFc領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G及びP331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及びA330Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。
あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、本明細書では、当該IgG1修飾Fcをさらに含み、かつ、補体の活性化を回避するために、EU付番規定でのA330L変異(Lazar et al.Proc Natl Acad Sci USA,103:4005-4010(2006))、または、L234F、L235E、及び/または、P331S変異の1つ以上(Sazinsky et al.Proc Natl Acad Sci USA,105:20167-20172(2008))と組み合わせ得る。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法でのA330L、A330S、L234F、L235E、及び/または、P331Sの1つ以上をさらに含み得る。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。あらゆるIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番でのE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び/または、S440Wの1つ以上をさらに含み得る。
本開示のその他の態様は、修飾された定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。FcgR受容体に対する結合に依存して標的化受容体を活性化させる抗体を、FcgR結合を解消するように遺伝子操作すると、そのアゴニスト活性を喪失し得る(例えば、Wilson et al.Cancer Cell 19:101-113(2011);Armour et al.Immunology 40:585-593(2003);及び、White et al.,Cancer Cell 27:138-148(2015)を参照されたい)。したがって、当該抗体が、ヒトIgG2アイソタイプ(CH1、及び、ヒンジ領域)由来のFcドメイン、または、阻害性FcgRIIBr受容体、または、その変異体を優先的に結合することができる別のタイプのFcドメインを有していれば、適正なエピトープ特異性を有する本開示の抗TMEM106B抗体は、最小限の副作用で、標的抗原を活性化できると考えられる。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該修飾抗体Fcは、IgG2修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG2修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG2修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換が、EU付番規定でのV234A(Alegre et al.Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.Cell Immunol,200:16-26(2000));G237A(Cole et al.Transplantation,68:563-571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armour et al.Eur J Immunol 29:2613-2624(1999);Armour et al.The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000);Armour et al.The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000))、C219S、及び/または、C220S(White et al.Cancer Cell 27,138-148(2015));S267E、L328F(Chu et al.Mol Immunol,45:3926-3933(2008));及び、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置V234A、及び、G237Aでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C219S、または、C220Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC127Sアミノ酸置換を含む(White et al.,(2015)Cancer Cell 27、138-148;Lightle et al.ProteinSci.19:753-762(2010);及び、WO2008/079246)。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する(White et al.Cancer Cell 27:138-148(2015);Lightle et al.Protein Sci.19:753-762(2010);及び、WO2008/079246)。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC220Sアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC219Sアミノ酸置換を含む。あらゆるIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)と、ヒンジ領域とを含む(White et al.Cancer Cell 27:138-148(2015))。あらゆる当該IgG2修飾Fcの特定の実施形態では、当該IgG2アイソタイプCH1、及び、ヒンジ領域は、EU付番法での118~230のアミノ酸配列を含む。あらゆるIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体Fc領域は、EU付番法でのS267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、または、その両方、及び/または、N297AまたはN297Qアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び、S440Wに1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。あらゆるIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、A330S、及び、P331Sをさらに含み得る。
あらゆる当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2/4ハイブリッドFcである。一部の実施形態では、当該IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2アミノ酸118~260、及び、IgG4アミノ酸261~447を含む。あらゆるIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置H268Q、V309L、A330S、及び、P331Sに1つ以上のアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのA330L、L234F;L235E、または、P331S;及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される1つ以上のさらなるアミノ酸置換を含む。
あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及びA330Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、Fcは、付番法での位置E430G、K322A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2修飾Fcのいずれかの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sでのアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yでのアミノ酸置換を含む。
本明細書で提供するあらゆる抗体の一部の実施形態では、当該修飾抗体Fcは、IgG4修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換が、EU付番規定でのL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al.J Immunol 164:1925-1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択される。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのL235A、G237A、及び、E318Aをさらに含み得る。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのS228P、及び、L235Eをさらに含み得る。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、EU付番規定でのS267E、及び、L328Fをさらに含み得る。
あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、EU付番規定でのS228P(Angal et al.Mol Immunol.30:105-108(1993))、及び/または、(Peters et al.J Biol Chem.287(29):24525-33(2012))に記載されている1つ以上の変異と組み合わせて、抗体安定性を高め得る。
あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。
あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL235Eを含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、及び、それらのあらゆる組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430にアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sにアミノ酸置換を含む。あらゆる当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yにアミノ酸置換を含む。
(8)その他の抗体修飾
あらゆる抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、誘導体である。用語「誘導体」とは、アミノ酸(または、核酸)の挿入、欠失、または、置換以外の化学修飾を含む分子のことを指す。特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または、その他の有機もしくは無機部分を有する化学結合など、これらに限定されない共有結合修飾を含む。特定の実施形態では、化学修飾された抗原結合タンパク質は、化学修飾を受けていない抗原結合タンパク質よりも循環半減期を長くすることができる。特定の実施形態では、化学修飾された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または、臓器に対する標的化能力を改善することができる。一部の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、または、ポリプロピレングリコールなど、これらに限定されない1つ以上の水溶性ポリマー付着を含むように共有結合的に修飾する。例えば、米国特許第4640835号、第4496689号、第4301144号、第4670417号、第4791192号、及び、第4179337号を参照されたい。特定の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー、または、ランダムコポリマーのいずれか)、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、及び、ポリビニルアルコール、ならびに、そのようなポリマーの混合物など、これらに限定されない1つ以上のポリマーを含む。
特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合的に修飾する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーを、誘導体の1つ以上の特定の位置、例えば、アミノ末端に対して結合する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーは、誘導体の1つ以上の側鎖に対してランダムに結合する。特定の実施形態では、PEGを、抗原結合タンパク質の治療能力を改善するために使用する。特定の実施形態では、PEGを、ヒト化抗体の治療能力を改善するために使用する。このような特定の方法は、例えば、米国特許第6133426号で論じられており、本明細書の一部を構成するものとして、同文献を、あらゆる目的のために援用する。
ペプチド類似体は、製薬業界では、テンプレートペプチドの特性に類似した特性を有する非ペプチド薬として一般的に使用されている。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」と称されている。本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する、Fauchere,J.Adv.DrugRes.,15:29(1986);及び、Evans et al.J.Med.Chem.,30:1229(1987)。このような化合物は、コンピューター化した分子モデリングを利用して、開発されることが多い。治療的に有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣物を使用して、類似の治療効果、または、予防効果を得ることができる。一般的に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生化学的特性、または、薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に似ているが、当該技術分野で周知の方法で:-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH=CH-(シス、及び、トランス)、-COCH-、-CH(OH)CH-、及び、-CHSOから選択される結合で置換されていてもよい1つ以上のペプチド結合を有する。特定の実施形態では、コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を、同じタイプのD-アミノ酸(例えば、L-リジンの代わりにD-リジン)で体系的に置換すると、安定性が高まったペプチドを生成することができる。加えて、コンセンサス配列、または、実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む固定化したペプチドは、当該技術分野で公知の方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する)、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を加えることで、生成することができる。
薬物コンジュゲーションは、生物学的活性細胞毒性(抗がん)ペイロード、または、特定の腫瘍マーカーを特異的に標的とする抗体(例えば、理想的には、腫瘍細胞内、または、腫瘍細胞上にだけ認められるポリペプチド)に対する薬物のカップリングに関与する。抗体は、これらのタンパク質を体内で追跡し、がん細胞の表面に付着する。当該抗体と標的タンパク質(抗原)との間の生化学的反応は、当該腫瘍細胞においてシグナルを発生させ、次いで、当該抗体を、細胞毒素と共に、吸収し、または、内部に取り込む。ADCを内部に取り込んだ後に、細胞毒性薬を放出して、がんを死滅させる。この標的作用により、理想的には、当該薬物の副作用が小さくなり、かつ、その他の化学療法剤よりも治療ウィンドウが広くなる。抗体をコンジュゲートする技術は、当該技術分野で公知である(例えば、Jane de Lartigue OncLive July 5,2012;ADC Review on antibody-drug conjugates;及び、Ducry et al.Bioconjugate Chemistry 21(1):5-13(2010)を参照されたい。
核酸、ベクター、及び、宿主細胞
本開示の抗TMEM106B抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載の組み換え方法、及び、組成物を使用して生産し得る。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。かかる核酸は、抗TMEM106B抗体のVを含むアミノ酸配列、及び/または、Vを含むアミノ酸配列(例えば、当該抗体の軽鎖、及び/または、重鎖)をコードし得る。一部の実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。一部の実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、(1)当該抗体のVを含むアミノ酸配列、及び、当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または、(2)当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び、当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質導入されている)。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または、リンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。また、本開示の宿主細胞として、単離された細胞、インビトロで培養した細胞、及び、エクスビボで培養した細胞があるが、これらに限定されない。
本開示の抗TMEM106B抗体を作る方法を提供する。一部の実施形態では、当該方法は、抗TMEM106B抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、当該抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。一部の実施形態では、当該抗体を、その後に、宿主細胞(または、宿主細胞培養培地)から回収する。
本開示の抗TMEM106B抗体を組換え生産するために、抗TMEM106B抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞でのさらなるクローニング、及び/または、発現のために、1つ以上のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、当該抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離を行い、配列決定し得る。
本開示の抗TMEM106B抗体、または、細胞表面で発現したその断片、または、ポリペプチド、本明細書に記載したポリペプチド(抗体を含む)のいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターとして、クローニングベクター、及び、発現ベクターがあるが、これらに限定されない。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築することができ、または、当該技術分野において入手可能な数多くのクローニングベクターから選択し得る。選択するクローニングベクターは、使用予定の宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般的に、自己複製能を有しており、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を有することができ、及び/または、当該ベクターを含むクローンの選択に用いることができるマーカーの遺伝子を保持し得る。好適な例として、プラスミド、及び、細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)、及び、その誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびに、pSA3、及び、pAT28などのシャトルベクターがある。これらのクローニングベクター、及び、数多くのその他のクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及び、Invitrogenなどの市販業者から入手可能である。
抗体コーディングベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞として、原核細胞または真核細胞がある。例えば、本開示の抗TMEM106B抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合には、細菌において生産し得る。細菌での抗体断片、及び、ポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、第5789199号、及び、第5840523号。発現の後に、当該抗体を、細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離し、さらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、抗体コーディングベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これらとして、グリコシル化経路を「ヒト化」して、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体を生産する真菌株及び酵母株がある(例えば、Gerngross Nat.Biotech.22:1409-1414(2004);及び、Li et al.Nat.Biotech.24:210-215(2006))。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物、及び、脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞、及び、昆虫細胞がある。昆虫細胞とともに、特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。また、植物細胞培養物も、宿主として利用することができる(例えば、トランスジェニック植物で抗体を生産するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号、及び、第6417429号)。
また、脊椎動物細胞も、宿主として使用し得る。例えば、懸濁液で成長するように適合させた哺乳動物細胞株が有用である。有用な宿主哺乳動物細胞株のその他の例として、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚性腎臓株(293細胞、または、例えば、Graham et al.J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されたTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ科腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞;MRC5細胞;及び、FS4細胞がある。その他の有用な宿主哺乳動物細胞株として、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびに、Y0,NS0、及び、Sp2/0などの骨髄腫細胞株がある。抗体生産に好適な特定の宿主哺乳動物細胞株の総説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
医薬組成物/製剤
本明細書では、本開示の抗TMEM106B抗体、及び、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物、及び/または、医薬製剤が提供され、これらは、例えば、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のためのものである。
一部の態様では、所望の純度を有する抗体またはその抗原結合断片は製剤中に存在し、こうした製剤は、例えば、生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、好ましくは、使用する用量、及び、濃度でレシピエントに対して無毒である。
非経口投与に好適な製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性及び非水性の等張性無菌注射液剤と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び、防腐剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁剤とがある。
一部の態様では、医薬組成物は、本明細書に記載の抗TMEM106B抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容可能な担体(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20th ed.(2003)、Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippencott Williams and Wilkins(2004)、Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照のこと)と、を含む。本明細書に記載の医薬組成物は、一部の態様では、医薬として使用するためのものである。インビボ投与に使用すべき組成物は、滅菌されたものであり得る。このことは、濾過(例えば、滅菌濾過膜を介するもの)によって容易に達成される。
本明細書に記載の医薬組成物は、インビボで生物学的作用(複数可)(例えば、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減)を与えるために使用され得る。
治療用途
一部の実施形態では、本開示は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための方法を提供し、この方法は、その必要のある個体に対して、TMEM106Bタンパク質に結合する抗体を治療的に有効な量で投与することによるものである。一部の実施形態では、コロナウイルス感染は、SARS-CoV-2コロナウイルス感染であり、本明細書で提供される方法は、SARS-CoV-2コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減に有効である。
一部の実施形態では、本開示は、コロナウイルスの伝播の予防または低減のための方法を提供し、この方法は、その必要のある個体に対して、TMEM106Bタンパク質に結合する抗体を治療的に有効な量で投与し、それによって、コロナウイルスの伝播を予防または低減することを含む。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2コロナウイルスであり、本明細書で提供される方法は、SARS-CoV-2コロナウイルスの伝播の予防または低減に有効である。
本開示の抗TMEM106B抗体は、無症候性の感染または前駆症状の感染、軽度疾病、中等度疾病、重度疾病、及び重篤疾病を含めて、コロナウイルス感染の広範な臨床的徴候にわたるコロナウイルス感染の治療に有効である。
一部の実施形態では、対象または個体は、哺乳動物である。哺乳動物として、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及び、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、サルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)があるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、当該対象または個体は、ヒトである。
本明細書で提供する抗体(及び、あらゆるさらなる治療薬)を、非経口、肺内、鼻腔内、病巣内投与、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、滑膜内、髄腔内、経口、局所、または、吸入経路などのあらゆる適切な手段で投与することができる。非経口注入として、ボーラスとしての筋肉内、静脈内投与、または、一定期間にわたる持続注入、動脈内、関節内、腹腔内、または、皮下投与がある。一部の実施形態では、当該投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、当該投与を、皮下にする。投与時間の長短をも加味して、投与は、適切な経路、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射で実施できる。本明細書では、単回投与、または、様々な時点に及ぶ複数回投与、ボーラス投与、及び、パルス注入など、これらに限定されない様々な投薬スケジュールを企図している。
本明細書で提供する抗体は、優れた医療行為と一致する方法で、製剤、投薬、及び、投与する。この文脈で考慮すべき要素として、治療する特定の障害、治療を受ける特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び、開業医に公知のその他の要素がある。当該抗体は、必須ではないが、問題の障害の予防または治療のために現在利用されている1つ以上の作用物質を用いて、製剤されてもよい。そのようなその他の作用物質の有効量は、製剤に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び、先述した考察でのその他の要素によって定まる。これらは、一般的には、本明細書に記載したのと同じ用量、及び、投与経路で、または、本明細書に記載した用量の約1~99%、または、あらゆる用量で、かつ、経験的/臨床的に適切であると決定したあらゆる経路で使用する。
本開示は、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための抗TMEM106B抗体を他の治療と組み合わせて使用することをさらに企図するものであり、他の治療には、例えば、デキサメタゾン、レムデシビル、バリシチニブ、カシリビマブ、イムデビマブ、バムラニビマブ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
一部の実施形態では、本開示の抗体は、SARS-CoV-2に感染した細胞における細胞変性効果を低減し、任意で、細胞は、VeroE6細胞またはNCI-H1975細胞である。
疾患の予防または治療のための(単独で、または、1つ以上のその他のさらなる治療剤と組み合わせて使用する場合の)本発明の抗体の適切な用量は、治療する疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度と経過、当該抗体を予防または治療のいずれの目的で投与するのかの区別、従前の治療、患者の病歴と抗体に対する反応、及び、主治医の裁量によって定まる。当該抗体を、一度に、または、一連の治療において、適切に患者に対して投与する。
製造物
本明細書では、本明細書で説明した抗TMEM106B抗体を含む製造物(例えば、キット)を提供する。製造物は、本明細書に記載した抗体を含む1つ以上の容器を含み得る。容器は、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密封したMylar、または、プラスチックバッグ)など、これらに限定されない、あらゆる適切な包装とし得る。これらの容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、または、サブユニット用量とし得る。
一部の実施形態では、これらのキットは、第2の作用物質をさらに含み得る。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及び、デキストロース溶液など、これらに限定されない、薬学的に許容可能な緩衝剤または希釈剤である。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、薬学的に活性な作用物質である。
あらゆる製造物の一部の実施形態では、当該製造物は、本開示の方法に従って使用するための指示書をさらに含む。一般的に、当該指示書は、意図した治療のための用量、投薬スケジュール、及び、投与経路に関する情報を含む。一部の実施形態では、これらの指示書は、本開示のあらゆる方法に従って、前頭側頭葉型変性症、前頭側頭型認知症、プログラニュリン変異が関与する前頭側頭型認知症、C9orf72変異が関与する前頭側頭型認知症、TDP-43封入体が関与する前頭側頭葉型変性、TDP-43タンパク質症、海馬硬化症(HpScl)、加齢性海馬硬化症(HS-Aging)、様々な障害に関連する認識機能障害(筋萎縮性側索硬化症の認識機能障害などがあるが、これに限定されない)、及び、低髄鞘形成障害(低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーなどがあるが、これに限定されない)から選択される疾患、障害、または、傷害を有する個体での予防、リスク低減、または、治療のための、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗TMEM106B抗体)の投与の説明を含む。一部の実施形態では、当該指示書は、抗TMEM106B抗体、及び、第2の作用物質(例えば、薬学的に活性な第2の作用物質)の使用に関する説明を含む。
以下の実施例を参照することで、本開示の理解は十分に深まる。しかしながら、それらを、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。本開示全体でのすべての引用を、本明細書の一部を構成するものとして、明示的に援用する。
実施例1:抗TMEM106B抗体の同定
ヒトTMEM106Bを標的とするモノクローナル抗体は、以前の報告のように生成させた(国際特許出願公開公報第WO2019/133512号を参照のこと、当該文献の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
簡潔に記載すると、NZB/Wマウス(JAX100008,Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)、SJLマウス(JAX000686,Jackson Laboratory)、または、TMEM106Bノックアウトマウス(Taconic,Rensselaer,NY)を、乳酸リンゲル液で希釈したmFlt3リガンド(DNA)、及び、mGM-CSF(DNA)(Invitrogen,San Diego,CA)の有無に関係なく、ヒト、カニクイザル(cyno)、または、マウスの全長TMEM106Bをコードする50μgのプラスミドDNAで、それぞれを、毎週、同時に免疫処置した。DNA免疫処置のために、TMEM106B発現プラスミドの注射を、合計で5~7回、マウスごとに実施した。最後のDNA免疫処置の3日後に、マウスから脾臓を採取した。マウスから得た血清は、ヒト、カニクイザル、及び/または、マウスのTMEM106Bを過剰発現しているHEK293細胞を使用して、FACS分析で、TMEM106Bに対する反応性について分析した。ヒト、カニクイザル、及び/または、マウスTMEM106Bを過剰発現しているHEK293細胞に対して強力に結合した血清を持つマウスの脾細胞を、電気融合(ECM2001,BTX,Holliston,MA)を介して、P3X63Ag8.653マウス骨髄腫細胞(CRL-1580,American Type Culture Collection,Rockville,MD)と融合させ、37℃/5% CO2で、一晩、Clonacell-HY Medium C(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)でインキュベートした。3ラウンドの融合を行った:融合A、免疫処置したTMEM106Bノックアウトマウスから得た脾細胞を使用する;融合B、免疫処置したSJLマウスから得た脾細胞を使用する;及び、融合C、免疫処置したNZB/Wマウスから得た脾細胞を使用する。
翌日、融合細胞を遠心分離し、抗マウスIgG Fc-FITC(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を含む10mlのClonaCell-HY培地Cに再懸濁し、次いで、メチルセルロースを主成分としHATコンポーネントを含む、90mlのClonaCell-HY Medium D(Stemcell Technologies)と穏やかに混合した。これらの細胞を、Nunc Omni Trays(Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY)に置き、37℃/5% CO2で、7日間増殖させた。蛍光コロニーを選択し、Clonepix 2(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、Clonacell-HY Medium E(StemCell Technologies)を含む96ウェルプレートに移し、次いで、5日後に、TMEM106B反応性をスクリーニングした。
抗TMEM106Bハイブリドーマの最初のスクリーニングを、以下のように行った。最初に、得られたハイブリドーマ由来の組織培養上清を、トランスフェクト細胞と比較して、親(非トランスフェクト)HEK293細胞に対する結合の程度を比較することで、ヒトTMEM106B一過性トランスフェクトHEK293細胞に対して特異的に結合する能力をスクリーニングした。リポフェクタミンシステムを使用して、TMEM106B過剰発現細胞を、HEK293細胞の一過性トランスフェクションを介して生産した。スクリーニング実験全体の再現性を確保するために、トランスフェクションした細胞の大きなバンク(約1×10)を、一過性のトランスフェクションの単一のラウンドで準備し、以降のすべてのスクリーニング実験のために等分して凍結した。
ハイブリドーマ細胞培養上清のスクリーニングのために、ヒトTMEM106BトランスフェクトHEK293細胞を、96ウェル丸底プレート(2×10細胞/ウェル)に等分し、氷上で、50μLのハイブリドーマ細胞培養上清と、30分間インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離して上清を除去し、これらの細胞を、175μLの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し;さらに、氷上で、抗マウスIgG Fc-APC(Jackson Labs,カタログ番号115-136-071)(1:500に希釈した)と、20分間、インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、最終体積30μLのFACS緩衝剤+0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD Biosciences カタログ番号556463)に再懸濁した。セルソーティングを、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)、または、iQue(Intellicyt)で行い、ソートゲートは、死滅した(すなわち、ヨウ化プロピジウムポジティブ)細胞を排除するように描画した。TMEM106B+HEK293細胞の抗マウスAPC MFIの中央蛍光強度(MFI)を、それぞれのクローンについて計算し、二次抗体だけのものと十分な比較を行って、バックグラウンドで少なくとも2倍のシグナルを示すものを、さらなる分析と特徴決定のために使用した。
実施例2:抗体の重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列
上記のように同定した抗TMEM106B抗体のアミノ酸配列を決定した。標準的な技術を使用して、生成した抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を決定した。以下の表1、表2、表3、及び表4には、抗体のKabat重鎖CDR(HVR)アミノ酸配列及びKabat軽鎖CDR(HVR)アミノ配列が示される。以下の表5及び表6には、抗TMEM106B抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列が示される。表5及び表6の両方において、CDR(HVR)領域(Kabatによって定義されたもの)は下線付きで示される。
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実施例3:抗TMEM106B抗体の抗ウイルス活性
TMEM106Bは、SARS-CoV-2コロナウイルス感染の宿主因子として同定されている。SARS-CoV-2コロナウイルスの感染力及び/または複製に対する抗TMEM106B抗体の抗ウイルス活性を、抗体の抗ウイルス活性を評価するための様々なインビトロ方法論及びインビボ方法論によって決定する。こうした方法論は、当業者に知られており、当業者が利用可能なものである。
例えば、VeroE6細胞(アフリカミドリザル腎臓上皮細胞)を抗TMEM106B抗体と共に一定時間(1時間など)培養する。その後、広範な感染多重度(MOI)をカバーする希釈系列でSARS-CoV-2ウイルス(例えば、SARS-CoV-2コロナウイルスワシントン2019ウイルス株など)を細胞に感染させ、一定時間(例えば、1~3日間)インキュベートする。その後、細胞を固定化し、ニュートラルレッドで染色する。標準的な方法を使用して細胞傷害性を評価する。当業者に知られる方法(例えば、固定化及びクリスタルバイオレットでの生存細胞の染色など)を使用して細胞生存率を測定する。
ウイルス性細胞変性効果(CPE)も決定する。RT-qPCR定量化を使用して非固定化細胞中の細胞内SARS-CoV-2ウイルスレベルを決定し、このRT-qPCR定量化によって、SARS-CoV-2ウイルス複製に対する抗TMEM106B抗体の作用の測定値をさらに得る。
代替的には、こうした試験に他の細胞型を使用する。こうした細胞型は、ヒト肝臓由来の細胞株(例えば、Huh7細胞、Hep3B細胞)またはヒト肺由来の細胞株(例えば、A549細胞、NCI-H1975細胞、NCI-H2110細胞)などである。
こうしたインビトロ実験から得られる結果から、SARS-CoV-2ウイルス感染及び/またはSARS-CoV-2ウイルス複製に対する抗TMEM106B抗体の抗ウイルス作用(SAR-CoV-2誘導性細胞変性効果(CPE)に対する抗TMEM106B抗体の作用を含む)の評価を得る。
本開示の抗TMEM106B抗体(約100μg/ml)と共にVeroE6細胞を1時間インキュベートした。その後、上記のようにSARS-CoV-2コロナウイルス(ワシントン2019ウイルス株)の希釈系列と共に細胞をインキュベートした。ウイルス性細胞変性効果(CPE)(細胞生存率/生存によって測定したもの)を上記のように評価した。こうした試験の結果は図1に示される。
図1のデータは、対照で観察されたものと比較した場合の細胞生存の変化倍率として示される。図1に示されるように、本開示の抗TMEM106B抗体は、SARS-CoV-2ウイルス感染後の細胞生存率の維持に有効であり、このことは、本開示の抗TMEM106B抗体がウイルス性細胞変性効果の低減に有効であったことを示す。具体的には、抗TMEM106B抗体TM3、TM11、TM24、TM32、TM34、TM39、TM42、TM51、TM63、TM65、TM71、及びTM84は、ウイルス感染対照細胞で観察されたものと比較して細胞生存を約1.5倍以上に増加させた。さらに、抗TMEM106B抗体TM11、TM24、TM32、及びTM51は、ウイルス感染対照細胞で観察されたものと比較して細胞生存を約2倍以上に増加させた。これらの結果から、本開示の抗TMEM106B抗体がSARS-CoV-2コロナウイルス感染細胞におけるウイルス性細胞変性効果の低減に有効であることが示された。
実施例4:抗TMEM106b抗体のエピトープビニング
プレミックスエピトープビニング手法を使用して、Carterra(Salt Lake City,Nevada,USA)によって、本開示のある特定の抗TMEM106B抗体のエピトープビニングを実施した。モノクローナル抗TMEM106B抗体をCMD 50Mチップ(Xantec番号SPMXCMD50M ロット番号SCCMD50M0416)に固定化した。1mg/mLのBSAを含むHBS-EP+をランニング緩衝液とした。GST-TMEM106B(配列番号1のアミノ酸122~210を含む短縮型)抗原を、最終濃度55nM(2μg/mLに対応する)で調製し、最終濃度333nM(50μg/mLに対応する)の、競合分析物(抗TMEM106B抗体)と共に混合するか、または緩衝液対照と比較した。アレイにわたって試料を5分間注入し、2部のPierce IgG溶出緩衝液(ThermoFisherカタログ番号21004)及び1部の10mMグリシン、pH2.0(Carterra)を用いる1分間の再生処理にサイクル終了ごとに供した。
抗TMEM106B抗体を様々な競合ビンに選別し、ビニングプロファイルを得た。ある特定の抗TMEM106B抗体は、こうしたビニング実験に使用した短縮型GST-TMEM106B融合タンパク質への結合能力を有さないことから、その他の抗TMEM106B抗体のいずれへの結合も遮断する能力を示さず、このことから、これらの抗TMEM106B抗体はTMEM106BのC末端ドメインに結合するものであることが示され、これらの抗TMEM106B抗体はビン5に割り当てた(以下の表7を参照のこと)。他の抗TMEM106B抗体は、ビン1及びビン2として同定されたビニングプロファイルを示した。ビン2では、2つの密接に関連する下位のビン(ビン3及びビン4)が見られた。ビン3またはビン4に含まれる抗体は、ビン2抗体を部分的に遮断する。
プレミックスエピトープビニング手法を使用してLake Pharma(Salt Lake City,Nevada,USA)によって本開示のある特定の他の抗TMEM106B抗体のエピトープビニングを実施した。モノクローナル抗TMEM106B抗体を、CMD 50Mチップ(Xantec番号SPMXCMD50M ロット番号SCCMD50M0416)に固定化した。ランニング緩衝剤は、1mg/ml BSAを含むHBS-EP+であった。GST-TMEM106B(短縮型)抗原を、55nM(2μg/mlに対応する)の最終濃度で調製し、333nM(50μg/mlに対応する)の最終濃度で競合する分析物抗TMEM106B抗体と混合し、または、緩衝剤対照と比較した。試料をアレイ全体に5分間かけて注入し、サイクルごとに、1分間で、2部のPierce IgG溶出緩衝剤(ThermoFisherカタログ番号21004)と、1部の10mMグリシン、pH2.0(Carterra)とを用いて再生した。以下の表7を参照のこと。
これらの結果から、上記のように使用したアッセイに基づくと、本開示の抗TMEM106B抗体が異なるコミュニティーに分類されること(例えば、特定のコミュニティーに分類される抗TMEM106B抗体は、同じまたは重複するエピトープに結合する)が示された。
実施例5:インビトロでのSARS-CoV-2感染後の細胞変性効果(CPE)に対する抗TMEM106B抗体の作用
インビトロで細胞生存率及びCPEに影響を与える能力について本開示の抗TMEM106B抗体を下記のように試験した。96ウェルプレート中の熱非働化FBS含有率8%のRPMI培地にNCI-H1975細胞(ヒト肺上皮細胞)を4×10個細胞/ml(ウェル当たり100μl)の細胞密度で播種した。抗TMEM106B抗体を段階希釈し(最終抗体濃度については以下を参照のこと)、各ウェルに添加した。抗TMEM106B抗体の存在下で細胞を一晩インキュベートした。
翌日、SARS-CoV-2ウイルス(SARS-CoV-2 ベルギーp6 25-1)を細胞に添加し、ウェルへのウイルス添加後の最終的な段階希釈抗体濃度を20,000ng/ml、2,000ng/ml、200ng/ml、及び20ng/mlとした。その後、抗TMEM106B抗体及びSARS-CoV-2ウイルスの存在下で細胞を3日間インキュベートした。ウイルスによって誘導される細胞変性効果(CPE)及びCPEに対する抗TMEM106B抗体の作用について細胞を視覚的に観察した。MTSアッセイ(細胞生存率を決定するための比色法)によって細胞生存率を評価した。これらの試験では、NCI-H1975細胞においてSARS-CoV-2誘導性CPEを阻害することが知られる陽性対照として抗ウイルス化合物レムデシビル(1μM)を使用した。これらの実験では、ハムスター抗SARS-CoV-2抗血清も陽性対照として使用した。これらの実験は、独立して2回実施した。
図2A、2B、2C、2D、2E、及び2Fに示されるように、ウイルス感染細胞に陽性対照レムデシビル(Rem)を添加した場合、ウイルスを添加しなかった場合の細胞生存率と比較して約75~80%の細胞生存率が得られた。さらに、ウイルス感染細胞にハムスター抗SARS-CoV-2抗血清(HP)を添加した場合にも、ウイルスを添加しなかった場合の細胞生存率と比較して約75~80%の細胞生存率が得られ、この細胞生存率は、レムデシビル処理時に観察されたものと同様であった。ウイルスの存在下でPBSを添加した場合には、著しいウイルス性細胞変性効果(細胞生存率が20%未満になることによって裏付けられた)が生じたことに留意されたい。
図2A~2Cは、SARS-CoV-2に感染したNCI-H1975ヒト肺上皮細胞におけるウイルス性細胞変性効果(細胞生存率によって測定したもの)の低減において本開示の抗TMEM106B抗体が少なくともレムデシビルと同程度に有効であってことを示す。具体的には、抗TMEM106B抗体TM3、TM9、TM10、TM11、TM18、TM19、TM21、TM24、TM25、TM28、TM29、TM30、TM32、TM35、TM37、TM48、TM56、TM59、TM60、TM61、TM63、TM64、TM72、TM76、TM78、TM80、TM86、及びTM88を添加した場合、ウイルスを添加しなかった場合のパーセント細胞生存率と比較して約80%以上の細胞生存率が得られた。
実施例6:抗TMEM106B抗体エピトープビンと、SARS-CoV-2コロナウイルス性細胞変性効果からの保護との間の相関
実施例4に記載したように、エピトープビニング分析から、TMEM106Bポリペプチドへの結合について本開示の抗TMEM106B抗体が異なるビニングプロファイルを有することが示された。コロナウイルス感染後の細胞死(CPEによって決定したもの)からの保護に対して、抗体ビニングプロファイルのそれぞれの抗TMEM106B抗体の有効性の相関を決定した。その結果は以下の表7に示される。非結合剤(以下に示されるもの)は、これらのビニング実験に使用したGST-TMEM106Bポリペプチド融合体(TMEM106BのC末端部分を有さない)に結合する能力を有さなかった抗TMEM106B抗体(ビン5に割り当てたもの)を示す。
Figure 2024511610000027
表7に示されるように、ビン2(及び関連する下位のビン3及び4)に属する抗TMEM106B抗体は、ウイルス性細胞変性効果(細胞死によって測定したもの)の保護に有効であった一方で、ビン1またはビン5に属する抗TMEM106B抗体はそうではなかった。具体的には、ビン2、3及び4に属する抗TMEM106B抗体は、コロナウイルス感染と関連する細胞変性効果に対して50%超の保護を与えた。具体的には、ビン2、3、及び4に属する抗TMEM106B抗体の大部分(TM-25、TM-32、TM30、TM18、TM19、TM3、TM9、TM12、TM60、TM61、TM11、TM21、TM10、TM72、TM29、TM59、TM78、TM86、TM35、TM37、TM56、TM24、TM48、TM63、TM64、TM76、TM28、TM72、及びTM13)が、コロナウイルス感染時の細胞変性効果に対して80%超の保護を示した。まとめると、これらの結果は、ビン2、3、及び4と重複するビニングプロファイルを示す抗TMEM106B抗体(上に示されるもの)が、コロナウイルス感染を予防または低減するTMEM106Bポリペプチドのエピトープに結合する可能性があることを示唆するものであった。
実施例7:SARS-CoV-2感染に対する抗TMEM106B抗体の用量漸増試験
4つの異なる濃度の本開示の抗TMEM106B抗体(20μg/mL、2μg/mL、0.2μg/mL、及び0.02μg/mL)またはレムデシビルで、NCI-H1975細胞を一晩処理した後、この細胞にSARS-CoV-2ウイルスを3日間感染させた。実験の終了時点で細胞変性効果を視覚的に評価し、MTSアッセイによって細胞生存率を測定した。図3A~Dには、非処理/非感染細胞で観察された細胞生存率で正規化した細胞生存率が示される。図3A~Dに示されるように、本開示のある特定の抗TMEM106B抗体は、インビトロでのSARS-CoV-2感染と関連する細胞変性効果の低減に、200ng/mLまでの濃度で有効であった。

Claims (29)

  1. TMEM106Bタンパク質に結合する抗体と、薬学的に許容可能な担体と、を含む、コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための医薬組成物。
  2. コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減における使用のための、TMEM106Bタンパク質に結合する抗体。
  3. コロナウイルス感染の治療、予防、またはリスク低減のための方法であって、
    その必要のある個体に対して、TMEM106Bタンパク質に結合する抗体を有効量で投与する工程を含む、前記方法。
  4. 前記抗体が、コロナウイルスの複製を低減する、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  5. 前記抗体が、コロナウイルスの伝播を低減する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  6. 前記抗体が、コロナウイルスゲノムの翻訳を低減する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  7. 前記抗体が、コロナウイルスによる細胞侵入を低減する、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  8. 前記抗体が、感染細胞からのコロナウイルスの放出を低減する、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  9. コロナウイルスが、SARS-CoV-2コロナウイルスである、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  10. 前記TMEM106Bタンパク質が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  11. 前記抗体が、TMEM106Bタンパク質の細胞質ドメインに結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  12. 前記抗体が、TMEM106Bタンパク質の内腔ドメインに結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  13. 前記抗体が、TM-1、TM-2、TM-3、TM-4、TM-5、TM-6、TM-7、TM-8、TM-9、TM-10、TM-11、TM-12、TM-13、TM-14、TM-15、TM-16、TM-17、TM-18、TM-19、TM-20、TM-21、TM-22、TM-23、TM-24、TM-25、TM-26、TM-27、TM-28、TM-29、TM-30、TM-31、TM-32、TM-33、TM-34、TM-35、TM-37、TM-39、TM-41、TM-42、TM-43、TM-44、TM-45、TM-46、TM-47、TM-48、TM-49、TM-50、TM-51、TM-52、TM-54、TM-56、TM-59、TM-60、TM-61、TM-62、TM-63、TM-64、TM-65、TM-66、TM-67、TM-68、TM-69、TM-70、TM-71、TM-72、TM-73、TM-74、TM-75、TM-76、TM-77、TM-78、TM-79、TM-80、TM-81、TM-82、TM-83、TM-84、TM-85、TM-86、TM-87、TM-88、TM-89、TM90、TM-91、TM-92、TM-93、及びTM-94からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含み、任意で、前記HVRが、Kabat HVR、AbM HVR、Chothia HVR、またはContact HVRである、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  14. 前記抗体が、HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む重鎖可変領域と、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域と、を含み、前記HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3が、
    (a)それぞれ配列番号2、35、78、120、160、及び184、
    (b)それぞれ配列番号3、36、79、121、161、及び185、
    (c)それぞれ配列番号4、37、80、122、162、及び186、
    (d)それぞれ配列番号5、38、81、123、163、及び187、
    (e)それぞれ配列番号6、39、82、124、164、及び188、
    (f)それぞれ配列番号7、40、83、125、165、及び189、
    (g)それぞれ配列番号8、41、84、126、166、及び190、
    (h)それぞれ配列番号9、42、85、127、167、及び191、
    (i)それぞれ配列番号10、43、86、122、168、及び186、
    (j)それぞれ配列番号11、44、87、128、169、及び192、
    (k)それぞれ配列番号12、45、88、129、170、及び193、
    (l)それぞれ配列番号13、46、89、130、169、及び194、
    (m)それぞれ配列番号14、47、90、131、171、及び195、
    (n)それぞれ配列番号2、48、91、132、172、及び196、
    (o)それぞれ配列番号15、49、92、133、171、及び197、
    (p)それぞれ配列番号16、50、93、134、173、及び198、
    (q)それぞれ配列番号17、51、94、132、172、及び196、
    (r)それぞれ配列番号5、52、95、135、174、及び199、
    (s)それぞれ配列番号13、53、96、136、175、及び200、
    (t)それぞれ配列番号16、50、93、134、173、及び198、
    (u)それぞれ配列番号18、54、97、137、168、及び201、
    (v)それぞれ配列番号19、55、98、138、160、及び202、
    (w)それぞれ配列番号2、56、99、139、176、及び203、
    (x)それぞれ配列番号12、45、88、140、170、及び204、
    (y)それぞれ配列番号10、57、100、137、168、及び205、
    (z)それぞれ配列番号2、56、99、139、176、及び203、
    (aa)それぞれ配列番号2、58、101、141、177、及び206、
    (bb)それぞれ配列番号8、59、102、142、166、及び190、
    (cc)それぞれ配列番号20、60、103、143、168、及び207、
    (dd)それぞれ配列番号21、61、104、144、160、及び208、
    (ee)それぞれ配列番号11、62、105、127、178、及び209、
    (ff)それぞれ配列番号13、63、106、145、160、及び200、
    (gg)それぞれ配列番号22、64、107、146、179、及び210、
    (hh)それぞれ配列番号23、65、108、147、161、及び211、
    (ii)それぞれ配列番号24、66、109、148、160、及び194、
    (jj)それぞれ配列番号25、67、110、149、180、及び212、
    (kk)それぞれ配列番号26、68、111、150、180、及び213、
    (ll)それぞれ配列番号27、69、112、151、181、及び214、
    (mm)それぞれ配列番号28、70、110、152、180、及び212、
    (nn)それぞれ配列番号29、71、113、151、181、及び215、
    (oo)それぞれ配列番号28、70、110、152、180、及び212、
    (pp)それぞれ配列番号30、72、114、153、182、及び216、
    (qq)それぞれ配列番号31、73、115、154、181、及び217、
    (rr)それぞれ配列番号32、74、116、155、160、及び218、
    (ss)それぞれ配列番号33、75、117、156、182、及び219、
    (tt)それぞれ配列番号31、73、115、157、183、及び220、
    (uu)それぞれ配列番号34、76、118、158、181、及び221、
    (vv)それぞれ配列番号28、77、119、159、182、及び222、
    (ww)それぞれ配列番号223、244、277、155、160、及び202、
    (xx)それぞれ配列番号25、245、110、307、180、及び212、
    (yy)それぞれ配列番号25、67、110、149、180、及び212、
    (zz)それぞれ配列番号32、74、116、155、160、及び218、
    (aaa)それぞれ配列番号224、246、278、142、166、及び349、
    (bbb)それぞれ配列番号225、247、279、156、182、及び219、
    (ccc)それぞれ配列番号226、248、280、308、180、及び350、
    (ddd)それぞれ配列番号25、249、281、309、180、及び351、
    (eee)それぞれ配列番号227、250、282、310、335、及び352、
    (fff)それぞれ配列番号18、251、283、311、176、及び353、
    (ggg)それぞれ配列番号228、252、284、312、180、及び354、
    (hhh)それぞれ配列番号229、253、285、313、160、及び355、
    (iii)それぞれ配列番号18、254、286、314、336、及び356、
    (jjj)それぞれ配列番号18、254、286、309、337、及び351、
    (kkk)それぞれ配列番号28、255、287、309、337、及び351、
    (lll)それぞれ配列番号230、256、288、315、173、及び357、
    (mmm)それぞれ配列番号231、257、289、316、338、及び358、
    (nnn)それぞれ配列番号232、258、290、317、339、及び359、
    (ooo)それぞれ配列番号233、259、291、318、340、及び360、
    (ppp)それぞれ配列番号234、260、292、319、341、及び361、
    (qqq)それぞれ配列番号235、261、287、320、180、及び351、
    (rrr)それぞれ配列番号236、262、293、321、342、及び362、
    (sss)それぞれ配列番号237、263、280、322、180、及び363、
    (ttt)それぞれ配列番号25、264、294、323、343、及び204、
    (uuu)それぞれ配列番号2、265、295、324、176、及び364、
    (vvv)それぞれ配列番号238、266、296、325、160、及び365、
    (www)それぞれ配列番号14、47、90、131、171、及び366、
    (xxx)それぞれ配列番号239、267、297、326、344、及び367、
    (yyy)それぞれ配列番号8、268、298、142、166、及び190、
    (zzz)それぞれ配列番号5、269、299、327、345、及び368、
    (aaaa)それぞれ配列番号20、270、300、328、346、及び369、
    (bbbb)それぞれ配列番号2、271、301、329、172、及び196、
    (cccc)それぞれ配列番号32、272、302、330、347、及び370、
    (dddd)それぞれ配列番号240、273、303、331、344、及び367、
    (eeee)それぞれ配列番号241、274、304、332、345、及び371、
    (ffff)それぞれ配列番号242、275、305、333、348、及び372、または
    (gggg)それぞれ配列番号243、276、306、334、160、及び373、
    のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  15. 前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域が、
    (a)それぞれ配列番号374及び418、
    (b)それぞれ配列番号375及び419、
    (c)それぞれ配列番号376及び420、
    (d)それぞれ配列番号377及び421、
    (e)それぞれ配列番号378及び422、
    (f)それぞれ配列番号379及び423、
    (g)それぞれ配列番号380及び424、
    (h)それぞれ配列番号381及び425、
    (i)それぞれ配列番号382及び426、
    (j)それぞれ配列番号383及び427、
    (k)それぞれ配列番号384及び428、
    (l)それぞれ配列番号385及び429、
    (m)それぞれ配列番号386及び430、
    (n)それぞれ配列番号387及び431、
    (o)それぞれ配列番号388及び432、
    (p)それぞれ配列番号389及び433、
    (q)それぞれ配列番号390及び434、
    (r)それぞれ配列番号391及び435、
    (s)それぞれ配列番号392及び436、
    (t)それぞれ配列番号389及び437、
    (u)それぞれ配列番号393及び438、
    (v)それぞれ配列番号394及び439、
    (w)それぞれ配列番号395及び440、
    (x)それぞれ配列番号384及び441、
    (y)それぞれ配列番号396及び442、
    (z)それぞれ配列番号395及び440、
    (aa)それぞれ配列番号397及び443、
    (bb)それぞれ配列番号398及び444、
    (cc)それぞれ配列番号399及び445、
    (dd)それぞれ配列番号400及び446、
    (ee)それぞれ配列番号401及び447、
    (ff)それぞれ配列番号402及び448、
    (gg)それぞれ配列番号403及び449、
    (hh)それぞれ配列番号404及び450、
    (ii)それぞれ配列番号405及び451、
    (jj)それぞれ配列番号406及び452、
    (kk)それぞれ配列番号407及び453、
    (ll)それぞれ配列番号408及び454、
    (mm)それぞれ配列番号409及び455、
    (nn)それぞれ配列番号410及び456、
    (oo)それぞれ配列番号409及び455、
    (pp)それぞれ配列番号411及び457、
    (qq)それぞれ配列番号412及び458、
    (rr)それぞれ配列番号413及び459、
    (ss)それぞれ配列番号414及び460、
    (tt)それぞれ配列番号415及び461、
    (uu)それぞれ配列番号416及び462、
    (vv)それぞれ配列番号417及び463、
    (ww)それぞれ配列番号464及び500、
    (xx)それぞれ配列番号465及び501、
    (yy)それぞれ配列番号466及び452、
    (zz)それぞれ配列番号413及び502、
    (aaa)それぞれ配列番号467及び503、
    (bbb)それぞれ配列番号468及び504、
    (ccc)それぞれ配列番号469及び505、
    (ddd)それぞれ配列番号470及び506、
    (eee)それぞれ配列番号471及び507、
    (fff)それぞれ配列番号472及び508、
    (ggg)それぞれ配列番号473及び509、
    (hhh)それぞれ配列番号474及び510、
    (iii)それぞれ配列番号475及び511、
    (jjj)それぞれ配列番号476及び512、
    (kkk)それぞれ配列番号477及び512、
    (lll)それぞれ配列番号478及び513、
    (mmm)それぞれ配列番号479及び514、
    (nnn)それぞれ配列番号480及び515、
    (ooo)それぞれ配列番号481及び516、
    (ppp)それぞれ配列番号482及び517、
    (qqq)それぞれ配列番号483及び518、
    (rrr)それぞれ配列番号484及び519、
    (sss)それぞれ配列番号485及び520、
    (ttt)それぞれ配列番号486及び521、
    (uuu)それぞれ配列番号487及び522、
    (vvv)それぞれ配列番号488及び523、
    (www)それぞれ配列番号489及び524、
    (xxx)それぞれ配列番号490及び525、
    (yyy)それぞれ配列番号491及び526、
    (zzz)それぞれ配列番号492及び527、
    (aaaa)それぞれ配列番号493及び528、
    (bbbb)それぞれ配列番号494及び529、
    (cccc)それぞれ配列番号495及び530、
    (dddd)それぞれ配列番号496及び531、
    (eeee)それぞれ配列番号497及び532、
    (ffff)それぞれ配列番号498及び533、または
    (gggg)それぞれ配列番号499及び534
    のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  16. 前記抗体が、請求項15に記載の下位区分(a)~(gggg)の前記抗体のいずれか1つの前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域を含む抗体のTMEM106Bへの結合を競合的に阻害する、請求項1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  17. 前記抗体が、配列番号1のアミノ酸122~210を含む短縮型TMEM106Bタンパク質に結合する、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  18. 前記抗体が、ビン2のものである、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  19. 前記抗体が、ビン3のものである、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  20. 前記抗体が、ビン4のものである、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  21. 前記抗体が、ビン1のものではない、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  22. 前記抗体が、ビン5のものではない、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  23. 前記抗体が、SARS-CoV-2に感染した細胞における細胞変性効果を低減し、任意で、前記細胞が、VeroE6細胞またはNCI-H1975細胞である、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  24. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~23のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  25. 前記抗体が、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である、請求項1~24のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  26. 前記抗体が、IgGクラスの抗体であり、かつ、IgG1、IgG2、または、IgG4アイソタイプを有する、請求項25に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  27. 前記抗体が、抗体断片である、請求項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  28. 前記断片が、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、または、scFv断片である、請求項27に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
  29. 前記抗体が、全長抗体である、請求項1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物、抗体、または方法。
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