JP2024067563A - 化粧シートおよびその製造方法 - Google Patents

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尚 池田
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Abstract

【課題】 意匠の方向性を有することで従来の化粧シートでは困難であった立体的な造形物に生じる影による陰影や木材の照り感の表現などが可能な高い意匠性を有する化粧シートおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】 意匠形成層の下面に鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉に磁場を印加することで配向させ観察方向によって反射率が変化する反射コントロール層を設けることで、光源の方向と観察者の方向により立体的な造形物に生じる影による陰影や、光を受けた木が細胞内部からの光反射や散乱によって起こる観察方向による意匠の変化である木の照り感を等高度な意匠表現をすることができる化粧シートおよびその製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、化粧シートに係り、住宅等の建築物における壁材、天井材、床材、造作材等の内装材や建具、家具什器類、住設機器や家電製品、携帯電話やパーソナルコンピュータ等電子機器の外装、自動車、電車等の車両内外装の表面を加飾するときに用いられる化粧シートおよびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、光の当たる方向と観察者が見る角度によって見え方が変わる意匠の方向性を呈する化粧シートおよびその製造方法に関するものである。
従来より表面化粧材においては、使用者の意匠に対する好みの多様化が進んでおり、中でも立体感のある意匠を有する化粧材は、他との差別化を図るという点において、高い支持を得ている。この立体感のある意匠を得る目的で、化粧材、特にその表面装飾材である化粧シートの表面に、凹凸のエンボスパターンを賦形させたものが、最も多く利用されている(特許文献1および特許文献2参照)。
しかしながら、この表面に凹凸模様が付与された化粧材によって得られる意匠は、ある程度の立体感は表現されているものの、全体的に満足される程度のものではなく、例えば見る角度によって意匠が大きく変化するといった意匠の方向性を有する効果を得ることは難しい。
一方、金属光沢を持つ意匠に対する立体感を付与する手法として、磁性体粉を用いて磁界を印加することで意匠の変化を出す手法が旧来より検討が進められており、シート上に塗工した磁性体粉入りインキ中の磁性体粉を磁石で配向させることで塗膜に方向性を持たせる手法についても提案されている(特許文献3参照)。
こうした取り組みは一定の大きさに切断したシートの裏面に該シートと同様の大きさの磁石を固定した後、シートの上面に磁性体粉含有インキを塗布し、次いで乾燥硬化をおこなった後、シートから磁石を取り除く工程によって一般的に行なわれている。
しかし、インキ中の磁性体粉の配向はインキ粘度、硬化条件や乾燥条件に大きく依存し安定して意匠を再現することが難しいなか、この工程により得られたシートは、連続生産性に課題があると同時に塗布から乾燥硬化までの条件が安定しにくく量産性や品質の安定性に大きな課題がある。
こうした量産性や品質安定性の課題に対して連続式コーターによる生産化することが提案されている(特許文献4参照)。連続式コーターを使用することで量産性や品質安定性は大幅な向上するもののエンドレスベルトに磁石を巻き付けたことにより得られる意匠は単純で用途としても限定的であった。
特開平2-128843号公報 特開平5-278137号公報 特開平9-094529号公報 特許第3761910号公報
しかしながら、前記従来例として提案されたシートの製法においては、磁性体粉由来の金属光沢が強く、車両表面加飾など金属光沢を有する意匠表現には好適に利用できるが金属光沢をもたない意匠に対しては活用されてこなかった。
本発明は、従来の技術における上記したような課題に鑑みてなされたものであり、意匠の方向性を有することで従来の化粧シートでは困難であった立体的な造形物に生じる影による陰影や木材の照り感の表現などが可能な高い意匠性を有する化粧シートおよびその製造方法を提供するものである。
また、本発明は、金属光沢感の低い意匠に対しても高い立体感を有する意匠を持つ化粧シートを提供するものである。
さらに、本発明は、高い生産性、生産安定性を有しながら且つ複雑な高い意匠性を有する化粧シートの製造方法を提供するものである。
本発明者らは鋭意研究し、化粧シートに意匠の方向性を付与する手法として、従来主に金属調意匠の柄付け手法として開発されてきた磁性体粉に磁界を印加することによって配向させる技術を、反射コントロール層として意匠形成層の下に展開することで、これまで様々な試みによっても困難であった立体的な造形物に生じる影による陰影や木材の照り感の表現することを発見して本発明を完成させた。
本発明の化粧シートの第1の態様は、表面側から内側に順に少なくとも意匠形成層および反射コントロール層を有し、前記意匠形成層は意匠創出成分を含んでおり、前記反射コントロール層は樹脂と鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉を含み磁場の印加により前記金属光沢を持つ磁性体粉を配向させて形成されていることを特徴とする。
本発明の化粧シートの第2の態様は、第1の態様の化粧シートにおいて、前記反射コントロール層が前記意匠形成層の前記意匠創出成分と同調したパターンで配向されていることを特徴とするものである。
本発明の化粧シートの製造方法の第1の態様は、巻出し部と巻取り部を有しシートを連続して印刷する印刷機を用いて反射コントロール層が印刷される前記第1または第2の態様の化粧シートの製造方法において、前記反射コントロール層を形成するインキが印刷された後、乾燥、硬化するユニットの手前に適宜配置された磁石の近傍を前記シートが通過する際に磁場が印加され前記反射コントロール層のインキ中の金属光沢を持つ磁性体粉を配向させることを特徴とするものである。
本発明の化粧シートの製造方法の第2の態様は、前記第1の態様の製造方法において、反射コントロール層がシルクスクリーン印刷によって形成され、鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉がアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)5以上90以下で、平均粒径D50が5μm以上60μm未満であり、かつ、磁場を印加する際のインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において1000-20000mPa・sであることを特徴とするものである。
本発明の化粧シートの製造方法の第3の態様は、前記第1または第2の態様の製造方法において、意匠形成層の意匠創出成分と同調するパターンの柄や濃度で反射コントロール層を印刷することで、前記意匠創出成分と反射コントロール層の配向を同調させることを特徴とするものである。
本発明の化粧シートの製造方法の第4の態様は、前記第1から第3の態様の製造方法において、巻出し部と巻取り部を有しシートを連続して印刷するシルクスクリーン印刷機を使用し、前記反射コントロール層をシルクスクリーンにて印刷時にシートが印刷機上で静止している際にすでに印刷した前記反射コントロール層に非磁性体取付治具に意匠形成層の記意匠創出成分に対応した形状や磁力違いの磁石を配置した磁界印加ユニットをシートに接近させることで、前記反射コントロール層の特定の箇所に磁場を印加し、前記意匠創出成分と同調した反射コントロール層を付与することを特徴とするものである。
本発明においては、意匠形成層の記意匠創出成分(柄ともいう)と同調するパターンの柄や濃度で反射コントロール層を印刷することで、前記意匠創出成分と反射コントロール層の配向を同調させることにより、木目意匠における照り感の表現のほか、例えば石目などの意匠の立体感を強調したい部位や意図的に立体感を出したい抽象柄などにおいても集中して部分的に反射コントロール層を形成することができ、表面光沢が少ない意匠表現においても反射コントロール層の金属光沢を目立たせることなく高い立体意匠感を得ることが可能である。
本発明の意匠表現の範囲は広く、下記の実施例の結果からさらに金属光沢を持つ磁性体粉の選定、配合比の変更、磁界印加部の磁力調整などにより立体感や金属光沢についてさらに広い範囲での調整が可能であり、化粧シートにおける様々な意匠表現の実現に大きく貢献するものである。
本発明の化粧シートの1つの実施の形態を示す側断面図である。 本発明の化粧シートの他の実施の形態を示す側断面図である。 本発明の化粧シートの更に他の実施の形態を示す側断面図である。 本発明の化粧シートの更に他の実施の形態を示す側断面図である。 本発明の化粧シート製造方法の一例を示す平面図である。 同調された反射コントロール層の説明に用いる木目印刷柄の一例を示す平面図である。 図6の木目印刷柄に同調した反射コントロール層の一例を示す平面図である。 図6の木目印刷柄に同調した磁界印加層の磁石配置の一例を示す平面図である。 本発明の化粧シート製造方法の他の例を示す平面図である。
以下、図面を引用して本発明を説明する。
本発明における化粧シートの構成は、従来の化粧シートの意匠形成層の下に反射コントロール層が設けられたものでその他はこれまでの化粧シートと何ら変わらない。
この際、意匠形成層が反射コントロール層に対して表面側にあることが重要でこれにより反射コントロール層の配向のばらつきなどが意匠形成層によって適度に隠蔽されることで化粧シートとして問題ないレベルになり、反射コントロール層として高級感のある意匠の形成に寄与することができる。
図1~図4で示す化粧シートの構成例はいずれも従来の化粧シートの意匠形成層の下に反射コントロール層が設けられた構成である。
例えば、図1に示す化粧シートは本発明の化粧シートの最も簡単なものであり基材シート3の表面側から上に順に反射コントロール層1、意匠形成層2を設けた構成である。使用例としてはチタン紙の基材シート3に反射コントロール層1、プロセスインキによる柄印刷層を設けた意匠形成層2を印刷し化粧シートとしたものである。その用途としては、木質基材に貼り合わせた後メラミン樹脂にて保護層を形成し床材や家具等に使用されるメラミン化粧板用化粧シートや、基材シート3に薄紙を使用し同様に反射コントロール層1と意匠形成層2を設けた化粧シートで、表面に熱硬化性樹脂や光硬化樹脂で表面保護層を設け家具の表面材として使用する薄紙化粧シート、基材シート3に熱可塑性樹脂を使用し反射コントロール層1、プロセスインキによる柄印刷層からなる意匠創出成分を設けた意匠形成層2を印刷した化粧シートで、適宜基材シート3の裏面に接着層、意匠形成層2の上に表面保護層を設け、射出成型と同時に化粧シートの貼り合わせを行うインサート成形法等で使用され主に電子機器の表面材や車両内装材等で使用される樹脂基材用化粧シート等が挙げられる。
また、図2は主に住宅や店舗の内装や家具、床材などで使われる木質基材や金属基材、石膏ボードなどの不燃基材に貼り合わせる化粧シートで、基材シート3の表面側に反射コントロール層1、意匠形成層2を順に形成したのち、さらにドライラミネート法やエクストルーダーラミネート法等により透明熱可塑性樹脂にてなるエンボスシート6を積層し、さらに表面の艶などを適宜調整した表面保護層5をコーティングことでエンボスシートによる質感と耐久性を付与した化粧シートである。
図3の化粧シートは、基材シート3に透明シートを使用した例で、基材シート3が表面保護層を兼ねるため比較的単純な構成で化粧シートの耐久性を高めることが可能な構成である。こうした構成においては透明な基材シート3側が表面側となるため意匠形成層2、反射コントロール層1の順で印刷していくことが特徴である。光学隠蔽層7の役割は主に木質基材等の貼り合わせる基材の色柄のばらつきを抑える目的で使用されるが、貼り合わせる基材に裏面から光を照射するデバイスを使用し、光学隠蔽層7にアイコン型の抜きを形成してシート裏面側から光を照射させることで、アイコンを表示させる機能を付与することも可能である。こうした化粧シートは自動車の内装材や電子機器の表面化粧材としてよく使用される。
図4の化粧シートは、転写箔型の化粧シートであり、熱ラミネートした後に基材シート3を剥離ワニス8を利用して剥離して使用する。使用例としては鋼板を基材として車両の内外装などに使用する鋼板転写シートや射出成型にて樹脂基材と貼り合わせたのち基材シート3を剥離するインモールド転写法用の化粧シート等に使用される。
このように本発明における化粧シートの構成は、これまでの様々な用途、構成の化粧シートに幅広く対応できるものであり、上記構成例にかかわるもののみならず意匠形成層2の下(内側)に反射コントロール層1を形成できるものであれば問題なく応用することが可能である。
図5は前記第1の態様に記載の化粧シートの製造方法の一例を示している。巻出部Aより送られた基材シートが反射コントロール層印刷部Bにおいて金属光沢を持つ磁性体粉を含むインキを塗工され、磁界印加部Cで金属光沢を持つ磁性体粉が配向された状態で乾燥硬化部D1にて固定化される。さらに柄印刷層印刷部Eで意匠形成層用インキを印刷され乾燥硬化部D2で乾燥硬化され巻取部Fで巻き取られる。
反射コントロール層印刷部B、柄印刷層印刷部Eの印刷方法は公知のいずれの印刷方法でも構わない。シルクスクリーン印刷、ロータリーシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等従来化粧シートの印刷に使われてきた印刷方法等が好適でそれぞれの組み合わせでも構わない。インキの乾燥硬化方法についても1液の乾燥タイプ、2液の反応硬化タイプ、UV硬化タイプ等公知のいずれの乾燥硬化手法も使用できる。
反射コントロール層印刷Bにて柄印刷層(意匠創出成分)と同調するパターンを印刷とすることで前記第3の態様の化粧シートの製造方法によって前記第2の態様の化粧シートの製造が可能である。パターン印刷の例としては、例えば図6の木目印刷柄に対して図7の同調反射コントロール層を重ねることで立体感を出したい部分に立体感の強さもコントロールしながら反射コントロール層1の形成が可能である。図7の同調反射コントロール層のパターンについては柄印刷層(意匠創出成分)の立体感を出したいところに適宜印刷すればよく、部分印刷G1、濃度塗分印刷G2、グラデーション印刷G3等の印刷手法で立体感をコントロールすることが可能である。
磁界印加部Cは特に構造に制約はないが、非磁性体取付治具C2に磁石C1を取り付けた構造が一例として挙げられる。非磁性体取付治具C2の材質としては自由に選択が可能で樹脂材、木質材、アルミニウム材等が使用可能である。磁石C1についても種類、形状、配置など適宜選定が可能である。目的に応じて電磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石等自由に選択が可能である。
また、同調反射コントロール層は磁石配置によっても形成可能である。シルクスクリーン印刷のようにバッチ印刷が可能な印刷手法においては反射コントロール層1をパターン印刷しなくても図8のように柄(意匠創出成分)に対して磁石の配置を適切に配置することで同調反射コントロールが形成可能である。特に、安定した立体感を再現するためには前記第4の態様の化粧シートの製造方法を用いることが必要であり、図9に例を示した反射コントロール印刷、磁界印加、乾燥硬化の工程が短時間かつ安定した間隔で印刷できる、巻出部と巻取部を有しシートを連続して印刷するシルクスクリーン印刷機を使用したシルクスクリーン印刷機を使用する必要がある。この印刷機においては、巻出部Aより送られた基材シートが反射コントロール層印刷部Bにて静止しシルクスクリーン印刷にて反射コントロール印刷層を印刷された後、1ピッチ分送り出され再度停止する。印刷された反射コントロール層1は次のピッチにおける反射コントロール層1が印刷されるタイミングで磁界印加部Cにて印刷柄(意匠創出成分)に同調されるよう配置された磁石配置により磁界を印加され同調反射コントロール層が形成され、再度基材シート3が送られると乾燥硬化部D1に送られ固定化される。重要なのはこの反射コントロール層1を安定して形成する点で、乾燥後のシートはこのまま巻き取られ次工程で柄印刷を行うことも、図9のようにインラインで印刷層を形成しても構わない。また、乾燥硬化部D1の長さは乾燥硬化に十分な長さにすることが必要なのでインラインで印刷する場合も乾燥硬化後のシートはアキューム装置などにより調整され、見当を合わせて柄印刷層印刷部Eに送られる。反射コントロール層1と見当を合わせて柄印刷をしたシートは乾燥硬化部D2で乾燥硬化された後巻き取られる。
また、シルクスクリーン印刷において立体感を安定して出すためには前記第2の態様に記載のように反射コントロール層1がシルクスクリーン印刷によって形成され、鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉がアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)5以上90以下で平均粒径D50が5μm以上60μm未満であり、かつ、磁場を印加する際のインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において1000-20000mPa・sであることが重要である。アスペクト比が5未満もしくは90を超えている、または粒径D50が5μm未満、60μmを超えているまたはインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において20000mPa・sを超えている場合では磁力を印加した際の配向が不十分で十分な立体感が得られず、またインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において1000mPa・s未満であると磁力を印加した金属光沢を持つ磁性体粉の配向をインキが乾燥硬化するまで維持できず十分な立体感を得られない。
その他、本発明に関わる化粧シートを構成する材料についても反射コントロール層1を除いては従来化粧シートに使用されている材料、手法をそのまま使用することが可能である。意匠形成層2としては一般的なプロセスインキを用いた印刷、干渉パールインキを用いた印刷、表面エンボスを用いた立体感形成手法、インキの表面張力の差を用いてあと塗りインキを弾かせることで意匠を形成するグロスマット手法、使用材料の屈折率の違いを用いて立体感を出すインナーエンボス手法、インキを厚塗りすることで凹凸を表現する盛上印刷手法、硬化時のブレンドされた樹脂の収縮差で表面意匠を形成するちぢみ印刷手法、表面光沢をコントロールするためのマット化処理、アンチグレア処理、アンチリフレクション処理等公知の手法がいずれも使用可能である。これらの手法は単独で用いても良いし複数の手法を組み合わせて使用しても構わない。
反射コントロール層に使用する樹脂バインダーとしては従来化粧シートに使用されているインキ用樹脂バインダーと何ら変わらない。例えば、硝化綿等セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物等の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも使用可能で、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも選定可能である。さらに、紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。ただし、印刷してから磁場を印加するまで磁性体粉が配向するのに十分な粘度を維持することと、磁場を印加してから乾燥、硬化するまでの間配向した状態を維持できる粘度を保つことが重要である。具体的には印刷方法としてシルクスクリーン印刷を用いる場合は磁場を印加する際のインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において1000-20000mPa・sであることが重要である。
これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤等も従来の化粧シート同様に添加可能である。特に、添加剤としてはインキの粘度やチキソ性をコントロールするために増粘剤やチキソ剤、腰切剤等のインキの流動性をコントロールする添加剤が有効であり、また、磁性体粉として錆びやすい材料を使用する場合は適宜酸化防止剤を添加することで耐候性を向上させることが可能である。
本発明において反射コントロール層に用いる鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉は、鱗片状の金属粉末や、磁性体をコーティングした鱗片状粉末が挙げられる。鱗片状の金属粉末としては、γ-Fe、板状Fe、Co-FeOx、CrO、FeH、Baフェライト、Fe箔、Co箔、Ni箔、Co-Fe箔、Ni-Fe箔などが挙げられる。
磁性体をコーティングした鱗片状粉末としては、Co、Ni、Cu-Ni、Au-Ni、Ni-Co、Feなどの磁性体をコーティングした、天然マイカ、合成マイカ、鱗片状シリカ、ガラスフレーク等の鱗片状粉末が挙げられる。
本発明における鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉としては、アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)5以上20以下で平均粒径D50が5μm以上60μm未満であることが重要で、さらに好ましくは15μm~50μmである。粒径が大きすぎると磁場の印加により配向することが困難になり、また、粒径が小さすぎると鱗片状すなわち板状のものが得にくくなり、配向しにくい傾向にある。また、アスペクト比としては3以上のものが好ましく、さらに好ましくは5~20のものである。
本発明における鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉は、上記のものに限定されるものではなく、磁場の印加により配列し得る鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉であれば如何なるものも使用することができる。
基材シートとしては、従来の化粧シートの選定と何ら変わることなく、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等の紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メタル等アクリル系樹脂等の合成樹脂による無延伸シート、一軸延伸シート、あるいは二軸延伸シート、発泡シート、合成紙等から用途、構成等に応じて適宜選定可能である。
その他、表面保護層や接着層なども必要に応じて形成することが可能で従来の化粧シートと何ら変わることなく選定が可能である。
実施例および比較例に使用する材料には以下のものを使用した。
<反射コントロール層用インキ材料について>
反射コントロール層用インキ樹脂として、日信化学工業株式会社 ソルバインA(ソルバインは登録商標)を用いた。
金属光沢を持つ磁性体粉として、SHEENBOW社(中国) 3D MG ELシルバー(酸化鉄蒸着鱗片状シリカ)アスペクト比20 粒径(D50)30μmを用いた。
金属光沢を持つ磁性体粉として、試作酸化鉄蒸着鱗片状シリカ アスペクト比3 粒径(D50)30μm も用いた。
シルク印刷用溶剤として、シクロヘキサノン/イソホロン=1/1混合溶剤を用いた。
グラビア印刷用溶剤として、メチルエチルケトンを用いた。
シルク印刷用粘度調整剤として、東洋インキ TU262 FDSS 増粘剤を用いた。
<意匠形成層用柄印刷用インキ材料について>
シルクスクリーンインキとして、セイコーアドバンス VICインキ 調色品を用いた。
グラビア印刷用インキとして、東洋インキ ラミスター 調色品(ラミスターは登録商標)を用いた。
パール顔料として、メルク イリオジン100 シルバーパール(イリオジンは登録商標)を用いた。
<基材シートについて>
基材シートとして、白色PETフィルム 東レ ルミラーE28G 100μm(ルミラーは登録商標)を用いた。
実施例、比較例の作成には以下の印刷版を使用した。
反射コントロール層用シルク印刷版として、150メッシュ版 全面ベタ版および同調パターン版を用いた。
反射コントロール層用グラビア印刷版として、ポーシェル100線版 全面ベタ版および同調パターン版を用いた。
柄印刷用シルク印刷版として、280メッシュ版(5柄) 金属素地模様版、金属塗装調版、カーボン調意匠版、抽象柄版(石目)、木目柄版を用いた。
柄印刷用グラビア印刷版として、ヘリオ200線版を用いた。
以下の配合にて実施例、比較例のインキを調合した。
ソルバインA/シルク印刷用溶剤/3D MG ELシルバー=50/50/5
で調合し反射層用シルクインキ1を作成した。粘度は10(1/s)のせん断速度において8000mPa.sであった。
ソルバインA/シルク印刷用溶剤/3D MG ELシルバー/TU262 FDSS 増粘剤=50/50/5/8
で調合し反射層用シルクインキ2を作成した。粘度は10(1/s)のせん断速度において35000mPa.sであった。
ソルバインA/シルク印刷用溶剤/試作酸化鉄蒸着シリカ=50/50/5
で調合し反射層用シルクインキ3を作成した。粘度は10(1/s)のせん断速度において6000mPa.sであった。
ソルバインA/グラビア印刷用溶剤/3D MG ELシルバー=50/50/5
で調合し反射層用グラビアインキ1を作成した。
粘度は10(1/s)のせん断速度において80mPa.sであった。
VIC 調色品/シルクインキ用溶剤=100/10
で調合し柄印刷用シルクインキ1を作成した。
ラミスター 調色品/グラビアインキ用溶剤=100/10
で調合し柄印刷用グラビアインキ1を作成した。
ラミスター 調色品/グラビアインキ用溶剤/イリオジン100=100/10/2
で調合し柄印刷用グラビアインキ2を作成した。
以下の手順で比較例、実施例のサンプルを作成した。
比較例1以外ではグラビア印刷、シルクスクリーン印刷とも反射コントロール層を持ち、比較例2、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4では全面ベタ版にて反射コントロール層を印刷したのち磁界印加部で非同調反射層を形成した。
また、実施例5、実施例6では同調パターン版にて反射コントロール層を印刷したのち磁界印加部で同調パターン柄反射層を形成した。
また、実施例7では全面ベタ版にて反射コントロール層を印刷したのち同調パターンを持つ磁界印加ユニットにて同調配向反射層を形成した。柄印刷は比較例2以外ではグラビア印刷、シルクスクリーン印刷ともすべて金属素地を生かした意匠版、塗装された金属意匠版、カーボン調意匠版、抽象柄(石目)版、木目柄版の5種類の版で印刷を行った。
基材シートにグラビア印刷にて柄印刷用グラビアインキ2にて印刷乾燥し、比較例1の化粧シートを作成した。
基材シートにグラビア印刷にて反射層用グラビアインキ1をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、比較例2の化粧シートを作成した。
基材シートにシルクスクリーン印刷にて反射層用シルクインキ2をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例1の化粧シートを作成した。
基材シートにシルクスクリーン印刷にて反射層用シルクインキ3をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例2の化粧シートを作成した。
基材シートにグラビア印刷にて反射層用グラビアインキ1をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例3の化粧シートを作成した。
基材シートにシルクスクリーン印刷にて反射層用シルクインキ1をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例4の化粧シートを作成した。
基材シートにグラビア印刷にて反射層用グラビアインキ1を同調パターン版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例5の化粧シートを作成した。
基材シートにシルクスクリーン印刷にて反射層用シルクインキ1を同調パターン版にて印刷し、磁界印加部にて配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例6の化粧シートを作成した。
基材シートにシルクスクリーン印刷にて反射層用シルクインキ1をベタ版にて印刷し、磁界印加部にて同調配置した磁石にて同調配向させた後乾燥させ、さらに柄印刷用シルクインキ1で柄印刷を行い乾燥させ実施例7の化粧シートを作成した。
比較評価
比較例、実施例のそれぞれのサンプルについて立体感について1低い、2良好、3より良好、4とても良好、5極めて良好の5段階で評価した。さらに、金属素地を生かした意匠、塗装された金属意匠、カーボン調意匠、抽象柄(石目)、木目柄の5柄に対しての意匠について×、△、〇の3段階で特に金属光沢感のレベルに重きを置いて評価し表1~表3にまとめた。
評価の結果、本発明による化粧シートは立体感に表面光沢の無い、もしくは少ない意匠においても立体感に優れた意匠を得られることが確認された。








1…反射コントロール層
2…意匠形成層
3…基材シート
4…接着層
5…表面保護層
6…エンボスシート
7…光学隠蔽層
8…剥離ワニス
A…巻出部
B…反射コントロール層印刷部
C…磁界印加部
C1…磁石
C2…非磁性体取付治具
D1…反射コントロール層乾燥硬化部
D2…絵柄層乾燥硬化部
E…柄印刷層印刷部
F…巻取部
G1…同調反射コントロール層パターンにおける部分印刷の一例
G2…同調反射コントロール層パターンにおける濃度塗分印刷の一例
G3…同調反射コントロール層パターンにおけるグラデーション印刷の一例

Claims (6)

  1. 表面側から内側に順に少なくとも意匠形成層および反射コントロール層を有し、前記意匠形成層は意匠創出成分を含んでおり、前記反射コントロール層は樹脂と鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉を含み磁場の印加により前記金属光沢を持つ磁性体粉を配向させて形成されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記反射コントロール層が前記意匠形成層と同調したパターンで配向されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 巻出し部と巻取り部を有しシートを連続して印刷する印刷機を用いて反射コントロール層が印刷される請求項1または請求項2に記載の化粧シートの製造方法において、前記反射コントロール層を形成するインキが印刷された後、乾燥、硬化するユニットの手前に適宜配置された磁石の近傍を前記シートが通過する際に磁場が印加され前記反射コントロール層のインキ中の金属光沢を持つ磁性体粉を配向させることを特徴とする化粧シートの製造方法。
  4. 前記反射コントロール層がシルクスクリーン印刷によって形成され、鱗片状の金属光沢を持つ磁性体粉がアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)5以上90以下で、平均粒径D50が5μm以上60μm未満であり、且つ、磁場を印加する際のインキ粘度が10(1/s)のせん断速度において1000-20000mPa・sであることを特徴とする請求項3に記載の化粧シートの製造方法。
  5. 意匠形成層の意匠創出成分と同調するパターンの柄や濃度で反射コントロール層を印刷することで、前記意匠創出成分と反射コントロール層の配向を同調させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の化粧シートの製造方法。
  6. 巻出し部と巻取り部を有しシートを連続して印刷するシルクスクリーン印刷機を使用し、前記反射コントロール層をシルクスクリーンにて印刷時にシートが印刷機上で静止している際にすでに印刷した前記反射コントロール層に非磁性体取付治具に意匠形成層の意匠創出成分に対応した形状や磁力違いの磁石を配置した磁界印加ユニットをシートに接近させることで、前記反射コントロール層の特定の箇所に磁場を印加し、前記意匠創出成分と同調した反射コントロール層を付与することを特徴とする請求項3~請求項5のいずれか1項に記載の化粧シートの製造方法。
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