JP2024511019A - メラノサイト増殖促進剤および生存促進因子としての特異的炎症収束性メディエーター(spm)およびその使用 - Google Patents

メラノサイト増殖促進剤および生存促進因子としての特異的炎症収束性メディエーター(spm)およびその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2024511019A
JP2024511019A JP2023556959A JP2023556959A JP2024511019A JP 2024511019 A JP2024511019 A JP 2024511019A JP 2023556959 A JP2023556959 A JP 2023556959A JP 2023556959 A JP2023556959 A JP 2023556959A JP 2024511019 A JP2024511019 A JP 2024511019A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melanocytes
maresin
melanocyte
leukoplakia
spm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023556959A
Other languages
English (en)
Inventor
ゾウ,ユーウェン
Original Assignee
ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア filed Critical ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
Publication of JP2024511019A publication Critical patent/JP2024511019A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/20Carboxylic acids, e.g. valproic acid having a carboxyl group bound to a chain of seven or more carbon atoms, e.g. stearic, palmitic, arachidic acids
    • A61K31/202Carboxylic acids, e.g. valproic acid having a carboxyl group bound to a chain of seven or more carbon atoms, e.g. stearic, palmitic, arachidic acids having three or more double bonds, e.g. linolenic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/557Eicosanoids, e.g. leukotrienes or prostaglandins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0019Injectable compositions; Intramuscular, intravenous, arterial, subcutaneous administration; Compositions to be administered through the skin in an invasive manner
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • A61K47/08Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite containing oxygen, e.g. ethers, acetals, ketones, quinones, aldehydes, peroxides
    • A61K47/10Alcohols; Phenols; Salts thereof, e.g. glycerol; Polyethylene glycols [PEG]; Poloxamers; PEG/POE alkyl ethers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0014Skin, i.e. galenical aspects of topical compositions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/08Solutions

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

Figure 2024511019000001
本発明は、メラノサイト増殖促進剤及び生存促進因子として使用するための、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の使用を提供する。より詳細には、SPM組成物は、メラノサイトの色素脱失を防止するためにメラノサイトの増殖及び/又は生存を促進すること、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失において再色素化を促進することに適する。さらに、本組成物は、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、又は白髪症を治療するために使用できる。
【選択図】図8

Description

関連出願の相互参照
本出願は、「メラノサイトの増殖促進および生存促進因子としての天然化合物の新規利用(novel uses of a natural compound as a growth promoter and pro-survival factor of melanocytes)」とのタイトルにおいて2021年3月19日に出願された、米国仮特許出願第63/163,241号の利益を主張するものである。
発明の分野
本発明は、メラノサイト増殖促進剤及び生存促進因子として用いるための、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の使用に関する。メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することは、メラノサイトの色素脱失を防止し、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失における再色素化を促進し得る。さらに、本組成物は、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、または白髪症を治療するために使用できる。
胚発生後の皮膚や毛髪の生理的なメラニン色素沈着は、毛包のバルジ領域に存在するメラノサイト幹細胞(McSC)から分化・移動してきたメラノサイトによって維持されている。毛髪や皮膚の適切な色素沈着と生理学的分布は、紫外線の有害な影響からの保護だけでなく、個人の心理社会的幸福にとっても重要となる。メラニンの産生は、メラノサイトの枯渇のために失われる場合があり、こういった現象は、白斑症や白髪症を含む多くの疾患で起こる。
世界人口の0.5%~2%が罹患している白斑症(1)では、皮膚又は毛髪、あるいはその両方に、非常に目立つ白い斑点が生じ、罹患者の外見を著しく損ない、生活の質を著しく低下させ得る(2-5)。白斑症には複数の発症メカニズムが提唱されているが(6-10)、メラノサイト特異的自己免疫活性化が実験上では最も強く支持されている。具体的には、CD8+T細胞、メモリーT細胞(11-13)、NK細胞(14)などの免疫活性細胞傷害性細胞が皮膚病変において発見されている。再色素化は、狭帯域紫外線B光線療法(NBUVB)、カルシニューリン阻害剤の外用、ステロイドの外用又は全身投与などの免疫抑制治療によって起こり得る(15-22)(23)。JAK阻害剤(24)やIL15阻害剤(25)など、白斑症に対する新しい治療法や実験的治療法もまた、メラノサイトに対する免疫細胞傷害性の様々な側面を標的としている。これらの観察結果から、白斑症の発症における免疫介在性メラノサイト細胞傷害性の病原的役割は強く支持されている。
しかし、白斑症の臨床症状の多くの点は、自己免疫/自己炎症事象だけでは完全に説明できない。第一に、白斑症の皮膚病変の多くでは、Th2介在性皮膚疾患である湿疹のような他の典型的な免疫介在性皮膚疾患とは異なり、紅斑、組織の硬化、体温上昇、鱗屑の発生といった急性免疫又は炎症反応の典型的な徴候が見られない。第二に、かなりの割合の患者、特にその手足に白斑がある患者では、最も強力な免疫抑制剤を用いても治療効果がほとんど見られない。また、たとえ免疫抑制治療の効果が見られた患者でも、再色素化は非常に遅く(しばしば3~6ヵ月かかる)、またほとんどが部分的である。対照的に、湿疹のような古典的な免疫介在性皮膚疾患においては、免疫抑制剤による治療効果はもっと迅速(多くの場合、数日又は数週間)かつ完全である。これらの結果は、メラノサイトの枯渇に寄与し白斑症皮膚病変でのメラノサイトの復活を妨げるさらなる要因が、皮膚微小環境に存在することを示唆している。しかし、その決定的な証拠は未だ得られていない。
白斑症における皮膚や毛髪の色素脱失がパッチ状に分布しているのとは対照的に、白髪症(加齢に伴う自然発生的な毛髪や皮膚の灰色化)の色素脱失はより広く拡散しており、色素脱失した毛髪は正常なメラニン色素を有する毛髪と混在し、分散している。高齢になると、ほとんどの人が白髪症を罹患する。通常、白髪症は主な身体症状を伴うことはないが、例えば特に若白髪(30歳前に白髪が発生する)の場合などは、重大な心理社会的苦痛をもたらすこともある。白髪症においてメラノサイト枯渇が生じる正確なメカニズムは不明である。しかし最近、マウスモデルを用いて行われたBing Zhangらによる研究において、白髪症におけるメラノサイトの枯渇は、Tリンパ球やBリンパ球が関与する免疫反応によるものではないことを示す確定的な結果が提示された。むしろ、加齢や交感神経系の過活性化(26)(27)によって、免疫非依存的にメラノサイト幹細胞や前駆細胞が疲弊することによるものであることが示された。
白斑症と白髪症との関係は未だ議論の的となっている。新たな報告によると、この2つの疾患は病因的に関連している可能性がある。第一の研究として、J Smithは、白斑症を罹患する子供が、典型的な白斑症のパッチ状分布とは異なる、早期拡散性白髪を発症したことを報告した(28)。第二の研究として、717人の白斑症患者を対象とした大規模な疫学的解析において、K Ezzedineらは、白斑症患者の32.8%が若白髪であり、さらに思春期前に白斑症を発症した患者においては、その割合が46%にもなることを示した(29, 30)。さらに、思春期前に発症した白斑症は、白斑症には罹患していない家族における家族遺伝性の若白髪の増加と強く関連していた(30)。最後に、精神的ストレスが白髪症(26)(27)と白斑症の両方の発症に強く関連していることも示されている。(29, 30) (31) しかしながら、白斑症と白髪症を結びつける統合的な発症機序は未だ明らかにされていない。
マクロファージは皮膚疾患の発症、特に炎症、創傷治癒、腫瘍形成において重要な役割を果たしている。M1マクロファージが炎症を促進する一方、交互に活性化されるM2マクロファージは、免疫反応や炎症反応の解消や組織の修復に関与する。さらに、メラノーマや皮膚T細胞リンパ腫などの悪性疾患では、M2様マクロファージが増加していることが、本発明者や他の研究者により発見されている(32-35)。M2マクロファージは、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の酵素的修飾に由来する特異的炎症収束性メディエーター (SPM)ファミリーの一つとしての機能的メディエーターであるマレシン1を分泌することによって機能する(36, 37)。主にM2マクロファージから分泌される(36, 37)マレシン1には、免疫消失の促進(36, 37)、創傷治癒の促進(38)、マクロファージの分極のM2側へのシフト、神経因性疼痛の軽減(36, 39, 40)、炎症消失後の組織再生の促進(36, 41, 42)、外科的損傷後の褐色プラナリア線虫の頭部再生の促進(36)など、いくつかの重要な機能があることが示されている。
白斑のある皮膚ではマクロファージは増加するが(43, 44)、白斑症と白髪症のいずれに関しても、マクロファージの分極化に関する研究は報告されていない。
本発明は、その一部が、本明細書に記載されている特異的炎症収束性メディエーター (SPM)化合物がメラノサイト増殖促進剤および生存促進因子であるという発見に基づいている。また、発明者は、M2マクロファージやM2機能メディエーターであるマレシン1の欠乏が、白斑症や白髪症におけるメラノサイトの枯渇に寄与していることも見出した。さらに、発明者は、外因性SPM化合物(例えばマレシン1)が、in vitroでメラノサイトの生存を増加させることを見出した。また、本明細書では、マレシン1が白斑症及び白髪症のマウスモデルにおいてメラノサイトの枯渇を有意に減少させ、免疫非依存的な原因によるメラノサイトの枯渇からメラノサイトを保護することも偶発的に示された。本発明は、加齢に伴う白皮症及び白毛症の治療に適し得る化合物を提供する。本発明はまた、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、又は白髪症の治療に好適であり得る化合物を提供する。
第一の態様では、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進する方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象者に、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを投与することを含む。
更なる態様では、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するための、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、又はその医薬組成物の使用を提供する。
更なる態様では、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するための医薬の製造における、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、又はその医薬組成物の使用を提供する。
更なる態様では、リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを有効成分として含む、白斑を予防又は治療するための医薬組成物が提供される。
更なる態様では、リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを有効成分として含む、白斑症又は白髪症を予防又は治療するための化粧料組成物が提供される。
更なる態様では、(a)リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、及び(b)メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するためのそれらの使用説明書を含む市販品パッケージが提供される。
更なる態様では、(a)リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを含む医薬組成物、及び(b)メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するためのそれらの使用説明書を含む市販品パッケージが提供される。
更なる態様では、リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを含むメラノサイト増殖培地が提供される。
SPMは、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択され得る。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、マレシン1であってもよい。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、マレシン2であってもよい。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、リポキシンB4であってもよい。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、プロテクチンD1であってもよい。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、レゾルビンD2であってもよい。SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、レゾルビンE1であってもよい。SPMは、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、エピリポキシンB4、プロテクチンD1、22-ヒドロキシ-プロテクチンD1、プロテクチンDX、10-エピ-プロテクチンD1、レゾルビンD1、レゾルビンD2、レゾルビンD3、レゾルビンD4、レゾルビンD5、レゾルビンD6、レゾルビンE1、レゾルビンE2、及びレゾルビンE3のうちの一つ又は複数から選択され得る。あるいは、SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、式1~12のうちの一つ又は複数の中から選択され得る。メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することは、メラノサイトの色素脱失を防止し、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失における再色素化を促進し得る。メラノサイトは、皮膚メラノサイト、毛髪メラノサイト、眼メラノサイト、耳メラノサイトのいずれかである。投与は、メラノサイトの非炎症性喪失を減少または逆転させるために行い得る。また、投与は、加齢に伴う白皮症及び白毛症の治療のために行い得る。メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することは、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、又は白髪症の治療となり得る。白斑症は、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、及び炎症療法に非反応の白斑症から選択され得る。
光線療法や免疫抑制療法との併用療法の一部としての投与も可能である。また、外科的メラノサイト移植療法との併用療法の一部としての投与も可能である。
医薬組成物は、経口投与、静脈内注射、皮下注射または腹腔内注射による全身投与用として製剤化することができる。また医薬組成物は局所投与用として製剤化してもよい。化粧料組成物は、ローション、クリーム、軟膏、懸濁液、スプレー、または粘着テープ上にコーティングされた製剤であってもよい。
図1Aは、白斑症病変皮膚(LS、N=36)、非病変皮膚(NLS、N=36)及び健常皮膚(HNS、N=9)から全層生検を採取してトータルRNA抽出に使用し、トランスクリプトームシークエンシングとそれに続くxCellアルゴリズムを用いた細胞デコンボリューションを行い、各試料における64の認識可能な細胞タイプのシグネチャーを、HNSの平均値に対する倍率変化(fold change)として示した、健常皮膚に対する白斑症病変皮膚及び非病変皮膚の免疫細胞プロファイルを示す。 * p<0.05 (p1: LS vs NLS; p2: LS vs HNS;p3: NLS vs HNS) 横破線は、xCellアルゴリズムによって定義された、メラノサイト、M2、及びその他のモノ・マクロファージを強調表示している。
図1Bは、白斑症LSで濃縮された細胞のほとんどが、白斑症NLSでも濃縮されていることを示す。
図1Cは、白斑症LSで枯渇した細胞が、白斑症NLSでは枯渇していないことを示す。
図2は、白斑症LSと湿疹LSの異なる細胞プロファイルのウォーターフォールプロットを示しており、健常皮膚(HNS)に対する白斑症LS(左パネル)の倍率変化(FC)の降順に細胞がランク付けされ、FC値が示されている。右パネルは、HNSに対する、湿疹LSにおけるこれらの細胞の濃縮または枯渇を示している(アスタリスクは、統計的に有意な変化を示す。p<0.05)。
図3は、白斑症皮膚生検におけるM1(CD80+)及びM2(CD163+)マクロファージを示す。(A)には、白斑症患者の非病変皮膚(NS)及び病変皮膚(LS)から全層生検(5 mmパンチ)を得て、細胞を単離し、12時間インキュベーションした後、CD11b、CD80 (M1マーカー)及びCD163(M2マーカー)抗体で標識した細胞のセルソーターを用いた分析を示し、(B)では、代表的な白斑症患者のLSとNLSにおけるCD11b + M1(Q3)とM2(Q1)である細胞のFACS分布を示し、(C)では、3人の白斑症患者のNLSとLSにおけるM1とM2マクロファージの平均値を示す。
図4は、マレシン1による処置の有無における、B6白斑症マウスモデルの皮膚常在M2マクロファージを示す。ここで、B6マウスは、マレシン1(腹腔内注射(IP)により800 ng/各マウス)、又は生理食塩水IPで、3日間毎日3回前処置を行い、それに続く皮内注射(ID)によりLPSおよびCpGを含むアジュバント中のTRP2ペプチドで免疫した後、注射から48時間経過後に安楽死させ、注射部位の皮膚を採取し、CD80(M1マーカー)及びCD163(M2マーカー)に対するモノクローナル抗体を用いて、CD163+細胞/CD80+細胞に基づいて計算されたM2/M1比率で、細胞単離およびフローサイトメトリーを行った。
図5は、B6マウス白斑モデルにおけるメラノサイト枯渇に対するマレシン1の効果を示す。(A)は、8週齢のC57BL/J6マウスに、生理食塩水(N=20)またはマレシン1(800ng/各マウス、N=20)のIP注射を週3回、8週間投与し、各マウスに、1週目の終わりに左臀部への皮内注射(ID)によるTRP2免疫を行い、3週目の終わりにこれを繰り返し、マウスを観察し、免疫部位の色素脱失を評価するために毎週写真を撮った。(B)は、生理食塩水IPまたはマレシンIPを受けたマウスの代表的な写真を示す。(C)は、毎週の評価で色素脱失の程度を測定するために色素脱失スコアテンプレートを使用し、生理食塩水IP又はマレシンIP処置群の平均色素脱失スコアを(D)にプロットした。生理食塩水またはマレシン1処置群の免疫反応ピークスコア(0~6)を示す。(E)は、免疫後48時間における紅斑(0-3)と浮腫(0-3)を組み合わせて測定した免疫反応ピークスコアを示す。(F)は、マレシン1処置によって達成された白斑症色素脱失の減少が、免疫スコアの減少の程度と強く相関していることを示す。(p< 00001、デミング回帰)。 * p< 0.05(両側t検定)。
図6は、B6白髪症マウスモデルにおけるメラノサイト枯渇に対するマレシン1の効果を示す。(A)は、B6マウス(8週齢)を標準的な条件下で6週間飼育し、約40%のマウスが白髪(白髪症)を発症したことを示す。(B)では、安楽死させた後静脈血を採取して血清調製に使用したマウスを示し、白髪症のあるマウスと白髪症のないマウスの血清中のマレシン1の濃度をELISAを用いて測定した。(C)では、B6マウス(8週齢)を2群に分け(各群N=20)、一方の群ではさらに6週間、800 ng /各マウスで週3回マレシン1をIP注射し、もう一方の群では通常の生理食塩水をIP注射した。マウスは毎週目視とデジタル写真で観察した。(D)は体重測定を示し、(E)は各群で白髪症を発症したマウスの割合を経時的にプロットしたものを示し、(F)はLog Rank検定で測定した統計学的有意性を示す。
図7は、マレシン1が培養においてメラノサイトの生存を促進することを示す。(A)では、ATCCから入手した新生児包皮からの初代ヒト表皮メラノサイト(1X10)を、完全メラノサイト増殖培地(MGM)中で、0~300 ng/mlのマレシン1の存在下で3日間培養し、各ウェル中の細胞の総数をClear Titer Blue(CBD)アッセイを用いて推定し、結果を対照(0 ngマレシン/ml)に対する%として表した。(B)では、増殖因子の補充を行わないこと以外は(A)と同じ方法でアッセイを行ったが、マレシン1による処置を行わない場合はメラノサイトの枯渇を誘発し、マレシン1(10~300 ng /ml)の存在下では、生存メラノサイトの有意な増加によって示されるように、メラノサイト枯渇の有意な減少が見られた。 (** p< 0.01)
図8は、in vitroでの培養メラノサイトの枯渇に対する、様々な特異的炎症収束性メディエーターの効果を示しており、(A)は完全メラノサイト増殖培地での初代表皮メラノサイトの増殖に対するSPM(0~300 ng /ml)の効果を示す。(B)はベースメラノサイト増殖培地で増殖因子の補充を行わない以外は、(A)と同じである。 (* p< 0.05; ** p< 0.01 (t検定、各濃度を無処置の対照(0 ng /ml)と比較))
図9は、分節型白斑症と汎発型(非分節型)白斑症の間で有意な違いを示す白斑病変皮膚細胞を示す。
図10は、最近発症した白斑症病変としばらく前に発症した白斑症病変との間で有意な違いを示す白斑症病変皮膚細胞を示す。
図11は、白斑症LS、白斑症NLS及びHNSからの細胞を、RNAシークエンス解析からxCellデコンボリューションを用いて解析した結果、NLSと比較して白斑症LSにおいて枯渇または濃縮された細胞を示す。(A)は、NLSと比較して白斑症LSで枯渇した細胞を示し、一方(B)は、NLSと比較して白斑症LSで濃縮された細胞を示す。 (* p<0.05)
図12は、B6マウスの、白髪症発生による精神的ストレスの影響を示す。B6マウスは、1ケージあたり4匹の密度で標準的な条件で飼育された。同腹仔は観察を通して変化しなかったが、約40%のケージで、同じケージ内の他の同腹仔を噛んで毛を抜く行動(バーバリング)をとる同腹仔が存在した。この存在は検査時に斑点状の脱毛と噛み跡の目視で識別可能であった。バーバリング行動を行うマウスとケージを共有しているか否かによってマウスを層別化し、6週目までに白髪症を発症したマウスの割合を記録したところ、バーバリング行動を行うマウスとケージを共有しているマウスでは白髪症を発症したマウスの割合が有意に増加した。 (カイ二乗検定、 p<0.0076)
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照することで良好に理解される。本発明を説明するために、これらの図面に本発明の実施形態を示す。しかしながら、本発明は、図示されたそのままの配置、例、および手段に限定されるものではない。
本明細書において直接定義されていない用語は、本発明の技術分野における理解に則り、一般的に想起される意味を有するものと理解される。
本明細書に記載の化合物は、遊離状態又は塩の形態であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態であってもよく、これは当技術分野では公知である (Berge S. M. et al., J. Pharm. (1977) 66(1):1-19)。(1977) 66(1):1-19).本明細書で使用される薬学的に許容し得る塩には、例えば、親化合物の所望される生物学的有効性を持つ薬学的に許容し得る塩(親化合物の所望の生物学的有効性及び/又は特性を保持し、生物学的及び/又は他の点で望ましくない塩ではないもの)が含まれる。塩を形成し得る一つ又は複数の官能基を有する本明細書に記載の化合物は、例えば、薬学的に許容し得る塩として形成され得る。一つ又は複数の塩基性官能基を有する化合物は、例えば、薬学的に許容し得る有機酸又は無機酸を用いて薬学的に許容し得る塩を形成してもよい。薬学的に許容し得る塩としては、例えば、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、酪酸、桂皮酸、クエン酸、カンフル酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジエチル酢酸、ジグルコン酸、ドデシルスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプタン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、ヘミスルホン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イソニコチン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピメリン酸、ピバリン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、硫酸、スルファミン酸、酒石酸、チオシアン酸又はウンデカン酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。一つ又は複数の酸性官能基を含む化合物は、薬学的に許容し得る塩基、例えば、限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に基づく無機塩基、又は第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、第4級アミン化合物、置換アミン、天然に存在する置換アミン、環状アミン又は塩基性イオン交換樹脂のような有機塩基と、薬学的に許容し得る塩を形成してもよい。薬学的に許容し得る塩は、例えば、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム、アンモニア、ベンザチン、メグルミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、グルカミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、N-エチルピペリジン、テオブロミン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン又はポリアミン樹脂から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、酸性基および塩基性基の両方を含むことができ、例えば、限定されるものではないが、ベタインなどの分子内塩または双性イオンの形態であってもよい。本明細書に記載される塩は、限定されるものではないが、当業者に公知の従来の処理を用いて、例えば、遊離状態のものを有機酸若しくは無機酸又は塩基と反応させることによって、または他の塩からの陰イオン交換若しくは陽イオン交換によって調製することができる。当業者には、塩の調製は、化合物の単離および精製中にin situで行うか、又は単離され精製された化合物を別々に反応させることによって行えることは明らかである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物及びそのすべての異なる形態(例えば、遊離形態、塩、多形体、異性体)は、溶媒を付加した形態、例えば溶媒和物であってもよい。溶媒和物は、化学量論的量又は非化学量論的量の溶媒を、化合物又はその塩と物理的に会合させたものを含んでいる。溶媒は、例えば、薬学的に許容し得る溶媒であってもよいが、これに限定されない。例えば、溶媒が水の場合は水和物が形成され、溶媒がアルコールの場合はアルコラートが形成される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物及びそのすべての異なる形態(例えば、遊離形態、塩、溶媒和物、異性体)は、結晶形態および非晶質形態、例えば、多形体、擬多形体、コンフォメーション多形体、非晶質体、またはそれらの組み合わせを含み得る。多形体は、ある化合物において、同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、X線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的・電気的特性、安定性、及び/又は 溶解性などが異なる。当業者には、再結晶溶媒、結晶化速度、保存温度などの様々な要因によって、単結晶の形態が優勢になる可能性があることは明らかである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物及びそのすべての異なる形態(例えば、遊離形態、塩、溶媒和物、多形体)は、異性体、例えば幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体、個々のエナンチオマー、個々のジアステレオマー、ラセミ体、ジアステレオマー混合物及びそれらの組み合わせなどを含み、便宜上図示される式の記載によって限定されるものではない。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、そのような化合物の塩、好ましくは薬学的または生理学的に許容し得る塩を含んでいてもよい。医薬製剤は通常、製剤の投与様式(注射、吸入、局所投与、洗浄、または選択された治療に適した他の様式)として許容される一つ又は複数の担体、賦形剤、又は希釈剤を含む。適切な担体、賦形剤、又は希釈剤(本明細書では互換的に使用する)は、そのような投与様式で使用するものとして当該技術分野では公知である。
適切な医薬組成物は、当技術分野で公知の手段によって製剤化することができ、その投与様式および投与量は当業者によって決定される。非経口投与では、化合物は滅菌水もしくは生理食塩水、またはビタミンKなどに使用される非水溶性化合物の投与に使用される薬学的に許容できる基剤に溶解する。経腸投与では、化合物を錠剤、カプセル剤、又は液体に溶解した形態で投与することができる。錠剤又はカプセルは、腸溶性コーティングされていてもよいし、徐放性製剤であってもよい。放出される化合物を封入した高分子又はタンパク質の微粒子、軟膏、ペースト、ゲル、ハイドロゲル、又は化合物を外用または局部的に投与するための溶液など、多くの適切な製剤が知られている。徐放パッチやインプラントは、長期間での放出を目的として使用される。当業者に公知の多くの技術は、Remington: the Science& Practice of Pharmacy by Alfonso Gennaro, 20th ed., Lippencott Williams& Wilkins, (2000)に記載されている。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、又は水素化ナフタレンを含んでいてもよい。化合物の放出を制御するために、生体適合性かつ生分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリド共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体を使用してもよい。調節化合物のための、他の有用となり得る非経口送達システムとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、植込み型輸液系、リポソームなどがある。吸入用の製剤は、賦形剤、例えば乳糖を含んでいてもよいし、例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸塩及びデオキシコール酸塩を含む水溶液であってもよいし、点鼻薬として投与するための油性溶液であってもよいし、またゲルであってもよい。
本明細書に記載の化合物又は医薬組成物、あるいは本明細書に記載の使用のための化合物又は医薬組成物は、インプラント、移植片、プロテーゼ、ステントなどの医療用デバイスまたは器具を用いて投与することができる。また、そのような化合物または組成物を含有および放出することを意図したインプラントを考案してもよい。一例として、一定期間にわたって化合物を放出するように適合させた高分子材料で作られたインプラントが挙げられる。
本明細書に記載の医薬組成物の「有効量」には、治療上有効な量又は予防上有効な量が含まれる。「治療上有効な量」とは、白斑症や白髪症の減少、メラノサイトの増殖及び/又は生存の増加、またはメラノサイトの色素脱失の予防及び/又は非炎症性色素脱失メラノサイトにおける再色素化の促進など、所望の治療結果を得るために必要な投与量及び期間における有効な量を指す。治療上有効な化合物の量は、被験者の病状、年齢、性別、体重、さらに被験者に所望の反応を惹起する化合物の性能などの因子によって変化し得る。投与量は、最適な治療効果が得られるように調節することができる。治療上有効な量とは、化合物の毒性又は有害作用を、治療上有益な作用が上回る量でもある。「予防上有効な量」とは、所望の予防効果を得るために必要な投与量及び期間において有効な量を指す。典型的には、予防的投与量は、疾病の前段階又は疾病の初期段階の被験者に使用されることで、その予防的有効量が治療的有効量より少なくなり得る。
なお、投与量は、その緩和を目的とする症状の重さによって変化する。任意の特定の対象者について、個々の必要性及び組成物の投与を管理または監督する者の専門的判断に応じて、特定の投与レジメンを経時的に調整することができる。本明細書で規定する用量範囲は例示的なものであり、医療従事者が選択可能な用量範囲を限定するものではない。組成物中の活性化合物の量は、対象者の病状、年齢、性別、体重などの因子によって変化し得る。投与量は、最適な治療効果が得られるように調節可能である。例えば、1回のボーラス投与や数回に分けての経時投与が可能であり、また治療状況の緊急性に応じて投与量を比例的に減量又は増量することができる。投与を容易にし、投与量を均一にするために、非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することが有利となり得る。
マレシン1は、プロテクチン、レゾルビン(DシリーズとEシリーズ)、リポキシンを含み、さらに種類が増えつつある脂肪酸由来の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の一つである。マレシン、プロテクチン、Dシリーズのレゾルビンはオメガ3脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6(n-3))の誘導体であり、Eシリーズのレゾルビンは別のオメガ3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA、20:5(n-3))の誘導体である。これに対し、リポキシンはオメガ6脂肪酸であるリノール酸(LA、18:2(n-6))から誘導される。LAはまた、炎症性メディエーター(ロイコトリエンやプロスタグランジン)を生成する。なお、マレシン1に加えて、プロテクチンとレゾルビンもまた、培養ヒト表皮メラノサイトに対して強い生存促進作用を持つが、これはリポキシンA 4には共通していない機能であり、リポキシンA 4は、メラノサイトを生理的ストレスから保護しないだけでなく、メラノサイトの枯渇を促進した。したがって、すべてのSPMがメラノサイトまたはメラノサイト前駆体を保護する能力において互換性があるわけではない。このことは、将来、色素脱失疾患または他の病状の治療のためにSPMに基づく治療法を開発する際に考慮される可能性がある。しかし、本明細書で示したように、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、レゾルビンE1はすべて、メラノサイトを保護する能力を示している。
マレシン1 (macrophage mediator in resolution of inflammation 1)は、15リポキシゲナーゼ媒介酸素化によるドコサヘキサエン酸( DHA、オメガ3脂肪酸)の小分子誘導体(分子量= 363)である。現在までに、Gタンパク質共役型受容体LGR6と核内受容体RORαの2種類の細胞内受容体が見つかっている。RORαはメラノサイトを含む複数の皮膚細胞型で発現しているが、LGR6はメラノサイトでは発現していない。
そのような塩は、皮膚の外部製剤として使用される従来の酸付加塩など、医薬分野で使用することができ、その例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩、酢酸などの有機酸から誘導される塩、グリコール酸、ステアリン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から誘導される塩が挙げられる。また塩は、アンモニウム、ジメチルアミン、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミンなどの塩基付加塩であってもよい。さらに、塩は従来の金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属に由来する塩の形態であってもよい。酸付加塩、塩基付加塩又は金属塩は、従来の方法によって製造することができる。
マレシン1(MaR1)は、オメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)から誘導されるリポキシゲナーゼ(LOX)の代謝産物であり、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)である。マレシン1は、7R、14S-ジヒドロキシ-4Z、8E、10E、12Z、16Z、19Z-ドコサヘキサエン酸(CAS#1268720-28-0)であってもよく、下記式1の構造を有していてもよい。
式1
マレシン1はまた、その薬学的に許容し得る塩の形態であってもよい。例えば、塩基付加塩又は金属塩は、マレシン1のイオン体に適当な塩基又は金属イオン等を反応させることにより調製することができる。マレシン1の薬学的に許容し得る塩は、以下の式2の構造を有することができる。
式2
式2において、Xは、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、またはカルシウムを表す。マレシン1の薬学的に許容し得る塩は、7R、14S-ジヒドロキシ-4Z、8E、10E、12Z、16Z、19Z-ドコサヘキサエン酸ナトリウムであってもよいし、7R、14S-ジヒドロキシ-、10E、12Z、16Z、19Z-ドコサヘキサエン酸カリウムであってもよい。マレシン1はまた、その溶媒和物であってもよい。
下記式3で表される13R,14S-ジヒドロキシ-4Z,7Z,9E,11E,16Z,19Z-ドコサヘキサエン酸であるマレシン2 (CAS # 1639809-46-3)もまた、検証済みSPMである。
式3
あるいは、マレシン2の薬学的に許容し得る塩は、以下の式4の構造を有することができる。
式4
下記式5で表されるリポキシンB4(CAS#98049-69-5)、5S、14R、15S-トリヒドロキシ-6E、8Z、10E、12E-エイコサテトラエン酸は、もう一つの検証済みSPMである。
式5
あるいは、リポキシンB4の薬学的に許容し得る塩は、下記式6の構造を有していてもよい。
式6
下記式7で表されるプロテクチンD1(CAS#660430-03-5)、10R、17S-ジヒドロキシ-4Z、7Z、11E、13E、15Z、19Z-ドコサヘキサエン酸は、さらに別の検証済みSPMである。
式7
あるいは、プロテクチンD1の薬学的に許容し得る塩は、下記式8の構造を有することができる。
式8
下記式9で表されるレゾルビンD2(CAS#810668-37-2)、7S、16R、17S-トリヒドロキシ-4Z、8E、10Z、12E、14E、19Z-ドコサヘキサエン酸(4Z、7S、8E、10Z、12E、14E、16R、17S、19Z)-7,16,17-トリヒドロキシドコサ-4、8、10、12、14、19-ヘキサエン酸は、さらに別の検証済みSPMである。
式9
あるいは、レゾルビンD2の薬学的に許容し得る塩は、下記式10の構造を有することができる。
式10
下記式11で表されるレゾルビンE1(CAS#552830-51-0)、5S、12R、18R-トリヒドロキシ-6Z、8E、10E、14Z、16E-エイコサペンタエン酸は、さらに別の検証済みSPMである。
式11
あるいは、レゾルビンE1の薬学的に許容し得る塩は、下記式12の構造を有することができる。
式12
本明細書で使用する「溶媒和物」とは、一つ又は複数の溶質分子、すなわち適切なSPM又はその薬学的に許容し得る塩と、一つ又は複数の溶媒分子とによって形成される複合体又は凝集体を意味する。溶媒和物は、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール又は酢酸と形成される、錯体または凝集体であってもよい。
本明細書に記載される適切なSPMは、その立体異性体であってもよい。立体異性体には、エナンチオマーやジアステレオマーなどすべての立体異性体が含まれる。化合物は、立体異性的に純粋な形態であっても、一つ又は複数の立体異性体の混合物、例えばラセミ混合物であってもよい。特定の立体異性体の分離は、当分野で知られている従来の方法のいずれかによって行うことができる。
「有効成分」とは、組成物で言及されている機能を果たすためのものであり、不純物として微量に含まれるのみで機能を果たさないものは含まない。
本明細書に記載される適切なSPMは、化学的に合成されたものであっても、市販されているものであっても、天然源から抽出されたものであってもよい。
本明細書に記載の好適なSPM組成物は、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するものであることができる。
組成物は、「治療上有効な量」の適切なSPM、または薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、又はそれらの組み合わせを含み得る。本組成物において「治療上有効な量」とは、それを必要とする対象者又は細胞に投与した場合に、十分な治療効果を示す量を意味する。「治療」とは、ヒトを含む哺乳類(個体を含む)の疾病または病状の治療を意味し、(a)疾患又は病状の発生を予防することや治癒、(b)疾患又は病状の緩和、すなわち、患者における疾患又は病状の除去又は改善、(c)疾患又は病状の抑制、すなわち、個体における疾患又は病状の進行の遅延又は停止、又は(d)対象者における疾患又は病状の緩和を含む。特に、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するものを指す。
リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーは、本明細書に記載のSPMとして、0.001重量%~80重量%、例えば0.01重量%~60重量%、0.01重量%から40重量%、0.01重量%から30重量%、0.01重量%から20重量%、0.01重量%から10重量%、0.01重量%から5重量%、0.05重量%から60重量%、0.05重量%から40重量%、0.05重量%から30重量%、0.05重量%から20重量%、0.05重量%から10重量%、0.05重量%から5重量%、0.1重量%から60重量%、0.1重量%から40重量%、0.1重量%から30重量%、0.1重量%から20重量%、0.1重量%から10重量%、または0.1重量%から5重量%の量で存在することができる。特に、外用白斑症治療薬として、0.01%のマレシン1を検証した。
薬物送達組成物は、特に治療部位にメラノサイトが含まれる様々な疾患や症状を治療又は予防するために調製し利用することができる。例えば、皮膚メラノサイト、毛髪メラノサイト、眼メラノサイト、又は耳メラノサイトに、本明細書に記載のSPMを投与して、メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進する。SPMは、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択され得る。本明細書に記載の組成物は、メラノサイトの色素脱失の予防及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失における再色素化の促進に使用することができる。治療対象となりうる疾患又は症状としては、例えば、加齢に伴う白皮症及び白毛症、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、及び白髪症が挙げられる。
材料と方法
被験者と皮膚生検:
本研究はブリティッシュ・コロンビア大学の臨床倫理委員会の承認を得ている。36名の白斑症患者(汎発型白斑症29名、分節型白斑症7名)と15名の慢性湿疹患者の病変皮膚と非病変皮膚、及び9名のボランティアの健常皮膚から、前述のように4 mmのパンチ生検を採取し(45)、トランスクリプトームシークエンシングと細胞プロファイリング実験を行った。生検を二等分し、1/2を直ちにRNA Later solution(Life LabsTM)に投入し、さらに使用するまで-20℃で保存した。残りの1/2は組織学的評価のためにホルマリンに入れた。白斑症患者の病変部、境界部、非病変部の皮膚から5 mmのパンチ生検を採取し、直ちに生理食塩水に入れて細胞を単離し(下記参照)、白斑症患者のマクロファージをフローサイトメトリーで解析した。
RNA抽出とトランスクリプトームシークエンシング:
バルクRNAは、前述したように、RNeasyTM Fibrous Tissue Mini Kitを用いて皮膚生検から抽出し(14, 46)、Novo GeneTM(Tianjin China)によるilluminaTMプラットフォーム(HiSeq PE150)を用いた転写シークエンシングに使用した。これにより各試料について少なくとも3000万のクリーンリードを生成した。各転写物の発現は、転写物の総数と転写物の長さに対して正規化し、FPKMで表した。Ingenuity Pathway AnalysisTM (IPA)を用いて、病変皮膚と非病変皮膚の間で、また白斑症患者と慢性湿疹患者の皮膚生検と対照としての健常な皮膚生検との間で発現が異なる遺伝子を、Rプログラムを用いて2倍率変化(two fold change)とp<0.05を統計的有意性のカットオフ値として解析した。
皮膚生検における細胞浸潤のin silicoプロファイリング:
Aronらによって開発されたxCellツール(47, 48) を使用して、皮膚生検における認識可能な免疫細胞の相対的変化を評価した。炎症性疾患や悪性疾患における細胞浸潤のin silico解析として頻繁に使用されつつある(49-52)この方法は、炎症や免疫応答に関与する64種類の細胞の検証済みの遺伝子発現シグネチャーに基づいており、組織生検に存在する免疫活性細胞の相対的な存在量を推定することができる。また、任意の組織における免疫反応の一般的な程度を推定するための複合スコア(ImmuneScoreTM)が生成される。
フローサイトメトリーによる、皮膚生検におけるM1及びM2マクロファージの分離と検出
ヒト白斑症皮膚からのマクロファージの分離:5 mmのパンチ生検をハサミで細かく切り、RPMI培地中で、0.8 mg/mlのコラゲナーゼIVと0.03 mg/mlのDNAse(Sigma AldrichTM)、10%のFBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含む3 mlのダイジェスションバッファーと混合した。試料は5%CO中、37℃で一晩インキュベートした後、PBSで回収し、100-μmのストレーナーで濾過し、遠心分離した。表面染色抗体パネルには、抗ヒトCD11b-Alexa Fluor 488TM, CD163-BV421TM and CD80-Alexa fluor 647TM (BiolegenTM)が含まれていた。細胞を抗体とともに4℃で30分間インキュベートし、1% FCSを含むPBSで洗浄した後、LSRIITMセルソーター(BD BiosciencesTM)を用いて解析した。
マウス皮膚からのマクロファージ分離:1cm×1cmの大きさの皮膚試料を細かく裁断し、1 mg/mlのディスパーゼ(RocheTM)を含むPBS溶液に入れ、37℃で1時間インキュベートした。次いで試料を、1 mg/mlのコラゲナーゼIVと0.1 mg/mlのDNAse(Sigma AldrichTM)を含むRPMIに移し、37℃で90分間インキュベートした。100 μmのストレーナーに通し、単一細胞懸濁液を調製した。細胞を洗浄し、1%非働化FCSを添加したCa2+とMg2+を含まないPBSで染色した。細胞表面染色パネルには、抗マウスCD163-BV421TM、CD80-Alexa fluor 647TM、and CD11b-Percp Cy5.5TM (BiolegendTM)が含まれ、4 ℃で30分間染色した。細胞をPBSで洗浄し、LSRIITMセルソーター(BD BiosciencesTM)で分析した。
TRP2免疫によるB6マウス白斑症モデル
8週齢の雌のC57BL/J6マウスをThe Jackson LaboratoryTMから取り寄せ、Animal Care Facility of Vancouver Coastal Health Research instituteの標準飼料を与えた(4匹/ケージ)。メラノサイト特異的CD8+T細胞応答を効率的に誘導するS. Youらの方法(53)を用いて、マウスを左臀部の皮内注射により免疫して(ID、0日目から開始)白斑症を誘発し、2週間で繰り返した。免疫原は、マウス1匹に対する各投与(注射)あたり、50 μLのPBS溶液にTRP2-180(50 μg)ペプチドとLPS(5 μg)及びCpG ODN 1826(5 μg)を混合したものを使用した。 免疫反応スコアは、初回免疫から48時間後に、発赤と腫脹を評価することによって記録された(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)。TRP免疫マウス及び非免疫マウスを免疫後48時間後に麻酔し、上記のように免疫部位の皮膚を採取し細胞単離に用いて、マクロファージM1およびM2集団を評価した。
C57BL/J6マウスを偽注射(200 μl生理食塩水IP、n=20)対照群とマレシン1(200 μlの生理食塩水中800ngを含むIP、n=20)注射群に無作為に割り付け、マレシン1処置の効果を評価した。すべてのマウスは初回免疫前に3回のIP前処置を受け、試験終了まで週3回IP注射を続けた。マウスを週5回モニターし、Depigmentation Area Scoring Template(0~5)を用いて評価した(図5C)。
試験終了時(35日目)、写真撮影後、マウスを安楽死させ、左臀部免疫部位の全層皮膚生検(1 cm×1 cm)を外科用バサミで採取した。試料の半分はRNA抽出のためにRNAlaterTMに保存し、もう半分は病理組織学的解析のためにOCT包埋剤に固定した。免疫組織化学とRNA単離のため、脾臓と鼠径リンパ節の組織を採取した。
B6マウス白髪症モデルと血清マレシンの定量化
8週齢のC57BL/J6マウスをJAX LabsTMから購入し、標準的な環境で8週間飼育し、加齢に伴う自然白髪化(canities)を観察した。毛色だけでなく、全体的な外見や行動も、目視と写真撮影によって毎日モニターした。6-8週までに、約20-40%のマウスに白髪が自然発生した。観察終了後、中心静脈血を採取し、メーカーの推奨プロトコルに従い、精製マレシン1を標準物質として、マレシン1ELISAキット(Caymen ChemicalsTM)を用いてELISA分析を行った。
B6マウスの白髪症発症に対するマレシン1の効果
8週齢のThe Jackson LaboratoryTM製C57BL/J6マウスを2つのグループに分け、週に3回、マレシン1(100 μlの生理食塩水に800 ng)又は生理食塩水のみの腹腔内注射を6週間行った。マウスは1週間ごとに目視で観察した。実験終了後、マウスの写真を撮り、体重を測定した。
in vitroでのメラノサイト増殖・生存アッセイ
ヒト新生児表皮メラノサイト(HEMn-DP)を、ThermoFisher ScientificTM社から購入した(C-202-5C)。メラノサイトは、完全増殖培地(Human Melanocyte Growth Supplementを添加したMedium 254:どちらもThermoFisher ScientificTM社から購入)で培養した。アッセイを実施する前に、細胞を増殖させ、3回継代させた。1ウェルあたり4x10個のメラノサイトを96ウェルプレートに播種し、処置前に4時間回復させた後、各条件につき最終容量100 μlで添加した。細胞を処理し、37℃、5%CO中で3日間保存した。CellTiter-Blue Cell Viability Assay KitTM (PromegaTM, G8080) を用いて生存アッセイを行い、37℃、5%COで4時間経過後、GlowMaxTMプレートリーダー(PromegaTM)を用いてシグナルを測定した。マレシン1(CaymanTM)をPBSで1 μg/mlに希釈し、0~1 μg/mlの範囲の濃度で培地に添加した。生存アッセイでは、メラノサイトをヒトメラノサイト増殖サプリメントを含まないM254培地で保持する以外は、基本的に増殖アッセイと同じ手順で行った。アッセイは3回実施した。
実施例1:免疫細胞ランドスケープのin silicoプロファイリングでは、白斑症の病変部の皮膚微小環境においてM2マクロファージの欠損が認められたが、白斑症非病変部皮膚又は湿疹の患部の皮膚では認められなかった。
白斑症病変部皮膚の全トランスクリプトームシークエンシングとそれに次ぐ細胞デコンボリューション解析を、白斑症非病変部皮膚、および対照として健常ボランティアと湿疹患者の皮膚生検を用いて行い、白斑病変部皮膚の微小環境に優先的に存在する細胞の変化について洞察した。xCell法で評価可能な64種類の細胞のうち、14種類の細胞が、健康な健常皮膚と比較して、白斑症皮膚生検で有意な濃縮を示した(図1A)。その中には、自然免疫に関与する細胞(単球、マクロファージ、M1マクロファージ)や適応免疫に関与する細胞(CD8+、CD4+ T細胞など)が含まれる。これらのうち、大部分(CD8+ T cm、CD8+ナイーブT、好中球、CD8+ Tem、Th2、軟骨細胞、CD4+メモリーT、GMP、マスト細胞を含む)は、白斑症病変部および白斑症非病変部の両方の皮膚で濃縮されていた(図1B)。これに対し、メラノサイト、M2マクロファージ、間葉系幹細胞(MSC)、中膜細胞、内皮細胞、ly内皮細胞、mv内皮細胞を含む7種類の細胞が、健常皮膚と比較して白斑症病変皮膚で特異的に有意な枯渇を示したが、白斑症非病変皮膚では認められなかった(図1C)。
白斑症病変皮膚で観察される細胞変化が、この免疫介在性皮膚疾患に特異的であるかどうかを理解するため、Th2免疫介在性炎症性皮膚疾患の原型である慢性湿疹患者の皮膚生検でも同様の解析を行った。図2に示すように、白斑症病変部の皮膚で濃縮された細胞は、一般に湿疹病変部の生検でも濃縮されていた。しかし、白斑症病変皮膚で枯渇した細胞は湿疹病変皮膚では枯渇しなかったことから、メラノサイトや他の細胞(M2マクロファージなど)の枯渇は白斑症皮膚病変に特異的であることが示唆された。
病変部の細胞浸潤が白斑症のサブタイプや病期と相関しているかどうかを検証するため、白斑症患者を形態学的グループ(汎発型白斑症か分節型白斑症か)又は罹病期間グループ(12ヵ月以内に発症した活動性白斑症か12ヵ月を超える比較的安定した白斑症か)に層別化した。分析対象となった36名の白斑症患者のうち、29名は汎発型白斑症で、7名は分節型白斑症であった。 分節型白斑症と汎発型白斑症の間では、ly内皮細胞とmv内皮細胞という2種類の細胞が有意な差異を示した(図9)。 これらの細胞は汎発型白斑症では減少していたが、分節型白斑症では減少していなかった。 12ヵ月以上経過した白斑症と比較すると、罹病期間の短い白斑症病変(一般的に活動性又は進行性の白斑症)では免疫スコアが非常に高く、単球、顆粒球-単球前駆細胞、樹状細胞の濃縮が顕著であり(図10)、白斑症の発生初期には高い免疫反応があることが示唆された。
実施例2:フローサイトメトリーによるヒト白斑症病変皮膚におけるM2マクロファージ分極化の欠損
白斑症病変皮膚が、in silico細胞プロファイリング解析でM2マクロファージの特異的枯渇を示し(図1、2、11)たことを受け、この発見の検証のためさらなる実験を行った。白斑症患者の病変部および非病変部の皮膚から新鮮な皮膚生検を採取し、R. Clarkらのプロトコルを用いて細胞を単離した(54, 55)(54, 55).CD80(M1マーカー)とCD163(M2マーカー)に対するモノクローナル抗体を用いて、CD11b+細胞のフローサイトメトリーを行った。図3Aに示すように、白斑症の病変皮膚(LS)では、非病変皮膚(NLS)と比較してCD163+細胞が有意に減少していた。M2マクロファージは非病変皮膚ではCD11b+細胞平均37.3%を占めていたが、病変皮膚では13%に減少した(p=0.037)。一方、M1マクロファージは逆の変化を示し、非病変皮膚と比較して白斑症の病変皮膚において濃縮されていた(p=0.0035)(図3B)。このように、白斑症病変皮膚(0.5)では、非病変皮膚(4.7, p<0.016)と比較して、M2/M1比が有意に減少しており、白斑症病変皮膚ではM2分極化が欠損していることが確認された(図3C)。
実施例3:メラノサイト特異的抗原による免疫で白斑症を発症させたB6マウスの皮膚におけるM2マクロファージ分極化の減少
M2マクロファージの枯渇が白斑症の動物モデルでも観察されるかを検証するため、メラノサイト特異的細胞傷害性CD8+T細胞によって媒介された、十分に確立されたB6白斑症マウスモデルを使用した(53, 56)。このモデルでは、LPSとCpGを含むアジュバントにおいてメラノサイト特異的抗原TRP-2をB6(黒)マウスに皮内免疫し、免疫部位に強い急性免疫反応(発赤と腫脹)を惹起しており、その後約6週間で毛髪に白い斑点(白斑症)が発生した。この現象にM2マクロファージの枯渇が関与しているかどうかを検証するため、免疫後48時間(免疫反応がピークに達する時期)に免疫部位から皮膚生検を採取し、フローサイトメトリーでM2/M1比を測定した。図4に示すように、TRP2免疫により、M2/M1比が0.44から0.21に減少し、M2分極化が有意に減少した。
実施例4:B6マウスへのマレシン1による処置によって、白斑症誘発時に、皮膚のM2マクロファージの分極化が促進され、メラノサイトの枯渇が抑制された。
M2マクロファージは、強力な可溶性機能性メディエーターであるマレシン1を分泌することが知られており、このメディエーターはM2マクロファージの多様な機能を仲介するだけでなく、自己分泌フィードバックループでのM2マクロファージの分極を刺激する(37)。B6マウス白斑症モデルにおいて、M2マクロファージの枯渇がメラノサイトの枯渇に寄与しているかを検証するため、TRP2免疫の前にマウスをマレシン1IPで前処理した。図4に示すように、マレシン1の投与はTRP2免疫部位のM2マクロファージを劇的に濃縮させ、免疫後のM2/M1比を免疫前の状態以上のレベルにまで回復させた。
免疫後、マウスはマレシン1又は生理食塩水のIP投与を週3回、8週間続けた(図5A)。マウスの免疫部位に白斑が発生していないかどうか、目視と写真撮影によって毎週観察が行われた(図5B)。視覚スコアリング・テンプレート(図5C)を使用し、観察時間に応じて各群の色素脱失スコアの平均値をプロットし、白斑症の重症度を定量化した。マレシン1投与群では、偽薬投与マウスと比較して白斑症の発生が有意に抑制された(図5D)。
実施例5:メラノサイト枯渇に対するマレシン1の阻害効果は、免疫消失作用と相関していた。
マレシン1には炎症と免疫反応に対する強い収束作用があることから、マレシン1を投与したマウスの免疫反応のピークと色素脱失のレベルとの相関を評価した。図5Eに示すように、マレシン1投与は免疫応答を有意に低下させた。さらに、免疫反応スコアと白斑症色素脱失面積スコアとの間には有意な相関があった(図5F、p<0.0001)。このことから、マレシン1には白斑症阻害作用があり、その作用の一部は、TRP-2ペプチドによる免疫によって誘導されるメラノサイト特異的免疫反応を抑制し、消失させる能力に起因している可能性が示唆される。
実施例6:白髪症モデルとしてのB6マウス
マレシン1が免疫に依存しないメラノサイトの枯渇も抑制できるかどうかを評価するため、B6マウスの白髪症モデルを用いた追加研究を行った。白髪症は、人間や他の哺乳類が年齢を重ねるにつれて発症する自然現象である。最近の研究では、マウスにおける白髪症の発生は免疫活性化の結果ではなく、加齢に伴うメラノサイト幹細胞の疲弊によるメラノサイトの減少の結果であることが示された(57, 58)。B6黒色マウスを用いた我々の白斑症研究では、非免疫化B6マウスは生後約3ヶ月から自然に白髪症を発症し、約30%のマウスに、正常な色素を持つ黒色毛と混在した白色毛が、毛に覆われた皮膚全体に拡散している様子が散見された。また、白髪症の発症と、バーバリングを行う攻撃的なマウスとケージを共有することによる精神的ストレスの経験との間には有意な関連があり(図12)、免疫の活性化よりもむしろ交感神経の過活動が早発白髪症を引き起こすという以前の観察と一致していた(57, 58)
実施例7:B6マウスにおける白髪症の発症とM2マクロファージの機能低下との相関
B6白斑症マウスでの免疫によって誘導されたメラノサイトの枯渇による白髪の発生は、M2マクロファージの分極化の抑制と相関していたことから、白髪症における免疫非介在性のメラノサイトの枯渇も、M2マクロファージの機能低下と相関している可能性が疑われた。これを検証するため、マレシン1が主にM2マクロファージによって産生されることから、血清マレシン1をM2マクロファージの代理マーカーとして測定した(36, 37)。図6Aおよび6Bに示すように、白髪症を発症したマウスでは、白髪症のない同年齢同性B6マウスと比較して、マレシン1の血清濃度が有意に低かった(p=0.026)。
実施例8:マレシン1によるM2マクロファージの機能増強による白髪症の発生の抑制とB6マウスの加齢に伴う体重増加の抑制
B6マウスを2群に分け(図6C)、一方には800 ngのマレシン1を週3回、8週間IP注射し、マレシン1の減少が白髪症の発症に寄与するかどうかを調べた。もう一方のグループは生理食塩水をIP注射で投与した。マウスは毎週、目視と写真撮影によって毛色、一般的な外見、行動を記録し、体重測定によって加齢に伴う体重増加を評価した。図4Dに示すように、マレシン1投与はB6マウスの皮膚でM2マクロファージを有意に濃縮し、M2/M1比を0.44から5.34に増加させた。マレシン1を投与したマウスは、生理食塩水を投与した対照マウスと比較して、加齢に伴う体重増加が有意に低く(体重増加14.2%対体重増加17.7%、p=0.0423)、より健康的な体重を維持した(図6E)ことから、マレシン1はB6マウスにおいて、包括的な抗加齢効果を有する可能性が示唆された。さらに、図6Fに示すように、生理食塩水を投与した対照群では、15週齢までに15%のマウスが白髪症を発症した。マレシン1投与群では、白髪症の発症は完全に防止された(p<0.0125、Log Rank Test)。
実施例9:マレシン1は、in vitroで、生理的ストレスによる培養表皮メラノサイトの枯渇を防ぐ。
マレシン1投与によって、なぜ白斑症や白髪症におけるメラノサイトの枯渇が防止できるのかは解明されていない。理論的には、この効果は、メラノサイトに対する免疫介在性細胞傷害性を抑制するなどの間接的な効果、あるいはメラノサイトまたはメラノサイト前駆体/幹細胞に対する直接的な保護効果によるものと考えられる。マレシン1による白斑症色素脱失効果の減少は、TRP2免疫によって引き起こされる免疫反応を減少させるマレシン1の機能と密接な相関がある事が示されたため、白斑症におけるメラノサイトの枯渇を防ぐためにマレシン1が用いるメカニズムの少なくとも一部が免疫消失である可能性が示唆された。しかし、マレシン1は、白髪症における幹細胞の疲弊によって引き起こされる免疫非依存的なメラノサイトの枯渇も防ぐことができるため、マレシン1がメラノサイトまたはその前駆体に対して直接的な保護的役割も持っている可能性が示唆された。
この可能性を検証するために、新生児の包皮から単離した初代ヒト表皮メラノサイト(および前駆体)を培養した。通常の培養条件下では、増殖あるいは培養中の増殖前駆体からの分化の結果、メラノサイトの数は増加する。しかし、生理的ストレス(培養液中の増殖因子の除去)下では、培養3日後に生存メラノサイトが著しく減少する。図7に示すように、マレシン1投与はメラノサイトに対して有意な保護効果を示し、増殖因子の除去によるメラノサイトの枯渇を顕著に減少させた。アッセイでは免疫細胞は存在しなかったので、メラノサイトに対するマレシン1の抗枯渇作用は、免疫消失作用とは無関係であると思われる。その代わりに、マレシン1はメラノサイト又はその前駆体に直接作用して、増殖因子の除去によるメラノサイトの枯渇を防いでいる可能性が高い。
実施例10:その他の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)によるメラノサイト保護作用
マレシン1は、さらに種類が増えつつあるSPMの一つであり、免疫反応や炎症を収束することができる脂質由来のメディエーターである。SPMには、マレシン、プロテクチン、レゾルビン(EおよびDシリーズ)、リポキシンの4つの主なグループがある。メラノサイトに対するマレシン1の保護作用が他のSPMにも存在するかどうかを検証するため、様々なSPM群(すなわち、マレシン1、マレシン2、リポキシンA4、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、およびレゾルビンE1)を代表するメディエーターを用いて、in vitroでメラノサイトの増殖および生存アッセイを行った。図8に示すように、リポキシンA4だけを除いて、ほとんどの種のSPMは、in vitroにおいて、強力な濃度依存的生存促進作用をメラノサイトに対して直接的に示した。リポキシンA4はメラノサイトに対して生存促進作用を示さないだけでなく、濃度非依存的にメラノサイトの生存を有意に低下させた(図8)。
実施例11:外用マレシン1の局所的抗炎症療法に抵抗性のある白斑に対する再色素化誘導
38歳のアジア人男性において右手背側に2つの白い斑点と右中腹部に1つの白い斑がある5年3ヵ月の既往歴を持つ症例に、外用マレシン1を投与した。白い斑点は5年前の初夏に初めて見られたが、今までその大きさに大きな変化はなかった。発赤や鱗屑などの炎症徴候は見られなかった。かゆみや痛みなどの症状もなかった。この患者は、過去12ヵ月間、腹部の斑にはモメタゾンフマル酸塩0.1%クリームBIDを、右手の2つの斑点にはクロベタゾール0.05%クリームODを外用していたが、白い部分の大きさに変化はなかった。
患者は、甲状腺疾患、皮膚狼瘡、その他の慢性炎症性疾患の既往歴や診断はなく、健康であった。また、ベンゼンやフェノールなどの化学物質への暴露や、ハイドロキノンやハイドロキノンのモノベンゾエーテルなどの既知の皮膚色素脱失薬の使用も報告されていない。
診察において、被験者は健常であるとみなされた。包括的な皮膚検査を行った。色素脱失のある3つの病変を除けば、皮膚全体は正常であった。(1)右中腹部に1.5X1.2cmの白色斑点、(2)右第3中手骨頭背部に1.3X1.0cmの白色斑点、(3)右第4中手骨頭背部に1.0X0.8cmの白色斑。
標準的な抗炎症薬を12ヵ月間使用したが効果が見られなかったため、被験者は他の治療法を探しており、0.01%マレシン1を含むエタノール溶液の1日2回の使用を試みた。被験者に刺激、かゆみ、発赤などの有害事象は見られなかった。3ヵ月後までには、著しい再色素化が末梢縁から始まり、次第に中心の方までにも認められた。色素脱失した3病変の面積は11.7%減少した(3病変それぞれで、13.6%、10.5%、11.1%)。
考察
入手可能な文献によると、白斑症と白髪症は、メラニン色素の消失が共通しているにもかかわらず、発症メカニズムにおいて大きく異なっている。白斑症におけるメラノサイトの枯渇は、主に毛包と表皮の分化したメラノサイトの免疫破壊によって媒介されるが、白髪症におけるメラノサイトの枯渇は、免疫反応とは無関係にメラノサイト幹細胞の疲弊の結果である。これらの結果は、これまで知られていなかった共通のメカニズムが、白斑症と同様に白髪症でも(M2マクロファージ又はその機能的メディエーターであるマレシン1、あるいは他の適切なSPMの欠乏によって)メラノサイトの枯渇に寄与していることを示唆している。
上記の結果は、機能的メディエーターであるマレシン1または他の適切なSPMの産生を通して、メラノサイトに対する免疫介在性攻撃を抑制し、またメラノサイト又はその前駆体の生存を直接促進することにより、M2マクロファージがメラノサイトの恒常性ニッチを維持することが必要であることを示した。M2マクロファージの機能は、2つの相補的なメカニズムによってメラノサイトの恒常性を維持し得る。その一つは、マレシン1あるいは他の適切なSPMの炎症収束機能が、メラノサイトとその前駆体にとって正常な微小環境において免疫細胞傷害性を低く保つことである。二つ目は、メラノサイト又はその前駆体に対してマレシン1又は他の適切なSPMが生存促進機能を与えることで、自然老化、又は交感神経の過活性化や増殖因子の除去によって引き起こされるストレスによるメラノサイトの死を減らすことである。これに対して、M2機能の欠損により、恒常性ニッチはメラノサイトにとって不利なものとなり、免疫細胞傷害性が抑制されず、メラノサイトの保護が不十分となるため、メラノサイトが枯渇する。恒常的な環境は、外因性のM2マクロファージ機能メディエーターであるマレシン1を補充することによって調節できるという点が重要である。マレシン1がTRP2によって誘導されるメラノサイトに対する免疫細胞傷害性を減弱させ(図5A)、免疫活性化下で皮膚常在性のM2分極化を増加させ(図4)、白斑症マウスモデルにおける免疫介在性のメラノサイト破壊を減少させ(図5)、白髪症マウスモデルにおける免疫非介在性のメラノサイト枯渇を防ぎ(図6)、in vitroにおける増殖因子飢餓による死からメラノサイトを保護する(図7)ことが実験により示された。
M2マクロファージが成人の幹細胞ニッチの組織恒常性に関与しているという実験的証拠が増えつつあり(59)、脂肪組織では、M2様マクロファージが脂肪細胞前駆体に必要なニッチを形成しているという報告もある(60、61)。メラノサイト幹細胞の疲弊が白髪症発症の主なメカニズムであることを考えると(26)(27)、白髪症マウスにおけるM2マクロファージ機能の低下(マレシン1血清濃度の低下)(図6B)、及びマレシン1投与による白髪症発症予防(図6DおよびF)の観察結果は、M2マクロファージもメラノサイトの恒常性維持に必要であることを強く示唆している。
以前の研究では、メラノサイトの恒常性は幹細胞プールの維持に依存しており、幹細胞の喪失は毛包の老化につながることが示されていた(62)。毛包内の幹細胞が必要とするニッチの維持には、Col17a1(62)、wnt/b-カテニンシグナリング(63)、SCF/kitシグナリング(64, 65)、酸化ストレスの抑制(66)、CXCL12(67)などの分子シグナル伝達のネットワークが関与している。結果として、メラノサイトの恒常性ニッチ維持に必要なシグナル伝達ネットワークのパズルに、M2マクロファージがもう一つの重要なピースとして加えられた。
B Zhangらによるマウスモデルでの研究では、精神的ストレスによって誘発される交感神経シグナル伝達の亢進がメラノサイト幹細胞の疲弊を招き、その結果、免疫反応とは無関係に毛包内のメラノサイトが枯渇することが示された(26)。実験結果から、攻撃的な同居マウスと同じケージに収容されたマウスは、白髪症の発生率が非常に高かったことから、精神的ストレスと白髪症の発生との間に強い関連があることが確認された(図12)。さらに精神的ストレスによって誘発されるメラノサイト幹細胞の疲弊が、マレシン1投与によって予防できることも示された(図6)。したがって、M2マクロファージの生理的機能の範囲が、心理的あるいは精神的ストレスに対する防御にまで拡張された。
マレシン1や他のSPMがどのようにメラノサイトの恒常性を維持し、免疫依存的あるいは免疫非依存的な原因によるメラノサイトの枯渇を防いでいるのかは、現時点では解明されていない。これまでの研究では、マレシン1が、メラノサイト幹細胞ニッチの障害と同様に白斑症の病因に重要なかかわりを持つとされる酸化ストレスを阻害することが示されている。マレシン1あるいは他の適切なSPMは、酸化ストレスを防止することによってメラノサイトの枯渇を阻害している可能性がある。単離されたヒト表皮メラノサイトのin vitro培養において、マレシン1が、増殖補助剤の除去による生理的ストレスによって誘発されたメラノサイトの枯渇に対する抵抗性を有意に増加させており、マレシン1または他の適切なSPMが、メラノサイト又はその前駆体に直接作用して、その生存を促進できることが示唆されている。この効果のメカニズムは現時点では解明されていない。
マレシン1 (macrophage mediator in resolution of inflammation 1)は、15リポキシゲナーゼ媒介酸素化によるドコサヘキサエン酸( DHA、オメガ3脂肪酸)の小分子誘導体(分子量= 363)である。特異的炎症収束性メディエーター (SPM)(68,69)のひとつであるマレシン1は、炎症の解消、創傷治癒、組織再生におけるM2マクロファージの機能を仲介する(36)。現在までに、Gタンパク質共役型受容体LGR6と核内受容体RORαの2種類の細胞内受容体が見つかっている。RORαはメラノサイトを含む複数の皮膚細胞型で発現しているが、LGR6はメラノサイトでは発現していない。マレシン1や他の適切なSPMの、メラノサイトの刺激や保護におけるメカニズムを調べるためには、さらなる研究が必要である。
上記結果では、自己反応性CD8+T細胞(11-13)、常在メモリーT細胞(25)、NK細胞(46)によるメラノサイト破壊では充分説明しきれなかった白斑症の臨床的特徴についての説明を示した。これらデータは、シクロスポリン、メトトレキサート、皮質ステロイドなどの免疫抑制剤が、特に手、足、生殖器などの確立した白斑症病変部でのメラノサイト復活に一般的に効果がない理由が、白斑症病変部微小環境におけるメラノサイトの恒常性に対する増殖補助の欠如である可能性を示唆している。
マレシン1は免疫反応を抑制するだけでなく、メラノサイト又はその前駆体を直接刺激することができ、そのためマレシン1(または他のM2アゴニスト)に基づく治療法は、白斑症の治療において、特に免疫抑制療法に反応しない病変に対して、従来の免疫抑制に基づく治療法に対して優位性を持つ可能性がある。白斑症のほかにも、白髪症、化学的白皮症、加齢に伴う白皮症など、メラノサイトの消失を伴ういくつかの疾患がある。上記の結果は、マレシン1や他の適切なSPM分子が、これらの症状も治療できる可能性を示唆している。
白斑症や白髪症におけるM2欠乏のメカニズムについては、さらなる研究が必要である。加齢に伴う、骨格筋でのマレシン1産生の減少が発見されている(70)。したがって、白髪症におけるマレシン1の減少という観察結果は、マレシン1の産生低下(およびM2機能全般の低下)と生理的老化との関連性をより強く示し、マレシン1およびその関連分子が、白髪症やその他の生理的老化症状の治療法となる可能性を提起するものである。実際、マレシン1を投与したB6マウスでは、白髪症形成減少だけでなく、加齢に伴う体重増加の減少も観察されたことから、マレシン1がマウスにとってより包括的な抗老化効果を持つ可能性が示唆された。心血管系、神経系や認知の機能など、老化の他の側面に対するマレシン1の効果可能性を評価するためには、さらなる実験が必要である。
マレシン1は、プロテクチン、レゾルビン(DシリーズとEシリーズ)、リポキシンを含み、さらに種類が増えつつある脂肪酸由来の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の一つである。マレシン、プロテクチン、Dシリーズのレゾルビンはオメガ3脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6(n-3))の誘導体であり、Eシリーズのレゾルビンは別のオメガ3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA、20:5(n-3))の誘導体である。これに対し、リポキシンはオメガ6脂肪酸であるリノール酸(LA、18:2(n-6))から誘導される。LAはまた、炎症促進性メディエーター(ロイコトリエンやプロスタグランジン)を生成する。なお、マレシン1に加えて、プロテクチンとレゾルビンもまた、培養ヒト表皮メラノサイトに対して強い生存促進作用を持つが、これはリポキシンA 4には共通していない機能であり、リポキシンA 4は、メラノサイトを生理的ストレスから保護しないだけでなく、メラノサイトの枯渇を促進した。したがって、すべてのSPMがメラノサイトまたはメラノサイト前駆体を保護する能力において互換性があるわけではない。このことは、将来、色素脱失疾患または他の病状の治療のためにSPMに基づく治療法を開発する際に考慮される可能性がある。しかし、本明細書で示したように、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、レゾルビンE1はすべて、メラノサイトを保護する能力を示している。
本研究はまた、これまで報告されていなかった、白斑症病変皮膚における間葉系幹細胞(MSC)と複数種類の内皮細胞の減少を明らかにした(図1および2)。皮膚MSCは、組織の恒常性に関与する特殊な線維芽細胞様細胞である。これらは、マクロファージの分極化を制御することによって中枢神経系の微小環境を維持し(71)、ニューロレグリン(72)のような生存促進メディエーターを分泌し、白斑症の皮膚へのT細胞のホーミングを阻害することができる(73)。さらに、これらは、メラノサイトを含む他の種類の皮膚細胞を生み出す前駆細胞としても機能する(74)。分節型白斑症病変では血管新生が亢進しているという以前の報告を鑑みれば、汎発型白斑症病変ではそのような増加は観察されていなかったとしても、汎発型白斑症病変で内皮細胞が減少しているという発見は驚くべきものである(75)。 MSCと内皮細胞で観察された変化の病原性意義を理解するためには、さらなる研究が必要である。
本明細書には、本発明の様々な実施形態が開示されているが、当業者の一般的な知識に従って、本発明の範囲内で多くの適応や変形を行うことができる。このような変形例は、発明の任意の態様に対する既知の等価の置換によって、実質的に同じ方法において同じ結果を達成することを含む。数値範囲には、その範囲を定義する数値も含まれる。本明細書において、”comprising ”という用語は、”including, but not limited to ”というフレーズと実質的に等価な、オープンエンドな用語として使用され、”comprises ”も、これに倣った意味を有する。本明細書において、単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の参照語を含む。従って、例えば、「あるもの」への言及は、そのものの複数を含む。本明細書における参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明の実施形態に対する先行技術であることを認めるものではない。本発明は、本明細書において実施例及び図面を参照して説明したすべての実施形態及び変形例を実質的に含む。
参考文献
1. Alikhan A, Felsten LM, Daly M, Petronic-Rosic V.Vitiligo: a comprehensive overview Part I. Introduction, epidemiology, quality of life, diagnosis, differential diagnosis, associations, histopathology, etiology, and work-up.(仮訳「白斑症:包括的概説 第I部 序論、疫学、QOL、診断、鑑別診断、関連、病理組織学、病因、およびワークアップ」)J Am Acad Dermatol. 2011; 65(3): 473-91.
2. Linthorst Homan MW, Sprangers MA, de Korte J, Bos JD, van der Veen JP.Characteristics of patients with universal vitiligo and health-related quality of life.(仮訳「汎発性白斑症患者の特性と健康関連QOL」)Arch Dermatol. 2008; 144(8): 1062-4.
3. Linthorst Homan MW, Spuls PI, de Korte J, Bos JD, Sprangers MA, van der Veen JP.The burden of vitiligo: patient characteristics associated with quality of life.(仮訳「白斑症の負担:QOLに関連する患者の特性」)J Am Acad Dermatol. 2009; 61(3): 411-20.
4. Mattoo SK, Handa S, Kaur I, Gupta N, Malhotra R.Psychiatric morbidity in vitiligo and psoriasis: a comparative study from India.(仮訳「白斑症と乾癬における精神医学的罹患率:インドにおける比較研究」)J Dermatol. 2001; 28(8): 424-32.
5. Ongenae K, Beelaert L, van Geel N, Naeyaert JM.Psychosocial effects of vitiligo.(仮訳「白斑症の心理社会的影響」)J Eur Acad Dermatol Venereol. 2006; 20(1): 1-8.
6. Picardo M, Dell'Anna ML, Ezzedine K, Hamzavi I, Harris JE, Parsad D, et al.Vitiligo.(仮訳「白斑症」)Nat Rev Dis Primers. 2015; 1: 15011.
7. Ezzedine K, Lim HW, Suzuki T, Katayama I, Hamzavi I, Lan CC, et al.Revised classification/nomenclature of vitiligo and related issues: the Vitiligo Global Issues Consensus Conference.(仮訳「白斑症の分類/命名法の改訂と関連問題:白斑症国際問題コンセンサス会議」)Pigment Cell Melanoma Res. 2012; 25(3): E1-13.
8. Tang XF, Zhang Z, Hu DY, Xu AE, Zhou HS, Sun LD, et al.Association analyses identify three susceptibility Loci for vitiligo in the Chinese Han population.(仮訳「関連解析により、中国漢民族集団における白斑症の三つの感受性遺伝子座を同定」)J Invest Dermatol. 2013; 133(2): 403-10.
9. Quan C, Ren YQ, Xiang LH, Sun LD, Xu AE, Gao XH, et al.Genome-wide association study for vitiligo identifies susceptibility loci at 6q27 and the MHC.(仮訳「白斑症のゲノムワイド関連研究により、6q27とMHCに感受性遺伝子座を同定」)Nat Genet. 2010; 42(7): 614-8.
10. Ren Y, Yang S, Xu S, Gao M, Huang W, Gao T, et al.Genetic variation of promoter sequence modulates XBP1 expression and genetic risk for vitiligo.(仮訳「プロモーター配列の遺伝的変異による、XBP1の発現と白斑症の遺伝的リスクの調節」)PLoS Genet. 2009; 5(6): e1000523.
11. Ryan GE, Harris JE, Richmond JM.Resident Memory T Cells in Autoimmune Skin Diseases.(仮訳「自己免疫性皮膚疾患における常在メモリーT細胞」)Front Immunol. 2021; 12: 652191.
12. Katz EL, Harris JE.Translational Research in Vitiligo.(仮訳「白斑症のトランスレーショナル・リサーチ」)Front Immunol. 2021; 12: 624517.
13. Frisoli ML, Essien K, Harris JE.Vitiligo: Mechanisms of Pathogenesis and Treatment.(仮訳「白斑症:発症と治療のメカニズム」)Annu Rev Immunol. 2020; 38: 621-48.
14. Yu R, Huang Y, Zhang X, Zhou Y.Potential role of neurogenic inflammatory factors in the pathogenesis of vitiligo.(仮訳「白斑症発症における神経原性炎症因子の潜在的役割」」)J Cutan Med Surg. 2012; 16(4): 230-44.
15. Chang HC, Sung CW.Efficacy of combination therapy of narrowband-ultraviolet B phototherapy or excimer laser with topical tacrolimus for vitiligo: An updated systematic review and meta-analysis.(仮訳「白斑症に対するナローバンド紫外線B光線療法またはエキシマレーザーとタクロリムス外用との併用療法の有効性:最新の系統的レビューとメタアナリシス」)Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2020.
16. Gauthier Y, Almasi-Nasrabadi M, Cario-Andre M, Pain C, Rakhshan A, Ghalamkarpour F.Tacrolimus (FK506) ointment combined with Nb-UVB could activate both hair follicle (HF) and dermal melanocyte precursors in vitiligo: the first histopathological and clinical study.(仮訳「白斑症における毛包(HF)と真皮のメラノサイト前駆体の両方を活性化しうるタクロリムス(FK506)軟膏とNb-UVBとの併用:初めての病理組織学的および臨床的研究」)Arch Dermatol Res. 2020.
17. Arora CJ, Rafiq M, Shumack S, Gupta M.The efficacy and safety of tacrolimus as mono- and adjunctive therapy for vitiligo: A systematic review of randomised clinical trials.(仮訳「白斑症に対するタクロリムスの単独療法および併用療法としての有効性と安全性:無作為化臨床試験の系統的レビュー」)Australas J Dermatol. 2020; 61(1): e1-e9.
18. Satyanarayan HS, Kanwar AJ, Parsad D, Vinay K.Efficacy and tolerability of combined treatment with NB-UVB and topical tacrolimus versus NB-UVB alone in patients with vitiligo vulgaris: a randomized intra-individual open comparative trial.(仮訳「尋常性白斑症患者におけるNB-UVBとタクロリムス外用薬の併用療法とNB-UVB単独療法の有効性と忍容性:無作為化個人内オープン比較試験」)Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2013; 79(4): 525-7.
19. Nordal EJ, Guleng GE, Ronnevig JR.Treatment of vitiligo with narrowband-UVB (TL01) combined with tacrolimus ointment (0.1%) vs. placebo ointment, a randomized right/left double-blind comparative study.(仮訳「ナローバンドUVB(TL01)とタクロリムス軟膏(0.1%)の併用による白斑症の治療とプラセボ軟膏の比較、無作為化左右二重盲検比較試験」)J Eur Acad Dermatol Venereol. 2011; 25(12): 1440-3.
20. Hossani-Madani AR, Halder RM.Topical treatment and combination approaches for vitiligo: new insights, new developments.(仮訳「白斑症に対する局所治療と併用療法:新たな洞察、新たな展開」)G Ital Dermatol Venereol. 2010; 145(1): 57-78.
21. Esfandiarpour I, Ekhlasi A, Farajzadeh S, Shamsadini S.The efficacy of pimecrolimus 1% cream plus narrow-band ultraviolet B in the treatment of vitiligo: a double-blind, placebo-controlled clinical trial.(仮訳「白斑症治療におけるピメクロリムス1%クリームとナローバンド紫外線Bの有効性:二重盲検プラセボ対照臨床試験」)J Dermatolog Treat. 2009; 20(1): 14-8.
22. Fai D, Cassano N, Vena GA.Narrow-band UVB phototherapy combined with tacrolimus ointment in vitiligo: a review of 110 patients.(仮訳「白斑症に対するタクロリムス軟膏を併用した狭帯域UVB光線療法:患者110人での検討」)J Eur Acad Dermatol Venereol. 2007; 21(7): 916-20.
23. Hamzavi I, Jain H, McLean D, Shapiro J, Zeng H, Lui H.Parametric modeling of narrowband UV-B phototherapy for vitiligo using a novel quantitative tool: the Vitiligo Area Scoring Index.(仮訳「白斑症に対するナローバンドUV-B光線療法のパラメトリックモデリングを、新しい定量的ツール:白斑症面積スコアリング指標」)Arch Dermatol. 2004; 140(6): 677-83.
24. Craiglow BG, King BA.Tofacitinib Citrate for the Treatment of Vitiligo: A Pathogenesis-Directed Therapy.(仮訳「白斑症治療にクエン酸トファシチニブ:発症に基づいた治療法。」)JAMA Dermatol. 2015; 151(10): 1110-2.
25. Richmond JM, Strassner JP, Zapata L, Jr., Garg M, Riding RL, Refat MA, et al.Antibody blockade of IL-15 signaling has the potential to durably reverse vitiligo.(仮訳「白斑症を持続的に回復させ得るIL-15シグナル伝達の抗体遮断」)Sci Transl Med. 2018; 10(450).
26. Zhang B, Ma S, Rachmin I, He M, Baral P, Choi S, et al.Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells.(仮訳「メラノサイト幹細胞の枯渇を促す交感神経の過剰活性化」)Nature. 2020; 577(7792): 676-81.
27. Huang S, Rompolas P. The Psychology of Gray Hair.The Psychology of Gray Hair.(仮訳:白髪の心理学)Dev Cell.2020; 52(5): 548-9.
28. Smith J.Vitiligo with Grey Hair.(仮訳「白髪混じりの白斑症」)Proc R Soc Med. 1933; 26(8): 1019.
29. Ezzedine K, Le Thuaut A, Jouary T, Ballanger F, Taieb A, Bastuji-Garin S.Latent class analysis of a series of 717 patients with vitiligo allows the identification of two clinical subtypes.(仮訳「717人の白斑症患者を対象とした潜在クラス分析により二つの臨床的サブタイプを同定」)Pigment Cell Melanoma Res. 2014; 27(1): 134-9.
30. Ezzedine K, Diallo A, Leaute-Labreze C, Seneschal J, Boniface K, Cario-Andre M, et al.Pre- vs. post-pubertal onset of vitiligo: multivariate analysis indicates atopic diathesis association in pre-pubertal onset vitiligo.(仮訳「思春期前発症と思春期後発症の白斑症:多変量解析により、思春期前発症の白斑症におけるアトピー性皮膚炎との関連を示唆」)Br J Dermatol. 2012; 167(3): 490-5.
31. Cucchi ML, Frattini P, Santagostino G, Preda S, Orecchia G.Catecholamines increase in the urine of non-segmental vitiligo especially during its active phase.(仮訳「非分節型白斑症の尿中、特に活動期に増加するカテコールアミン」)Pigment Cell Res. 2003; 16(2): 111-6.
32. Tanita K, Fujimura T, Sato Y, Lyu C, Kambayashi Y, Ogata D, et al.Bexarotene Reduces Production of CCL22 From Tumor-Associated Macrophages in Cutaneous T-Cell Lymphoma.(仮訳「皮膚T細胞リンパ腫における腫瘍関連マクロファージからのCCL22産生を減少させるベキサロテン」)Front Oncol. 2019; 9: 907.
33. Wu X, Hsu DK, Wang KH, Huang Y, Mendoza L, Zhou Y, et al.IL-10 is overexpressed in human cutaneous T-cell lymphoma and is required for maximal tumor growth in a mouse model.(仮訳「ヒト皮膚T細胞リンパ腫で過剰発現しており、マウスモデルでは腫瘍の最大増殖に必要なIL-10」)Leuk Lymphoma. 2019; 60(5): 1244-52.
34. Wu X, Schulte BC, Zhou Y, Haribhai D, Mackinnon AC, Plaza JA, et al.Depletion of M2-like tumor-associated macrophages delays cutaneous T-cell lymphoma development in vivo.(仮訳「体内での皮膚T細胞リンパ腫の発症を遅らせるM2状腫瘍関連マクロファージの枯渇」)J Invest Dermatol. 2014; 134(11): 2814-22.
35. Sugaya M, Miyagaki T, Ohmatsu H, Suga H, Kai H, Kamata M, et al.Association of the numbers of CD163(+) cells in lesional skin and serum levels of soluble CD163 with disease progression of cutaneous T cell lymphoma.(仮訳「病変部の皮膚におけるCD163(+)細胞数および血清可溶性CD163レベルと皮膚T細胞リンパ腫の疾患進行との関連」)J Dermatol Sci. 2012; 68(1): 45-51.
36. Serhan CN, Dalli J, Karamnov S, Choi A, Park CK, Xu ZZ, et al.Macrophage proresolving mediator maresin 1 stimulates tissue regeneration and controls pain.(仮訳「組織再生を刺激し、痛みを制御するマクロファージの再生促進メディエーターであるマレシン1」)FASEB J. 2012; 26(4): 1755-65.
37. Serhan CN, Yang R, Martinod K, Kasuga K, Pillai PS, Porter TF, et al.Maresins: novel macrophage mediators with potent antiinflammatory and proresolving actions.(仮訳「マレシン:強力な抗炎症作用と抗解消作用を持つ新規マクロファージメディエーター」)J Exp Med. 2009; 206(1): 15-23.
38. Wang CW, Yu SH, Fretwurst T, Larsson L, Sugai JV, Oh J, et al.Maresin 1 Promotes Wound Healing and Socket Bone Regeneration for Alveolar Ridge Preservation.(仮訳「創傷治癒と歯槽堤の保存のためのソケット骨再生を促進するマレシン1」)J Dent Res. 2020; 99(8): 930-7.
39. Hwang SM, Chung G, Kim YH, Park CK.The Role of Maresins in Inflammatory Pain: Function of Macrophages in Wound Regeneration.(仮訳「炎症性疼痛におけるマレシンの役割:創傷再生におけるマクロファージの機能。」)Int J Mol Sci. 2019; 20(23).
40. Gao J, Tang C, Tai LW, Ouyang Y, Li N, Hu Z, et al.Pro-resolving mediator maresin 1 ameliorates pain hypersensitivity in a rat spinal nerve ligation model of neuropathic pain.(仮訳「ラットの脊髄神経結紮モデルにおける神経障害性疼痛の疼痛過敏性を改善するプロレゾルビングメディエーターであるマレシン1」)J Pain Res. 2018; 11: 1511-9.
41. Albuquerque-Souza E, Schulte F, Chen T, Hardt M, Hasturk H, Van Dyke TE, et al.Maresin-1 and Resolvin E1 Promote Regenerative Properties of Periodontal Ligament Stem Cells Under Inflammatory Conditions.(仮訳「炎症条件下で歯根膜幹細胞の再生特性を促進するマレシン1とレゾルビンE1」)Front Immunol. 2020; 11: 585530.
42. Dalli J, Vlasakov I, Riley IR, Rodriguez AR, Spur BW, Petasis NA, et al.Maresin conjugates in tissue regeneration biosynthesis enzymes in human macrophages.(仮訳「ヒトマクロファージにおける組織再生生合成酵素中のマレシン結合体」)Proc Natl Acad Sci U S A. 2016; 113(43): 12232-7.
43. Le Poole IC, van den Wijngaard RM, Westerhof W, Das PK.Presence of T cells and macrophages in inflammatory vitiligo skin parallels melanocyte disappearance.(仮訳「メラノサイトの消失と並行する炎症性白斑症皮膚におけるT細胞とマクロファージの存在」)Am J Pathol. 1996; 148(4): 1219-28.
44. Oiso N, Tanemura A, Kotobuki Y, Kimura M, Katayama I, Kawada A.Role of macrophage infiltration in successful repigmentation in a new periphery-spreading vitiligo lesion in a male Japanese patient.(仮訳「日本人男性の患者に発生した新しい周辺に広がる白斑症病変部の再色素化におけるマクロファージ浸潤の役割」)J Dermatol. 2013; 40(11): 915-8.
45. Yang Q, Zhang G, Su M, Leung G, Lui H, Zhou P, et al.Vitiligo Skin Biomarkers Associated With Favorable Therapeutic Response.(仮訳「良好な治療反応に関連する白斑症皮膚のバイオマーカー」)Front Immunol. 2021; 12: 613031.
46. Yu R, Broady R, Huang Y, Wang Y, Yu J, Gao M, et al.Transcriptome analysis reveals markers of aberrantly activated innate immunity in vitiligo lesional and non-lesional skin.(仮訳「トランスクリプトーム解析により、明らかにされた白斑症病変部の皮膚と非病変部の皮膚における異常活性化した自然免疫のマーカー」)PLoS One. 2012; 7(12): e51040.
47. Aran D.Cell-Type Enrichment Analysis of Bulk Transcriptomes Using xCell.(仮訳「xCellを用いたバルクトランスクリプトームの細胞タイプエンリッチメント解析」)Methods Mol Biol. 2020; 2120: 263-76.
48. Aran D, Hu Z, Butte AJ.xCell: digitally portraying the tissue cellular heterogeneity landscape.(仮訳「xCell:組織細胞の不均一性ランドスケープのデジタル描写」)Genome Biol. 2017; 18(1): 220.
49. Zhang J, Wei X, Tang Z, Miao B, Luo Y, Hu X, et al.Elucidating the molecular pathways and immune system transcriptome during ischemia-reperfusion injury in renal transplantation.(仮訳「腎移植における虚血再灌流障害時の分子経路と免疫系トランスクリプトームの解明」)Int Immunopharmacol. 2020; 81: 106246.
50. Tokumaru Y, Oshi M, Katsuta E, Yan L, Satyananda V, Matsuhashi N, et al.KRAS signaling enriched triple negative breast cancer is associated with favorable tumor immune microenvironment and better survival.(仮訳「良好な腫瘍免疫微小環境とより良好な生存と関連するKRASシグナルに富むトリプルネガティブ乳癌」)Am J Cancer Res. 2020; 10(3): 897-907.
51. Lefrancois P, Xie P, Gunn S, Gantchev J, Villarreal AM, Sasseville D, et al.In silico analyses of the tumor microenvironment highlight tumoral inflammation, a Th2 cytokine shift and a mesenchymal stem cell-like phenotype in advanced in basal cell carcinomas.(仮訳「進行した基底細胞癌における腫瘍性炎症、Th2サイトカインシフト、間葉系幹細胞様表現型を強調する腫瘍微小環境のインシリコ解析」)J Cell Commun Signal. 2020; 14(2): 245-54.
52. Liss MA, Chen Y, Rodriguez R, Pruthi D, Johnson-Pais T, Wang H, et al.Immunogenic Heterogeneity of Renal Cell Carcinoma With Venous Tumor Thrombus.(仮訳「静脈腫瘍血栓を伴う腎細胞癌の免疫原性の不均一性」)Urology. 2019; 124: 168-73.
53. You S, Cho YH, Byun JS, Shin EC.Melanocyte-specific CD8+ T cells are associated with epidermal depigmentation in a novel mouse model of vitiligo.(仮訳「新規白斑症モデルマウスにおける表皮色素脱失と関連するメラノサイト特異的CD8+T細胞」)Clin Exp Immunol. 2013; 174(1): 38-44.
54. Clark RA, Kupper TS.IL-15 and dermal fibroblasts induce proliferation of natural regulatory T cells isolated from human skin.(仮訳「ヒト皮膚から分離した自然制御性T細胞の増殖を誘導するIL-15と皮膚線維芽細胞」)Blood. 2007; 109(1): 194-202.
55. Clark RA, Chong BF, Mirchandani N, Yamanaka K, Murphy GF, Dowgiert RK, et al.A novel method for the isolation of skin resident T cells from normal and diseased human skin.(仮訳「ヒトの正常皮膚および疾患皮膚から皮膚常在T細胞を分離する新しい方法」)J Invest Dermatol. 2006; 126(5): 1059-70.
56. You S, Choi YS, Hong S, Shin EC.Priming of autoreactive CD8(+) T cells is inhibited by immunogenic peptides which are competitive for major histocompatibility complex class I binding.(仮訳「主要組織適合性複合体クラスI結合に対して競合的な免疫原性ペプチドによって阻害される自己反応性CD8(+)T細胞のプライミング」)Immune Netw. 2013; 13(3): 86-93.
57. Zhang Z, Lei M, Xin H, Hu C, Yang T, Xing Y, et al.Wnt/beta-catenin signaling promotes aging-associated hair graying in mice.(仮訳「マウスの加齢に伴う白髪を促進するWnt/β-カテニンシグナル伝達」)Oncotarget. 2017; 8(41): 69316-27.
58. Tobin DJ.Age-related hair pigment loss.(仮訳「加齢による毛髪色素の減少」)Curr Probl Dermatol. 2015; 47: 128-38.
59. Manole E, Niculite C, Lambrescu IM, Gaina G, Ioghen O, Ceafalan LC, et al.Macrophages and Stem Cells-Two to Tango for Tissue Repair?(仮訳「マクロファージと幹細胞-組織修復には二つの組み合わせの必要性」)Biomolecules. 2021; 11(5).
60. Nawaz A, Tobe K.M2-like macrophages serve as a niche for adipocyte progenitors in adipose tissue.(仮訳「脂肪組織において脂肪細胞前駆細胞のニッチとして機能するM2状マクロファージ」)J Diabetes Investig. 2019; 10(6): 1394-400.
61. Lee YH, Thacker RI, Hall BE, Kong R, Granneman JG.Exploring the activated adipogenic niche: interactions of macrophages and adipocyte progenitors.(仮訳「活性化された脂肪形成ニッチの探索:マクロファージと脂肪細胞前駆細胞の相互作用」)Cell Cycle. 2014; 13(2): 184-90.
62. Matsumura H, Mohri Y, Binh NT, Morinaga H, Fukuda M, Ito M, et al.Hair follicle aging is driven by transepidermal elimination of stem cells via COL17A1 proteolysis.(仮訳「COL17A1タンパク質分解を介した幹細胞の経表皮的除去によって引き起こされる毛包の老化」)Science. 2016; 351(6273): aad4395.
63. Hendaoui I, Tucker RP, Zingg D, Bichet S, Schittny J, Chiquet-Ehrismann R.Tenascin-C is required for normal Wnt/beta-catenin signaling in the whisker follicle stem cell niche.(仮訳「ひげ毛包幹細胞ニッチにおける正常なWnt/β-カテニンシグナル伝達に必要なテナシン-C」)Matrix Biol. 2014;40:46-53.
64. Qiu W, Yang K, Lei M, Yan H, Tang H, Bai X, et al.SCF/c-kit signaling is required in 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate-induced migration and differentiation of hair follicle melanocytes for epidermal pigmentation.(仮訳「12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテートによって誘導される毛包メラノサイトの移動と分化に必要なSCF/c-kitシグナル」)Cell Tissue Res. 2015; 360(2): 333-46.
65. Randall VA, Jenner TJ, Hibberts NA, De Oliveira IO, Vafaee T.Stem cell factor/c-Kit signalling in normal and androgenetic alopecia hair follicles.(仮訳「正常および男性型脱毛症の毛包における幹細胞因子/c-Kitシグナル伝達」)J Endocrinol. 2008; 197(1): 11-23.
66. Seiberg M.Age-induced hair greying - the multiple effects of oxidative stress.(仮訳「加齢による白髪-酸化ストレスの複合的影響」)Int J Cosmet Sci. 2013; 35(6): 532-8.
67. Yamada T, Hasegawa S, Hasebe Y, Kawagishi-Hotta M, Arima M, Iwata Y, et al.CXCL12 regulates differentiation of human immature melanocyte precursors as well as their migration.(仮訳「ヒト未熟メラノサイト前駆体の分化と遊走を制御するCXCL12」)Arch Dermatol Res. 2019; 311(1): 55-62.
68. Chiang N, Serhan CN.Specialized pro-resolving mediator network: an update on production and actions.(仮訳「特異的炎症収束性メディエーターネットワーク:生産と行動に関する最新情報」)Essays Biochem. 2020; 64(3): 443-62.
69. Spite M, Claria J, Serhan CN.Resolvins, specialized proresolving lipid mediators, and their potential roles in metabolic diseases.(仮訳「レゾルビン、特殊な分解促進脂質メディエーター、および代謝性疾患におけるその潜在的役割」)Cell Metab. 2014; 19(1): 21-36.
70. Markworth JF, Brown LA, Lim E, Castor-Macias JA, Larouche J, Macpherson PCD, et al.Metabolipidomic profiling reveals an age-related deficiency of skeletal muscle pro-resolving mediators that contributes to maladaptive tissue remodeling.(仮訳「メタボリピドミクスのプロファイリングにより、明らかとなる、不適応な組織リモデリングの一因としての加齢に伴う骨格筋の解離促進メディエーターの欠乏」)Aging Cell. 2021; 20(6): e13393.
71. Xu C, Fu F, Li X, Zhang S.Mesenchymal stem cells maintain the microenvironment of central nervous system by regulating the polarization of macrophages/microglia after traumatic brain injury.(仮訳「外傷性脳損傷後のマクロファージ/ミクログリアの分極化を制御することにより、中枢神経系の微小環境を維持する間葉系幹細胞」)Int J Neurosci. 2017; 127(12): 1124-35.
72. Bara JJ, Turner S, Roberts S, Griffiths G, Benson R, Trivedi JM, et al.High content and high throughput screening to assess the angiogenic and neurogenic actions of mesenchymal stem cells in vitro.(仮訳「間葉系幹細胞の血管新生・神経新生作用をin vitroで評価するための高含量・高スループットスクリーニング」)Exp Cell Res. 2015; 333(1): 93-104.
73. Zhou MN, Zhang ZQ, Wu JL, Lin FQ, Fu LF, Wang SQ, et al.Dermal mesenchymal stem cells (DMSCs) inhibit skin-homing CD8+ T cell activity, a determining factor of vitiligo patients' autologous melanocytes transplantation efficiency.(仮訳「白斑症患者の自家メラノサイト移植効率を決定する因子である皮膚ホーミングCD8+ T細胞活性を阻害する真皮間葉系幹細胞(DMSCs)」)PLoS One. 2013; 8(4): e60254.
74. Crigler L, Kazhanie A, Yoon TJ, Zakhari J, Anders J, Taylor B, et al.Isolation of a mesenchymal cell population from murine dermis that contains progenitors of multiple cell lineages.(仮訳「複数の細胞系列の前駆細胞を含む、マウス真皮からの間葉系細胞集団の単離」)FASEB J. 2007; 21(9): 2050-63.
75. Aroni K, Voudouris S, Ioannidis E, Grapsa A, Kavantzas N, Patsouris E.Increased angiogenesis and mast cells in the centre compared to the periphery of vitiligo lesions.(仮訳「白斑症病変部の末梢と比較して、増加した中心部の血管新生および肥満細胞」)Arch Dermatol Res. 2010; 302(8): 601-7.

Claims (31)

  1. メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進する方法であって、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを、それを必要とする対象者に投与することを含む方法。
  2. 前記SPMが、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することが、メラノサイトの色素脱失を防止、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失において再色素化を促進する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記メラノサイトが皮膚メラノサイト、毛髪メラノサイト、眼メラノサイト又は耳メラノサイトである、請求項1、2又は3に記載の方法。
  5. 前記投与が、メラノサイトの非炎症性喪失を減少又は逆転させるためのものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記投与が加齢に伴う白皮症及び白毛症の治療のためである、請求項1又は2に記載の方法。
  7. 前記メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することが、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、又は白髪症の治療のためのものである、請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記投与が、光線療法又は免疫抑制療法との併用療法の一部として行われる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記投与が外科的メラノサイト移植療法との併用療法の一部として行われる、請求項7に記載の方法。
  10. 前記SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーが、マレシン1である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するための、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、又はそれらの医薬組成物の使用。
  12. メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するための医薬品の製造における、リポキシンA4を除く、一つ又は複数の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、又はそれらの医薬組成物の使用。
  13. 前記SPMが、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択される、請求項11又は12に記載の使用。
  14. 前記メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することが、メラノサイトの色素脱失を防止、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失において再色素化を促進する、請求項11、12又は13に記載の使用。
  15. 前記メラノサイトが皮膚メラノサイト、毛髪メラノサイト、眼メラノサイト又は耳メラノサイトである、請求項11から14のいずれか1項に記載の使用。
  16. 前記SPMが、メラノサイトの非炎症性喪失を減少又は逆転させるためのものである、請求項11から15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 前記SPMが加齢に伴う白皮症及び白毛症の治療のために使用される、請求項11、12又は13に記載の使用。
  18. 前記メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進することが、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、炎症療法に非反応の白斑症、又は白髪症の治療のためのものである、請求項11、12又は13に記載の使用。
  19. 前記SPMが、光線療法又は免疫抑制療法との併用療法の一部として、又は外科的メラノサイト移植療法との併用療法の一部として使用される、請求項18に記載の使用。
  20. 前記SPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーが、マレシン1である、請求項11から19のいずれか1項に記載の使用。
  21. リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを有効成分として含む、白斑症を予防又は治療するための医薬組成物。
  22. 前記白斑症が、休眠白斑症病変、化学誘因性白斑症、及び炎症療法に非反応の白斑症から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 前記SPMがマレシン1である、請求項21又は22に記載の医薬組成物。
  24. 前記SPMがメラノサイトの増殖及び/又は生存を促進、又はメラノサイトの色素脱失を防止、及び/又はメラノサイトの非炎症性色素脱失において再色素化を促進する、請求項21に記載の医薬組成物。
  25. 前記医薬組成物が、経口投与、静脈内注射、皮下注射又は腹腔内注射による全身投与用として製剤化される、請求項21に記載の医薬組成物。
  26. a)リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマー、及び(b)メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するためのそれらの使用説明書、を含む市販品パッケージ。
  27. (a)リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを含む医薬組成物、及び(b)メラノサイトの増殖及び/又は生存を促進するためのそれらの使用説明書、を含む市販品パッケージ。
  28. 前記SPMが、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択される、請求項26又は27に記載の市販品パッケージ。
  29. リポキシンA4を除く、一つ又は複数のSPM又はその薬学的に許容し得る塩、水和物、若しくは水和塩、若しくはその光学異性体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくはエナンチオマーを含む、メラノサイト増殖培地。
  30. 前記SPMが、マレシン1、マレシン2、リポキシンB4、プロテクチンD1、レゾルビンD2、及びレゾルビンE1のうちの一つ又は複数から選択される、請求項29に記載のメラノサイト増殖培地。
  31. 前記SPMがマレシン1である、請求項29又は30に記載のメラノサイト増殖培地。

JP2023556959A 2021-03-19 2022-03-18 メラノサイト増殖促進剤および生存促進因子としての特異的炎症収束性メディエーター(spm)およびその使用 Pending JP2024511019A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202163163241P 2021-03-19 2021-03-19
US63/163,241 2021-03-19
PCT/CA2022/050415 WO2022193029A1 (en) 2021-03-19 2022-03-18 Specialized pro-resolving mediators (spms) as melanocyte growth promoter and pro-survival factors and uses thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024511019A true JP2024511019A (ja) 2024-03-12

Family

ID=83321743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023556959A Pending JP2024511019A (ja) 2021-03-19 2022-03-18 メラノサイト増殖促進剤および生存促進因子としての特異的炎症収束性メディエーター(spm)およびその使用

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20230285344A1 (ja)
EP (1) EP4308102A1 (ja)
JP (1) JP2024511019A (ja)
AU (1) AU2022240123A1 (ja)
CA (1) CA3212601A1 (ja)
WO (1) WO2022193029A1 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170122808A (ko) * 2015-03-10 2017-11-06 이엘씨 매니지먼트 엘엘씨 염증을 해소하도록 피부를 치료하고 해소촉진 경로를 자극하는 활성성분에 대해 스크리닝하기 위한 방법 및 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
CA3212601A1 (en) 2022-09-22
US20230285344A1 (en) 2023-09-14
WO2022193029A1 (en) 2022-09-22
EP4308102A1 (en) 2024-01-24
AU2022240123A1 (en) 2023-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11517572B2 (en) Killing senescent cells and treating senescence-associated conditions using a SRC inhibitor and a flavonoid
ES2759584T3 (es) Prevención y tratamiento de afecciones inflamatorias
JP5875191B2 (ja) Cmt及び関連障害を処置するための新たな組成物
CA2907574C (en) Pharmaceutical composition for inhibiting immune response through inducing differentiation into regulator t cells and promoting proliferation of regulator t cells
JP2020534285A (ja) 投与および処置の方法
KR20190039936A (ko) 다양한 소양증성 병태를 치료하기 위한 뉴로키닌-1 길항제의 용도
JP6837486B2 (ja) 加齢に関連する認知障害及び神経炎症を予防及び/又は治療する方法
KR101651448B1 (ko) 체지방을 국소적으로 증가시키는 방법 및 조성물
KR20170086710A (ko) 피로의 치료 또는 예방 방법
Kaufman et al. COG1410, an apolipoprotein E-based peptide, improves cognitive performance and reduces cortical loss following moderate fluid percussion injury in the rat
US20220251036A1 (en) Difluorohaloallylamine sulfone derivative inhibitors of lysyl oxidases, methods of preparation, and uses thereof
EP4291239A2 (en) Compounds, compositions and methods for treating age-related diseases and conditions
RU2727573C2 (ru) Комбинация кинуренина и антигенпредставляющие клетки (apc) в качестве терапевтических средств и способ их применения в иммуномодуляции
JP2024511019A (ja) メラノサイト増殖促進剤および生存促進因子としての特異的炎症収束性メディエーター(spm)およびその使用
WO2020062951A1 (zh) 化合物及其用途
EP4357345A1 (en) Cly series compound, preparation method therefor and use thereof in preparation of drugs
WO2018151285A1 (ja) 掻痒性皮膚疾患の予防又は治療薬
CN107206086B (zh) 炎性病况的预防和治疗
ES2932076T3 (es) Moduladores agonistas de los receptores de glucocorticoides selectivos (SEGRAM) no esteroideos y usos de los mismos
JP2022554390A (ja) Rorガンマt阻害剤およびその局所使用
WO2024100421A1 (en) Sarm1 inhibitors for use in therapy and cosmetics
JP2022067848A (ja) 経鼻投与用医薬組成物
JP2023111535A (ja) セマフォリン3a発現促進剤
CN111511359A (zh) 非甾体选择性糖皮质激素受体激动调节剂(segram)及其用途
RU2789326C1 (ru) Предупреждение и лечение воспалительных состояний