JP2024069016A - 2液型手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水塗膜層の施工方法 - Google Patents

2液型手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水塗膜層の施工方法 Download PDF

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優敏 吉川
尚人 谷澤
直親 青山
恒 藤田
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アイシーケイ株式会社
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Abstract

【課題】スポーツフロアや駐車場用仕上げ材として十分な硬度を示し、年間を通して十分な可使時間を確保することができる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を提供する。【解決手段】ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と芳香族ポリアミンおよび無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、ポリイソシアナートの70当量%超がIPDIであり、主剤のNCO含有量が3.0~6.0質量%であり、硬化剤は20~80質量%の無機充填剤を含み、硬化剤中の全反応成分の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、芳香族ポリアミンの70当量%超がDETDAであり、プレポリマー100質量部に対し3~25質量部の可塑剤が硬化剤に又は主剤と硬化剤の両方に分けて配合され、組成物に対して10~40質量%の溶剤が硬化剤に又は主剤と硬化剤の両方に分けて配合され、溶剤は溶解度パラメーターが8.0~14.0の非プロトン性溶剤を30質量%超含み、可塑剤量(g)に対する芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)の比が4.0~45.0である。【選択図】なし

Description

本発明は、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物およびスポーツフロアや駐車場用ウレタン防水塗膜層施工方法に関する。
ウレタン防水材は、不定形状および狭小部分の施工に適していることより、マンション等集合住宅のベランダ、庇の防水や、役物類が多い屋上の防水を初め、通気緩衝シートを用いた本格的な屋上防水まで幅広く使用されてきた。一方、スポーツフロアや屋上駐車場などの強い負荷がかかる部分には、弾性と硬度に富んだ高硬度ウレタン塗膜防水層が仕上げ材として必要になってくる。
現在使用されているウレタン防水材は、JIS A 6021「建築用塗膜防水材」により、高伸張形と高強度形の2種類に分類されている。高伸張形は手塗用の汎用性のある防水材であり、破断時の伸び率(以下、「伸び率」と称す。)が450%以上、引張強さが2.3N/mm2以上、抗張積が280N/mm以上と規定されており、主に非歩行用や軽歩行用部分に使用されている。一方の高強度形は、伸び率が200%以上、引張強さが10N/mm2以上、抗張積が700N/mm以上という規格になっており、駐車場用防水床、屋上緑化用耐根性防水材、金属屋根用防水材等の特殊な用途に使用される場合が多く、高反応性の2成分を衝突混合させる専用のスプレー装置によりスプレー塗布する超速硬化性ウレタン材料が主体となっている。しかしながら、スプレー施工は、施工時に発生するミストの飛散が大きな問題であり、施工する近辺を厳重にフィルム等で養生することはもとより、近隣の住居や車にも注意を払わなければならないため、住宅密集地での施工には適していない。また、スプレー装置が高価であり、しかも専任技術者が必要となるため、施工できる工事店が限定されてしまうという問題もある。JIS A 6021には硬度に関する規格はないが、超速硬化性ウレタン材料を用いた一般的なスプレー塗膜のJIS D硬度は35~45程度である。
施工上の問題が少ない2液型手塗り用ウレタン防水材の中でも、比較的高硬度な塗膜として、主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナート(以下、IPDIと称す。)を含み、硬化剤がジエチルトルエンジアミン(以下、DETDAと称す。)を含むJIS A 6021のウレタンゴム系高強度形に該当する、2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物(特許文献1、特許文献2)が知られているが、その硬化塗膜の硬度は最大でもJIS A硬度で85程度(JIS D硬度で33相当)であり、スポーツフロアや駐車場用ウレタン塗膜層としては不十分であった。
2液型手塗り用ウレタン防水材は、2液の液状物を攪拌機で混合した後、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等で手塗り施工するものであり、攪拌機で混合した後少なくとも30分程度の使用可能時間(以下、可使時間と称す。)が必要とされている。
上記の、手塗り用2液型ウレタン防水材は、冬季の施工と夏季の施工では外気温が大幅に異なるため、夏季の30℃前後での施工に適した夏用配合と、冬季の10℃前後の施工に適した冬用配合が用意されているのが一般的であり、一例ではあるが夏用配合では23℃での可使時間が50分以上、冬用配合では23℃での可使時間が30分以上を目処としている。なお、可使時間については、23℃において2液混合後から粘度が6万~10万mPa・sに到達するまでの時間とするのが一般的である。
また、ウレタン防水材を夕方に塗布し終わり、翌日朝には軽歩行できるほどに硬化することが望まれており、硬化時間は年間を通して17時間以内に調整できることが最良とされている。
一般的に2液型手塗り用ウレタン防水材では、年間を通して施工に必要な可使時間を有し、高伸張性・高硬度な性能を確保するために可塑剤が使用されている。使用する可塑剤の一部を最終的に空気中に揮発する溶剤に置換えることにより、樹脂濃度を上げてウレタン塗膜の硬度を高めることは比較的容易に可能である。しかしながら、その場合主剤と硬化剤の反応が促進されて、十分な可使時間を確保することが難しくなる。
特開2017-43740号公報 特開平10-17819号公報
従来、スポーツフロアや駐車場用仕上げ材として主に使用されているスプレータイプの超速硬化性ウレタン防水材は、施工時に発生するミストの飛散や専任技術者が必要となるなどの問題がある。一方2液型手塗り用ウレタン防水材の配合技術では、硬度等がスポーツフロアや駐車場用として実用性に問題がないうえで、夏季の施工に必要とされる可使時間を十分に確保するという技術には限界があり、年間を通して十分な可使時間を保持したうえで、スポーツフロアや駐車場用にも十分耐えられる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物の提供が望まれていた。
本発明者らはこれらの問題点を鑑み、年間を通して十分な可使時間を有し、しかもスポーツフロアや駐車場用仕上げ材として十分な硬度を有し、施工時の飛散対策や特殊な装置・専任技術者を必要としない2液型手塗り用ウレタン防水材組成物に関して鋭意検討した結果、
ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤、芳香族ポリアミンと無機充填剤を含む硬化剤、可塑剤および溶剤からなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物において、主剤のポリイソシアナートとしてイソホロンジイソシアナートを、硬化剤中の芳香族ポリアミンとしてジエチルトルエンジアミンを使用し、芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)に対する全可塑剤量(g)の比を特定の範囲に調整し、更に溶剤として特定の範囲の溶解度パラメーター(SP値)を有する非プロトン性溶剤を使用することにより年間を通して十分な可使時間を有し、しかもスポーツフロアや駐車場用仕上げ材として十分な硬化塗膜の硬度を有する2液型手塗り用ウレタン防水材組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本件第一発明は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよび無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートであり、主剤のNCO含有量が3.0質量%~6.0質量%であり、
硬化剤は20質量%~80質量%の無機充填剤を含み、硬化剤中の全反応成分の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンであり、
主剤中のイソシアナート基末端プレポリマー100質量部に対し3質量部~25質量部の可塑剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
ウレタン防水材組成物に対して10質量%~40質量%の溶剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、溶剤は溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0の非プロトン性溶剤を30質量%超含み、
可塑剤の量(g)に対する芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)の比が4.0~45.0であることを特徴とする。
本件第二発明は、基盤面上に、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、本件第一発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物と無機系骨材を混合し、塗工することを含むウレタン防水塗膜層の施工方法である。
本発明は、次の態様を含む。
[1]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよび無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートであり、主剤のNCO含有量が3.0質量%~6.0質量%であり、
硬化剤は20質量%~80質量%の無機充填剤を含み、硬化剤中の全反応成分の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンであり、
主剤中のイソシアナート基末端プレポリマー100質量部に対し3質量部~25質量部の可塑剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
ウレタン防水材組成物に対して10質量%~40質量%の溶剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、溶剤は溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0の非プロトン性溶剤を30質量%超含み、
可塑剤の量(g)に対する芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)の比が4.0~45.0である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[2]主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールが分子量1500以上のジオールを10~97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3~90当量%を含む、[1]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[3]主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9~1.5である、[1]または[2]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[4]主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、[1]~[3]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[5]ウレタン防水材組成物の硬化塗膜のJIS D硬度が35~60である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[6]基盤面上に、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、[1]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物と無機系骨材を混合し、塗工することを含むウレタン防水塗膜層の施工方法。
本発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物は、スポーツフロアや駐車場用仕上げ材として十分な硬度を示し、年間を通して十分な可使時間を確保することができる。
また、本発明のスポーツフロアや駐車場用ウレタン防水塗膜層の施工方法は実用上の施工性および耐久性にも優れ、特化則該当原料は使用していないため環境対応面にも優れている。
本件第一発明は、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物に関する。ここで、2液とは、主剤と硬化剤の2つをいう。手塗り用とは、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等を用いて人の手で塗って使用するものであることをいう。スポーツフロアや駐車場用防水層として十分な性能を確保するためには、本発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物の硬化塗膜の硬度は、JIS K 6253に規定する加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法による、JIS D硬度(デュロメータ硬さ試験タイプD)で35~60の範囲であることが好ましく、37~50であることがより好ましい。JIS D硬度が35未満では防滑性、骨材保持性、耐摩耗性などが不十分となり、60を越えるものでは、汎用ウレタン層と2液型手塗り用ウレタン防水材組成物の層間で剥離を起し易くなる。
本発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよび無機充填剤を含む硬化剤とからなる。
(ポリイソシアナート)
本発明は、ポリイソシアナートとして70当量%超のイソホロンジイソシアナート(IPDI)を含む必要があり、ポリイソシアナート成分の75当量%以上がIPDIであることが好ましく、80当量%以上であることがより好ましい。一方、IPDIのヌレート体やアダクト体といった2官能を超える誘導体も商品化されているが、伸び率を拘束する傾向があるため多くは使用できず、2官能を超える誘導体は全ポリイソシアナート成分中の0~30当量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明では、ポリイソシアナートとしてIPDI以外のポリイソシアナートを併用することもできる。併用できるポリイソシアナートとしては、反応性の穏やかな、脂肪族あるいは脂環族ポリイソシアナートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、水添化トリレンジイソシアナート、水添化キシリレンジイソシアナート、水添化ジフェニルメタンジイソシアナート、水添化テトラメチルキシリレンジイソシアナート等が挙げられる。
また、トリレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナートといった芳香族ポリイソシアナートも一部使用することができるが、トリレンジイソシアナートは労働安全衛生法の特定化学物質であり、環境的な面より好ましくない。
(主剤NCO含有量およびNCO/OH当量比)
本発明は主剤のNCO含有量が3.0質量%~6.0質量%である必要がある。本発明の可塑剤量の範囲では、NCO含有量が3.0質量%以上でないと高硬度化は達成できない。一方、NCO含有量が6.0質量%を超えると反応成分の主成分であるDETDA量も多くなるため、可使時間が短くなり施工性に問題を生じる。さらに、高硬度化を達成することおよび良好な施工性を確保するためには、主剤のNCO含有量が3.3質量%~5.5質量%であることが好ましい。
主剤製造時のポリイソシアナートのNCO基とポリオールのOH基との当量比であるNCO/OH当量比は1.5~2.5であることが好ましく、1.6~2.3であることがより好ましい。1.5未満となると主剤の増粘が激しくなり、2.5超となるとフリーのポリイソシアナートが多くなるため、伸び率の低下や可使時間の短縮といった問題が生じやすくなる。
(主剤ポリオール)
ポリイソシアナートと反応させるポリオール成分としては、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、アルキルポリオール等従来使用されているポリオールを使用することができるが、可使時間確保の面からは低粘性のプレポリマーが提供できるポリオキシアルキレンポリオールを主成分とすることが好ましく、主剤に用いるポリオールとして50当量%超のポリオキシアルキレンポリオールを含むことが好ましく、70当量%超であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールが50当量%以下では、施工性に優れた低粘性と伸び率を確保することが難しくなる。
さらに、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールといった短鎖ポリオールも使用することができる。
(主剤ポリオールの分子量と官能基数)
本発明において、効率的に高硬度化を行うためには、伸び率も重要な役割を果たしており、伸び率を確保することで抗張積はもとより引張強さを効率的に高くすることができる。逆に、伸び率を確保せずに高硬度化しようとすると、ウレタン防水材には似つかわしくない材料となってしまう。
そのため主剤に使用するポリオールとして、伸び率確保のために分子量1500以上のジオールを10~97当量%用いることが好ましく、20~80当量%用いることがより好ましい。分子量1500以上のジオール100当量%では、硬化物中の分技点がなくなりウレタン結合の濃度も低下するため、硬度発現性および硬化性の低下、さらには最終硬度の低下を引き起こしてしまう。
この問題を解決するために、分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3~90当量%用いることが好ましく、20~80当量%用いることがより好ましい。分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールは、必ずしも両方を含む必要はなく、少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。分子量1500未満のジオールは、0~90当量%用いることが好ましく、20~80当量%用いることがより好ましい。官能基数3以上のポリオールは、0~90当量%用いることが好ましく、5~80当量%用いることがより好ましい。
分子量1500未満のジオールを用いることで、硬化物中のウレタン結合およびウレア結合の濃度が高くなるため、伸び率をあまり損ねずに高硬度化させることができる。また、官能基数が3以上のポリオールを用いることで、硬化物中に分枝点を作ることができるため、硬度発現性および硬化性を向上させることができ、高硬度化が容易となる。
分子量1500以上のジオールとしては、一般的なポリオキシアルキレンジオールを用いることができ、結晶性が少なく低粘度であるポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシエチレンプロピレンジオールを用いることが好ましく、特殊なジオールを用いなくともよい。
分子量1500未満のジオールとしては、分子量200~1200のポリオキシアルキレンジオールおよび短鎖ポリオールを使用することが好ましい。ポリオキシアルキレンジオールとしては、やはり低結晶性で低粘度である一般的なポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシエチレンプロピレンジオールがより好ましく、主剤の粘度をあまり上昇させずにNCO含有量を高くすることができ、伸び率をあまり損ねずに高硬度化を達成することができる。また、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールといった分子量200以下の短鎖ジオールは凝集力が高く高硬度化には有効であるため、好ましく使用できる。
なお、開始剤をビスフェノールAとした分子量200~800のポリエーテルポリオールも凝集力が比較的高く高硬度化には有効であるため使用することができる。また、ポリエステルポリオールの中でも、例えば2-メチル-1,3-プロパンジオールや3-メチル-1,5-ペンタンジオールのような非結晶性のポリオールを用いた分子量が300~800の低結晶性芳香族ポリエステルポリオールは耐アルカリ性が良好であり高凝集性でもあるため使用することができる。
官能基数が3以上のポリオールとしては、分子量が500以上のポリオキシアルキレントリオールを使用することができ、一般的なポリオキシプロピレントリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。
なお、官能基数が4以上のポリオキシプロピレンポリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレンポリオールは伸び率を拘束する傾向があるため、少量であれば使用することができる。
分子量が500未満のポリオキシアルキレントリオールも使用することができ、ポリオキシプロピレントリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましいが、やはり伸び率を拘束する傾向が強いため、少量であれば使用することができる。
また、トリメチロールプロパン、グリセリンといった3官能ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールといった4官能以上のポリオールも伸び率を拘束する傾向があるため、少量に限って使用することができる。
(主剤合成法)
イソシアナート基末端プレポリマーの合成方法であるが、ポリイソシアナートとポリオールを単に加熱するだけでは反応が促進しにくいため、触媒を用いることが好ましい。一般的なウレタン化触媒が使用できるが、なかでもDBTDLやDOTDLといった有機第2錫触媒が好ましく、0.0001~0.1質量%といった少量の添加で効率的に反応を促進させることができる。反応温度は60℃~100℃であることが好ましく、2~6時間程度で反応を完結させることができる。尚、反応終了後には、リン酸等により触媒を失活させておく方が好ましい。
(硬化剤中の活性水素)
硬化剤としては、高硬度化を達成するためには反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであることが必要であり、90当量%超であることが好ましい。反応成分としてのポリオールは伸び率を確保する効果はある程度あるが、芳香族ポリアミンよりは低凝集性であるため、高硬度化にはあまり効果的でない。
また、芳香族ポリアミン中の70当量%超がジエチルトルエンジアミン(DETDA)であることが必要であり、80当量%超であることが好ましく、90当量%超であることがより好ましい。非結晶性で高反応性であるDETDAが70当量%以下では、IPDIとの良好な反応性による硬化性の確保および高硬度化が難しくなる。
硬化剤において、併用できる芳香族ポリアミンとしては、DETDAと同様の高反応性であるクミアイ化学工業株式会社製のキュアハードMED(4,4′-メチレンビス(2-エチル-6-メチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤハードAA(4,4′-メチレンビス(2-エチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンドC-300(4,4′-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンドC-400(4,4′-メチレンビス(2,6-ジiso-プロピルアニリン))等が挙げられる。また、低反応性の芳香族ポリアミンではあるが、アルベマール社製のエタキュア420(4,4′-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン))、アルベマール社製のエタキュア300(ジメチルチオトルエンジアミン)等も使用できる。
20当量%以下であれば反応成分としてポリオールを使用してもかまわない。用いられるポリオールとしては、分子量1500未満のポリオールが好ましく、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の短鎖ポリオール類、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールといった比較的高凝集性のポリオールが挙げられる。その中でも1級水酸基ポリオールの方が反応性は高く未反応で残りにくいためより好ましく、中でも、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、および分子量300~800の芳香族含有ポリエステルポリオールが高硬度化のためにさらに好ましい。尚、芳香族ポリエステルポリオールとしては、クラポール(株式会社クラレ製)のように低結晶性のポリオールを用いた液状品であるものが好ましい。
また、分子量が1500以上のポリオールも使用することができ、低粘度であるポリオキシプロピレンポリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレンポリオールが挙げられるが、低凝集性であるため高硬度化の面からは好ましくはない。
(溶剤)
本発明において、溶剤は溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0の非プロトン性溶剤を30質量%超含み、全溶剤はウレタン防水材組成物に対して10質量%~40質量%となるように、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合される必要がある。ここで、非プロトン性とは、主剤に含まれるイソシアナート基末端プレポリマーのイソシアナート基と反応する活性水素(水酸基、アミノ基、カルボン酸基など)を含まないことを意味する。
本発明における溶解度パラメーター(SP値)とは、ハンセン溶解度パラメータのことを指し、2成分系溶液の溶解度の目安となる指標である。
各溶剤のSP値δ((cal/cm1/2)を計算するための方法として、下記式(1)を用いた。
δ=((δd+δp+δh)/4.2)1/2 ・・・(1)
ここで、δdはLondon分散力項、δpは分子分極項、δhは水素結合項という。
また、ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウェア(HSPiPver.4.1.x)、あるいは、“HANSEN SOLBILITY PARAMETERS” A User′s Handbook Second Editionに記載される値(δd、δp、δh:単位(J/cm1/2)をもとに算出することができる。
また、溶剤を複数使用する場合のSP値は、下記式(2)により、各溶剤のSP値の加重平均として求めた。
m=δ1φ1+δ2φ2 ・・・(2)
ここでδ1、δ2は各溶剤成分のSP値であり、φ1、φ2は各溶剤成分の体積分率である。
本発明において、全溶剤量はウレタン防水材組成物に対して10質量%~40質量%ある必要があり、15~30質量%であることが好ましく、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合される。
全溶剤量が防水材組成物に対して10質量%未満の場合は十分な可使時間を確保することは難しい。一方、全溶剤量がウレタン防水材組成物に対して40質量%超になると施工後の揮発により収縮を起こす危険性や無機充填剤を沈降しやすくする傾向があるため好ましくない。
本発明において、全溶剤の30質量%超が溶解度パラメーター(SP値)8.0~14.0の非プロトン性溶剤である必要があり、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。なお、全溶剤が溶解度パラメーター(SP値)8.0~14.0である非プロトン性溶剤でもかまわない。非プロトン性溶剤が全溶剤量の30質量%以下の場合は十分な可使時間を確保することは難しい。非プロトン性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)が8.0未満では十分な可使時間を確保することは難しく、14.0超では塗膜の硬度が不十分となるため好ましくない。一方、全溶剤に対して70質量%以下であれば溶解度パラメーター(SP値)が8.0未満あるいは14.0超の非プロトン性溶剤を併用してもかまわない。併用できる溶解度パラメーター(SP値)が8.0未満あるいは14.0超の非極性溶剤としては芳香族含有石油系炭化水素溶剤類、脂肪族および脂環族石油系炭化水素溶剤類、炭素数7~10の脂環族炭化水素溶剤類等が挙げられ、具体的には、MC-2000ソルベント(炭素数9~11のノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製)が好ましく用いられる。
本発明において、主剤に含まれるイソシアナート基末端プレポリマーのイソシアナート基と反応する可能性があるプロトン性溶剤は使用しないことが好ましい。
本発明では溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0であるエーテル系、エステル系、ケトン系、ニトリル系、芳香族炭化水素系等の非プロトン性溶剤が使用できる。エーテルあるいはエステル系としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル(SP値=8.6)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(SP値=8.8)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値=8.7)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(SP値=8.3)等のジアルキルグリコールエーテル類、1,4-ジオキサン(SP値=10.0)等の環状エーテル類、アニソール(SP値=9.4)等の芳香族エーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=10.0)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値=9.6)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値=8.9)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値=9.4)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値=9.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値=9.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=9.2)、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)等のグリコールエーテルアセテート類、炭酸ジメチル(SP値=9.9)、炭酸ジエチル(SP値=8.8)等の炭酸エステル類、酢酸エチル(SP値=9.1)、γーブチロラクトン(SP値=12.6)等の脂肪酸エステル類、安息香酸メチル(SP値=10.5)等の安息香酸エステル類が挙げられる。また、アセチルアセトン(SP値=10.6)、アセトフェノン(SP値=10.6)等のケトン類、アセトニトリル(SP値=11.9)、ベンゾニトリル(SP値=8.4)等のニトリル類、N、N-ジメチルホルムアミド(SP値=12.1)、N、N-ジメチルホルムアセトアミド(SP値=10.8)等のアミド類、トルエン(SP値=8.9)、1,2-ジクロロベンゼン(SP値=10.0)等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
なかでもジエチレングリコールジメチルエーテル(SP値=8.8)、1,4-ジオキサン(SP値=10.0)、アニソール(SP値=9.4)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)、炭酸ジメチル(SP値=9.9)、炭酸ジエチル(SP値=8.8)、酢酸エチル(SP値=9.1)、γーブチロラクトン(SP値=12.6)、安息香酸メチル(SP値=10.5)、アセチルアセトン(SP値=10.6)、アセトフェノン(SP値=10.6)、アセトニトリル(SP値=11.9)、ベンゾニトリル(SP値=8.4)、N、N-ジメチルホルムアミド(SP値=12.1)、N、N-ジメチルホルムアセトアミド(SP値=10.8)、トルエン(SP値=8.9)、1,2-ジクロロベンゼン(SP値=10.0)が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値=8.7)の使用が最も好ましい。
本発明に使用される溶剤の沸点は、70~250℃の範囲であることが好ましく、100~200℃であることがより好ましい。沸点が250℃を超えると溶剤が揮散せずに防水塗膜に残りやすくなるため、硬度の低下などの原因となる。一方、沸点が70℃未満では硬化剤から溶剤が揮散しやすくなるため、硬化剤の安定性や作業環境上の問題となるので好ましくない。
(無機充填剤)
硬化剤には無機充填剤を20質量%~80質量%配合する必要がある。無機充填剤の補強効果なしでは、高硬度化は非効率となってしまい、実用性のある防水材とはならない。無機充填剤が20質量%未満では補強効果が不十分となり、80質量%超では増粘のために施工性が悪化する。無機充填剤の配合量は、好ましくは30質量%~75質量%であり、より好ましくは40質量%~70質量%である。
無機充填剤としては炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは経済効果が高いと同時に、硬化剤製造時の分散性が良好であり多量に配合しても増粘性が少なく、硬化剤貯蔵時の沈降性を少なくすることも容易であり、物性面でも悪影響が少ない。なお、炭酸カルシウムには、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、表面処理コロイダル炭酸カルシウム等種々の炭酸カルシウムがあるが、いずれの炭酸カルシウムも使用することができ、表面処理コロイダル炭酸カルシウムによりチクソ性を付与した立面用防水材として使用することもできる。また、シリカ、カオリン、タルク、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム等の無機充填剤を一部使用することができる。尚、上記のような無機充填剤には付着水を含有するため、硬化剤中の水分量が1000ppm~3000ppm程度となり、この付着水が2液混合後に過剰なイソシアナート基と徐々に反応し、高物性化に寄与すると推察される。
(可塑剤)
次に、年間を通して施工に必要な可使時間を有し、高伸張性・高硬度な性能を確保するためには、主剤中のイソシアナート基末端プレポリマー100質量部に対し、可塑剤を3質量部~25質量部必要とし、7質量部~20質量部であることが好ましく、さらには8質量部~15質量部であることが最も好ましい。可塑剤が3質量部未満では、可使時間および伸び率の確保が難しくなり、25質量部超では高硬度化することが難しくなる。尚、可塑剤は硬化剤に配合するのが原則であるが、一部を主剤側に配合することも可能である。
可塑剤としては、ウレタン樹脂に一般的に配合できる可塑剤を使用することができる。例として、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)などのフタル酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、動植物油系脂肪酸エステル類、石油・鉱物油系可塑剤、アルキレンオキサイド重合系可塑剤等が挙げられる。
中でも、引火点が200℃以上である、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)は長期的にも重量減少を起こし難く、芳香族ポリエステルであり加水分解も起こし難いため、好ましく使用することができる。
(可塑剤当たりのアミノ基当量)
主剤と硬化剤を混合した状態で、芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比「アミノ基(ミリ当量)/可塑剤(g)」(以下、「可塑剤当たりのアミノ基当量」とも称す。)を、4.0~45.0の範囲にする必要があり、4.5~40.0とすることが好ましく、さらには5.0~35.0とすることが最も好ましい。「可塑剤当たりのアミノ基当量」が4.0未満では芳香族ポリアミンの濃度が低くなり高硬度化を達成することは難しく、45.0超になると可使時間の確保および伸び率の確保が難しくなる。伸び率を確保した上での高硬度化を達成するには、反応成分としてのポリオールの役割はあまり重要ではなく、可塑剤の使用量および「可塑剤当たりのアミノ基当量」が重要な役割を果たす。
(イソシアナート基/芳香族アミノ基 当量比)
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比(以下、「イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比」と称す。)を0.9~1.5の範囲で実施することが好ましく、0.92~1.40であることがより好ましく、0.95~1.35であることがさらに好ましい。イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.5を超えると高硬度化は難しくなり、0.9未満では硬化過程で末端アミノ基が多くなり低物性化してしまう。
(硬化促進剤)
本発明ではイソシアナート基との反応において湿気硬化促進効果があるとされている、有機第2錫系化合物、3級アミン、カルボン酸金属塩等が反応促進剤として使用できる。
有機第2錫系化合物としては、例えばジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ2-エチルへキサノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプタイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫オキシラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジオクチル錫2-エチルヘキシルマレート等が挙げられ、中でもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートが好ましい。有機第2錫系化合物は硬化剤中に0.001~0.1質量%使用することが好ましい。
3級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル、ジアザビシクロウンデセン等の一般的な3級アミンを使用する事ができるが、特殊な3級アミンであるイミダゾール化合物が発泡抑制および高硬度発現促進効果の面より好ましく、イミダゾール化合物としては、例えば1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールのような1位と2位に置換基を有する化合物や、1-メチルイミダゾール、1-アリルイミダゾールのような1位に置換基を有する化合物が使用できる。中でも、1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物は高硬度発現促進効果が高くより好ましい。3級アミンは、硬化剤中に0.01~2.0質量%使用することが好ましい。
また、一般的にはウレタン化触媒であるカルボン酸金属塩も使用することができる。カルボン酸金属塩は湿気硬化促進効果は弱いが、芳香族ポリアミンとの反応を強く促進し、可使時間および硬化時間を短くするため、夏季用触媒よりも冬季用触媒として用いることが好ましい。カルボン酸金属塩としては、例えば2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、樹脂酸の鉛塩、亜鉛塩、ビスマス塩、ジルジルコニウム塩、錫塩、銅塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等が挙げられ、中でも、2-エチルヘキサン酸カルシウム、2-エチルヘキサン酸亜鉛は高硬度発現促進効果が高いため好ましい。カルボン酸金属塩は硬化剤中に0.1~4.0質量%使用することが好ましい。一方、カルボン酸鉛は可使時間と硬化時間の短縮効果は高いが高硬度発現促進効果はあまり認められず、また環境面から見ても使用することは好ましくはない。
以上のように、湿気硬化を促進すると思われる化合物を用いることができるが、中でも有機第2錫系化合物およびイミダゾール化合物は、いずれも可使時間を短縮することなしに高硬度化を促進することができ、発泡抑制性にも優れており、特に夏季用触媒として好ましく使用できる。
また、イミダゾール化合物は、金属系触媒が多量に添加すると熱劣化を促進する傾向が強いのに対して、多目に添加してもほとんど熱劣化を促進しないという特徴があるため、更に好ましい。なお、湿気硬化促進剤は硬化剤に配合することが原則であるが、相当量を施工現場で2液混合時に添加しても構わない。一方、主剤側に配合することも可能ではあるが、貯蔵安定性を損ねる可能性があるため、あまり好ましくはない。
一方、カルボン酸あるいは酸無水物は、IPDIプレポリマーと芳香族ポリアミンとの反応を促進するため、可使時間および硬化時間の短縮に有効であり、カルボン酸金属塩のような熱劣化促進もほとんどないため、特に冬用促進剤として好ましく使用できる。但し、湿気硬化促進効果は殆どないため、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が高い配合においては高硬度発現促進効果があまり望めない。
カルボン酸としては、例えばプロピオン酸、2-メチルペンタン酸、オクチル酸、イソノナン酸、ナフテン酸等が挙げられ、中でもオクチル酸が好ましい。
酸無水物としては、例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、中でもメチル-テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
カルボン酸および酸無水物は、硬化剤中に0.05~2.0質量%使用することが望ましく、その一部あるいは全量を主剤側に配合しても構わない。
さらに、酸無水物触媒は主剤側にあらかじめ配合するか、主剤と硬化剤を混合するときに酸無水物を配合することが好ましい。ただし、施工現場で施工の都度に酸無水物を添加する方法では、酸無水物の貯蔵性や管理上の問題、施工現場での煩雑さに伴う計量ミスといった問題があるため、酸無水物をあらかじめ主剤側に配合する方法がより好ましい。
(その他添加剤)
その他、硬化剤には、湿潤剤、消泡剤、顔料、耐候性付与剤等の添加剤類を必要に応じて配合することができる。
(主剤/硬化剤 配合比)
主剤と硬化剤の配合比は特に限定はされないが、質量比で1/1~1/2の範囲であることが好ましい。ただし、一般的に1/2配合とした場合には可塑剤量が多くなり、高硬度化には不利となるため、1/1~1/1.75であることが好ましく、1/1~1/1.5であることがより好ましい。
(スポーツフロアや駐車場用防水工法)
本件第二発明は、スポーツフロアや駐車場用ウレタン防水塗膜層の施工方法に関する。
本発明の施工方法では、コンクリート等の無機系下地に対し直接塗布することはできない。無機系下地の場合はウレタン防水材とは接着しないため、下地の水分をある程度遮蔽し接着性を確保することのできるプライマーを塗布した後に、施工することができる。また改修時を含め、既存ウレタン防水層の上に場合によっては仲介プライマーを施し施工することができる。また、無機系下地に対し通気緩衝シート、塩ビシート等高分子系シート、ゴムシート、不織布シートをプライマー、接着剤、機械固定、置き敷き等で固定した上に施工することができる。さらに、金属系下地の場合も直接本発明のスポーツフロアや駐車場用ウレタン防水塗膜層の施工方法で塗布しても接着性は確保できないため、専用のプライマーを塗布した後に塗布することができる。
本発明の施工方法は、基盤面上に、プライマー層を施した後、またはプライマー層と汎用のウレタン防水材層を施した後に、本件第一発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物と無機系骨材を混合し塗工することにより、実用上の施工性および耐久性にも優れ、特化則該当原料は使用していないため環境対応面にも優れたスポーツフロアや駐車場用ウレタン防水塗膜層を得ることができる。
本発明のプライマー層は通常ウレタン防水層に用いられるものが使用できるが、一般的には水性プライマーが使用される。水性プライマーとしては、特に限定されず、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、スチレン-ブタジエンゴム系、クロロプレンゴム系のエマルジョン型水性プライマー等を使用できる。
エポキシ樹脂系としては、ビスフェノールA型、ノボラック型、臭素化型、脂環式型または脂肪族型のエポキシ樹脂を主成分とするエマルジョンからなる主剤と、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環族ポリアミン、ポリアミドなどを含むエマルジョンからなる硬化剤との2成分を含むものが好ましく挙げられる。
また、ウレタン樹脂系としては、ポリオールを主成分とするエマルジョンからなる主剤と、クルードMDI、カルボジイミド変成体などの液状MDIからなる硬化剤とからなるものである。
特に、好ましく用いられるプライマーは、1液湿気硬化型ポリウレタン樹脂である。これらのプライマーには、基盤のピンホールを埋めるためポルトランドセメント等のフィラーを添加したものであってもよい。これらのプライマー材料は、刷毛、ローラー、レーキ等の塗装用具を用いて基盤上に塗布されるが、その使用量、塗膜の厚みなど特に限定されず、基盤とポリウレタン層を確実に接着できる量であればよい。通常、プライマー層の塗工量は、0.15~0.20kg/m、好ましくは、約0.20kg/mである。
本発明の施工方法において、ウレタン防水材層に使用される汎用のウレタン防水材としては特に限定されず、通常市販されている汎用ウレタン防水材が使用できる。汎用ウレタン防水材としてはJIS A 6021「建築用塗膜防水材」により、高伸張形に規定されているものが好ましく、その中でも比較的高強度かつ高硬度のものが好ましい。
本発明の施工方法において、使用される高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物は、その硬化被膜の硬度が、JIS K 6253に規定する加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法によるJIS D硬度(デュロメータ硬さ試験タイプD)で35~60の範囲であることが必要であり、35~50であることがより好ましい。JIS D硬度が35未満では防滑性、骨材保持性、耐摩耗性などが不十分となり、60を越えるものでは、汎用ウレタン層と2液型手塗り用ウレタン防水材組成物の層間で剥離を起し易くなる。また、本施工方法において、使用される2液型手塗り用ウレタン防水材組成物は、その硬化被膜の引張強さが10N/mm以上であることが好ましく、伸び率は300%以上であることが好ましく、抗張積としては700N/mm以上であることが好ましい。引張強さが10N/mm以下では防滑性、骨材保持性、耐摩耗性などが不十分となり、伸び率が300%未満では、汎用ウレタン層と2液型手塗り用ウレタン防水材組成物の層間で剥離を起し易くなり、抗張積が700N/mm以下ではクラック追従性が低下し、下地との剥がれ・膨れ等の問題が発生しやすくなってしまう。
本発明は、アスファルト系防水層の改修を目的とはしておらず、コンクリート等の無機下地、金属系下地、高分子系樹脂下地、ゴム下地の防水および保護を目的としたものである。また、本発明の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物は日光が直接当たるような部分に使用する場合はトップコートを塗布することが原則となる。
本発明の施工方法において、高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物と混合する無機系骨材としては、硅砂、磁器粉砕骨材、セラミック骨材、フェロアロイスラグ、中空バルーン等が挙げられる。これら骨材は、高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を施工直後あるいは同時に均一に散布され、粒径が0.05~5.0mmであることが好ましく、0.1~3.0mmのものがより好ましい。無機系骨材は高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物に0.3~1.5kg/m含まれることが好ましく、0.3~1.0kg/m含まれることがより好ましい。
無機系骨材としては、例えば、インセラゲイト(登録商標)1005、2010(日製産業株式会社製)、パワークロンG(福島砂、東都礦産株式会社製)、AD骨材(AGCポリマー建材株式会社製)、桜橋S砂4号、5号(コスモエネルギーソリューションズ株式会社製)、珪砂4号、5号(東北硅砂株式会社製)等が好ましく使用される。
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
〔イソシアナート〕
IPDI: イソホロンジイソシアナート、VESTANAT(登録商標)IPDI(商品名)、NCO含有量37.8質量%、NCO官能基数約2.0、エボニック・ジャパン株式会社製
〔ポリオール〕
PA-2000:ポリオキシプロピレンジオール、サンニックス(登録商標)PA-2000、平均分子量2000(商品名)、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
GA-3000:サンニックス(登録商標)GA-3000(商品名)、ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、OH価:56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
GP-600:ポリオキシプロピレントリオール、サンニックス(登録商標)GP-600(商品名)、平均分子量600、OH価:279mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
P-2010:脂肪族系ポリエステルジオール、クラレポリオールP-2010、平均分子量2000、OH価:56.1mgKOH/g、株式会社クラレ製
P-510:脂肪族系ポリエステルジオール、クラレポリオールP-510、平均分子量500、OH価:224.4mgKOH/g、株式会社クラレ製
F-1010:脂肪族系ポリエステルトリオール、クラレポリオールF-1010、平均分子量10000、OH価:167.4mgKOH/g、株式会社クラレ製
BP-5P: ポリオキシプロピレンジオール、ニューポール(登録商標)BP-5P、平均分子量500、OH価:209mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
1,4-BD:1,4-ブタンジオール(商品名)、三菱ケミカル株式会社製
〔ポリアミン〕
DETDA:ジエチルトルエンジアミン、エタキュア100(商品名)、アルベマール日本株式会社製
〔触媒〕
DOTDL:ジオクチル錫ジラウレート、KS-1200A-1(商品名)、共同薬品株式会社製
NC-IM:1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、DABCO(登録商標)NC-IM(商品名)、エアープロダクツジャパン株式会社製
〔溶剤〕
MC-2000:MC-2000ソルベント(商品名)、炭素数9~11のノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PMA(商品名)、三協化学株式会社製
DMSO:テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド、東京化成工業株式会社製
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル、東京化成工業株式会社製
DMC:炭酸ジメチル、東京化成工業株式会社製
ジグライム:ジエチレングリコールジメチルエーテル、東京化成工業株式会社製
ジオキサン:1,4-ジオキサン、東京化成工業株式会社製
アセチルアセトン:アセチルアセトン、東京化成工業株式会社製
アセトニトリル:アセトニトリル、東京化成工業株式会社製
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、東京化成工業株式会社製
DMAC:N,N-ジメチルアセトアミド、東京化成工業株式会社製
トルエン:トルエン、東京化成工業株式会社製
メトアセ:酢酸メトキシブチル、三協化学株式会社製
DEC:炭酸ジエチル、東京化成工業株式会社製
酢エチ:酢酸エチル、東京化成工業株式会社製
アニソール:アニソール、東京化成工業株式会社製
O-DCB:1,2-ジクロロベンゼン、東京化成工業株式会社製
ベンゾニトリル:ベンゾニトリル、東京化成工業株式会社製
安息香酸メチル:安息香酸メチル、東京化成工業株式会社製
アセトフェノン:アセトフェノン、東京化成工業株式会社製
γ-ブチロラクトン:γ-ブチロラクトン、東京化成工業株式会社製
〔可塑剤〕
DINP:ジイソノニルフタレート、サンソサイザー(登録商標)DINP(商品名)、新日本理化株式会社製
〔無機充填剤〕
NS#100:炭酸カルシウム、NS#100(商品名)、日東粉化工業株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
〔市販防水材副資材〕
速硬化OTプライマーMブルー、OTプライマーQQ、OTコートQQ(田島ルーフィング株式会社製)
〔無機系骨材〕
インセラゲイト(登録商標)1005(日製産業株式会社製)
主剤の調製
表1~表9の配合に従って、四つ口フラスコに所定のポリオール、溶剤およびジオクチル錫ジラウレートを仕込み、次いで所定のポリイソシアナート化合物を仕込んだ。その後攪拌しながら90~100℃で1~2時間反応させて各主剤を得た。
硬化剤の調製
表1~表9の配合に従って、金属容器に所定の液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを所定量配合し1500rpmで10分間混合して各硬化剤を得た。
実施例1
実施例1は表1の配合に従って、主剤と硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
溶剤として溶解度パラメーター(SP値)が7.2~7.8であるMC-2000を主剤に対して20質量%、溶解度パラメーター(SP値)が8.7であるPMAを硬化剤に対して15質量%使用した実施例1の可使時間は40分、硬化塗膜のJIS D硬度は41であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層の仕上げ材として良好な塗膜物性を示し、かつ冬用配合として十分な可使時間を確保した。
比較例1
比較例1は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が7.2~7.8であるMC-2000を使用した以外は、実施例1と同様に行った。溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0である非プロトン性溶剤を使用していない比較例1の可使時間は28分と実施例1に比べて短く、硬化塗膜のJIS D硬度は41であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示したが、可使時間は冬用配合としても不十分であった。
比較例2
比較例2は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が14.5であるDMSOを使用した以外は、実施例1と同様に行った、比較例2の可使時間は84分、硬化塗膜のJIS D硬度は25であり、可使時間は夏用配合としても十分であったが、硬度等の塗膜物性はスポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層としては不十分であった。
実施例2
実施例2は主剤のNCO/OH当量比を調整してNCO含有量を3.64質量%とし、可塑剤の使用量をプレポリマー100質量部に対して10.69質量部とした以外は実施例1と同様に行った。実施例2の可使時間は66分、硬化塗膜のJIS D硬度は35であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例3
実施例3は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が8.7のメトアセを使用した以外は、実施例2と同様に行った。実施例3の可使時間は62分、硬化塗膜のJIS D硬度は35であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
比較例3
比較例3は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりにMC-2000を使用した以外は、実施例2と同様に行った。溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0である非プロトン性溶剤を使用していない比較例3の可使時間は43分と実施例2に比べて短く、硬化塗膜のJIS D硬度は35であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示したが、可使時間は夏用配合としては不十分であった。
比較例4
比較例4は硬化剤に使用する溶剤として非プロトン性溶剤であるPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が11.3であるプロトン性溶剤であるPGMEを使用した以外は、実施例2と同様に行った。溶解度パラメーター(SP値)は8.0~14.0の範囲であるが、主剤中のイソシアナート基と反応する可能性があるプロトン性溶剤であるPGMEを使用した比較例4の可使時間は21分と実施例2に比べて短く、硬化塗膜のJIS D硬度は35であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示したが、可使時間は冬用配合としても不十分であった。
実施例4~7
実施例4~7は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が9.9のDMC、8.8のジグライム、10.0のジオキサン、10.6のアセチルアセトンを各々使用した以外は、実施例1と同様に行った。実施例4~7の可使時間は各々35分、41分、35分、40分、硬化塗膜のJIS D硬度は全て41であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ冬用配合として十分な可使時間を確保した。
実施例8~10
実施例8~10は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が11.9のアセトニトリル、12.1のDMF、10.8のDMACを各々使用した以外は、実施例1と同様に行った。実施例8~10の可使時間は各々64分、80分、98分、硬化塗膜のJIS D硬度は全て37であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例11
実施例11は主剤のNCO/OH当量比を調整してNCO含有量を4.00質量%とし、可塑剤の使用量をプレポリマー100質量部に対して10.98質量部、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比を1.30とした以外は実施例1と同様に行った。実施例11の可使時間は57分、硬化塗膜のJIS D硬度は41であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例12
実施例12は主剤に使用する溶剤としてMC-2000の代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が8.7のPMAを使用した以外は、実施例11と同様に行った。実施例12の可使時間は93分、硬化塗膜のJIS D硬度は43であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例13
実施例13はイソシアナート基/芳香族アミノ基当量比を1.15とした以外は、実施例12と同様に行った。実施13の可使時間は78分、硬化塗膜のJIS D硬度は45であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合として十分な可使時間を確保した。
実施例14
実施例14は主剤/硬化剤 配合比を1:1.5とした以外は、実施例12と同様に行った。実施14の可使時間は113分、硬化塗膜のJIS D硬度は41であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合として十分な可使時間を確保した。
実施例15
実施例15は硬化剤に使用する溶剤のPMAを20.08質量%、可塑剤の使用量をプレポリマー100質量部に対して3.75質量部に変えた以外は実施例13と同様に行った。実施例15の可使時間は73分、硬化塗膜のJIS D硬度は48であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例16~18
実施例16~18は主剤のNCO/OH当量比を調整してNCO含量を各々4.55質量%、5.04質量%、5.55質量%に変えた以外は実施例15と同様に行った。実施例16~18の可使時間は各々62分、47分、35分、硬化塗膜のJIS D硬度は50、52、54であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ実施例16は夏用、実施例17、18は冬用配合として十分な可使時間を確保した。
実施例19
実施例19は主剤のポリオール成分としてポリオキシアルキレンポリオール類をポリエステルポリオール類とし、可塑剤の使用量をプレポリマー100質量部に対して11.15質量部とした以外は実施例12と同様に行った。実施例19の可使時間は72分、硬化塗膜のJIS D硬度は38であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例20
実施例20は主剤の分子量1500未満のジオールとして1,4-BDの代わりにBP-5Pを使用した以外は実施例15と同様に行った。実施例20の可使時間は75分、硬化塗膜のJIS D硬度は42であり、スポーツフロアや駐車場用2液型手塗り用ウレタン防水層として良好な塗膜物性を示し、かつ夏用配合としても十分な可使時間を確保した。
実施例21~28
実施例21~28は硬化剤に使用する溶剤としてPMAの代わりに、溶解度パラメーター(SP値)が8.8のDEC、9.1の酢エチ、8.9のトルエン、9.4のアニソール、10.0のO-DCB、8.4のベンゾニトリル、10.5の安息香酸メチル、10.6のアセトフェノンを使用した以外は、実施例1と同様に行った。実施例21~28の可使時間は各々37分、39分、33分、34分、30分、43分、35分、40分であり、冬用配合として十分な可使時間を確保した。
実施例29(駐車場用複層構造の実施例)
コンクリート製の駐車場床の基盤の表面に浸透プライマーとして「速硬化OTプライマーMブルー」を0.15kg/m、増膜プライマーとして「OTプライマーQQ/セメント=3/2~4/1」を0.15kg/mとなるよう均一にローラーで塗布し、乾燥させた。
ついで、防水層として硬化塗膜の硬度32D、引張強さ13.3N/mm、破断時の伸び率492%の高強度且つ高伸長形JISに該当する防水材を2.0kg/mとなるようクシゴテで塗布し乾燥後、同条件で更にもう一層同様に塗布・乾燥した。
ついで、仕上げ材として実施例13に記載した高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を0.3kg/mとなるようローラーで塗布し、同時にまたは施工直後にインセラゲイト(登録商標)1005を0.6kg/mとなるように散布した。硬化後さらに実施例13に記載した高硬度2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を0.5kg/mとなるようローラーで塗布・乾燥した。
ついで、トップコートとしてOTコートQQを0.2kg/mとなるようローラーで二回塗布・乾燥した。仕上げられた床面は、綺麗な凹凸を有する粗面であった。
<耐衝撃性試験>
メンブレン防水の性能評価試験方法(JASS8)の耐衝撃性試験を実施した結果、0℃および20℃で耐衝撃区分4(高さ1.5mの衝撃で3体とも穴があかなかった場合)、60℃で耐衝撃区分3(高さ1.5mの衝撃で1体でも穴があいた場合)であった。
<耐久性試験>
回転式ラベリング試験機によって耐摩耗および骨材の剥奪性を評価した。自在タイプのキャスター(熱可塑性ウレタン車輪 D硬度46)を使用し、荷重を1輪当たり16.2kg、車輪走行部の移動速度を0.9m/秒、回転盤の回転数を59.4回転/分に設定して試験を行い、回転数20,000回転の時点で試験体に含まれる骨材の脱落の度合いを調べた。その結果、骨材がほとんど脱落していなかった。
表1~表9の各評価項目の測定方法は次のとおりである。
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ-n-ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値-0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル重量
[可使時間(分)]
温度23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
[施工可能時間(時間)]
温度23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布し、完全には硬化していないが、靴で歩行が可能となり、次工程の作業を開始できる時間を測定した。
[初期物性測定用の塗膜作成]
JIS A 6021に基づいて温度23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布し、温度23±2℃、相対湿度(50±10)%で96時間養生後脱型し、塗膜を裏返して更に温度23±2℃、相対湿度(50±10)%で240時間養生し初期物性測定用の塗膜を作成した。
[引張強さ(N/mm)]
初期物性測定用の塗膜を用い、JIS A 6021に基づいて測定を行った。
[破断時の伸び率(%)]
初期物性測定用の塗膜を用い、JIS A 6021に基づいて測定を行った。
[抗張積(N/mm)]
上記の引張強さと破断時の伸び率を用いて、JIS A 6021に基づいて計算を行った。
[JIS D硬度(タイプDデュロメーター)]
初期物性測定用の塗膜を用い、JIS K 6253に基づいて測定を行った。
Figure 2024069016000001
Figure 2024069016000002
Figure 2024069016000003
Figure 2024069016000004
Figure 2024069016000005
Figure 2024069016000006
Figure 2024069016000007
Figure 2024069016000008
Figure 2024069016000009
本発明の組成物および施工方法は、2液型手塗り用ウレタン防水材として、スポーツフロアや駐車場等に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンおよび無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
    主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートであり、主剤のNCO含有量が3.0質量%~6.0質量%であり、
    硬化剤は20質量%~80質量%の無機充填剤を含み、硬化剤中の全反応成分の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンであり、
    主剤中のイソシアナート基末端プレポリマー100質量部に対し3質量部~25質量部の可塑剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
    ウレタン防水材組成物に対して10質量%~40質量%の溶剤が、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、溶剤は溶解度パラメーター(SP値)が8.0~14.0の非プロトン性溶剤を30質量%超含み、
    可塑剤の量(g)に対する芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)の比が4.0~45.0である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  2. 主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールが分子量1500以上のジオールを10~97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3~90当量%を含む、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  3. 主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9~1.5である、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  4. 主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーを構成するポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  5. ウレタン防水材組成物の硬化塗膜のJIS D硬度が35~60である、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  6. 基盤面上に、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物と無機系骨材を混合し、塗工することを含むウレタン防水塗膜層の施工方法。
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