JP2024505808A - 増強されたl-グルタミン酸生産能を有する菌株及びその構築方法と応用 - Google Patents

増強されたl-グルタミン酸生産能を有する菌株及びその構築方法と応用 Download PDF

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Abstract

増強されたL-グルタミン酸生産能を有する菌株及びその構築方法と応用を公開した。コリネバクテリウム・グルタミクム中の野生型BBD29-00405遺伝子に点変異を導入し、SEQ ID NO:1の597番目の塩基グアニン(G)をアデニン(A)に変異させることによりヌクレオチド配列を得る。また、ポリヌクレオチド配列をL-グルタミン酸を生産するコリネバクテリウム・グルタミクムに導入して得される、点変異を含むBBD29-00405遺伝子を含む組換え菌株も提供されている。得られた菌株は未改造菌株に比べて高濃度のL-グルタミン酸の生産に有利である。【選択図】なし

Description

本発明は、遺伝子工学と微生物技術分野に属し、具体的に増強されたL-グルタミン酸生産能を有する菌株及びその構築方法と応用に関する。
L-グルタミン酸は、化学名称がL-2-アミノグルタル酸であり、分子式がCNであり、分子量が147.13である。L-グルタミン酸は、非必須アミノ酸である。生物有機体に存在するグルタミン酸は、いずれもL-型グルタミン酸に属する。且つL-グルタミン酸は、味の素の前駆物質である。味の素が食されると、胃においてグルタミン酸に変換され、そして消化吸収を経てタンパク質の合成に関与することができ、且つアミノ基転移作用により他のアミノ酸を合成することができ、栄養価が高い。食品に広く応用されているほか、医薬、化粧品及び農業生産にも応用されている。人体の各器官の中で、グルタミン酸塩の脳中は、含有量が最も高く、同時にグルタミン酸は、人の脳代謝に参与する唯一のアミノ酸であり、神経系機能の維持に重要な役割を果たしている。従って、神経衰弱者にとって、グルタミン酸の摂取量を増やすことでその神経系の機能を改善することができる。化粧品業界では、グルタミン酸は、ポリグルタミン酸ナトリウムの合成に用いられてもよい。該物質は、吸湿性が強いため、エモリエント剤として用いられてもよい。グルタミン酸は、ラウリルフタロクロライドと結合してモノラウリルフタログルタミン酸ナトリウムを生成することもでき、化粧品業界に広く応用されている。グルタミン酸は、農業で主に殺菌剤、例えばグルタミン酸ケトンの生産に用いられる。施肥の過程において、グルタミン酸は、肥料のベクターとして、農作物の窒素・リン・カリウムの吸収を促進することができる。
1956年に、自然界からグルタミン酸生産菌の一種、即ちコリネバクテリウム・グルタミクムが分離され、これは、味の素の生産史における重要な変革となった。1957年に、発酵法による味の素の生産時代が始まった。発酵法によるグルタミン酸生産の成功は、発酵工業全体の偉大な創設であるとともに、他の発酵製品の研究と生産を大いに促進した。工業発酵にとって、発酵生産レベルを決定する要素は、主に菌種の性能、発酵プロセス及び下流抽出プロセスなどがある。これらの要素のうち、菌種の酸生産レベルは、内因であり、発酵の成否を決定する鍵となる。優良菌種のスクリーニング育成は、依然としてL-グルタミン酸を高生産する鍵であり、ハイスループットスクリーニング技術の発展に伴い、従来の変異誘導技術と結合して、未知性状のL-グルタミン酸を高生産する変異株の発見に有利である。これらの変異株は、L-グルタミン酸代謝経路上のある点の活性又は経路全体の組換え統合を変化することによって、酸生産量を向上させる可能性がある。
L-グルタミン酸生産量を向上させることができるいくつかの菌株をすでにスクリーニングしたが、日増しに増加する需求を満たすために、L-グルタミン酸を高生産するの変異株をより多く見つける必要がある。
既存の技術の不足に対して、本発明は、ポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドを含む組換え菌株を提供し、及び組換え菌株を細菌のL-グルタミン酸生産能力の改善に用いる。上記目的を実現するために、本発明の発明者らは、L-グルタミン酸生産能力を有するコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869ゲノム(GenBank:CP016335.1)におけるBBD29_00405遺伝子(GenBank:ANU32350.1)が、該遺伝子を修飾するか又はその発現を改善することにより、L-グルタミン酸生産量を向上させる組換え菌株を得られ、改造されない野生型菌株と比べて、組換え菌株のL-グルタミン酸生産能力がより強いことを発見した。
本発明は、以下の技術案を採用して実現される、
本発明の第一の態様によれば、L-グルタミン酸生産細菌を提供し、この細菌は、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されている。本発明によれば、前記改善された発現は、前記ポリヌクレオチド発現が増強されていること、又はSEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点変異を有していること、又はSEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点変異を有し且つ発現が増強されていることである。
前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列は、遺伝子BBD29_00405がコードするタンパクである。
前記細菌は、未修飾菌株と比べて増強されたL-グルタミン酸生産能力を有する。
本発明において、用語である「L-グルタミン酸生産能力を有する細菌」とは、細菌が培地で培養される時にL-グルタミン酸を収集できるように、培地及び/又は細菌の細胞において以下の程度で目的L-グルタミン酸を生産、蓄積能力を有する細菌を指す。L-グルタミン酸生産能力を有する細菌は、未修飾菌株の取得可能な量よりも多い量で培地及び/又は細菌の細胞において目的L-グルタミン酸を蓄積できる細菌であってもよい。
用語である「未修飾菌株」とは、特定の特徴を有するように修飾されていない対照菌株を指す。即ち、未修飾菌株の例は、野生型菌株と親株を含む。
本発明において、別段の説明がない限り、用語である「L-グルタミン酸」とは、遊離形態のL-グルタミン酸、その塩又はその混合物を指す。
前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列と約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列をコードすることができる。本明細書で使用されるように、用語である「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチドモジュール間のパーセンテージ同一性を指す。当分野で既知の方法であるモジュールと別のモジュールとの間の配列相同性を測定することができる。例えば、BLASTアルゴリズムによってこのような配列相同性を測定することができる。
ポリヌクレオチドの発現は、置換又は変異(Mutation)による発現調節配列、ポリヌクレオチド配列への変異導入、染色体挿入又はベクターを介して導入されるポリヌクレオチドコピー数の増加、又はその組み合わせなどによって増強されることができる。
ポリヌクレオチドの発現調節配列を修飾してもよい。発現調節配列は、それに操作可能に連結されたポリヌクレオチドの発現を制御し、且つ例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、サイレンサーなどを含んでもよい。ポリヌクレオチドは、開始コドンの変化を有してもよい。ポリヌクレオチドを染色体の特定の部位に配合することによって、コピー数を増加させてもよい。本明細書において、特定の部位は、例えばトランスポゾン部位又は遺伝子間部位を含んでもよい。また、ポリヌクレオチドを発現ベクターに配合し、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、コピー数を増加させてもよい。
本発明の一つの実施の形態において、ポリヌクレオチド又は点変異を有するポリヌクレオチドを微生物染色体の特定の部位に配合することによって、コピー数を増加させる。
本発明の一つの実施の形態において、プロモーター配列付きポリヌクレオチド又は点変異を有するプロモーター配列付きポリヌクレオチドを微生物染色体の特定の部位に配合することによって、前記核酸配列を過剰発現させる。
本発明の一つの実施の形態において、ポリヌクレオチド又は点変異を有するポリヌクレオチドを発現ベクターに配合し、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、コピー数を増加させる。
本発明の一つの実施の形態において、プロモーター配列付きポリヌクレオチド又は点変異を有するプロモーター配列付きポリヌクレオチドを発現ベクターに配合し、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、前記核酸配列を過剰発現させる。
本発明の一つの具体的な実施の形態において、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の一つの実施の形態において、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点変異を有していることによって、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列の199番目のメチオニンは、異なるアミノ酸で置換される。
本発明によれば、好ましくは、199番目のメチオニンは、イソロイシンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列であって、199番目のメチオニンがイソロイシンで置換された後のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4に示される。
本発明の一つの実施の形態において、前記点変異を有するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基の変異により形成される。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基のグアニン(G)からアデニン(A)への変異を含む。
本発明の一つの実施の形態において、前記点変異を有するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用されるように、用語である「操作可能な連結」とは、調節配列とポリヌクレオチド配列との間の機能的連結を指し、それによって調節配列は、ポリヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を制御する。調節配列は、ポリヌクレオチドの発現レベルを向上させることができる強力なプロモーターであってもよい。調節配列は、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のプロモーターであってもよく、又は他の微生物由来のプロモーターであってもよい。例えば、プロモーターは、trcプロモーター、gapプロモーター、tacプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、araBADプロモーター又はcj7プロモーターであってもよい。
本発明の一つの具体的な実施の形態において、前記プロモーターは、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(BBD29_00405)のプロモーターである。
本明細書で使用されるように、用語である「ベクター」とは、遺伝子の調節配列と遺伝子配列を含み且つ適切な宿主細胞において標的遺伝子を発現するように構成されたポリヌクレオチド構築体を指す。又は、ベクターは、相同組換えに利用可能な配列を含むポリヌクレオチド構築体をさらに指してもよく、それによって宿主細胞に導入されたベクターにより、宿主細胞のゲノムにおける内因性遺伝子の調節配列を変更することができ、又は発現可能な標的遺伝子を宿主のゲノムの特定の部位に挿入することができる。この点では、本発明で使用されるベクターは、ベクターの宿主細胞への導入又はベクターの宿主細胞の染色体への挿入を決定する選択マーカーをさらに含んでもよい。選択マーカーは、選択可能な表現型、例えば薬物耐性、栄養欠損型、細胞毒剤に対する耐性、又は表面タンパクの発現を与えるマーカーを含んでもよい。このような選択剤で処理された環境では、選択マーカーを発現させた細胞のみが生存できるか又は異なる表現型性状を示すため、形質転換された細胞を選択してもよい。本明細書に記載のベクターは、当業者に公知のものであり、プラスミド、ファージ(例えば、λファージ又はM13糸状ファージなど)、コスミド(即ちCosmid)又はウィルスベクターを含むが、それらに限定されない。
本発明のいくつかの具体的な実施の形態において、使用されるベクターは、pK18mobsacBプラスミド、pXMJ19プラスミドである。
本明細書で使用されるように、用語である「形質転換」とは、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することによって、ポリヌクレオチドがゲノム外素子とするか又は宿主細胞に挿入されたゲノムで複製できることを指す。本発明で使用されるベクターを形質転換する方法は、核酸を細胞に導入する方法を含んでもよい。また、関連技術に開示されるように、宿主細胞に応じて電気パルス法を実施することができる。
本明細書において、前記微生物は、酵母、細菌、藻又は真菌であってもよい。
本発明によれば、前記細菌は、コリネバクテリウム属に属する微生物、例えばコリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium calhmae)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・ペキネンシス(Corynebacterium pekinense)、ブレビバクテリウム・サッカロリチカム(Brevibacterium saccharolyticum)、ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacterium roseuni)、ブレビバクテリウム・チオゲニタイス(Brevibacterium thiogenitalis)などであってもよい。
本発明の一実施形態において、前記コリネバクテリウム属に属する微生物は、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869である。
本発明の一実施形態において、前記コリネバクテリウム属に属する微生物は、コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001であり、2020年11月23日に中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに保存されており、保存住所:北京市朝陽区北辰西路1号院3号、郵便番号:100101、保存機構略称:CGMCC、生物保存番号がCGMCC No.21220である。
本発明の第二の態様によれば、ポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換え菌株を提供する。
本発明によれば、前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、前記配列の199番目のメチオニンは、異なるアミノ酸で置換される。
本発明によれば、好ましくは、199番目のメチオニンは、イソロイシンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列であって、199番目のメチオニンがイソロイシンで置換され後のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4に示される。
本発明によれば、好ましくは、前記SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明の一つの実施の形態において、前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基の変異により形成される。
本発明によれば、前記変異とは、前記部位の塩基/ヌクレオチドが変化することを指し、前記変異方法は、変異誘導、PCR固定点変異法、及び/又は相同組換えなどの方法から少なくとも一つを選択してもよい。本発明において、好ましくは、PCR固定点変異法及び/又は相同組換えを採用する。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目のグアニン(G)からアデニン(A)への変異を含む。
本発明の一つの実施の形態において、前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列を含む。
本発明によれば、前記組換えベクターは、前記ポリヌクレオチド配列をプラスミドに導入して構築される。
本発明の一つの実施の形態において、前記プラスミドは、pK18mobsacBプラスミドである。
本発明の別の実施の形態において、前記プラスミドは、pXMJ19プラスミドである。
具体的には、NEBuider組換え系を介して前記ポリヌクレオチド配列と前記プラスミドを組換えベクターとして構築してもよい。
本発明によれば、前記組換え菌株は、前記ポリヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌は、コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU00Lであり、生物保存番号がCGMCC No. 21220である。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌は、ATCC 13869である。
本発明の第三の態様によれば、上記ポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換え菌株の、L-グルタミン酸の生産における応用を提供する。
本発明の第四の態様によれば、L-グルタミン酸を生成する組換え菌株の構築方法をさらに提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
宿主菌株におけるSEQ ID NO:1に示される野生型BBD29_00405遺伝子のポリヌクレオチド配列を改造し、その597番目の塩基に変異を生じさせ、変異BBD29_00405コード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップを含む。
本発明の構築方法によれば、前記改造は、変異誘導、PCR固定点変異法、及び/又は相同組換えなどの方法のうちの少なくとも一つを含む。
本発明の構築方法によれば、前記変異とは、SEQ ID NO:1における597番目の塩基のグアニン(G)からアデニン(A)への変異を指し、具体的には、前記変異BBD29_00405コード遺伝子を含むポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2に示される。
さらに、前記構築方法は、
(1)SEQ ID NO:1に示される野生型BBD29_00405遺伝子のヌクレオチド配列を改造し、その597番目の塩基に変異を生じさせ、変異BBD29_00405遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
(2)前記変異多核酸配列とプラスミドとを連結して、組換えベクターを構築するステップ(2)と、
(3)前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、前記変異BBD29_00405コード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップ(3)とを含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(1)は、点変異のBBD29_00405遺伝子の構築を含み、即ち、未修飾菌株のゲノム配列に基づいて、BBD29_00405遺伝子断片を増幅するプライマーP1とP2及びP3とP4を2組合成し、PCR固定点変異法によって野生型BBD29_00405遺伝子SEQ ID NO:1に点変異を導入し、点変異BBD29_00405遺伝子ヌクレオチド配列SEQ ID NO:2を得、BBD29_00405G597Aとする。
本発明の一つの実施の形態において、前記未修飾菌株ゲノムは、ATCC 13869菌株に由来してもよく、そのゲノム配列GenBank:CP016335.1は、NCBIサイトから取得されてもよい。
本発明の一実施形態において、前記ステップ(1)において、前記プライマーは、以下のとおりである。
P1: 5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGATGACTATTAATGTCTCCGA 3’(SEQ ID NO:5)
P2: 5’AGACCGGCATCAAGATGGTCTGGGCA 3’(SEQ ID NO:6)
P3: 5’TGCCCAGACCATCTTGATGCCGGTCT 3’(SEQ ID NO:7)
P4: 5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTAGCCGGCGTAAGGATCCCGGAT 3’(SEQ ID NO:8)
本発明の一実施形態において、前記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、及び72℃で40秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われる。
本発明の一実施形態において、前記オーバーラップPCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、及び72℃で100秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われる。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(2)は、組換えプラスミドの構築を含み、分離精製されたBBD29_00405G597AとpK18mobsacBプラスミドを、NEBuider組換え系により組み立て、組換えプラスミドを得ることを含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(3)は、組換え菌株の構築を含み、即ち組換えプラスミドを宿主菌株に形質転換し、組換え菌株を得る。
本発明の一実施形態において、前記ステップ(3)の形質転換は、電気変換法である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、ATCC 13869である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU00Lであり、生物保存番号がCGMCC No. 21220である。
本発明の一つの実施の形態において、前記組換えは、相同組換えによって実現される。
本発明の第五の態様によれば、L-グルタミン酸を生成する組換え菌株の構築方法をさらに提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
BBD29_00405の上下流相同アーム断片、BBD29_00405遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅し、相同組換えの方式で宿主菌株のゲノムにBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を導入し、前記菌株がBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させることを実現するステップを含む。
本発明の一つの実施の形態において、上流相同アーム断片を増幅するプライマーは、以下のとおりである、
P7: 5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACCCGCTTGCCATACGAAG 3’
P8: 5’CCTACCACGA CGAGCACTAC ATCTACTCAT CTGAAGAATC 3’
本発明の一つの実施の形態において、下流相同アーム断片を増幅するプライマーは、以下のとおりである、
P11: 5’GGGATCCTTA CGCCGGCTAG TTCGTGGGCA CTCTGGTTTG 3’
P12: 5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATAAGAAACAACCACTTCC 3’
本発明の一つの実施の形態において、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するプライマーは、以下のとおりである、
P9: 5’GATTCTTCAG ATGAGTAGAT GTAGTGCTCG TCGTGGTAGG 3’(SEQ ID N0:13)
P10: 5’CAAACCAGAG TGCCCACGAA CTAGCCGGCG TAAGGATCCC 3’(SEQ ID NO:14)
本発明の一つの実施の形態において、さらに前記P7/P12をプライマーとし、増幅された上流相同アーム断片、下流相同アーム断片、遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列断片の三つの断片混合物をテンプレートとして増幅し、統合相同アーム断片を得る。
本発明の一つの実施の形態において、採用されたPCR系は、l0×Ex Taq Buffer 5 μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4 μL、プライマー(10 μM)各2 μL、Ex Taq(5 U/μL)0.25 μL、総容積50 μLであり、PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で180秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われる。
本発明の一つの実施の形態において、NEBuider組換え系を採用し、シャトルプラスミドPK18mobsacBと統合相同アーム断片を組み立て、統合プラスミドを得る。
本発明の一つの実施の形態において、統合プラスミドを宿主菌株にトランスフェクトし、相同組換えの方式で宿主菌株のゲノムにBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を導入する。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001であり、生物保存番号がCGMCC No. 21220である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、ATCC 13869である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を有する菌株である。
本発明の第六の態様によれば、L-グルタミン酸を生産する組換え菌株の構築方法をさらに提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
BBD29_00405遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列、又はBBD29_00405G597A遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅し、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入し、前記菌株がBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させることを実現するステップを含む。
本発明の一つの実施の形態において、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するプライマーは、以下のとおりである、
P17: 5’GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCC GTAGTGCTCG TCGTGGTAGG 3’(SEQ ID NO:21)
P18: 5’ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACCTAGCCGGCG TAAGGATCCCGGAT 3’(SEQ ID NO:22)。
本発明の一つの実施の形態において、前記PCR系は、l0×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4 μL、プライマー(10 μM)各2 μL、Ex Taq(5 U/μL)0.25 μL、総容積50 μLであり、前記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で100秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われる。
本発明の一つの実施の形態において、NEBuider組換え系を採用し、シャトルプラスミドpXMJ19と自己プロモーターを持つBBD29_00405又はBBD29_00405G597A断片を組み立て、過剰発現プラスミドを得る。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001であり、生物保存番号がCGMCC No.21220である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、ATCC 13869である。
本発明の一つの実施の形態において、前記宿主菌株は、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を有する菌株である。
本発明で得られた組換え菌株は、単独でL-グルタミン酸の発酵生産に応用されてもよく、L-グルタミン酸を生産する他の細菌と混合してL-グルタミン酸を発酵生産してもよい。
本発明の別の態様によれば、L-グルタミン酸の生産方法を提供し、該方法は、前記細菌を培養し、且つ培養物からL-グルタミン酸を得ることを含む。
当分野の既知の培養条件で適切な培地において細菌の培養を行うことができる。培地は、炭素源、窒素源、微量元素、及びその組み合わせを含んでもよい。培養において、培養物のpHを調整してもよい。また、培養の際に、気泡の発生を防止することを含んでもよく、例えば消泡剤を用いて気泡の発生を防止する。また、培養の際に、培養物にガスを注入することを含んでもよい。ガスは、培養物の好気条件を維持できる任意のガスを含んでもよい。培養において、培養物の温度は、20~45℃であってもよい。生成されたL-グルタミン酸を培養物から回収し、即ち硫酸又は塩酸などで培養物を処理し、そして例えばアニオン交換クロマトグラフィー、濃縮、晶析と等電点沈殿の方法を組み合わせて行ってもよい。
本発明は、タンパク質をさらに提供し、名称がタンパク質BBD29_00405M199Iであり、前記タンパク質は、
A1)アミノ酸配列がSEQ ID No.4であるタンパク質と、
A2)SEQ ID No.4に示されるアミノ酸配列を、アミノ酸残基の置換及び/又は欠失及び/又は添加を経て得られた、A1)に示されるタンパク質と80%以上の同一性を有し且つ同じ機能を有するタンパク質と、
A3)A1)又はA2)のN端及び/又はC端にタグを連結して得られた、同じ機能を有する融合タンパク質とのうちのいずれか一つであってもよい。
本発明は、核酸分子をさらに提供し、名称がBBD29_00405G597Aであり、前記核酸分子BBD29_00405G597Aは、
B1)コード前記タンパク質BBD29_00405M199Iの核酸分子と、
B2)コード配列がSEQ ID No.2に示されるDNA分子と、
B3)ヌクレオチド配列がSEQ ID No.2に示されるDNA分子とのうちのいずれか一つであってもよい。
SEQ ID No.2に示されるDNA分子は、本発明に記載のBBD29_00405G597A遺伝子である。
SEQ ID No.2に示されるDNA分子(BBD29_00405G597A遺伝子)は、SEQ ID No.4に示されるタンパク質BBD29_00405M199Iをコードする。
前記タンパク質BBD29_00405M1991アミノ酸配列(SEQ ID No.4)は、SEQ ID No.3における199番目のメチオニン(M)をイソロイシン(I)に変化させたものである。
本発明は、生物材料をさらに提供し、前記生物材料は、
C1)前記核酸分子BBD29_00405G597Aを含む発現カセットと、
C2)前記核酸分子BBD29_00405G597Aを含む組換えベクター、又はC1)に記載の発現カセットを含む組換えベクターと、
C3)前記核酸分子BBD29_00405G597Aを含む組換え微生物、又はC1)に記載の発現カセットを含む組換え微生物、又はC2)に記載の組換えベクターを含む組換え微生物とのうちのいずれか一つであってもよい。
本発明は、D1)~D8)のうちのいずれか一つの以下の応用をさらに提供し、
F1)D1)~D8)のうちのいずれか一つの微生物のL-グルタミン酸の生産量の制御における応用と、
F2)D1)~D8)のうちのいずれか一つのL-グルタミン酸生産の遺伝子工学菌の構築における応用と、
F3)D1)~D8)のうちのいずれか一つL-グルタミン酸の製造における応用と、
ここで、前記D1)~D8)は、
D1)前記タンパク質BBD29_00405M199I
D2)前記核酸分子BBD29_00405G597A
D3)前記生物材料、
D4)ヌクレオチド配列がSEQ ID No.1であるDNA分子、
D5)SEQ ID No.1に示されるヌクレオチド配列を、修飾及び/又は一つ又は複数のヌクレオチドの置換及び/又は欠失及び/又は添加を経て得られた、SEQ ID No.1に示されるDNA分子と90%以上の同一性を有し、且つ同じ機能を有するDNA分子、
D6)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む発現カセット、
D7)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む組換えベクター、又はD6)に記載の発現カセットを含む組換えベクター、
D8)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む組換え微生物、又はD6)に記載の発現カセットを含む組換え微生物、又はD7)に記載の組換えベクターを含む組換え微生物である。
SEQ ID No.1に示されるDNA分子は、本発明に記載のBBD29_00405遺伝子である。
SEQ ID No.1に示されるDNA分子(BBD29_00405遺伝子)は、SEQ ID No.3に示されるタンパク質をコードする。
本明細書において、同一性とは、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の同一性を指す。国際インターネット上の相同性検索サイト、例えばNCBIホームページサイトのBLASTページを用いて、アミノ酸配列の同一性を測定することができる。例えば、Advanced BLAST2.1では、blastpをプログラムとして使用し、Expect値を10に設定し、すべてのFilterをOFFに設定し、BL0SUM62をMatrixとして使用し、Gap existence cost、Per residue gap costとLambda ratioをそれぞれ11、1と0.85(デフォルト値)に設定して1組のアミノ酸配列の同一性を検索して計算することにより、同一性の値(%)を得ることができる。
本明細書において、前記80%以上の同一性は、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性であってもよい。
本明細書において、前記90%以上の同一性は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性であってもよい。
本明細書に記載の微生物のL-グルタミン酸の生産量の制御は、微生物におけるL-グルタミン酸の蓄積量(即ちL-グルタミン酸の生物合成を促進又は抑制する)を向上又は低下させることであってもよい。
本発明は、微生物におけるL-グルタミン酸の生産量を向上させる方法をさらに提供し、前記方法は、
E1)目的微生物における前記核酸分子BBD29_00405G597Aの発現量又は、含有量を向上させ、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることと、
E2)を向上させ目的微生物におけるD4)又はD5)前記DNA分子の発現量又は、含有量、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることと、
E3)前記目的微生物におけるヌクレオチド配列がSEQ ID No.1であるDNA分子を変異させ、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることとのうちのいずれか一つを含む。
上記方法において、前記変異は、点変異(point mutation)、即ち単一ヌクレオチドの変異であってもよい。
上記方法において、前記点変異は、SEQ ID No.1に示されるDNA分子がコードするアミノ酸配列の199番目のアラニン残基を別のアミノ酸残基に変異させるものであってもよい。
上記方法において、前記点変異は、SEQ ID No.1に示されるDNA分子がコードするアミノ酸配列の199番目のアラニンをトレオニンに変異させ、アミノ酸配列がSEQ ID No.4である変異タンパク質BBD29_00405M199Iを得るものであってもよい。
前記変異とは、固定点変異により遺伝子におけるいずれか一つ又は複数の塩基を変化させることにより、対応するタンパク質アミノ酸組が変化し、新たなタンパク質を生産し又は元のタンパク質に新たな機能を発生させ、即ち遺伝子固定点変異を指す。遺伝子の固定点変異技術、例えばオリゴヌクレオチドプライマーを介した固定点変異、PCRを介した固定点変異又はカセット変異などは、当業者には周知である。
本明細書に記載の点変異は、一塩基置換、一塩基挿入または一塩基欠失であってもよく、具体的には一塩基置換であってもよい。前記一塩基置換は、対立遺伝子置換であってもよい。
前記点変異は、BBD29_00405遺伝子(SEQ ID No.1)の597番目のグアニン(G)の核酸改造であってもよい。
具体的には、前記点変異は、BBD29_00405遺伝子(SEQ ID No.1)の597番目のグアニン(G)をアデニン(A)に変化させ、SEQ ID No.2に示されるDNA分子を得るものであってもよい。
本明細書において、前記組換えベクターは、具体的に組換えベクターpK18-BBD29_00405G597A、PK18mobsacB-BBD29_00405、PK18mobsacB-BBD29_00405G597A、pXMJ19-BBD29_00405又はpXMJ19-BBD29_00405G597Aであってもよい。
前記組換えベクターpK18-BBD29_00405G597Aは、SEQ ID No.2に示される変異の遺伝子BBD29_00405G597Aの1~1473番目に示されるDNA分子を含み、具体的にはSEQ ID No.31に示されるDNA断片BBD29_00405G597A-Up-Down断片をpK18mobsacBベクターのXba I認識部位間に挿入し、pK18mobsacBベクターの他の配列をそのまま維持し、得られた組換えベクターである。
前記組換えベクターPK18mobsacB-BBD29_00405は、外来遺伝子BBD29_00405を宿主染色体に統合し、菌生産中に野生型BBD29_00405遺伝子を過剰発現させるために用いられる。
前記組換えベクターPK18mobsacB-BBD29_00405G597Aは、外来遺伝子BBD29_00405G597Aを宿主染色体に統合し、菌生産中に変異型遺伝子BBD29_00405G597Aを過剰発現させるために用いられる。
前記組換えベクターpXMJ19-BBD29_00405は、プラスミドを介して外来遺伝子BBD29_00405を染色体外に発現させ、さらに菌生産中に野生型BBD29_00405遺伝子を過剰発現させるために用いられる。
前記組換えベクターpXMJ19-BBD29_00405G597Aは、プラスミドを介して外来遺伝子BBD29_00405G597Aを染色体外に発現させ、さらに菌生産中に変異型遺伝子BBD29_00405G597Aを過剰発現させるために用いられる。
前記組換えベクターpK18-BBD29_00405G597A、PK18mobsacB-BBD29_00405、PK18mobsacB-BBD29_00405G597A、pXMJ19-BBD29_00405とpXMJ19-BBD29_00405G597Aは、いずれも本発明の保護範囲内にある。
本明細書において、前記組換え微生物は、具体的に組換え菌YPG-025、YPG-026、YPG-027、YPG-028又はYPG-029であってもよい。
前記組換え菌YPG-025は、前記組換えベクターpK18-BBD29_00405G597Aをコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)CGMCC No. 21220に形質転換して得られた組換え菌であり、前記組換え菌YPG-025は、SEQ ID No.2に示される変異の遺伝子BBD29_00405G597Aを含む。
前記組換え菌YPG-026は、2コピーのSEQ ID No.1に示されるBBD29_00405遺伝子を含み、2コピーBBD29_00405遺伝子を含む組換え菌は、を顕著かつ安定的に増加させることができるBBD29_00405遺伝子の発現量。組換え菌YPG-026は、ゲノム上の野生型BBD29_00405遺伝子を過剰発現させる工学的菌である。
前記組換え菌YPG-027は、SEQ ID No.2に示される変異のBBD29_00405G597A遺伝子を含み、組換え菌YPG-027は、ゲノム上の変異型BBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌である。
組換え菌YPG-028は、2コピーSEQ ID No.1に示されるBBD29_00405遺伝子を含み、組換え菌YPG-028は、プラスミド上の野生型BBD29_00405遺伝子を過剰発現させる工学的菌であり、即ちプラスミドpXMJ19-BBD29_00405が染色体外に過剰発現を行う。
組換え菌YPG-029は、SEQ ID No.2に示される変異のBBD29_00405G597A遺伝子を含み、組換え菌YPG-029は、プラスミド上の変異型BBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌であり、即ちプラスミドpXMJ19-BBD29_00405G597Aが染色体外に過剰発現を行う。
前記組換え菌YPG-025、YPG-025、YPG-027、YPG-027とYPG-029は、いずれも本発明の保護範囲内にある。
本発明は、構前記組換え微生物を構築する方法をさらに提供し、前記方法は、
F1)前記核酸分子BBD29_00405G597Aを目的微生物に導入し、前記組換え微生物を得ることと、
F2)SEQ ID No.1に示されるDNA分子を目的微生物に導入し、前記組換え微生物を得ることと、
F3)遺伝子編集手段(例えば一塩基の遺伝子編集)を用いてSEQ ID No.1に示されるDNA分子を編集し、目的微生物にSEQ ID No.2に示されるDNA分子を含ませることとのうちの少なくともいずれか一つを含む。
前記導入は、化学形質転換法又は電気ショック形質転換法などの既知の形質転換方法により本発明DNA分子を担持したベクターを宿主菌に形質転換することであってもよい。導入されたDNA分子は、シングルコピーであってもよくマルチコピーであってもよい。前記導入は、外来遺伝子を宿主染色体に統合してもよく、プラスミドが染色体外に発現してもよい。
本発明は、L-グルタミン酸の製造方法をさらに提供し、前記方法は、本明細書におけるいずれか一つの前記組換え微生物を用いてL-グルタミン酸を生産することを含む。
上記方法において、前記方法は、発酵法によるL-グルタミン酸の製造であってもよく、前記組換え微生物は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)であってもよく、具体的にコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)及びその変異体であってもよい。
生物保存の説明
コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterhim glutamicum)、中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センターに保存されており、保存住所:北京市朝陽区北辰西路1号院3号、郵便番号:100101、保存機構略称:CGMCC、保存日:2020年11月23日、生物保存番号:CGMCC No.21220、菌株命名:YPGLU001。
以下では、具体的な実施例を結び付けながら本発明の技術案についてさらに詳細に説明する。理解すべきこととして、以下の実施例は、例示的に本発明を説明、解釈するものであり、本発明の保護範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本発明の上記内容に基づいて実現された技術は、いずれも本発明が保護を意図する範囲内に含まれる。
別段の説明がない限り、以下の実施例で使用される原料と試薬は、いずれも市販品であり、又は既知の方法で製造することができる。以下の実施例に具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に通常の条件、例えばSambrookらの分子クローニング:実験室マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載された条件、又は製造メーカが推奨する条件に従う。
別段に定義されていない限り、又は背景によって明確に示されていない限り、本開示におけるすべての技術と科学用語は、本開示の所属分野の普通技術者が一般に理解する同じ意味を有する。
以下の実施例において前記菌株を培養するために使用される基礎培地の組成が同じであり、この上に培地組成に必要のある該当するショ糖、カナマイシン又はクロラムフェニコールなどを添加する。固形物が必要な場合は、寒天を2%添加すればよく、pH7.0、培養温度30度である。基礎培地における溶質組成を表1に示し、表1に示される溶質を水に溶かして基礎培地を得る。
Figure 2024505808000001
下記の実施例におけるコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)YPGLU001CGMCC No. 21220は、2020年11月23日に中国微生物菌種保存管理委員会普通微生物センター(CGMCCと略称され、住所:北京市朝陽区北辰西路1号院3号、中国科学院微生物研究所)に保存されており、保存番号がCGMCC No. 21220である。コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001は、コリネバクテリウム・グルタミクムCGMCC No. 21220とも呼ばれる。
実施例1 点変異のBBD29_00405遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-BBD29_00405G597Aの構築
NCBIにより公表されたコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869ゲノム(GenBank:CP016335.1)配列に基づいて、BBD29_00405遺伝子(GenBank:AKF27993.1)コード領域配列を増幅するプライマーを2組設計して合成し、アレル置換の方式で菌株ATCC 13869とL-グルタミン酸を高生産するコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)に点変異を導入し、対応するコードタンパクのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3であり、BBD29_00405遺伝子のヌクレオチド配列の597番目のグアニン(G)は、アデニン(A)(SEQ ID NO:2:BBD29_00405G597A)に変化し、対応するコードタンパクのアミノ酸配列の199番目のメチオニン(M)は、イソロイシン(I)(SEQ ID NO:4:BBD29_00405M199I)に変化した。
野生型BBD29_00405遺伝子のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1であり、そのコードBBD29_00405タンパクのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3であり、
BBD29_00405G597A変異遺伝子のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2であり、そのコードBBD29_00405M1991変異タンパクのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4である。
プライマー設計は、以下のとおりである(上海invitrogen公司により合成され、ここで、下線は、変異塩基である)、
P1: 5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGATGACTATTAATGTCTCCGA 3’(SEQ ID NO:5)
P2: 5’ AGACCGGCATCAAGTATGGTCTGGGCA 3’(SEQ ID NO:6)
P3: 5’ TGCCCAGACCATACTTGATGCCGGTCT 3’(SEQ ID NO:7)
P4: 5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTAGCCGGCGTAAGGATCCCGGAT 3’(SEQ ID NO:8)
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869をテンプレートとし、それぞれプライマーP1とP2、P3とP4で、PCR増幅を行った。
PCR系:10×Ex Taq Buffer 5 μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4 μL、プライマー(10 pM)各2 μL、Ex Taq(5 U/μL)0.25 μL、テンプレートが1 μLであり、残量が水であり、総容積50 μLである。
上記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で40秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われ、BBD29_00405遺伝子コード領域を含む、大きさがそれぞれ約647 bpと927 bpである2つのDNA断片(BBD29_00405G597A-Up(SEQ ID No.29)とBBD29_00405G597A-Down(SEQ ID No.30)を取得した。
BBD29_00405G597A-UpとBBD29_00405G597A-Downをアガロースゲル電気泳動により分離精製した後さらに上記2つのDNA断片をテンプレートとし、P1とP4をプライマーとし、オーバーラップPCR増幅により長さ約1547 bpのBBD29_00405G597A-Up-Down断片を得、そのヌクレオチド配列は、SEQ ID No.31である。
PCR系:10×Ex Taq Buffer 5 μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4 μL、プライマー(10 pM)各2 μL、Ex Taq(5 U/μL)0.25 μL、テンプレートが1μLであり、残量が水であり、総容積が50 μLである。
上記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で100秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われた。
このDNA断片により、ATCC 13869の変異誘導菌株コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)におけるBBD29_00405遺伝子コード領域の597番目のグアニン(G)をアデニン(A)に変化させ、最終的にコードされたタンパクの199番目のアミノ酸は、メチオニン(M)からイソロイシン(I)に変化させた。
pK18mobsacBプラスミド(Addgene社から購入)をXba I酵素で切断した後、アガロースゲル電気泳動でBBD29_00405G597A-Up-Downと線形化したpK18mobsacBプラスミドを分離精製し、さらにNEBuider組換え系(NEB E5520S)で組み立て、ベクターpK18-BBD29_00405G597Aを得、該プラスミドには、カナマイシン抵抗性マーカーが含まれる。そしてベクターpK18-BBD29_00405G597Aをシーケンシング会社に送ってシーケンシング鑑定し、正しい点変異(G-A)を含むベクターpK18-BBD29_00405G597Aを保存して予備した。
組換えベクターpK18-BBD29_00405G597Aは、SEQ ID No.31に示されるDNA断片BBD29_00405G597A-Up-Down断片をpK18mobsacBベクターのXba I認識部位間に挿入し、pK18mobsacBベクターの他の配列をそのまま維持し、得られた組換えベクターである。
実施例2 点変異を含むBBD29_00405G597Aの工学的菌株の構築
構築方法:アイソサイト置換プラスミドpK18-BBD29_00405G597Aを電気転換によりL-グルタミン酸を高生産するコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220であり、シークエンスにより該菌株染色体上に野生型のBBD29_00405遺伝子コード領域が保留されていることが確認され)に導入し、培養により生じた単一コロニーは、それぞれプライマーP1と汎用プライマーM13Rにより鑑定され、大きさ約1554 bp(SEQ ID No.32)バンドを増幅できた菌株は、陽性菌株である。陽性菌株は、15%のショ糖を含む培地板上で培養され、培養により生じた単一コロニーは、それぞれカナマイシンを含む培地板とカナマイシンを含まない培地板上で培養され、カナマイシンを含まない培地上で成長するが、カナマイシンを含む培地上で成長しない菌株は、さらに以下のプライマー(上海invitrogen公司により合成された)を採用してPCR鑑定され、
P5: 5’ AGAAGGCAACCTGCGCATGA 3’(SEQ ID NO:9)
P6: 5’ ATCGGGTTGGAAATCGCAGA 3’(SEQ ID NO:10)
汎用プライマーM13R配列は、M13R:5’ CAG GAA ACA GCT ATG ACC 3’である。
上記PCR増幅産物261 bp(SEQ ID No.33)は、高温変性、氷浴後にsscp電気泳動(プラスミドpK18-BBD29_00405G597Aの増幅断片を陽性対照とし、ATCC 13869の増幅断片を陰性対照、水を空白対照とする)を行い、断片構造が異なり、電気泳動位置が異なるため、断片の電気泳動位置が陰性対照断片の位置と一致せず且つ陽性対照断片の位置と一致する菌株を、アイソサイト置換に成功した菌株とする。
アイソサイト置換に成功した菌株の目的断片を、さらにプライマーP5とP6でPCR増幅を行い、PMD19-Tベクターに連結してシークエンスを行い、塩基配列の比較により置換に成功したかどうかを決定し、高生産型グルタミン酸からのコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)置換に成功した変異株をYPG-025と命名した。
組換え菌YPG-025は、アレル置換の方式でコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)CGMCC No. 21220のBBD29_00405遺伝子コード領域(SEQ ID No.1)に点変異G597Aを導入し、該遺伝子の597番目のGをAに変異させ、該遺伝子の他の配列をそのままし、得た点変異(G-A)を含む遺伝子工学菌YPG-025である。
コリネバクテリウム・グルタミクムCGMCC21220と、コリネバクテリウム・グルタミクムYPG-025との相違点は、コリネバクテリウム・グルタミクムCGMCC21220ゲノムにおけるSEQ ID No.1に示されるBBD29_00405遺伝子をSEQ ID No.2に示されるBBD29_00405G597A遺伝子に置換しただけである。SEQ ID No.1とSEQ ID No.2には、597番目に位置するヌクレオチドの相違点が1つしか存在しない。
SSCP電気泳動PAGEの製造及び条件を表2に示す。
Figure 2024505808000002
実施例3 ゲノムにおいてBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌株の構築
NCBIにより公表されたコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869ゲノム(GenBank:CP016335.1)配列に基づいて、上下流相同アーム断片及びBBD29_00405遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅するプライマーを3組設計して合成し、相同組換えの方式で菌株コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)にBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を導入した。
プライマー設計は、以下のとおりである(上海invitrogen公司により合成された)、
P7: 5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACCCGCTTGCCATACGAAG 3’
P8: 5’ CCTACCACGA CGAGCACTAC ATCTACTCAT CTGAAGAATC 3’
P9: 5’ GATTCTTCAG ATGAGTAGAT GTAGTGCTCG TCGTGGTAGG 3’
P10: 5’ CAAACCAGAG TGCCCACGAA CTAGCCGGCG TAAGGATCCC 3’
P11: 5’ GGGATCCTTA CGCCGGCTAG TTCGTGGGCA CTCTGGTTTG 3’
P12: 5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATAAGAAACAACCACTTCC 3’
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869又はYPI019をテンプレートとし、それぞれプライマーP7/P8、P9/P10、P11/P12でPCR増幅を行った、上流相同アーム断片約806 bp、BBD29_00405(SEQ ID No.34)又はBBD29_00405G597A遺伝子断片(SEQ ID No.36)約1777 bp及び下流相同アーム断片約788 bp(SEQ ID No.37)を得、さらにP7/P12をプライマーとし、以上の増幅した3つの断片をテンプレートとして混合して増幅し、3291 bpの統合相同アーム断片上流-BBD29_00405-下流(SEQ ID No.38)又は統合相同アーム断片上流-BBD29_00405G597A-下流(SEQ ID No.39)を得た。PCR反応終了後、増幅産物を電気泳動により回収し、カラム型DNAゲル回収キットを用いて必要な約3291 bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換え系を採用しXba I酵素切断により回収されたシャトルプラスミドpkl8mobsacBと連結し、統合プラスミド(即ち組換えベクター)pkl8mobsacB-BBD29_00405又はpkl8mobsacB-BBD29_00405G597Aを得、プラスミドには、カナマイシン抵抗性マーカーが含まれ、カナマイシンスクリーニングによりプラスミドがゲノムに統合された組換え子を得ることができる。
pkl8mobsacB-BBD29_00405は、統合相同アーム断片上流-BBD29_00405-下流(SEQ ID No.38)をシャトルプラスミドpkl8mobsacBのXba I酵素切断部位間に挿入して得られた組換えベクターである。
pkl8mobsacB-BBD29_00405は、統合相同アーム断片上流-BBD29_00405G597A-下流(SEQ ID No.39)をシャトルプラスミドpkl8mobsacBのXba I酵素切断部位間に挿入して得られた組換えベクターである。
PCR系:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4μL、プライマー(10pM)各2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、テンプレート1μLがであり、残量が水であり、総容積が50μLである。
上記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で180秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われた。
2つの統合プラスミドをそれぞれ電気転換によりコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No.21220である)に導入し、培養により生じた単一コロニーは、P13/P14プライマーPCRで鑑定され、PCRが増幅できた大きさ約1970 bp(SEQ ID No.40)の断片を含むのは、陽性菌株であり、断片を増幅できなかったのは、原菌である。陽性菌株は、15%のショ糖スクリーニングを経てた後に、それぞれカナマイシンを含む培地板とカナマイシンを含まない培地板上で培養され、カナマイシンを含まない培地上で成長するが、カナマイシンを含む培地上で成長しない菌株は、さらにP15/P16プライマーを採用してPCR鑑定され、増幅できた大きさ約1758 bp(SEQ ID No.41)の菌は、BBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を菌株コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)ゲノムに統合した菌株であり、YPG-026(変異点を除く)とYPG-027(変異点を含む)と命名された。
P13: 5’ GTCCAAGGTGACGGCCGCAC 3’
P14: 5’ AGCTTCGCCGATGTTGCGCA 3’
P15: 5’ AGGTTGCACCCGCCATCGCTGCA 3’
P16: 5’ ATATTCGGCCCAGCAGCAGC 3’
組換え菌YPG-026は、統合相同アーム断片上流-BBD29_00405-下流(SEQ ID No.38)を菌株コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001ゲノムに統合して得られた2コピーのSEQ ID No.1に示されるBBD29_00405遺伝子を含む組換え菌であり、2コピーBBD29_00405遺伝子を含む組換え菌は、BBD29_00405遺伝子の発現量を顕著かつ安定的に増加させることができる。
組換え菌YPG027は、統合相同アーム断片上流-BBD29_00405G597A-下流(SEQ ID No.39)を菌株コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001ゲノムに統合して得られたSEQ ID No.2に示されるBBD29_00405G597A変異遺伝子を含む組換え菌である。
実施例4 プラスミドにおいてBBD29_00405又はBBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌株の構築
NCBIにより公表されたコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869ゲノム(GenBank:CP016335.1)配列に基づいて、BBD29_00405遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅するプライマーを1組設計して合成し、プライマー設計は、以下のとおりである(上海invitrogen公司により合成された)、
P17: 5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGTAGTGCTCGTCGTGGTAGG 3’
P18: 5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACCTAGCCGGCGTAAGGATCCCGGAT 3’
構築方法:ATCC 13869又はYPG-025をテンプレートとし、プライマーP17/P18でPCR増幅を行い、BBD29_00405を含むDNA分子(SEQ ID No.42)又はBBD29_00405G597Aを含むDNA分子(SEQ ID No.43)を約1807 bp得、増幅産物を電気泳動により回収し、カラム型DNAゲル回収キットを用いて必要な1807 bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換え系を採用しEcoR I酵素切断により回収されたシャトルプラスミドpXMJ19(BioVector NTCC BiovectorpXMJ19)と連結し、過剰発現プラスミドpXMJ19-BBD29_00405又はpXMJ19-BBD29_00405G597Aを得た。プラスミドには、クロラムフェニコール耐性マーカーが含まれ、クロラムフェニコールスクリーニングにより得られたプラスミドを菌株に形質転換することができる。
PCR系:10×Ex Taq Buffer 5 μL、dNTP Mixture(各2.5 mM)4 μL、Mg2+(25 mM)4 μL、プライマー(10 pM)各2 μL、Ex Taq(5 U/μL)0.25 μL、テンプレートが1μLであり、残量が水であり、総容積が50 μLである。
前記上記PCR増幅は、94℃で5分間の予備変性、94℃で30秒間の変性、52℃で30秒間のアニール、72℃で100秒間の伸長(30サイクル)、72℃で10分間の過剰伸長の方式で行われた。
組換えベクターpXMJ19-BBD29_00405は、BBD29_00405を含むDNA分子(SEQ ID No.42)をシャトルプラスミドpXMJ19のEcoR I酵素切断部位間に挿入して得られた組換えベクターである。
組換えベクターpXMJ19-BBD29_00405G597Aは、BBD29_00405G597Aを含むDNA分子(SEQ ID No.43)をシャトルプラスミドpXMJ19のEcoR I酵素切断部位間に挿入して得られた組換えベクターである。
プラスミドをそれぞれ電気転換によりコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)に導入し、培養により生じた単一コロニーは、M13R(-48)とP18プライマーでPCR鑑定され、PCR増幅できた大きさ約1846 bpの断片(SEQ ID No.44)を含むのは、転入菌株であり、YPG-028(変異点を除く)とYPG-029(変異点を含む)と命名された。
M13R(-48)配列は、以下のとおりである、
5’ AGCGGATAAC AATTTCACAC AGGA 3’
組換え菌YPG-028は、2コピーSEQ ID No.1に示されるBBD29_00405遺伝子を含み、組換え菌YPG-028は、プラスミド上の野生型BBD29_00405遺伝子を過剰発現させる工学的菌であり、即ちプラスミドpXMJ19-BBD29_00405が染色体外に過剰発現を行う。
組換え菌YPG-029は、SEQ ID No.2に示される変異のBBD29_00405G597A遺伝子を含み、組換え菌YPG-029は、プラスミド上の変異型BBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌であり、即ちプラスミドpXMJ19-BBD29_00405G597Aが染色体外に過剰発現を行う。
実施例5 ゲノムにおいてBBD29_00405遺伝子を欠失させた工学的菌株の構築
NCBIにより公表されたコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869ゲノム(GenBank:CP016335.1)配列に基づいて、BBD29_00405遺伝子コード領域両端の断片を増幅するプライマーを2組合成し、上下流相同アーム断片とする。プライマー設計は、以下のとおりである(上海英俊公司により合成された)、
P19: 5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGTCTGGGGGTGAGCGCGGAT 3’
P20: AGGAAAATAACGCATCCATCTGCCCCTTTACAAATCCACCGCAAACACTGGGAT 3’
P21: TGGATTTGTAAAGGGGCAGATGGATGCGTTATTTTCCTTCACTTTTCGTATCCA 3’
P22: 5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTCTGGCGCATCGAACAGGTCGAAGGA 3’
コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869をテンプレートとし、それぞれプライマーP19/P20及びP21/P22で、PCR増幅を行い、上流相同アーム断片709 bp(SEQ ID No.45)及び下流相同アーム断片734 bp(SEQ ID No.46)を得た。さらにプライマーP19/P22でOVERPCRして相同アーム断片1405 bp(SEQ ID No.47)全体を得た。PCR反応終了後、増幅産物を電気泳動により回収し、カラム型DNAゲル回収キットを用いて必要な1405 bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換え系によってXba I酵素切断により回収されたシャトルプラスミドpkl8mobsacBプラスミドと連結し、ノックアウトプラスミドを得た。該プラスミドには、カナマイシン抵抗性マーカーが含まれた。
ノックアウトプラスミドを電気変換によりコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)に導入し、培養により生じた単一コロニーは、それぞれ以下のプライマー(上海英俊公司により合成された)によってPCR鑑定された、
P23: 5’ GTCTGGGGGTGAGCGCGGAT 3’
P24: 5’ CTCTGGCGCATCGAACAGGTCGAAGGA 3’
上記PCR増幅できた大きさ約1331 bp(SEQ ID No.49)及び約2804 bp(SEQ ID No.48)のバンドの菌株は、陽性菌株であり、2804 bpバンドのみ増幅できた菌株は、出発菌である。陽性菌株は、15%のショ糖培地上でスクリーニングされた後に、それぞれカナマイシンを含む培地板とカナマイシンを含まない培地板上で培養され、カナマイシンを含まない培地上で成長するが、カナマイシンを含む培地上で成長しない菌株は、さらにP23/P24プライマーを採用してPCR鑑定され、増幅できた大きさ1331 bpバンドの菌株は、BBD29_00405遺伝子コード領域がノックアウトされた遺伝子工学的菌株であり、YPG-030と命名された。
組換え菌YPG-030は、コリネバクテリウム・グルタミクムCGMCC No. 21220上のゲノムにおけるBBD29_00405遺伝子がノックアウトされた。
実施例6 L-グルタミン酸発酵実験
実施例2~5で構築された菌株YPG-025、YPG-026、YPG-027、YPG-028、YPG-029、YPG-030とオリジナルコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵槽(上海百崙生物科技有限公司から購入された)で、表3に示される培地と表4に示される発酵制御プロセスに従って発酵実験を行い、発酵産物を収集した。
接種完了の初期時刻で、系における菌濃度は、15 g/Lである。発酵中に、50~55%のブドウ糖水溶液を補充することによって系の糖度(残糖)を制御した。
各菌株は3回繰り返し、結果を表5に示す。
Figure 2024505808000003
上記発酵培地は、表3に示される溶質を水に溶解して得られた発酵培地である。
Figure 2024505808000004
Figure 2024505808000005
結果は、表5に示すように、L-グルタミン酸を生産する工学的菌コリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001(生物保存番号がCGMCC No. 21220である)において、BBD29_00405遺伝子コード領域に対して点変異BBD29_00405G597Aを行うことにより、L-グルタミン酸生産量の向上に有利であり、BBD29_00405、BBD29_00405G597Aを過剰発現させることにより、l一グルタミン酸の生産量の向上に有利であるが、BBD29_00405遺伝子をノックアウトすることにより、L-グルタミン酸の蓄積に不利である。
以上本発明の実施方式について説明した。しかし、本発明は、上記実施方式に限定されるものではない。本発明の精神と原則において、いかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
本発明は、BBD29_00405遺伝子のノックアウトにより、該遺伝子のコードする産物がL-グルタミン酸生産能力に影響を与え、コード配列に点変異を導入し、又は該遺伝子のコピー数を増加又は過剰発現させて組換え菌株を得ることにより、得られた菌株が未改造の菌株と比べて、高濃度のグルタミン酸を生産するのに有利であることを発見した。本発明によるCTD-2256P15.2又はそのコードするマイクロペプチドPACMPの阻害剤は、腫瘍細胞又は腫瘍組織に作用することにより、腫瘍細胞の増殖を著しく抑制し、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させ、腫瘍体積を減少させることができ、優れた抗腫瘍効果を有する。本発明による新規抗腫瘍薬物組合せ案は、CTD-2256P15.2またはそのコードするマイクロペプチドPACMP阻害剤と他の抗腫瘍剤とを併用することにより、抗腫瘍剤の腫瘍細胞に対する殺傷効果を著しく増強し、腫瘍細胞の化学療法耐性を低下させ、腫瘍の臨床治療効果を向上させることができる。CTD-2256P15.2は化学療法耐性の腫瘍組織と細胞系で高発現し、しかもその高発現は腫瘍患者の無疾患進行生存期と全体生存期と明らかに負の相関がある。本発明によるCTD2256P15.2遺伝子の発現レベルは、腫瘍患者の化学療法に対する感受性及び予後を予測するための分子指標として用いられてもよく、腫瘍患者の臨床化学療法投与を効果的に指導し、治療予後を評価するための新たな基準を切り開いた。
具体的には、本発明は、まずアレル置換の方式でコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)CGMCC No.21220のBBD29_00405遺伝子コード領域(SEQ ID No.1)に点変異を導入し、点変異(G-A)を含む遺伝子工学的菌YPG-025を構築した。菌生産中に野生型BBD29_00405遺伝子又はその変異遺伝子BBD29_00405G597Aを過剰発現させるそれぞれ外来遺伝子を宿主染色体に統合し又はプラスミド染色が体外に発現させ、ゲノム上とプラスミド上においてBBD29_00405遺伝子又はBBD29_00405G597A遺伝子を過剰発現させる工学的菌YPG-026、YPG-027、YPG-028とYPG-029を構築した。実験によると、BBD29_00405遺伝子及びその変異体は、L-グルタミン酸の生物合成に関与しており、BBD29_00405遺伝の過剰発現又はノックアウト、又は固定点変異(例えば点変異)を行うことにより、L-グルタミン酸の微生物における蓄積量を制御することができる。BBD29_00405遺伝子コード領域に対して点変異又は菌生産中にBBD29_00405遺伝子又はその変異遺伝子BBD29_00405G597Aを過剰発現させることにより、L-グルタミン酸生産量及び形質転換率の向上に有利であるが、BBD29_00405遺伝子に対してノックアウト又は弱化を行うことは、L-グルタミン酸の蓄積に不利である。BBD29_00405遺伝子及びその変異体(例えばBBD29_00405G597A遺伝子)を利用してL-グルタミン酸を生産する遺伝子工学的菌種を構築し、L-グルタミン酸生産量の向上を促進することができ、工業化生産に適合する高生産、高品質の菌種を育成し、L-グルタミン酸の工業化生産に対して広範な応用価値と重要な経済意義を持つ。
菌種名:コリネバクテリウム・グルタミクム:Corynebacterium glutamicum、菌株番号:YPGLU001、受託番号:CGMCC 21220

Claims (20)

  1. L-グルタミン酸生産細菌であって、SEQ ID N0:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されており、
    好ましくは、前記改善された発現は、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が増強されていること、又はSEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点変異を有していること、又はSEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点変異を有し且つ発現が増強されていることである、ことを特徴とするL-グルタミン酸生産細菌。
  2. SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの点変異により、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列の199番目のメチオニンは、異なるアミノ酸で置換され、好ましくは、199番目のメチオニンは、イソロイシンで置換される、ことを特徴とする請求項1に記載の細菌。
  3. SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の細菌。
  4. 前記点変異を有するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基の変異により形成され、
    好ましくは、前記変異は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基のグアニン(G)からアデニン(A)への変異を含み、
    好ましくは、前記点変異を有するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の細菌。
  5. 前記細菌は、コリネバクテリウム属細菌であり、好ましくは、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermenturn)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・ペキネンシス(Corynebacterium pekinense)、ブレビバクテリウム・サッカロリチカム(Brevibacterium saccharolyticum)、ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacterium roseum)、ブレビバクテリウム・チオゲニタイス(Brevibacterium thiogenitaiis)であり、好ましくは、生物保存番号がCGMCC No. 21220であるコリネバクテリウム・グルタミクムYPGLU001、又はコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13869である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の細菌。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の細菌を培養し、前記培養物からL-グルタミン酸を回収することを含む、L-グルタミン酸の生産方法。
  7. ポリヌクレオチドであって、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を含むポリヌクレオチドをコードすることを含み、ここで、199番目のメチオニンは、異なるアミノ酸で置換され、好ましくは、199番目のメチオニンは、イソロイシンで置換され、
    好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID N0:4に示されるアミノ酸配列を含むポリヌクレオチドをコードすることを含み、
    好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基の変異により形成され、好ましくは、前記変異は、SEQ ID NO:1に示されるポリヌクレオチド配列の597番目の塩基のグアニン(G)からアデニン(A)への変異であり、
    好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:2に示されるポリヌクレオチド配列を含む、ことを特徴とするポリヌクレオチド。
  8. アミノ酸配列は、SEQ ID N0:4に示される、ことを特徴とするタンパク。
  9. 請求項7に記載のポリヌクレオチド及び/又は請求項8に記載のタンパクを含む組換えベクター、発現カセット、トランスジェニック細胞系と/組換え菌。
  10. 請求項7に記載のポリヌクレオチド、請求項8に記載のタンパク、請求項9に記載の組換えベクター、発現カセット、トランスジェニック細胞系と/組換え菌の、L-グルタミン酸の生産における応用。
  11. 前記タンパク質は、
    A1)アミノ酸配列がSEQ ID No.4であるタンパク質と、
    A2)SEQ ID No.4に示されるアミノ酸配列を、アミノ酸残基の置換及び/又は欠失及び/又は添加を経て得られた、A1)に示されるタンパク質と80%以上の同一性を有し且つ同じ機能を有するタンパク質と、
    A3)A1)又はA2)のN端及び/又はC端にタグを連結して得られた、同じ機能を有する融合タンパク質とのうちのいずれか一つである、ことを特徴とするタンパク質。
  12. 前記核酸分子は、
    B1)請求項11に記載のタンパク質をコードする核酸分子と、
    B2)コード配列がSEQ ID No.2に示されるDNA分子と、
    B3)ヌクレオチド配列がSEQ ID No.2に示されるDNA分子とのうちのいずれか一つである、ことを特徴とする核酸分子。
  13. 前記生体材料は、
    C1)請求項12に記載の核酸分子を含む発現カセットと、
    C2)請求項12に記載の核酸分子を含む組換えベクター、又はC1)に記載の発現カセットを含む組換えベクターと、
    C3)請求項12に記載の核酸分子を含む組換え微生物、又はC1)に記載の発現カセットを含む組換え微生物、又はC2)に記載の組換えベクターを含む組換え微生物とのうちのいずれか一つである、ことを特徴とする生物材料。
  14. FI)D1)~D8)のうちのいずれか一つの微生物のL-グルタミン酸の生産量の制御における応用と、
    F2)D1)~D8)のうちのいずれか一つのL-グルタミン酸生産の遺伝子工学菌の構築における応用と、
    F3)D1)~D8)のうちのいずれか一つのL-グルタミン酸の製造における応用とのうちのいずれか一つにおけるD1)~D8)のうちのいずれか一つの応用であって、
    ここで、前記D1)~D8)は、
    D1)請求項11に記載のタンパク質、
    D2)請求項12に記載の核酸分子、
    D3)請求項13に記載の生物材料、
    D4)ヌクレオチド配列がSEQ ID No.1であるDNA分子、
    D5)SEQ ID No.1に示されるヌクレオチド配列を、修飾及び/又は一つ又は複数のヌクレオチドの置換及び/又は欠失及び/又は添加を経て得られた、SEQ ID No.1に示されるDNA分子と90%以上の同一性を有し、且つ同じ機能を有するDNA分子、
    D6)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む発現カセット、
    D7)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む組換えベクター、又はD6)に記載の発現カセットを含む組換えベクター、
    D8)D4)又はD5)に記載のDNA分子を含む組換え微生物、又はD6)に記載の発現カセットを含む組換え微生物、又はD7)に記載の組換えベクターを含む組換え微生物である、D1)~D8)のうちのいずれか一つの応用。
  15. 微生物におけるL-グルタミン酸の生産量を向上させる方法であって、
    E1)目的微生物における請求項12に記載の核酸分子の発現量又は、含有量を向上させ、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることと、
    E2)目的微生物における請求項14におけるD4)又はD5)に記載のDNA分子の発現量又は、含有量を向上させ、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることと、
    E3)前記目的微生物におけるヌクレオチド配列がSEQ ID No. 1であるDNA分子を変異させ、L-グルタミン酸の生産量が前記目的微生物よりも高い微生物を得ることとのうちのいずれか一つを含む、ことを特徴とする微生物におけるL-グルタミン酸の生産量を向上させる方法。
  16. 前記変異は、点変異である、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記点変異は、SEQ ID No.1に示されるDNA分子がコードするアミノ酸配列の199番目のメチオニン残基を別のアミノ酸残基に変異させることである、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記点変異は、SEQ ID No.1に示されるDNA分子がコードするアミノ酸配列の199番目のアラニンをイソロイシンに変異させ、アミノ酸配列がSEQ ID No.4である変異タンパク質を得ることである、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
  19. 請求項13又は14に記載の組換え微生物を構築する方法であって、
    F1)請求項12に記載の核酸分子を目的微生物に導入し、前記組換え微生物を得ることと、
    F2)SEQ ID No.1に示されるDNA分子を目的微生物に導入し、前記組換え微生物を得ることと、
    F3)遺伝子編集手段を用いてSEQ ID No.1に示されるDNA分子を編集し、目的微生物にSEQ ID No.2に示されるDNA分子を含ませることとのうちの少なくともいずれか一つを含む、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の組換え微生物を構築する方法。
  20. 請求項13又は14に記載の組換え微生物を用いてL-グルタミン酸を生産することを含む、ことを特徴とするL-グルタミン酸の製造方法。
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