JP2024069747A - 化粧料用粉体、及びその製造方法、並びに化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れつつも、製剤設計の自由度が高められた化粧料用粉体を提供する。【解決手段】基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなる化粧料用粉体であり、アルキルグルコシドにおけるアルキル基は、炭素数7~25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、酒石酸及び/又はクエン酸の塩は、マグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩である。【選択図】なし

Description

本発明は、ファンデーション、アイシャドー、ほほ紅等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン化粧料、乳液、クリーム等の基礎化粧料等に用いられる化粧料用粉体、及びその製造方法、並びに化粧料に関する。
ファンデーション、アイシャドー、ほほ紅等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン化粧料、乳液、クリームなどの基礎化粧料等においては、保湿性を向上させることが求められている。
従来の化粧料として、コラーゲン等の油性(油溶性)の保湿成分やヒアルロン酸やグリセリン等の水性(水溶性)の保湿成分で基粉体を表面処理したものがあった(特許文献1、2参照)。
また、化粧料の使用感触や付着性を向上させることが検討されており、例えば、アシルアミノ酸又はその塩で基粉体を表面処理してなる化粧料用粉体を化粧料に配合したものがあった(特許文献3、4参照)。
特開昭61-69710号公報 特開2002-201113号公報 特開2012-121835号公報 特公平1-50202号公報
特許文献1においては、コラーゲン等の油性の保湿成分は、動物性タンパク質であるため、使用が制限される虞がある。また、油性の保湿成分は、その融点、他成分との相溶性等に起因して、化粧料の製造時に高温での加熱が必要となったり、化粧料の経時安定性に悪影響を及ぼしたりする虞がある。このように、製剤設計の自由度が十分であるとはいい難い。
特許文献2においては、ヒアルロン酸等の水溶性の保湿成分は、親水性であることから撥水性に劣り、粉体製剤を設計する際、撥水性を有する粉体との馴染みが悪く、化粧料に汎用される有機溶媒に溶解し難く、配合に工夫を要する。また、ヒアルロン酸は、高分子であることから、基粉体を表面処理する際に高粘度のゲル状となり、均一に処理することが困難となる。このように、製剤設計の自由度が十分であるとはいい難い。さらに、ヒアルロン酸で表面処理して得られた化粧料用粉体は、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触にも劣る。
特許文献3及び4においては、アシルアミノ酸又はその塩で基粉体を表面処理した場合、撥水性を付与するために処理量が多く必要となり、製造コストが高くなり、化粧料の使用感触に劣る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れつつも、製剤設計の自由度が高められた化粧料用粉体、及びその製造方法、並びに当該化粧料用粉体を配合した化粧料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る化粧料用粉体の特徴構成は、
基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなることにある。
本構成の化粧料用粉体によれば、基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなることにより、親水基である水酸基を有し、それゆえ保水機能を有する糖(グルコース)基に起因して、保水性が高められたものとなり、同時に親油基であるアルキル基に起因して、撥水性が高められたものとなる。また、肌のpHと同程度の弱酸性を示す酒石酸及び/又はクエン酸基に起因して、肌のpHと同程度の弱酸性が付与され、肌馴染み性が高められたものとなる。そして、これらの相互作用により、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れたものとなる。また、同じ化粧料用粉体中に親水基と親油基とを含むことから、適用される化粧料の剤型が制限されず、液体製剤及び固体製剤のいずれにも適用することが可能なものとなり、製剤設計の自由度が高められたものとなる。
本発明に係る化粧料用粉体において、
前記アルキルグルコシドにおけるアルキル基は、炭素数7~25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。
本構成の化粧料用粉体によれば、アルキルグルコシドにおけるアルキル基を炭素数7~25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基とすることにより、適度な親油性が付与されるため、撥水性を高めることができる。
本発明に係る化粧料用粉体において、
前記酒石酸及び/又はクエン酸の塩は、マグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩であることが好ましい。
本構成の化粧料用粉体によれば、酒石酸及び/又はクエン酸の塩をマグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩とすることにより、基粉体に縮合物を適切に付着させることができるため、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触を高めることができる。
本発明に係る化粧料用粉体において、
前記縮合物の含有量は、0.05~22質量%であることが好ましい。
本構成の化粧料用粉体によれば、縮合物の含有量を0.05~22質量%に設定することにより、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触を高めることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る化粧料用粉体の製造方法の特徴構成は、
基粉体と、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の1価の金属塩との縮合物とを水に分散させる第1工程と、
前記第1工程で得られた分散物に2価以上の金属塩を添加することにより、前記基粉体の表面に、前記アルキルグルコシドと前記2価以上の金属塩との縮合物を析出させる第2工程と、
前記第2工程で得られた分散物のpHを調整する第3工程と
を包含することにある。
本構成の化粧料用粉体の製造方法によれば、基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩(2価以上の金属塩)との縮合物で表面処理してなる化粧料粉体を得ることができる。得られた化粧料用粉体は、上述したように、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れつつも、製剤設計の自由度が高められたものとなる。
本発明に係る化粧料用粉体の製造方法において、
前記2価以上の金属塩は、マグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩であることが好ましい。
本構成の化粧料用粉体の製造方法によれば、2価以上の金属塩をマグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩とすることにより、基粉体に縮合物を適切に付着させることができるため、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められた化粧料用粉体を得ることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る化粧料の特徴構成は、
上記の化粧料用粉体を配合したことにある。
本構成の化粧料によれば、上述した化粧料粉体を配合したことにより、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められたものとなる。
以下、本発明の化粧料用粉体、及びその製造方法、並びに化粧料について、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態及び実施例に限定されることを意図するものではない。
〔化粧料用粉体〕
本発明の化粧料用粉体は、基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなるものである。具体的には、上記縮合物は、アルキルグルコシドの水酸基と、酒石酸及び/又はクエン酸のカルボン酸基とのエステル体において、エステル化されていない酒石酸及び/又はクエン酸が塩を形成してなるものである。
<アルキルグルコシド>
アルキルグルコシドは、高級アルコール等のアルキル基を有するアルコールと、グルコースとがグリコシド結合してなる化合物である。
アルキルグルコシドにおけるアルキル基は、炭素数7~25の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。アルキルグルコシドにおけるアルキル基を炭素数7~25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基とすることにより、適度な親油性が付与されるため、撥水性を高めることができる。アルキル基としては、例えばラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸などの単一組成の脂肪酸や、ヤシ油脂肪酸、牛油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などの天然より得られる混合組成の脂肪酸、または合成して得られる混合組成の脂肪酸のアシル残基に含まれるアルキル基を用いることができる。
アルキルグルコシドにおけるグルコース構造単位の数は、1以上が好ましく、1~6がより好ましい。グルコース構造単位を上記の適切な範囲に設定することにより、保水機能を有する糖(グルコース)基に起因して保水性が高められたものとなる。
このようなアルキルグルコシドは、例えば下記式(1)で示される構造を有する。
Figure 2024069747000001
上記式(1)において、mは1以上の整数であることが好ましく、1~6の整数がより好ましい。nは6以上の整数であることが好ましく、6~24の整数がより好ましい。
アルキルグルコシドは、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
<酒石酸及び/又はクエン酸の塩>
酒石酸及び/又はクエン酸の塩としては、酒石酸及び/又はクエン酸の金属塩、有機アミン塩、無機アミン塩等が挙げられる。金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、酒石酸及び/又はクエン酸の塩は、2価又は3価の金属塩が好ましく、マグネシウム塩、アルミニウム塩がより好ましく、マグネシウム塩がさらに好ましい。酒石酸及び/又はクエン酸の塩をマグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩とすることにより、基粉体に縮合物を適切に付着させることができるため、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触を高めることができる。これらの塩は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
<基粉体>
基粉体は、本発明の化粧料用粉体の基材となる粉体である。
基粉体としては、従来公知の無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等を使用することができる。基粉体の形状は、球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等とすることができる。基粉体の大きさは、煙霧状、微粒子、顔料級等とすることができる。基粉体の粒子構造は、多孔質、無孔質(中実)等とすることができる。
無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー、1,2-ナイロンパウダー、6-ナイロンパウダー、アクリルパウダー、アクリルエラストマーパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジンパウダー等が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の白色微粒子粉体、タール色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。
金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
基粉体は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
<その他成分>
本発明の化粧料用粉体は、アルキルグルコシド、酒石酸及び/又はクエン酸の塩、及び基粉体以外の成分を含んでもよい。
<被覆量>
化粧料用粉体(100質量%)におけるアルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸塩との縮合物の含有量(すなわち、被覆量)は、0.05~22質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましい。縮合物の含有量を0.05~22質量%に設定することにより、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触を高めることができる。
〔化粧料用粉体の利点〕
本実施形態の化粧料用粉体によれば、基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなることにより、親水基である水酸基を有し、それゆえ保水機能を有する糖(グルコース)基に起因して、保水性が高められたものとなり、同時に親油基であるアルキル基に起因して、撥水性が高められたものとなる。また、肌のpHと同程度の弱酸性を示す酒石酸及び/又はクエン酸基に起因して、肌のpHと同程度の弱酸性が付与され、肌馴染み性が高められたものとなる。そして、これらの相互作用により、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れたものとなる。また、同じ化粧料用粉体中に親水基と親油基とを含むことから、適用される化粧料の剤型が制限されず、液体製剤及び固体製剤のいずれにも適用することが可能なものとなり、製剤設計の自由度が高められたものとなる。
〔化粧料用粉体の製造方法〕
本発明の化粧料用粉体は、下記(I)、(II)、及び(III)の工程を実施することで製造することができる。
(I)第1工程
第1工程では、基粉体と、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の1価の金属塩との縮合物とを水に分散させる。具体的には例えば、基粉体と、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸のナトリウム塩等との縮合物とを精製水に投入してこれらを混合する。混合には、従来公知の混合機を使用することができる。
(II)第2工程
第2工程では、上記第1工程で得られた分散物に2価以上の金属塩を添加することにより、基粉体の表面に、アルキルグルコシドと2価以上の金属塩との縮合物を析出させる。2価以上の金属塩の添加により、上記縮合物において1価の金属塩を2価以上の金属塩に交換(塩交換)することができ、この塩交換により、水に対する溶解度が低下し、アルキルグルコシドと2価以上の金属塩との縮合物を析出させることができる。具体的には例えば、上記第1工程で得られた分散物(混合物)を攪拌しながら、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等を精製水に溶解させた水溶液を徐々に滴下する。これにより、縮合物中のナトリウム(イオン)等をマグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)等に交換し、アルキルグルコシドと、マグネシウム、アルミニウム等との縮合物を、基粉体の表面に析出させることができる。上述したように、2価以上の金属塩としては、2価又は3価の金属塩が好ましく、マグネシウム塩、アルミニウム塩がより好ましく、マグネシウム塩がさらに好ましい。2価以上の金属塩をマグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩とすることにより、基粉体に縮合物を適切に付着させることができるため、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められた化粧料用粉体を得ることができる。
(III)第3工程
第3工程においては、上記第2工程で得られた分散物(混合物)のpHを調整する。pHは、肌のpHと同程度の弱酸性となるように調整することが好ましい。従って、上記第2工程で得られた分散物(混合物)には酸が添加され、具体的には例えば、上記第2工程で得られた混合物に、塩化水素水溶液(塩酸)を添加して、弱酸性となるようにpHを低下させる(中和処理)。その後、水洗、ろ過を繰り返した後、乾燥及び粉砕を行う。このようにして、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸のマグネシウム塩、アルミニウム塩等との縮合物で基粉体が被覆されてなる化粧料用粉体を得ることができる。粉砕を行う場合には、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。
上記の他、当該化粧料用粉体は、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸塩の2価以上の金属塩との縮合物を有機溶剤に溶解又は分散させ、その混合物(混合液)を基粉体と撹拌混合した後、有機溶剤を除去することによって得ることもできる。有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系有機溶剤、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の極性有機溶剤等が挙げられる。混合分散方法としては、混合物の濃度や粘度等に応じて適当な方法を選択することができ、例えば、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、2軸混練機等の混合機による方法や、上記混合物を加熱空気中に噴霧して有機溶媒を一気に除去するスプレードライの方法などを選択することができる。また、粉砕を行う場合には、上記のように、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができる。
<被覆量>
上述したように、化粧料用粉体(100質量%)における基粉体の表面に対する、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸塩との縮合物の付着量(すなわち、被覆量)は、0.05~22質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましい。上記縮合物の付着量を0.05~22質量%に設定することにより、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められた化粧料粉体を得ることができる。
本実施形態において、基粉体の表面に、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸塩の2価以上の金属塩との縮合物で表面処理を行うことに加えて、本発明の効果を妨げない限りにおいて、他の表面処理を行ってもよい。他の表面処理としては、例えばフッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理等)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理、トリメチルシロキシケイ酸処理等)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖等を付加する処理)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、アルミニウムカップリング剤処理、シラン処理(アルキル化シランやアルキル化シラザン処理等)、油剤処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸塩やミリスチン酸塩処理等)、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理等が挙げられる。これらの処理は、一種を単独で使用することができるが、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施形態の化粧料用粉体の製造方法によれば、基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩(2価以上の金属塩)との縮合物で表面処理してなる化粧料粉体を得ることができる。得られた化粧料用粉体は、上述したように、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れつつも、製剤設計の自由度が高められたものとなる。
〔化粧料〕
本発明の化粧料は、上述した化粧料用粉体を配合したものである。化粧料における化粧料用粉体の含有量は特に限定されないが、0.1~99質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。化粧料に上述した化粧料用粉体を配合することによって、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められたものとなる。
さらに、化粧料には、通常化粧料に用いられる油剤、界面活性剤、顔料、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、樹脂、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
油剤としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。炭化水素油としては、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、1,2-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、1,2-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ビフェニルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、アルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン等が挙げられる。
化粧料の用途としては、スキンケア製品、頭髪製品、制汗剤製品、メイクアップ製品、紫外線防御製品、香料溶剤等が挙げられる。具体的には例えば、ファンデーション、白粉、アイシャドー、アイライナー、アイブロー、チーク、ネイルカラー、リップクリーム、口紅、マスカラなどのメイクアップ化粧料、乳液、クリーム、ローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、パック料、クレンジング料、洗顔料などの基礎化粧料、ヘアカラー、セット剤、ボディーパウダー、デオドラント、脱毛剤、石鹸、入浴剤、ハンドソープ、香水等が挙げられる。
化粧料の剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状等の剤型が挙げられる。
本実施形態の化粧料によれば、上述した化粧料粉体を配合したことにより、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触が高められたものとなる。
<化粧料用粉体>
表1~2の配合に従い、本発明の化粧料用粉体(実施例1~11)を作製し、使用感触として、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、及びなめらかさを評価した。また、比較のため、表3~4の配合に従い、本発明の範囲外となる化粧料用粉体(比較例1~10)を準備又は作製し、同様の評価を実施した。
[実施例1]
基粉体として酸化チタン(CR-50、石原産業株式会社製)を使用した。ビーカーに精製水4kgと酸化チタン1kgとを投入してこれらを混合(精製水に酸化チタンを分散)した。得られた分散物(混合物)に、アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物(Lamberti社製、ヤシ油アルキルグルコシド酒石酸ナトリウム、EUCAROL AGE/ET MB)66.7g(固形分30質量%)を投入し、攪拌しながら、塩化マグネシウム・六水和物33.5gを精製水300gに溶解させた水溶液を徐々に滴下した。その後、塩化水素水溶液(塩酸)を用いてpHを弱酸性に調整した後、水洗及びろ過を繰り返し、その後、乾燥粉砕することにより、実施例1の化粧料用粉体を得た。実施例1の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例2]
アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物の添加量を6.67gに変更し、塩化マグネシウム・六水和物3.35gを精製水300gに溶解させた水溶液を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧料用粉体を得た。実施例2の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が0.2質量%であった。
[実施例3]
アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物の添加量を333.5gに変更し、塩化マグネシウム・六水和物167.5gを精製水500gに溶解させた水溶液を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の化粧料用粉体を得た。実施例3の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が10質量%であった。
[実施例4]
アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物の添加量を1.66gに変更し、塩化マグネシウム・六水和物0.84gを精製水300gに溶解させた水溶液を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の化粧料用粉体を得た。実施例4の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が0.05質量%であった。
[実施例5]
アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物の添加量を733.7gに変更し、塩化マグネシウム・六水和物368.5gを精製水1100gに溶解させた水溶液を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の化粧料用粉体を得た。実施例5の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が22質量%であった。
[実施例6]
基粉体として、酸化チタン1kgに代えて、酸化鉄(黄色、赤色、黒色の混合物)1kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の化粧料用粉体を得た。実施例6の化粧料用粉体は、酸化鉄の表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例7]
基粉体として、酸化チタン1kgに代えて、マイカ1kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の化粧料用粉体を得た。実施例7の化粧料用粉体は、マイカの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例8]
基粉体として、酸化チタン1kgに代えて、タルク1kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の化粧料用粉体を得た。実施例8の化粧料用粉体は、タルクの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例9]
基粉体として、酸化チタン1kgに代えて、セリサイト1kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の化粧料用粉体を得た。実施例9の化粧料用粉体は、セリサイトの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例10]
アルキルグルコシド(ヤシ油)と酒石酸のナトリウム塩との縮合物66.7gに代えて、アルキルグルコシド(ヤシ油)とクエン酸との縮合物のナトリウム塩(Lamberti社製、ヤシ油アルキルグルコシドクエン酸2Naナトリウム、EUCAROL AGE/EC MB)66.7gを添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の化粧料用粉体を得た。実施例10の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドとクエン酸のマグネシウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドとクエン酸のマグネシウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[実施例11]
塩化マグネシウム・六水和物33.5gを精製水300gに溶解させた水溶液に代えて、塩化アルミニウム・六水和物13.8gを精製水300gに溶解させた水溶液を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして、実施例11の化粧料用粉体を得た。実施例11の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、アルキルグルコシドと酒石酸のアルミニウム塩との縮合物で処理されており、化粧料用粉体におけるアルキルグルコシドと酒石酸のアルミニウム塩との縮合物の含有量が2質量%であった。
[比較例1~5]
上述した表面処理が施されていない未処理の酸化チタン、酸化鉄、マイカ、タルク、及びセリサイトを、夫々比較例1~5の化粧料用粉体として使用した。
[比較例6]
ヒアルロン酸ナトリウム10.0gと精製水2000gとを攪拌機を用い混合溶解し、得られた混合液(水溶液)に酸化チタン1kgを投入し、300rpmで10分間攪拌混合することにより、粘性を有するスラリー(粘性スラリー)を得た。得られた粘性スラリーを、棚式乾燥機を用いて乾燥した後、粉砕することにより、比較例6の化粧料用粉体を得た。比較例6の化粧料用粉体は、酸化チタンの表面が、ヒアルロン酸ナトリウムで処理されており、化粧料用粉体におけるヒアルロン酸ナトリウムの含有量が1質量%であった。
[比較例7]
酸化チタン1kgに代えて酸化鉄(黄色、赤色、黒色の混合物)1kgを使用したこと以外は比較例6と同様にして、比較例7の化粧料用粉体を得た。比較例7の化粧料用粉体は、酸化鉄の表面が、ヒアルロン酸ナトリウムで処理されており、化粧料用粉体におけるヒアルロン酸ナトリウムの含有量が1質量%であった。
[比較例8]
酸化チタン1kgに代えてマイカ1kgを使用したこと以外は比較例6と同様にして、比較例8の化粧料用粉体を得た。比較例8の化粧料用粉体は、マイカの表面が、ヒアルロン酸ナトリウムで処理されており、化粧料用粉体におけるヒアルロン酸ナトリウムの含有量が1質量%であった。
[比較例9]
酸化チタン1kgに代えてタルク1kgを使用したこと以外は比較例6と同様にして、比較例9の化粧料用粉体を得た。比較例9の化粧料用粉体は、タルクの表面が、ヒアルロン酸ナトリウムで処理されており、化粧料用粉体におけるヒアルロン酸ナトリウムの含有量が1質量%であった。
[比較例10]
酸化チタン1kgに代えてセリサイト1kgを使用したこと以外は比較例6と同様にして、比較例10の化粧料用粉体を得た。比較例10の化粧料用粉体は、セリサイトの表面が、ヒアルロン酸ナトリウムで処理されており、化粧料用粉体におけるヒアルロン酸ナトリウムの含有量が1質量%であった。
[使用感触特性試験]
化粧料用粉体は、使用感触が良好なもの程、化粧料に好適に使用される。そこで、実施例1~11及び比較例1~10の化粧料用粉体の使用感触について、専門パネラー10名による官能評価を行った。評価項目は、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感及びなめらかさの4項目とし、判定基準は、下記に示すように1点~5点の5段階とし、点数が大きい程、使用感触が良好であることを示す。結果を表1~4に示す。各項目に関する各パネラーの評価点の平均値を評価結果とし、表1~4に示す。
〔みずみずしさ〕
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:みずみずしい
5点:かなりみずみずしい
(肌への密着性)
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:やや良い
5点:良い
(ソフト感)
1点:劣る
2点:やや劣る
3点:普通
4点:やや優れている
5点:優れている
(なめらかさ)
1点:劣る
2点:やや劣る
3点:普通
4点:やや優れている
5点:優れている
Figure 2024069747000002
Figure 2024069747000003
Figure 2024069747000004
Figure 2024069747000005
基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなる実施例1~11の化粧料用粉体は、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、及びなめらかさの全ての項目(使用感触の全ての項目)において優れることが示された。
具体的には、実施例1と実施例11との結果より、縮合物がマグネシウム塩である場合の方が、アルミニウム塩である場合よりも、ソフト感及びなめらかさが高められることが示された。
実施例1と実施例10との結果より、クエン酸を用いた縮合物は、酒石酸を用いた縮合物と同様の効果を奏することが示された。
実施例1~5の結果より、被覆量は0.05~22質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましいことが示された。
実施例6~9の結果より、種々の基粉体を用いた場合において、上記使用感触の全ての項目に優れることが示された。
これに対し、基粉体を表面処理していない(未処理の)比較例1~5の化粧料用粉体、及び基粉体をヒアルロン酸ナトリウムで表面処理した比較例6~10の化粧料用粉体は、上記使用感触の全ての項目に劣ることが示された。
<化粧料>
〔実施例12、比較例11~12〕
上述した実施例1、6、8、及び比較例1、2、4、6、7、9の化粧料用粉体を用いて、下記の製法を用いて表5に示す処方で実施例12、及び比較例11~12の化粧料(W/O型リキッドファンデーション)を製造した。
(W/O型リキッドファンデーションの製法)
先ず、粉体成分である成分Bを混合し、これを、ミキサーを用いて均一になるまでよく撹拌した。次に、油性成分である成分Aを混合し、これを80℃に加温し、ディスパーミキサーを用いて均一になるまでよく撹拌混合した。このディスパーミキサーによる撹拌下の成分Aの混合物に、成分Bの混合物を徐々に添加しながら、50℃まで徐冷した。水性成分である成分Cを混合し、これを80℃に加温して均一に溶解させた後、最後に、ディスパーミキサーによる撹拌下において、50℃まで徐冷した成分A及びBの混合物中に、成分Cの混合物を徐々に添加することで乳化させた。この乳化物を室温まで冷却してW/O型リキッドファンデーションを得た。
Figure 2024069747000006
〔使用感触特性試験〕
各化粧料の使用感触について、専門パネラー10名による官能評価を行った。評価項目は、化粧の伸び、肌への密着性、及び化粧持ちの3項目とし、判定基準は、下記に示すように1点~5点の5段階とし、点数が大きい程、特性が良好であることを示す。化粧持ちは、塗布してから3時間後に判定した。各項目に関する各パネラーの評価点の平均値を評価結果とし、表6に示す。
(化粧の伸び)
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:やや良い
5点:良い
(肌への密着性)
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:やや良い
5点:良い
〔化粧持ち(塗布から3時間後)〕
1点:化粧崩れがひどい
2点:化粧崩れしている
3点:やや化粧崩れしている
4点:ほとんど化粧崩れしていない
5点:全く化粧崩れしていない
Figure 2024069747000007
実施例の化粧料用粉体を用いて製造した実施例12のW/Oリキッド型ファンデーションは、化粧の伸び、肌への密着性、化粧持ちの全ての項目において、比較例の化粧料用粉体を用いて製造した比較例11~12のW/Oリキッド型ファンデーションよりも優れることが示された。
〔実施例13、比較例13~14〕
上述した実施例1、6~9、及び比較例1~10の化粧料用粉体を用いて、下記の製法を用いて表7に示す処方で実施例13、及び比較例13~14の化粧料(パウダーファンデーション)を製造した。
(パウダーファンデーションの製法)
表7の成分1~16を混合し、ハンマーミルで粉砕する。これに成分17及び18を高速ブレンダーで攪拌しながら添加する。さらに、この混合物を篩に通した後、金皿に充填成型して目的のパウダーファンデーションを得た。
Figure 2024069747000008
[使用感触特性試験]
各化粧料の化粧崩れ防止性について、専門パネラー10名による官能評価を行った。評価項目は、化粧の伸び、肌への密着性、化粧持ち、及びみずみずしさの4項目とし、判定基準は、下記に示すように1点~5点の5段階とし、点数が大きい程、特性が良好であることを示す。化粧持ちは、塗布してから3時間後に判定した。各項目に関する各パネラーの評価点の平均値を評価結果とし、表8に示す。
〔化粧の伸び〕
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:やや良い
5点:良い
〔肌への密着性〕
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:やや良い
5点:良い
〔化粧持ち(塗布から3時間後)〕
1点:化粧崩れがひどい
2点:化粧崩れしている
3点:やや化粧崩れしている
4点:ほとんど化粧崩れしていない
5点:全く化粧崩れしていない
〔みずみずしさ〕
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:普通
4点:みずみずしい
5点:かなりみずみずしい
Figure 2024069747000009
実施例1、6~9の化粧料用粉体を用いて得られた実施例13のパウダーファンデーションは、比較例1~10を用いて得られた比較例13~14のパウダーファンデーションよりも、化粧の伸び、肌への密着性、化粧持ち、及びみずみずしさの全ての項目において優れることが示された。
本発明の化粧料用粉体は、みずみずしさ、肌への密着性、ソフト感、なめらかさといった使用感触に優れるため、肌のバリア機能と水分保持性能を改善することができ、化粧料等に利用可能であり、特に、顔料を配合したファンデーション、アイシャドー、アイブロー、ほほ紅等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン化粧料、乳液、クリーム等の基礎化粧料等への利用に適する。

Claims (7)

  1. 基粉体の表面を、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の塩との縮合物で表面処理してなる化粧料用粉体。
  2. 前記アルキルグルコシドにおけるアルキル基は、炭素数7~25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である請求項1に記載の化粧料用粉体。
  3. 前記酒石酸及び/又はクエン酸の塩は、マグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩である請求項1に記載の化粧料用粉体。
  4. 前記縮合物の含有量は、0.05~22質量%である請求項1~3の何れか一項に記載の化粧料用粉体。
  5. 基粉体と、アルキルグルコシドと酒石酸及び/又はクエン酸の1価の金属塩との縮合物とを水に分散させる第1工程と、
    前記第1工程で得られた分散物に2価以上の金属塩を添加することにより、前記基粉体の表面に、前記アルキルグルコシドと前記2価以上の金属塩との縮合物を析出させる第2工程と、
    前記第2工程で得られた分散物のpHを調整する第3工程と
    を包含する化粧料用粉体の製造方法。
  6. 前記2価以上の金属塩は、マグネシウム塩及び/又はアルミニウム塩である請求項5に記載の化粧料用粉体の製造方法。
  7. 請求項1~3の何れか一項に記載の化粧料用粉体を配合した化粧料。

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