JP2024070456A - 表面電位測定装置を用いた除電装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記樹脂製のシートの製造・加工では、樹脂材料がロールによって搬送されながら延伸され、用途に応じて加工処理を施されて製品化される。樹脂製シートが製品となるまでにはいくつものロール上を流れることとなり、樹脂製シートとロールが接触し剥離することを繰り返す過程で接触や摩擦で生じた静電気がシートに蓄積し、これが樹脂製シートの静電気帯電の原因となる。
このように帯電したシートを積層したり、ロール状に巻き取ったりすると、重なり合ったフィルム同士が静電気力によって強く密着し、容易に剥がすことが出来なくなってしまう。無理に引き剥がそうとすれば、フィルムが折れたり、傷ついたりしてしまう可能性がある。
さらに、印刷後の工程、例えば裁断、製本、型抜工程での、生産性を著しく低下させてしまう。
例えば、特許文献1には、シートを一対のローラで挟持する接触型の除電装置と、シートの表面と間隔を保って対向する放電電極のコロナ放電でイオンを生成する被接触型の除電装置とが開示されている。
そして、これら接触型及び非接触型除電装置の除電条件を決めるため、帯電したシートの物性に基づいて決めるようにしているが、上記除電条件を決定するための一つの物性として、シートの表面電位を測定していた。
図5に示すように、シートsの搬送路に沿って接触型の除電機構101と非接触型の除電機構102が配置され、これらの上流側に、搬送されるシートsの表面電位を測定する表面電位センサ160が設けられている。この表面電位センサ160の測定値に基づいて除電機構101,102の除電条件を設定し、上側の表面が負に帯電したシートsが除電機構101及び102を通過後には、表面電位がゼロになるまで除電されるというものである。
上記のように、シートsは、図5,6にも示すように、シートsの厚みを介してその両面s1,s2に負と正の電荷が存在する。このようなシートsが1枚で存在する場合には、図6のように両面の電荷が、閉じた電界Eからなる電気二重層を形成するため、外方へ広がる電気力線の量はわずかである。したがって、上記表面電位センサ160で測定される見かけ上の帯電電位は低くなる。したがって、表面電位センサ160の測定値は、シートsの表面電荷量に対応したものとならない。
そのため、表面電位センサ160の測定値のみからは適切な除電条件を決定できずに、表面の電荷を十分に消去できないことになる。
なお、図6では、説明のため、シートsの厚みを大きく示しているが、実際にはシートsの厚みは数十〔μm〕~3〔mm〕程度である。
除電効果は、除電前の表面電位だけでなく、その他のシートの物性や、温度湿度などの環境条件にも影響される。そのため、除電前の表面電位のみから、適切な印加電圧を決定することは難しい。
しかし、除電後のシートの表面電位には、除電前の表面電位以外の様々な要素の影響も含まれている。そのため、この発明のように、除電後の表面電位をフィードバックすることで適切な印加電圧を決定しやすくなる。
以下にこの発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態の除電装置の概略構成図であり、図2は、第1実施形態のローラ状の除電電極の外観図、図3は、第1実施形態の表面電位測定装置の概略構成図である。
第1実施形態の除電装置は、例えばデジタル印刷工程を施された直後の帯電したシートsを矢印x方向に搬送しながら除電するための装置である。シートsの搬送路に沿って、上流側から順に、除電機構1、表面電位測定装置6が設けられている。
また、上側の除電ローラ2には直流電圧を出力する電源4が接続され、下側の除電ローラ3は接地されている。上記電源4には、その出力電圧を制御する電源制御部5が接続され、上記電源4が、上側の除電ローラ2に対し、シートsの上側面s1の帯電極性と逆極性の電圧を印加するようにしている。
なお、シートsの搬送路上には、シートsを搬送するために挟持して回転する搬送ローラ10,11が設けられている。
ただし、この第1実施形態では、除電前のシートsの表面電位ではなく、除電処理後のシートsの表面電位が、支持板7がシートsを支持した状態で測定される。
上記第1実施形態の除電装置は、表面電位測定装置6の測定値を、電源制御部5へフィードバックすることで、電源4の出力、すなわち除電ローラ2への印加電圧を制御している。例えば、除電装置は、表面電位測定装置6で大きな負の電位が検出された場合には、電源制御部5が電源4を制御して、正の印加電圧の絶対値が大きくなるようにする。また、除電装置は、表面電位測定装置6で正の表面電位が検出された場合には、印加電圧を小さくするように制御する。
このようにして、除電不足や、逆帯電を防止することができる。
ただし、除電ローラ2,3は、弾性を有する導電性樹脂で構成されていなくても構わない。
以下に第2実施形態を説明する。図4は、第2実施形態の概略構成図である。
この第2実施形態は、長尺のシートsの表面を除電するための除電装置であるとともに、除電機構1の下流側に設けられた表面電位測定装置12の構成が、上記第1実施形態の表面電位測定装置6とは異なる。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
そして、この支持ローラ13と対向する位置に電位検出部8が設けられている。
この第2実施形態においても、表面電位測定装置12は、接地した支持ローラ13によって下側面s2の電荷を固定して、上側面s1の表面電位を正確に測定することができる。したがって、第2実施形態の除電装置も、この表面電位の測定値に応じて、電源制御部5が電源4を制御し、上記除電電極への印加電圧を適切に設定することができる。その結果、より完璧な除電ができる。
そして、表面電位測定装置6,12は、上記のような除電装置に組み込むだけでなく、単独で用い、帯電したシートsにおける一方の面の表面電位を、正確に測定することができる。
2,3 (ローラ状の除電電極)除電ローラ
4 電源
5 電源制御部
6,12 表面電位測定装置
7 (支持部材)支持板
8 検出部
13 (支持部材)支持ローラ
s シート
s1 (一方の面)上側面
s2 (他方の面)下側面
除電効果は、除電前の表面電位だけでなく、その他のシートの物性や、温度湿度などの環境条件にも影響される。そのため、除電前の表面電位のみから、適切な印加電圧を決定することは難しい。
しかし、除電後のシートの表面電位には、除電前の表面電位以外の様々な要素の影響も含まれている。そのため、この発明のように、除電後の表面電位をフィードバックすることで適切な印加電圧を決定しやすくなる。
Claims (3)
- 帯電したシートの、一方の面の表面電位を測定する表面電位測定装置であって、
上記シートの他方の面を支持する支持部材と、
上記シートを挟んで上記支持部材と対向する位置に設けられ、上記シートの一方の面の表面電位を非接触で検出する電位検出部とを備え、
上記支持部材が接地に接続された表面電位測定装置。 - 帯電したシートが搬送される搬送路に沿って、
上記シートの搬送方向上流側から順に、
上記シートの表面を除電するための除電機構と、請求項1に記載の表面電位測定装置とを備え、
上記除電機構は、
上記シートの表面に対向する除電電極と、
上記除電電極に電圧を印加する電源と、
上記電圧を制御する電源制御部とからなり、
上記表面電位測定装置は、上記表面電位の測定値を上記電源制御部へ入力するとともに、
上記電源制御部は、入力された上記表面電位の測定値に応じて、上記除電電極への印加電圧を制御する構成にした除電装置。 - 上記除電機構は、
帯電したシートを挟持して搬送する一対のローラ状の除電電極を備え、
上記一対の除電電極のうち、少なくともいずれか一方の外周面が弾力を有する導電性樹脂で構成された請求項2に記載の除電装置。
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WO2017159441A1 (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-21 | 東レ株式会社 | 絶縁性シートの除電方法および絶縁性シートの除電装置 |
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