JP2024092133A - 化粧シートおよび化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シートおよび化粧シートの製造方法

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JP2024092133A JP2022207847A JP2022207847A JP2024092133A JP 2024092133 A JP2024092133 A JP 2024092133A JP 2022207847 A JP2022207847 A JP 2022207847A JP 2022207847 A JP2022207847 A JP 2022207847A JP 2024092133 A JP2024092133 A JP 2024092133A
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Abstract

【課題】艶消し感を有し、耐久性に優れた化粧シートおよび化粧シートの製造方法を提供する。
【解決手段】化粧シート10は、原反層2と、前記原反層2の上側UPに設けられ、表面に畝状に突出して設けられた畝状部を有し、凹凸形状が形成された表面保護層6と、を備え、前記表面保護層6の前記凹凸形状において、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率が、10以上300以下である。化粧シート10の製造方法は、原反層2の上側UPに表面保護層6を塗工する保護層塗工工程と、前記表面保護層6の表面へ波長200nm以下の光を照射して畝状部を形成する光照射工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シートおよび化粧シートの製造方法に関する。
従来、住宅等の建築物の内装材や造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器又は家電製品等の表面化粧に用いられる化粧シートがある。化粧シートは、長期間に亘って使用しても表面の美観を損なわないように、耐摩耗性、耐擦傷性、耐汚染性等の耐久性を求められる。
また、化粧シートの表面に設けられた保護層へシリカ又はタルク等の艶消し剤を添加することによって艶消し感を付与した化粧シートがある。艶消し剤として不規則な角部や稜部を有する不定形状の粒子を使用し、この粒子の一部を保護層の平均表面から突出させて微細な凹凸形状を形成させることで化粧シートへ艶消し感が付与される。
しかしながら、艶消し剤が添加された化粧シートにおいて、化粧シートの表面に物品等が接触したとき、物品等の接触によって艶消材として添加されている粒子が脱落する虞がある。また、脱落した粒子が保護層の表面を擦ることによって、化粧シートの表面に傷が付いて保護層の表面形状が変化し、化粧シートの表面の艶の変化や美観の低下が生じる虞がある。
耐久性に優れて艶消し感を有する化粧シートとして、特許文献1に記載のある化粧材がある。特許文献1に記載のある化粧材は、基材の表面に透明な樹脂組成物を主成分とする保護層が設けられてなる化粧材である。保護層は、基材側から順に、艶消し剤を含有する第一保護層と、艶消し剤を含有せずに硬質球状粒子を含有する第二保護層とからなる。そのため、第二保護層によって、第一保護層による艶消し感を摩耗や擦傷から保護して長期に亘り持続させることができる。
特許第4578756号公報
しかしながら、特許文献1に記載のある化粧材は、艶消し感を有する第一保護層を保護する第二保護層を有するため、第二保護層によって艶が上がってしまい低光沢にする事が困難な虞がある。
上記事情を踏まえ、本発明は、艶消し感を有し、耐久性に優れた化粧シートおよび化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、原反層と、前記原反層の上側に設けられ、表面に畝状に突出して設けられた畝状部を有し、凹凸形状が形成された表面保護層と、を備え、前記表面保護層の前記凹凸形状において、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率が、10以上300以下である。
上記化粧シートでは、前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂を含み、前記表面における、60度反射光沢が5以下、かつ、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率が3以下であってもよい。
上記化粧シートでは、前記表面保護層に前記畝状部を有さない化粧シートに対して光沢度が±10の範囲のとき、前記畝状部を有さない前記化粧シートと比較して、前記表面保護層の前記表面における指による動摩擦係数値が低い値であってもよい。
上記化粧シートでは、前記表面保護層は、平均粒径が5μm以下の粒子を含んでもよい。
上記化粧シートでは、前記表面保護層は、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、前記粒子の添加量が0.5質量部以下であってもよい。
本発明の化粧シートの製造方法は、原反層の上側に表面保護層を塗工する保護層塗工工程と、前記表面保護層の表面へ波長200nm以下の光を照射して畝状部を形成する光照射工程と、を備える。
上記化粧シートの製造方法では、前記光照射工程における前記表面保護層へ照射する前記光は、波長172nmのエキシマVUV光であってもよい。
上記化粧シートの製造方法では、前記光照射工程の後に、前記表面保護層に電離放射線を照射して前記表面保護層を硬化させる保護層硬化工程を備えてもよい。
本発明の化粧シートおよび化粧シートによれば、艶消し感を有し、耐久性に優れた化粧シートおよび化粧シートの製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る化粧シートを模式的に示す断面図である。 同化粧シートの上側からの平面視における凹凸形状の例を示す写真である。 同化粧シートの表面保護層を模式的に示す断面図である。 化粧シートの製造方法の一例を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る化粧シート10を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、図1に示すように、化粧シート10の厚さ方向を「上下方向V」、化粧シート10の表面保護層6が設けられた向きを上下方向Vにおける「上側UP」、反対向きを上下方向Vにおける「下側LO」と定義する。
化粧シート10は、プライマ層1と、原反層2と、絵柄層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5と、表面保護層6とを備える。
プライマ層1は、化粧シート10の下側LOに設けられた層である。プライマ層1として、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂等を採用できる。プライマ層1には、特に、2液硬化型ウレタン系樹脂を採用するのが望ましい。プライマ層1は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法によって、後述する原反層2の下側LOに形成されている。また、プライマ層1は、公知のコーティング装置を用いて形成されてもよい。
原反層2は、プライマ層1の上側UPに設けられた層である。原反層2として、薄葉紙、チタン紙又は樹脂含浸紙等の紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール又はアクリル等の合成樹脂を採用できる。
また、原反層2として、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム又はポリウレタン等のゴムを採用できる。また、原反層2として、有機系や無機系の不織布を採用してもよいし、アルミニウム、鉄、金又は銀等の金属を用いた金属箔を採用してもよい。
原反層2の厚さは、印刷性やコスト性の観点から、20μm以上250μm以下が望ましい。また、原反層2としてオレフィン系の樹脂を用いる場合、原反層2の表面が不活性な状態である虞がある。そのため、木質の板又は金属系の板等の図示しない基材を原反層2の下側LOに設ける場合、原反層2と基材との間にプライマ層1を設けることで、原反層2と基材との密着性を向上できる。
絵柄層3は、原反層2の上側UPに設けられた層である。絵柄層3は、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を施すことで形成された層である。印刷方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、絵柄層3には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。また、絵柄層3として、2液硬化型のウレタンインキを採用するのが望ましい。絵柄層3は、インキのバインダ樹脂に光安定剤や紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
接着剤層4は、絵柄層3の上側UPに設けられた層である。接着剤層4として、ポリエチレン系、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系等の公知の接着性樹脂を採用できる。接着剤層4には、絵柄層3の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。接着剤層4を形成する方法として、溶融押出成形法を採用できる。また、接着剤層4は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法や、公知のコーティング装置を用いて形成されてもよい。
透明樹脂層5は、接着剤層4の上側UPに設けられた層である。透明樹脂層5として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリエステル等を採用できる。透明樹脂層5として、結晶性ポリプロピレンを採用するのが望ましい。透明樹脂層5として結晶性ポリプロピレンを用いることで、化粧シート10の表面の強度を向上できる。また、透明樹脂層5は、光安定剤や紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。透明樹脂層5には、接着剤層4を通して絵柄層3の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。
表面保護層6は、透明樹脂層5の上側UPに設けられた層である。表面保護層6として、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂又はエポキシ系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を採用できる。表面保護層6には、接着剤層4および透明樹脂層5を通して絵柄層3の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。
図2は、化粧シート10の上側UPからの平面視における凹凸形状の例を示す写真である。
表面保護層6は、コア部6aと、コア部6aの上側UPの面から畝状に突出して設けられた畝状部6bとを有している。これにより、表面保護層6の表面には凹凸形状が形成されている。ここで、「畝状」とは、上側UPに細長く盛り上がり、上側UPからの平面視において線状に連なった形状を示す。
図3は、化粧シート10の表面保護層6を模式的に示す断面図である。コア部6aは、表面保護層6において、畝状形状が形成されていない部分である。畝状部6bは、コア部6aの上側UPの面から畝状に突出して設けられ、表面保護層6における畝状形状を形成している部分である。
畝状部6bは、上側UPからの平面視において曲線状であっても直線状であってもよいが、化粧シート10の耐指紋性の観点から曲線状であるのが望ましい。また、本実施形態において、畝状部6bは、例えば、表面保護層6の表面に設けられた凹凸形状の上下方向Vにおける最も低い部分から最も高い部分までの部分であり、コア部6aは、表面保護層6における畝状部6b以外の部分である。
畝状部6bは、図3に示すように、細長く盛り上がり、上側UPからの平面視において線状に連なった形状をしている。畝状部6bは、表面保護層6の表面(上側UPの面)に対して後述する特定波長の光を照射し、表面保護層6を形成する樹脂(電離放射線硬化性樹脂等)の表面を収縮させることにより形成される。
表面保護層6における表面の凹凸形状は、算術平均粗さRa(μm)に対する平均長さRSm(μm)の比率RSm/Raが、10以上300以下である。ここで、算術平均粗さRaおよび平均長さRSmは、JIS B 0601に準拠した表面性状パラメータであり、算術平均粗さRaは、凹凸形状における厚さ方向(上下方向V)の表面粗さを示す表面性状パラメータである。また、平均長さRSmは、凹凸形状における巾方向の表面粗さを示す表面性状パラメータである。
凹凸形状において、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率RSm/Raが10未満であると畝状形状が細かく、例えば、図3に示す溝深さH1に対する溝幅W1が小さいため、表面保護層6に付着した汚れを拭き取りにくく、耐汚染性が劣る。また、比率RSm/Raが300より大きいと、畝状形状の間隔が広く、例えば、図3に示す溝深さH1に対する溝幅W1が大きく、表面保護層6の光沢が高くなり低光沢にならない。
凹凸形状における算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率を10以上300以下とすることで、化粧シート10は、耐汚染性に優れ、かつ、低光沢な意匠を有することができる。
また、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率RSm/Raは、50以上250以下が望ましい。比率RSm/Raが50以上250以下であると、畝状形状の間隔が適度に広いため、水又は洗浄剤(界面活性剤やアルコールを含んだ水等)に対する親和性が向上する。その結果、表面保護層6の表面に付着した汚れを容易に拭き取ることができる。
表面保護層6は、表面における60度反射光沢が5以下、かつ、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率が3以下であるのが望ましい。ここで、図3に示す入射角αの光において、60度反射光沢とは、入射角αが60度である光における反射光の光沢を示す。また、85度反射光沢は、入射角αが85度である光における反射光の光沢を示す。
60度反射光沢を5以下とすることで、化粧シート10は、優れた低光沢な意匠を有することができる。また、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率を3以下とすることで、60度反射光沢と85度反射光沢との値(光沢)の差が大きくなり過ぎず、化粧シート10は、入射角αによらず、均一に低光沢な意匠を有することができる。
また、表面保護層6の表面における指による動摩擦係数値は、同程度の艶を有し、かつ、畝状部6bを有さない化粧シートと比較して低い値である。表面保護層6の表面における指による動摩擦係数値は、特に、畝状部6bを有さない化粧シートに対して光沢度が±10の範囲のとき、この畝状部6bを有さない化粧シートと比較して低い値であることが望ましい。ここで、光沢度とは、前述の60度反射光沢や85度反射光沢等であり、入射光と正反射光との強度比を数値化したものを示すが、入射角αは60度又は85度に限定されるものではなく、任意の入射角αに対する光沢度である。化粧シートにおいて、一般的に表面の凹凸形状の高低差が大きいと、表面の光沢が抑えられ、低光沢になる。しかしながら、表面の凹凸形状の高低差が大きいと動摩擦係数も大きくなり、指で触ったときの触感が劣る。表面保護層6の表面における指による動摩擦係数を、同程度の艶を有し、かつ、畝状部6bを有さない化粧シートと比較して低い値とすることで、低光沢を有しつつ、触感に優れた化粧シート10を実現できる。
表面保護層6を透明樹脂層5の上側UPへ積層する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法や、公知のコーティング装置を採用できる。
表面保護層6は、粒子を含んでいるのが望ましい。粒子として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、樹脂ビーズなどの有機材料や、シリカ、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機材料を用いることができる。表面保護層6が含む粒子は、表面保護層6の光沢を調整するための艶消し剤として作用する。
表面保護層6が含む粒子の平均粒径は、5μm以下が望ましい。粒子の平均粒径を5μm以下とすることで、粒子の脱落による化粧シート10の耐傷性の低下を抑制できる。また、表面保護層6において、表面保護層6を形成する電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、粒子の添加量は0.5質量部以下が望ましい。粒子の添加量を0.5質量部以下とすることで、表面保護層6は、均一な面状態を形成することができ、低光沢な意匠をより安定して有することができる。表面保護層6は、畝状部6bを有することで、表面保護層6を形成する電離放射線硬化性樹脂100質量部に対する粒子の添加量が0.5質量部以下でも低光沢な意匠を実現できる。そのため、低光沢な意匠(艶消し感)と、耐久性を両立した化粧シート10を実現できる。また、表面保護層6において、粒子(艶消し剤)による透明感の低下を抑制でき、化粧シート10は優れた意匠を有することができる。
また、表面保護層6には、電離放射線硬化性樹脂におけるUV光による硬化を安定させるため、光開始剤を添加してもよい。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、チオキサントン系等が採用できる。また、表面保護層6に、必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤を添加してもよい。
次に、化粧シート10の製造方法の一例について説明する。
図4は、化粧シート10の製造方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態において、化粧シート10の製造方法は、絵柄印刷工程S1と、溶融押出工程S2と、押出ラミネート工程S3と、保護層塗工工程S4と、光照射工程S5と、保護層硬化工程S6と、を備える。
まず、化粧シート製造システムは、ステップS1(絵柄印刷工程)を実行する。ステップS1において、原反層2の上側UPの面に任意の絵柄を印刷して絵柄層3を形成する。このとき、原反層2の上側UPの面にコロナ処理等の表面処理を施した後に絵柄層3を印刷してもよい。また、原反層2の下側LOの面にプライマ層1を印刷して形成する。
次に、化粧シート製造システムは、ステップS2(溶融押出工程)を実行する。ステップS2において、接着剤層4を形成する樹脂と、透明樹脂層5を形成する樹脂とを溶融押出機を用いて共押出しして、接着剤層4および透明樹脂層5を形成する。
次に、化粧シート製造システムは、ステップS3(押出ラミネート工程)を実行する。ステップS3において、ステップS1で形成した絵柄層3の上側UPの面にドライラミネート用接着剤を塗布する。次に、ステップS2で形成した接着剤層4を介して、絵柄層3のドライラミネート用接着剤を塗布した面と、ステップS2で形成した透明樹脂層5とを押出ラミネート法により貼り合わせる。ここで、貼り合わせた透明樹脂層5の上側UPの面に、金型ロールのプレス等によってエンボス模様(形状)を施してもよい。エンボス模様を施して透明樹脂層5に凹凸形状を付与することで、化粧シート10は、視覚的な立体感を得ることができる。また、透明樹脂層5に施すエンボス模様として、絵柄層3が有する絵柄と同調した模様をエンボス加工してもよい。
次に、化粧シート製造システムは、ステップS4(保護層塗工工程)を実行する。ステップS4において、透明樹脂層5の上側UPの面に、表面保護層6を形成する電離放射線硬化性樹脂を塗工する。
次に、化粧シート製造システムは、ステップS5(光照射工程)を実行する。ステップS5において、ステップS4で塗工した電離放射線硬化性樹脂の表面(上側UPの面)に波長172mmのエキシマVUV光を照射する。波長200mm以下のエキシマVUV光を照射することで電離放射線硬化性樹脂の表面が収縮して、表面保護層6における畝状部6bが形成される。ここで、ステップS5で照射するエキシマVUV光の酸素濃度を100ppm、積算光量を30mJ/cmとしてもよい。
次に、化粧シート製造システムは、ステップS6(保護層硬化工程)を実行する。ステップS6において、ステップS5で畝状部6bを形成した電離放射線硬化性樹脂の表面に電離放射線を照射する。エキシマVUV光によって畝状部6bが形成された電離放射線硬化性樹脂に電離放射線を照射することで電離放射線硬化性樹脂が硬化して、コア部6aおよび畝状部6bを有し、凹凸形状が形成された表面保護層6が形成される。表面保護層6を形成して、化粧シート10の製造工程を完了する。
本実施形態の化粧シート10および化粧シート10の製造方法によれば、化粧シート10は、原反層2と、原反層2の上側UPに設けられ、表面に畝状に突出して設けられた畝状部6bを有し、凹凸形状が形成された表面保護層6とを備える。また、凹凸形状において、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率が10以上300以下である。そのため、表面保護層6において、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対する粒子(艶消し剤)の添加量が0.5質量部以下でも低光沢な意匠を実現でき、表面保護層6を保護する層等を備えなくても耐傷性および耐汚染性に優れる。
その結果、艶消し感を有し、耐久性に優れた化粧シート10および化粧シート10の製造方法を提供することができる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10は、透明樹脂層5を備えるが、化粧シート10の態様はこれに限定されない。化粧シートは、透明樹脂層5を備えなくてもよい。化粧シート10が透明樹脂層5を備え、透明樹脂層5にエンボス模様を施すことで視覚的な立体感を化粧シート10に付与できる。化粧シートにエンボス模様による視覚的な立体感を付与する必要が無い場合は、化粧シートは、透明樹脂層5を備えなくてもよい。また、化粧シートが透明樹脂層5を備える場合でも、透明樹脂層5にエンボス模様を施さなくてもよい。
(変形例2)
上記実施形態において、化粧シート10は、接着剤層4とプライマ層1とを備えるが、化粧シート10の態様はこれに限定されない。化粧シートは、接着剤層4又はプライマ層1を備えなくてもよい。接着剤層4およびプライマ層1は、接着剤層4又はプライマ層1を挟んで積層された層同士の密着性を向上させることができる。化粧シートが有する各層において、接着剤層4又はプライマ層1によって密着性を向上させなくても十分な密着性を有することができる場合は、化粧シートは接着剤層4又はプライマ層1を備えなくてもよい。
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(絵柄印刷工程S1)
原反層2として、厚さ55μmのオレフィンフィルム(リケンテクノス株式会社製)を準備し、原反層2の上側UPの面にコロナ処理を施した。原反層2のコロナ処理を施した上側UPの面に絵柄を印刷して絵柄層3を形成した。絵柄層3には、2液型ウレタンインキ(東洋インキ株式会社製のV180)に、当該インキのバインダ樹脂分に対してヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製のキマソーブ944)を0.5質量部添加したインキを用いた。また、原反層2の下側LOの面に、2液型ウレタンインキ(東洋インキ株式会社製のV180)を印刷してプライマ層1を形成した。
(溶融押出工程S2)
透明樹脂層5を形成する樹脂として結晶性ポリプロピレン樹脂(ペンタッド分率97.8%、分子量分布2.3、MFR 18g/10min)100質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製のキマソーブ944)0.5質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASF社製のチヌビン328)0.5質量部を混合した混合物と、接着剤層4を形成する樹脂としてポリエチレン系の易接着性樹脂とを溶融押出機を用いて共押出しして、厚さ60μmの透明樹脂層5と厚さ10μmの接着性樹脂層とを製膜した。
(押出ラミネート工程S3)
絵柄印刷工程S1で形成した絵柄層3の上側UPの面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学株式会社製のタケラックA540)を塗布量2g/mで塗布した。溶融押出工程S2で製膜した接着剤層4を介して、ドライラミネート用接着剤を塗布した絵柄層3の上側UPの面と、溶融押出工程S2で製膜した透明樹脂層5の下側LOの面とを押出ラミネート法により貼り合わせた。さらに、絵柄層3と貼り合わせた透明樹脂層5の上側UPの面にエンボス形成用の金型ロールを用いてプレスをし、エンボス模様を施した。
(保護層塗工工程S4)
押出ラミネート工程S3でエンボス模様を施した透明樹脂層5の上側UPの面に表面保護層6を形成する表面保護層用塗液を層厚5μmとなるように塗布した。
表面保護層用塗液(DPHA 0%)として、下記の電離放射線硬化性樹脂に、下記の粒子を配合した塗液を用いた。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(EO15モル付加)
品名:SR9035(Sartomer社製)
配合:100質量部
・粒子
品名:サイリシア250N(富士シリシア化学社製)
粒径:5μm
配合:0.5質量部
(光照射工程S5)
保護層塗工工程S4で塗布した表面保護層用塗液の表面に波長172mmのエキシマVUV光を照射して、表面保護層用塗液の表面を収縮させた。このとき、エキシマVUV光の酸素濃度は100ppm、積算光量は30mJ/cmとした。
(保護層硬化工程S6)
光照射工程S5でエキシマVUV光により収縮させた表面保護層用塗液の表面に電離放射線を照射し、表面保護層用塗液を硬化させて表面保護層6を形成した。こうして、実施例1の化粧シート10を得た。
(実施例2)
表面保護層6を形成する表面保護層用塗液(DPHA 20%)に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いた以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の化粧シート10を得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(EO15モル付加)
品名:SR9035(Sartomer社製)
配合:80質量部
種類:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
配合:20質量部
(比較例1)
表面保護層を形成する表面保護層用塗液に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いて、かつ、光照射工程S5を施さない以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の化粧シートを得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパントアクリレート
品名:NKエステルA-TMPT(新中村化学社製)
艶消し剤:富士シリシア化学製のサイリシア250Nを、表面保護層の60度反射光沢が0.4になるように電離放射線硬化性樹脂中に配合した。
(比較例2)
表面保護層を形成する表面保護層用塗液に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いて、かつ、光照射工程S5を施さない以外は実施例1と同様の方法により、比較例2の化粧シートを得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパントアクリレート
品名:NKエステルA-TMPT(新中村化学社製)
艶消し剤:富士シリシア化学製のサイリシア250Nを、表面保護層の60度反射光沢が3.27になるように電離放射線硬化性樹脂中に配合した。
(比較例3)
表面保護層を形成する表面保護層用塗液に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いて、かつ、光照射工程S5を施さない以外は実施例1と同様の方法により、比較例3の化粧シートを得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパントアクリレート
品名:NKエステルA-TMPT(新中村化学社製)
艶消し剤:富士シリシア化学製のサイリシア250Nを、表面保護層の60度反射光沢が5.73になるように電離放射線硬化性樹脂中に配合した。
(比較例4)
表面保護層を形成する表面保護層用塗液に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いて、かつ、光照射工程S5を施さない以外は実施例1と同様の方法により、比較例4の化粧シートを得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパントアクリレート
品名:NKエステルA-TMPT(新中村化学社製)
艶消し剤:富士シリシア化学製のサイリシア250Nを、表面保護層の60度反射光沢が10.8になるように電離放射線硬化性樹脂中に配合した。
(比較例5)
表面保護層を形成する表面保護層用塗液に用いる電離放射線硬化性樹脂として、下記の電離放射線硬化性樹脂を用いて、かつ、光照射工程S5を施さない以外は実施例1と同様の方法により、比較例5の化粧シートを得た。
・電離放射線硬化性樹脂
種類:トリメチロールプロパントアクリレート
品名:NKエステルA-TMPT(新中村化学社製)
艶消し剤:富士シリシア化学製のサイリシア250Nを、表面保護層の60度反射光沢が15.2になるように電離放射線硬化性樹脂中に配合した。
(実験1)
実施例1-2および比較例1-5の化粧シートの表面(上側の面)にJIS K 5600-5-4(引っかき硬度(鉛筆法))に準拠した鉛筆硬度試験を実施した。鉛筆硬度試験では、鉛筆の硬度Bから6Bまで荷重750gで実施し、傷や艶変の無い硬さを確認した。
(実験2)
実施例1-2および比較例1-5の化粧シートの表面にスチールウールラビング試験を実施した。スチールウールラビング試験では、化粧シートの下側に木質基板を貼り付けた後、スチールウールに100gの荷重をかけて化粧シートの表面を20往復擦り、化粧シートの表面に生じた傷や光沢の変化を目視にて確認した。
評価基準は5段階とした。
5:艶変化のない良好なもの。
4:僅かに傷はあるが、ほとんど光沢変化のないもの。
3:著しい傷や光沢の変化が一部にあるもの。
2:著しい傷や光沢の変化が全面にあるもの。
1:トップコート(表面保護層)が完全に剥がれてしまうもの。
(実験3)
実施例1-2および比較例1-5の化粧シートの表面にホフマンスクラッチ試験を実施した。ホフマンスクラッチ試験では、化粧シートの表面に円柱型の刃を45°の角度で当て、刃に200g刻みで200gから2000gまでの荷重をかけながら一定速度で化粧シートの表面を移動させた。このとき、化粧シートの表面に傷がつかない荷重の上限値を確認した。
(実験4)
実施例1-2および比較例1-5の化粧シートの表面に耐汚染試験を実施した。耐汚染試験では、化粧シートの表面に1%NaOH、5%硫酸、エタノール、ラッカーシンナーを滴下して時計皿で覆い、24時間後に化粧シートの表面を水洗いしてから化粧シートの外観を確認した。
評価基準は3段階とした。
〇:外観に変化の無いもの。
△:光沢変化したもの。
×:白化したもの。
(実験5)
実施例1-2および比較例1-5の化粧シートの表面に動摩擦係数試験を実施した。動摩擦係数試験では、トライボギア(新東科学社製のTRIBOGEAR TYPE:33)を用いた。トライボギアの試料テーブルに内蔵されたストレインゲージによりX、Y、Z方向の摩擦力を検出し、試料テーブル上に置いた化粧シートの表面を指でなぞることで動摩擦係数を測定した。
評価者は、試料テーブルに置いた化粧シートの表面を指で10cmなぞり、それを2往復行った。動摩擦係数試験において、指を2往復させた動摩擦係数の平均値を確認した。4人の評価者で試験を行い、指でなぞる速度は、評価者A、評価者Bおよび評価者Dは2.5cm/sec、評価者Cは5.0cm/secとした。また、指を化粧シートに押し当てる圧力は5gf/cmとした。
(実験結果)
実験1-4の結果を表1に示す。表1において、「85度/60度」は、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率である。また、「RSm/Ra」は、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率である。
表面に形成した畝状形状によって低光沢な意匠を実現した実施例1-2の化粧シート10は、表面に畝状形状を有さずに艶消し剤の配合によって低光沢な意匠を実現した比較例1-5の化粧シートと比較して、同等又はそれ以上の耐久性(耐傷性および耐汚染性)を有する結果であった。
実験5の結果を表2および表3に示す。表2および表3において、「85度/60度」は、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率である。表2は、実施例1および比較例2の化粧シートにおける実験5の結果である。光沢値が近い実施例1と比較例2において、畝状形状を有する実施例1は、畝状形状を有さない比較例2と比較して動摩擦係数の値が低い。また、実験5で化粧シートの表面を指で擦ったときの官能評価では、比較例2の化粧シートは引っかかる感触を有するのに対して、実施例1の化粧シート10はすべすべ感のみを有する結果であった。
また、表3は、実施例2および比較例3の化粧シートにおける実験5の結果である。光沢値が近い実施例2と比較例3において、畝状形状を有する実施例2は、畝状形状を有さない比較例3と比較して動摩擦係数の値が低い。また、実験5で化粧シートの表面を指で擦ったときの官能評価では、比較例3の化粧シートは引っかかる感触を有するのに対して、実施例2の化粧シート10はすべすべ感のみを有する結果であった。
10 化粧シート
1 プライマ層
2 原反層
3 絵柄層
4 接着剤層
5 透明樹脂層
6 表面保護層
6a コア部
6b 畝状部
S1 絵柄印刷工程
S2 溶融押出工程
S3 押出ラミネート工程
S4 保護層塗工工程
S5 光照射工程
S6 保護層硬化工程
V 上下方向
UP 上側
LO 下側

Claims (8)

  1. 原反層と、
    前記原反層の上側に設けられ、表面に畝状に突出して設けられた畝状部を有し、凹凸形状が形成された表面保護層と、
    を備え、
    前記表面保護層の前記凹凸形状において、算術平均粗さRaに対する平均長さRSmの比率が、10以上300以下である、
    化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、
    電離放射線硬化性樹脂を含み、
    前記表面における、60度反射光沢が5以下、かつ、60度反射光沢に対する85度反射光沢の比率が3以下である、
    請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層に前記畝状部を有さない化粧シートに対して光沢度が±10の範囲のとき、前記畝状部を有さない前記化粧シートと比較して、前記表面保護層の前記表面における指による動摩擦係数値が低い値である、
    請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層は、平均粒径が5μm以下の粒子を含む、
    請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護層は、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、前記粒子の添加量が0.5質量部以下である、
    請求項4に記載の化粧シート。
  6. 原反層の上側に表面保護層を塗工する保護層塗工工程と、
    前記表面保護層の表面へ波長200nm以下の光を照射して畝状部を形成する光照射工程と、
    を備える、
    化粧シートの製造方法。
  7. 前記光照射工程における前記表面保護層へ照射する前記光は、波長172nmのエキシマVUV光である、
    請求項6に記載の化粧シートの製造方法。
  8. 前記光照射工程の後に、前記表面保護層に電離放射線を照射して前記表面保護層を硬化させる保護層硬化工程を備える、
    請求項6又は請求項7に記載の化粧シートの製造方法。
JP2022207847A 2022-12-26 化粧シートおよび化粧シートの製造方法 Pending JP2024092133A (ja)

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