JP2024077920A - 再資源化された木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び再資源化された木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体 - Google Patents

再資源化された木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び再資源化された木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】再資源化等に木質材料を用いることによる物性値の低下を抑制することができる木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体を提供する。【解決手段】本発明の木質系成形材料の製造方法は、接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程P11と、解繊物を改質する改質工程P12と、改質した前記解繊物から木質系成形材料を作製する成形材料作製工程P13と、を備え、木質系成形体の製造方法は、木質系成形材料の製造方法で製造される木質系成形材料から木質系成形体を作製する成形体作製工程を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、加熱による再加工や賦形を可能とする木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体に関する。
木質材料は、ラミナ(挽板等)、ベニヤ(突板や単板等)、木片、木粉、木質繊維等といった木材由来のエレメントが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤を用いて接着されることにより、軸材料、面材料等として構成されたものである。こうした木質材料は、建材等として一般的に利用されており、その例として、集成材、合板、中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(ハードボード)、軟質繊維板(インシュレーションボード)、パーティクルボード等を挙げることができる。
通常、木質材料の廃棄は、焼却等によって行われていたが、環境保全等の要請から、近時は木質材料の再生利用(リサイクル)や再資源化に関する技術提案がなされている(特許文献1~3、及び非特許文献1参照)。
特許文献1には、リサイクル木質系複合材の製造方法として、廃棄木材を破砕することにより得られた木質材料片と、結合剤とを用いることが記載されている。
特許文献2には、木質繊維板の製造方法として、原料木質繊維を得る際に、合板の端片、解体材、二次加工品等のすでにホルムアルデヒドを含有した木質繊維と、ホルムアルデヒド捕捉剤とを用いることが記載されている。
特許文献3には、木質ボードの原材料として、バインダーが付着した木質チップからなる表層用材料と、バインダーが付着した木質チップ及びバインダーが付着した粒状樹脂からなる芯層用材料とを用い、粒状樹脂が熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とを含む樹脂組成物からなること、が記載されている。
非特許文献1には、廃棄MDFの再利用を目的とし、廃棄MDFを通常の原料(ラワン)に混合使用した再生MDFを試作し、品質を確認するための実験検討を行った結果、JIS A5905(繊維板)の品質基準を満たすのは、廃棄MDFの混入率が10%までであることが記載されている。
特開2005-59308号公報 特開2001-38707号公報 特開2019-188661号公報
柳 啓,外2名,"廃棄MDFの再利用に関する一実験",[online],日本大学生産工学部,[令和4年10月5日検索],インターネット<https://www.cit.nihon-u.ac.jp/kouendata/No.41/4_kenchiku/4-034.pdf>
特許文献1~3に記載された木質材料の再資源化等に係る技術は、廃棄された木質材料を破砕等して木片、木質繊維、チップ等のエレメントを得て、そのエレメントを熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂を用いて接着し、木質材料として再構成するものである。つまり、再資源化による木質材料は、未使用材料(バージン材)と、エレメント及び樹脂を用いて構成されたものである点で実質的に同一であり、そのエレメントとして廃棄された木質材料を破砕等して得られたものを用いる点で異なる。
木質材料を破砕等してエレメントを得る場合、小片化、細分化、微粉末化が進み、特に、再資源化された木質繊維はバージン材と比べ、破断や断裂等することにより、曲げ強度等といった物性値が低下する。こうした物性値の低下は、樹脂の使用量の増大によって抑制することができるが、その場合、非特許文献1に廃棄MDFの混入率が10%までと記載されているように、廃棄等された木質材料の使用量が低減してしまう。特に、再資源化等の繰り返しは、木質繊維の破壊を更に進めるため、物性値の低下が顕著となり、再資源化された木質材料の更なる再資源化に関しては、殆ど検討が進んでいない。
本発明は、このような従来技術が有していた問題点を解決しようとするものであり、再資源化された木質材料を用いることによる物性値の低下を抑制することができる木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、木質材料を破砕等してエレメントを得るのではなく、木質材料を解繊して木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程により、木質繊維の破壊ダメージを低減することができ、その解繊物を改質工程により改質して、改質した解繊物から木質系成形材料又は木質系成形体を作製することにより、木質材料の再資源化による物性値の低下を抑制できることを見出した。
本発明は、以下に示される。
(1)接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程と、前記解繊物を改質する改質工程と、改質した前記解繊物から木質系成形材料を作製する成形材料作製工程と、を備えることを特徴とする木質系成形材料の製造方法。
(2)前記解繊工程は、前記改質工程を含む上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(3)前記成形材料作製工程は、前記木質系成形材料に含まれる前記木質繊維をランダム配向させる工程を含む、上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(4)前記改質工程は、前記解繊物に対して、熱可塑性樹脂を含む溶液を含浸させて実行される上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(5)前記改質工程は、前記解繊物に対して、エステル化処理又はエーテル化処理を施して実行される上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(6)前記エステル化処理は、トリフルオロ酢酸無水物、硫酸、塩酸からなる群から選択される1つ以上の酸と、脂肪酸化合物と、を含む混合溶液を、前記解繊物に含浸させる上記(5)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(7)前記解繊工程は、前記木質材料を解繊して前記解繊物を得る上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法。
(8)上記(1)に記載の木質系成形材料の製造方法によって製造されることを特徴とする木質系成形材料。
(9)上記(8)に記載の木質系成形材料から木質成形体を作製する成形体作製工程を備えることを特徴とする木質系成形体の製造方法。
(10)上記(9)に記載の木質系成形体の製造方法によって製造されることを特徴とする木質系成形体。
本発明の木質系成形材料又は木質系成形体の製造方法によれば、解繊工程において、木質材料を解繊して木質繊維を含む解繊物を得ることにより、木質繊維の破壊ダメージを低減し、木質材料の再資源化による物性値の低下を抑制することができるので、優れた品質の木質系成形材料又は木質系成形体を製造することができる。
本発明の木質系成形材料又は木質系成形体の製造方法で作製された木質系成形材料又は木質系成形体は、品質に優れており、更なる再生利用や再資源化を図ることができる。
(a)は本発明の製造方法における作業工程フローを示すフローチャートであり、(b)は作業工程フローの変更例を示すフローチャートである。 圧縮試験中における実施例1の公称圧縮応力(P)の挙動を示すグラフである。 圧縮試験中における実施例2の公称圧縮応力(P)の挙動を示すグラフである。 木質成形体を作製するのに使用した金型を示す説明図である。 実施例3の木質成形体1を示す写真である。 実施例4の木質成形材料1を示す写真である。 実施例4の木質成形体2を示す写真である。 実施例4の再成形品1を示す写真である。 実施例5の木質成形材料2を示す写真である。 実施例5の木質成形体3を示す写真である。 実施例6の木質成形材料3を示す写真である。 実施例6の木質成形体4を示す写真である。 実施例7において得られた改質解繊物1の赤外線吸収スペクトルである。 実施例7の木質成形体5を示す写真である。 実施例8の木質成形体6を示す写真である。
本発明の木質系成形材料の製造方法は、接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程と、解繊物を改質する改質工程と、改質した解繊物から木質系成形材料を作製する成形材料作製工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の木質系成形材料は、上記の木質系成形材料の製造方法によって製造されることを特徴とする。
本発明の木質系成形体の製造方法は、上記の木質系成形材料の製造方法によって製造される木質系成形材料から木質成形体を作製する成形体作製工程を備えることを特徴とする。
また、本発明の木質系成形体は、上記の木質系成形体の製造方法によって製造されることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の製造方法における作業工程を示すフローチャートである。図1(a)に示すように、木質系成形材料の製造方法は、解繊工程P11と、改質工程P12と、成形材料作製工程P13と、を備えている。木質系成形材料は、接着性樹脂を含有する木質材料に対し、先の工程から順番に、解繊工程P11、改質工程P12、及び成形材料作製工程P13を施すことにより、作製される。
図1(b)に示すように、木質系成形材料の製造方法において、解繊工程P11は、改質工程P12を含むものとすることができる。この場合、接着性樹脂を含有する木質材料に対し、改質工程P12は、解繊工程P11と略同時に施すことができる。
図1(a)に示すように、木質系成形体の製造方法は、成形体作製工程P14を備えている。木質成形体は、成形材料作製工程P13で作製された木質系成形材料を使用し、成形体作製工程P14を施すことにより、作製される。
また、図1(a)中に二点鎖線の矢印で示すように、木質成形体は、改質工程P12で得られた解繊物を用い、成形材料作製工程P13において、その解繊物から直接的に作製することができる。
すなわち、木質系成形体の製造方法は、接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程P11と、解繊物を改質する改質工程P12と、改質した解繊物から木質系成形体を作製する成形体作製工程P14と、を備えるものとすることができる。この場合の木質系成形体の製造方法においても、解繊工程P11は、改質工程P12を含むものとすることができる。
本発明に供される木質材料は、接着性樹脂を含有するもの、より詳しくは、接着性樹脂と、その接着性樹脂によって接着等されたエレメントとを含有するものであれば、特に限定されない。
木質材料としては、例えば、集成材、合板、中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(ハードボード)、軟質繊維板(インシュレーションボード)、パーティクルボード等を挙げることができる。これらの中でも、中質繊維板(MDF)、パーティクルボードは、建材等として多量に使用されており、またエレメントとして木質繊維を多量に含むことから、本発明に供される木質材料として有用である。
エレメントとは、木材等の植物体を由来とする原料を、小片化、細分化等して分解することにより得られたものであり、形状、サイズ等について、特に限定されない。
具体的に、エレメントとしては、ラミナ(挽板等)、ベニヤ(突板や単板等)、チップ、木片、木粉、木質繊維等を挙げることができる。これらエレメントの中でも、チップと木質繊維は、木質系成形材料及び/又は木質系成形体の物性値に及ぼす影響が大きく、有用なエレメントである。
エレメントの原料には、通常、スギ、ヒノキ、マツ等の針葉樹や、ポプラ、ブナ、ナラ、カバ等の広葉樹などといった木材を用いることができ、木材以外にも、竹、麻類(ジュート、ケナフ、亜麻、ヘンプ、ラミー、サイザル等)、草本類等を用いることもできる。
つまり、エレメントの原料には、細胞壁を有する植物体に由来するものであれば、植物体そのもの(挽板、単板、突板等)若しくはその廃材又はこれらの化学処理物のいずれでも用いることができる。
接着性樹脂は、上述のエレメントを接着等することが可能な、所謂「接着剤」として用いられているものであれば、特に限定されない。接着性樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;環状ポリオレフィン;ポリエチレングリコール;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;ポリテトラフルオロエチレン;ABS樹脂;AS樹脂;ナイロン等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;変性ポリフェニレンエーテル;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンスルファイド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;非晶ポリアリレート;液晶ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド;ポリアミドイミド等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート、ケイ素樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン等を挙げることができる。これら熱硬化性樹脂を用いる場合には、硬化剤を併用することができる。
接着剤は、上述の接着性樹脂を1種又は2種以上含んでおり、具体例として、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤等の水性系接着剤や、クロロプレンゴム系接着剤等の溶剤系接着剤や、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、変性シリコーン系接着剤等の化学反応系接着剤や、ホットメルト形接着剤などを挙げることができる。
接着剤は、接着性樹脂の他に、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、抗菌剤、防腐剤、帯電防止剤等を含有するものとすることができる。
本発明に供される木質材料には、建材等として使用された後に廃棄される等した、所謂「廃材」を用いることができる。この廃材としては、上述した集成材、合板、中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(ハードボード)、軟質繊維板(インシュレーションボード)、パーティクルボード等の木質材料であって廃棄される等したものを挙げることができる。
また、廃材には、例えば、間伐材、伐採した木、丸太、原木等を製材して得た木材や、製材時に生じる端材、木片等、つまりは、植物体を由来とするものであり接着性樹脂を含まないもの、を含むことができる。
廃材は、再生利用(リサイクル)、再資源化の観点から、有用であり、中質繊維板(MDF)やパーティクルボードの廃材は、特に有用である。
木質材料は、定形や不定形等といった形状や、サイズ等について、特に限定されないが、木質系成形材料及び/又は木質系成形体の物性値の低下を抑制する観点から、長さが少なくとも5mm以上の木質繊維を含むものが好ましい。
本発明は、木質材料として、上述の「廃材」が供される場合、あるいは本発明の製造方法で得られた木質系成形材料及び/又は木質系成形体が供される場合に、リサイクル方法として適用することができる。
リサイクル方法は、接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程と、解繊物を改質する改質工程と、改質した解繊物から木質系成形材料を作製する成形材料作製工程と、を備え、前記木質材料として、木質材料の廃材を使用することを特徴とする。
また、リサイクル方法は、接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程と、解繊物を改質する改質工程と、改質した解繊物から木質系成形体を作製する成形体作製工程と、を備え、前記木質材料として、木質材料の廃材を使用することを特徴とする。
上述のリサイクル方法において、木質材料の廃材には、木質系成形材料又は木質系成形体を使用することができる。
以下、本発明の製造方法が備える各工程について、詳述する。
上述の解繊工程は、木質材料を解繊する工程であり、その目的は、木質繊維を含む解繊物を得ることである。解繊工程は、木質材料を解繊する、つまり、木質材料を微細にほぐす工程であり、解繊物に含まれる木質繊維の切断、破断等によるダメージを低減することを目的とした工程でもある。
解繊工程における解繊方法は、木質材料を解繊することができるのであれば、特に限定されないが、通常、解繊機を用いた乾式解繊又は湿式解繊を採用することができる。
解繊機としては、市販されている解繊機の他、同様の機能を有するジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、インパクトクラッシャー等の粗砕機や、ロールクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、石臼型、らいかい機、リングミル等の中砕機などの破砕機、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、回転ミル、振動ミル、遊星ミル、アトライター、ビーズミル等の粉砕機、ミキサー装置、シュレッダー装置、プレス装置等を利用することができる。
解繊工程において、木質材料は、解繊機による解繊により、ある程度のサイズになるまで砕かれながら、塊状にもつれあった木質繊維がバラバラになるようにほどかれて、解繊物とされる。
また、解繊機を用いて得られた解繊物は、そのサイズにもよるが、細片(チップ)状、繊維状、粉状等とすることができ、あるいは木質繊維の塊からなる綿状化したものとすることができる。
乾式解繊は、木質材料を、乾燥した状態や水分等の無い状態で解繊してほぐすことにより、木質繊維を含む解繊物を得る方法である。この乾式解繊は、通常、得られた解繊物を乾燥しなくてもよいため、作業性がよい、作業効率が優れる等の利点を有する。
乾式解繊は、市販されている解繊機の他、同様の機能を有する破砕機、ミキサー装置、シュレッダー装置、プレス装置等を使用することができる。これらの中でもプレス装置は、平板プレス、ロールプレス等を用いることができ、木質材料を圧し潰し、圧縮することで、砕きつつ、解繊することができるため、木質材料が過度に砕かれることによる木質繊維の切断、破断等によるダメージを好適に低減することができ、有用である。
湿式解繊は、木質材料を、分散媒等の液体中で解繊してほぐすことにより、木質繊維を含む解繊物を得る方法である。この湿式解繊は、分散媒等の液体を用いることにより、木質材料を軟化させて解繊できることから、木質繊維の切断、破断等によるダメージを好適に抑制することができる等の利点を有する。また、湿式解繊は、木質材料に含まれる木質繊維以外の成分を、分散媒等の液体中に分散させて分離し、除去することもできるため、木質繊維を好適に得ることができる等の利点を有する。
湿式解繊は、市販されている解繊機の他、同様の機能を有する破砕機、粉砕機、ミキサー装置等を使用することができる。あるいは、湿式解繊では、分散媒等の液体中に木質材料を浸漬し、膨潤、軟化等させた後、その浸漬後の木質材料を、シュレッダー装置、プレス装置を用い、解繊することもできる。
また、湿式解繊では、例えば、ミキサー装置等を使用し、木質材料を撹拌して砕くことにより、解繊物を得ることができる。この撹拌では、分散媒等の液体中で木質材料をかき混ぜることにより、その木質材料を数十μm~数mmのサイズに砕きつつ、解繊される。
湿式解繊は、加熱雰囲気下で実行されることが好ましい。つまり、湿式解繊は、木質材料を分散媒等の液体中に浸漬等して、その液体を加熱して煮沸等することにより、木質材料を加熱した状態として、実行することができる。この場合、加熱された木質材料は、軟化されて膨潤し、ほぐれやすくなるため、木質繊維の切断、破断等によるダメージを良好に抑制することができる。
湿式解繊において、木質材料が浸漬等される分散媒等の液体は、特に限定されないが、通常、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類や、あるいは、水とアルコール類の混合液などを用いることができる。また、分散媒には、精錬洗浄剤、粘剤、顔料、染料、界面活性剤、潤滑剤などの添加剤を含むことができる。
湿式解繊を加熱雰囲気下で実行する場合、加熱温度は、使用される液体の沸点等に影響され、特に限定されないが、通常、上限値を100±10℃とすることができ、下限値を35±5℃とすることができる。
上述の改質工程は、解繊工程で得られる解繊物を改質する工程であり、その主たる目的は、解繊物から得られる木質系成形材料及び/又は木質系成形体に、熱可塑性を付与することである。
すなわち、本発明に供される木質材料は、木材等の植物体に由来する成分として、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含んでいる。木材等の植物体は、公知のKlaudiz法、Wize法、クラフトパルプ化法、ソーダ法、フェノールパルプ化法、有機酸パルプ化法、オルガノソルブパルプ化法、ASAM法、漂白処理等のリグニン処理に供すると、リグニンの縮合度が低下し、木質細胞の細胞壁内に弛緩状態を形成することができる。細胞壁内に弛緩状態を形成された木材等の植物体は、例えば、特開2006-247974号公報に記載された方法のように、非晶性高分子であるヘミセルロースやリグニン等における高分子鎖間の結合を弛緩させることで流動性を発現することができ、成形等に際して木質細胞間のすべりを向上させることができる。
解繊工程で得られた解繊物において、木材等の植物体に由来する木質細胞は、解繊によって細胞間の剥離が進行した状態で、再凝集した構造を有している。改質工程は、解繊物を改質剤に浸漬させる等して、剥離が進行した細胞間に改質剤に含まれる成分等を介在等させることにより、木材等の植物体における流動性(木質細胞間のすべり)の発現を促す。つまり、改質工程は、解繊物(木質繊維)の木質細胞に流動性を発現させることによって、その解繊物から得られる木質系成形材料及び/又は木質系成形体に熱可塑性を付与する。
さらに、解繊物は、木質細胞の細胞壁内に改質剤を吸着させることができれば、再生利用や再資源化の観点において、より好ましいものとすることができる。つまり、細胞壁内に改質剤を吸着させると、木質細胞そのものに熱可塑性を実質的に付与することができるため、成形時に熱可塑性を付与した細胞を柔軟に変形させることができ、良好な流動性が得られる。加えて、細胞壁内に改質剤を吸着させた木質細胞を含む成形材料や成形体は、耐水性、耐熱性などを有するものとすることができる。
改質工程における改質方法は、改質剤の種類に応じて2通りの方法を挙げることができる。第1の改質方法は、改質剤として、熱可塑性樹脂を含む溶液を用いる方法である。第2の改質方法は、改質剤を用いることにより、解繊物に含まれる木材等の植物体に由来する成分を、エステル化又はエーテル化する方法である。
第1の改質方法は、熱可塑性樹脂を含む溶液を改質剤として使用し、その溶液を解繊物、特には木質繊維に添加及び/又は含浸する方法である。改質剤に含まれる熱可塑性樹脂は、木質繊維等の細胞界面に介在し、細胞壁内に吸着等されることで、木質細胞に流動性を発現させ、これにより熱可塑性が付与される。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、細胞界面に介在させるための分子構造・種類等について、特に限定されない。熱可塑性樹脂の分子量は、細胞壁内への浸透性の観点において、好ましくは100~100000、より好ましくは300~20000とすることができる。
改質剤として使用される溶液は、熱硬化性樹脂を含むものとすることができる。このように熱硬化性樹脂を含むことで、成形体の耐熱性、耐水性等の向上を図ることができる。
溶液中の熱硬化性樹脂の割合は、特に限定されないが、成形体の熱可塑性を維持するために、熱可塑性樹脂に対して、好ましくは0.1~2倍であり、より好ましくは0.2~1倍である。
言い換えると、溶液中における熱可塑性樹脂の割合を100質量部とした場合に、熱硬化性樹脂の割合は、好ましくは10質量部以上200質量部以下、より好ましくは20質量部以上100質量部以下とすることができる。あるいは、溶液中における熱可塑性樹脂の割合と熱硬化性樹脂の割合との合計を100質量%とした場合に、熱硬化性樹脂の割合は、好ましくは9質量%以上67質量%以下、より好ましくは16質量%以上50質量%以下とすることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等を挙げることができる。また、改質剤として使用される溶液は、熱硬化性樹脂を含む場合、架橋剤を併用することができる。この架橋剤は、使用される熱硬化性樹脂に応じたものを用いることができ、特に限定されない。
改質剤として使用される溶液は、溶質である熱可塑性樹脂等を溶解させるべく、溶媒を含むものとすることができる。この溶媒は、特に限定されないが、高極性溶媒、低極性溶媒の何れも用いることができ、具体例として、水、アルコール、アセトン、ヘキサン、エーテル等を挙げることができる。
第1の改質方法において、改質剤として使用される溶液に関し、解繊物等への添加及び/又は含浸の度合いは、重量増加率WPG(%)によって把握することができる。
WPG(%)は、改質後の解繊物等の乾燥質量をW、改質前の解繊物等の乾燥質量をW0として、WPG=〔(W-W0)/W0〕×100の式から算出することができる。
重量増加率WPG(%)は、0.1~200%の範囲とすることができ、好ましくは0.1~100%とすることができる。
第2の改質方法は、解繊物、特には解繊物に含まれる木質繊維に改質剤を添加及び/又は含浸し、エステル化処理又はエーテル化処理を施す方法である。この第2の改質方法において、改質剤は、解繊物(木質繊維)等に含まれる植物体に由来の成分、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を、それらが有する水酸基(ヒドロキシ基)の水素を、アセチル基やプロピオニル基(アシル基)等のカルボニル基を有する各種の官能基に置換等してエステル化する、あるいは、水酸基(ヒドロキシ基)の水素を、アルキル基、ビニル基、アリール基、あるいはハロゲノ基やニトリル基やアゾ基やシリル基やスルホ基などを有する官能基等の各種の官能基に置換等してエーテル化する、ことで木質細胞に流動性を発現させる。
すなわち、植物体に由来の成分は、通常、木質細胞間の水酸基による水素結合により、緻密に凝集する。エステル化処理又はエーテル化処理は、植物体に由来の成分をエステル化又はエーテル化し、木質細胞間に、エステル化又はエーテル化に由来する官能基等を介在等させることで、木質細胞に流動性を発現させ、これにより熱可塑性が付与される。
改質剤は、リグニン等をエステル化又はエーテル化し、水酸基を置換等することができるのであれば、特に限定されない。
具体的に、エステル化処理には、トリフルオロ酢酸無水物、硫酸、塩酸からなる群から選択される1つ以上の酸と、脂肪酸化合物と、を含む混合溶液を、改質剤として用いることができる。脂肪酸化合物としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸等を挙げることができる。
また、エーテル化処理には、ハロゲン化炭化水素、α-ハロゲン酸、アルキレンクロルヒドリン、ジアルキル硫酸、アクリロニトリル、アルキレンオキサイド、ジアゾ化合物、β-ラクトン、脂肪酸、脂肪酸無水物、脂肪酸ハロゲン化物、アルキルケテン、炭酸ジアルキル、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、シラザン、シリルハライド、シリルトリフルオロメタンスルホネート等を、改質剤として用いることができる。
第2の改質方法において、解繊物等のエステル化処理によるエステル化の度合い(エステル化度)は、ATR法(全反射測定法)によるIRスペクトルにおいて、1060cm―1付近に検出されるC-O伸縮振動による吸収ピークの強度に対する、3000~3600cm―1に検出されるO-H伸縮振動による吸収ピークの強度、および、1700~1800cm―1に検出されるC=O二重結合の伸縮振動による吸収ピークの強度の比から把握することができる。
C-O伸縮振動に由来するピークの強度は、エステル化の前後であまり変化しないため、このピーク強度を基準とすることができる。一方でエステル化の進行に伴ってC=O由来の吸収ピークが増加するため、ピークの強度の比(C=O/C-O)は増大する。また、エステル化に伴ってOH由来のピークは減少するため、ピークの強度の比(OH/C-O)は減少する。
エステル化度に関し、流動性(木質細胞間のすべり)の好適な発現を促すには、上述の2つのピーク強度比の値を特定の範囲とすることが好ましい。
具体的に、1060cm-1付近に検出されるC-O伸縮振動による吸収ピークの強度と、1700~1800cm―1に検出されるC=O伸縮振動による吸収ピークの強度との比(C=O/C-O)は、その下限を、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上とすることができる。また、1060cm―1付近に検出されるC-O伸縮振動による吸収ピークの強度と、3000~3600cm―1に検出されるO-H伸縮振動による吸収ピークの強度の比(OH/C-O)は、その上限を、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.25以下とすることができる。
なお、各ピークの強度は、ピークの両端で接線を引いてベースラインとし、このベースラインに対してピークの頂点から垂線を下ろし、ベースラインとの交点を決定した後、この交点からピークの頂点まで計測された長さである。
上述のように、改質工程は、解繊工程に含まれるものとすることができる。
例えば、解繊工程において、解繊方法として、分散媒等の液体中で木質材料を撹拌してほぐす湿式解繊を採用する場合、その分散媒等の液体として、エステル化処理に用いる改質剤や熱可塑性樹脂を含む溶液を用いることができる。
エステル化処理に用いる改質剤を用いる場合、解繊工程における解繊中に、木質材料は、改質剤に浸漬されることにより、リグニン等がエステル化されるため、解繊工程と改質工程とを略同時に実行することができる。
また、熱可塑性樹脂を含む溶液を用いる場合、解繊工程における解繊中に、木質材料は、溶液に浸漬されることにより、細胞間及び細胞壁中に熱可塑性樹脂が含浸されるため、解繊工程と改質工程とを略同時に実行することができる。
上述の成形材料作製工程は、改質した解繊物から木質系成形材料を作製する工程である。この木質系成形材料は、主として、成形体を成形するための材料として使用することができるものであり、用途に応じて、成形体を成形することなく、そのまま使用することもできる。
成形材料作製工程において、木質系成形材料は、改質した解繊物、特には解繊物に含まれる木質繊維を、液体中に分散させ、網等を用いて漉くことにより、液体と分離し、乾燥等して、作製することができる。
あるいは、木質系成形材料は、改質した解繊物、特には解繊物に含まれる木質繊維を、乾燥等した後、集積等してウェブを形成し、そのウェブを積層、圧縮等して、作製することもできる。
解繊物等を分散させる液体については、特に限定されないが、通常、水を用いることができる。あるいは、上述の改質工程において、改質された解繊物等が改質剤中に分散された状態となっている場合、改質剤中に分散された木質繊維を漉くことにより、木質系成形材料を作製することができる。
木質系成形材料の形状は、特に限定されないが、例えば、シート状、マット状、糸状、線状等とすることができる。
木質系成形材料は、これに含まれる木質繊維をランダム配向させることができ、あるいは一方向に配向させることができる。ランダム配向では、木質系成形材料に含まれる木質繊維の伸び方向が不揃いな状態となっており、一方向に配向では、木質繊維の伸び方向が一方向に揃った状態となっている。
木質繊維の配向は、解繊物等の漉き方法に応じて、ランダム配向と一方向に配向とを選択することができる。
漉き方法について、木質繊維をランダム配向とする場合、手漉法、機械漉法、機械抄紙等の抄紙法や、ろ過等を挙げることができる。
漉き方法について、木質繊維を一方向に配向とする場合、カード装置等を用いたカーディングを挙げることができる。
なお、漉き方法をろ過とし、改質剤中に分散された木質繊維から木質系成形材料を作製する場合、加重しながらろ過する、吸引ろ過する等の方法により、木質系成形材料に含まれる改質剤の量を減少させることができる。この場合、重量増加率(WPG)の低減を図ることができ、あるいは木質繊維等といった植物体に由来する成分の含有率の向上を図ることができる。
上述の成形体作製工程は、木質系成形材料又は改質した解繊物から木質系成形体を作製する工程である。この木質系成形体は、木質系成形材料又は改質した解繊物を、所謂「中間品」とした場合に、所謂「最終製品」等として、作製されるものである。
木質系成形体の用途等については、特に限定されないが、例えば、面材、軸材、シート材、化粧材等の建材や、什器等を挙げることができる。
具体的に、木質系成形体には、柱、梁、ボード等の建材としての構造材や、あるいは板材、角材、丸棒材等のような、建築物、器具、道具等の一部分を構成するもの、つまり部品や部材等の用途とされる「木質系部材」が含まれる。また、木質系成形体には、食器、民芸品、玩具、器具、道具等のような、種々の用途に応じた完成品とされるもの、つまり製品の用途とされる「木質系製品」が含まれる。
成形体作製工程において、上述の改質工程における改質により、木質系成形材料は、熱可塑性を付与されており、改質した解繊物もまた、熱可塑性を付与されている。このため、成形体作製工程では、木質系成形材料又は改質した解繊物を加熱し、軟化させ、これを塑性変形させることにより、成形体を作製することができる。
具体的に、成形体作製工程において、木質系成形体は、例えば、プレス機、押出機等を用い、改質した解繊物を所定形状に押し固める等して、作製することができる。
また、成形体作製工程において、木質系成形体は、シート状、マット状等とされた木質系成形材料を、例えば、プレス成形、押出成形、真空成形、圧空成形等の方法で所定形状に形成する等して、作製することができる。
上述の製造方法によって作製された木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、上述の解繊工程によって得られた解繊物が用いられることにより、解繊物中に含まれる木質繊維へのダメージが低減されているため、JIS規格、JAS規格等に規定される品質基準を満たすものとすることができる。
木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、木質外観を有し、形状安定性に優れる。ここで、形状安定性に優れるとは、成形後、1か月以上経ても成形直後の形状を維持している状態を意味する。
木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、上述の改質工程における改質により、熱可塑性を付与されている。つまり、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、加熱雰囲気下で軟化状態とし、圧力等の外力を加えることにより、木質細胞(細胞壁及び細胞間層)の間に、すべりによる塑性流動を生じさせることができる。こうした細胞間の塑性流動を利用した賦形により、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、所望とする形状に成形することができる。
また、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、例えば、用途を建材とした場合、その廃棄に際し、再資源化、再生利用を容易に行うことができる。つまり、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、熱可塑性を付与されているため、加熱雰囲気下における再成形が可能である。このため、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、通常の再資源化等のような破砕、粉砕による再エレメント化等のような煩雑な作業を必要とせず、熱可塑性を利用した面材や軸材やペレット等への再成形や再賦形等により、容易に再資源化等することができる。
なお、木質系成形材料及び/又は木質系成形体は、同一の構成を有する木質材料からなるものであってよいし、互いに異なる構成を有する複数種の木質材料からなるものであってもよい。後者の場合には、例えば、(1)複数種の木質材料からなる混合物を用いる方法、(2)第1の木質材料と、第2の木質材料とを、それぞれ、偏在させた状態で賦形等する方法を適用することができる。(2)の方法によると、木質材料の種類、エレメントサイズや形状の違い、植物体の違い、又は、同じ植物体に由来していてもH/H比が互いに異なることによる色の違い、例えば、明暗の差により、1個の木質系成形体において、異なる外観(木質模様等)を有するものが得られることがある。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は、本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎないため、本発明をこれらの実施例に限定して解釈するべきではない。
また、以下の記載において、「%」及び「部」は、特記しない限り、質量基準であるものとする。
[プレス装置を用いた圧縮による解繊の検証]
1.木質材料
実施例1;木質材料として、中質繊維板(MDF)を用いた。MDFは、密度が0.70g/cm、厚さが27mm、気乾状態のものを、27mm×27mmに切削し、立方体形状として試料を得た。
実施例2;木質材料として、パーティクルボード(PB)を用いた。PBは、密度が0.60g/cm、厚さが18mm、気乾状態のものを、18mm×18mmに切削し、立方体形状として試料を得た。
2.解繊方法
実施例1、2の試料を、温度40℃または105℃に設定した上下2枚の平板を有するプレス装置の平板の間に設置した。
各試料の面積から算出した公称圧縮応力(P)が約200MPa(具体的に、実施例1は荷重14.6ton、実施例2は荷重6.5ton)になるまで、10mm/minで圧縮試験を行い、得られた圧縮試料を取り出した。
得られた圧縮試料を室温の水に浸漬し、水中での解繊しやすさを目視で評価した。
3.検証結果
[実施例1]
図2は、圧縮試験中における実施例1の公称圧縮応力(P)の挙動を示すグラフである。図2から、MDFを厚さ(R)方向に圧縮した場合、圧縮開始直後からPが緩やかに増加し、40℃の試験では約130MPaで、105℃の試験では約120MPaでそれぞれ降伏した(降伏点を図中に「▼」で示す)。
MDFを厚さ直交(T)方向に圧縮した場合、圧縮直後からPの増加が緩やかで平坦な領域がみられ、その後、40℃の試験では降伏が見られず、105℃の試験では約150MPaで降伏した(降伏点を図中に「▼」で示す)。
降伏点(図中の「▼」参照)は、試料が平板に拘束されていない水平方向に材料が塑性変形もしくは破壊したことを示しており、すなわち解繊するのに必要な最小限の応力と解釈できる。
得られた圧縮試料を浸水し、解繊の程度を評価した結果、105℃の圧縮試料は水中でも固形物が残留したのに対して、40℃の圧縮試料は水中で容易に解れ、MDFを構成する木質繊維が維持された状態で解繊することができた。
以上の結果から、MDF等の繊維板を圧縮によって解繊する場合、室温付近の温度で厚さ方向に圧縮することが好ましいことが分かった。
[実施例2]
図3は、圧縮試験中における実施例2の公称圧縮応力(P)の挙動を示すグラフである。図3から、PBにおいても、図1に示した実施例1(MDF)と同様に、塑性変形または破壊による圧縮中のPの降伏点が確認された(降伏点を図中に「▼」で示す)。
降伏点は、厚さ(R)方向に圧縮した場合、40℃で約90MPa、105℃で約70MPaであった。
降伏点は、厚さ直交(T)方向に圧縮した場合、40℃と105℃のいずれの温度においても、10MPa以下であった。
得られた圧縮試料を浸水し、解繊の程度を評価した結果、40℃と105℃のいずれの試料においても、PBを構成するエレメントサイズを維持した状態で解すことができた。
以上の結果から、パーティクルボードを圧縮によって解繊する場合、厚さ直交方向に圧縮することが好ましいことが分かった。
[改質剤に熱可塑性樹脂を含む溶液を使用した試験例]
1.木質材料
木質材料として中質繊維板(MDF)とパーティクルボード(PB)を用いた。MDFは、密度が0.63g/cm、厚さが12.2mmのものを、20mm×20mmに切削して直方体形状とした。PBは、密度が0.77g/cm、厚さが19mmのものを、20mm×20mmに切削して直方体形状とした。
2.改質剤(熱可塑性樹脂を含む溶液)
熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリウレタンを含む溶液を調製した。
ポリウレタンの原料を以下に示す。
<ブロックドイソシアネート化合物>
昭和電工社製2-[0-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリラート「カレンズ MOI-BM」(商品名)を用いた。
<ポリエチレングリコール1540>
富士フイルム和光純薬社製ポリエチレングリコール「PEG-1540」(商品名)を用いた。分子量は1540である。
<メラミン樹脂>
DIC社製メラミン/ホルムアルデヒド系樹脂「アミディアM-3(60)」(商品名)を用いた。
<改質剤の調製>
予め、60℃で融解させたポリエチレングリコールとメラミン/ホルムアルデヒド系樹脂を水に溶解させて得られた水溶液と、ブロックドイソシアネート化合物をエタノールに溶解させて得られたエタノール溶液とを混合した。
ポリエチレングリコール1540(PEG1540):ブロックドイソシアネート化合物(MOI):メラミン/ホルムアルデヒド系樹脂(M-3)=1:1:1(質量比)、固形分濃度20%のエタノール水溶液(以下、「改質剤L1」と記載する)を得た。
3.試料の作製
[実施例3]
(1)解繊工程
MDFを浸水しながら3時間煮沸し、その後、攪拌させることで、水に分散したMDFの解繊物を得た。
MDFの解繊物の水分散液は、吸引ろ過器の吸引ロート内に、水の流れを生じさせないよう緩やかに流し込んだ後、アスピレーターにより吸引し、ロートの底に敷いたろ紙に堆積させて、MDFの解繊物から成るマットを得た。
ここで、吸引ロート内に水の流れを生じさせないように流し込む理由は、水中の木質繊維をランダム化させてランダム配向のマットを得るためである。
得られたマットは、室温で風乾後、105℃の恒温器内で乾燥させて、乾燥マットを得た。その乾燥マットの重量(W1)を測定した。
(2)改質工程
解繊工程で得た乾燥マットを、ろ紙(もしくは、木質繊維が解れない程度の目の細かい網)で挟み込んだ状態とし、室温の改質液L1に1時間浸漬させた後、改質液L1から引き揚げた。
その後、網棚の上で風乾させ、35℃の送風乾燥、35℃の減圧乾燥を経て、乾燥状態としたポリウレタン前駆体含有マット1(以下、「前駆体1」と記載する)を作製した。この前駆体1の重量をW2とする。
下記式(1)により算出した重量増加率(WPG)は209%であった。
(W2―W1)/W1×100 (1)
(3)作製工程
図4は、作製工程において、木質成形体を作製するのに使用した金型を示す説明図である。
なお、図4に示すように、金型10は、コンテナ10Aとパンチ10Bとを備えている。前駆体や木質成形材料等の対象物Wは、コンテナ10A内に収容され、パンチ10Bによってプレスされることにより、木質成形体等の成形体Mとされる。
約2.0gの前駆体1を、温度170℃に設定した金型内(図4参照)に設置し、荷重0.3ton(パンチ面圧:約19.5MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却し、木質成形体1(図5参照)を作製した。
図5に示すように、木質成形体1は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
[実施例4]
(1)成形材料作製工程
実施例3と同様にして得た前駆体1を、約48mm×約50mmに切り出し、170℃に加熱した52mm×50mmの平板パンチを有する密閉金型の中に設置し、荷重0.1ton(パンチ面圧:約0.4MPa)でプレス成形し、荷重を1分間保持した後、金型を冷却し、図6に示すシート状のポリウレタン含有成形用中間材料1(以下、「木質成形材料1」と記載する)を作製した。
(2)成形体作製工程
木質成形材料1を、直径約12mmの円形にくり抜いたものを複数枚(約1.1g)用い、温度140℃に設定した金型内(図4参照)に積層して設置し、荷重0.3ton(パンチ面圧:約19.5MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却し、木質成形体2(図7参照)を作製した。
図7に示すように、木質成形体2は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
(3)木質成形体2の再成形
木質成形体2を、温度170℃に設定した直径20mmの平板パンチを有する密閉金型内に設置し、荷重0.5ton(パンチ面圧:約15.9MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却して、木質成形体2の再成形品1(図8参照)を作製した。
図8に示すように、再成形品1は、良好な形状・質感の成形体であった。
以上の結果から、木質成形体2は熱可塑性を有し、再成形によるリサイクルが可能であることが示された。
[実施例5]
(1)解繊工程
MDFを浸水しながら3時間煮沸し、その後、攪拌させることで水に分散して、MDFの解繊物を得た。
得られた解繊物において、浮遊する木質繊維を網ですくい上げて手漉きし、これを室温で風乾後、105℃の恒温器内で乾燥させ、乾燥状態の木質繊維を得た。その後、その重量を測定した。
(2)改質工程
得られた乾燥状態の木質繊維を、室温の改質剤L1に1時間浸漬させた。その後、改質剤L1中に木質繊維を浮遊させた状態で、吸引ろ過器の吸引ロート内に緩やかに流し込み、アスピレーターにより吸引し、ロートの底に敷いたろ紙に堆積させて、湿潤状態のポリウレタン前駆体含有マットを得た。
その後、湿潤状態のポリウレタン前駆体含有マットを、網棚の上で風乾させ、35℃の送風乾燥、35℃の減圧乾燥を経て乾燥状態とし、乾燥状態のポリウレタン前駆体含有マット2(前駆体2)を作製した。
前駆体2の重量から算出した重量増加率(WPG)は39%であった。
(3)成形材料作製工程
前駆体2を約48mm×約50mmに切り出し、170℃に加熱した52mm×50mmの平板パンチを有する密閉金型の中に設置し、荷重0.5ton(パンチ面圧:約2.0MPa)でプレス成形し、荷重を1分間保持した後、金型を冷却して、図9に示すシート状のポリウレタン含有成形用中間材料2(以下、「木質成形材料2」と記載する)を得た。
(4)成形体作製工程
木質成形材料2を、直径約12mmの円形にくり抜いたものを複数枚(約1.1g)用いて、温度170℃に設定した金型内(図3参照)に積層して設置し、荷重1ton(パンチ面圧:約65.0MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却して、図10に示すポリウレタン含有木質成形体3(以下、「木質成形体3」と記載する)を得た。
図10に示すように、木質成形体3は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
[比較例1]
(1)改質工程
105℃で乾燥させ、重量を測定したMDFを、室温の改質剤L1に1時間浸漬し、室温で風乾後、105℃の恒温器内で乾燥させ、乾燥状態としたポリウレタン前駆体含有MDFを得た。
その後、その重量を測定し、含浸前の乾燥状態の重量を基に算出したWPGは、13%であった。
つまり、比較例1の試料(ポリウレタン前駆体含有MDF)は、実施例1~3に比べてWPGが小さいことから、MDF中における樹脂の含有率が小さく、含浸が不十分であることが分かった。
[実施例6]
(1)解繊工程
気乾状態のPBを、室温下で厚さ直交方向に荷重2tonでプレスし、PBの解繊物を得た。その一部を乾燥させた重量から、気乾状態のPBの含水率(%)を算出した。
(2)改質工程
PBの解繊物を、室温の改質剤L1に浸漬した状態で、減圧(0.01MPa)を1時間、加圧(0.8MPa)を18時間することにより、PBの解繊物に改質剤L1を含浸させた。
その後、PBの解繊物を、網を用いすくい上げて手漉きし、網棚の上で風乾させ、35℃の送風乾燥、35℃の減圧乾燥を経て乾燥状態とし、乾燥状態のポリウレタン前駆体含有PB解繊物(前駆体3)を作製した。
(1)で算出した含浸前のPBの含水率から、含浸前の全乾状態のPB重量を推定し、その重量と乾燥後の前駆体3の重量から算出した重量増加率(WPG)は22%であった。
(3)成形材料作製工程
前駆体3を170℃に加熱した52mm×50mmの平板パンチを有する密閉金型の中に設置し、荷重10ton(パンチ面圧:約39.2MPa)でプレス成形し、荷重を1分間保持した後、金型を冷却して、図11に示すシート状のポリウレタン含有成形用中間材料3(以下、「木質成形材料3」と記載する)を得た。
(4)成形体作製工程
木質成形材料3を、直径約12mmの円形にくり抜いたものを複数枚(約2.4g)用い、温度170℃に設定した金型内(図4参照)に積層して設置し、荷重1.8ton(パンチ面圧:約116.9MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却して、図13に示すポリウレタン含有木質成形体4(以下、「木質成形体4」と記載する)を得た。
図13に示すように、木質成形体4は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
[まとめ(1)]
実施例3~6、比較例1の重量増加率(WPG)をまとめて表1に示す。
実施例3~6は、比較例1に比べてWPGが大きく、より多くの熱可塑性樹脂が含浸されていることが分かった。
Figure 2024077920000002
[改質剤にエステル化処理液を使用した試験例]
1.木質材料
木質材料として中質繊維板(MDF)とパーティクルボード(PB)を用いた。MDFは、密度が0.63g/cm、厚さが12.2mmのものを、20mm×20mmに切削して直方体形状とした。PBは、密度が0.77g/cm、厚さが19mmのものを、20mm×20mmに切削して直方体形状とした。
2.改質剤(エステル化処理液)
エステル化処理液として、無水プロピオン酸/N-メチルピロリドン/ジメチルアミノピリジンを、モル比が1:6:0.1となるように混合した。
その後、25℃で30分以上撹拌し、ジメチルアミノピリジンを完全に溶解させて、エステル化処理液を得た。
3.試料の作製
[実施例7]
(1)解繊工程(改質工程を含む)
3.5gのMDFを、内容積150mLのビーカーに入れ、ビーカー全体を400Paまで減圧した。その後、105gのエステル化処理液を1分かけてビーカー内に滴下(減圧注入)した後、ビーカーを常圧に戻した。長さ1cmのフッ素樹脂製の撹拌子を用い、100℃で1時間撹拌して、MDFの改質された解繊物を得た。
次いで、MDFの改質された解繊物に対し、メタノールを用いてソックスレー抽出を6時間行い、その後、水を用いてソックスレー抽出を6時間行うことで洗浄した。
そして、25℃で24時間以上減圧乾燥させることにより、乾燥状態としたMDFの改質された解繊物(以下、「改質解繊物1」と記載する)を得た。
(2)赤外分光測定
得られた改質解繊物1、および、処理前MDFを煮沸させて得たMDF煮沸物1に対し、サーモフィッシャー社製赤外分光光度計「NICOLET 6700 FT-IR」(型式名)を用い、全反射測定法により、測定波数域を4000~500cm-1として測定し、赤外線吸収スペクトルを得た。
図13は、測定により得られた改質解繊物1の赤外線吸収スペクトルである。
図13に示されるように、改質解繊物1では、エステル化処理によって、MDFを構成する木質繊維中のO-H伸縮振動による吸収ピーク(3000~3600cm-1)の強度が著しく小さくなり、エステル基におけるC=O二重結合由来の吸収ピークが1740cm-1に観察された。これらの結果から、木質繊維中の水酸基がエステル基に変性されたことが分かった。
次に、反応の進行度を把握するため、水酸基由来の吸収ピーク強度の減少率と、エステル基由来の吸収ピーク強度の増加率を、引用(Molecules 2021,26,3539.)を参考にして算出した。
水酸基由来の吸収ピーク強度の減少率は、1060cm-1に現れるC-O伸縮振動由来の吸収ピーク強度と、3000~3600cm-1の水酸基由来の吸収ピーク強度との比(OH/C-O比)から算出した。
また、エステル基由来の吸収ピーク強度の増加率は、同じくC-O伸縮振動由来の吸収ピーク強度と、1740cm-1に現れるC=O伸縮振動由来の吸収ピーク強度との比(C=O/C-O比)から算出した。
OH/C-O比が小さいほど、そして、C=O/C-O比が大きいほど、エステル化が進行していることを意味する。
改質解繊物1のOH/C-O比およびC=O/C-O比はそれぞれ0.6と0.25であった。
(3)作製工程
約0.6gの改質解繊物1を、温度170℃に設定した金型内(図4参照)に設置し、荷重0.3ton(パンチ面圧:約19.5MPa)でプレス成形させ、荷重を5分間保持した後、金型を冷却し、図14に示すエステル化木質成形体5(以下、「木質成形体5」と記載する)を得た。
図14に示されるように、木質成形体5は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
[実施例8]
(1)解繊工程
MDFを浸水しながら3時間煮沸し、その後攪拌させることで、水に分散したMDFの解繊物を作製した。
得られたMDFの解繊物において、浮遊する木質繊維を網ですくい上げて手漉きし、室温で風乾後、105℃の恒温器内で乾燥させ、乾燥状態の木質繊維を得た。その後、その重量を測定した。
(2)改質工程
得られた木質繊維1.1gを、22gのエステル化処理液を使用し、以下に示す変更点の他は、実施例7と略同様にして、乾燥状態のエステル化MDF解繊物2(以下、「改質解繊物2」と記載する)を得た。
変更点として、エステル化処理液を減圧注入した後の撹拌時における温度を25℃とし、処理時間を24時間に変更した。また、ソックスレー抽出による洗浄の時間は、メタノール、水のいずれも24時間ずつとした。
(3)赤外分光測定
得られた改質解繊物2について、実施例7と同様に赤外分光測定を行った結果、改質解繊物2のOH/C-O比およびC=O/C-O比は、それぞれ0.65と0.19であった。
(4)作製工程
約0.8gの改質解繊物2を、温度170℃に設定した金型内(図4参照)に設置し、荷重0.3ton(パンチ面圧:約19.5MPa)でプレス成形し、荷重を5分間保持した後、金型を冷却して、図15に示すエステル化木質成形体6(以下、「木質成形体6」と記載する)を得た。
図15に示されるように、木質成形体6は、3次元形状の良好な形状・質感の成形体であった。
[比較例2]
(1)改質工程
12.7gのMDFに、エステル化処理液を減圧注入した後、撹拌時の温度を25℃とし、処理時間を24時間にした。
ソックスレー抽出による洗浄の時間は、メタノールを5日間、水を3日間とした。
上記以外は、実施例7と同様の操作を行い、乾燥状態のエステル化MDFを得た。
(2)赤外分光測定
得られたエステル化MDFについて、実施例7と同様に赤外分光測定を行った結果、エステル化MDFのOH/C-O比およびC=O/C-O比は、それぞれ0.1および0.37であった。
[まとめ(2)]
実施例7、8および比較例2のエステル化度を示すOH/C-O比およびC=O/C-O比を、表2に示す。
表2に示されるように、実施例7と8は、比較例2に比べてC=O/C-O比が大きく、OH/C-O比が小さいことから、エステル化が進行していることが分かった。
Figure 2024077920000003
本発明の木質系成形材料の製造方法と木質系成形材料及び木質系成形体の製造方法並びに木質系成形体は、日用品、家具・調度品、建材・建築部材、電化製品又は音響機器用筐体、車両用部材等として用いるものとして好適であり、再資源化、再生利用に優れる。
P11;解繊工程、P12;改質工程、P13;成形材料作製工程、P14;成形体作製工程。

Claims (10)

  1. 接着性樹脂を含有する木質材料を解繊し、木質繊維を含む解繊物を得る解繊工程と、
    前記解繊物を改質する改質工程と、
    改質した前記解繊物から木質系成形材料を作製する成形材料作製工程と、
    を備えることを特徴とする木質系成形材料の製造方法。
  2. 前記解繊工程は、前記改質工程を含む請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法。
  3. 前記成形材料作製工程は、前記木質系成形材料に含まれる前記木質繊維をランダム配向させる工程を含む、請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法。
  4. 前記改質工程は、前記解繊物に対して、熱可塑性樹脂を含む溶液を含浸させて実行される請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法。
  5. 前記改質工程は、前記解繊物に対して、エステル化処理又はエーテル化処理を施して実行される請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法。
  6. 前記エステル化処理は、トリフルオロ酢酸無水物、硫酸、塩酸からなる群から選択される1つ以上の酸と、脂肪酸化合物と、を含む混合溶液を、前記解繊物に含浸させる請求項5に記載の木質系成形材料の製造方法。
  7. 前記解繊工程は、前記木質材料を解繊して前記解繊物を得る請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法。
  8. 請求項1に記載の木質系成形材料の製造方法によって製造されることを特徴とする木質系成形材料。
  9. 請求項8に記載の木質系成形材料から木質系成形体を作製する成形体作製工程を備えることを特徴とする木質系成形体の製造方法。
  10. 請求項9に記載の木質系成形体の製造方法によって製造されることを特徴とする木質系成形体。
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