JP2024072091A - 光触媒塗布液及び光触媒コーティング層 - Google Patents

光触媒塗布液及び光触媒コーティング層 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、基材の表面に密着性の高い光触媒コーティング層を形成することができる光触媒塗布液を提供する。【解決手段】本開示の光触媒塗布液は、光触媒粒子と、水性媒体と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本開示は、光触媒塗布液及び光触媒コーティング層に関する。
光触媒粒子と、シランカップリング剤の加水分解物とを含む光触媒スプレー液が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光触媒スプレー液を壁紙、床、カーテン、トイレなどにスプレー塗布し光触媒コーティング層を形成することにより、ウィルス・細菌の分解、臭いの抑制、カビの繁殖防止、汚れの付着防止などの効果を期待することができる。
特開2020-179342号公報
しかし、樹脂部材(例えばABS樹脂製のスイッチ)や金属部材(例えば、ステンレス鋼製のドアノブ)に光触媒スプレー液をスプレー塗布し光触媒コーティング層を形成した場合、樹脂部材の表面や金属部材の表面は平滑であるため、光触媒コーティング層がはがれやすい。このため、光触媒の効果が持続しない。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基材の表面に密着性の高い光触媒コーティング層を形成することができる光触媒塗布液を提供する。
本開示は、光触媒粒子と、水性媒体と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする光触媒塗布液を提供する。
本開示の光触媒塗布液は光触媒粒子とカルボキシル基を有するシロキサン化合物とを含むため、高い光触媒活性を有しかつ基材への密着性の高い光触媒コーティング層を形成することができる。このことは、本願発明者等が行った実験により明らかになった。
本開示の光触媒塗布液を用いて光触媒コーティング層を形成する方法の説明図である。 シランカップリング剤の加水分解の化学反応式である。 テトラエトキシシランの加水分解の化学反応式である。 テトラエトキシシランが加水分解することにより生成されたシラン化合物の脱水縮合反応の化学反応式である。 シロキサン化合物の化学式である。
本開示の光触媒塗布液は、光触媒粒子と、水性媒体と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする。
前記カルボキシル基は、酸無水物基の加水分解に由来する官能基であることが好ましい。
好ましくは、前記シロキサン化合物は、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤とテトラアルコキシシランとが加水分解脱水縮合した多量体であり、前記テトラアルコキシシランに対する前記シランカップリング剤の重量比は、10/90以上50/50以下である。
前記シロキサン化合物は、ケイ素原子と結合している水酸基を有することが好ましい。
前記光触媒塗布液における前記光触媒粒子の割合は、0.1wt%以上5.0wt%以下であることが好ましい。
前記光触媒塗布液における光触媒粒子(A)に対するシロキサン化合物(B)の重量比(B/A)は、5/100以上40/100以下であることが好ましい。
前記水性媒体における水の割合は、97wt%以上であることが好ましい。
前記光触媒塗布液のpHは、2.5以上7.0以下であることが好ましい。
前記光触媒塗布液は、無機系抗菌剤をさらに含むことが好ましい。
本開示は、光触媒粒子と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする光触媒コーティング層も提供する。
以下、図面を用いて本開示の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本開示の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
図1は本実施形態の光触媒塗布液を用いて光触媒コーティング層を形成する方法の説明図である。
本実施形態の光触媒塗布液2は、光触媒粒子と、水性媒体と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする。
本実施形態の光触媒コーティング層6は、光触媒粒子と、シロキサン化合物とを含み、前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする。
また、光触媒塗布液2は、分散剤(例えば、界面活性剤)又は無機系抗菌剤(例えば、銅化合物)を含んでもよい。光触媒塗布液2が無機系抗菌剤を含むことにより、光触媒コーティング層6の光触媒活性を低下させずに光触媒コーティング層6に抗菌性を付与することができる。
光触媒塗布液2は、水性媒体に光触媒粒子及びシロキサン化合物が分散した分散液である。また、光触媒塗布液2は、基材4の表面に塗布法により塗布される分散液である。
光触媒塗布液2は、例えば、水性媒体、光触媒粒子及びシロキサン化合物を混合、攪拌することにより調製することができる。
光触媒塗布液2のpHは、例えば、2.5以上7.0以下であり、2.5以上6.5以下であることが好ましく、2.5以上4.5以下であることがより好ましい。このことにより、光触媒粒子に含まれる酸化タングステンが水性媒体に溶解することを抑制することができ、光触媒コーティング層6の光触媒活性を向上させることができる。また、シランカップリング剤に含まれるコハク酸無水物基を開環させることができ、シロキサン化合物がカルボキシル基を有することができる。このことにより、光触媒コーティング層6の基材4への密着性を向上させることができる。また、光触媒塗布液2中でシロキサン化合物が硬化することを抑制することができる。
光触媒塗布液2の塗布法は、特に限定されないが、例えば、スプレーコーティング、刷毛塗り、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、スピンコート法、ロールコート等である。例えば、図1のように、光触媒塗布液2を基材4の表面にスプレー塗布し形成された塗布膜5を乾燥させることにより光触媒コーティング層6を形成することができる。また、光触媒コーティング層6を有する光触媒被覆部材10も形成することができる。
光触媒塗布液2の塗布には、電動のスプレーガンを使用することが好ましく、HVLPガンなどを使用することがさらに好ましい。このことにより、光触媒塗布液2を基材4に細かく、薄く、均一にムラなく塗布することができる。
基材4は、例えば、例えば、壁紙、カーテン、建物の内壁、建物の外壁、部屋の天井、建物の床面、家具、窓、ガラス、プラスチック(例えばABS樹脂)、金属(例えばステンレス鋼)、セラミックス、木、石、セメント、コンクリート、繊維、フィルター、布帛、紙、皮革などである。
水性媒体は、主成分として水を含む。また、水性分散媒は、水とアルコールとの混合液であってもよい。また、水性媒体における水の割合は、例えば、97wt%以上であり、99wt%以上であることが好ましく、99.9wt%以上であることがより好ましい。このことにより、シロキサン化合物が有するシラノール基がアルコキシ基に置換されることを抑制するができ、シロキサン化合物の極性が低下することを抑制することができる。この結果、バインダーであるシロキサン化合物の安定性を向上させることができ、光触媒コーティング層6の基材4への密着性を向上させることができる。
光触媒粒子は、光を受光することにより光触媒活性を示す粒子であり、酸化タングステン粒子(WO3粒子)を含むことができる。酸化タングステン粒子は、光触媒活性を有すれば、化学量論的組成からずれた組成を有する酸化タングステン粒子であってもよい。また、酸化タングステン粒子は、光触媒活性を失わない範囲で、不純物原子や添加原子を含んでもよい。また、光触媒粒子はその表面に助触媒を有してもよい。助触媒は、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Irのような白金族金属を含む。
光触媒コーティング層6が光触媒粒子を含むことにより、消臭機能、抗菌機能、抗ウィルス機能などを有することができる。
前記光触媒粒子(一次粒子)の体積平均粒子径D50は、5nm以上500nm以下であることが好ましく、さらに5nm以上200nm以下であることが好ましい。粒子径測定は、BET比表面積計やレーザ回折式粒度分布計や動的光散乱式粒度分布計等によって測定することができる。
光触媒塗布液2は、光触媒塗布液2に対して0.1wt%以上5.0wt%以下の光触媒粒子を含むことができ、好ましくは0.5wt%以上4.0wt%以下の光触媒粒子を含むことができ、より好ましくは1.0wt%以上3.0wt%以下の光触媒粒子を含むことができる。光触媒粒子の割合を上限値以下とすることにより、光触媒塗布液2の粘度が上昇することを抑制することができ、かつ、光触媒塗布液2中で光触媒粒子が凝集沈殿することを抑制することができる。この結果、塗布ムラが生じることを抑制することができる。また、光触媒粒子の割合を下限値以上とすることにより、光触媒コーティング層6を形成する際の塗布量が多くなることを抑制することができ、液だれが生じることを抑制することができる。
光触媒塗布液2に含まれるシロキサン化合物は、光触媒コーティング層6においてバインダーとして機能する。シロキサン化合物は、シロキサン結合が連なる線状分子構造を有する化合物又はシロキサン結合が三次元的に連なる分子構造を有する化合物である。また、シロキサン化合物は、カルボキシル基を有する。このカルボキシル基は、酸無水物基の加水分解に由来する官能基であることが好ましい。また、シロキサン化合物は、長鎖状の分子構造を有してもよい。このことにより、シロキサン化合物が光触媒粒子の表面を覆う面積を狭くすることができ、光触媒コーティング層6の光触媒活性を高くすることができる。
シロキサン化合物の分子量は5000以上20000以下であることが望ましい。シロキサン化合物が5000以上の分子量を有することにより、シロキサン化合物が優れたバインダー性能を有することができ、基材4と光触媒コーティング層6との密着性を向上させることができる、また、光触媒コーティング層6が高い耐摩耗性を有することができる。シロキサン化合物が20000以下の分子量を有することにより、光触媒塗布液2の保存安定性を向上させることができる。
光触媒塗布液2における光触媒粒子(A)に対するシロキサン化合物(B)の重量比(B/A)は、例えば、5/100以上40/100以下であり、10/100以上35/100以下であることが好ましく、15/100以上30/100以下であることがさらに好ましい。
重量比(B/A)を上限値以下とすることにより、光触媒粒子の表面の大部分がシロキサン化合物に覆われることを抑制することができ、光触媒コーティング層6が高い光触媒活性を有することができる。また、重量比(B/A)を下限値以上とすることにより、光触媒コーティング層6が高い耐摩耗性を有することができ、かつ、光触媒コーティング層6の基材4への密着性を高くすることができる。
光触媒塗布液2又は光触媒コーティング層6において、シロキサン化合物は、光触媒粒子と結合していてもよい。例えば、シロキサン化合物が有する水酸基と、光触媒粒子が有する水酸基とが脱水縮合反応することにより、シロキサン化合物と光触媒粒子とが化学的に結合することができる。このことにより、光触媒コーティング層6の耐摩耗性を向上させることができる。
光触媒被覆部材10において、シロキサン化合物は、基材4の表面と結合していてもよい。例えば、シロキサン化合物が有する水酸基は極性を有するため、この水酸基が基材4の表面に水素結合していてもよい。また、シロキサン化合物が有する水酸基と、基材4の表面が有する水酸基とが脱水縮合反応することにより、シロキサン化合物と基材4の表面とが化学的に結合することもできる。このことにより、光触媒コーティング層6の基材4の表面への密着性を向上させることができる。
また、光触媒塗布液2に含まれるシロキサン化合物は、ケイ素原子と結合している水酸基を有することが好ましい。
光触媒塗布液2を長期間保管すると、保管中に水酸基の脱水縮合反応が進行し、シロキサン化合物に含まれる水酸基の数が減少する場合がある。このような場合、光触媒コーティング層6の基材4の表面への密着性の低下が懸念されるが、光触媒塗布液2を長期間保管した場合であっても、シロキサン化合物に含まれるカルボキシル基の数はほとんど減少しないため、極性を有するカルボキシル基が基材4の表面に水素結合することができる。このため、光触媒塗布液2を長期間保管した場合であっても、光触媒コーティング層6の基材4の表面への密着性が低下することを抑制することができる。
光触媒塗布液2に含まれるシロキサン化合物は、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤とテトラアルコキシシランとが加水分解脱水縮合した多量体であることが好ましい。
シロキサン化合物におけるケイ素原子の割合と酸素原子の割合の合計(無機含有率)は、65wt%以上95wt%以下であることが好ましく、75wt%以上90wt%以下であることが好ましい。無機含有率が上限値以下であれば、シロキサン化合物の極性が増し光触媒コーティング層6の基材4への密着性が向上する。無機含有率が下限値以上であれば、光触媒コーティング層6の光触媒活性を向上させることができる。
コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤は、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などである。反応性が高くシロキサン化合物に組み込まれやすいため3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が望ましい。このシランカップリング剤の加水分解の化学反応式を図2に示す。シランカップリング剤に含まれるメトキシ基は加水分解し、ケイ素原子に結合した水酸基と、メタノールとが生成される。加水分解が完全に進行すると、ケイ素原子に結合しているメトキシ基はすべて水酸基となる。また、シランカップリング剤に含まれるコハク酸無水物基と水とが反応し(加水分解反応)2つのカルボキシル基を有するシラン化合物が生成する。
テトラアルコキシシランには、例えば、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル)、テトラメトキシシラン(オルトケイ酸テトラメチル)、テトラn-プロポキシシラン(オルトケイ酸テトラプロピル)、テトラi-プロポキシシラン(オルトケイ酸テトラプロピル)、テトラブトキシシラン(オルトケイ酸テトラブチル)などがある、その中で安全性や反応性の観点でテトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル)が望ましい。テトラエトキシシランの加水分解の化学反応式を図3に示す。テトラエトキシシランに含まれるエトキシ基は加水分解し、ケイ素原子に結合した水酸基と、エタノールとが生成される。加水分解が完全に進行すると、ケイ素原子に結合しているエトキシ基はすべて水酸基となる。
テトラアルコキシシラン又はシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されることにより生成した水酸基は、他の水酸基と脱水縮合反応することができる。例えば、図4に示した化学反応式のように、テトラアルコキシシランが加水分解することにより生成された2つのシラン化合物の水酸基が脱水縮合反応すると、シロキサン化合物が生成される。また、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤が加水分解することにより生成されたシラン化合物の水酸基と、テトラアルコキシシランが加水分解することにより生成されたシラン化合物の水酸基が脱水縮合反応をしても、シロキサン化合物が生成される。
以上のような加水分解反応及び脱水縮合反応が同時進行することにより、アルコキシ基、水酸基及びカルボキシル基を有する様々なシロキサン化合物(多量体)が生成される。例えば、図5に示したようなシロキサン化合物が生成される。
光触媒塗布液2に含まれるシロキサン化合物が、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤とテトラアルコキシシランとが加水分解脱水縮合した多量体である場合、テトラアルコキシシラン(C)に対するシランカップリング剤(D)の重量比(D/C)は、10/90以上50/50以下であることが好ましく、20/80以上30/70以下であることがより好ましい。このことにより、光触媒コーティング層6中の有機分の割合を少なくすることができ、光触媒コーティング層6が高い光触媒活性を有することができる。また、光触媒塗布液2を長期間保管したとしても光触媒コーティング層6の基材4への密着性が低下することを抑制することができる。
シロキサン化合物分散液の調製
シロキサン化合物分散液RS-0、RS-1、RS-2、RS-3、RS-4を調製した。シロキサン化合物分散液RS-0~RS-4調製に用いた材料及びその量を表1に示す。シラン化合物としては、オルトケイ酸テトラエチル(コルコート株式会社製、Si(OC2H5)4、TEOS、分子量:208)を用い、シランカップリング剤としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学工業株式会社製X12-967C、分子量:262)を用いた。また、溶媒には、エタノール水溶液を用いた。
具体的には、攪拌はねを有する250mlのコルベン(フラスコ)に表1に示した材料(塩酸を除く)を投入し、室温において100rpmで攪拌しながらコルベン中に塩酸(触媒)を加えた。その後、室温で24時間攪拌を継続し加水分解反応及び縮合反応を進行させた。例えば、上述の図2、図3に示したような加水分解反応が進行する。また、上述の図4のような脱水縮合反応が進行する。このことによりシロキサン化合物が合成される。例えば、図5のようなシロキサン化合物が合成される。シロキサン化合物の合成後、エバポレータを用いてエタノールを水に置換し、5wt%シロキサン化合物分散液RS-0, RS-1, RS-2, RS-3, RS-4を調製した。
また、表1における無機含有率は、シラン化合物又はシランカップリング剤の加水分解物(シロキサン化合物)におけるケイ素原子の割合と酸素原子の割合の合計である。
光触媒スラリーの調製
酸化タングステン(WO3)粉末(キシダ化学株式会社製酸化タングステン(WO3))200gとイオン交換水800gとの混合物をビーズミルで湿式粉砕することにより光触媒分散液を調製した。この光触媒分散液にヘキサクロロ白金(IV)酸・6水和物(キシダ化学株式会社製)を添加し溶解させることにより20wt%光触媒スラリー(0.025wt%Pt-WO3分散液)を調製した。光触媒スラリーの乾燥させたもののSEM観察を行いWO3粒子の算術平均粒径(個数)を算出したところ、平均粒径は約40nmであった。
光触媒塗布液の調製
実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液を調製した。具体的には、光触媒塗布液が表2に示した組成となるように、調製したシロキサン化合物分散液RS-0, RS-1, RS-2, RS-3又はRS-4、調製した光触媒スラリー、水を混合して実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液を調製した。また、実施例9の光触媒塗布液にはエタノールも加えている。また、比較例1の光触媒塗布液にはシロキサン化合物分散液を加えていない。
なお、表2には、光触媒塗布液における固形分の割合、光触媒(WO3)(A)に対するシロキサン化合物(B)の重量比(B/A)も示している。また、表2には、実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液のpHも示している。
コーティング均一性の評価
黒色のアクリル板(サイズ:50mm×70mm)を垂直に設置し、このアクリル板に電動スプレーを用いて光触媒塗布液をスプレー塗布し、塗布膜を乾燥させることにより、光触媒コーティング層を形成した。塗布量は、光触媒コーティング層の重量が約0.4g/m2となるように調整した。
光触媒コーティング層のムラの状態を目視観察し、コーティング均一性の評価を行った。評価結果を表3に示す。表3では、ムラなく均一な光触媒コーティング層を形成することができた光触媒塗布液の評価を「〇」で示し、少しムラがあるが実使用上問題のない光触媒コーティング層を形成することができた光触媒塗布液の評価を「△」で示した。なお、実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液を用いて形成した光触媒コーティング層には、ムラが多く不均一であるものはなかった。
光触媒コーティング層の基材への密着性の評価
ステンレス鋼板(サイズ:30mm×30mm)を垂直に設置し、このステンレス鋼板に電動スプレーを用いて実施例1~9、比較例1、2の各光触媒塗布液をスプレー塗布し、塗布膜を乾燥させることにより、光触媒コーティング層を形成した。塗布量は、光触媒コーティング層の重量が約0.2g/m2となるように調整した。このようなサンプルを各光触媒塗布液について5個ずつ作成した。また、調製してすぐの光触媒塗布液及び調製した光触媒塗布液を45℃で3週間保管したもののそれぞれを用いてサンプルを作製した。
光触媒コーティング層でコーティングしたステンレス鋼板を擦り試験機にセットし、光触媒コーティング層を不織布ウェス(ベンコット(登録商標))で荷重50g/cm2をかけて100往復擦った。
擦った後の光触媒コーティング層に含まれるタングステン量(W量)を蛍光X線測定により測定し、測定結果から次の式を用いて光触媒コーティング層の残存率を算出した。
残存率(%)=((擦った後の光触媒コーティング層に含まれるW量)/(擦る前の光触媒コーティング層に含まれるW量))×100
5つのサンプルの残存率の平均値を用いて各光触媒塗布液の密着性特性の評価を行った。評価結果を表3に示す。表3では、残存率が70%以上であった光触媒塗布液の評価を「〇」で示し、残存率が40%以上70%未満であった光触媒塗布液の評価を「△」で示し、残存率が40%以下であった光触媒塗布液の評価を「×」で示した。
調製してすぐの比較例1の光触媒塗布液の評価および3週間保管した後の光触媒塗布液の評価はいずれも「×」であった。これは、比較例1の光触媒塗布液及び光触媒コーティング層がシロキサン化合物を含んでいないためと考えられる。
また、調製してすぐの比較例2の光触媒塗布液の評価は「〇」であったが、3週間保管した後の光触媒塗布液の評価は「×」となった。調製してすぐの比較例2の光触媒塗布液に含まれるシロキサン化合物は水酸基(-OH)を有するため、ステンレス鋼板表面とシロキサン化合物とが結合し、密着性が高くなったと考えられる。光触媒塗布液を45℃での3週間保管すると、保管中にシロキサン化合物の水酸基の脱水縮合反応が進行し、シロキサン化合物の水酸基(-OH)の量が少なくなると考えられる。この結果、光触媒コーティング層に含まれるシロキサン化合物とステンレス鋼板表面とが十分な強度で結合することができず、密着性の評価が悪くなったと考えられる。
調製してすぐの実施例1~9の光触媒塗布液の評価及び3週間保管した後の実施例1~9の光触媒塗布液の評価は、「〇」又は「△」であった。実施例1~9の光触媒塗布液の調製には、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤(X12-967C)を使用しているため、実施例1~9の光触媒塗布液に含まれるシロキサン化合物は、カルボキシル基を含んでいる。このカルボキシル基がステンレス鋼板表面と結合し、光触媒コーティング層のステンレス鋼への密着性が高くなったと考えられる。また、このカルボキシル基の数は、光触媒塗布液を保管してもほとんど変化しないと考えられる。
光触媒活性の評価
黒色のアクリル板(サイズ:50mm×70mm)を垂直に設置し、このアクリル板に電動スプレーを用いて実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液をスプレー塗布し、塗布膜を乾燥させることにより、実施例1~9、比較例1、2の光触媒コーティング層を形成した。塗布量は、光触媒コーティング層の重量が約0.4g/m2となるように調整した。また、調製してすぐの実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液及び実施例1~9、比較例1、2の光触媒塗布液を45℃で3週間保管したもののそれぞれを用いて光触媒コーティング層を形成した。
また、45℃で3週間保管した光触媒塗布液を用いて形成した光触媒コーティング層を有するアクリル板を擦り試験機にセットし、光触媒コーティング層を不織布ウェス(ベンコット(登録商標))で荷重50g/cm2をかけて100往復擦った。
実施例1~9、比較例1、2の光触媒コーティング層でコーティングされたアクリル板を容量0.5Lの透明なガスバッグ内に投入した。このガスバッグ内にアセトアルデヒドを20ppm含む空気を充填した後、ガスバッグを密封した。
次いで、青色LEDの青色光を、ガスバッグ内の光触媒コーティング層に16時間照射した(照度:22000ルクス)。照射開始から16時間後に、ガスバッグ内のガスのアセトアルデヒド濃度をアセトアルデヒド用ガス検知管(株式会社ガステック製「92L」、北川式ガス検知管)を用いて測定した。そして、下記の式を用いてガス残存率を算出した。
ガス残存率(%)=(青色光照射後のアセトアルデヒド濃度)/(初期アセトアルデヒド濃度(20ppm))×100
また、算出されたガス残存率から実施例1~9、比較例1、2の光触媒コーティング層の光触媒活性を評価した。評価結果を表3に示す。表3では、ガス残存率が10%未満である光触媒コーティング層の評価を「◎」で示し、ガス残存率が10%以上30%未満である光触媒コーティング層の評価を「○」で示し、ガス残存率が30%以上60%未満である光触媒コーティング層の評価を「△」で示し、ガス残存率が60%以上である光触媒コーティング層の評価を「×」で示した。
実施例1~9の光触媒コーティング層の光触媒活性の評価は、「◎」「○」又は「△」であった。
調製してすぐの光触媒塗布液を用いて形成した比較例1、2の光触媒コーティング層の光触媒活性の評価は「◎」であったが、45℃で3週間保管した光触媒塗布液を用いて形成した比較例1、2の光触媒コーティング層の光触媒活性の評価は「×」であった。これは、比較例1、2の光触媒コーティング層はアクリル板への密着性が低く擦ることによりアクリル板から剥がれてしまうためと考えられる。
2: 光触媒塗布液 3:ハンドスプレー 4:基材 5:塗布膜 6:光触媒コーティング層 10:光触媒被覆部材

Claims (10)

  1. 光触媒粒子と、水性媒体と、シロキサン化合物とを含み、
    前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、
    前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする光触媒塗布液。
  2. 前記カルボキシル基は、酸無水物基の加水分解に由来する官能基である請求項1に記載の光触媒塗布液。
  3. 前記シロキサン化合物は、コハク酸無水物基を有するシランカップリング剤とテトラアルコキシシランとが加水分解脱水縮合した多量体であり、
    前記テトラアルコキシシランに対する前記シランカップリング剤の重量比は、10/90以上50/50以下である請求項1に記載の光触媒塗布液。
  4. 前記シロキサン化合物は、ケイ素原子と結合している水酸基を有する請求項1に記載の光触媒塗布液。
  5. 前記光触媒塗布液における前記光触媒粒子の割合は、0.1wt%以上5.0wt%以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の光触媒塗布液。
  6. 前記光触媒塗布液における前記光触媒粒子(A)に対する前記シロキサン化合物(B)の重量比(B/A)は、5/100以上40/100以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の光触媒塗布液。
  7. 前記水性媒体における水の割合は、97wt%以上である請求項1~4のいずれか1つに記載の光触媒塗布液。
  8. 前記光触媒塗布液のpHは、2.5以上7.0以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の光触媒塗布液。
  9. 無機系抗菌剤をさらに含む請求項1~4のいずれか1つに記載の光触媒塗布液。
  10. 光触媒粒子と、シロキサン化合物とを含み、
    前記光触媒粒子は、酸化タングステン粒子を含み、
    前記シロキサン化合物は、カルボキシル基を有することを特徴とする光触媒コーティング層。
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